JP5887927B2 - 分断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ光を照射することによって被加工物を分断する装置に関する。
ガラス板やサファイア基板などの硬くて脆い材料(脆性材料)を切り出す加工方法として、種々の手法が公知である。例えば、ガラス板の加工として、切り分けたい材料の端部から線状にダイヤモンドの結晶などで浅い傷(初期亀裂)を設けるいわゆる罫書きを行い、形成された初期亀裂の両側に力をかけて該初期亀裂を厚み方向に進展させて分断する方法が広く知られている。
しかしながら、係る手法の場合、分断作業に際して、罫書きの深さや力の与え方などによっては、分断面に傾きが生じたり、予想外の方向へ割れてしまったりするなどして、所望の分断精度が出ず、最悪の場合、材料全体の破損の危険性もある。
また、被加工物の端部に初期亀裂を与えておき、該端部からレーザ光による加熱走査を行うことより、亀裂を進展させて被加工物を分断する手法も広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
係る手法の場合、分断対象たる脆性材料が均質であって発生する応力場が理想的なものであるならば、亀裂進展の位置や方向などを高精度に制御できる可能性はあるが、現実には、材料の不均質性や、加熱エネルギー分布の不均一性や、加熱点の高精度な位置制御の困難さなどの点から、高精度で亀裂進展を制御することは難しい。ここでいう高精度とは、μmオーダーの精度での位置制御を想定している。
しかも、被加工物の端部では、応力分散が生じ、応力分布が均等でなくなるなどの理由から、亀裂進展制御においては、加工手順の制限や敢えて加熱点をずらす処理などが必要となる(例えば、特許文献2参照)。
また、表面に単位パターンが2次元的に配列された脆性材料を単位パターン毎の個片に(チップ単位に)切り出す場合など、互いに直交する2方向での切り出しを、レーザ割断によって行おうとする場合、ある一方向に切り出した後にそれに直交する方向に切り出しを行うことになるが、大量のチップ加工のような場合には初期亀裂の与え方などがより煩雑になる。
以上の手法の組合せとして、ダイヤモンドやビッカース圧子などによって微小な傷(初期亀裂)を硬脆性材料基板(例えばガラス、シリコン、セラミックス、サファイアなど)の端部に設けたうえで、基板裏面側にレーザ光吸収材を配置し、基板裏面に焦点を合わせたレーザ照射による局所加熱を行い、これによって生じる応力集中によって亀裂を進展させてガラスを分断する手法も知られている(例えば、特許文献3参照)。
あるいは、あらかじめ被加工物の表面に、機械的にあるいはレーザ光の照射によって罫書き線やスクライブラインと称される線状の加工痕を施した後、係る加工痕に沿ってレーザ光による照射加熱を行い、該加工痕からのクラック進展を生じさせることで被加工物を分断する手法も公知である(例えば、特許文献4および特許文献5参照)。
なお、特許文献3には、罫書き線と反対側の面からレーザを照射して分断を行う態様も開示されている。
さらには、発光素子の側面にドライエッチングにより凹凸を設けることで発光効率を向上させる手法も既に公知である(例えば特許文献6参照)。
特公平3−13040号公報 特開平9−45636号公報 特開2008−62547号公報 特許第2712723号公報 特許第3036906号公報 特許第3852000号公報
特許文献3に開示された手法の場合、レーザ光によって直接に加熱されるのはあくまでレーザ光吸収材であり、硬脆性材料基板はあくまで、レーザ光吸収材からの熱伝導によって間接的に加熱されるのみである。それゆえ、熱伝導の均一性の確保が難しく、引張応力が意図した方向に作用するとは限らない。また、特許文献1に開示されているような従来のレーザ割断と同じく、亀裂の進展方向を制御することは難しい。従って、係る手法によって精度の良い分断を行うことは難しい。
また、特許文献4および特許文献5に開示されているのはせいぜい、機械的にあるいはレーザ光により形成した加工痕に沿ってレーザ光を照射することにより被加工物を分断する基本的な原理に過ぎず、係る分断を効率的に生じさせる手法について、何らの開示も示唆もなされてはいない。
また、特許文献6には、発光素子の半導体膜の側面に凹凸加工を施すことによる光取り出し効率の向上については開示があるものの、その基材であるサファイアウェハに対する加工については開示がない。仮に、特許文献6に開示された手法でサファイア基板に凹凸加工を施すとなると、改めてレジスト塗布処理が必要であるとともに、エッチング自体に時間を要し、生産性が低いという問題がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、脆性材料からなる被加工物を高精度かつ効率的に分断することができる技術を提供することを目的とする。また、特に、表面に発光素子パターンが2次元的に形成されたパターン付き基板が被加工物である場合において、これら高精度かつ効率的な加工に加えて、発光素子の発光効率の向上をも併せて実現する技術を提供する。
