JP5886647B2 - 光学レンズの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性が高く着色のない樹脂製の光学レンズの製造方法及びこの方法により製造される樹脂製光学レンズに関する。
透明樹脂からなる光学レンズは、無機ガラスからなる光学レンズと比べて、軽量であり、破損しにくく、成形が容易である等の特徴を有するので、各種の光学機器に広く用いられている。樹脂製光学レンズには、高い光線透過率(透明性)及び実装の際の高温でも変形しない高い耐熱性等が求められている。
光学レンズを形成する透明樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂が知られている。しかし、これらの樹脂からなる成形体は、耐光性が不十分であり光照射により変色する、老化する等の問題がある。
光学レンズを形成するための透明樹脂としては、特許文献1〜4等に開示されている透明ポリアミド樹脂も知られている。さらに、特許文献5には、1,10−デカンジカルボン酸及び3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンの縮合重合体である透明ポリアミド樹脂に、トリス(ジブチルフェニル)フォスファイト、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕及びメチルエチルハイドロキノン(MEHQ)から選ばれる安定剤を配合した材料の成形体よりなり、前記透明ポリアミド樹脂を放射線照射により架橋してなる光学レンズが開示されている。この光学レンズは、キセノンランプや青紫レーザー(405nm)を光源とし光の照射量が高い場合でも、光の照射による変色、変形、老化等が少ないとの特徴を有する。
特許文献5には、さらに、前記の透明ポリアミド及び安定剤に、トリアリルイソシアヌレート(以下、TAICとする。)等の架橋助剤を配合した材料を射出成形し、成形後、放射線照射により透明ポリアミドを架橋する方法が記載されている。この方法により半田リフローによる実装に耐えられる優れた耐熱性(270℃程度での高い貯蔵弾性率)を有する光学レンズが得られる。
特開昭62−121726号公報 特開昭63−170418号公報 特開2004−256812号公報 特開平9−137057号公報 特許4681073号公報
しかし、このような光学レンズの製造においては、レンズが黄色に着色(黄変)する問題があった。光学レンズが黄変すると照明用等の可視光用途への適用が困難になるので、黄変の防止が望まれる。
黄変は、光学レンズの成形材料中に配合されるMEHQ等の安定剤によると考えられる。しかし、架橋助剤を配合すると、安定剤を配合しない場合又はその配合量が少ない場合は、放射線照射(架橋)工程でゲル化が生じやすく、流動性が変化するため安定して成形体を得ることができない。又白点や白い筋(=架橋助剤や樹脂が熱架橋したものである)や茶点や黒点(=架橋助剤や樹脂が酸化したため発生)が成形体に発生しやすくなるとの問題もある。一方、架橋助剤を配合しない場合又はその配合量が少ない場合は、半田リフローによる実装に耐えられるような優れた耐熱性(270℃程度での高い貯蔵弾性率)は得られない。
本発明は、半田リフローによる実装に耐えられる優れた耐熱性(270℃程度での高い貯蔵弾性率)を有するとともに、黄変のない光学レンズの製造方法、及びこの方法により得られる樹脂製光学レンズを提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意研究の結果、透明熱可塑性樹脂に、TAIC等の架橋助剤を配合するがMEHQ等の安定剤の配合量が少ない場合であっても、透明熱可塑性樹脂と架橋助剤の混合時及び射出成形時の熱履歴を所定の値以下とすれば、成形材料のゲル化や白点、白い筋、茶点や黒点の発生等は生じないとともに、黄変のない光学レンズが得られることを見出し、本発明を完成した。
請求項1の発明は、透明熱可塑性樹脂と架橋助剤を混合して樹脂混合物を得る混合工程、前記樹脂混合物を射出成形して成形体を得る成形工程、及び前記成形体に電離放射線を照射して前記透明熱可塑性樹脂を架橋する架橋工程を有する光学レンズの製造方法であって、前記混合工程における加工時間をΔTm(秒)、樹脂混合物の温度をTm(℃)、前記成形工程における加工時間をΔTinj(秒)、樹脂混合物の温度をTinj(℃)、前記透明熱可塑性樹脂のガラス転移点をTg(℃)としたとき、H=(Tm−Tg)×ΔTm+(Tinj−Tg)×ΔTinjで表される熱履歴Hが、15000(℃・秒)以下であることを特徴とする光学レンズの製造方法である。なお、透明熱可塑性樹脂のガラス転移点は、架橋助剤や可塑剤を混合することで変化する。本明細書では、混合前のガラス転移点をTg、混合後のガラス転移点をTgとする。
混合工程中や成形工程中に、TmやTinjの値が変動する場合があるが、この場合、Hは、(Tm−Tg)×ΔTm+(Tinj−Tg)×ΔTinjの、混合工程開始から成形工程終了までの定積分値を意味する。
