第1の発明は、圧縮機、水冷媒熱交換器、減圧器、蒸発器を接続した冷媒回路と、前記冷媒回路を内設する熱源機と、前記水冷媒熱交換器にて加熱された熱媒を循環させ放熱する外部放熱器と、前記水冷媒熱交換器と前記外部放熱器との熱媒循環路に配設された第一開閉弁、第二開閉弁と、前記熱源機と前記外部放熱器とを配管で接続する熱媒往きポート、熱媒戻りポートと、前記熱源機を形成する外装体と備え、前記第一開閉弁は、閉時、前記熱媒戻りポートの流れ下流側で前記熱媒の流れを停止する機能、前記第二開閉弁は、閉時、前記熱媒往きポートの流れ上流側で前記熱媒の流れを停止する機能を有し、前記第一開閉弁、前記第二開閉弁、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートを、前記外装体の側部より突出させ配設するとともに、前記熱媒往きポートの開口部、前記熱媒戻りポートの開口部は前記外装体に対して後方向きに、前記第一開閉弁、前記第二開閉弁は前記外装体に対して前方向きに位置することを特徴とするものヒートポンプ温水暖房装置である。
これにより、メンテナンスに際して、外装体内の熱媒循環路の部品を交換する際に、開閉弁を閉じることで、外部放熱器を含めた熱媒循環路を閉回路とすることが可能となり、その状態から外装体内の熱媒循環路の部品、例えば、循環ポンプ等を交換する際に、外部放熱器内の熱媒流体を抜かなくても交換が可能となり、短時間での交換が可能となりサービス性の良化になる。
また、熱媒流体をほとんど外部に流出させる必要がなく、環境に配慮したヒートポンプ温水暖房装置とすることができる。そのため、開閉弁が本体側方に突出させて設けているので、作業者が触れることが容易で、開閉作業を容易に行うことができる。また、熱媒往きポート、熱媒戻りポートを本体側方に配していることで、本体をコンパクトとすることができる、エクステリア性の向上を実現できる。
第2の発明は、第1の発明において、前記外装体の側部より突出させ配設したポート取付具を備え、前記ポート取付具に前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートを配設するとともに、前記ポート取付具の内方に前記第一開閉弁を設けたことを特徴とするものである。
これにより、メンテナンスに際して、外装体内の熱媒循環路の部品を交換する際に、開閉弁を閉じることで、外部放熱器を含めた熱媒循環路を閉回路とすることが可能となり、その状態から外装体内の熱媒循環路の部品、例えば、循環ポンプ等を交換する際に、外部放熱器内の熱媒流体を抜かなくても交換が可能となり、短時間での交換が可能となりサービス性の良化になる。
第3の発明は、第2の発明において、前記ポート取付具を外方より覆うポート取付具カバーを備え、前記ポート取付具カバーを外した状態で、前記第一開閉弁を開閉することができる構成としたことを特徴とするものである。
これにより、ポート取付具と、ポート取付具カバーで、外装体内に水あるいは埃が進入することを防止でき、外装体内部で漏電するなどの不安全を防ぎことができ、さらにポート取付具カバーを外すことで、その内方に配されている開閉弁を容易に閉じることができ、外部放熱器を含めた熱媒循環路を閉回路とすることが可能となる。第4の発明は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記第二開閉弁は、前記熱媒往きポートに配設され、非通電時に前記外部放熱器への前記熱媒の流れを遮断する熱動弁で、前記熱動弁の近傍に前記第一開閉弁を設けたことを特徴とするものである。
これにより、外装体内の熱媒循環路の部品を交換する際に、電源を抜くことで、一方の熱動弁は閉となり、他方の開閉弁を容易に閉じることが可能となり、外部放熱器を含めた熱媒循環路を閉回路とすることが可能となり、その状態から外装体内の熱媒循環路の部品、例えば、循環ポンプ等を交換する際に、外部放熱器内の熱媒流体を抜かなくても交換が可能となり、短時間での交換が可能となりサービス性の良化になるとともに、熱媒流体がほとんど外部に流出させる必要がなく、環境に配慮したヒートポンプ温水暖房装置とすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1、図2は本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ温水暖房装置の熱源機の内観斜視図であり、図2は図1を後背面から見た同じく内観斜視図である。
