JP5884561B2 - 原稿搬送装置、原稿読取装置および画像形成装置 - Google Patents

原稿搬送装置、原稿読取装置および画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、原稿搬送装置、当該原稿搬送装置を備えた原稿読取装置および画像形成装置に関し、特に原稿の捌き機構の改良に関する。
複写機などの画像形成装置は、画像読取りの対象となる原稿を、ピックアップローラーで繰り出し、捌き部で捌いた後、原稿読取位置まで搬送する原稿搬送装置を備えているものが多い。
通常、捌き部は、給送ローラーの周面に捌きローラーを押圧して捌きニップを形成し、ピックアップローラーにより送り出された原稿をこの捌きニップを通過させることにより、連れ送りされている原稿に、その原稿の連れ送りされる方向と反対方向に作用する力(以下、「搬送抵抗」という。)を加えて捌くように構成されている。
捌きニップを通過した原稿は、より原稿方向下流側に搬送され、原稿読取位置を通過し、この際に、CCDアレイなどの画像読取素子により、通過する原稿の画像が読み取られる。
特開2001−146337号公報 特開平11−124245号公報
ところが、原稿の搬送方向の長さが長いと、原稿先端の読取りを開始した時点で、原稿の後端が、まだ捌きニップを通過しない状態となっており、原稿後端が捌きニップを通過するまでは原稿に搬送方向のテンションがかかるが、通過した瞬間に原稿に与えられていたテンションが急激に低下して原稿の搬送負荷が小さくなり、そのため原稿読取位置で原稿の搬送速度が変動して瞬時速くなる。
原稿の搬送速度が瞬時に速くなると、読取り画像の副走査方向における倍率が圧縮され、読取り画像の劣化を来すことになる。
これを避けるため、捌きローラーによる搬送抵抗を小さくすることが考えられるが、そうすると、捌き能力が低下して原稿の重送が頻出するという問題が生じる。このような問題は、捌き部材として捌きローラーでなく、例えば捌きパッドなどを使用しても同様に生じる。
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたものであって、確実に原稿を捌きつつ、原稿後端の捌き部からの離脱に伴って生じる搬送速度の変動を可及的に抑制して、原稿読取り画像の劣化を防止できる原稿搬送装置、原稿読取装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る原稿搬送装置は、原稿トレイ上に積載された原稿をピックアップローラーで繰り出し、捌き部において給送ローラーに押圧された捌き部材により搬送抵抗を付与して捌いた後、原稿読取位置まで搬送するものであって、前記捌き部材による搬送抵抗の大きさを変更する搬送抵抗変更手段と、前記捌き部より原稿搬送方向下流側に配された搬送ローラー対を回転駆動して原稿を搬送する搬送手段と、前記捌き部から前記搬送ローラー対のニップに到るまでの搬送路途中における原稿の厚みを検出する厚み検出手段と、を備え、前記搬送抵抗変更手段は、捌き部を通過した原稿の先端が、前記搬送手段における搬送ローラー対のニップを通過した後、前記原稿読取位置に到達するまでの間に、前記捌き部材により付与される搬送抵抗を、第1の値から、より小さな第2の値に変更し、かつ、前記第2の値を、複数の異なる値から設定可能であり、前記厚み検出手段により検出された原稿の厚みが普通紙の厚みの規定範囲よりも大きい場合には前記規定範囲よりも小さい場合よりも前記第2の値が大きな値に決定されることを特徴とする。
上記構成の原稿搬送装置によれば、原稿の先端が捌き部を通過した後、原稿読取位置に到達する前に捌き部における搬送抵抗を小さくするので、原稿の先端が捌き部を通過する際には搬送抵抗を十分大きくとって原稿を十分捌くことができると共に、その後は、搬送抵抗を小さくするため、原稿の後端が捌き部を抜けたときの搬送速度の変動を従来よりも小さくすることができ、それだけ読取画像の圧縮が生じにくい。
ここで、捌き部で連れ送りが生じたことを検出する連れ送り検出手段を備え、搬送抵抗変更手段が、連れ送りが検出されたときは、第2の値を所定量増加する補正を行うのが望ましい。