上記課題を解決するため、発明は、被加工物を分断する加工を行う装置であって、被加工物を載置固定するステージと、第1の出射源から出射された第1のレーザ光を、前記ステージに対して相対走査させつつ前記ステージに載置固定された前記被加工物の上面であるスクライブ面に対して照射することにより、前記スクライブ面にスクライブラインを形成するスクライブ加工手段と、第2の出射源から出射された第2のレーザ光を、前記ステージに対して相対走査させつつ前記スクライブラインに沿って照射することによって前記被加工物を前記スクライブラインに沿って加熱する照射加熱手段と、前記被加工物に対して冷却流体を噴射する冷却流体供給手段と、を備え、前記被加工物において前記第2のレーザ光の照射による照射加熱領域の周囲に形成される引張応力場を、前記冷却流体供給手段による前記冷却流体の噴射によって冷却しつつ前記第2のレーザ光を前記スクライブラインに沿って相対的に走査させることによって移動させ、これによって、前記スクライブラインが前記引張応力場に位置することで生じる前記スクライブラインから前記非スクライブ面へのクラックの進展を、前記スクライブラインに沿って順次に生じさせることにより、前記被加工物を分断る、ことを特徴とする。
記照射加熱手段が、前記第2の出射源から出射された前記第2のレーザ光の照射範囲を調整する調整機構を備え、前記調整機構によって照射範囲が調整された前記第2のレーザ光を前記スクライブ面に照射する、こともできる。
発明は、前記分断装置であって、前記第2のレーザ光がCO2レーザである、ことを特徴とする。
発明は、前記分断装置であって、前記第2のレーザ光をパルス発振モードにて照射することにより、前記被加工物が分断されることで形成される個片の分断面に、パルス発振周期に応じた周期を有する全反射率低減用のうねりを生じさせる、ことを特徴とする。
記第1のレーザ光がYAGレーザの3倍高調波である、こともできる。
記ステージが前記被加工物を保持した状態で水平面内で回転自在とされてなり、前記ステージを水平面内で回転させることによって前記ステージに載置固定された前記被加工物の水平面内における姿勢を補正するアライメント処理を行うアライメント処理手段、をさらに備え、前記アライメント処理を行った前記被加工物に対して前記スクライブ加工手段による前記スクライブラインの形成と、前記照射加熱手段による加熱とを行う、こともできる。
記スクライブ加工手段が前記第1のレーザ光の被照射位置において溶融および再固化を生じさせ、前記被照射位置を変質領域とすることによって前記スクライブラインを形成する、こともできる。
記スクライブ加工手段が前記第1のレーザ光の被照射位置においてアブレーションを生じさせ、前記被照射位置に溝部を形成することによって前記スクライブラインを形成する、こともできる。
発明によれば、第1のレーザ光を照射することによってあらかじめ被加工物の分断予定位置に高精度に形成されたスクライブラインに沿って第2のレーザ光を照射し、被加工物を加熱することで、スクライブラインに対し引張応力を作用させ、スクライブラインから非スクライブ面へのクラックの進展をスクライブラインの延在方向に沿って順次に生じさせることで、被加工物を精度よく分断することができる。しかも、スクライブラインの形成に引き続いて、同一の装置内でレーザ加熱による引張応力の発生を行うことができるので、高精度な分断加工を効率的に行うことができる。
特に、発明によれば、被加工物の分断面に意図的にうねりを生じさせることができる。これにより、例えば、表面にLEDパターンが2次元的に形成されたサファイア基板であるLED製造用基板が被加工物であり、これをLEDチップ単位の個片に分断するような場合において、LEDチップの分断面における全反射を抑制し、LEDチップの発光効率を向上させることができる。
分断加工の途中の様子を模式的に示す図である。 加熱用レーザ光LBhとしてCO2レーザを用い、サファイア基板を分断した時の分断面のSEM像である。 分断面が平坦な場合と平坦面にうねりがある場合との分断面における光の進み方の違いを示す図である。 分断装置100の構成を概略的に示す図である。 スクライブ用レーザ光学系20の詳細構成を示す図である。 加熱用レーザ光学系30の詳細構成を示す図である。 加熱用レーザ光LBhによって被加工物Wの非スクライブ面W2を走査する態様を模式的に示す図である。 加熱用レーザ光LBhによって被加工物Wの非スクライブ面W2を走査する態様を模式的に示す図である。 分断装置200の概略的な構成を示す図である。 スクライブ面W1に加熱用レーザ光LBhが照射される構成において、引張応力場SF2を冷却する様子を示す模式図である。 スクライブ面W1に加熱用レーザ光LBhが照射される構成において、引張応力場SF2を冷却する様子を示す模式図である。 分断装置100において冷却ガスCGの噴射を実現する構成の一例を概略的に示す図である。 分断装置200において引張応力場SF2を冷却する構成を設ける場合の一例を概略的に示す図である。 非スクライブ面W2に対して加熱用レーザ光LBhを照射する別態様について示す図である。
<加工の基本原理>
まず、本実施の形態に係る加工(分断加工)の基本原理について説明する。本実施の形態において行う分断加工は、概略、被加工物(分断対象物)Wの分断予定位置に対して第1のレーザ光(スクライブ用レーザ光)を照射することによってスクライブラインSLを形成した後、第2のレーザ光(加熱用レーザ光)の照射による加熱(レーザ加熱)を行うことで該スクライブラインSL近傍に応力場を生じさせ、これによって初期亀裂であるスクライブラインSLから亀裂(クラック)を進展させることで、被加工物を分断するというものである。
被加工物Wとしては、例えば、ガラス板やサファイア基板などの脆性材料、あるいはそれら脆性材料からなる基板の表面に薄膜層などによって単位パターンが2次元的に形成されたもの(以下、パターン付き基板)などが該当する。