透明熱可塑性樹脂と架橋助剤(及び、安定剤やその他の成分を添加する場合はこれらの成分)との混合工程は、混合機にこれらの成分を投入し混合することにより行うことができる。混合機や成形機として、溶融剪断を低減するスクリュー(例えば、SPIRALLOGIC:SPIRALLOGIC社製)を有する混合機、例えば無剪断混合機を使用すると、剪断発熱を排除して熱履歴Hを小さくすることが容易になるので好ましい。又、架橋助剤としてTAIC等の液状の架橋助剤を用いた場合は、透明熱可塑性樹脂と架橋助剤の混合により、樹脂のガラス転移点が低下し流動性が上昇する(すなわち可塑化する。)ことがある。その結果、溶融剪断を低減したスクリューを有する混合機によっても正常な混合が達成され、熱履歴Hの低減が容易になる。
又、熱履歴Hを小さくするためには、架橋助剤の添加後の混合時間を、正常な混合が達成される範囲で、短くすることが好ましい。混合時間を短くする方法としては、架橋助剤の添加を、混合機の中途で行う方法も好ましい方法として挙げることができる。混合機の入り口及び中途で、又は混合機の中途のみで、複数回に分けて添加する方法も好ましい方法として挙げることができる。さらに、架橋助剤が混合機中に滞留すると、白点の発生、加熱や剪断により発生するラジカルにより架橋助剤が熱架橋をして流動性が低下する、可塑化効果や潤滑性向上の効果を有する架橋助剤が偏在することで流動性が不安定になる等の問題が生じやすくなるので、滞留を防止するために混合機に傾きを持たせる方法も採用することができる。
成形工程は、混合工程で得られた混合物を射出成形、又はシート加工、押出加工、ブローやインフレーション等の加工を行う工程である。混合工程及び成形工程は、低酸素又は無酸素の状態で行うことが好ましい。
射出成形された成形体には、放射線が照射され、透明熱可塑性樹脂が架橋され、光学レンズが形成される。架橋により耐熱性や貯蔵弾性率が向上し、高温でも変形しない高い剛性(貯蔵弾性率)を保つ光学レンズが得られる。放射線としては、γ線、X線等の高エネルギーの電磁波、α線、中性子線等の粒子線、電子線等を挙げることができるが、比較的安価で取扱も容易な電子線の使用が好ましい。放射線の照射量を増大すると、レンズの耐熱性が向上する。光学レンズとしては、半田リフローによる実装に耐えられる耐熱性が望まれるので、放射線の照射は、耐熱性が向上し270℃における充分な貯蔵弾性率が得られる照射量で行われる。
ここで、貯蔵弾性率とは、粘弾性体に正弦的振動ひずみを与えたときの、応力とひずみの関係を表わす複素弾性率を構成する一項(実数項)であり、粘弾性測定器(DMS)により測定した値である。より具体的には、アイティー計測制御社製DVA−200による粘弾性測定器により、室温(25℃)よりの10℃/minの昇温速度にて測定される値である。
本発明の方法は、前記で規定した熱履歴Hが、15000(℃・秒)以下であることを特徴とする。従来、架橋助剤を配合し、安定剤の含有量が小さく、かつ熱履歴Hが大きい場合は、透明熱可塑性樹脂を架橋する工程で樹脂がゲル化しやすくなり、光学レンズへの成形が困難となる問題があった。しかし、熱履歴Hを15000(℃・秒)以下とすることにより、架橋助剤を配合しかつ安定剤の含有量が0.1重量部未満であってもゲル化せず、光学レンズを成形することができる。又、白点等の発生もない。さらに好ましい熱履歴Hの範囲は5000(℃・秒)以下である。
請求項2の発明は、前記混合工程後、前記樹脂混合物の溶融状態を維持したまま成形することを特徴とする請求項1に記載の光学レンズの製造方法である。
溶融状態を維持したまま成形するとは、溶融して混合した後、いったん温度を下げ固化してペレット等に加工することなく、そのまま射出成形することを意味する。従来の光学レンズの製造では、熱可塑性樹脂と架橋助剤を正常に溶融混練するため、強い剪断を樹脂混合物に加えていた。しかし、強い剪断を加えることにより熱(剪断発熱)が発生するので、この方法では熱履歴Hを15000(℃・秒)以下とすることは困難であった。本発明者は、無剪断混合機の使用や架橋助剤による可塑化効果等により、透明熱可塑性樹脂と架橋助剤の混合を強い剪断を加えずに行っても(すなわち剪断発熱が生じないように混合しても)、正常に溶融混練し、射出成形できることを見出した。そして、低温、低剪断で溶融状態を維持したまま射出成形することができるので、混合工程及び成形工程での熱履歴Hを容易に15000(℃・秒)以下とできる。又、低温、低剪断で射出成形することができるので、後述の請求項4の発明のように安定剤を配合しない又は安定剤の配合が少ない場合であっても、黄変や黒点の少ない光学レンズを得ることができる。
