以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明に係るラベル装着装置を示す上面図である。図2は、同ラベル装着装置の正面図である。図3は、同ラベル装着装置の右側面図である。図4は、ラベル装着装置に適用されるラベル基材の構成を示す図である。
ラベル装着装置1は、ボトル供給部2、ラベル供給部3、ラベル受渡部4、ロータリー型のラベル装着部5、ボトル搬出部6及びラベル装着位置補正部7を備える。図1において、ラベル装着部5を基準に見ると、正面視(図1の下側から上側を見る方向)でボトル供給部2はラベル装着部5の手前右側に配置され、ボトル搬出部6はラベル装着部5の手前左側に配置されている。また、ラベル供給部3は、ラベル装着部5の左側奥に配置されている。ラベル装着位置補正部7に含まれるラベル装着位置解析部72は、ラベル装着装置1を制御する制御部(コンピュータ)の機能ブロックとして構成されるので、図1ではブロック図を抽出して記載している。
ラベル装着装置1は、ラベル装着部5でPET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂からなる多数のボトルタイプの容器B(以下、「ボトルB」という。)を搬送しながら、各ボトルBの胴部にストレッチフィルムからなる筒状のラベルLを連続的に装着する処理を行う。ラベル装着部5では、ボトルBの上方位置でラベルLを筒状に開いた後、ボトルBを上昇させてそのボトルBの胴部にラベルLを装着する処理が行われる。
ラベル装着装置1は、ラベル装着部5で各ボトルBに装着されたラベルLの位置(以下、「ラベル装着位置」という。)をカメラで監視し、そのラベル装着位置が基準のラベル装着位置からずれた場合(主として高さ方向にずれた場合)、そのずれ量に基づいてボトルBへのラベル装着時におけるラベルLの高さ位置を補正することによりラベル装着部5のラベル装着時における各ボトルBのラベル装着位置を自動的に所定の位置に修正する構成に特徴を有する。
ラベル装着装置1のボトル供給部2、ラベル供給部3、ラベル受渡部4及びボトル搬出部6は、上記の特徴的な構成には直接関係しないので、以下ではこれらの部分を簡単に説明し、ラベル装着部5の特徴的な構成について詳細に説明する。
ボトル供給部2は、多数のボトルBを所定の間隔で連続的にラベル装着部5に供給する。ボトル供給部2は、ベルトコンベア21、図示省略のスクリュー及びスターホイール22を有する。ベルトコンベア21は多数のボトルBを一列に並べてラベル装着部5側に搬送する(図1では右側から左側への搬送)。スクリューはベルトコンベア21で搬送されたボトルBの間隔をスターホイール22のボトル受取間隔に調整する。スターホイール22は、図1において時計回りに回転してスクリューで搬送される各ボトルBを受け取り、ラベル装着部5のボトルBの受取タイミングに同期してボトル供給位置γに搬送し、各ボトルBをラベル装着部5に受け渡す。
ラベル供給部3は、ボトル供給部2がラベル装着部5にボトルBを供給する周期(以下、「ボトル供給周期」という。)と同一の周期でラベルL(図4参照)を生成し、ラベル受渡部4に供給する。具体的には、ラベル供給部3は、シート状に折り畳まれたラベル基材LSをボトル供給周期で間欠的に所定のラベル基材切断位置に搬送し、そのラベル基材LSの各ラベルL間に設けられたカット位置Cを切断することによりラベルLを生成し、そのラベルLをラベル受渡部4に搬送する処理を行う。
ラベル基材LSは、多数のラベル(絵柄や文字等)が一定間隔で印刷され、筒状に整形されたストレッチフィルムをシート状に折り畳んで帯状にしたものである。ラベル基材LSに用いられストレッチフィルムは、伸縮性の良いフィルムで、例えば、弾性変形率が約40%〜60%の高伸縮性のポリエチレン樹脂材料からなる厚さ20μm〜80μmのフィルムである。なお、ここで言う弾性変形率40%〜60%とは40%〜60%伸長後の瞬間歪が10.5%以下になるものであり、高伸縮性とは60%伸長させたときの引張応力が7.7N/mm2以下となるような伸長させやすい性質のことである。
ラベル基材LSには、図4に示すように、隣接するラベルL同士の間にカット位置Cが設けられ、各ラベルLの後端側の辺に沿って長方形状のマークMが設けられている。このマークMは、ラベル基材LSを間欠的にラベル基材切断位置に搬送する際に先頭のカット位置Cをラベル基材切断位置に正確に位置合わせするためのラベル基材LSの搬送制御に用いられるマークである。
ラベル供給部3は、回転刃を自転させながらラベル基材切断位置を通る所定の円軌道上で公転させ、ラベル基材切断位置で回転刃をラベル基材LSに対して横方向に移動させてラベル基材LSを切断することによりラベルLを生成する。回転刃の公転周期は、上述したラベルLの生成周期と同一である。
ラベル供給部3は、回転刃がラベル基材LSの切断が完了した時から次に回転刃がラベル基材切断位置に戻ってラベル基材LSの切断を開始する時までの期間(以下、「ラベル基材搬送期間」という。)にラベル基材LSをラベル長Dc(図4参照)だけ搬送し、次のカット位置Cをラベル基材切断位置に設定する。ラベル供給部3は、ラベル基材LSの搬送を開始した後、反射型フォトセンサ若しくは透過型フォトセンサ等の光センサでマークMを検出すると、その検出信号に基づいてラベル基材LSの搬送停止を制御することにより次のカット位置Cを正確にラベル基材切断位置に位置合わせする。
ラベル供給部3は、ラベル基材搬送期間にラベル基材LSをラベル長Dcだけ搬送してラベル基材LSの各カット位置Cをラベル基材切断位置にセットした後、回転刃によってラベル基材LSを横方向に切断する動作を繰り返すことにより、ボトル供給周期と同一の周期でラベルLを生成し、そのラベルLを第1のラベル受渡位置α(図1,図2参照)に搬送する。
ラベル受渡部4は、ラベル供給部3から供給される各ラベルLをラベル供給部3の第1のラベル受渡位置αで受け取り、ラベル装着部5の第2のラベル受渡位置βに搬送し、ラベル装着部5に渡す。ラベル受渡部4は、回転軸41から放射状に突設された複数のテイクアップ部材42を有する。テイクアップ部材42は、櫛歯状のラベル受取面を有し(図2参照)、そのラベル受取面には吸引孔が設けられている。複数のテイクアップ部材42は、図1において反時計回りに回転し、第1のラベル受渡位置αでラベル供給部3から鉛直方向(図1では紙面に垂直な方向)に搬送されるラベルLをラベル受取面で受け取り、吸着によりそのラベルLを保持して第2のラベル受渡位置βまで搬送する。
ラベル装着部5は、ボトル供給部2から所定の間隔で供給される多数のボトルBをボトル供給位置γで受け取り、各ボトルBを所定の円軌道上で搬送しながらラベル供給部3から供給されるラベルLを各ボトルBに装着する。ボトル搬出部6は、ラベル装着部5でラベルLが装着されたボトルB(ラベル付きボトルB)をボトル搬出位置δで受け取り、後工程に搬出する。
