JP5885299B2 - スキマー型インターフェース構造 - Google Patents

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Description

本発明は、ガス分析のためのガス導入機構として用いられるスキマー型インターフェース構造に関する。
近年、加熱により試料から発生したガス(気体成分)を分析する発生気体分析(Evolved Gas Analysis:EGA)が様々な分野で活用されている。EGAには、加熱条件や分析手法等について種々のものがあるが、その一つとして、試料を昇温させたときに当該試料から脱離するガスを分析する昇温脱離ガス分析法(Temperature Programmed Desorption
:TPD)がある。また、脱離したガスに対しては、例えば質量分析(Mass Spectrometry:MS)を行うことが知られている。さらに、最近では、例えば昇温脱離ガス質量分析
(TPD−MS)と併せて、加熱によって生じる試料の重量変化を検知する熱重量測定(Thermogravimetry:TG)や、加熱しながら試料と基準物質の温度差を検知して当該試料の熱特性を測定する示差熱分析(Differential Thermal Analysis:DTA)等を行うこ
とも知られている。
このようなEGA等の実施に際しては、例えばTPD−MSであれば、試料加熱は大気圧下で行われるのに対して、質量分析は高真空中で行われるので、大気圧と高真空との間を繋ぐガス導入機構としてのインターフェース構造が必要となる。インターフェース構造としては、オリフィスを有した二重管による差動排気を利用したスキマー型インターフェース構造が用いられつつある(例えば、特許文献1,2参照)。スキマー型インターフェース構造は、長い導入経路を要さない構造であるため、一定長さの細管(キャピラリー)を利用したキャピラリー型インターフェース構造に比べて多くの利点を有している。
特許第3947789号公報 特開2005−127931号公報
ところで、EGA等を行う分析装置に対しては、一般に、高感度なガス分析(分析感度の向上)が求められている。ガス分析の感度向上を図るためには、試料から発生したガスを効率的に高真空中へ導入すればよいと考えられる。ここで「効率的」とは、試料から発生したガスを、濃度が高い状態のまま、また沸点以上の温度状態を保ったまま(すなわちガス損失を少なく)、高真空中へ導入可能にすることをいう。
スキマー型インターフェース構造の場合、試料から発生したガスを高真空中へ導入するためには、当該ガスが細孔であるオリフィスを通過する必要がある。
しかしながら、従来におけるスキマー型インターフェース構造では、試料から発生したガスがオリフィスを通過する前に拡散してしまい、オリフィスを通じた効率的なガス導入が行えないおそれがある。
本発明は、効率的なガス導入を実現可能にすることで、ガス分析の感度向上が図れるスキマー型インターフェース構造を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出されたものである。
本発明の第1の態様は、二重管による二重オリフィスを有したスキマー部が試料ホルダ部に置かれた測定試料を臨むように配置された状態で、前記測定試料に対する加熱により当該測定試料から発生する気体成分を、前記試料ホルダ部の側から前記スキマー部の側へ向けて形成されるキャリアガス流を用いつつ、前記二重オリフィスを介して前記二重管の内側管に連通する真空室へ導入するように構成されたスキマー型インターフェース構造において、前記スキマー部に付随して設けられた筒状体を備え、前記筒状体は、前記キャリアガス流の流れ方向に沿って延びるように配置され、当該流れ方向の上流側端に開口を有し、当該上流側端が前記測定試料の位置まで延び当該測定試料の少なくとも一部を筒内に囲うように形成されていることを特徴とするスキマー型インターフェース構造である。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の発明において、前記筒状体は、少なくとも前記スキマー部の先端オリフィス部の近傍位置から前記測定試料の位置まで連続して延びるように形成されていることを特徴とする。
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載の発明において、前記筒状体は、前記スキマー部の管外周形状に対応する筒内周形状を有しており、当該管外周形状への当該筒内周形状の嵌合によって前記スキマー部に装着されるように形成されていることを特徴とする。
本発明の第4の態様は、第3の態様に記載の発明において、前記筒状体は、高い熱伝導性を有する材料によって、前記流れ方向の下流側端が少なくとも前記スキマー部の管外周部分と重なる位置まで延びるように形成されていることを特徴とする。
本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれか1態様に記載の発明において、前記真空室は、ガス分析装置または質量分析装置の一部を構成するものであることを特徴とする。
本発明の第6の態様は、第1から第5のいずれか1態様に記載の発明において、前記試料ホルダ部は、発生気体分析装置、昇温脱離ガス分析装置または熱重量測定装置の一部を構成するものであることを特徴とする。
本発明の第7の態様は、二重管による二重オリフィスを有したスキマー部が試料ホルダ部に置かれた測定試料を臨むように配置された状態で、前記測定試料に対する加熱により当該測定試料から発生する気体成分を、前記試料ホルダ部の側から前記スキマー部の側へ向けて形成されるキャリアガス流を用いつつ、前記二重オリフィスを介して前記二重管の内側管に連通する真空室へ導入するように構成されたスキマー型インターフェース構造において、前記測定試料から発生する気体成分を前記二重オリフィスへ向けて案内する機能を有した筒状体がスキマー部に付随して設けられていることを特徴とするスキマー型インターフェース構造である。
