以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。
まず本発明の一実施形態における給湯装置の全体構成について図1〜図3を用いて説明する。
主に図1および図2を参照して、本実施形態の給湯装置100は、排気吸引燃焼方式の潜熱回収型の給湯装置である。この給湯装置100は、筐体1と、バーナ2と、一次熱交換器3と、二次熱交換器4と、排気ボックス5と、ファン200と、接続管73と、ドレンタンク9と、配管10〜16とを主に有している。
バーナ2は、燃料ガスを燃焼させることにより燃焼ガスを生じさせるためのものである。バーナ2にはガス供給配管11が接続されている。このガス供給配管11はバーナ2に燃料ガスを供給するためのものである。このガス供給配管11には、たとえば電磁弁よりなるガス弁(図示せず)が取り付けられている。
バーナ2の上方には点火プラグ2aが配置されている。この点火プラグ2aは、バーナ2に設けられたターゲット(図示せず)との間で点火スパークを生じさせることにより、バーナ2から噴き出された燃料空気混合気に火炎を生じさせるためのものである。バーナ2は、ガス供給配管11から供給された燃料ガスを燃焼することによって熱量を発生する(これを、燃焼動作という)。
主に図14〜図16を参照して、バーナ2は、バーナケース21と、複数の燃焼管22と、点火プラグ2aとを主に有している。複数の燃焼管22の上方には、バーナケース21の壁面に取り付けられた点火プラグ2aが配置されている(図14参照)。燃焼管22は、本体ユニット23と、左右1対の燃焼管ユニット22a,22bと、炎孔部24とを主に有している(図15参照)。
本体ユニット23には、ガス流入口23a,23bが設けられている。本体ユニット23の左右の各々に1対の燃焼管ユニット22a,22bが取り付けられている。燃焼管ユニット22a,22bの内側には、炎孔部24が設けられている。本発明においては、この複数の炎孔部24の開口部を含む平面を基準面400(図16、図2参照)とする。この基準面は、給湯装置100の設置状態において水平な面であることが好ましい。
なお、燃焼管22の炎孔部24は、バーナケース21内の燃焼領域に相当し、燃焼領域は、要求される給湯能力に応じて燃焼ガスの発生量を変更できるように、独立して制御可能な複数の単位領域から構成されている。例えば、各々の単位領域には、異なる数の燃焼管22が収容されており、単位領域ごとに設けられた複数の電磁弁の開閉状態を各々独立に制御することで、燃焼に使用される燃焼管22の本数(給湯装置の段数)を調節することが可能である。また、ガス供給配管10に設けられた比例弁によって、燃焼管22に供給される燃料ガスの量を定格量の範囲内で無段階に調節することが可能である。
主に図2を参照して、一次熱交換器3は顕熱回収型の熱交換器である。この一次熱交換器3は、複数の板状のフィン3bと、その複数の板状のフィン3bを貫通する伝熱管3aと、フィン3bおよび伝熱管3aを内部に収容するケース3cとを主に有している。一次熱交換器3は、バーナ2で発生する燃焼ガスとの間で熱交換を行なうものであり、具体的にはバーナ2の燃焼動作により発生した熱量によって一次熱交換器3の伝熱管3a内を流れる湯水を加熱するためのものである。
主に図2を参照して、二次熱交換器4は潜熱回収型の熱交換器である。この二次熱交換器4は、一次熱交換器3よりも燃焼ガスの流れの下流側に位置し、一次熱交換器3と互いに直列に接続されている。このように本実施形態の給湯装置100は潜熱回収型の二次熱交換器4を有しているため潜熱回収型の給湯装置となっている。
二次熱交換器4は、ドレン排出口4aと、伝熱管4bと、側壁4cと、底壁4dと、上壁4gとを主に有している。伝熱管4bは、螺旋状に巻き回されることによって積層されている。側壁4c、底壁4dおよび上壁4gは、伝熱管4bの周囲を取り囲むように配置されている。
二次熱交換器4においては、一次熱交換器3で熱交換された後の燃焼ガスとの熱交換によって伝熱管4b内を流れる湯水が予熱(加熱)される。この過程で燃焼ガスの温度が60℃程度まで下がることで、燃焼ガス中に含まれる水分が凝縮して潜熱を得ることができる。また二次熱交換器4で潜熱が回収されて燃焼ガス中に含まれる水分が凝縮することによりドレンが発生する。
底壁4dは一次熱交換器3と二次熱交換器4との間を区画するためのものであり、一次熱交換器3の上壁でもある。この底壁4dには開口部4eが設けられており、この開口部4eにより一次熱交換器3の伝熱管3aが配置された空間と二次熱交換器4の伝熱管4bが配置された空間とが連通している。図2の白矢印で示すように、開口部4eを通じて燃焼ガスは一次熱交換器3から二次熱交換器4へ流れることが可能である。この実施形態では簡単化のために二次熱交換器4の底壁4dと一次熱交換器3の上壁とを共通のものとしたが、一次熱交換器3と二次熱交換器4の間に排気集合部材を接続してもよい。
また上壁4gには開口部4hが設けられており、この開口部4hにより二次熱交換器4の伝熱管4bが配置された空間と排気ボックス5の内部空間とが連通している。図2の白矢印で示すように、開口部4hを通じて燃焼ガスは二次熱交換器4から排気ボックス5の内部空間内へ流れることが可能である。