ここで、捌き部材は、給紙ローラーに押圧されて捌きニップを形成する捌きローラーと、当該捌きローラーに回転負荷を与える複数のトルクリミッターとからなり、搬送抵抗変更手段が、複数のトルクリミッターのうち一部の、捌きローラーへの回転負荷を切断することにより、搬送負荷を第1の値から第2の値に変更するのが望ましい。
本発明は、上記構成の原稿搬送装置を備えた原稿読取装置であってもよく、これにより上記構成の原稿搬送装置と同様の効果を得ることができる。
さらに、この原稿読取装置を備えた画像形成装置でもよく、上記構成の原稿搬送装置と同様の効果を得ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る複写機の全体の構成を示すための概略断面図である。 上記複写機が有するスキャナーユニットおよびADFユニットの構成を示す図である。 捌きローラーおよび捌きローラーに搬送抵抗を与えるための機構の構成例を示す図である。 (a)は、捌きローラーのトルクリミット値を第1の値にしたときの捌き動作を説明するための図であり、(b)は、捌きローラーのトルクリミット値を第2の値にしたとき捌き動作を説明するための図である。 制御部の構成と、制御部による制御対象となる主構成要素との関係を示すブロック図である。 (a)〜(c)は、ADFユニットにおける原稿搬送処理と捌きローラーの負荷トルク変更処理の概要を説明するための動作図である。 制御部で実行される「捌きローラーの負荷トルク変更処理」の制御内容を示すフローチャートである。 (a)は、原稿紙種を判定する構成を説明するための模式図であり、(b)は、原稿の連れ送りを検出し判定する構成を説明するための模式図である。 第2の実施の形態に係るADFユニットが有する捌きローラーの、負荷トルク発生機構の構成例を示す図である。 捌きローラーのトルクリミット値の第1の値、厚紙、普通紙、薄紙の紙種毎の第2の値、および各値のときのトルクリミッターの作動制御の一例を示すテーブルである。 第2の実施の形態の制御部で実行される「捌きローラーの負荷トルク変更処理」の制御内容を示すフローチャートである。
<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る原稿搬送装置の実施の形態を、タンデム型カラー複写機(以下、単に「複写機」という)の画像読取装置に適用した場合について、図面に基づいて説明する。
(1)複写機の全体の構成
図1は、本実施の形態に係る複写機の全体の構成を示すための概略断面図である。
図1に示す複写機1は、プリンター部2と、プリンター部2上に設けられた画像読取部3(画像読取装置)とからなる。また、複写機1は、ネットワーク(例えばLAN)に接続されていて、外部の端末装置等とのデータの送受信が可能に構成されている。
(1−1)プリンター部の構成
プリンター部2は、画像形成部10、給紙部20および制御部30で構成され、画像読取部3で生成された画像データ、または外部の端末装置等から送られてくる画像データに基づき、周知の電子写真方式により記録シートS上にトナー画像をプリントする。
画像形成部10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のそれぞれに対応する作像ユニット11Y、11M、11C、11Kと、中間転写ベルト12、二次転写ローラー対13、定着部14、排紙トレイ15などを備える。
作像ユニット11Y、11M、11C、11Kは、制御部30の制御のもと、対応する色のトナー像を形成し、各色のトナー像が重なり合うように中間転写ベルト12に静電転写(一次転写)する。中間転写ベルト12は、無端状のベルトであって、矢印A方向に回転し、トナー像を二次転写位置16まで搬送する。
給紙部20は、記録シートSを収容する複数の給紙カセット21を備え、いずれかの給紙カセット21から記録シートSを1枚ずつ繰り出し、中間転写ベルト12上のトナー像のタイミングに合わせて二次転写位置16に搬送する。