本発明の第8の態様は、第7の態様に記載の発明において、前記筒状体は、前記測定試料の周辺領域と前記スキマー部の管内領域との間の温度差を緩和する機能をも有していることを特徴とする。
本発明によれば、測定試料からの気体成分の拡散抑制により、当該気体成分の効率的な真空室への導入が実現可能となり、当該気体成分に対する分析結果の感度向上が図れるようになる。
本発明に係るスキマー型インターフェース構造を備えたTG−DTA−PIMSシステムの概略構成例を示すブロック図である。 本発明に係るスキマー型インターフェース構造の一具体例を模式的に示す構成図である。 亜鉛アセチルアセトナートのマススペクトルを例示する説明図である。 亜鉛アセチルアセトナートについて、m/z262のイオン検出強度の具体例を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
本実施形態では、以下の順序で項分けをして説明を行う。
1.システム全体の概略構成
2.スキマー型インターフェース構造の構成
3.ガス分析の動作例
4.本実施形態の効果
5.変形例等
<1.システム全体の概略構成>
ここでは、示差熱天秤(TG−DTA)と光イオン化(Photoionization:PI)法に
よる質量分析(MS)を組み合わせた同時示差熱天秤−質量分析法(TG−DTA−PIMS)を実施するシステムにおいて、TG−DTAとMSとを繋ぐガス導入機構に、本発明に係るスキマー型インターフェース構造を適用した場合を例に挙げる。
図1は、本発明に係るスキマー型インターフェース構造を備えたTG−DTA−PIMSシステムの概略構成例を示すブロック図である。
図例のシステムは、大別すると、システム全体の制御を行う主制御装置1と、TG−DTA装置2と、PIMS装置3と、これらの間を繋ぐスキマー型インターフェース部4と、を備えて構成されている。これらのうちのスキマー型インターフェース部4に、本発明に係るスキマー型インターフェース構造が適用されている。
(主制御装置)
主制御装置1は、所定プログラムを実行するコンピュータとしての機能を有し、処理動作を制御する指令をTG−DTA装置2やPIMS装置3等に与え、またTG−DTA装置2やPIMS装置3等から受け取った出力信号に基づき操作者等に対する情報出力を行う装置である。主制御装置1には、入出力インターフェースを介して、プリンタ装置、ディスプレイ装置、情報入力装置等が接続されている。プリンタ装置は、静電転写プリンタ、インクジェットプリンタ、その他任意のプリンタによって構成される。また、ディスプレイ装置は、CRT(Cathode-ray Tube)ディスプレイ、フラットパネルディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)、その他任意のディスプレイ機器によって構成される。また、情報入力装置は、キーボード式入力器、マウス式入力器、その他任意の入力機器によって構成される。
(TG−DTA装置)
TG−DTA装置2は、TG(熱重量測定)とDTA(示差熱分析)との両方を併せて行う装置である。そのために、TG−DTA装置2は、試料室R0を形成する例えば石英ガラス製のケーシング21と、ケーシング21の周囲に設けられた加熱炉22と、ケーシング21の内部に設けられた天秤ビーム23a,23bと、TG−DTA制御装置24とを有する。
ケーシング21には、配管25を介して、ガス供給源26が接続されている。ガス供給源26は、ヘリウム(He)等の不活性ガスを、キャリアガスとして放出する。
加熱炉22は、例えば通電によって発熱する発熱線を熱源とする加熱装置によって構成されており、TG−DTA制御装置24からの指令に従って発熱し、さらに必要に応じて冷却される。
天秤ビーム23a,23bには、温度が変動しても物性変化を生じない物質である標準物質S0を支持した天秤ビーム23aと、測定対象である試料S1を支持した天秤ビーム23bとがある。つまり、天秤ビーム23aの一端には、標準物質ホルダ部が形成されており、その標準物質ホルダ部に標準物質S0が置かれるようになっている。また、天秤ビ
ーム23bの一端には、試料ホルダ部が形成されており、その試料ホルダ部に測定対象である試料S1が置かれるようになっている。
TG−DTA制御装置24は、コンピュータ、シーケンサ、専用回路等によって構成されており、主制御装置1からの指令に基づいて作動する。
上述した構成のTG−DTA装置2においては、加熱炉22が所定の昇温プログラムに従って発熱すると、これにより試料室R0内の試料S1が加熱されて昇温する。そして、昇温する試料S1がそれ自身の特性に従って熱的に変化(例えば、分解)すると、試料S1に重量変化が発生し、同時に試料S1からガス(気体成分)が発生する。
このような状況の下、TG−DTA装置2は、TG(熱重量測定)として、天秤ビーム23a,23bの動きを検知することにより、標準物質S0と試料S1との重量差(ΔG)を測定し、その重量差(ΔG)を示す信号およびその重量差が生じたときの温度(T)を示す信号を出力する。また、TG−DTA装置2は、DTA(示差熱分析)として、標準物質S0の温度および試料S1の温度を検出して、それらの温度差(ΔT)を示す信号およびその温度差が生じたときの温度(T)を示す信号を出力する。信号の出力先は、主制御装置1である。
(PIMS装置)
PIMS装置3は、スキマー型インターフェース部4によってケーシング21の内部と繋がっており、温度変化する試料S1から発生する何等かの脱離ガス(気体成分)を受け取って、その脱離ガスについての質量分析(MS)を行う装置である。質量分析(MS)は、光イオン化(PI)法によって行う。PI法によれば、例えば有機化合物から成る混合ガスをリアルタイムに質量分析する場合に、スペクトルが複雑になっても、ガス分子を壊さずに、分子イオン状態のまま計測することが可能になる。ただし、イオン化方法は、必ずしもPI法に限定されることはなく、電子衝突イオン化(Electron-Ionization:E