ドレン排出口4aは側壁4cまたは底壁4dに設けられている。このドレン排出口4aは、側壁4c、底壁4dおよび上壁4gによって取り囲まれた空間の最も低い位置(給湯装置の設置状態において鉛直方向の最も下側の位置)であって伝熱管4bの最下端部よりも下側に開口している。これにより二次熱交換器4で生じたドレンを、図2において黒矢印で示すように底壁4dおよび側壁4cを伝ってドレン排出口4aに導くことが可能である。
なお、これらの熱交換器を備える給湯装置を長期間使用すると、供給水中に含まれる塩類が伝熱管3a,4b内壁に缶石として付着する場合がある。また、複数のフィン3bの間が異物や腐食等によって閉塞される場合がある。このような場合には、供給水へ伝達される燃焼ガスの熱量が減少する熱交換不良等によって、燃焼ガスの温度が経時的に上昇することがある。
主に図2および図3を参照して、排気ボックス5は二次熱交換器4とファン200との間の燃焼ガスの流れの経路を構成している。この排気ボックス5により、二次熱交換器4で熱交換された後の燃焼ガスをファン200へ導くことが可能である。排気ボックス5は、二次熱交換器4に取り付けられており、二次熱交換器4よりも燃焼ガスの流れの下流側に位置している。
排気ボックス5は、ボックス本体5aと、ファン接続部5bとを主に有している。ボックス本体5aの内部空間は、二次熱交換器4の開口部4hを通じて二次熱交換器4の伝熱管4bが配置された内部空間に連通している。またボックス本体5aの上部から突き出すようにファン接続部5bが設けられている。このファン接続部5bはたとえば筒形状を有しており、その内部空間5baはボックス本体5aの内部空間と連通している。
主に図3を参照して、ファン200は、二次熱交換器4を経由した(二次熱交換器4で熱交換された)後の燃焼ガスを吸引して給湯装置100の外部へ排出するためのものであり、接続管73に接続されている。
このファン200は、排気ボックス5および二次熱交換器4よりも燃焼ガスの流れの下流側に位置している。つまり給湯装置100においては、バーナ2で生じた燃焼ガスの流れの上流側から下流側に沿って、バーナ2、一次熱交換器3、二次熱交換器4、排気ボックス5、およびファン200の順で並んでいる。この配置において上記のとおりファン200で燃焼ガスを吸引して排気するため、本実施形態の給湯装置100は排気吸引燃焼方式の給湯装置となっている。
ファン200は、ファンケース201と、羽根車62と、駆動源63と、回転軸64とを主に有している。羽根車62およびファンケース201には、樹脂製部品が用いられている。
ファンケース201は、ファンケース201の内部空間とファン接続部5bの内部空間とが連通するように排気ボックス5のファン接続部5bに取り付けられている。これにより図2の白矢印で示すように排気ボックス5のボックス本体5aからファン接続部5bを通じてファンケース6b内に燃焼ガスを吸引することが可能である。
主に図3を参照して、羽根車62は、ファンケース201の内部に収容されている。この羽根車62は、駆動源63に回転軸64を介在して接続されている。これにより羽根車62は駆動源63から駆動力を与えられることにより回転軸64を中心として回転可能である。羽根車62の回転により、排気ボックス5内の燃焼ガスが羽根車62の内周側から吸引されて羽根車の外周側へ排出可能である。図3中の一点鎖線Sは、回転軸64の軸方向を示している。
主に図1および図3を参照して、接続管73の一端側は給湯装置100の外部に配置されており、かつ排気管71abに接続されている。このため、ファン200の羽根車62によって外周側へ排出された燃焼ガスを、接続管73を通じて給湯装置100の外部へ排出することが可能である。接続管73の一端側は、たとえば既設の排気筒内に挿通される排気管(不図示)に接続される。
主に図2を参照して、上記によりバーナ2で生じた燃焼ガスは、上記の羽根車62の回転によってファン200に吸引されることで、図中白矢印で示すように一次熱交換器3、二次熱交換器4および排気ボックス5をこの順で通過した後にファン200に達して給湯装置100の外部へ排気可能である。
主に図1を参照して、ドレンタンク9は、二次熱交換器4で生じたドレンを貯留するためのものであり、このドレンタンク9と二次熱交換器4のドレン排出口4aとはドレン排出管10により接続されている。ドレンタンク9に貯留された酸性のドレンは、例えば、ドレンタンク9の内部空間内に一時的に貯留された後に、通常はドレン排出用配管15から給湯装置100の外部に排出される。
なお、ドレンタンク9の下部は、ドレン排出用配管15とは別にドレン抜き用配管16に接続されている。このドレン抜き用配管16(通常は閉じられている)は、メンテナンス時などにドレン抜き用配管16を開くことで、ドレン排出用配管15からは排出できないドレンタンク9内のドレンを排出することができるように設計されている。またドレンタンク9の内部空間には、酸性のドレンを中和するための中和剤(図示せず)が充填されていてもよい。