図3は、実施の形態1におけるヒートポンプ温水暖房装置の熱源機の冷媒回路、温水回路図であり、この図3に記載した部品を組み入れて温水暖房用ヒートポンプ熱源機としている。
まず、図3のヒートポンプ温水暖房装置の熱源機の冷媒回路、温水回路図で説明を行う。
1は循環される水あるいは不凍液などの熱媒流体を加熱するためのヒートポンプ温水暖房装置の熱源機(室外機本体)であり、2はヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1と熱媒配管3で接続された外部放熱器であり、図では床暖房などのパネル状の外部放熱器2としているが、パネルヒーターや、送風ファンを備えたファンコンベクターなどでも構わない。また、この熱媒配管3には、往きの熱媒往き配管3aと戻りの熱媒戻り配管3bがある。
ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機(室外機本体)1で加熱された温水が、熱媒配管3(熱媒往き配管3a)を通り、外部放熱器2へと送られ、外部放熱器2の設置された居室を暖房し、熱媒配管3(熱媒戻り配管3b)を通り循環するのが、温水暖房であり、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機(室外機本体)1はその熱源となるものである。
このヒートポンプ温水暖房装置の熱源機(室外機本体)1内に組み込まれている部品は以下の様になっている。
ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機(室外機本体)1には、冷媒を圧縮、循環する圧縮機4、熱伝導率の高い銅管で構成され、水あるいは不凍液などの熱媒流体と冷媒の熱交換を行う水冷媒熱交換器5、減圧器である膨張弁6、蒸発器である空気冷媒熱交換器7があり、圧縮機4、水冷媒熱交換器5、膨張弁6、空気冷媒熱交換器7を順次環状に接続して閉回路を構成し、冷媒を循環させる冷媒回路8を構成している。
9は蒸発器である空気冷媒熱交換器7に空気を搬送する送風ファンであり、空気冷媒熱交換器7の熱交換能力を促進している。
水冷媒熱交換器5は、銅管で構成され、冷媒管5aを外方に配し、内方に水管5bを配した二重管構造の熱交換器であり、外方を冷媒が流通し、内方を水あるいは不凍液などの熱媒流体が冷媒の流れと逆方向から流入し流れ、冷媒と水あるいは不凍液などの熱媒流体が熱交換を行うようになっている。
10は冷媒回路8の中で、水冷媒熱交換器5にロウ付けされて取り付けられた凝縮温センサーであり、水冷媒熱交換器5の凝縮温を測定するように、水冷媒熱交換器5の凝縮領域の冷媒管5a外方に取付けられている。冷媒漏れの際などに、水冷媒熱交換器5が高圧となった場合には、この凝縮温センサー10で温度を検知して、運転停止を行うなど、保護装置の役割を担う。
11は、圧縮機4の出口側と水冷媒熱交換器5の入口側をつなぐ吐出配管であり、12は吐出配管11に設けられた圧縮機出口温センサーである。13は蒸発器である空気冷媒熱交換器7の空気熱交出口配管に設けられた空気熱交出口温センサーである。14は、蒸発器である空気冷媒熱交換器7の外方に設けられた外気温センサーである。
水冷媒熱交換器5の凝縮温センサー10で検知する凝縮温度、空気熱交出口温センサー13の検知する蒸発器である空気冷媒熱交換器7の蒸発温度、そして外気温センサー14で検知する外気温で、圧縮機出口温センサー11で測定する圧縮機4の吐出温度が最適と
なるように、圧縮機4の周波数が制御される。一方、水冷媒熱交換器5に水あるいは不凍液などの熱媒流体を循環し、冷媒と熱交換を行うのが温水回路15である。
16は、温水回路15内の水あるいは不凍液などの熱媒流体を強制的に循環する循環ポンプであり、水冷媒熱交換器5の上流側に配されている。17は、循環ポンプ16の上流に配されたシスターンタンクであり、そのシスターンタンク17には、シスターンタンク17内の水位を検出する水位センサー18が設けられている。19は、水冷媒熱交換器5で加熱された温水を外部放熱器2に送るために温水回路15の往き側の末端部に設けられた熱動弁であり、使用される外部放熱器2に準じて、開放、閉止が行われ、必要な外部放熱器2にのみ、温水が流れるように制御される。20は熱動弁19の先に設けられ、熱動弁と一体化されている熱媒往きポートであり、この熱媒往きポート20に熱媒配管3が接続される。