図1は、本実施の形態において行われる分断加工の途中の様子を模式的に示す図である。より具体的には、図1は、被加工物Wにあらかじめ形成されたスクライブラインSLに沿って加熱用レーザ光LBhを照射することにより、レーザ加熱を行う様子を示している。
なお、以降の説明においては、被加工物WにおいてスクライブラインSLが形成されている面、もしくはスクライブラインSLの形成が予定される面をスクライブ面W1と称し、該スクライブ面W1の反対面を非スクライブ面W2と称する。また、図1においては、加熱用レーザ光LBhが矢印AR1にて示す走査方向(当然ながらスクライブラインSLの延在方向でもある)を移動することによりスクライブ面W1を走査する様子を示しているが、これに代わり、加熱用レーザ光LBhがある照射位置にて固定的に照射される一方で、被加工物Wが図示しない移動手段にて移動させられることによって、加熱用レーザ光LBhによる矢印AR1方向への相対的な走査が実現される態様であってもよい。
加熱用レーザ光LBhが照射されると、被加工物Wのスクライブ面W1における加熱用レーザ光LBhの照射領域は加熱されて膨張し、図1に示すように圧縮応力場SF1となる。一方で、該圧縮応力場SF1の外周領域は収縮し、引張応力場SF2となる。スクライブラインSLがこの引張応力場SF2に含まれると、被加工物Wにおいては、該スクライブラインSLの側方において引張応力TSが作用する。係る引張応力TSの作用により、スクライブラインSLから非スクライブ面W2側の分断予定位置L0に向けてクラックCRが進展する。加えて、上述のように、加熱用レーザ光LBhはスクライブラインSLに沿って相対的に走査されるので、これに伴い、引張応力場SF2もスクライブラインSLに沿って移動する。すると、非スクライブ面W2側へとクラックCRが進展する箇所が、スクライブラインSLの延在方向、つまりは加熱用レーザ光LBhの走査方向に沿って遷移していくこととなる。それゆえ、加熱用レーザ光LBhを、スクライブ面W1側の分断予定位置に設けられたスクライブラインSLの一方端から他方端に至るまで照射すれば、スクライブラインSLの形成位置全体で、分断予定位置L0へのクラックCRの進展を順次に生じさせることができるので、結果として、被加工物Wを分断することができる。これが、本実施の形態に係る分断加工の基本原理である。
係る態様にて被加工物Wを分断する場合、被加工物Wを正確に位置決めした上でスクライブ面W1上の所定の位置に精度良く形成されてなるスクライブラインSLを初期亀裂として、非スクライブ面W2側へとクラックCRを進展させることになる。通常、スクライブラインSLの長さに比べて被加工物Wの厚みは十分に小さく、また、加熱用レーザ光LBhによって形成される引張応力場SF2は比較的均一であるので、分断位置のずれは生じにくい。すなわち、本実施の形態においては、精度の優れた分断が可能となる。結果として、μmオーダーの精度での分断が可能となる。
なお、表面にLEDパターンが2次元的に形成されたサファイア基板であるLED製造用基板などのパターン付き基板を、単位パターン毎の個片に(チップ単位に)分断する場合など、分断予定位置が格子状に設定されている場合、互いに直交する第1の方向と第2の方向とにおいてそれぞれ複数のスクライブラインSLが順次に形成されたうえで、それぞれの方向について、順次に加熱用レーザ光LBhによる加熱が行われる。係る場合、加熱用レーザ光LBhによってある第1の方向に延在するスクライブラインSL(第1のスクライブライン)に沿ったレーザ加熱を行うと、これに直交する他のスクライブラインSL(第2のスクライブライン)との格子点近傍では、部分的に、第2の方向に延在する第2のスクライブラインにおいてもわずかに非スクライブ面W2へのクラックCRの進展は生じる。しかしながら、係る場合においても、後で第2のスクライブラインに沿ったレーザ加熱を行うことで、精度には問題のない分断が行える。
スクライブ用レーザ光には、被加工物Wの材質等に応じて適宜のパルスレーザ光を選択して用いればよい。例えば、サファイア基板や、サファイア基板を用いて作製されたパターン付き基板であるLED製造用基板が被加工物Wである場合であれば、YAGレーザの3倍高調波(波長355nm)を用いるのが好適な一例である。また、分断予定位置での分断の精度および確実性を高めるためには、スクライブラインSLはできるだけ細く形成されることが望ましいことから、スクライブ用レーザ光は数μm〜十数μm程度の照射範囲(照射ビーム径)で照射されるようにする。また、加工効率(エネルギーの利用効率)の観点から、スクライブ用レーザ光は、被加工物Wのスクライブ面W1あるいは内部のスクライブ面W1近傍(スクライブ面W1から数十μm程度までの範囲)で合焦するように照射される。なお、本実施の形態において、照射ビーム径とは、照射するレーザビームの断面のエネルギー分布がガウス分布形状であると仮定した場合に、そのエネルギー値が中心の最高値の1/e2以上である領域の直径をいう。
また、スクライブラインSLについては、スクライブ用レーザ光の被照射位置において物質を蒸発させることによって形成される断面視三角形状もしくはくさび形状の溝部がスクライブラインSLとされる態様であってもよいし、当該被照射位置において物質を溶融・再固化させる(融解改質させる)ことによって形成される断面視三角形状もしくはくさび形状の変質領域がスクライブラインSLとされる態様であってもよい。いずれの態様を取るかに応じて、スクライブ用レーザ光の照射条件(パルス幅、繰り返し周波数、ピークパワー密度、走査速度など)が定められる。また、図1ではスクライブラインSLが連続的に形成されている場合を例示しているが、スクライブラインSLの形成態様はこれに限られない。例えば、分断予定位置に沿って点線状もしくは破線状にスクライブラインSLが形成される態様であってもよい。