主に図1を参照して、ガス供給配管11はバーナ2に接続されている。給水配管12は二次熱交換器4の伝熱管4b(図2参照)に接続されており、出湯配管13は一次熱交換器3の伝熱管3a(図2参照)に接続されている。また、一次熱交換器3の伝熱管3aと二次熱交換器4の伝熱管4bとは接続配管14により相互に接続されている。上記のガス供給配管11、給水配管12および出湯配管13の各々は、たとえば給湯装置100の上部において外部に通じている。
次に、ファンケース201の詳細について説明する。
主に図3、図8および図9を参照して、ファンケース201は、羽根車62に対して熱交換器側と反対側に位置する天井壁201aを有する。なお、天井壁201aは金属製(例えばステンレス製)であるが、ファンケース201のそれ以外の部分に樹脂製部品が使用されている。
天井壁201aには、ファンケース201のファン収容部61の内部に収容された羽根車62と、ファンケース201の外部に配置された駆動源63とを接続する回転軸64が貫通している。周壁61bは、ファンケース201の内部に収容される羽根車62の外周を囲むように配置されている。なお図8において、ファンケース201内の羽根車62が配置される領域Aを斜線のハッチングで示す。
ファンケース201のファン収容部61の底壁61cには、開口61ccが設けられており、開口61ccを介して、ファンケース201の内部空間61d(ファン200の内部空間)とファン接続部5bの内部空間5baとが連通している。底壁61cは、ファン接続部5bとの接続が容易となるように、たとえば筒状の突出部61caを有している。
ファンケース201は、排気接続部71を有する(図3参照)。排気接続部71は、ファン200から送出される燃焼ガスを接続管73に導くための部分であり、ファン収容部61よりも燃焼ガスの流れの経路の下流側に位置している。
排気接続部71は、天井壁71aと、周壁71bと、底壁71cとを主に有し、排気接続部71の内部空間71dとファン収容部61の内部空間61dとが連通し、ファンケース201の内部空間を形成している。なお、ファンケース201の天井壁201aは、ファン収容部61の天井壁61aと排気接続部71の天井壁71aとから構成される。
天井壁71aには、ファン収容部61側から送出された燃焼ガスを給湯装置100の外部へ排出するための排気口71aaが設けられており、排気口71aaの周囲には、接続管73との接続を容易とすべく、筒形状を有する排気管71abが設けられている。周壁71bは、排気接続部71をファン200の回転軸64の軸方向から見た平面視(図8)において、排気口71aaの投影領域B(図8において、排気接続部71内の斜線でハッチングする領域)を囲むように配置されている。
排気接続部71は、さらにドレン排出部72を有する。ドレン排出部72は、ファン200よりも燃焼ガスの流れの経路の下流側のドレンを排出するためのものである。ドレン排出部72は、連結管17により二次熱交換器4に接続される(図2参照)。
ここで、ファン収容部61と排気接続部71との境界は、図8に示す平面視において点線ABで示される。この境界(点線)ABは、舌部61bbと対向する壁面に直交し、かつ舌部61bbの先端61bb1を通る直線である。この境界ABよりも図8中右側の部分が実質的にファンとして機能する部分である。
本明細書においては、ファンケース201のうち、ファン収容部61の下流側に位置し、かつ境界ABを介して「ファン収容部61」と隣接する部分が「排気接続部71」とされている。言い換えれば、ファン収容部61と排気接続部71とは境界ABにおいて互いに接続されている。このため、ファン収容部61の内部空間61dと排気接続部71の内部空間71dとは境界ABにおいて互いに接続されている。
また、ファン200の回転軸64の軸方向から見た平面視(図8)において、ファン収容部61の内部空間と排気接続部71の内部空間との間には、両者の境界の一端側から、ファン収容部61の周壁61bと排気接続部71の周壁71bとの間に向かって、舌部61bbが延在している。また、ファン収容部61の内部空間と排気接続部71の内部空間と境界の他端側において、ファン収容部61の周壁61bと排気接続部71の周壁71bとが直線的に接続されている。
次に、ファンケース201の天井壁201aに設けられた温度センサ81について説明する。
図4〜図6を参照して、本実施形態においては、ファンケース201の天井壁201aに温度センサ81が設けられている。温度センサ81は、一対の電極821,822の先端を収容している。温度センサ81はプレート83と一体化されており、ネジ83aによってプレート83を天井壁201aに固定することで、温度センサ81が天井壁201aに固定されている(図5)。
図6および図7を参照して、天井壁201aには、凹部201aaが設けられている。凹部201aaは、ファンケース201の内部空間側の表面に設けられており、熱交換器から遠ざかる方向に窪んでいる(図7)。なお、凹部201aaには、温度センサ81を挿通させるための孔とネジ83aを螺合させるための孔が設けられている。本実施形態において、温度センサ81はこの凹部201aaに設けられている(図6)。