全ての外部放熱器2が使用されない時は、熱動弁19は閉止されて、熱媒流体は流れないようになっている。この熱動弁19はノーマルクローズタイプであり、非通電時は閉、通電することで開となり、熱媒流体が流通するようになっている。図では、熱動弁19が4ケ使用している図となっているが、これは1ケの場合もあれば、もっと数量の多い場合もある。
21は、温水回路15と、熱動弁19をつなぐ熱媒往きヘッダであり、温水回路15の一箇所が、熱動弁19の数量に応じた複数個所へと分岐される。熱動弁19が一ケの場合は、そのまま熱動弁に接続されることとなる。
22は、外部放熱器2で放熱されて、温度の低下した温水が温水回路15に戻ってくる際の熱媒戻りポートであり、この熱媒戻りポートの数量は、熱動弁19の数量と同じとなり、この図3では4ケとなっている。
熱動弁19が1ケの場合、熱媒戻りポート22も1ケとなる。この熱媒戻りポート22には、熱媒戻りヘッダ23があり、熱媒戻りポート22の複数個所が、一箇所の温水回路15へと合流する。熱動弁19、熱媒戻りポート22が1ケの場合は、ヘッダ形状ではなく、そのまま接続される。
24は、熱媒戻りヘッダ23に設けられた開閉弁24であり、手動で開閉を行う。通常は、開となっており、温水回路15に水あるいは不凍液などの熱媒流体が流れるが、メンテナンスの際には、サービスを行う人がこの開閉弁24を閉じることも可能となっている。
25は、水冷媒熱交換器5に入る温水の温度を測定する水冷媒熱交換器入口温センサー、26は、水冷媒熱交換器5の出口側の水あるいは不凍液などの熱媒流体の温度を測定するための水冷媒熱交換器出口温センサーである。
27は、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機(室外機本体)1の各種アクチュエーターやセンサーの制御を行う電装P板、28は使用者がヒートポンプ給湯機の熱源機(室外機本体)1の運転を行い、居室の温度などの各種設定を行うためのリモコンである。
この図3のヒートポンプ温水暖房装置の冷凍回路及び温水回路図で示した部品をレイアウトしたヒートポンプ温水暖房装置の熱源機(室外機本体)が図1、図2であり、それぞれ斜視図を示しており、特に図1は内観斜視図として、内部の部品を図示しており、図2は右後方から見た内観斜視図である。まず、図1の内観斜視図で説明を行う。
ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機(室外機本体)1の最下部には底板29があり、この底板29の右方に圧縮機4が載置されている。そして、圧縮機4と水冷媒熱交換器5とは吐出配管11で接続されている。
30aは、水冷媒熱交換器5の断熱性を高めるために、発泡スチロールなどの断熱材で構成された断熱材であり、水冷媒熱交換器5を挟み込んだ形をしており、底板29の平面部の凹凸部に係合するように底板29上に載置されている。
30bは、放熱器断熱材30aの外上方に配されたカバー体あり、断熱材30aの前後左右上面を覆う形になっている。ただし、ここではカバー体30bとして断熱材30aと別部品を用いた構成を図示しているが、カバー体30bを放熱器断熱材30aと兼用することも可能である(図1では、水冷媒熱交換器5が見えるように、断熱材29、カバー体30の一部をカットしている、実際にはこのようにカットされている形状ではない)。
7は蒸発器である空気冷媒熱交換器であり、水冷媒熱交換器5の後横部を覆うようにL字状に折り曲げられた形をしており、底板29に載置されている。9は、空気冷媒熱交換器7の内方、カバー体30の上方に配された送風ファンであり、空気冷媒熱交換器7を強制的に空気を通過させ、空気と冷媒の熱交換を促進する。31は送風ファン9を駆動する送風モータである。32は、送風ファン9、水冷媒熱交換器5の部分と、圧縮機4、減圧手段である膨張弁6の部分を隔離するための、仕切板である。
電装P板27は、仕切版32の上方に載置されおり、この電装P板27から、右側方に電源線接続ターミナル33a、リモコン接続ターミナル33bが取り出されている。そして、ここまで記載した各種部品が、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1の前方を覆う前板34(外装体)、右側方及び右後方を覆う右側板35(外装体)、左側方を覆う左側板36(外装体)(図2に記載)、上方を覆う天板37(外装体)で構成されている。