ボトル搬出部6は、ベルトコンベア61とスターホイール62を有する。スターホイール62は、図1において時計回りに回転し、ボトル搬出位置δでラベル装着部5のボトルBの受渡タイミングに同期してラベル付きボトルBを受け取り、ベルトコンベア61まで搬送する。スターホイール62で搬送された各ラベル付きボトルBは、ベルトコンベア21に載置され、そのベルトコンベア61によって後工程に搬送される。
ラベル装着部5は、主軸51の周りを反時計回りに回転する環状の支持盤52を備える。この支持盤52には周縁に沿って24個のボトルBを保持するボトル保持部521が等間隔DBで設けられている。また、各ボトル保持部521の上部に、ラベル受渡部4からシート状に折り畳まれたラベルLを受け取り、当該ラベルLを筒状に開く処理とボトルBを上昇させて当該ラベルLを装着させた当該ボトルBをボトル搬出位置δに搬送する処理とを行うラベル装着ヘッド53(図2,図3参照)が設けられている。
図1において、支持盤52の中心から下方向の位置を回転基準位置Nとして、反時計回りに角度を取るとすると、凡そ+17°の位置にボトル供給位置γが設けられ、凡そ+245°の位置に第2のラベル受渡位置βが設けられ、凡そ−17°の位置にボトル搬出位置δが設けられている。
なお、後述するように、ラベル装着部5はボトル供給位置γで受け取ったボトルBをラベル受渡位置βまで搬送する間に上昇させてラベル装着ヘッド53に設けられているボトル持上部533(図2参照)に引き渡し、ボトル持上部533によってボトル搬出位置δまで搬送する動作をする。このため、高さ方向におけるボトル搬出位置δは、図2に示すように、ボトル供給位置γ(支持盤52の設けられている高さ位置と略同じ)よりも高い位置に設けられている。
支持盤52の各ボトル保持部521には保持したボトルBを上昇させるボトル昇降機構が設けられている。ボトル昇降機構は、図5に示すように、所定長の棒状のボトル昇降杆522と、ボトル昇降杆522の下端に設けられ、円筒状のカム板54(図2,図3参照)のカム溝54Aに嵌め込まれたカムフォロア523とで構成される。ボトル昇降杆522は支持盤52のボトル保持部521に設けられた貫通孔に回動自在に取り付けられた軸受525によって上下動可能に支持されている。ボトル昇降杆522の上端にボトルBを載置する円盤状のボトル載置台524が固着されている。
円筒状のカム板54は、支持盤52の周縁部の下側に配置されている(図2,図3参照)。カム板54には、図10に示すライン(ニ)の軌跡を有するカム溝54Aが形成されている。カム板54は固定されているので、カム溝54Aの高さは、図1で反時計回りにボトル供給位置γからラベル受渡位置βに至る区間で山形に変化し、ラベル受渡位置βからボトル供給位置γに戻る区間は最も低い位置(最下位の位置)で一定となっている。
図1において、支持盤52が反時計回りに回転すると、カムフォロア523はカム溝54Aに沿って図10に示すライン(ニ)の軌跡を描くように移動する。従って、カムフォロア523は、ボトル供給位置γからラベル受渡位置βまで移動する間に1回だけ山形に上下動を行った後、最下位の位置を維持してボトル供給位置γまで戻る動作を繰り返す。図5(a)はカムフォロア523の高さが最も高い位置(最上位の位置)に上昇した時の状態を示し、図5(b)はカムフォロア523の高さが最下位の位置に戻った時の状態を示している。カムフォロア523が上昇する最上位の位置、すなわち、ボトルBを上昇させる位置は、ボトルBを筒状に開口したラベルLに下側から入り込ませて当該ラベルLをボトルBの胴部の所定の位置に装着させる位置である。
支持盤52の各ボトル保持部521にはボトル供給部2からボトルBを立った状態で受け取り、その状態を保持するためにボトルガイド526が設けられている。ボトルガイド526は、図1に示されるように、V字型に開いた一対のガイド部材526a,526bで構成される。図5に示すように、一方のガイド部材526a(以下、「固定ガイド526a」という。)は支持盤52に固定され、他方のガイド部材526b(以下、「可動ガイド526b」という。)はボトル昇降杆522を支持する軸受525の上面に延設された支持部材525aの先端部に固定されている。軸受525の下端部には揺動レバー527が取り付けられ、その揺動レバー527の先端にカムフォロア528が設けられている。
カムフォロア528は、ボトル保持部521がボトル供給位置γを通過する際、図示省略のカム面に当接して支持部材525aに揺動動作をさせる。これにより、可動ガイド526bが固定ガイド526aに対して接離する方向に移動してボトルガイド526が開閉動作を行う。具体的には可動ガイド526bは、ボトル供給位置γでボトル供給部2からボトルBが渡されるタイミングで外側に移動して(ボトルガイド526を開いて)スターホイール21から供給されるボトルBをボトル載置台524に受け入れ、ボトルBがボトル載置台524に載置されるタイミングで内側に移動して(ボトルガイド526を閉じて)当該ボトルBを保持する。
ラベル装着ヘッド53は、主軸51から各ボトル保持部521の上方位置に放射状に張り出した24本のアーム53A(図2,図3参照)の先端に取り付けられている。ラベル装着ヘッド53は、ラベル受取部531、ラベル拡開部532及びボトル持上部533を有する。ラベル受取部531は、第2のラベル受渡位置βでラベル受渡部4からシート状に折り畳まれたラベルLを受け取り、そのラベルLを予備的に筒状に開く。ラベル拡開部532は径方向に移動可能な8本の拡開爪532D(図6参照)を有し、ボトル昇降杆522によって上昇するボトルBがラベルLの開口部を通り抜けられるように、ラベル受取部531で予備的に開口されたラベルLを拡開爪532Dにより当該ラベルの伸縮性に抗して更にボトルBの外径より大きいサイズに押し広げる。
ボトル持上部533は、ボトル昇降杆522によって上昇されたボトルB(胴部にラベルLが装着された状態のボトルB)の首部と胴部を挟持して当該ボトルBを持ち上げることにより、ラベル拡開部532からボトルBを抜き取る。ボトル昇降杆522を所定の高さまで上昇させたときにはボトルBが下側からラベルLの開口に入り込み、ラベルLの上半分が伸縮性によってボトルBに装着され、下半分に拡開爪532Dが挟み込まれた状態となっている。ボトル持上部533は、ボトルBをラベル拡開部532から上方に抜き取ることによって拡開爪532Dを外し、ボトルBへのラベルLの装着処理を完了する。そして、ボトル持上部533は、ラベルLが装着されたボトルBの首部と胴部を保持してボトル搬出位置δまで搬送する。