主に図10および図17を参照して、ファンケース61内に収容されている羽根車62は。羽根車62は、円盤状の主板620と、第1羽根621と、第2羽根622と、シュラウド623とを主に有している。シュラウド623は第1羽根621の全体を覆うように設けられており、その中央部分には開口部623cが開口している。羽根車62は、第2羽根622がファンケース201の天井壁201a側と向かい合うように、ファンケース201内に収容されている(図10)。
羽根車62は、図18に示すようなシュラウド623と第1羽根621とが一体的に形成されてなる第1部品と、図19に示すような主板620と第2羽根622とが一体的に形成されてなる第2部品とから構成されている。
第1部品および第2部品は、第1部品の複数の第1羽根621のそれぞれが、主板620の複数の凹部620cに挿し込まれるように重ねられた状態で、超音波溶着等によって溶着される。このようにして、第1部品と第2部品とが溶着されることで、羽根車62が作製される。超音波等による溶着部は、一般に材料が一旦溶融されることで脆くなり、耐久性や強度が母材よりも低下することが多い。したがって、羽根車62において、このような溶着部は、他の部分よりも熱による破損または劣化が生じやすい部分となる。
図10を参照して、本実施形態においては、給湯装置100の設置状態において、温度センサ81の先端81aの高さ位置は、ファンケース201の天井壁201aの下面の高さ位置と比して、鉛直方向(基準面400に垂直な方向)の下側に位置する。これにより、天井壁201aにドレンが付着した場合でも、そのドレンが飛散して温度センサ81の先端81aに付着することが抑制される。
また、給湯装置100の設置状態において、温度センサ81の先端81aの高さ位置は、羽根車62の羽根(第1羽根621および第2羽根622)の高さ位置の範囲内にあり、羽根車62の溶着部(第1羽根621の上面)の高さ位置に近い位置にある。これにより、本実施形態において、温度上昇によって最も破損、劣化等が生じやすい羽根車62(特にその溶着部)に近い位置で燃焼ガスの温度を検知することができる。このため、温度上昇による羽根車62の破損、劣化等をより確実に抑制することができる。
主に図8を参照して、温度センサ81は、ファン200の回転軸64の軸方向から見た平面視(図8)において、境界AB、排気接続部71の周壁71bの内周面および排気口71aaの接線BBに囲まれる領域Cに含まれる位置に設けられている。ここで「排気口71aaの接線BB」とは、ファン200の回転軸64の軸方向から見た平面視において、舌部61bbの先端61bb1から排気口71aaの投影領域Bの外縁と接するように延びる接線を意味する。
この領域Cは、羽根車62の回転によって生じる燃焼ガスの温度分布のバラツキが少なく、燃焼ガスの温度が安定してファンケース200内の他の領域より高くなる領域である。また、排気筒からドレンが滴下しない領域である。さらに、領域Cは、給湯装置100が停止している場合に排気筒から逆流した外気を直接受け難い領域である。さらに、領域Cは、給湯装置100内の温度低下を検知することも可能な領域である。
凹部201aa(温度センサ81)は、ファン200の回転軸64の軸方向から見た平面視(図8)において、このような領域Cのうち、舌部61bbおよび周壁71bのいずれからも離れた位置に設けられていることが好ましい。凹部201aaは、例えば、金属製の天井壁201aを段押し加工することによって形成されるが、この場合、凹部201aaの周囲は天井壁201aを水平に保つことが難しい。このため、凹部201aaが舌部61bbまたは周壁71bに近い位置に設けられると、ファンケース201の密閉性が低下し、ファンケースからの燃焼ガスおよびドレンの漏れ出し、ファンの性能悪化などの問題が生じやすくなる。したがって、凹部201aa(温度センサ81)が、舌部61bbおよび周壁71bのいずれからも離れた位置に設けられることにより、ファンケース201の周壁61b、舌部61bb等と天井壁61aとを密着させることができ、ファンケース201からの燃焼ガスやドレンの漏れ出しなどを抑制することができる。
次に、本実施形態の給湯装置100が備える制御部について説明する。図11を参照して、本実施形態の給湯装置100は、少なくともバーナ2の動作を制御するための制御部300をさらに備えている。制御部300は、たとえばマイコンおよびHIC(Hybrid Integrated Circuit)で構成されている。
制御部300の演算部301は、温度センサ81に接続されており、温度センサ81で計測された温度を検知可能である。演算部301は、記憶部302に接続されており、演算部301で処理されたデータや制御に必要な閾値のデータ等を記憶可能である。判定部303は、これらの演算部301および記憶部302から構成される。
制御部300の指令部304は、ファン6と、点火プラグ2aと、元電磁弁10a、比例弁10bおよび電磁弁10cとに接続されている。制御部300は、指令部304からの指令を通じて、指令部304に接続された各部の作動や、ファン6の回転数、比例弁10bの開度などを制御可能に構成されている。