一方、加熱用レーザ光LBhとしては、長波長レーザであるCO2レーザ(波長9.4μm〜10.6μm)を用いるのが好適である。CO2レーザは、ガラスやサファイアの表面において確実に吸収されるので、スクライブラインSLからのクラックCRの進展を確実に生じさせることが出来る。なお、スクライブラインSLの形成という、被加工物の加工を目的として照射するスクライブ用レーザ光とは異なり、加熱用レーザ光LBhは、被加工物を加熱することによって加熱領域に形成される圧縮応力場SF1の周囲に引張応力場SF2を形成するという目的で照射されるものである。それゆえ、被加工物を破壊や変質させないようにすることや、引張応力場SF2をなるべく広く形成させるようにするうえにおいては、加熱用レーザ光LBhの照射範囲はスクライブ用レーザ光に比べて大きくてよい。例えば、被加工物の厚みが150μmの場合では、100μm〜1000μm程度であればよい。
ただし、パターン付き基板から矩形形状のチップを切り出すような場合においては、加熱用レーザ光LBhの照射ビーム径を、チップの平面サイズ(分断予定位置のピッチとほぼ同等)と同じかそれ以下に設定する。これよりも照射ビーム径を大きくした場合、分断が良好に行われず、所定の形状のチップが得られなくなることが生じ、好ましくない。
<加熱用レーザ光の発振モードと分断面の形状との関係>
例えば加熱用レーザ光LBhとしてCO2レーザを用いる場合、連続発振モードとパルス発振モードとの2通りの発振モードで加熱用レーザ光LBhを照射することができる。そして、この発振モードに応じて、被加工物Wの分断面の形状に違いが生じることが確認されている。具体的には、連続発振モードの場合、クラック進展によって形成される分断面は非常に滑らかな平坦面となる。一方、パルス発振モードの場合、分断面には、パルスの発振周期に応じた周期的なうねり(凹凸)が形成される。図2は、加熱用レーザ光LBhとしてCO2レーザを用い、サファイア基板を分断した時の分断面のSEM(走査電子顕微鏡)像である。図中、”Fracture surface”が分断面であり、Grooveはスクライブラインであり、”Feed direction”はサファイア基板の移動方向(レーザ光の走査方向の反対方向)である。図2に示す場合においては、分断面は透明ではあるものの、数十μmピッチでうねりが形成されてなる。一般に、被加工物Wの分断面は平坦面であることが好まれるため、多くの場合は、加熱用レーザ光LBhの照射は連続発振モードで行われる。
これに対して、分断面に意図的に(積極的に)うねりを生じさせることが好ましい場合もある。例えば、表面にLED(発光素子)パターンが2次元的に形成されたサファイア基板(ウェハ)であるLED製造用基板が被加工物Wであり、これをLEDチップ単位の個片に分断する場合がこれに該当する。図3は、分断面が平坦な場合と平坦面にうねりがある場合との分断面における光の進み方の違いを示す図である。
一般に、発光素子(LEDチップ)は、基板の上に設けられた発光素子構造部分において生じる発光が出来るだけ遮られることなく外部に取り出されることが求められる。係る光の一部は、基板部分にも入射することから、発光素子の実質的な発光効率(光の取り出し効率)を高めるには、基板部分においても発光された光をできるだけ透過させることが必要となる。その一方で、屈折率の大きい媒質中から屈折率の小さい媒質中に向けて光が進む場合、その界面(入射面)に対して臨界角θc以上で入射した光は全反射されてしまうという光学的な制限(スネルの法則)がある。例えば、サファイアから空気へと光が進む場合はθc=34.4°である。
仮に、分断面が平坦面であるとすると、図3(a)に示すように、発光素子部分で生じた光のうち、臨界角θc以上の入射角で分断面に入射した光は全て、反射されることになる。また、原理的には、発生後の進行方向によっては、全反射を受け続け、結果としてLEDチップ内部に閉じこめられた状態となる光も生じ得る。上述のようにサファイアから空気へと光が進む場合であれば、34.4°以上55.6°以下の入射角で分断面に入射する光がこれに該当する。
これに対して、分断面にうねりがある場合、図3(b)に示すように、図3(a)の場合と同じ方向から入射した光であっても、その入射位置によっては入射角が図3(a)を下回ることになるため、分断面を透過する成分が生じることになる。また、仮にある分断面で反射を受けたとしても、異なる分断面で透過をする確率が高くなる。すなわち、分断面に入射した光が該分断面で全反射される割合(全反射率)を低減させることが出来る。それゆえ、分断面にうねりがある場合、分断面が平坦面である場合よりも、発生した光が取り出されやすい状態が実現される。なお、実際の発光素子では、必ずしもLEDチップの基板が直接に外部に露出しているわけではなく、樹脂により封止等される場合があるが、係る場合でも、上述の効果は同様に得られる。
以上を鑑み、被加工物WがLED製造用基板であり、これをLEDチップ単位に分断する場合には、加熱用レーザ光LBhをパルス発振モードで照射し、分断面にうねりを生じさせる態様にて分断を行うようにする。これにより、光取り出し効率の高いLEDチップを得ることが出来る。係る手法は、被加工物Wの分断に併せてうねりを形成することができるので、例えば特許文献6に開示されているようなドライエッチングを用いて凹凸を形成する手法に比べて、効率的でかつ生産性が高いものである。