ラベル受取部531は、ラベルLを受け取る開閉可能な一対のクランプ部材531a(図2,図3参照)と、その一対のクランプ部材531aに開閉動作を行わせる開閉駆動部材(図示省略)と、クランプ部材531aにラベルLを吸着させる吸引部材(図示省略)とを有する。クランプ部材531aは、テイクアップ部材42と同様に、櫛歯状のラベル受取面を有し、そのラベル受取面には吸引孔が設けられている。ラベル受取部531は、一対のクランプ部材531aを開いた状態で第2のラベル受渡位置βを水平方向に移動し、一方のクランプ部材531aのラベル受取面がラベル受渡部4のテイクアップ部材42と交差して当該テイクアップ部材42のラベル受取面で保持されているラベルLを受け取る。
ラベル受取部531は、ラベルLを受け取ると、一旦クランプ部材531aを閉じる動作をする。そして、両クランプ部材531aの吸引孔によってラベルLの表裏両面を吸着した後、開く動作をすることによりシート状に折り畳まれたラベルLを予備的に筒状に開く(図10の(j)〜(m)のクランプ部材531aを参照)。
ラベル拡開部532は、図6に示すように、環状の円盤532A−1とその円盤の下端部に取り付けられた筒状体532A−2とで構成されるベース部材532Aと、ベース部材532Aの筒状体532A−2の内径部に回転自在に支持され、内径側から外径側に向かって周方向に延びる複数(例えば、8本)のカム溝が形成された環状のカム部材532Bと、ベース部材532Aの円盤532A−1に径方向に移動自在に支持され、先端に複数本(例えば、8本)の拡開爪532Dが垂直に取り付けられたスライド部材532Cと、スライド部材532Cに支持部材532Eを介して取り付けられ、カム部材532Bのカム溝532Fに嵌合するカムフォロア532Gと、を有する。スライド部材532Cは、図示省略のカム機構によってカム部材532Bを回転させることにより径方向に進退し、これにより拡開爪532Dがベース部材532Aの開口部で開閉動作を行う。
ラベル拡開部532は、図3に示すように、アーム53Aに垂直に取り付けられた支柱53Bに昇降自在に取り付けられている。ラベル拡開部532の筒状体532A−2には下方向に向けてカムフォロア532Hが取り付けられており、そのカムフォロア532Hは、環状に配設されたカム部材56のカム面56a(図7,図8参照)に当接している。カム部材56は、支持盤52の外側に当該支持盤52の周縁に沿って円形の経路を形成するように配設されている。
図7は、環状のカム部材56を上から見た図である。図8は、環状のカム部材56を直線状に展開した図である。
カム部材56は、カム面56aの高さが固定されている第1カム部材561と、カム面56aの高さが可変の第2カム部材562と、第1カム部材561の両端部と第2カム部材562の両端部をそれぞれ連結する第3カム部材563及び第4カム部材564とで構成されている。
図8に示すように、第1カム部材561、第2カム部材562、第3カム部材563及び第4カム部材564の上面がカム面56aとなっている。第1部材561はカム面56aが1つだけであるが、第2カム部材562、第3カム部材563及び第4カム部材564にはカムフォロア532Hの上面が当接するカム面56bが設けられている。すなわち、第2カム部材562、第3カム部材563及び第4カム部材564にはそれぞれ所定の間隔を設けて副カム部材562a,563a,564aが連結され、副カム部材562a,563a,564aの下面がカム面56bとなっている。
第2カム部材562、第3カム部材563及び第4カム部材564に上側のカム面56bを設けているのは、カムフォロア532Hが第2カム部材562、第3カム部材563及び第4カム部材564を移動する期間にボトルBが上昇してラベル拡開部532が押し広げているラベルLの開口部に嵌入する動作をし、この動作によってラベル拡開部532が上方に押し上げられる(すなわち、カムフォロア532Hが浮き上がってカム面56aから外れる)から、カム面56aに代わってカム面56bにカムフォロア532Hをガイドさせるためである。
図8において、カム部材56の左端と右端は回転基準位置Nに対応し、主軸51の回転に基づくカムフォロア532Hの移動方向は右方向である。γ、β、δで示す位置はそれぞれボトル供給位置γ、ラベル受渡位置β、ボトル排出位置δである。Aで示す位置は第1カム部材561が回動動作を行う支点の位置(第1支点位置)であり、Bで示す位置は第1カム部材561の先端が揺動を行う揺動点の位置(第1揺動点位置)である。また、Cで示す位置は第2カム部材562が回動動作を行う支点の位置(第2支点位置)であり、Dで示す位置は第2カム部材562の先端が揺動を行う揺動点の位置(第2揺動点位置)である。
図8に示すように、カム面56aによってガイドされるカムフォロア532Hの高さ位置は、カムフォロア532Hがガイド部材56を1周する間に3段階に変化する。最上位の高さ位置と最下位の高さ位置は変化しないが、中間の高さ位置は第2カム部材562によって変化させることができる。図8は、中間の高さ位置が第2カム部材562によるカム面56aの高さの変化範囲で最も低い位置にある場合を示している。第2カム部材562は、昇降機構565によって図8の状態からカム面56aが最上位の高さと同一となる位置まで上昇可能になっている。
第2カム部材562の昇降機構565は、支持フレーム565Aに回転可能に立設された3本のネジ565Bと、第2カム部材562に取り付けられ、各ネジ565Bが螺合する3個のナット565Cと、3本のネジ565Bを回転させる駆動機構とで構成される。駆動機構は、中央のネジ565Bの下端部に取り付けられた3列のスプロケット565Dと、両側のネジ565Bの下端部にそれぞれ取り付けられたスプロケット565E,565Fと、駆動力を発生するモータ565G(図7参照)と、モータ565Gの駆動力を伝達する3本のチェーン565Hで構成される。
3本のチェーン565Hは、3列のスプロケット565Dの最下位のスプロケットと上流側(図8では左側)のネジ565Bのスプロケット565Eとの間と、3列のスプロケット565Dの中間のスプロケットと下流側(図8では右側)のネジ565Bのスプロケット565Fとの間と、3列のスプロケット565Dの最上位のスプロケットとモータ565G(図7参照)のロータとの間にそれぞれ架け渡されている。
例えば、図7において、モータ565Gを反時計回りに回転させると、その駆動力がスプロケット565D,565E,565Fとチェーン565Hによって3本のネジ565Bに伝達され、各ネジ565Bが反時計回りに回転し、3個のナット565Cを下側に移動させる。これにより第2カム部材562が下降する(カム面56aの中間の高さ位置が下降する)。逆に、モータ565Gを時計回りに回転させると、各ネジ565Bが時計回りに回転し、3個のナット565Cを上側に移動させる。これにより第2カム部材562が上昇する(カム面56aの中間の高さ位置が上昇する)。