上記二次転写により、トナー像(未定着画像)が形成された記録シートSは、定着部14に搬送され、定着部14においてトナー像が加熱・加圧されて記録シートS上に熱定着される。熱定着された記録シートSは排紙トレイ15上に排出される。
制御部30は、画像形成部10、給紙部20、および次に説明する画像読取部3を制御する。
(1−2)画像読取部の構成
画像読取部3は、原稿画像を読み取るスキャナーユニット40、スキャナーユニット40の原稿読取位置まで原稿を搬送するADFユニット(自動原稿搬送機構)50で構成される。
これらスキャナーユニット40およびADFユニット50について、図2の拡大図を参照しながら説明する。
同図に示すように、スキャナーユニット40は、上面に第1と第2プラテンガラス45,46が嵌め込まれた筐体400内に、光源ユニット41、ミラーユニット42、レンズ43、ラインセンサー44などを備える。
光源ユニット41は、光源となるランプ411とミラー412などを備え、ミラーユニット42は、折り返しミラー421,422などを備える。ラインセンサー44は、複数の光電変換素子を有するCCD(Charge Coupled Device)からなる。
このスキャナーユニット40は、原稿が第1プラテンガラス45上に載置されたときには、光源ユニット41とミラーユニット42を不図示の移動機構により矢印B方向に移動させて原稿を読み取るミラースキャンモードで動作するように制御部30により制御される。一方、原稿がADFユニット50の原稿給紙トレイ52に載置されたときには、原稿が第2プラテンガラス46上を通過するように搬送し、その画像を読み取るシートスルーモードで動作するように制御部30に制御される。
ADFユニット50は、スキャナーユニット40に対してヒンジ機構(不図示)により正面側(紙面手前側)が開閉自在に取り付けられている。これにより、ミラースキャンモードで原稿を読み取る際には、ADFユニット50を上に開いて、原稿を第1プラテンガラス45上に載置することができる。
このADFユニット50は、上記の原稿給紙トレイ52と、ADFユニット本体51、原稿排紙トレイ53からなる。
ADFユニット本体51には、原稿が第2プラテンガラス46上を通過するように形成された搬送路510と、原稿を繰り出し搬送路510内を搬送するための、ピックアップローラー54、捌きローラー対55、レジストローラー対56、読取前ローラー対57、読取後ローラー対58および排紙ローラー対59などが設けられている。
シートスルーモードでは、原稿が次のようにして搬送されて読み取られる。
まず、原稿給紙トレイ52に載置された原稿束(不図示)は、最上位の原稿から順にピックアップローラー54により繰り出されて、捌きローラー対55の捌きニップN1を通過する際に捌かれ、これにより一枚ずつADFユニット本体51内の搬送路510に送り込まれる。捌きローラー対55は、給紙ローラー551(ワンウェイクラッチ付き)と、給紙ローラー551に圧接されて捌きニップN1を形成する捌きローラー552で構成される。捌きローラー552には、その回転軸に回転負荷を与える負荷トルク発生機構(後述)が装着され、捌きニップN1を通過する原稿に対して搬送方向とは反対向きに作用する抵抗(以下、「搬送抵抗」という。)を与えている。この搬送抵抗により、捌きニップN1に原稿が重送されてきたときには、捌きローラー552と接する原稿が他の原稿から分離され捌かれる。
搬送路510に送り出された原稿は、レジストローラー対56まで搬送され、ここでスキュー補正される。
スキュー補正後の原稿は、レジストローラー対56、読取前ローラー対57および読取後ローラー対58により搬送路510内を搬送され、第2プラテンガラス46上の原稿読取位置Pを通過する際に、その第1面(第2プラテンガラス46側)の画像がスキャナーユニット40によって読み取られる。画像が読み取られた原稿は、排紙ローラー対59から原稿排紙トレイ53上に排出される。なお、両面コピーや両面スキャンする場合には、排紙ローラー対59を逆転させて原稿をスイッチバックし、スイッチバック搬送路511から搬送路510に原稿を戻すことによって、原稿の第2面(第1面とは反対側)を第2プラテンガラス46側に向けて搬送路510内を再搬送し、第2面の画像をスキャナーユニット40によって読み取らせる。画像が読み取られた原稿は、排紙ローラー対59から原稿排紙トレイ53上に排出される。
