JP5884636B2 - 車両のフード跳ね上げ構造 - Google Patents
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Description
上述のフードの設置高さが低く、フードとエンジンルーム内のエンジン等の機器の上面との間に充分な間隔を確保することができない場合には、上述の衝撃の緩和機能が充分に発揮されない可能性がある。
しかしながら、該特許文献1においては、ヒンジレインと前突時のフード折れ部との関係については全く開示されていない。
フードの折れ部は、前突時のフードの折れを促進するために、フードの他の部位と比較して脆弱に構成されているので、上述のアクチュエータが作動すると、フード折れ部においてフードが折れ、アクチュエータによるフードの跳ね上げ力が不充分となる恐れがあった。
この結果、アクチュエータによるフードの充分な跳ね上げ力を確保することができて、障害物が受ける衝撃の緩和機能を充分に発揮することができる。
すなわち、剛性変化部はフードに前方から加わる荷重(前後方向の荷重)に対してヒンジレインの剛性を変化させるものであるため、アクチュエータの作動による下方からの荷重(上下方向の荷重)によるフードの折れを防止しつつ、剛性変化部によって、車両前突時には、ヒンジレインがフードの折れの妨げとなることなく、車両前突時にはフードを上方に凸となるように適切に折れ曲げることができる。
つまり、アクチュエータ作動時のフードの折れ防止と、前突時のフードの上方凸状の折れ曲げ確保と、の両立を図ることができる。
上記フードにおけるヒンジ固定部から上記折れ部より前方の位置まで延び、上記アクチュエータ伸張時に該アクチュエータからの上方への荷重を受けるヒンジレインが設けられるという構成にて実現した。
図1はフード跳ね上げ構造を備えた車両の外観斜視図、図2はフードを開放してエンジンルーム内を上方から目視した状態で示す斜視図である。
エンジンルーム1はその左右両側がフロントフェンダパネル2,2で、前方部がバンパフェイス3で、後方部がダッシュロアパネル4で、上方部がフード5(ボンネットと同意)で覆われている。
また、図3に示すように、フードインナ5Bは、ヘミング加工部としての縁部より内側の部位においてフードアウタ5Aから下方に離間する形状に構成されている。
図4はフードアウタ5Aを取外した状態で示すフードの平面図、図5は図4のX−X線矢視図でフード5を支持するヒンジ構造を示すものである。
上述の取付け片2cの下部には、エンジンルーム1内の両サイド部を車両の前後方向に延びるエプロンレインフォースメント20を設け、このエプロンレインフォースメント20の車幅方向外側にはサイドカウルレインフォースメント21を接合固定している。上述のエプロンレインフォースメント20およびサイドカウルレインフォースメント21は車体強度部材である。
図5,図6に示すように、このヒンジ機構22は、エプロンレインフォースメント20の上端水平部20aに固定されたL字状のボディ側ブラケット23と、フードインナ5Bの後端部下面に固定されたL字状のフード側ブラケット24と、フード側ブラケット24の前部とボディ側ブラケット23との間に、ピン25,26を用いて張架した長尺のリンク27と、フード側ブラケット24の後部とリンク27の前後方向の中間部との間に、ピン28,29を用いて張架した短寸のリンク30と、を備えている。
つまり、上述のフード5はその後部にて車体としてのエプロンレインフォースメント20に対して上方に変位可能なヒンジ機構22を介して固定されており、通常のフード開閉時には、各リンク27,30が図5の状態を保持したまま、ピン26を支点としてフード5が開閉される。
図5,図6では車両右側のヒンジ機構22を示したが、車両左側のヒンジ機構は右側のそれと左右対称に構成されている。
このブラケット32は、図9,図10にも示すように、アクチュエータ31の外筒であるシリンダを複数箇所(この実施例では3箇所)の溶接部32a…にて結合する外筒結合部32bと、この外筒結合部32bから前方に延びる延設部32cと、この延長部32cの前部上下に位置する取付け座32d,32eと、を金属剛性部材により一体形成したものである。
また、上述のアクチュエータ31はその内部にインフレータ(図示せず)を備えており、車両前方からの衝撃検知時にインフレータの作動によりロッド34(図6参照)を上方に伸張させて、その上方のフード5を跳ね上げるように構成している。ここで、該アクチュエータ31はその長手方向が上下方向に指向するように取付けられている。
図4,図11,図12では、上述の折れ部αを図示の便宜上、仮想線で示したが、具体的にはフードインナ5Bに凹凸を形成することにより、フード5が折れやすくなるように形成したものであり、この折れ部αは車両前突時にフード5を図13に仮想線で示すように上方に凸となるように折り曲げて、該フード5の後退を防止し、フロントウインドガラス35の破損を阻止するものである。
上述の折れ部αはフードインナ5Bの車幅方向ほぼ全幅にわたって形成されている。
このヒンジレイン40はアクチュエータ31のロッド34伸張時に、該アクチュエータ31からの上方への荷重(上下方向の荷重)を受けるものである。
上述のリベット41、ボルト42、ナット43による2箇所に加えて、面部40aのさらに後方側は、ボルト、ナット44,45,46を用いて3箇所がフードインナ5Bに固定されており、このうち後方寄りの2箇所は、上述のボルト、ナット45,46でヒンジ機構22のフード側ブラケット24と共締め固定されている。