請求項3の発明は、架橋助剤及び/又は可塑剤の添加により、ガラス転移点Tgを前記透明熱可塑性樹脂のガラス転移点Tgより5℃以上下げた状態で混合工程及び成形工程を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学レンズの製造方法である。架橋助剤及び/又は可塑剤を添加することにより、前記透明熱可塑性樹脂のガラス転移点を下げることができる。ガラス転移点を5℃以上下げることにより、混合工程、成形工程での加工温度を下げることができ、低温での混合や射出成形が可能になる。これにより、混合工程及び成形工程での熱履歴Hを容易に15000(℃・秒)以下とでき、安定剤を配合しない又は安定剤の配合が少ない場合であっても、黄変や黒点の少ない光学レンズを得ることができる。
請求項4の発明は、前記樹脂混合物中に、安定剤を配合しない又は安定剤を前記透明熱可塑性樹脂100重量部に対し0.1重量部未満配合することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の光学レンズの製造方法である。この製造方法は、MEHQ等の安定剤を配合しない又は安定剤の配合量を前記透明熱可塑性樹脂100重量部に対し0.1重量部未満であることを特徴とする。ここで安定剤とは、ラジカル重合の重合禁止剤等に使用されている、ラジカル反応による架橋防止能力を有する化合物(架橋禁止剤)を意味する。前記のような安定剤の配合は、光学レンズの黄変(着色)の原因となるが、この製造方法により得られる光学レンズは、可塑化しかつ低剪断で加工を行うため滞留炭化が少なく、又、安定剤を含有しないか含有量が小さいので黄変(着色)がないものである。
請求項5の発明は、前記透明熱可塑性樹脂が、透明ポリアミド樹脂、透明ポリエステル樹脂、透明フッ素樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、又は透明ポリオレフィンであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の光学レンズの製造方法である。
請求項6の発明は、前記透明熱可塑性樹脂が、1,10−デカンジカルボン酸及び3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンの縮合重合体であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の光学レンズの製造方法である。
透明熱可塑性樹脂としては、透明ポリアミド樹脂、透明ポリエステル樹脂、透明フッ素樹脂、透明ポリオレフィン等を挙げることができる。透明ポリエステル樹脂としては、PET、PBT、PEN等を、透明フッ素樹脂としては、PVdF、ETFE、FEP、PFA等を、透明ポリオレフィンとしては、環状ポリオレフィン、TPX、アイオノマー等を挙げることができる。又、これらのコポリマー、変性品を使用することができる。さらにこれらの樹脂を混合しても良い。
透明ポリアミド樹脂は、非晶性でかつガラス転位点の高いポリアミドである。透明ポリアミド樹脂としては、後述の例示されたもの等を使用することができるが、特に、1,10−デカンジカルボン酸及び3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンの縮合重合体は、耐光性等に優れ、又後述のように架橋助剤としてのTAICとの相溶性に優れTAICによる大きな可塑化効果が得られるので特に好ましい。例えば、光学レンズに、80℃程度でキセノンランプや青紫レーザーを長時間照射すると、白色の筋や黒変が発生する場合があるが、1,10−デカンジカルボン酸及び3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンの縮合重合体からなる透明ポリアミド樹脂を使用した場合は、これらの発生が小さいので好ましい。
請求項7の発明は、前記架橋助剤がTAICであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の光学レンズの製造方法である。
架橋助剤は、光学レンズに、半田リフローによる実装に耐えられる耐熱性を付与するために必須の成分である。架橋助剤の配合量が小さい場合は、放射線照射を行っても充分な耐熱性、例えば270℃における貯蔵弾性率が0.1MPa以上となる耐熱性は得られない。
架橋助剤としては、後述の例示されたもの等を使用することもできるが、中でもTAICは、三官能のため架橋性に優れ、TAICを含有させることにより光学レンズのリフロー耐熱性を、放射線照射により容易に向上できるので好ましい。さらにTAICは、透明ポリアミド(特に、1,10−デカンジカルボン酸及び3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンの縮合重合体)との相溶性に優れ透明ポリアミドに対して50重量%程度の高濃度まで溶解させることができる、人体に対する毒性が低い、等の点でも好ましい。
さらに、前記請求項3の発明のように、TAICのような液状の架橋助剤を、透明熱可塑性樹脂に配合することにより樹脂のガラス転移点を下げ、かつ流動性を大きくすること(可塑化すること)ができる。すなわち、混合物の流動性が増し、溶融状態を維持したままの射出成形がより容易になり、より小さい熱履歴で正常な混合を達成することができる。