ピックアップローラー54と、捌きローラー対55の給紙ローラー551とは不図示のタイミングベルトを介して連結されており、駆動モーターM1により回転駆動される。また、レジストローラー対56は駆動モーターM2により回転駆動され、読取前ローラー対57および読取後ローラー対58は駆動モーターM3に、排紙ローラー対59は駆動モーターM4によりそれぞれ回転駆動される。
また、搬送路510には、搬送される原稿を検知する原稿搬送センサーS1が、レジストローラー対56の上流側位置に、原稿搬送センサーS2が原稿読取位置Pの上流側位置にそれぞれ設けられている。
原稿搬送センサーS1,S2は、例えば反射型の光電センサーからなり、原稿を検知している間はオン(Hiレベル)信号を、検知していない間はオフ(Lowレベル)信号を制御部30に出力する。制御部30は、原稿搬送センサーS1,S2の出力の立ち上がりエッジ(LowからHiレベルへの変化点)、立ち下がりエッジ(HiからLowレベルへの変化点)より、原稿の先端、後端が各原稿搬送センサーS1,S2位置を通過したことを検知できる。これにより、制御部30は、搬送路510内の原稿位置を取得することができ、上記のスキュー補正のタイミングや原稿の読取タイミングなど、駆動モーターM1〜M4の回転駆動を制御するための各種タイミングを取得することができるようになっている。
原稿給紙トレイ52には、載置された原稿束(不図示)を上昇させて、最上位の原稿をピックアップローラー54により繰り出し可能な高さの位置に配置する昇降板521が設けられている。昇降板521は、搬送方向Cの上流側端部に設けられた回動軸523を中心に、不図示の駆動モーター(例えばステッピングモーター)により回動(昇降)される。
また、原稿給紙トレイ52には、原稿束の幅方向(紙面奥行き方向)の位置決めを行うサイドガイド522(一対)、複数の原稿載置センサーS11などが設けられている。
原稿載置センサーS11は、公知の接触型センサーからなり、原稿が載置されるとアクチュエーターS11aが押下されてオン信号を制御部30に出力する。制御部30は、オン信号により原稿が載置されていることを検出することができる。またここでは、複数の原稿載置センサーS11が搬送方向Cに所定の間隔をおいて配置されているので、各センサーS11の出力に基づき搬送方向Cにおける原稿サイズを検出できる。
(1−3)負荷トルク発生機構の構成
図3は、捌きローラー552に装着された負荷トルク発生機構の構成例を示す図である。
同図に示すように、捌きローラー552は、ローラー本体552aと、回転軸552bとからなり、負荷トルク発生機構70は、回転軸552bの一端に同軸上に連結されたトルクリミッターTL1と、他端に、ギア71,72およびクラッチCL1を介して接続されたトルクリミッターTL2とからなる。
回転軸552bに、ギア71取り付けられ、クラッチCL1の出力軸J11に、ギア72取り付けられ、これらギア71,72が噛み合わされている。トルクリミッターTL2は、クラッチCL1の入力軸J12に連結されている。
トルクリミッターTL1,TL2、クラッチCL1は、不図示の保持部材により保持されている。また、各軸552b,J11,J12は、不図示の保持部材により回転可能に軸受されている。
トルクリミッターTL1,TL2は、例えばコイルスプリング方式のものからなり、それぞれ所定のトルクリミット値に設定されている。
クラッチCL1は、公知の電磁クラッチからなり、制御部30の制御を受けてオン・オフされる。クラッチCL1がオンの場合には、トルクリミッターTL1とトルクリミッターTL2とを合わせた負荷トルクが捌きローラー552に付与され、クラッチCL1がオフの場合には、トルクリミッターTL1のみの負荷トルクが捌きローラー552に付与される。これにより、制御部30は、クラッチCL1をオン・オフ制御することによって、捌きローラー552に与える負荷トルク(トルクリミット値)を選択的に切り替えることができる。この負荷トルクの大きさは、捌きローラー552の、原稿を捌くための搬送抵抗の大きさを指標する。負荷トルクが大きくなるほど搬送抵抗も大きくなり、負荷トルクが小さくなれば搬送抵抗も小さくなる。