I)法または化学イオン化(Chemical-Ionization:CI)法によって行ってもよいし、
あるいはそれぞれのイオン化モード選択を可能にすることも考えられる。
このような質量分析(MS)を行うために、PIMS装置3は、分析室R1を形成するケーシング31と、分析室R1内に設けられたイオン化装置32、イオン分離装置33およびイオン検出装置34と、質量分析制御装置35とを有する。
ケーシング31には、ターボ分子ポンプ36aおよびロータリーポンプ36bが付設されている。ロータリーポンプ36bは分析室R1内の圧力を粗く減圧し、ターボ分子ポンプ36aはロータリーポンプ36bによって粗く減圧された分析室R1内を真空状態またはそれに近い減圧状態へとさらに減圧する。このような減圧によって、ケーシング31が形成する分析室R1内は、高真空雰囲気が形成されてその状態が保持され、試料S1から発生した脱離ガスが導入されることになる。なお、分析室R1内の圧力は圧力計であるイオンゲージ36cによって検出され、その検出結果は電気信号として圧力制御装置37へ送られる。
イオン化装置32は、分析室R1内に導入された脱離ガスをイオン化する。例えばPI法による場合であれば、イオン化装置32として真空紫外(VUV)光ランプを用い、そのランプからのVUV光によって脱離ガスをイオン化する。VUV光を用いれば、速い速度で広がって進行する脱離ガスの全体を短時間で十分にイオン化することができる。
イオン分離装置33は、イオン化装置32でのイオン化によって得られたイオンを、分子の質量電荷比ごとに分離する。イオンの分離は、例えば4つの電極を有する四重極フィルタを用いて行う。四重極フィルタを用いる場合には、周波数が経時的に変化する高周波交流電圧と所定の大きさの直流電圧とが重畳された状態の走査用電圧を4つの電極に印加することにより、それら4つの電極の間を通過するイオンが分子の質量電荷比ごとに分離され、分離された1つのイオンが後段のイオン検出装置34へ送られることになる。
イオン検出装置34は、イオン分離装置33によって分離されたイオンの強度を検出す
る。具体的には、例えばイオン偏向器および電子増倍管を有し、イオン分離装置33の四重極フィルタによって選択されたイオンについて、イオン偏向器によって電子増倍管へ集めた上で電気信号として質量分析制御装置35へ出力する。
質量分析制御装置35は、コンピュータ、シーケンサ、専用回路等によって構成されており、主制御装置1からの指令に基づいて作動しつつ、イオン化装置32、イオン分離装置33およびイオン検出装置34の各要素の動作を制御する。また、質量分析制御装置35の中には、イオン検出装置34によって検出されたイオンの強度を演算するエレクトロメータが含まれている。
上述した構成のPIMS装置3においては、試料S1から発生する分解、昇華、蒸発、燃焼などに伴う何等かの脱離ガス(気体成分)が、TG−DTA装置2からスキマー型インターフェース部4を通じて分析室R1内へ導入されると、その脱離ガスをイオン化し、分子の質量電荷比ごとに分離した後に、分離されたイオンの強度を演算する。そして、PIMS装置3は、分析室R1内へ導入されたガスの質量電荷比(m/z値)やイオン強度等の測定結果を示す信号を出力する。信号の出力先は、主制御装置1である。
<2.スキマー型インターフェース構造の構成>
次に、TG−DTA装置2とPIMS装置3との間を繋ぐスキマー型インターフェース部4、すなわち本発明に係るスキマー型インターフェース構造の一具体例について説明する。
図2は、本発明に係るスキマー型インターフェース構造の一具体例を模式的に示す構成図である。
(基本構成)
先ず、スキマー型インターフェース部4の基本的な構成について説明する。
スキマー型インターフェース部4は、大気圧である試料室R0内と高真空となる分析室R1内との間を繋ぐガス導入機構として機能するものであり、オリフィスを有した二重管による差動排気を利用するように構成されたものである。
詳しくは、スキマー型インターフェース部4は、内側管41とこれを包囲する外側管42との二重管によって構成されるスキマー部40を備えている。内側管41および外側管42は、例えばアルミナやムライト等のセラミック材料によって形成されている。内側管41および外側管42のそれぞれには、試料室R0側の端部にオリフィス(すなわち微細孔)が形成されており、これに対向する分析室R1側の端部にオリフィス効果を奏しない普通の大きさの開口が形成されている。オリフィスの径は、例えば100μm程度である。このような構成により、スキマー部40は、外側管42における第1オリフィスと内側管41における第2オリフィスからなる二重オリフィスを有することになる。
二重管を構成する内側管41の管内は、分析室R1側の開口を通じて、高真空となる分析室R1に連通している。
一方、内側管41と外側管42との間の空間は、中間減圧室43として機能するようになっている。中間減圧室43は、流量調整手段としてのマスフローメータ44を介して、排気手段としてのロータリーポンプ36bと接続している。そして、ロータリーポンプ36bの排気作用により、中間減圧室43の内部については、外側管42より外方の空間(すなわち、試料室R0内)よりも低圧な状態に設定し得るようになっている。また、中間減圧室43(すなわち排気流の上流側)とロータリーポンプ36b(すなわち排気流の下流側)との間に介在するガス流路45は、その途中にマスフローメータ44が配されており、さらにマスフローメータ44よりも中間減圧室43に近い側(すなわち排気流の中間位置)にはガス供給源46が接続されている。そして、圧力制御手段37による制御に従いつつ、ガス供給源46が空気や不活性ガス(例えばヘリウムガス)等のガスを中間減圧
室43内へ供給することで、当該中間減圧室43の内圧を目標値にすべく調整し得るようになっている。なお、中間減圧室43の内圧は、圧力計であるクリスタルゲージ47によって検出され、その検出結果は電気信号として圧力制御装置37へ送られて、ガス供給源46に対するフィードバック制御に用いられる。