架橋助剤としてTAICを用いる場合、その配合量は、透明熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜50重量部が好ましく、より好ましくは1〜30重量部である。TAICの配合量が多い程、架橋を促進しリフロー耐熱性等を向上させる効果が大きいが、その含有量が前記の範囲以上となると、固化が遅くなりすぎて成形性が低下し、成形品の良い外観が得にくくなる場合がある。
一方、配合量が1重量部未満の場合は、光学レンズの耐熱性を充分向上させることができない。又、透明熱可塑性樹脂の可塑化(ガラス転移点の低下、流動性の向上)が不十分となり、小さい熱履歴Hでは正常な混合が困難になりやすい。
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の光学レンズの製造方法により製造されたことを特徴とし、その厚さを1mmとしたときの全光線透過率が60%以上であり、200℃で5分間加熱後の前記全光線透過率が60%以上であり、かつ270℃での貯蔵弾性率が、0.1MPa以上であることを特徴とする光学レンズである。
この光学レンズは、透明熱可塑性樹脂の成形体であるので透明性に優れ、その厚さを1mmとしたときの全光線透過率が60%以上であることを特徴とする。又、安定剤(架橋禁止剤)の配合量が0.1重量部未満なので黄変もない。ここで、全光線透過率とは、透明性を表す指標であり、その測定は、JIS K 7361に規定される測定法を用いて行い、可視光線の範囲、具体的には波長400〜800nmの範囲において、入射光量Tと試験片を通った全光量Tとの比の百分率で示される。
さらに、この光学レンズは、加熱されても全光線透過率が低下せず、200℃で5分間加熱後の前記全光線透過率も60%以上であることを特徴とする。全光線透過率が60%以上であり、加熱されても全光線透過率が低下しないレンズは、透明熱可塑性樹脂として、透明ポリアミド、特に、1,10−デカンジカルボン酸及び3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンの縮合重合体を用いることにより、容易に得ることができる。
全光線透過率が60%以上であり加熱されても全光線透過率が低下せず、かつ黄変もないことにより、本発明の光学レンズは、可視光域での透明性が高いものとなり、発光装置のレンズ等として好適に用いられる。
さらに又、この光学レンズは、透明熱可塑性樹脂に架橋助剤が配合された樹脂混合物の成形体であり、かつ透明熱可塑性樹脂が放射線架橋されているので、ガラス転移点が高く、又、270℃での貯蔵弾性率が0.1MPa以上である。すなわち、室温から高温まで満足する剛性を有し、鉛フリー半田を用いた半田付けや半田リフローにより実装する場合や、使用環境が高温になる場合でも熱変形の問題を生じにくく、所謂リフロー耐熱性が高いとの特徴を有する。
本発明の光学レンズの製造方法によれば、軽量で透明性が高いとともに、リフロー耐熱性等の耐熱性が高く、又白点、白い筋、茶点や黒点の発生等や黄変のない樹脂製光学レンズが得られる。本発明の光学レンズは、軽量である、透明性が高く加熱されても透明性が低下せず、又耐熱性が高いので半田リフローによる実装が可能である。さらに、黄変がないとの優れた特徴を有しているので、種々の光学機器に好適に用いられる。
混合工程及び成形工程に使用する装置を示す模式図である。
次に、本発明を実施するための最良の形態につき実施例により説明する。なお、本発明は、ここに述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない限り他の形態への変更も可能である。
本発明の製造方法に使用される透明ポリアミド樹脂は、例えばジアミンとジカルボン酸とを縮合して得ることができるものであり、中でも、芳香環、脂環等の環を有し、非晶性でかつガラス転位点の高いポリアミド樹脂が好ましい。前記の1,10−デカンジカルボン酸及び3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンの縮合重合体は、脂環(シクロヘキシル環)を有し、非晶性でかつガラス転位点の高いポリアミド樹脂である。
ここで用いられるジアミンとしては、6〜14個のC原子を有する分枝鎖状又は非分枝鎖状の脂肪族ジアミン、例えば1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,12−デカメチレンジアミン;6〜22個のC原子を有する環状脂肪族ジアミン、例えば4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルプロパン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)−シクロヘキサン、2,6−ビス(アミノメチル)−ノルボルナン、又は3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン;8〜22個のC原子を有する芳香脂肪族ジアミン、例えばm−キシリレンジアミン、又はp−キシリレンジアミン又はビス(4−アミノフェニル)プロパン;等を挙げることができる。