<分断装置>
次に、上述した加工原理に基づいて被加工物の分断を行う分断装置について説明する。図4は、分断装置100の構成を概略的に示す図である。
図4に示すように、分断装置100は、ステージ部10と、スクライブ用レーザ光学系20と、加熱用レーザ光学系30と、位置読み取り光学系40とを主として備える。また、分断装置100は、例えば図示しないCPU、ROM、RAMなどからなり、スクライブ用レーザ光学系20、加熱用レーザ光学系30、および位置読み取り光学系40などとの間で種々の信号を授受することにより、各構成要素の動作を制御する制御系50を備える。なお、制御系50は他の構成要素と一体のものとして分断装置100の本体に組み込まれる態様であってもよいし、例えばパーソナルコンピュータ等で構成されて、分断装置100の本体とは別に設けられる態様であってもよい。
ステージ部10は、主として、XYステージ11と、該XYステージ11の上に設けられた加工用ステージ12とから構成される。
XYステージ11は、制御系50からの駆動制御信号sg1に基づいて、水平面内(XY平面内)の互いに直交する2つの方向(X方向、Y方向)に移動自在とされてなる。なお、XYステージ11の位置情報信号sg2は絶えず制御系にフィードバックされる。
加工用ステージ12は、その上に被加工物Wを載置固定するための部位である。加工用ステージ12は図示しない吸着機構を備えており、制御系50からの吸着制御信号sg3に基づいて吸着機構を作動させることにより、加工用ステージ12の上面12aに被加工物Wを吸着固定するように構成されている。また、加工用ステージ12は、図示しない回転駆動機構を備えており、制御系50からの回転制御信号sg4に基づいて水平面内で回転動作が行えるようにもなっている。
なお、図4においては図示を省略するが、加工用ステージ12への固定にあたっては、被加工物Wの非スクライブ面W2側(載置面側)に粘着性のフィルムを貼り付け、該フィルムともども被加工物Wを固定する態様であってもよい。
スクライブ用レーザ光学系20は、制御系50から与えられるスクライブ用レーザ制御信号sg5に基づいて、スクライブ用レーザ光を被加工物Wに対して照射する部位である。
図5は、スクライブ用レーザ光学系20の詳細構成を示す図である。図5に示すように、スクライブ用レーザ光学系20は、スクライブ用レーザ光LBsの光源(出射源)であるレーザ発振器21と、レーザ発振器21から出射されたスクライブ用レーザ光LBsの光量調整を行うためのアッテネータ22と、スクライブ用レーザ光LBsの焦点調整を行うための対物レンズ23とを主として備える。なお、上述のように、スクライブ用レーザ光LBsとしては、被加工物Wの材質等に応じたパルスレーザ光が用いられるので、レーザ発振器21は、使用するスクライブ用レーザ光LBsの種類に応じて選択されればよい。
また、スクライブ用レーザ光学系20には、スクライブ用レーザ光LBsを反射することによってスクライブ用レーザ光LBsの光路の向きを適宜に切り替えるミラー24も備わっている。なお、図5においてはミラー24が1つのみ備わる場合を例示しているが、ミラー24の数はこれには限られず、スクライブ用レーザ光学系20内部あるいはさらに分断装置100内部におけるレイアウト上の要請その他の理由から、さらに多くのミラー24が設けられ、スクライブ用レーザ光LBsの光路が適宜に設定される態様であってもよい。
より詳細には、レーザ発振器21には、スクライブ用レーザ光LBsの出射/非出射を切り替えるためのシャッター21aが設けられてなる。シャッター21aの開閉動作は、スクライブ用レーザ制御信号sg5の一種であるON/OFF制御信号sg5aに基づいて制御される。また、アッテネータ22におけるスクライブ用レーザ光LBsの光量の調整は、スクライブ用レーザ制御信号sg5の一種である出力パワー制御信号sg5bに基づいて制御される。
スクライブ用レーザ光学系20においては、レーザ発振器21から出射され、アッテネータ22によって光量が調整されたスクライブ用レーザ光LBsが、被加工物Wのスクライブ面W1あるいは内部のスクライブ面W1近傍(スクライブ面W1から数十μm程度までの範囲)で合焦するように、かつ、照射ビーム径が数μm〜十数μm程度となるように、対物レンズ23の配置位置が調整される。これにより、良好なスクライブラインSLが形成される。
加熱用レーザ光学系30は、制御系50から与えられる加熱用レーザ制御信号sg6に基づいて、加熱用レーザ光を被加工物Wに対して照射する部位である。
図6は、加熱用レーザ光学系30の詳細構成を示す図である。図6に示すように、加熱用レーザ光学系30は、加熱用レーザ光LBhの光源(出射源)であるレーザ発振器31と、レーザ発振器31から出射された加熱用レーザ光LBhの光量調整を行うためのアッテネータ32と、被加工物Wに対する加熱用レーザ光LBhの照射範囲を調整するためのビーム調整機構33と、加熱用レーザ光LBhの焦点調整を行うための対物レンズ34とを主として備える。上述のように、加熱用レーザ光LBhとしてはCO2レーザを用いるので、レーザ発振器31はCO2レーザ用の発振器である。
また、加熱用レーザ光学系30には、加熱用レーザ光LBhを反射することによって加熱用レーザ光LBhの光路の向きを適宜に切り替えるミラー35も備わっている。なお、図6においてはミラー35が1つのみ備わる場合を例示しているが、ミラー35の数はこれには限られず、加熱用レーザ光学系30内部あるいはさらに分断装置100内部におけるレイアウト上の要請その他の理由から、さらに多くのミラー35が設けられ、加熱用レーザ光LBhの光路が適宜に設定される態様であってもよい。