図14の(a)、(b)、(c)に示すように、上述のヒンジレイン40は面部40aの車幅方向内方端部から車幅方向内方かつ上方に折り曲げられた内側の折曲部40bと、面部40aの車幅方向外方端部から車幅方向外方かつ上方に折り曲げられた外側の折曲部40cとが一体に形成されたものである。
折れ部αの前方部位の断面を示す図14の(a)から、折れ部αの後方部位の断面を示す図14の(b)にかけて、上述の折曲部40bの上下方向長さを変化させることで、剛性変化部47(図11参照)を形成している。
この実施例では、該スティフナ50は、ボルト42、ナット43およびボルト・ナット44を用いて、ヒンジレイン40と前後複数箇所で共締め固定されている。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
フード5のフードインナ5Bには、図4,図11,図12に示すように、車両前突時に前方から加わる荷重(前後方向の荷重)により該フード5を上方に凸となるように折れ曲げる折れ部αが形成されていると共に、ヒンジレイン40には上述の剛性変化部47が形成されており、またスティフナ50は折れ部αから後方に離間した部位に設けられている。
このため、車両の前突時にはヒンジレイン40およびスティフナ50がフード折れ曲りの妨げとなることなく、該フード5は折れ部αを座屈起点として、図13に示すように、上方に凸となるように折れ曲り、フード5の後退を防止することができる。
また、上述のフード5のフードインナ5Bにおいてヒンジ機構22の固定部から折れ部αより前方の位置まで延びるヒンジレイン40を設けると共に、アクチュエータ31のロッド34上端部がフードインナ5Bの傾斜面5Cに沿って車幅方向に変位するのを規制する規制部(スティフナ50の折曲部49参照)を設けている。
この時、フード5の折れ部αによるフード5の折れをヒンジレイン40で防止することができると共に、アクチュエータ31のロッド34がフードインナ5Bの傾斜面5Cに沿って車幅方向外側に逸れるのを防止することができ、この結果、アクチュエータ31のロッド34によるフード5の充分な跳ね上げ力および跳ね上げ量を確保することができて、障害物に対して充分な衝撃緩和を図ることができる。
この結果、アクチュエータによるフード5の充分な跳ね上げを確保することができて、障害物が受ける衝撃の緩和機能を充分に発揮することができる。
また、上記ヒンジレイン40は、折れ部αよりも前方部位と後方部位にてフード5(詳しくは、フードインナ5B参照)に対向する面部40aを有し、当該面部40aにおける折れ部αよりも前方部位と後方部位との少なくとも2箇所にてフード5に固定されたものである(図11,図12参照)。
さらに、上記ヒンジレイン40は、折れ部αに対応する位置において、フード5に前方から加わる荷重に対して剛性を変化させた剛性変化部47が形成されたものである(図11参照)。
すなわち、剛性変化部47はフード5に前方から加わる荷重(前後方向の荷重)に対してヒンジレイン40の剛性を変化させるものであるため、アクチュエータ31の作動による下方からの荷重(上下方向の荷重)によるフード5の折れを防止しつつ、剛性変化部47によって、車両前突時には、ヒンジレイン40がフード5の折れの妨げとなることなく、車両前突時にはフード5を上方に凸となるように適切に折れ曲げることができる(図13参照)。
つまり、アクチュエータ31作動時のフード5の折れ防止と、前突時のフード5の上方凸状の折れ曲げ確保と、の両立を図ることができる。
加えて、上記ヒンジレイン40は、上記面部40aから上方または下方(この実施例では上方)に折り曲げられた折曲部40bが形成され、上記剛性変化部47は、上記折曲部40bの上下方向長さL2,L1が変化する形状とすることにより形成されたものである(図14参照)。
この発明のヒンジは、実施例のヒンジ機構22に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
22…ヒンジ機構(ヒンジ)
31…アクチュエータ
40…ヒンジレイン
40a…面部
40b…折曲部
47…剛性変化部
α…折れ部
Claims (4)
- 車体のフード開口側部に設けられたアクチュエータを、車両前方からの衝撃検知時に上方に伸張させることによりその上方のフードを跳ね上げる車両のフード跳ね上げ構造であって、
上記フードはその後部にて車体に対して上方に変位可能なヒンジを介して固定されており、
上記アクチュエータは該ヒンジよりも車両前方に位置しており、
上記フードのアクチュエータ対応位置よりも前方には、車両前突時に前方から加わる荷重により上方に凸となるよう折れ曲る折れ部が形成されており、
上記フードにおけるヒンジ固定部から上記折れ部より前方の位置まで延び、上記アクチュエータ伸張時に該アクチュエータからの上方への荷重を受けるヒンジレインが設けられた
車両のフード跳ね上げ構造。 - 上記ヒンジレインは、折れ部よりも前方部位と後方部位にてフードに対向する面部を有し、
当該面部における折れ部よりも前方部位と後方部位との少なくとも2箇所にてフードに固定された
請求項1記載の車両のフード跳ね上げ構造。 - 上記ヒンジレインは、折れ部に対応する位置において、フードに前方から加わる荷重に対して剛性を変化させた剛性変化部が形成された
請求項1または2記載の車両のフード跳ね上げ構造。 - 上記ヒンジレインには、上記面部から上方または下方に折り曲げられた折曲部が形成され、
上記剛性変化部は、上記折曲部の上下方向長さが変化する形状とすることにより形成された
請求項3記載の車両のフード跳ね上げ構造。
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