又、ジカルボン酸としては、6〜22個のC原子を有する分枝鎖状又は非分枝鎖状の脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、2,4,4−トリメチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、又は1,12−ドデカン二酸;6〜22個のC原子を有する環状脂肪族ジカルボン酸、例えばシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、4,4′−ジカルボキシルジシクロヘキシルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジカルボキシルジシクロヘキシルメタン、4,4′−ジカルボキシルジシクロヘキシルプロパン、又は1,4−ビス(カルボキシメチル)シクロヘキサン;8〜22個のC原子を有する芳香脂肪族ジカルボン酸、例えば4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸;8〜22個のC原子を有する芳香族ジカルボン酸、例えばイソフタル酸、トリブチルイソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタリンジカルボン酸、1,5−ナフタリンジカルボン酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、2,7−ナフタリンジカルボン酸、ジフェン酸、又はジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸等を挙げることができる。
芳香環、脂環等の環を有するポリアミド樹脂のより具体的な例としては、
テレフタル酸、及び2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンと2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンとの異性体混合物からなるポリアミド、
イソフタル酸及び1,6−ヘキサメチレンジアミンからなるポリアミド、
テレフタル酸/イソフタル酸、及び1,6−ヘキサメチレンジアミンからなるコポリアミド、
イソフタル酸、及び3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、及びラウリンラクタム又はカプロラクタムからなるコポリアミド、
1,12−ドデカンジカルボン酸又は1,10−デカンジカルボン酸、及び3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、場合によってはさらにラウリンラクタム又はカプロラクタムからなる(コ)ポリアミド、
イソフタル酸、及び4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、及びラウリンラクタム又はカプロラクタムからなるコポリアミド、
1,12−ドデカン二酸、及び4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンからなるポリアミド、
テレフタル酸/イソフタル酸混合物、及び3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、及びラウリンラクタムからなるコポリアミド、等を挙げることができる。
本発明の製造方法に使用される透明ポリアミド樹脂は、又、ラクタムの開環重合やω−アミノカルボン酸の縮合等によっても得ることができ、中でも炭素数が10以上のポリアミド樹脂が好ましい。このとき用いられる原料モノマーとしては、6〜12個のC原子を有するラクタムもしくは相応するω−アミノカルボン酸、ε−カプロラクタム、ε−アミノカプロン酸、カプリルラクタム、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノウンデカン酸、ラウリンラクタム、又はω−アミノドデカン酸等を挙げることができる。
ラクタムの開環重合やω−アミノカルボン酸の縮合によって得られ炭素数が10以上のポリアミドとしては、ナイロン12等の商品名で市販されているポリアミド12等を挙げることができる。
又、透明ポリアミドは、本発明の範囲内で多数の異なるポリアミドの配合物であってよい。配合物自体が透明であれば、この配合物成分に結晶性のものが含まれていてもよい。