このようにして、制御部300は、ファン6の回転数を上げて燃焼領域25(燃焼管22)に燃焼用空気を送風するとともに、元電磁弁10a、比例弁10bおよび電磁弁10cを開いて燃料ガスを含む混合気をバーナ2に供給することができる。また、制御部300は点火プラグ2aを点火可能であり、これにより燃料空気混合気を燃焼させてバーナ2に火炎を生じさせることができる。また、制御部300は、元電磁弁10a、比例弁10bおよび電磁弁10cを閉じて燃料ガスのバーナ2への供給を停止することでバーナ2に生じた火炎を消火可能に構成されている。
元電磁弁10aはバーナ2に対して燃料ガスを供給および停止可能であり、比例弁10bは供給電流量に応じて燃料ガスの供給量を調節可能である。複数の電磁弁10cは、バーナケース21内の燃焼領域25を構成する単位領域26のそれぞれに接続されている。各々の単位領域26には、異なる数の燃焼管22が収容されており、複数の電磁弁10cの開閉状態を各々独立に制御することで、燃焼に使用される燃焼管22の本数を調節することが可能である。
熱交換器よりも燃焼ガスの流れ方下流側に位置するファンケース201には、燃焼ガス等の温度を計測する温度センサ81を有している。判定部303は、例えば、温度センサ81で計測された温度が、記憶部302に予め記憶された閾値温度以上の温度に達したことを条件に、バーナの作動を制御することを決定する。これにより、自動的に判定部303によってバーナの作動を制御することが可能となる。
次に、主に図12を参照して、本実施形態における給湯装置の制御部による制御の一例について説明する。
まず、バーナが作動しているか否かが、判定部303によって判別される(ステップS10)。なお、バーナは、ユーザが給湯栓を開き、給湯装置への給水量が最低作動水量(MOQ)以上に達したときに作動するように、指令部304からの指令を受ける。このため、指令部304からの情報を受け取ることで、判定部303の判別が行われる。
次に、燃焼段数Xが所定の燃焼段数X1以上であるか否かが、判定部303によって判別される(ステップS21)。所定の燃焼段数X1は、バーナの全燃焼領域の半分に相当する領域で(全燃焼管の半分以上の数の燃焼管で)燃焼ガスを発生させる場合に相当する燃焼段数である。燃焼段数Xが所定の燃焼段数X1以上であると判別された場合は、ステップS22に進む。
ステップS22では、給湯装置が出力している給湯能力(出力号数Y)が所定の出力号数Y1以上であるか否かが、判定部303によって判別される。出力号数Yが出力号数Y1以上であると判別された場合は、ステップS23に進む。
ここで、給湯能力(出力号数Y)は、ユーザの要求する出湯温度および出湯量に応じて予め設定された第1の給湯能力である。ユーザが要求する出湯温度は、例えば、ユーザが給湯装置のリモコンの操作パネル上で設定した温度である。また、ユーザが要求する出湯量は、ユーザによって開かれた給湯栓の開度によって設定される量である。
なお、所定の出力号数Y1は、燃焼段数X1以上の各々の燃焼段数Xに応じて予め設定され、記憶部302に記憶された値である。したがって、Y1は、燃焼段数Xに応じて変動し得る値である。
ステップS23では、温度センサで検知された温度Dが、第1の閾値温度D1以上であるか否かが、判定部303によって判別される。温度Dが第1の閾値温度D1以上であると判別された場合は、ステップS24に進む。
ステップS24では、温度Dが第1の閾値温度D1以上である状態の継続時間Tが、所定時間T1以上であるか否かが、判定部303によって判別される。継続時間Tが、所定時間T1以上であると判別された場合は、ステップS30に進む。
第1の閾値温度D1は、ファン等の損傷または劣化を引き起こす温度より低い温度であり、例えば、ファン等の樹脂部品を構成する樹脂の軟化点(軟化温度)より低い温度である。これにより、燃焼ガスの温度上昇によってファン等の損傷または劣化を引き起こす温度以上の高温に達する前に、次のステップS25で給湯装置の給湯能力を低下させ、燃焼ガスの温度を低下させることができる。
また、第1の閾値温度D1は、給湯装置の熱交換器の劣化(缶石の付着、フィンの閉塞等)による熱交換不良等が生じていない通常の状態において、温度センサ81によって検知される燃焼ガスの最高温度よりも高い温度である。仮に、第1の閾値温度D1を、通常の状態において温度センサ81によって検知される燃焼ガスの最高温度よりも低く設定すると、熱交換不良等の問題が生じていない通常の状態においても、自動的に給湯能力が低下してしまう可能性があるため、ユーザが要求する出湯温度または出湯量が得られなくなり、ユーザにとって不便が生じるからである
ステップS30では、給湯装置の給湯能力(出力号数)が第1の給湯能力(燃焼段数X)よりも低い第2の給湯能力(燃焼段数X0)となるように、バーナの動作を制御する(出力号数制限)。その後、後述するステップS40に進む。
このように、本実施形態において、給湯装置の制御部は、燃焼領域の半分以上に相当する単位領域が燃焼ガスを発生しているときに、温度センサが第1の閾値温度(D1)以上の温度(D)を検知したことを条件に、給湯装置の給湯能力が、ユーザの要求する出湯温度および出湯量に応じた第1の給湯能力(燃焼段数X)よりも低い第2の給湯能力(燃焼段数X0)となるように、バーナの動作を制御する。