カム面56aの最下位の高さ位置はカム部材56の凡そラベル受渡位置β(約+245°の位置)から約+300°の位置の範囲であり、カム面56aの最上位の高さ位置は凡そボトル搬出位置δ(約+340°の位置)から第1支点位置A(約+30°の位置)の範囲である。約+300°の位置からボトル搬出位置δの間には最下位の高さ位置と最上位の高さ位置を滑らかに接続するための傾斜が設けられている。カム面56aの中間の高さ位置は第1揺動点位置B(約+80°の位置)から第2揺動点位置D(約+177°の位置)の範囲である。
第3カム部材563は、最上位の高さ位置と中間の高さ位置との間に傾斜を設け、両高さ位置を滑らかに接続する。また、第4カム部材564は、中間の高さ位置と最下位の高さ位置との間に傾斜を設け、両高さ位置を滑らかに接続する。第3カム部材563の基端(図8では左側の端部)は第1支点位置Aで第1カム部材561に回動可能に支持され、先端(図8では右側の端部)は第1揺動点位置Bで第2カム部材562に揺動可能に連結されている。同様に、第4カム部材564の基端(図8では右側の端部)は第2支点位置Cで第1カム部材561に回動可能に支持され、先端(図8では左側の端部)は第2揺動点位置Dで第2カム部材562に揺動可能に連結されている。
第3カム部材563と第4カム部材563の先端には横方向に長孔が設けられ、両長孔に第2カム部材562の両端部に突設された軸がそれぞれ嵌入されている。昇降機構が第2カム部材562を上昇させると、これに伴い第3カム部材563と第4カム部材563の先端が持ち上げられ、第3カム部材563は図8で時計回りに回動し、第4カム部材564は図8で反時計回りに回動する。第3カム部材563及び第4カム部材564の回動により、第1カム部材561と第2カム部材562の間のカム面56aの段差を滑らかに接続する傾斜の角度が変化する。
カムフォロア532Hが第2カム部材562のカム面56aに当接している期間は、ラベルLの開口部にボトルBが下側から上昇して当該ラベルLの開口に入り込む動作(ボトルBにラベルLを装着する処理)をする期間(以下、「ラベル装着期間」という。)に対応している(図10(c)〜(g)参照)。従って、ラベル装着期間のラベル拡開部532の高さ位置は、ボトルBにラベルLを装着するときの当該ボトルBにおけるラベルLの装着位置に対応する。
本実施形態では、ボトルBにラベルLを装着したときの当該ボトルBにおけるラベル装着位置が基準のラベル装着位置から所定の閾値以上にずれた場合、モータ565Gを駆動してボトルBにおけるラベル装着位置が所定の位置(基準のラベル装着位置)となるように第2カム部材562のカム面56aの高さ位置(すなわち、ラベル拡開部563の高さ位置)を制御するようにしている。この制御内容については後述する。
ボトル持上部533は、図2,図3に示すように、L字状に屈曲した上下動可能な支持部材533Aと、その下端に水平面内で開閉可能に支持された一対の揺動アーム533Bを備える。更に、図9に示すように、各揺動アーム533Bの先端部に一対のグリッパー533Cが垂直に取り付けられ、各グリッパー533Cの内側の略中間位置には一対のネッククランパ533Dが取り付けられている。
支持部材533Aは、カム機構によって上下動される。支持部材533Aのカム機構は、筒状のカム板55(図2,図3参照)に形成されたカム溝55A(図2,図3では下側に形成されたカム溝)と支持部材533Aの基端に設けられ、カム溝55Aに嵌入されたカムフォロア533Eで構成されている。なお、支持部材533Aにはスライドガイド(図示省略)が設けられており、支持部材533Aを上下動させるときにはそのスライドガイドが支持盤52に垂直に取り付けられたガイドレール(図示省略)に沿って移動するようになっている。
図10のライン(ロ)は、ラベル装着ヘッド53が主軸51の周りを反時計回りに回転したときに、カム板55のカム溝55Aによってカムフォロア533Eが案内される移動軌跡である。同図に示すように、カムフォロア533Eは、ボトル供給位置γからラベル受渡位置βまで移動する間にカム板55のカム溝55Aによって下方向に上下動を1回だけ行うので、このカムフォロア533Eの下降動作によりグリッパー533Cが、ボトル昇降杆522によって上昇させたボトルBの上昇位置まで押し下げられる。
揺動アーム533Bの開閉機構は、両揺動アーム533Bを常時開方向に付勢するバネ(図示省略)と、両揺動アーム533Bの基端部に設けられたローラ対(図示省略)と、両ローラの間に挿入されるカム部材(図示省略)とで構成される。カム部材は支持部材533Aに上下動自在に支持された昇降杆533Fの下端に取り付けられており、昇降杆533Fはカム機構によって上下動されるようになっている。
昇降杆533Fのカム機構は、カム板55に形成されたカム溝55B(図2,図3では上側に形成されたカム溝)と昇降杆533Fの基端に設けられ、カム板55のカム溝55Bに嵌め込まれたカムフォロア533Gで構成される。なお、昇降杆533Fにもスライドガイド(図示省略)が設けられており、昇降杆533Fを上下動させるときにはそのスライドガイドが支持盤52に垂直に取り付けられたガイドレール(図示省略)に沿って移動するようになっている。
図10のライン(イ)は、ラベル装着ヘッド53が主軸51の周りを反時計回りに回転したときに、カム板55のカム溝55Bによってカムフォロア533Gが案内される移動軌跡である。同図に示すように、カムフォロア533Gの移動軌跡は、カムフォロア533Eの移動軌跡と略平行するが、(a)から(b)の間でカムフォロア533Gとカムフォロア533Eの間隔が狭くなり、(b)から(n)までその間隔を保持した後、(n)から(p)の間でその間隔が元の間隔に戻っている。
(a)から(b)の間でカムフォロア533Gをカムフォロア533E側に近接させる動作は、カム部材を一対の揺動アーム533Bの基端部に設けられたローラ対に挿入してバネの付勢力を弱め、一対の揺動アーム533Bの間隔を所定の定量だけ狭くするものである(図10(a),(b)の揺動アーム533bの間隔の変化を参照)。すなわち、一対のグリッパー533C及び一対のネッククランパ533DでボトルBの首部と胴部をそれぞれ保持させる動作をさせるものである。
一方、(n)から(p)の間でカムフォロア533Gをカムフォロア533Eから離隔させる動作はその逆の動作で、一対の揺動アーム533Bの間隔を元の間隔に戻すものである(図10(n),(p)の揺動アーム533Bの間隔の変化を参照)。すなわち、一対のグリッパー533C及び一対のネッククランパ533Dで保持しているボトルBを開放させる動作をさせるものである。