上記の透明ポリアミドとしては市販品を用いることもできる。前記の1,10−デカンジカルボン酸及び3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンの縮合重合体からなるポリアミド樹脂は、グリルアミドTR−90(エムスケミー・ジャパン社)等の商品名で市販されている。又、イソフタル酸、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン及びラウリンラクタムからなるコポリアミドはグリルアミドTR−55(エムスケミー・ジャパン社)等の商品名で市販されている。その他、本発明に使用される透明ポリアミドの具体的商品例としては、トロガミドCX7323、トロガミドT、トロガミドCX9701(商品名、以上、ダイセル・デグサ社製)、グリルアミドTR−155、グリボリーG21、グリルアミドTR−55LX、グリロンTR−27(以上、エムスケミー・ジャパン社)、クリスタミドMS1100、クリスタミドMS1700(以上、アルケマ社)、シーラー3030E、シーラーPA−V2031(以上、デュポン社)、イソアミドPA−7030(以上、デュポン社)等を挙げることができる。
さらに又、透明ポリアミドとしては、ナイロン6等の比較的白化しやすいポリアミドに、造核剤を添加して、透明性を増加したもの等も使用することができる。造核剤とは、結晶性のポリマーに均一で微細な結晶を生成させ、剛性、熱変形温度等の機械物性を向上させるとともに透明性を改善させるものであり、リポゾーム造核剤やパインクリスタルKM1500(荒川化学社製)との商品名で市販されている造核剤等を挙げることができる。
架橋助剤としては、前記のTAIC以外にも、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム等のオキシム類;エチレンジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アクリル酸/酸化亜鉛混合物、アリルメタクリレート等のアクリレート又はメタクリレート類;ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルピリジン等のビニルモノマー類;ヘキサメチレンジアリルナジイミド、ジアリルイタコネート、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、等のアリル化合物類;N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−(4,4’−メチレンジフェニレン)ジマレイミド等のマレイミド化合物類等が挙げられる。これらの架橋助剤は単独で用いてもよいし、組み合わせて使用することもできる。
本発明の光学レンズの製造方法において、透明ポリアミド樹脂100重量部に対し0.1重量部未満配合してもよい安定剤としては、前記のMEHQの他にも、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤、リン系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等を挙げることができる。ヒンダードアミン光安定剤はアデカスタブLA68、LA62(商品名、旭電化社製)等として、紫外線吸収剤はアデカスタブLA36(商品名、旭電化社製)等として、リン系安定剤はイルガフォス168(商品名、チバ・スペシャリティー・ケミカル社製)等として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤はイルガノックス245(商品名、チバ・スペシャリティー・ケミカル社製)等として市販されているものを用いることができる。
前記のように、可塑剤を添加することで、透明熱可塑性樹脂のガラス転移点を下げることができ混合工程、成形工程での加工温度を下げることができるが、この可塑剤としては、TAIC、水、二酸化炭素等を挙げることができる。ただし、これらに限定されず、その他の既知の可塑剤を使用することができる。
本発明の光学レンズの製造に使用される成形材料には、本発明の趣旨が損なわれない範囲で、他の成分、例えば、耐候性安定剤、銅害防止剤、難燃剤、滑剤、導電剤、メッキ付与剤等を添加することができる。
混合工程における混合の方法や条件、成形工程における射出成形の方法や条件としては、請求項1に規定の熱履歴の条件を満たす限りは特に限定されず、従来通常使用されているような装置や条件により行うことができる。前記のように、熱履歴Hを小さくするため、架橋助剤の添加後の混合時間を短くすることが好ましく、混合時間を短くする方法として、架橋助剤の添加を、混合機の中途で行う方法、又は混合機の入り口及び中途でもしくは混合機の中途のみで、複数回に分けて添加する方法を挙げることができる。
図1は、混合工程及び成形工程に使用する装置を示す模式図であり、図中、1は射出成形機を、2は、射出成形機1のスクリューを、3はスクリュー2を駆動させるためのモーターを表わす。4はペレット投入部、5は混合機であり、ペレット投入部4より、混合機5に透明熱可塑性樹脂のペレットが投入されて、さらに射出成形機1に送られる。