熱動弁19は、右側板35の右側方、圧縮機4の右外方で、右側板35の外に飛び出た形で複数の熱動弁が縦に並ぶように配されている。もちろん熱動弁19が1ケの場合は、右側板35の外に1ケ配されていることとなる。この図では熱動弁19は縦に4ケ並んだ形状をしている。
この熱動弁19は、水冷媒熱交換器5で加熱され、温水となった水あるいは不凍液などの熱媒流体を外部放熱器2へ熱媒往き配管3aを通して、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1から送る際の通過部品となる。熱動弁19の元には、熱媒往きヘッダ21があり、熱動弁19の先端には、熱媒往きポート20があり、熱媒往きヘッダ21、熱動弁19、熱媒往きポート20を通過して、水あるいは不凍液などの熱媒流体は、熱媒往き配管3aに送られる。(熱媒往き配管は図3参照)また、熱動弁19の側内方で、同じく右側板35の外に飛び出た部分には、熱動弁19と略水平位置に、同じく縦に並んだ、熱媒戻りヘッダ23、熱媒戻りポート22が配されており、外部放熱器2で放熱され、低温となった、水あるいは不凍液などの熱媒流体が、熱媒戻り配管3bを通り、温水回路15へ戻って来る際の通過口の役目をしている。
そして、熱媒往きポート20と熱媒戻りポート22の開口部分は、右側板35の後方に向かっている形状となっている。また、この熱媒戻りヘッダ23には、手動で温水回路15を開閉できる開閉弁24が設けられており、その開閉を行う。ネジ頭部24aは、熱媒往きポート20の開口部とは反対向きについている。詳細は後述する。
そして、この熱動弁19と、熱動弁19と一体となった熱媒往きヘッダ21、熱媒往きポート20、さらにその内方に配された熱媒戻りポート22、熱媒戻りヘッダ23(開閉
弁24も服務)は、熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3bと接続される接続部(開口部)を後方に向け、ポート取付具38に取付けられている。
そして、このポート取付具38は、底板29と、右側板35にて保持されている。このポート取付具38は、右側板35から凸状に飛び出した形状をしており、後方に配されたポート取付具38に、前記した熱動弁19と一体となった熱媒往きヘッダ21、熱媒往きポート20、さらにその内方に配された熱媒戻りポート22、熱媒戻りヘッダ23(開閉弁24も服務)が取付けられている。
図2は、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1を右後方から見た図であり、ポート取付具38の後方の、ポート取付具斜め面38aに、前述した熱動弁19と一体となった熱媒往きヘッダ21、熱媒往きポート20、さらにその内方に配された熱媒戻りポート22、熱媒戻りヘッダ23(開閉弁24も服務)が取付けられていることとなる。この、ポート取付具斜め面38aは、約10度傾斜しており、熱媒往きポート20、熱媒戻りポート22も約10度その開口部を下方向きになっている。
図1でわかるように、ポート取付具38の前面は開放されており、この状態であれば、開閉弁24を作業者が触ることが可能となっている。また、開閉弁24の外方に配されている熱動弁19も触ることが可能である。
このように、熱動弁19と熱媒往きポート20、熱媒往きヘッダ21、熱媒戻りポート22、熱媒戻りヘッダ23、それらが取り付けられたポート取付具38は、温水暖房用ヒートポンプ熱源機の右側板35から側方にはみ出した箇所に配されていることとなる。温水回路図で言えば、図3で示すA部の部分が、右側板35から側方にはみ出した箇所に配されていることとなる。
図2に記載しているが、17は、圧縮機4後方の右側板35の後方に飛び出した形状で設けられたシスターンタンクである。このシスターンタンク17の下面には、熱媒戻りポート22と一体化された熱媒戻りヘッダ23に接続された配管が接続されており、外部放熱器2により、放熱され温度の低下した水あるいは不凍液などの熱媒流体が、シスターンタンク17に導かれることとなる。このシスターンタンク17は、低温から高温となり、体積が増した水あるいは不凍液などの熱媒流体の、体積膨張分を吸収する役目も持っている。特に体積膨張率の大きな不凍液を使用する際に、水あるいは不凍液などの熱媒流体が溢れないように容積が決めてある。
このシスターンタンク17内方には、水位センサー18が設けられており、シスターンタンク17内の水位を検知し、水位が下がると、警告を使用者に知らせ、リモコン28に表示することで、水あるいは不凍液などの熱媒流体の補給を使用者に促す。