このような構成により、スキマー部40では、外側管42の外部(すなわち、試料室R0の内部)を大気圧にし、中間減圧室43内を中間の圧力にし、そして内側管41の内部(すなわち、分析室R1の内部)を高真空圧に、それぞれ設定してそれらの圧力を保持することができる。例えば、試料室R0を10Pa程度の大気圧に保持し、中間減圧室43内を10Pa程度の中間圧力に保持し、そして分析室R1の内部を10-3Pa程度の真空状態に保持することができる。このように、大気圧と高真空圧との間を排気によって中間圧力とする構造は、差動排気構造と呼ばれることがある。
差動排気構造は、互いに圧力が異なる試料室R0と分析室R1との間の圧力差を維持しつつ、試料室R0内で発生した脱離ガスを内側管41によって分析室R1へ搬送するという機能を確実に達成するための構造である。このような差動排気構造において、内側管41および外側管42の試料室R0側の端部を二重オリフィスとし、これに対向する分析室R1側を普通の開口としておけば、試料S1から発生した脱離ガスを二重オリフィスによって効率的に収集して、なおかつ、効率的に分析室R1へ導入することが実現可能となる。
スキマー部40は、試料S1から発生した脱離ガスを収集するために、二重オリフィスの形成端側の部分が試料室R0内に位置するとともに、その二重オリフィスが形成された先端部分(以下「先端オリフィス部」という。)48が試料室R0内の試料ホルダ部に置かれた試料S1を臨むように配置される。このとき、試料室R0内には、配管25を介してガス供給源26からキャリアガスが放出されており、これにより試料S1が置かれた試料ホルダ部の側からスキマー部40の側へ向けてキャリアガス流F0が形成されている。したがって、スキマー部40は、試料S1から発生した脱離ガスの収集を、試料ホルダ部の側からスキマー部40の側へ向けて形成されるキャリアガス流F0を用いつつ行うことになる。そして、収集した脱離ガスを、内側管41と外側管42との二重管による二重オリフィスを通じて、その内側管41の開口形成側端に連通する分析室R1へ導入するのである。
(特徴的な構成)
続いて、本実施形態におけるスキマー型インターフェース部4の特徴的な構成について説明する。
本実施形態におけるスキマー型インターフェース部4は、スキマー部40に付随して設けられた筒状体50を備えている点に大きな特徴がある。
「付随して」とは、スキマー部40に装着可能に設けられていること、またはスキマー部40の一部として設けられていることを意味する。ここでは、スキマー部40に装着可能に設けられている場合を例に挙げて、以下の説明を行う。
なお、筒状体50については、その詳細を後述する。
(筒状体の必要性)
上述したように、スキマー部40は、試料室R0内に形成されたキャリアガス流F0を用いつつ、試料S1から発生した脱離ガスを収集し、二重オリフィスを通じて収集した脱離ガスを分析室R1へ導入するように構成されている。このような構成においては、分析室R1におけるガス分析の感度向上を図るべく、試料S1から発生した脱離ガスを効率的に高真空中へ導入することが望ましい。効率的なガス導入のためには、試料S1から発生
した脱離ガスを、(イ)濃度が高い状態のまま分析室R1へ導入し、さらには(ロ)沸点以上の温度状態を保ったまま分析室R1へ導入すればよいと考えられる。
これらの点につき、本願発明者は、鋭意検討を重ねた。そして、上記(イ)については、試料S1から発生した脱離ガスが試料室R0内に拡散して、そのガス濃度が希釈化されてしまうと、濃度が高い状態のままの脱離ガス導入が困難になることから、何らかの手段によって試料S1からの脱離ガスの拡散を抑制すればよいのではないかとの新たな着想を得た。また、上記(ロ)については、試料室R0内での試料S1に対する加熱によって脱離ガスが発生するところ、試料室R0内の温度に比べてスキマー部40の管内が低温であると、ガス導入時の温度低下により脱離ガスの凝縮等が生じ得ることから、これを回避して沸点以上の温度状態を保ったまま脱離ガスを分析室R1へ導入すべく、何らかの手段によって試料室R0内とスキマー部40の管内との温度差を緩和すればよいのではないかとの新たな着想を得た。
筒状体50は、以上に説明した新たな着想に基づいて、効率的なガス導入のために案出されたものである。
(筒状体の具体例)
ここで、筒状体50の具体的な構成例について、図2を参照しながら説明する。
筒状体50は、筒のように形成された構造体であり、試料室R0内におけるキャリアガス流F0の流れ方向に沿って延びるように配置されている。なお、筒状体50は、筒のように形成されていれば、その断面形状を問わず、円筒状や角筒状等のいずれであってもよい。さらには、筒のように形成されていれば、必ずしもその断面形状が閉じていなくてもよく、スリットや切欠き等を有して構成されていてもよい。
筒状体50は、キャリアガス流F0の流れ方向の上流側端に開口51を有している。そして、開口51を有する上流側端が、少なくとも試料室R0内における天秤ビーム23bの試料ホルダ部の位置まで延びており、その試料ホルダ部に置かれた試料S1の少なくとも一部を筒内に囲うように形成されている。試料S1の少なくとも一部を囲うものであれば、筒状体50は、当該試料S1の全部を囲うものであってもよい。つまり、筒状体50の上流側端は、試料ホルダ部の位置を超えて、さらにキャリアガス流F0の上流側まで延びるものであってもよい。また、筒状体50は、試料S1を筒内に囲うものであれば、当該試料S1と併せて標準物質S0も筒内に囲うものであってもよい。このように、少なくとも試料S1は、試料室R0を形成するケーシング21(すなわち試料室R0の内壁)とは別個に形成された筒状体50に内包されている。