6は架橋助剤等を添加するためのポンプであり、図中の矢印a、b、cは、架橋助剤の添加の位置を示す。すなわち、矢印aは、ペレット投入部4への架橋助剤の添加を、矢印bは、混合機5への架橋助剤の添加を、矢印cは、射出成形機1の途中への架橋助剤の添加を表わす。本発明では、矢印a、b、cのいずれかの場合を採用してもよいし、矢印a、b、cから選ばれる2又は3の方法を組合せて架橋助剤の添加を行ってもよいが、前記のように、混合時間を短くするために、矢印b、cの場合、特に充分な混合が行われる限りは矢印cの場合を採用することが好ましい。
ペレット投入部4より投入された透明熱可塑性樹脂のペレットは、混合機5及び射出成形機1で、又は射出成形機1のみで架橋助剤と混合され、必要により加熱等が行われて溶融し金型7に射出されて成形されて成形体が得られる。
本発明の光学レンズを形成する成形体は、さらに補強材としてフィラーを含有することが好ましい。フィラーを含有することにより、容易に270℃での貯蔵弾性率を0.1MPa以上とすることができ、又、成形性や耐熱性が向上する。
フィラーとしては、成形体の透明性を損なわないためにも、その屈折率が透明ポリアミドに近い所謂透明フィラーを使用する。透明フィラーの一例として、ガラス繊維が挙げられる。充填剤の粒子径が光の波長以下であるフィラー、ヒュームドシリカ、ナノ金属フィラーやナノコンポジッドフィラーを使用することもできる。有機フィラーの例としては、バイオナノファイバー(京都大学)を挙げることもできる。
[実施例、比較例に使用した樹脂、薬剤]
(環状ポリオレフィン)
・アベル6015T(三井化学社製)
(透明ポリアミド樹脂)
・1,10−デカンジカルボン酸及び3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンの縮合重合体(グリルアミドTR−90;エムスケミー・ジャパン社製;表中では、TR−90と表す。)
(安定剤)
・メチルエチルハイドロキノン(表中では、MEHQと表す。)
・2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン(精工化学社製;ノンフレックスアルバ;表中では、「NFA」と表す。)
(架橋助剤) TAIC(トリアリルイソシアヌレート)
[成形体試料の作製]
表1、2に示す比較例1及び実施例1〜6では、以下に示す一体型成形により、成形体試料を作製した。(表1、2中の「混合・成形」の欄に「一体型成形」と示す。)
前記の各成分を、表1、2に示す配合割合(全て質量部)で、無剪断混合機により混合し、その後、SE−18DUZ(住友重機械工業社製、電動射出成形機)により射出成形をして、50mm×60mm×1mmの成形体試料を得た。すなわち、樹脂のペレットと架橋助剤を、低剪断で溶融混合し、溶融状態を保ったまま射出成形機に投入して、金型温度80℃、シリンダー温度280℃、サイクル30秒の条件で射出成形を行い、成形体試料を作製した。
表1、2に示す比較例2、3では、以下に示す方法により、成形体試料を作製した。(表1、2中の「混合・成形」の欄に「二軸+射出」と示す。)
東芝機械社製二軸混合機TEM58により、シリンダー温度280℃、ダイス温度300℃、回転数100rpmの条件で溶融混合し、押出されたストランドを水冷後カットし、常温に冷却後保管した。(水冷や保管による吸湿した水分を除去するため)ペレットを恒温槽で100℃×6時間乾燥後、SE−18(住友重機械工業社製、射出成形機、SE−18DUZと異なり剪断が大きい)により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、サイクル30秒の条件で射出成形を行い、成形体試料を作製した。
実施例1〜6、比較例1〜3のいずれについても得られた成形体試料のTg及びMFR(250℃、加圧5kg、予熱3分、g/10分)を測定した。Tg及びMFRの測定結果、混合時及び射出成形時の樹脂温度、混合及び射出成形時の熱履歴Hを表1、2に示す。
さらに、実施例、比較例で得られた成形体試料に500kGyの電子線を照射して架橋を行った。電子線照射後の試料について、下記の方法で、全光線透過率、加熱後透過率、外観、貯蔵弾性率(270℃)を測定した。これらの結果を、表1、2に併せて示す。
[全光線透過率]
JIS K 7361に準拠して測定した。可視光線の範囲(波長400〜800nmの範囲)において入射光量Tと試験片を通った全光量Tとの比を百分率で示す。
[加熱後透過率]
試料を200℃に5分間保った。その後、前記と同様にして全光線透過率を測定した。
[外観]目視により外観を観察した。
[貯蔵弾性率]
200℃で10分間加熱した後の試料について、アイティー計測制御社製DVA−200による粘弾性測定器により、10℃/minの昇温速度にて測定した270℃での貯蔵弾性率である。
Figure 0005886647