循環ポンプ16はシスターンタンク17の下方に配され、シスターンタンク17と同じく、圧縮機4後方の右側板35の背面に飛び出した形状で設けられている。つまり、シスターンタンク17、循環ポンプ16はいずれも、圧縮機4後方の右側板35の背面に飛び出した位置に配されていることとなる。循環ポンプ16は、温水回路15内を、温水が強制的に循環するように運転を行う。そして、この循環ポンプ16は、水冷媒熱交換器5に接続されている。
図4は、本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1の外観斜視図である。循環ポンプ16、シスターンタンク17を覆うように、後方外装体39が設けられている。
40はAC電源線であり、41はリモコン28とつなぐリモコン線であり、それらは、右側板35の上方、ポート取付具38と同じ面にある、AC電源線40は電源接続ターミナル33aに、リモコン線41は、リモコン接続ターミナル33bへと接続される。
図5は、図4からポート取付具38の前面開口部を覆うように、ポート取付具カバー42を取付た図である。このポート取付具カバー42は、ポート取付具38を外方から覆うことで、本体内方に水が浸入することを防ぐとともに、外方から火炎が来た際に、内方に火炎が侵入するのも防ぎ、安全のために設けている。そして、このポート取付具カバー42は、右側板35にビスで固定されている。
図6は、図5から、右側板35外方に、配管カバー43を取付けた図である。この配管カバー43は、樹脂で成型されており、右側板35に固定される。この配管カバーは、ポート取付具38、ポート取付具カバー42を隠し、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1内部に水が侵入することを防ぐとともに、上方にはトッテ部43aがあり、搬送の際に利用する。
また、図1、図2、図4、図5、図6において、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1は、載置ブロック台44の上方に載置されている。
図7は図4において、B部の詳細を示したものである。(図3で言えば、A部に当る部分と考えてよい)右側板35の外方に飛び出た位置に、熱媒往きヘッダ21、それと一体化された熱動弁19が縦方向に複数配され(1ケの場合もある)、その内方に、熱媒戻りヘッダ23が配されており、この熱媒戻りヘッダ23の凸状に飛び出た部分に、開閉弁24が設けられている。
この開閉弁24の先端には直線溝が設けてあり、この直線溝にマイナスドライバーを入れて、開閉弁24を回転することで、開いたり、閉じたりすることができる。その状態を図示したのが図8である。
図8は、熱媒戻りヘッダ23、熱媒戻りポート22の部分を中央でカットした断面図である。外部放熱器2から戻ってくる熱媒流体は、4箇所ある熱媒戻りポート22から、熱媒戻りヘッダ23を通り、配管45を通り、シスターンタンク17(図示せず)へと送られる。
そして、熱媒流体が4箇所から1箇所に合流し、配管45へとつながる部分を閉じることができるように、開閉弁24が設けられている。この開閉弁24には、Oリング24c、24dとOリングが2箇所設けられており、先端はテーパー状になっている。熱媒戻りヘッダ23の、開閉弁24との整合部もテーパー状部23aになっている。
図3は左図が、開閉弁24を開にしている状態、右図は開閉弁24を閉にしている状態を示し、左図では、開閉弁24が左方にあり、流路が確保されている。この際に、外方にあるOリング24cで、開閉弁24のシール性は確保されている。右図では、開閉弁24を手動でしめこんでおり、熱媒戻りヘッダ23のテーパー状部23aと、開閉弁24の内方のOリング24cでシールされ、温水がシスターンタンク17へ流れないようにすることができる。
この開閉弁24は、右側板35の右方に飛び出した位置に配されており、配管カバー43を外し、その内方のポート取付具カバー42を外すことで、外から見ることができ、直線溝24aを触って、温水回路15の開閉を行うことができるようになる。
以下、図面に基づいて、ヒートポンプ温水暖房装置の動作を説明する。
まず、最初、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1の外観は、図6のような形状となっており、施工においては、温水暖房用ヒートポンプ熱源機の熱源機1を、載置ブロック台44に載置する(それ以外の方法もあり、置き台に載置するなどもある)。