より詳細には、レーザ発振器31には、加熱用レーザ光LBhの出射/非出射を切り替えるためのシャッター31aが設けられてなる。シャッター31aの開閉動作は、加熱用レーザ制御信号sg6の一種であるON/OFF制御信号sg6aに基づいて制御される。また、アッテネータ32における加熱用レーザ光LBhの光量の調整は、加熱用レーザ制御信号sg6の一種である出力パワー制御信号sg6bに基づいて制御される。
また、ビーム調整機構33は、レーザ発振器31から直線的に出射された加熱用レーザ光LBhの照射範囲を調整するために備わる。ビーム調整機構33は、例えば、種々のレンズを適宜に組み合わせることによって実現され、それらのレンズの位置を調整することにより、被加工物Wに対して加熱用レーザ光LBhを適切な照射範囲で照射出来るようになっている。なお、図6においては、ビーム調整機構33による調整によって、加熱用レーザ光LBhが、レーザ発振器31から出射されたときのビーム径よりも大きな照射範囲で被加工物Wに照射される場合を例示している。
位置読み取り光学系40は、加工用ステージ12に吸着固定された被加工物Wを図示しないCCDカメラなどで撮像し、得られた撮像画像のデータを画像情報信号sg7として制御系50に与える。制御系50は、得られた画像情報信号sg7に基づいて、XYステージ11の移動範囲や、スクライブ用レーザ光LBsや加熱用レーザ光LBhの照射位置などの設定を行う。
以上のような構成を有する分断装置100においては、被加工物Wを加工用ステージ12に吸着固定させた状態でXYステージ11を移動させることにより、被加工物Wを、スクライブ用レーザ光学系20、加熱用レーザ光学系30、および位置読み取り光学系40のそれぞれに対して下方から対向配置できるようになっている。なお、係る場合において、被加工物Wは、スクライブ面W1が上面(非載置面)となるように加工用ステージ12に固定される。
そして、被加工物Wをスクライブ用レーザ光学系20と対向配置させた状態で、スクライブ用レーザ光学系20から被加工物Wに対してスクライブ用レーザ光LBsを照射しつつXYステージ11を移動させることにより、被加工物Wに対するスクライブ用レーザ光LBsの相対走査が実現される。スクライブ面W1のあらかじめ想定された分断予定位置に沿ってスクライブ用レーザ光LBsを相対的に走査させることで、スクライブラインSLを形成することが出来る。
同様に、被加工物Wを加熱用レーザ光学系30と対向配置させた状態で、加熱用レーザ光学系30から被加工物Wに対して加熱用レーザ光LBhを照射しつつXYステージ11を移動させることにより、被加工物Wに対する加熱用レーザ光LBhの相対走査が実現される。スクライブ用レーザ光LBsの照射によって形成されたスクライブラインSLに沿って加熱用レーザ光LBhを相対的に走査させることで、スクライブラインSLからクラックCRを被加工物Wの非スクライブ面W2の分断予定位置に向けて進展させ、これによって、被加工物Wを分断することが出来る。
また、分断装置100においては、被加工物Wを位置読み取り光学系40と対向配置させた状態で位置読み取り光学系40による被加工物Wの撮像を行い、得られる撮像画像データに基づいて、被加工物Wの水平面内における傾き(姿勢)を補正するアライメント動作を行うことが出来る。具体的には、制御系50が、該撮像画像データの画像内容(例えば、アライメントマークの配置位置や繰り返しパターンの配置位置など)に基づいて、被加工物Wの水平面内における傾き(XYステージ11の移動方向からの傾き)を特定し、係る傾きがキャンセルされるように、加工用ステージ12に対して回転制御信号sg4を与えて、該加工用ステージ12を回転させる。被加工物Wの水平面内における傾きを特定する主要としては、パターンマッチング法など、公知の手法を適用することが出来る。
通常の分断加工の場合は、スクライブ面W1が上面(非載置面)となるように被加工物Wが加工用ステージ12に固定された状態で、位置読み取り光学系40による撮像とその後のアライメント処理が行われた上で、スクライブ用レーザ光学系20によるスクライブラインSLの形成が行われ、さらに、加熱用レーザ光学系30において加熱用レーザ光LBhが照射されることにより、被加工物Wが分断される。
<非スクライブ面への加熱用レーザ光照射>
以下、上述の原理を応用した種々の分断処理の態様について、順次に説明する。図7および図8は、加熱用レーザ光LBhによって被加工物Wの非スクライブ面W2を走査する態様を模式的に示す図である。図7は、スクライブラインSLの延在方向に垂直な被加工物Wの断面図であり、図8は、スクライブラインSLに沿った被加工物Wの断面図である。
図7および図8に示す場合においては、図1の場合とは異なり、スクライブラインSLがあらかじめ形成されているスクライブ面W1は加工用ステージ12に載置され、非載置面である非スクライブ面W2の分断予定位置L0に向けて加熱用レーザ光LBhが照射されている。係る態様にて加熱用レーザ光LBhが照射されると、非スクライブ面W2の加熱用レーザ光LBhの照射位置近傍が圧縮応力場SF1となり、その周囲が圧縮応力場SF1の下方も含め引張応力場SF2となる。なお、図7に示す場合においては、スクライブラインSLが溝部として形成される場合を例示しているが、スクライブラインSLの形成態様はこれに限られるものではない(図7、図14も同様)。