ボトル持上部533は、ボトル供給位置γからラベル受渡位置βまで移動する間にボトルBの上昇位置まで下降してから上昇する動作を行うが、この上下動のときには一対の揺動アーム533Bは閉動作をしているので、一対の揺動アーム533Bが最下位の位置に下降した時に一対のグリッパー533C及び一対のネッククランパ533DでボトルBの首部と胴部を挟持し、そのままボトルBを挟持した状態で最上位の位置まで上昇する。すなわち、ボトル持上部533は、ボトルBをラベル拡開部532から抜き取ってボトル搬出位置δまで搬送する。
ここで、図10を用いて、ラベル装着部5におけるラベルLのボトルBへの装着シーケンスを簡単に説明すると、ラベル装着部5のラベル装着ヘッド53とラベル保持部521は、下記の(1)〜(7)の動作を各ラベルLと各ボトルBについて連続的に行う。
(1)第2のラベル受渡位置βでラベル受取部531によりラベル受渡部4からラベルLを受け取る(図10(j))。
(2)受け取ったラベルLを第2のラベル受渡位置βからボトル供給位置γに移動する間に、シート状に折り畳まれたラベルLをラベル受取部531で予備的に筒状に開口する一方(図10(j)〜(m))、ラベルLが開口するタイミングでラベル拡開部532を上昇させてラベル拡開部532の拡開爪532Dを予備的に開口したラベルLに挿入した後(図10(m)〜(o))、拡開爪532Dを開いてラベルLの開口サイズをボトルBが嵌入可能な大きさに押し広げる(図10(a))。
(3)ボトル供給位置γに至ると、ボトル保持部521がボトル供給部2のスターホイール22で搬送されたボトルBを受け取り、ラベル拡開部532で筒状に押し広げられたラベルLの下方位置に当該ラベルLを装着するボトルBをセットする(図10(a))。
(4)ボトル保持部521がボトルBを受け取ると、ボトル供給位置γと第2のラベル受渡位置βのほぼ中間の位置までボトルBを搬送する間にボトル昇降機構522がボトルBを上昇させるとともに、ボトル持上部533の昇降機構が当該ボトル持上部533を下降させる(図10(b)〜(e))。
(5)ボトル昇降機構522がボトルBを上昇させることにより、ラベル拡開部532が筒状に押し広げているラベルLに当該ボトルBが下側から嵌まり込み、ラベルLが胴部に接触すると、摩擦力によりボトルBに密着する。ボトルBが最上位の位置に上昇するタイミングでボトル持上部533を最下位の位置に下降させ、一対のグリッパー533Cの先端部がラベルLの装着されたボトルBを挟持するとともに、一対のネッククランパ533DがボトルBの首部を挟持する(図10(f))。
(6)最上位の位置に上昇したボトルBは直ちに元の最下位の位置に下降するとともに、最下位の位置に下降したボトル持上部533は直ちに元の最上位の位置に上昇するので、ラベルLが装着されたボトルBをボトル持上部533により最上位の位置に持ち上げた後、その位置を保持してラベル搬出位置δまで搬送する(図10(f)〜(p))。
(7)ボトル持上部533でラベル搬出位置δに搬送されたラベル付きボトルBを、ボトル搬出部6のスターホイール62に受け渡し、スターホイール62とベルトコンベア61とによって後工程に搬出する(図10(p))。
なお、図10の(j)〜(p)では、ラベルLをラベル受渡部4から受け取る動作とともに、ボトル持上部533がラベル付きボトルBを搬送する動作が重複して描かれているが、これは上記(1)〜(7)の動作が連続的に行われている様子を表しているためである。
図1に戻り、ラベル装着位置補正部7は、ラベル装着部5でボトルBに装着されたラベルLのラベル装着位置が基準のラベル装着位置から所定の閾値以上にずれている場合、第2カム部材562の高さ位置(ラベル拡開部532の高さ位置)を調整してラベル装着位置を所定の位置(本実施形態では基準のラベル装着位置)に補正する制御を行う。ラベル装着位置補正部7は、図11に示すように、ラベル装着後のボトルBがボトル搬出位置δに搬送されるまでの所定の位置(凡そ+285°の位置)で当該ボトルBに装着されたラベルLを撮影する撮像ユニット71と、撮像ユニット71のカメラ711で撮影された画像を用いてボトルBにおけるラベルLの装着位置を定量的に解析するラベル装着位置解析部72とで構成される。
図12は、撮像ユニット71の構成を示す側面図である。図13は、カメラ711で撮影される画像を示す図である。
撮像ユニット71は、固体撮像素子としてCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いたカメラ711とラベルLが装着されたボトルBを照明する一対の照明灯712とを備える。カメラ711及び照明灯712はそれぞれ取付台713,714に固定され、両取付台713,714は固定部材によりラベル供給部3のフレーム301に固定されている。取付台713は、カメラ711がボトルBの胴部に装着されたラベルLを正面視するように水平に取り付けられている。
カメラ711の光軸Mの方向はボトルBの胴部の略中央に調整されており、カメラ711は、図12に示すように、ボトルBの胴部に装着されたラベルLの上辺Sの部分が画面の略中央に配置される画像を撮影する。カメラ711は、ラベル装着位置解析部72から入力されるレリーズ信号(パルス信号)によって撮影動作を行い、その撮影画像のデータを一旦カメラ本体内のメモリに保存した後、ラベル装着位置解析部72に転送する。なお、本実施形態では、ラベルLの上辺Sの位置で位置ずれの判定をするようにしているが、ラベルL内の図柄の所定の位置を位置ずれの判定に利用するようにしてもよい。
照明灯712は、複数のLED等の発光素子を一列に配列した縦長の照明機である。一対の照明灯712は、カメラ711の視野を妨害しないようにボトルBに対して左右に所定角度開いた方向に配置されている。一対の照明灯712は、ボトルBのラベルLが装着された位置を照明する。
図14は、ラベル装着位置補正部7による制御系の構成を示すブロック図である。同図において、図1〜図12に示される部材と同一の部材には同一の符号を付している。
制御部8は、ラベル装着装置1の動作を統括制御する制御部である。制御部8は、CPU(Central Process Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含むマイクロコンピュータで構成されている。CPUがROMに記憶されたラベル装着処理の制御プログラムを実行することにより、ラベル装着装置1におけるラベル装着部5へのボトルBとラベルLの供給、ラベル装着部5でのボトルBへのラベルLの装着及びラベル装着部5からラベル装着済みボトルBの搬出の一連の処理が制御される。また、CPUがラベル装着位置の解析プログラムを実行することにより、ラベル装着位置の解析が行われる。図14では、その解析処理の部分をラベル装着位置解析部72として記載している。