次に施工のために、配管カバー43を外し、図5の様な形状となる。そこで、AC電源線40が電源接続ターミナル33aに、リモコン線41がリモコン接続ターミナル33bへと接続される。さらに、外部放熱器2と接続された熱媒往き配管3aを熱動弁19と一体化された、後下方に約10度傾斜している熱媒往きポート20と接続し、さらに熱媒戻り配管3bを熱媒往きポート20の略水平方向の内方に配された、同じく後下方に約10度傾斜している熱媒戻りポート22へと接続する。
熱媒配管3の接続後に、配管カバー43を取り付けて、熱媒往きポート20、熱媒戻りポート22及び、その接続部は配管カバー43により外部から見えなくなる。つまり、再び図6の状態に戻すわけである。
この際には、ポート取付具カバー42は触る必要がなく、通常メーカーから、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1を購入した際は、開閉弁24は開の状態となっている。
次に、シスターンタンク17に、所定の量まで水あるいは不凍液などの熱媒流体を注入する。この際に、シスターンタンク17の下方に配された循環ポンプ16を動作させることで、水あるいは不凍液などの熱媒流体は、温水回路15、熱媒配管3、外部放熱器2と万遍に行渡らせる。
これで施工が完了し、リモコン28での運転動作を行うと、運転が開始する。
ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1の運転は、リモコンで運転を開始すると、圧縮機4を動作し、高圧まで圧縮されて吐出された冷媒は、圧縮機吐出管11を通り、水冷媒熱交換器5に送られ、循環ポンプ16により送られてきた水あるいは不凍液などの熱媒流体と熱交関して放熱する。これにより、加熱された水あるいは不凍液などの熱媒流体は低温の熱媒流体から高温の熱媒流体となる。
水冷媒熱交換器5から流出する冷媒は、減圧手段である膨張弁6にて減圧膨張され、蒸発器である空気冷媒熱交換器7に送られ、送風ファン9にて送られた空気と熱交換して、蒸発器である空気冷媒熱交換器7を通過する間に、蒸発してガス化する。このガス化した冷媒は、再度圧縮機4に吸入され、再度圧縮される過程を繰り返し、水冷媒熱交換器5を通過する低温の熱媒流体は徐々に加熱される。
温水回路15に関しては、循環ポンプ16を運転することで、水冷媒熱交換器5において、冷媒回路8で加熱され水あるいは不凍液などの熱媒流体は、強制的に、熱媒往きヘッダ21に送られ、この熱媒往きヘッダ21で複数個所(図では4箇所、これが1箇所で分岐されないケースもある)に分岐され熱動弁19に送られる。
熱動弁19は、リモコン28で設定された外部放熱器2へと流れる箇所が開放され、それ以外の箇所は閉止されており、この熱媒往きヘッダ21、熱動弁19を介して、熱媒往きポート20を通り、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1の外部に取り付けられた熱媒往き配管3aを通り、外部放熱器2へと導かれる。外部放熱器2では放熱が行われ、外部放熱器2が設置された居室などを暖房する。
外部放熱器2で放熱し、低温となった水あるいは不凍液などの熱媒流体は、熱媒戻り配管3bを通り、熱媒戻りポート22へと戻ってくる。その熱媒戻りポート22の先の熱媒戻りヘッダ23で1箇所に合流する。この際に、開閉弁24は開の状態であるので、熱媒流体は温水回路15内を循環することとなる。
その後、シスターンタンク17の下面よりシスターンタンク17へと入ってくる。このシスターンタンク17には上方に空気層を有するように、一定量の水あるいは不凍液などの熱媒流体が貯留されている。
その後、同じくシスターンタンク17の下面より、循環ポンプ16へと強制的に吸引され、循環ポンプ16にて強制的に送られ、低温となった水あるいは不凍液などの熱媒流体は、水冷媒熱交換器5で再度加熱されて、再び外部放熱器2へと導かれる動作を繰り返すことで、外部放熱器2で放熱した水あるいは不凍液などの熱媒流体で、居室の暖房が行われることとなる。
このように、この温水暖房用ヒートポンプ熱源機には色々な部品が用いられているので、それぞれの部品が万が一故障した際にいかに容易に交換できるか、ということは、この温水暖房用ヒートポンプ熱源機の設計ポイントの一つである。