より具体的には、図7に示す態様にて加熱用レーザ光LBhが照射されると、非スクライブ面W2のみならず被加工物Wの内部においても、引張応力場SF2は形成される。それゆえ、被加工物Wの内部に位置するスクライブラインSLの先端部分に対して、引張応力TSが作用する。その結果、スクライブラインSLからその上方の分断予定位置L0に向けて、クラックCRが進展する。加熱用レーザ光LBhは図8に矢印AR1にて示す走査方向に走査されるので、これに伴い、クラックCRの進展箇所も移動する。結果として図1の場合と同様に、基板の分断が実現される。
なお、より詳細にいえば、加熱用レーザ光LBhによって形成される応力場の空間的な分布自体は、図1の場合も図7および図8の場合も同じである。図1の場合は、スクライブ面W1を加熱用レーザ光LBhの被照射面とし、水平面である該スクライブ面W1内における応力分布を主に利用してクラックCRを進展させているのに対して、図7および図8の場合は、被加工物Wの厚み方向(断面方向)における応力分布を主に利用してクラックCRを進展させているという点で、両者は相違している。
図9は、以上のような非スクライブ面W2への加熱用レーザ光LBhの照射を実現する分断装置200の概略的な構成を示す図である。なお、図9においては、図4ないし図6に示した分断装置100と同一の構成要素については同一の符号を付している。また、図9においては図示を省略しているが、分断装置200は、分断装置100と同様に制御系50を備えている。
分断装置200は、概略、分断装置100に反転機構60を付加した構成を有する。反転機構60は、被加工物Wに対して矢印AR3にて示すように進退自在とされてなり、被加工物Wを側方から挟持するチャック61と、被加工物Wを挟持した状態のチャック61を矢印AR4に示すように鉛直方向に昇降させる昇降部62と、被加工物Wを挟持した状態のチャック61をその挟持状態を保って図面に垂直な軸周りに180°反転させることによって被加工物Wを表裏反転させる反転部63とを備える。反転機構60は、制御系50からの制御信号に従って動作する。
係る反転機構60を備える分断装置200においては、スクライブ面W1が上面(非載置面)となるように被加工物Wが加工用ステージ12に固定された状態で、分断装置100と同様に、位置読み取り光学系40による撮像とその後のアライメント処理、および、スクライブ用レーザ光学系20におけるスクライブラインSLとが行われる。スクライブラインSLの形成が完了すると、被加工物Wを固定してなる加工用ステージ12が反転機構60の下方へと移動する。
被加工物Wが反転機構60の直下に位置すると、加工用ステージ12における被加工物の吸引固定は解除され、チャック61によって被加工物Wが挟持される。被加工物Wを挟持したチャック61は、昇降部62によって上方へと持ち上げられる。続いて、加工用ステージ12がいったん反転機構60の直下から退避した後、反転部63は被加工物Wを反転させる。係る反転が終了すると、加工用ステージ12が再び反転機構60の下方へと配置される。そして、昇降部62がチャック61を下降させることで、被加工物Wは、非スクライブ面W2が上面となった状態で、加工用ステージ12に載置され、再び吸着固定される。
その後は、改めて位置読み取り光学系40による撮像とアライメント処理とが行われたうえで、加熱用レーザ光学系30における分断処理に供される。
なお、反転機構60によって反転させた被加工物Wを、非スクライブ面W2を上面して加工用ステージ12に固定するに先立ち、加工用ステージ12の上に粘着性のフィルムを貼り付けたリングを載置しておき、該フィルムの上に加工反転させた被加工物Wを配置して該フィルムに貼付けて、該フィルムともども被加工物Wを固定する態様であってもよい。
<引張応力場の冷却>
引張応力場SF2におけるクラックCRの進展をより効果的に引き起こす手法として引張応力場SF2を冷却する手法がある。
図10および図11は、スクライブ面W1に加熱用レーザ光LBhが照射される構成において、引張応力場SF2を冷却する様子を示す模式図である。図10は、スクライブラインSLの延在方向に垂直な被加工物Wの断面図であり、図11は、被加工物Wの上面図である。
図10および図11においては、加熱用レーザ光LBhによってスクライブ面W1を矢印AR1にて示す走査方向に走査する際に、形成される引張応力場SF2のうち走査方向後方の部分に対して、冷却ガスCGが噴射されている。
係る態様にて冷却を行うと、引張応力場SF2の冷却された箇所と、加熱用レーザ光LBhの照射によって加熱されてなる圧縮応力場SF1との温度差がより高くなり、引張応力場SF2における引張応力がより強められる。これにより、クラックCRの進展の確実性が高められる。結果として、被加工物Wをより精度よく分断することが出来るようになる。
なお、冷却ガスCGとしては、例えば不活性ガスなど、被加工物Wと反応しないガスを適宜に用いればよい。
図12は、図4ないし図6に示した分断装置100において冷却ガスCGの噴射を実現する構成の一例を概略的に示す図である。すなわち、図12に示す場合においては、加熱用レーザ光学系30に冷却ガスCGを噴射するためのノズル36が付設されており、冷却ガス供給源37から供給管38を通じて供給される冷却ガスCGを、加熱用レーザ光LBhの走査(相対走査)と同期させてノズル36から引張応力場SF2に向けて噴射することができるようになっている。