制御部8には操作表示部81が接続されている。操作表示部81は、作業者がラベル装着動作に関する各種の設定(ラベル基材LSの種類やカット位置Cの間隔、ラベル装着の生産速度等)を行ったり、ラベル装着動作の状態を表示したりする部材である。操作表示部81は、タッチパネル式の表示部を有しており、作業者がタッチパネルに所定のタッチ操作をして所望の情報を制御部8に入力することができる。
操作表示部81の表示部には作業者の設定によりラベル装着動作に関する各種の情報が表示される。作業者は、例えば、ラベル装着速度やラベル装着動作の監視内容等の情報を表示させることができる。作業者がラベル装着位置解析部72によるラベル装着位置のずれ状況の表示を選択した場合は、ラベル装着部5でボトルBにラベルLの装着処理が行われる毎にそのラベル装着処理におけるラベル装着位置と基準のラベル装着位置とのずれ量とそのずれ量に基づく第2カム部材562の昇降制御の内容が表示される。
ラベル装着位置解析部72は、カメラ711によるラベル装着時のボトルBにおけるラベルLの装着位置の撮影の制御とカメラ711の撮影画像を用いてラベル装着位置の定量的な解析を行う。ラベル装着位置の定量的な解析は、撮影画像に設けた座標系で各ボトルBにおける基準となるラベル装着位置と実際のラベル装着位置を算出するとともに、基準のラベル装着位置に対する実際のラベル装着位置の位置ずれ(ずれの方向とずれの大きさ)を算出し、その位置ずれのデータを用いてラベル装着位置の補正の要否を判定するものである。ラベル装着位置解析部72による解析結果は制御部8に出力され、制御部8はその解析結果に基づいて第2カム部材562の高さ位置の補正処理を行う。
ラベル装着位置解析部72は、カメラ711の焦点位置(図11のP点参照)を各ボトル持上部533が保持しているボトルBが通過するタイミングでレリーズ信号をカメラ711に出力する。各ボトル持上部533は、ボトル供給周期と同一の周期でP点を通過するから、ラベル装着位置解析部72は、ボトル供給周期と同一の周期でレリーズ信号を繰り返し出力する。
各ボトル持上部533の搬送は支持盤52の回転動作によって行われるので、ラベル装着位置解析部72は、当該支持盤52の回転に同期してレリーズ指令信号を生成する。
例えば、支持盤52のP点方向の線上にセンサを設けるとともに、支持盤52の回転軸に24本のアーム53やラベル装着ヘッド53等にそれぞれセンサの被検出部材を設け、ラベル装着位置解析部72は、センサによる被検出部材の検出信号(パルス信号)に基づいてレリーズ指令信号をカメラ711に出力する。センサとしては、例えば、非接触式の光センサを用いることができる。光センサを用いる場合は、被検出部材として光センサが受光する光を遮光する遮光板を設けるとよい。被検出部材を検出した検出信号はラベル装着ヘッド53がP点の方向を通過するのに同期して出力されるから、このパルス信号は、ボトル持上部533がP点を通過するタイミングを検出している。
ラベル装着位置解析部72から入力されるレリーズ指令信号に応答してカメラ711が撮影動作を行うと、カメラ711では、図13に示すボトルBのラベルLの装着された部分の画像が撮影される。
ラベル装着位置解析部72は、カメラ711から転送される撮影画像を用いてカメラ711で撮影された画像Gから基準のラベル装着位置HとラベルLの実際のラベル装着位置(ラベルLの上辺Sの位置)とを抽出し、両ラベル装着位置H,Sの高さ方向におけるずれ量E[mm]を算出する。
図13の例では、ボトルBの胴部上側の段差の位置Hが基準のラベル装着位置(ラベルLの上辺Sを合わせる位置)に設定されているので、基準のラベル装着位置HとラベルLの上辺Sの位置の高さ方向の距離Dの絶対値|D|[mm]がずれ量となる。撮影画像Gには横方向をx軸、縦方向をy軸とし、例えば、左下隅を原点(0,0)とするxy座標が設定されている。ラベル装着位置解析部72は、撮影画像からボトルBの輪郭線を抽出し、その輪郭線からボトルBの胴部上側の段差の位置Hのy座標YHを算出する。
また、ラベル装着位置解析部72は、ボトルBとラベルLの濃度差からラベルLの上辺Sの位置のy座標YSを算出し、このy座標YSからy座標YHを減算して距離D(=YS−YH)[mm]を算出する。なお、ラベルLには上辺部分に透明部分が設けられているものもあるが、本実施形態に係るラベル装着装置1では、作業者によって図柄部分の上辺SをボトルBの基準のラベル装着位置Hに合わせて装着するように設定されているものとする。
ラベル装着位置解析部72は、作業者によって操作表示部81から入力されているラベル装着不良にならないように設定されている閾値DTH[mm]とずれ量|D|[mm]とを比較し、|D|<DTHであれば、ラベル装着位置は「補正不要」と判定し、|D|≧DTHであれば、ラベル装着位置は「補正要」と判定する。そして、ラベル装着位置解析部72は、補正不要の判定の場合は撮影画像G、算出した距離D、判定結果のデータを制御部8に出力し、補正要の判定の場合は撮影画像G、算出した距離D、判定結果のデータに加えて−D[mm]を第2カム部材562の高さの補正値として制御部8に出力する。
データ記憶部82は、ラベル装着位置解析部72から入力される撮影画像G、算出した距離D、判定結果のデータをボトルBの番号(若しくはラベルL)の番号に対応付けて記憶する。RAMの中の所定の記憶領域がデータ記憶部82として割り当てられている。
サーボアンプ83とパルスエンコーダ84は、モータ565G(第2カム部材562の昇降動作の駆動源)の回転量を制御するサーボ機構の構成要素である。パルスエンコーダ84はモータ565Gのロータに固着された光電式ロータリーエンコーダである。モータ565Gのロータが回転すると、パルスエンコーダ84から1回転当たり所定数のパルスが出力される。パルスエンコーダ84から出力されるパルスは制御部8に入力される。
サーボアンプ83は、制御部8からの駆動開始と駆動停止の制御信号に基づいてモータ565Gの回転駆動を制御する。制御部8は、ラベル装着位置解析部72から第2カム部材562の高さの補正値−D[mm]が入力されると、ずれ量|−D|[mm]をモータ565Gの回転量(パルスエンコーダ84のパルス数)に変換し、サーボアンプ83に駆動方向と駆動開始の指令信号を出力する。駆動方向の信号は、補正値−Dが負の場合は第2カム部材562の高さを下げる方向(図7でモータ565Gを時計回りに回転する方向)の信号であり、補正値−Dが正の場合は第2カム部材562の高さを上げる方向(図7でモータ565Gを反時計回りに回転する方向)の信号である。