一般的に、冷媒回路8に用いられている部品は、圧縮機4や膨張弁6や、空気冷媒熱交換器7など、ロウ付けされているのが多く、設置されている現地で外すのは困難面もあり、持ち帰って、サービス、修理を行うということが多い。もちろん現地でロウ付けを外し、部品交換し、再度ロウ付けを行う場合もあるが、それを行えるのは、熟練の作業者である場合が多い。それに対して、温水回路15の部品は、銅管を差込み、Oリングでシールを行っている場合が多く、現地で部品交換するのが一般的である(ただし、水冷媒熱交換器5に関しては、冷媒回路8も含まれているので、現地でのロウ付けを行っての交換もありうるが、熟練作業者の場合が多く、一般的ではない)。温水回路15内の部品の交換作業をスムーズに行う際に、問題となるのは、温水回路内に入れられた水あるいは不凍液からなる熱媒流体である。
それに対して、熱動弁19はノーマルクローズタイプであり、非通電時は閉となり、熱媒流体が流通しなくなる。さらに、開閉弁24を閉とすれば、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1の温水回路15内で熱媒流体を閉じ込めておくことが可能となる。
例えば、循環ポンプ16を交換する場合は、配管カバー43を右側板35に固定しているビスを外し、配管カバー43を取り外す。(図5の状態となる)次に、感電防止のため、その内方にある、AC電源線40を、電源線接続ターミナル33aから外す。さらに、ポート取付具カバー42を取り外す。(図5の状態、AC電源線40があるが、これはない状態となる)そうすると、右側板35の右方に飛び出している、ポート取付具38内方にある、熱動弁19、熱媒往きヘッダ21、熱媒戻りヘッダ23、開閉弁24が、外から見ることができるようになる。(図4、あるいは図7の状態)そこで、開閉弁24の直線溝をドライバーあるいは、それに代わるもので締めていくと、図8の右図、開閉弁「閉」の状態にスムーズに、かつ容易にすることができる。
図3のヒートポンプ温水暖房装置の冷媒回路、温水回路図を見ればわかるが、熱動弁19が閉じて、開閉弁24も閉じている状態で、循環ポンプ16を交換するために外したとしても、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)や、外部放熱器2内の熱媒流体はそのまま、抜かなくても作業ができることとなる。
外部放熱器2の数量により、水あるいは不凍液などの熱媒流体の容量は異なるが、一軒
家で40畳に床暖房を敷設すると、実際に温水の流れるエリアは、6割として、24畳分。その床暖房パネルの保有熱媒流体量は、約8Lである。
さらに、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1と外部放熱器2をつなぐ、熱媒配管3として、10Aの配管を1系統当たり、40m、それを4系統用いるとすると、約19Lとなる。さらに、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1のシスターンタンク17は温水配管には訳3L保有熱媒流体量があるので、この3つを合わせて30Lの熱媒流体がシステム全体にあることとなる。
それに対して、開閉弁24を閉じ、熱動弁19でも閉じられていることで、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1内の、温水回路15側の例えば、循環ポンプ16を交換する際にも、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1内の熱媒流体は、取り出すことが必要だが、大部分を占める、外部放熱器2、熱媒配管3の熱媒流体はそのまま、熱媒流体を保持したままで作業が可能となる。
ところが、開閉弁24がないと、循環ポンプ16の交換をする際に、全ての熱媒流体を抜かないと、交換できないこととなり、作業時間が多大に要することとなる。熱媒流体としてばしば用いられる不凍液は、プロピレングリコールを水に30〜40%混ぜて用いられる場合が多い。ところが、このプロピレングリコールは毒性はきわめて低いが、皮膚に触れると湿疹を生じることがある。また、水生生物には有毒である。このような熱媒流体を、排出しなくても部品の交換ができることは、環境面でも非常に有効である。
この様に、水あるいは不凍液からなる熱媒流体を流さないように、温水回路15を閉じる作業を、配管カバー43を外し、ポート取付具カバー42を外し、開閉弁24を締めるという、少ない作業で可能となるわけである。