ただし、引張応力場SF2を冷却する態様は、以上のような冷却ガスCGの噴射によるものには限られず、被加工物との反応性や、分断装置の腐食等の問題がなければ、液体による冷却を行ってもよい。つまりは、ガスおよび液体を含む流体による冷却を行うようにしてもよい。また、固体冷媒を引張応力場SF2に近接または接触させることにて冷却を行うような態様であってもよい。
図13は、図9に示した分断装置200において引張応力場SF2を冷却する構成を設ける場合の一例を概略的に示す図である。分断装置200においては、加工用ステージ12に固定された被加工物Wの内部から載置面側にかけて引張応力場SF2が形成される。そこで、図13に示すように、加工用ステージ12に、その上面に載置された被加工物Wをスクライブ面W1の側から冷却するための冷却機構13を設ける。係る冷却機構13を設けることで、引張応力場SF2においては引張応力がより強められる。これにより、クラックCRの進展の確実性が高められる。結果として、被加工物Wをより精度よく分断することが出来るようになる。
冷却機構13としては、例えばペルチェ素子やクールプレートなどを用いることが出来る。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、スクライブ用レーザ光を照射することによってあらかじめ被加工物の分断予定位置に形成されたスクライブラインに沿って加熱用レーザ光を照射し、被加工物を加熱することで、スクライブラインに対し引張応力を作用させ、スクライブラインから非スクライブ面へのクラックの進展をスクライブラインの延在方向に沿って順次に生じさせることで、被加工物を分断することができる。また、引張応力場を冷却することで、クラックの進展をより効率的に引き起こすことが出来る。
しかも、スクライブ用レーザ光を照射してクライブラインを形成するスクライブ加工は、高精度に加工対象位置を位置決めしたうえで行うことが可能である。それゆえ、同一の装置内で、分断予定位置に高精度にスクライブラインを形成し、これに引き続いて、レーザ加熱による引張応力の発生を行うようにすることで、高精度な分断加工を効率的に行うことが可能となる。
<変形例>
図14は、非スクライブ面W2に対して加熱用レーザ光LBhを照射する別態様について示す図である。上述の実施の形態においては、非スクライブ面W2を上側に向け、上方から加熱用レーザ光LBhを照射することによって、非スクライブ面W2に対して加熱用レーザ光LBhを照射する態様を示しているが、これに代わり、図14に示すように、非スクライブ面W2を下側に向けたままで、下方から非スクライブ面W2に向けて加熱用レーザ光LBhを照射することによって、スクライブラインSLに引張応力TSを作用させるようにしてもよい。これは例えば、分断装置100において、加工用ステージ12を加熱用レーザ光LBhを透過させる材質にて形成し、加工用ステージ12の下方に加熱用レーザ光学系30を設けることによって実現することが出来る。
10 ステージ部
11 XYステージ
12 加工用ステージ
13 冷却機構
20 スクライブ用レーザ光学系
21 レーザ発振器
21a シャッター
22 アッテネータ
23 対物レンズ
24 ミラー
30 加熱用レーザ光学系
31 レーザ発振器
31a シャッター
32 アッテネータ
33 ビーム調整機構
34 対物レンズ
35 ミラー
36 ノズル
37 冷却ガス供給源
38 供給管
40 光学系
50 制御系
60 反転機構
61 チャック
62 昇降部
63 反転部
100、200 分断装置
CG 冷却ガス
CR クラック
L0 分断予定位置
LBh 加熱用レーザ光
LBs スクライブ用レーザ光
SF1 圧縮応力場
SF2 引張応力場
SL スクライブライン
TS 引張応力
W 被加工物
W1 (被加工物の)スクライブ面
W2 (被加工物の)非スクライブ面

Claims (1)

  1. 被加工物を分断する加工を行う装置であって、
    被加工物を載置固定するステージと、
    第1の出射源から出射された第1のレーザ光を、前記ステージに対して相対走査させつつ前記ステージに載置固定された前記被加工物の上面であるスクライブ面に対して照射することにより、前記スクライブ面にスクライブラインを形成するスクライブ加工手段と、
    第2の出射源から出射された第2のレーザ光を、前記ステージに対して相対走査させつつ前記スクライブラインに沿って照射することによって前記被加工物を前記スクライブラインに沿って加熱する照射加熱手段と、
    前記被加工物に対して冷却流体を噴射する冷却流体供給手段と、
    を備え、
    前記照射加熱手段が、前記被加工物において前記第2のレーザ光の照射による照射加熱領域の周囲に形成される引張応力場を、前記冷却流体供給手段による前記冷却流体の噴射によって冷却しつつ前記第2のレーザ光を前記スクライブラインに沿って相対的に走査させることによって移動させ、これによって、前記スクライブラインが前記引張応力場に位置することで生じる前記スクライブラインから前記非スクライブ面へのクラックの進展を、前記スクライブラインに沿って順次に生じさせることにより、前記被加工物を分断し、
    前記第2のレーザ光がCO2レーザであり、前記第2のレーザ光をパルス発振モードにて照射することにより、前記被加工物が分断されることで形成される個片の分断面に、パルス発振周期に応じた周期を有する全反射率低減用のうねりを生じさせる、
    ことを特徴とする分断装置。
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