一方、筒状体50におけるキャリアガス流F0の流れ方向の下流側端は、少なくともスキマー部40の管外周部分と重なる位置まで延びている。つまり、筒状体50は、キャリアガス流F0の流れ方向の上流側端から、当該流れ方向の下流側に向けて連続して(すなわち分断されることなく)延びている。そして、スキマー部40の先端オリフィス部48の近傍位置を超え、さらにキャリアガス流F0の流れ方向の下流側に向けて延びており、その下流側端がスキマー部40の管外周部分と重なる位置まで達している。なお、ここでいう「管外周部分」は、スキマー部40の外側管42における最外周となる部分(最も径が大きい部分)が相当する。
また、筒状体50は、キャリアガス流F0の流れ方向の下流側端にも開口を有しているとともに、筒全体にわたってスキマー部40の管外周形状に対応する筒内周形状を有している。ここで「対応する」とは、両形状が相似して互いに嵌め合い得る関係にあることをいう。そして、筒状体50の筒内を下流側端の開口からスキマー部40へ挿入して、スキ
マー部40の管外周形状と筒状体50の筒内周形状とを嵌合させることで、筒状体50がスキマー部40に装着されるように形成されている。
筒状体50の筒内には、スキマー部40の先端オリフィス部48に対応する開孔52を有した隔壁53が設けられている。この隔壁53がスキマー部40における先端オリフィス部48の側の端縁に当接することで、筒状体50は、当該スキマー部40に装着されたときのキャリアガス流F0の流れ方向の位置決めがされるようになっている。
このような構成の筒状体50は、高い熱伝導性を有する材料によって形成されているものが望ましい。ただし、熱伝導率が高くない筒状体であっても、本発明の目的のひとつである試料から発生した脱離ガスをスキマー経由で効率的に高真空の分析室へ導くことが可能である。したがって、熱伝導率が高くない筒状体であったとしても、本発明の第一の目的を達することは可能である。
しかし、高い熱伝導を有する筒状体で装置を構成すると、沸点以上の温度状体を保ったまま、脱離ガスを分析室に導くことができ、より測定精度を上げることが可能となる。
すなわち、高い熱伝導性を有していれば、筒状体50は、試料室R0内の試料S1を加熱する際に、加熱炉22からの熱を遮ってしまうことがない。また、試料S1に対する加熱に伴って、筒状体50の一部分だけが加熱される場合であっても、その熱が筒状体50の全体に伝わることになる。ただし、筒状体50の形成材料は、試料S1が加熱されることから、その加熱温度に対する耐熱性も有しているものとする。このような形成材料としては、例えば白金(プラチナ)、アルミニウム、金、銅等を用いることが考えられる。つまり、本明細書では、断熱材に代表される極端に熱伝導が悪い材料に代表される物質以外の材料を「高い熱伝導性」という。
また、金属に代表される非常に高い伝導率を有する材料により筒状体を形成することにより、より効率的な測定を可能とすることは言うまでもない。
<3.ガス分析の動作例>
次に、上述した構成のTG−DTA−PIMSシステムにおいて、試料S1から発生した脱離ガスに対するガス分析を行う場合の処理動作例を説明する。
ガス分析を行う場合には、先ず、加熱炉22を作動させて、試料室R0内の試料S1を加熱する。このとき、試料S1は筒状体50の筒内に囲われていることから、試料S1に対する加熱は、筒状体50を介して行われることになる。つまり、加熱炉22の発熱により一旦筒状体50が加熱されるとともに、その熱が筒状体50によって遮られることなく当該筒状体50の筒内にも伝わって、試料S1に対する加熱が行われる。
加熱炉22と試料S1との間に介在する筒状体50は、高い熱伝導性を有する材料によって形成されている。したがって、加熱炉22によって加熱されると、筒状体50は、加熱された部分の熱が他部にも伝わり、ある程度の時間が経過した後には筒状体50の全体が均一な温度となるような温度分布を有することになる。
筒状体50を介して加熱された試料S1からは、脱離ガスが発生する。このとき、試料室R0内には、キャリアガス流F0が形成されている。また、スキマー部40の中間減圧室43内は減圧されており、さらに分析室R1内は真空状態に保持されている。したがって、試料S1から発生した脱離ガスは、キャリアガス流F0の流れやスキマー部40の内外圧力差等によって、スキマー部40に向かって流れて行く。
ただし、試料S1から発生した脱離ガスが試料室R0内の全域にわたって拡散してしまうと、当該脱離ガスを濃度が高い状態のままスキマー部40の二重オリフィスを通過することが困難になり得る。具体的には、脱離ガスが拡散すると、その脱離ガスの全てが二重
オリフィスに吸引されずに、一部が先端オリフィス部48を超えてスキマー部40の管外周側へ流れて行くといったことが起こり得る。
この点、本実施形態におけるスキマー型インターフェース部4は、スキマー部40に筒状体50が装着されており、その筒状体50の筒内に試料S1が囲われている。そのため、試料S1から発生した脱離ガスは、試料室R0内の全域への拡散が抑制され、高濃度状態のままスキマー部40の二重オリフィスへ導かれる。つまり、スキマー型インターフェース部4では、筒状体50によって、試料S1から発生する脱離ガスをスキマー部40の二重オリフィスへ向けて案内する機能が実現されるのである。このような整流機能を有する筒状体50がスキマー部40へ装着されていれば、試料S1から発生した脱離ガスは、キャリアガス流F0の流れに逆らって筒状体50の開口51から出て試料室R0内に拡散してしまう可能性が非常に低くなり、筒状体50の筒内壁および隔壁53に規制されつつ開孔52を通じて、高濃度状態のままスキマー部40の二重オリフィスへ導かれることになる。
二重オリフィスへ導かれた脱離ガスは、当該二重オリフィスを構成する第1オリフィスと第2オリフィスとを順に通過する。そして、二重オリフィスの差動排気構造によって、効率的に分析室R1へ導入される。