また、このような部品交換の作業を行う際は、感電や漏電を避けるため、AC電源線を抜いて、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1に電源を供給しないことが必要である。その作業を行う、AC電源線は、開閉弁24の上方にあり、右側板35の右方、同一面にあることも、同時に作業が行えることで、作業効率の向上につながることとなる。
ところで、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1よりも、外部放熱器2が低い位置にあれば、熱媒流体を抜く必要はない、と考えられるかもしれない。しかし、このような温水暖房用ヒートポンプ熱源機を設置される地域は、主に寒冷地、準寒冷地が多く、そのような場所では、家一軒丸ごと暖房を行う、全館暖房が主流である。
そのため、一階のみならず、二階にも、外部放熱器が設置されるため、どうしても、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1より高い位置に、外部放熱器2や熱媒配管3があることとなってしまう。
それでは、逆にヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1を屋根の上に上げるなどして、高い位置に持ってくることもできるが、それは施工に時間を要することや、エクステリア性の悪化を招くことで、あまり行われないのが実態である。
以上のことは、温水回路15内の他の部品を交換する際にも、有効であり、循環ポンプ16に限ったことではない。
また、右側板35の外方に、ポート取付具38、ポート取付具カバー42を凸状に配することで、本体の右側方には凸状に飛び出ることとなるが、本体右側方は、AC電源線40を取付けたり、外したりするためにある程度のスペースは必要であり、飛び出している
ことが、本体スペースが余計に必要となることとはならない。
また、シスターンタンク17、循環ポンプ16も、圧縮機4後方の右側板35の背面に飛び出した形状で設けられている。空気冷媒熱交換器7に空気を流通させ、熱交換を行うためには、本体後方には一定のスペースが必要であり、この箇所に飛び出た部分があっても、スペースが余計に必要となることとはならない。
このことは、ヒートポンプ温水暖房装置の熱源機1をコンパクトにすることができることを意味しており、高さ方向はヒートポンプ装置単体の場合と同じ、奥行き方向もヒートポンプ装置単体の場合と同じ、右方向もメンテナンススペースを考えれば、ヒートポンプ装置単体の場合と同じとなり、コンパクトな本体を実現できる。
ところで、今までは、温水回路15に熱動弁19を一方に用い、他方に開閉弁24を設ける構成に関して説明を行ったが、温水回路15によっては、熱動弁を用いない場合もある。その場合は、図9に示すような温水回路図となる(冷媒回路図は図3と同じである)。
水冷媒熱交換器5で加熱された、熱媒流体は熱媒往きヘッダ21、熱媒往きポート20を通り、外部放熱器2へ送られ、そこで熱交関して低温となった熱媒流体は、熱媒戻りポート22、熱媒戻りヘッダ23からシスターンタンク17へと戻ってき、循環ポンプ16から再び水冷媒熱交換器5に送られ加熱される。この際に熱動弁19がないことで、循環ポンプ16が動作している間は、常時外部放熱器2へ熱媒流体が流れ、循環ポンプ16が停止すれば、熱媒流体は流れなくなる。
この時も、熱媒往きヘッダ21の部分に、往き開閉弁24bを設けておくことで、この往き開閉弁24bと開閉弁24を閉じることで、温水回路15を閉じることができる。それにより、温水回路15内の部品を交換する際に、外部放熱器2や熱媒配管3内の熱媒流体を抜かなくても、開閉弁24、往き開閉弁24bを閉じて、部品を交換することができる。
この際においては、図9のC部が、右側板35の右側方に飛び出た位置に配されることとなり、図7で言えば、熱動弁19の代わりに、往き開閉弁24bが設けられることとなる。そして、配管カバー43、ポート取付具カバー42を外すことで、開閉弁24、往き開閉弁24bの開閉動作を容易にすることができることとなる。
以上のように、本発明は、温水暖房用ヒートポンプ熱源機本体をなるべくコンパクトに維持しつつ、施工性の向上及び、性能を向上させるとともに、メンテナンス性を向上させるために、非常に有効であると言える。