ここで、第1の給湯能力から第2の給湯能力への変更は、燃焼ガスを発生させる単位領域の数を変更せず、バーナに供給される燃料ガスの量を変更することによって実施される。この点について、図13を参照して、給湯装置の給湯能力(号数)と単位領域の数(段数)との関係を説明する。
図13の横軸は、給湯能力の単位である出力号数を示し、縦軸はファンの回転数を示す。給湯能力(出力号数)は、所定の燃焼段数と燃料ガスの供給量等によって達成される。なお、燃焼段数とは、燃焼ガスを発生させる(燃焼させる)単位領域の数に対応して段階的に設定された値である。例えば、図13中の4段および5段は燃焼段数であり、5段とは、全ての単位領域を燃焼させることであり、4段とは、5段よりも少ない数の単位領域を燃焼させることを意味する。給湯装置の制御部300は、記憶部302に出力号数と燃焼ガスおよび燃料ガス等との対応を規定した所定のテーブルを有しており、燃焼段数と燃料ガスの供給量等は、出力号数からこのテーブルに基づいて決定される。
各号数に対応して段数と燃料ガスの供給量が設定されている。図中において、5段(5段燃焼)の場合、5段小から5段大にかけて燃料ガスの供給量が増加することを意味している。ここで、ラップ領域Rは、5段燃焼と4段燃焼のいずれでも同じ給湯能力(号数)を発生させることができる領域である。
例えば、5段燃焼を行っているときに、第1の給湯能力(A1)から第2の給湯能力(A2)への変更を行う場合、もし第2の給湯能力(A2)がラップ領域Rにあると、燃焼させる単位領域の数が5段から4段へ変更されてしまう場合がある。このとき、バーナに供給される燃料ガスの量は逆に増加させることになる場合がある。この場合には、燃料ガスの量によって、燃焼ガスの温度を低下させることができない恐れがある。
したがって、ステップS30において、燃焼ガスを発生させる単位領域の数を変更せずに、バーナに供給される燃料ガスの量を変更することによって、給湯装置の給湯能力を低下させることで、燃焼ガスの温度をより確実に低下させることができる。
なお、バーナの動作とは、バーナでの燃焼動作だけでなく、燃焼動作に必要な一連の動作を意味し、バーナの燃焼動作に連携したファンの動作を含んでいてもよい。具体的には、出力号数の変更に応じて、図13に示すように変更後の出力号数に対応した回転数となるように、ファンの(羽根車の)回転数を補正してもよい(ファン回転数補正)。
また、燃焼ガスの温度を低下させるように、ファンの回転数を補正してもよい。具体的には、例えば、ファンの回転数を減少させることで、燃料ガスを燃焼管内に引き込む吸引力が低下し、燃料ガスの供給量を低下させることができる。これにより、燃焼ガスの温度を低下させることができる。また、低NOX化のために理論混合比よりも高い比率で空気が燃料ガスと混合されている場合は、ファンの回転数を減少させることで、燃焼管内に引き込まれる空気量を減少させ、燃料ガスに対する空気の混合比率を理論混合比に近づけることで、燃焼ガスの温度を低下させることができる。
ステップS40では、ユーザが給湯を継続しているか否かが、判定部303によって判別される。この判別は、ステップS10と同様に、判定部303が指令部304からのバーナの作動が継続しているか否かの情報を受け取ることで行われる。ユーザが給湯を継続していないと判別された場合は、ステップS60に進む。ステップS60では、上述の出力号数制限(およびファン回転数補正)を解除し、ステップS10に戻る。
一方、ユーザが給湯を継続していると判別された場合は、ステップS50に進む。ステップS50では、燃焼段数の変更があるか否かが、判定部303によって判別される。なお、燃焼段数は、上述のように、ユーザの要求する出湯温度および出湯量に応じた給湯能力(出力号数)と、所定のテーブルに基づいて決定される値である。すなわち、燃焼段数の変更は、ユーザが出湯温度または出湯量(例えば、給湯リモコンでの設定温度または給湯栓の開度)を変更することによって行われる。燃焼段数の変更があるか否かの判別は、判定部303(演算部301)が指令部304から、燃焼段数の変更(開放する電磁弁10cの数の変更)を行ったかどうかの情報を受け取ることによって行われる。
ステップS50で、燃焼段数の変更があると判別された場合は、ステップS90に進む。ステップS90では、上述の出力号数制限(およびファン回転数補正)を解除し、ステップS21に戻る。その後、変更後の燃焼段数に応じて変更された所定の出力号数Y1、第1の閾値温度D1および継続時間T1を用いて、上記と同様の各ステップでの判別が行われる。このようにステップS21に戻るのは、燃焼段数が変更された場合、ステップS30での出力号数制限等を実施するかどうかの判別が異なってくる可能性があるからである。
一方、燃焼段数の変更がないと判別された場合は、ステップS71に進む。ステップS71では、温度センサで検知された温度Dが、第2の閾値温度D2以上であるか否かが、判定部303によって判別される。温度Dが第2の閾値温度D2以上であると判別された場合は、ステップS72に進む。
ここで、第2の閾値温度D2は、ファン等の損傷または劣化を引き起こす温度(例えば、ファン等の樹脂部品を構成する樹脂の軟化点)より低い温度である。これにより、燃焼ガスの温度上昇によってファン等の損傷または劣化を引き起こす温度以上の高温に達する前に、後述するステップS82でバーナの燃焼を停止して、燃焼ガスの温度を低下させることができる。