このとき、スキマー部40に装着されている筒状体50は、全体が均一な温度となるように加熱されている。そして、筒状体50に蓄えられた熱は、隔壁53よりもキャリアガス流F0の流れ方向の上流側では試料S1の周辺領域へ伝わり、また隔壁53よりもキャリアガス流F0の流れ方向の下流側ではスキマー部40の管内領域に伝わる。これにより、試料S1の周辺領域とスキマー部40の管内領域との間で温度差が生じ得る場合であっても、その温度差が緩和されて、それぞれの領域が均一な温度となるような温度分布が得られる。つまり、スキマー型インターフェース部4では、筒状体50によって、上述した整流機能に加えて、試料S1の周辺領域とスキマー部40の管内領域との間の温度差を緩和する機能が実現されるのである。このような均熱機能を有する筒状体50がスキマー部40へ装着されていれば、試料S1から発生した脱離ガスは、温度低下による凝縮等が生じてしまう可能性が非常に低くなり、沸点以上の温度状態を保ったままスキマー部40の管内領域へ導入されることになる。
そして、スキマー部40の二重オリフィスを通じて分析室R1へ導入された脱離ガスは、イオン化装置32でイオン化されて、イオン分離装置33で分子の質量電荷比ごとに分離された後に、イオン検出装置34でイオン強度が検出される。その検出結果は、質量分析制御装置35に送られる。その検出結果を受けて、質量分析制御装置35は、試料S1から脱離する発生ガス量を、例えば試料S1の温度関数として分析し、その分析結果を主制御装置1へ出力する。
以上のような手順を経て、TG−DTA−PIMSシステムは、試料S1から発生した脱離ガスに対するガス分析を行う。
<4.本実施形態の効果>
本実施形態で説明した構成のスキマー型インターフェース部4によれば、以下のような効果が得られる。
本実施形態のスキマー型インターフェース部4では、スキマー部40に筒状体50が装着されている。そして、筒状体50は、キャリアガス流F0の流れ方向に沿って延びるように配置され、当該流れ方向の上流側端に開口51を有し、当該上流側端が試料S1の位置まで延び当該試料S1の少なくとも一部を筒内に囲うように形成されている。このよう
な構成の筒状体50は、試料S1から発生する脱離ガスをスキマー部40の二重オリフィスへ向けて案内する整流機能を実現するものである。したがって、本実施形態のスキマー型インターフェース部4によれば、試料S1から発生した脱離ガスの試料室R0内への拡散を抑制することができ、当該脱離ガスを濃度が高い状態のまま分析室R1へ導入することが可能となる。つまり、上記(イ)についての実現が可能となり、試料S1から発生した脱離ガスを効率的に高真空中へ導入し得るようになるので、分析室R1におけるガス分析の感度向上が図れる。
また、本実施形態で説明した筒状体50は、キャリアガス流F0の流れ方向において、少なくともスキマー部40の先端オリフィス部48の近傍位置から試料S1の位置まで、連続して延びるように形成されている。つまり、少なくとも先端オリフィス部48の近傍位置から試料S1の位置までは、分断されることなく、連続した筒内壁が延びている。したがって、試料S1から発生した脱離ガスの拡散を抑制しつつ、その脱離ガスを確実にスキマー部40の二重オリフィスへ向けて案内し得るようになるので、その二重オリフィスへの効率的なガス導入を達成する上で非常に好適なものとなる。
また、本実施形態で説明した筒状体50は、スキマー部40の管外周形状に対応する筒内周形状を有しており、当該管外周形状への当該筒内周形状の嵌合によってスキマー部40に装着されるように形成されている。したがって、筒状体50のスキマー部40への装着が、簡素な構成によって、容易かつ確実に行われることになる。しかも、筒状体50の筒内周形状をスキマー部40の管外周形状に合わせることで、それぞれの間の隙間から脱離ガスが逃げてしまうといった事態の発生を防止し得るので、この点でも二重オリフィスへの効率的なガス導入を達成する上で非常に好適なものとなる。
また、本実施形態で説明した筒状体50は、高い熱伝導性を有する材料によって形成されており、しかもキャリアガス流F0の流れ方向の下流側部分が少なくともスキマー部40の管外周部分と重なる位置まで延びるように形成されている。このような構成の筒状体50は、試料S1の周辺領域とスキマー部40の管内領域との間の温度差を緩和する均熱機能を実現するものである。したがって、本実施形態の筒状体50によれば、試料S1から発生した脱離ガスの凝縮等を招いてしまうことなく、その脱離ガスを沸点以上の温度状態を保ったまま分析室R1へ導入することが可能となる。つまり、上記(ロ)についての実現が可能となり、試料S1の周辺領域とスキマー部40の管内領域との間の温度分布のばらつきが是正され、試料S1から発生した脱離ガスを効率的に高真空中へ導入し得るようになるので、分析室R1におけるガス分析の感度向上が図れる。
以上のように、本実施形態で説明した筒状体50は、整流機能と均熱機能とを併せ持っている。つまり、筒状体50をスキマー部40に装着するだけで、整流機能と均熱機能とが実現される。したがって、本実施形態の筒状体50を備えたスキマー型インターフェース部4によれば、整流機能と均熱機能との相乗効果により分析室R1におけるガス分析の感度向上を確実に図ることができるとともに、そのためにスキマー部40の周辺に多大なスペースを要してしまうことがなく、非常に簡素な構成でガス分析の感度向上を達成し得るようになる。
<5.変形例等>
以上に本発明の実施形態を説明したが、上述した開示内容は、本発明の例示的な実施形態を示すものである。すなわち、本発明の技術的範囲は、上述の例示的な実施形態に限定されるものではない。
以下に、上述した実施形態以外の変形例について説明する。
上述した実施形態では、スキマー部40とは別体に設けられた筒状体50が当該スキマ
ー部40に装着される場合を例に挙げている。ただし、筒状体50は、スキマー部40に付随して設けられたものであればよく、例えばスキマー部40の一部として当該スキマー部40と一体で形成されたものであってもよい。