サーボアンプ83は、制御部8から駆動方向と駆動開始の指令信号が入力されると、モータ562Gを支持された方向に回転させる。モータ562Gの回転によりパルスエンコーダ83からパルスが入力されると、制御部8は、そのパルス数をカウントし、そのカウント値がずれ量|−D|から算出したパルス数(目標値)に一致すると、サーボアンプ83に駆動停止の指令信号を出力してモータ562Gを停止させる。これによりラベル装着位置Sが基準のラベル装着位置Hに一致するように第2カム部材562の高さが補正される。
次に、図15のフローチャートを用いてラベル装着位置解析部72によるラベル装着位置補正の処理手順について簡単に説明する。なお、このフローチャートでは、上述した24本のアーム53に図11のP点の方向を通過するタイミングを検出するセンサが設けられている構成を例に説明する。
ラベル装着装置1のラベル装着動作が開始されると、ラベル装着位置解析部72は、センサからラベル装着ヘッド53に設けられた被検出部材の検出信号(各ラベル装着ヘッド53が図11のP点を通過するタイミングを検出した信号)が出力されると(S1:YES)、レリーズ指令信号をカメラ711に出力して撮影動作を行わせる(S2)。その後、カメラ711から撮影画像Gのデータが転送されると(S3)、そのデータをデータ記憶部82に記憶する(S4)。
続いて、ラベル装着位置解析部72は、撮影画像GからボトルBの輪郭線を抽出し、その輪郭線の形状からボトルBの胴部上側の段差の位置H(基準のラベル装着位置)のy座標YHを算出する(S5)。また、ラベル装着位置解析部72は、撮影画像GのボトルBの部分とラベルLの部分の濃度差からラベルLの上辺Sの位置(実際のラベル装着位置)のy座標YSを算出し(S6)、このy座標YSからy座標YHを減算して距離D(=YS−YH)[mm]を算出する(S7)。
続いて、ラベル装着位置解析部72は、作業者によって予め操作表示部81から入力されている閾値DTH[mm]とずれ量|D|[mm]とを比較し(S8)、|D|<DTHであれば(S8:YES)、「補正不要」と判定し、算出したラベル装着位置SのデータYS、ずれ量|D|及び判定結果のデータを撮影画像Gに対応付けてデータ記憶部82に記憶して(S14)、ステップS1に戻る。
一方、|D|≧DTHであれば(S8:NO)、ラベル装着位置解析部72は、「補正要」と判定し、「−D」を第2カム部材562の補正値に設定して解析結果を制御部8に出力する(S9)。制御部8は、ラベル装着位置解析部72で設定された補正値「−D」をモータ565Gの回転量(パルスエンコーダ84のパルス数No)に変換してサーボ制御の目標値を設定し(S10)、補正値「−D」の符号に応じた回転方向と駆動開始の指令信号をサーボアンプ83に出力してモータ565Gを駆動させる(S11)。
制御部8は、パルスエンコーダ84から出力されるパルスをカウントし、そのカウント値Ncが目標値Noに一致すると(S12:YES)、駆動停止の指令信号をサーボアンプ83に出力してモータ565Gを停止させる(S13)。そして、制御部8は、算出したラベル装着位置SのデータYS、ずれ量|D|及び判定結果のデータを撮影画像Gに対応付けてデータ記憶部82に記憶して(S14)、ステップS1に戻る。
上記のように、本実施形態に係るラベル装着装置1では、筒状に開口・拡開した伸縮性を有するラベルLの下側からボトルBを上昇させて当該ラベルBに当該ラベルLを装着する処理において、ボトルBのラベルLが装着された部分をカメラ711で撮影し、その撮影画像Gを用いてボトルBにおける基準のラベル装着位置YHに対する実際のラベル装着位置YSの位置ずれD=YS−YHを算出し、その位置ずれの大きさ|D|が所定の閾値DTH以上の場合、D>0であれば、ラベル拡開部532の高さ位置を−D[mm]だけ下げる補正をし、D<0であれば、ラベル拡開部532の高さ位置を+D[mm]だけ上げる補正をして、自動的に実際のラベル装着位置を基準のラベル装着位置に一致させるようにしているので、ラベル装着装置1の稼働率を低下させることなくラベル装着位置1の調整を行うことができる。
また、作業者がラベル装着装置1を停止させてラベル拡開部532の高さ位置を調整する作業が不要になるので、ラベル装着位置の位置ずれ調整の労力と時間を大幅に低減することができる。
また、カメラ711の撮影画像Gのデータとラベル装着位置の補正の要否判定に利用したデータをデータ記憶部82に保存しているので、作業者はラベル装着装置1のメンテナンス時にそのデータを用いてラベル装着状態の解析を行うことができる。
上記実施形態では、第2カム部材562を垂直に上下動させてカム面56aの高さを変化させていたが、図16に示すように、第2カム部材562を横方向にスライドさせてカム面56aの高さを調整する構成にしてもよい。また、上記実施形態では、第2カム部材562の全体を上下動させていたが、図17に示すように、第1カム部材561のボトル装着動作が行われる部分(図11のP点を含む部分)に上下動可能にカム片561aを設け、このカム片561aの高さ位置を調整する構成にしてもよい。
第2カム部材562を垂直に上下動させる方法では、図8に示したように、第3カム部材563と第4カム部材564で第1カム部材561と第2カム部材562の両端部を連結し、第2カム部材562のカム面56aの高さの変動に伴う第1カム部材561と第2カム部材562とを接続部における傾斜角の変動を吸収する構成が必要になるが、第2カム部材562を横方向にスライドさせる方法や第1カム部材561に上下動可能なカム片561aを設ける方法では、第3カム部材563と第4カム部材564が不要になる利点がある。
上記実施形態では、実際のラベル装着位置の位置ずれが所定の閾値以上になると、ラベル拡開部562の高さ位置を調整して位置ずれを補正するようにしているが、ボトルBを上昇させる高さ位置を調整して位置ずれを補正するようにしてもよい。
この場合は、カムフォロア523とカム板54とで構成されるボトル昇降杆522の昇降機構をカムフォロア532Hとカム部材56とで構成されるラベル拡開部562の昇降機構と同様の構成に変更し、昇降可能な第2カム部材562のカム面56aの高さを調整することによってボトル昇降杆522の昇降位置(すなわち、ボトルBの昇降位置)を補正すればよい。
上記実施形態では、実際のラベル装着位置の位置ずれが所定の閾値以上になると、その位置ずれが零になるように(すなわち、実際のラベル装着位置が基準のラベル装着位置になるように)ラベルLの高さ位置を補正したが、実際のラベル装着位置の位置ずれが所定の閾値未満になるように補正してもよい。