また、この第2の閾値温度D2は、第1の閾値温度D1より高い温度に設定されている。温度Dが第1の閾値温度D1に達し、給湯装置の給湯能力を低下させても温度Dが低下せず、さらに第2の閾値温度D2まで達した場合は、給湯能力を低下させるだけではファン等の損傷または劣化を防止できない状態になっている。この場合は、燃焼を停止して、給湯装置の点検や部品の交換を行う必要があると考えられる。
ステップS72では、温度Dが第2の閾値温度D2以上である状態の継続時間Tが、所定時間T2以上であるか否かが、判定部303によって判別される。継続時間Tが、所定時間T2以上であると判別された場合は、ステップS81に進む。
ステップS81では、給湯装置のリモコンの操作パネルにエラー表示を行って、ユーザに点検を促すといった安全動作を行う。次の、ステップS82では、制御部300の指令部304からの指令により、バーナの動作が停止される(燃焼停止)。
このように、制御部300は、給湯装置100の給湯能力が第2の給湯能力となるように、バーナの動作を制御した後、温度センサ81が第1の閾値温度(D1)よりも高い第2の閾値温度(D2)以上の温度を検知したことを条件に、バーナの動作を停止する。
次に、本実施形態の給湯装置の作用効果について説明する。
上記の排気吸引燃焼方式の給湯装置は、燃焼ガスの潜熱を回収することで湯水を加熱可能な潜熱回収型の給湯装置であって、燃焼領域の少なくとも一部において燃料ガスを燃焼させることにより燃焼ガスを発生させるバーナ2と、バーナ2で発生した燃焼ガスとの熱交換によって内部を流れる湯水を加熱する熱交換器と、熱交換器を経由した後の燃焼ガスを吸引して給湯装置の外部へ排出するファン200とを備える。ファン200は、ファンケース201と、ファンケース201の内部空間に収容される羽根車62と、羽根車62を駆動するためにファンケース201に取り付けられた駆動源63と、羽根車62および駆動源63を連結する回転軸64とを有している。そして、ファンケース201において、羽根車62に対して熱交換器側と反対側に位置する天井壁201aに温度センサ81が設けられている。
本実施形態の給湯装置によれば、ファンケース201に設けられた温度センサ81によりファン等に近い位置で燃焼ガスの温度を検知するため、ファン200等に直接影響する燃焼ガスの温度を検知できる。これにより、排気筒等に温度センサ81を設ける場合に比べて、より確実に、給湯装置のファン200等の損傷または劣化を従来よりも確実に抑制することが可能となる。
また、温度センサ81が、底壁や周壁と比べてドレンが付着しにくいファンケース201の天井壁201aに設けられているため、温度センサ81がドレンの影響を受けにくく、燃焼ガスの温度を安定的に検知できる。これにより、ファン200等の損傷または劣化をより確実に抑制することが可能となる。
また、温度センサ81をファンケース201の天井壁201aに設けているため、ファン200等に接触する燃焼ガスのうち比較的温度の高い燃焼ガスの温度を測定することができる。これにより、この温度センサ81で検知された温度がファン200等の損傷または劣化を引き起こす温度に達する前に、給湯装置100を制御して燃焼ガスの温度を低下させれば、ファン200等が実際に損傷または劣化を受ける温度に達する前に、確実に燃焼ガスの温度を低下させることができる。これにより、ファン200等の損傷または劣化をより確実に抑制することが可能となる。
上記給湯装置において、温度センサ81は、天井壁201aからファンケース201の内部空間内へ突出するように設けられている。この場合、温度センサ81の先端81a側にある検知部が天井壁201aと適度に離れているため、天井壁201aにドレンが付着した場合でも、温度センサ81がドレンの温度を測定してしまう誤測定が生じにくい。また、温度センサ81は給湯装置100の設置状態において下方に突出するように配置されるため、ドレンが温度センサ81に一時的に付着した場合でも、ドレンが内部空間側へ流れ落ち易い。このため、温度センサ81がドレンの影響を受けにくく、燃焼ガスの温度を安定的に検知できる。これらにより、燃焼ガスの温度を安定的に測定することができ、ファン200等の損傷または劣化をより確実に抑制することができる。
上記給湯装置において、ファンケース201は、ファン200収容部と、ファン200側から送出された燃焼ガスを給湯装置100の外部へ排出するための排気口71aaが設けられた排気接続部71とを含む。回転軸の軸方向から見た平面視において、ファン収容部61の内部空間と排気接続部71の内部空間との境界ABの一端側には、ファン収容部61の内部空間と排気接続部71の内部空間との間に延びる舌部61bbが位置している。境界ABの他端側において、ファン収容部61の周壁61bと排気接続部71の周壁71bとが接続されている。温度センサ81は、境界AB、排気接続部71の周壁71bの内周面および排気口71aaの接線BBによって囲まれる領域Cに含まれる位置に設けられている。