Figure 0005886647
比較例1、実施例1〜3の結果より、透明ポリアミド樹脂TR−90にTAICを配合することにより、成形体のガラス転移点が低下し流動性(MFR)が増加して、成形体が可塑化し、その結果混合工程、成形工程時の樹脂温度を下げ、熱履歴Hを減少できることが示されている。TAICを配合していない比較例1では、黒点や茶変が生じているが、TAICを1〜25質量部の範囲で配合した実施例1、2では、熱履歴Hが減少し、又MEHQ等の安定剤が配合されていない結果、黄変も見られず、270℃での貯蔵弾性率も高く耐熱性に優れた成形体が得られている。これらの成形体は、透明性(全光線透過率)も高く、又200℃×5分の加熱を行っても透明性は低下しない。
一方、TAICの配合量が32質量部である実施例3では成形体に白化が見られ、光線透過率が下がる。又、TAICを配合しない比較例1では、樹脂が充分架橋されないため、試料を200℃に5分間保った場合、変形して、全光線透過率が測定不能となっている。従って、TAICの配合量は1〜25質量%以下が好ましい。又安定剤の配合量が0.01質量部以上の実施例4、5では、黄変が見られる。
樹脂を溶融混合後冷却し、再度加熱溶融して成形する方法(二軸+射出)で行った比較例2では、樹脂の組成等は実施例4(一体型成形)と同じであるにも係らず外観に白筋が発生し、又加熱による光線透過率の低下も大きい。混合・成形における熱履歴Hが大きいため、本発明の効果が得られないと考えられる。
実施例6、比較例3は、透明ポリアミド樹脂TR−90の代わりに、環状ポリオレフィン:アベル6015Tを用いた場合である。この場合でも、樹脂の溶融混合後冷却し再度加熱溶融して成形する方法(二軸+射出)で行った比較例3では、MEHQを0.1質量部配合しているにも係らず、外観は茶変が生じているのに対し、一体型成形を行い熱履歴Hが減少している実施例6では外観は改善している。しかし、環状ポリオレフィンの代わりに透明ポリアミド樹脂を用いた以外は実施例6と同じ条件である実施例1では、外観は、透明・黄変なしであり、貯蔵弾性率も高く、かつ加熱による全光線透過率の低下も見られないのに対し、実施例6では、黄変が見られ、貯蔵弾性率も低く、加熱による全光線透過率の低下も見られる。従って、環状ポリオレフィンよりも透明ポリアミド樹脂が好ましい。
1 射出成形機
2 スクリュー
3 モーター
4 ペレット投入部
5 混合機
6 ポンプ
7 金型

Claims (6)

  1. 透明熱可塑性樹脂と架橋助剤を混合して樹脂混合物を得る混合工程、前記樹脂混合物を射出成形して成形体を得る成形工程、及び前記成形体に電離放射線を照射して前記透明熱可塑性樹脂を架橋する架橋工程を有する光学レンズの製造方法であって、
    前記混合工程における加工時間をΔTm(秒)、樹脂混合物の温度をTm(℃)、前記成形工程における加工時間をΔTinj(秒)、樹脂混合物の温度をTinj(℃)、前記透明熱可塑性樹脂のガラス転移点をTg(℃)としたとき、H=(Tm−Tg)×ΔTm+(Tinj−Tg)×ΔTinjで表される熱履歴Hが、15000(℃・秒)以下であり、
    前記混合工程後、前記樹脂混合物の溶融状態を維持したまま成形することを特徴とする光学レンズの製造方法。
  2. 架橋助剤及び/又は可塑剤の添加により、ガラス転移点Tgを前記透明熱可塑性樹脂のガラス転移点Tgより5℃以上下げた状態で混合工程及び成形工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の光学レンズの製造方法。
  3. 前記樹脂混合物中に、安定剤を配合しない又は安定剤を前記透明熱可塑性樹脂100重量部に対し0.1重量部未満配合することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学レンズの製造方法。
  4. 前記透明熱可塑性樹脂が、透明ポリアミド樹脂、透明ポリエステル樹脂、透明フッ素樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、又は透明ポリオレフィンであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の光学レンズの製造方法。
  5. 前記透明熱可塑性樹脂が、1,10−デカンジカルボン酸及び3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンの縮合重合体であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の光学レンズの製造方法。
  6. 前記架橋助剤がトリアリルイソシアヌレートであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の光学レンズの製造方法。
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