以下、クラッチCL1をオンにしたときのトルクリミット値を「第1の値t1」とし、オフにしたときのトルクリミット値を「第2の値t2」とする。
第1および第2の値t1,t2の大きさは、次のように設定される。
第1の値t1は、捌きニップN1に原稿が1枚送られてきたときには、捌きローラー552が給紙ローラー551の回転により従動回転され、捌きニップN1に原稿が重送されてきたときには、捌きローラー552に与えた負荷トルクによる搬送抵抗によって、原稿を分離して捌くことができる大きさに設定される。以下、この第1の値t1のときの搬送抵抗の大きさを「第1の抵抗値」という。
この「第1の抵抗値」を、より具体的に説明すると、例えば、図4(a)に示すように、捌きニップN1に、原稿D1とともに原稿D2が連れ送りされてきた場合(重送)に、原稿D1,D2との間の摩擦力(最大静止摩擦力)に抗して、捌きローラー552の回転を抑制し停止させることができる大きさである。
こうして捌きローラー552の回転を停止させた状態で、原稿D2に搬送方向Cとは反対向きの搬送抵抗を付与することができるので、原稿D1と原稿D2との間に滑りを発生させることができ、原稿D2を分離して原稿D1のみを搬送することができる(同図の破線の矢印で示す原稿D1)。
第2の値t2は、捌きローラー552の搬送抵抗の大きさ(以下、「第2の抵抗値」という。)が、図4(a)で示したような原稿D1,D2間において滑りが生じているときの摺動摩擦力に抗して、捌きローラー552の回転を抑制し停止させることができる大きさになるように設定される。第2の抵抗値は、上記第1の抵抗値よりも小さい。
したがって、図4(a)のように原稿間に滑りが生じている状態において、捌きローラー552のトルクリミット値を第1の値t1から第2の値t2に切替えたとしても、図4(b)に示すように、捌きローラー552の回転停止状態を維持することができ、原稿D2に対して搬送抵抗を与えることができる。これにより、原稿D1,D2間の摺動状態も維持できるので、原稿D2が原稿D1に連れ送りされるのを抑制することができる。
なお、第2の抵抗値は、後述する理由により、小さい方が望ましく、よってここでは、第2の値t2(トルクリミット値)が、第1の値t1よりも単に小さいだけでなく、そのときの搬送抵抗の大きさ、つまり第2の抵抗値が原稿D1,D2との間の摩擦力(最大静止摩擦力)に抗して捌きローラー552の回転を停止できない大きさ(小ささ)になるように設定されている。
このような第1および第2の値t1,t2は、予め実験により求められる。
本実施の形態では、捌きローラー552と負荷トルク発生機構70を組み合わせたものが、ピックアップローラー54により繰り出された原稿を捌く捌き部材として機能する。
(2)制御部の構成
図5は、制御部30の構成と、制御部30による制御対象となる主構成要素との関係を示すブロック図である。
同図に示されるように、制御部30は、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、通信インターフェース(I/F)部34および画像データ記憶部35などを備えている。
CPU31は、画像形成部10、給紙部20、スキャナーユニット40、ADFユニット50および操作パネル60等を制御するためのプログラムを実行する。ROM32は、CPU31により実行される各種プログラムを格納するストレージである。RAM33は、CPU31がプログラムを実行するときのワークエリアである。通信I/F部34は、LANカード、LANボードといったLANに接続するためのインターフェースである。
画像データ記憶部35は、通信I/F部34やスキャナーユニット40を介して入力された、印刷用の画像データを記憶する。