また、上記実施形態では、ラベル毎に位置ずれの検出値が所定の閾値以上になると、その検出値に基づいてラベルLの高さ位置の補正値を設定したが、連続した複数の位置ずれの検出値(例えば、ラベル装着部5のラベル装着ヘッド53の数(本実施形態では24本分の位置ずれの検出値))の中から適当な検出値を補正値に設定してもよい。
更に、連続した複数の位置ずれの検出値の平均値DAVEを算出し、その算出値を用いて補正値を設定するようにしてもよい。
図18は、全てのラベル装着ヘッド53の位置ずれの検出値の平均値を用いて第2カム部材の高さ位置を補正する制御手順を示すフローチャートである。
同図に示すフローチャートの制御内容は、ラベル装着部5が1周する周期を単位として、全てのラベル装着ヘッド53(本実施形態では24本)の位置ずれのデータの収集と補正値の設定の処理(補正値設定処理:ステップS21〜S31)とその補正値を用いた第2カム部材の高さ位置の補正の処理(カム補正処理:ステップS32〜S36)とを交互に行う内容である。
補正値設定処理では、ラベル装着位置解析部72は、24本のラベル装着ヘッド53の全てについて、位置ずれのデータD1,D2,…D24を収集し、収集した24個のデータの平均値DAVE=ΣDi/N(i=1,2,…24、N=24)を算出する(ステップS1〜S27)。ステップS22〜S25の処理は、図15のフローチャートのステップS1〜S7の処理と同様の内容を簡略して記載したものであり、24本のラベル装着ヘッド53について各ラベル装着ヘッド53がラベル装着したラベルLの位置ずれを算出する処理に相当している。
ラベル装着部5が1周すると、i=Nとなるから(S26:YES)、ラベル装着位置解析部72は、ステップS27に移行して位置ずれの平均値DAVEを算出し、更にその平均値の絶対値|DAVE|を閾値DTHと比較して第2カム部材562のカム面56aの高さの補正の要否を判定する(S28)。ラベル装着位置解析部72は、|DAVE|<DTHであれば(S28:YES)、「補正不要」と判定し、収集した位置ずれDi、平均値DAVE、判定結果等のデータを撮影画像Gと共にメモリ記憶部82に記憶した後(S29)、ステップS21に戻り、次の周について同様の処理を行う。
一方、DTH≦|DAVE|であれば(S28:NO)、ラベル装着位置解析部72は、「補正要」と判定し、位置ずれの平均値DAVEをラベル装着ヘッド53の数Nで除して補正ピッチΔD=DAVE/Nを算出する(S30)。補正ピッチは、次の周でラベル装着ヘッド53がボトルBの間隔DBだけ搬送される毎に第2カム部材562のカム面56aの高さを補正する補正量である。従って、制御部8は、次の周でラベル装着部5が1周する間に第2カム部材562のカム面56aの高さを補正ピッチで段階的に位置ずれの平均値DAVEだけ補正する。
ラベル装着位置解析部72は、補正ピッチΔDを算出すると、収集した位置ずれDi、平均値DAVE、補正ピッチΔD、判定結果等のデータを撮影画像Gと共にメモリ記憶部82に記憶した後(S31)、解析結果を制御部8に出力する。制御部8は、補正ピッチ|ΔD|をモータ565Gの回転量(パルスエンコーダ84のパルス数Δn)に変換し(S32)、センサがラベル装着ヘッド53の被検出部材の検出信号を出力するまでの間にモータ565Gをパルス数Δnだけ駆動して第2カム部材562のカム面56aの高さをΔDだけ補正する(S33〜S35)。
ラベル装着ヘッド53がボトルBの間隔DBだけ搬送されると、センサからラベル装着ヘッド53の被検出部材の検出信号が出力されるから(S35:YES)、制御部8は、ステップS34に戻り、モータ565Gをパルス数Δnだけ駆動して第2カム部材562のカム面56aの高さを更にΔDだけ補正する(S34)。制御部8は、以下、この補正処理をiがNになるまで繰り返す(S34〜S37のループ)。この補正処理により、ラベル装着部5が補正値設定処理の周からカム補正の周に入ると、n番目のラベル装着ヘッド53の位置ずれはDnから(Dn−n・ΔD)に補正される。従って、24番目(最後)のラベル装着ヘッド53の位置ずれは、D24から(D24−24・ΔD)に補正され、その位置ずれ(D24−24・ΔD)は最小(ほぼ0に近い値)になる。
図18に示す位置ずれの補正制御では、ラベル装着部5の1周を単位として位置ずれの状態を監視し、「補正要」の判定が出力されると、次のラベル装着部5の周回期間で第2カム部材562のカム面56aの高さを補正するので、位置ずれが大きい場合でも第2カム部材562のカム面56aの高さ補正を確実に行うことができる。
なお、図18では、ラベル装着部5のラベル装着ヘッド53の数だけラベル装着処理が行われると、必要に応じて第2カム部材562のカム面56aの高さ補正をしているが、ラベル装着処理数や高さ補正の要否判定の周期は任意に設定することができる。また、図18では、第2カム部材562のカム面56aの高さ補正の期間としてラベル装着部5が一周する期間に設定しているが、1/4周や半周や2周などの任意の期間を設定することができる。
図18では、補正の要否判定データとして24個の位置ずれD1,D2,…D24の平均値DAVEを用いているが、ステップS27で24個の位置ずれD1,D2,…D24の中の所定の位置ずれデータ(例えば、最大値DMAX)を算出し、その位置ずれデータを用いて補正の要否と第2カム部材562のカム面56aの高さ補正をするようにしてもよい。
上記実施形態では、ボトルBの上方位置でラベルLを筒状に開口・拡開して待機させ、ボトルBを上昇させて相対的にラベルLをボトルBに被せる装着動作をする方式について説明したが、本発明は、筒状に開いたラベルLを下降させてボトルBに被せる装着動作をする方式であっても適用することができる。すなわち、カム部材とカムフォロアとによるカム機構によってボトルBの昇降動作とラベルLの昇降動作を行う構成を備えるラベル装着装置であれば、カム部材をカム面の高さが固定の第1のカム部材と、カム面の高さが可変の第2のカム部材と、第1のカム部材の両端部と第2のカム部材の両端部を連結する第3,第4のカム部材とで構成し、カメラ711の撮影画像Gを用いて算出したラベル装着位置の補正値によって第2のカム部材のカム面の高さ位置を調整することにより、ボトルBの上昇位置若しくはラベルLの高さ位置(待機位置)を補正する構成にすればよい。
また、所定の閾値は、ラベルの装着不良が生じる値(良否判定の境界となる値)でもよいが、その値よりも僅かに小さい値(良品の範囲の値)に設定してもよい。このようにすると、不良が生じる前に位置ずれが補正できるため、不良の発生を低減することができる。なお、不良ラベルの混入等で異常に大きな位置ずれが単発的に検出されるような場合は、その検出値を無視し、ラベルLの高さ位置の補正をしないようにするとよい。