境界AB、排気接続部71の周壁71bの内周面および排気口71aaの接線BBによって囲まれる領域は、ファン200の羽根車62の回転によって生じる燃焼ガスの温度分布のバラツキが少なく、燃焼ガスの温度が安定して他の領域より高くなる領域である。このため、この領域Cに温度センサ81を設けてこの領域の燃焼ガスの温度を検知すれば、より確実に、ファン200等の損傷または劣化を生じる前に、燃焼ガスの温度を低下させるといった措置を実施することが可能となる。また、排気筒から滴下するドレンが温度センサ81に付着して温度センサ81がドレンの温度を測定してしまう誤測定が生じにくい。これらにより、燃焼ガスの温度を安定的に測定することができ、ファン200等の損傷または劣化をより確実に抑制することができる。
また、通常、給湯装置には、給湯装置内の温度低下により熱交換器の伝熱管内に貯留した水の凍結による伝熱管の破裂等の不具合を防止するために、給湯装置内の温度低下を監視する温度センサを設けることが必要となる場合がある。この領域Cは、給湯装置が停止している場合に排気筒から逆流した外気を直接受け難い位置であり、給湯装置内の温度低下を検知することも可能な領域である。したがって、この領域Cに温度センサ81を設けることによって、1つの温度センサ81によって、燃焼ガスの異常な温度上昇を検知するとともに、給湯装置内の温度低下も検知することが可能となる。これにより、燃焼ガスの温度上昇と給湯装置内の温度低下を検知するための温度センサ81を別個に設ける必要がなく、給湯装置の部品点数を減らすことができる追加の利点がある。
上記給湯装置において、天井壁201aのファンケース201の内部空間側の表面は、熱交換器から遠ざかる方向に窪んだ凹部201aaを有し、温度センサ81は凹部201aaに設けられている。この凹部201aaは天井壁201aのうちでも特にドレンが付着しにくい部位となる。このため、この凹部201aaに温度センサ81を設けることで、温度センサ81がドレンの影響を受けにくく、燃焼ガスの温度を安定的に検知できる。これにより、燃焼ガスの温度をより確実に測定することができ、ファン200等の損傷または劣化をより確実に抑制することができる。
上記給湯装置は、バーナ2の動作を制御する制御部300をさらに備える。制御部300は、温度センサ81が第1の閾値温度以上の温度を検知したことを条件に、給湯装置の給湯能力が、ユーザの要求する出湯温度および出湯量に応じた第1の給湯能力よりも低い第2の給湯能力となるように、バーナ2の動作を制御する。これにより、給湯装置を直ちに停止することにより給湯が突然不可能になる事態を避けつつ、燃焼ガスの温度を低下させて、ファン200等の損傷または劣化を抑制することができる。
上記給湯装置は、バーナ2の動作を制御する制御部300をさらに備える。バーナ2の燃焼領域25は、制御部300によって独立して制御可能な複数の単位領域26からなる。制御部300は、燃焼領域25の半分以上に相当する単位領域26が燃焼ガスを発生しているときに、温度センサ81が第1の閾値温度以上の温度を検知したことを条件に、給湯装置の給湯能力が、ユーザの要求する出湯温度および出湯量に応じた第1の給湯能力よりも低い第2の給湯能力となるように、バーナ2の動作を制御する。これにより、給湯装置100を直ちに停止することにより給湯が突然不可能になる事態を避けつつ、燃焼ガスの温度を低下させて、ファン200等の損傷または劣化を抑制することができる。また、燃焼領域25の半分以上に相当する単位領域26で燃焼ガスが発生しているときは、燃焼ガスの温度上昇が発生し易いため、特にこのような場合において、確実にファン200等の損傷または劣化を抑制することができることは有用である。
上記の制御部300を備える給湯装置100において、第1の給湯能力から第2の給湯能力への変更は、燃焼ガスを発生させる単位領域26の数を変更せず、バーナ2に供給される燃料ガスの量を変更することによって実施される。もし給湯装置100の給湯能力を第1の給湯能力から第2の給湯能力へ低下させるときに、燃焼ガスを発生させる単位領域26の数を減少させると、バーナ2に供給される燃料ガスの量は逆に増加させることになる場合がある。この場合、燃料ガスの量によって、燃焼ガスの温度を低下させることができない恐れがある。したがって、燃焼ガスを発生させる単位領域26の数を変更せず、バーナ2に供給される燃料ガスの量を変更することによって、給湯装置100の給湯能力を低下させれば、燃焼ガスの温度をより確実に低下させることができる。これにより、ファン200等の損傷または劣化をより確実に抑制することができる。
上記給湯装置において、制御部300は、給湯装置100の給湯能力が第2の給湯能力となるように、バーナ2の動作を制御した後、温度センサ81が第1の閾値温度よりも高い第2の閾値温度以上の温度を検知したことを条件に、バーナ2の動作を停止する。これにより、熱交換器の伝熱管の内壁への缶石の付着や、熱交換器のフィンの閉塞等が進行している場合において、給湯装置の給湯能力を低下させることで燃焼ガスの温度を低下させることができなくなった場合において、安全に給湯装置100の使用を止めることができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。