また、上述した実施形態では、筒状体50の筒内周形状がスキマー部40の管外周形状に対応しており、両形状の嵌合によって筒状体50がスキマー部40に装着される場合を例に挙げている。ただし、筒状体50の筒内周形状は、スキマー部40の管外周形状に対応していなくてもよい。その場合であっても、例えば何らかの装着器具や装着部材等を介在させれば、スキマー部40への装着が可能となる。
また、上述した実施形態では、筒状体50の筒内に隔壁53が設けられており、その隔壁53によって筒状体50の位置決めがされる場合を例に挙げている。ただし、隔壁53は必須の構成ではなく、他の公知技術を利用して筒状体50の位置決めを行うようにしても構わない。
また、上述した実施形態では、筒状体50が高い熱伝導性を有する材料によって形成され、筒状体50におけるキャリアガス流F0の流れ方向下流側端がスキマー部40の管外周部分と重なる位置まで延びており、筒状体50が均熱機能を実現するものである場合を例に挙げている。このように、筒状体50は、整流機能と均熱機能とを併せ持つことが効率的なガス導入のためには望ましいが、必ずしもこれに限定されることはなく、均熱機能については必須機能ではない。したがって、筒状体50におけるキャリアガス流F0の流れ方向下流側部分は、スキマー部40の管外周部分と重ならないように構成されているもよい。
また、上述した実施形態では、キャリアガス流F0の流れ方向の上流側端から下流側端まで筒状体50が連続して(すなわち分断されることなく)延びている場合を例に挙げている。ただし、筒状体50は、試料S1の少なくとも一部を筒内に囲うように形成されたものであればよく、他の部分に分断された箇所を有していても構わない。少なくとも試料S1を囲う部分を有するように形成されていれば、その試料S1からの脱離ガスに対する拡散抑制効果が得られるので、筒状体50が全く存在しない場合に比べれば、スキマー部40への効率的なガス導入の実現に有効だからである。なお、筒状体50がキャリアガス流F0の流れ方向に分断された構成の場合、その筒状体50については、例えば何らかの装着器具や装着部材等を介在させることで、スキマー部40への装着を行うことが考えられる。
また、上述した実施形態では、キャリアガス流F0の流れ方向の上流側端から下流側端まで、筒状体50が同一の筒内周形状を有している場合(特に筒内径が同一である場合)を例に挙げている。ただし、筒状体50の筒内周形状は、これに限定されるものではなく、キャリアガス流F0の流れ方向の上流側と下流側とで互いに相違するものであってもよい。したがって、筒状体50は、例えば、キャリアガス流F0の流れ方向において、試料S1の近傍位置からスキマー部40の先端オリフィス部48の近傍位置へ向けて狭まるようなテーパ状(漏斗状)部分を有して形成されたものであってもよいし、流れ方向上流側端の開口51から試料S1の近傍位置へ向けて拡がるような逆テーパ状(逆漏斗状)部分を有して形成されたものであってもよい。
また、上述した実施形態では、TG−DTA装置2とPIMS装置3との間を繋ぐスキマー型インターフェース部4に本発明に係るスキマー型インターフェース構造を適用した場合を例に挙げたが、大気圧または低真空の試料室R0と、それよりも低圧(例えば高真空)である分析室R1との間を繋ぐためのスキマー型インターフェース構造であれば、上述した実施形態の場合と全く同様に本発明を適用することができる。具体的には、試料室
R0の側は、発生気体分析装置(EGA装置)全般に適用可能であり、TG−DTA装置2ではなく、他の種類の昇温脱離ガス分析装置(例えばTPD−MS装置)または熱重量測定装置(例えばTG装置やDTA装置等)の一部を構成するものであっても構わない。また、分析室R1の側についても、PIMS装置3ではなく、他の種類のガス分析装置(例えばTPD装置)や質量分析装置(例えばMS装置)等の一部を構成するものであっても構わない。
また、上述した実施形態では、試料室R0内の試料S1に対する加熱を行って、これにより試料S1から発生した脱離ガスを分析する場合を例に挙げている。ただし、試料S1に対する加熱方法や試料S1からのガス発生方法等は、特に限定されるものではない。例えば、試料S1に対する加熱の際には、上述した実施形態の場合とは異なり、加熱促進のために試料S1の周りを金属膜で覆うようにすることも考えられる。また、試料S1の昇温が可能であれば、通電によって発熱する加熱炉22ではなく、他の公知の加熱装置を利用することも考えられる。
次に、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明が、以下の実施例に限定されないことは勿論である。
(実施例1)
実施例1では、上述した実施形態で説明した構成のTG−DTA−PIMSシステムを用いて、筒状体50が装着されている場合における、試料S1からの発生(昇華)ガスの検出強度を確認した。
具体的には、TG−DTA−PIMSシステムとして、株式会社リガク製の示差熱天秤−光イオン化質量分析同時測定装置である「Thermo Mass Photo」を用い、そのスキマー
部40に筒状体50を装着した。なお、試料S1を加熱する加熱炉22は電気炉であり、スキマー部40の形成材料はムライトである。
装着した筒状体50は、白金を形成材料とし、スキマー部40の管外周に嵌合する円筒状に形成され、キャリアガス流F0の流れ方向の上流側端が試料S1の全部を完全に筒内に囲う位置まで延びている。また、上流側端から隔壁53までと同等の長さが、隔壁53を挟んで、流れ方向の下流側にも延びている。このような構成により、装着した筒状体50は、整流機能と均熱機能とを併せ持つものとなっている。
試料S1は、亜鉛アセチルアセトナートである。試料S1に対する測定条件は、雰囲気:He300ml/min、昇温速度:20℃/min、測定温度範囲:RT〜300℃、イオン化法:EI法、測定モード:スキャン、質量数範囲:m/z10〜300、SEM電圧:1400V、試料容器:アルミニウム(Al)である。
図3は、亜鉛アセチルアセトナートのマススペクトルを例示する説明図である。
マススペクトルは、質量分析の結果得られるものであり、横軸にm/z値、縦軸に検出強度をとったスペクトルである。図例のように、亜鉛アセチルアセトナートの場合、m/z262に基準ピーク(最大強度ピーク)があることがわかる。
図4は、亜鉛アセチルアセトナートについて、m/z262のイオン検出強度の具体例を示す説明図である。
図例は、横軸を温度(℃)、縦軸を検出シグナル強度(A/g)として、実施例1における検出結果を実線で示している。実施例1の場合、m/z262の面積強度(Asg-1)は、3.12×10-5であった。
(比較例1)
上述した実施例1との比較のため、比較例1として、筒状体50が装着されていない場合における、試料S1からの発生(昇華)ガスの検出強度を確認した。筒状体50の装着有無を除き、測定条件等は、実施例1の場合と全く同様である。
比較例1における検出結果は、図4中に破線で示している。比較例1の場合、m/z262の面積強度(Asg-1)は、4.50×10-6であった。
(まとめ)
実施例1と比較例1を比較すると、実施例1の場合のほうが比較例1の場合よりも、一桁近く面積強度が増加していることがわかる。つまり、ガス分析の感度につき、実施例1の場合のほうが比較例1の場合に比べて顕著に向上している。これは、スキマー部40に装着した筒状体50の整流機能および均熱機能の相互作用により、ガス分析の際の検出シグナル強度が増加しているためと考えられる。
1…主制御装置、2…TG−DTA装置、3…PIMS装置、4…スキマー型インターフェース部、21…ケーシング、22…加熱炉、23a,23b…天秤ビーム、25…配管、26…ガス供給減、31…ケーシング、32…イオン化装置、33…イオン分離装置、34…イオン検出装置、35…質量分析制御装置、36a…ターボ分子ポンプ、36b…ロータリーポンプ、36c…イオンゲージ、37…圧力制御装置、40…スキマー部、41…内側管、42…外側管、43…中間減圧室、44…マスフローメータ、45…ガス流路、46…ガス供給源、47…クリスタルゲージ、48…先端オリフィス部、50…筒状体、51…開口、52…開孔、53…隔壁、F0…キャリアガス流、R1…分析室、S1…試料

Claims (9)

  1. 二重管による二重オリフィスを有したスキマー部が試料室内の試料ホルダ部に置かれた測定試料を臨むように配置された状態で、前記測定試料に対する加熱により当該測定試料から発生する気体成分を、前記試料ホルダ部の側から前記スキマー部の側へ向けて形成されるキャリアガス流を用いつつ、前記二重オリフィスを介して前記二重管の内側管に連通する真空室へ導入するように構成されたスキマー型インターフェース構造において、
    前記試料室のケーシングとは別に、前記スキマー部に装着可能に設けられ、または前記スキマー部の一部として設けられた筒状体を備え、
    前記筒状体は、前記キャリアガス流の流れ方向に沿って延びるように配置され、当該流れ方向の上流側端に開口を有し、当該上流側端が前記測定試料の位置まで延び当該測定試料の少なくとも一部を筒内に囲うように形成されている
    ことを特徴とするスキマー型インターフェース構造。
  2. 前記筒状体は、少なくとも前記スキマー部の先端オリフィス部の近傍位置から前記測定試料の位置まで連続して延びるように形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載のスキマー型インターフェース構造。
  3. 前記筒状体は、前記スキマー部の管外周形状に対応する筒内周形状を有しており、当該管外周形状への当該筒内周形状の嵌合によって前記スキマー部に装着されるように形成されている
    ことを特徴とする請求項2記載のスキマー型インターフェース構造。
  4. 前記筒状体は、高い熱伝導性を有する材料によって、前記流れ方向の下流側端が少なくとも前記スキマー部の管外周部分と重なる位置まで延びるように形成されている
    ことを特徴とする請求項3記載のスキマー型インターフェース構造。
  5. 前記真空室は、ガス分析装置または質量分析装置の一部を構成するものである
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のスキマー型インターフェース構造。
  6. 前記試料ホルダ部は、発生気体分析装置、昇温脱離ガス分析装置または熱重量測定装置の一部を構成するものである
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のスキマー型インターフェース構造。
  7. 二重管による二重オリフィスを有したスキマー部が試料室内の試料ホルダ部に置かれた測定試料を臨むように配置された状態で、前記測定試料に対する加熱により当該測定試料から発生する気体成分を、前記試料ホルダ部の側から前記スキマー部の側へ向けて形成されるキャリアガス流を用いつつ、前記二重オリフィスを介して前記二重管の内側管に連通する真空室へ導入するように構成されたスキマー型インターフェース構造において、
    前記測定試料から発生する気体成分を前記二重オリフィスへ向けて案内する機能を有した筒状体が、前記試料室のケーシングとは別に、前記スキマー部に装着可能に設けられ、または前記スキマー部の一部として設けられている
    ことを特徴とするスキマー型インターフェース構造。
  8. 前記筒状体は、前記測定試料の周辺領域と前記スキマー部の管内領域との間の温度差を緩和する機能をも有している
    ことを特徴とする請求項7記載のスキマー型インターフェース構造。
  9. 前記筒状体の筒内には、前記スキマー部の先端オリフィス部に対応する開孔を有した隔壁が設けられている
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のスキマー型インターフェース構造。
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