操作パネル60は、複写機1の上部の操作しやすい位置に配設され、印刷設定画面等の操作画面や印刷結果等の各種情報を表示するタッチパネル式液晶ディスプレイや、各種指示を入力するための操作ボタン等から構成され、タッチパネルや操作ボタン等の操作を介してユーザーからの各種指示入力を受付ける。
また、CPU31は、シートスルーモードでは、駆動モーターM1〜M4の回転駆動をそれぞれ制御することにより、ADFユニット50のローラーおよびローラー対54〜59を回転させて、原稿給紙トレイ52に載置された原稿を原稿読取位置Pへと搬送する原稿搬送処理を行う。
この原稿搬送処理中、さらにCPU31は、ADFユニット50のクラッチCL1をオン・オフ制御して、捌きローラー552のトルクリミット値を、第1の値t1と第2の値t2に切り替える負荷トルクの変更処理を実行する。
(3)捌きローラーの負荷トルク変更処理
図6(a)〜(c)は、ADFユニットにおける原稿搬送処理に伴う捌きローラーの負荷トルク変更処理の概要を説明するための動作図である。
まず、図6(a)は、原稿D1の給紙開始時の状態を示す。同図において、ピックアップローラー54、捌きローラー対55など各ローラー対56〜59、原稿の搬送路510などが模式的に示されている。図6(b)、(c)も同様である。
ここで、制御部30は、捌きローラー552のトルクリミット値を第1の値t1に設定する。
そして、図6(b)に示すように、ピックアップローラー54により繰り出された原稿D1の先端D1aが、捌きニップN1を通過し、スキュー補正された後、レジストニップN2を通過すると、制御部30は、捌きローラー552のトルクリミット値を第1の値t1から第2の値t2に切り替える。なお、制御部30は、スキュー補正後に給紙ローラー551の回転駆動を停止させ、レジストローラー対56が回転駆動するように駆動モーターM1,M2を制御している。この場合、給紙ローラー551は、ワンウェイクラッチを介して駆動モーターM1に連結されているので、このまま原稿は搬送される。
この第2の値t2への切り替えは、原稿D1の先端D1aがレジストニップN2を通過した後、原稿読取位置Pに到達するまでの間に行うのがよい。これは次の理由による。
原稿D1の先端D1aがレジストニップN2を通過すると、レジストローラー対56と捌きローラー対55との間を原稿D1が架け渡された状態になる。このとき、一方のレジストローラー対56は搬送方向Cに向けて回転駆動される。他方の捌きローラー対55の給紙ローラー551の回転駆動は停止されているが、ワンウェイクラッチの作用により回転する。しかし、捌きローラー552の搬送抵抗によるバックテンション(図6(b)の矢印Eで示す張力)が生じることになる。
この場合、原稿D1の搬送方向Cの長さが長いと(例えばA4縦通しなど)、図6(c)に示すように、その先端D1aが原稿読取位置Pを通過して画像読取が開始された後に、後端D1bが捌きニップN1を抜けるようになる。そうすると抜けた瞬間、原稿D1のバックテンションが低下して原稿D1の搬送負荷が小さくなって、搬送速度が瞬間的に速くなるために、その間の読取り画像が副走査方向に圧縮されて倍率変動が生じてしまう。その結果、読取り画像の劣化を来すという問題がある。
この問題は、バックテンションの低下を抑制することで回避または緩和することができるが、原稿のバックテンションを小さくするため、搬送抵抗となる捌きローラー552のトルクリミット値を単に小さくすると、捌き能力を低下させてしまって重送が頻出するという問題を引き起こす。
そこで、原稿の重送を防止しつつ、バックテンションの変動に起因する画像の劣化を抑制するため、上記したように、原稿の給紙開始から、原稿先端がレジストニップを通過するまでは、捌きローラー552のトルクリミット値を捌き能力の高い第1の値t1にして原稿を確実に捌いて、その後、捌き能力は低下するも、原稿間に滑りが生じている状態であれば切り替えても原稿の連れ送りを抑制できる第2の値t2にする構成とした。
ここで、第1の値t1を、原稿先端がレジストニップを通過するまでは維持するようにしているのは、スキュー補正後(原稿先端がレジストニップを通過する前)、原稿を搬送するローラーが給紙ローラー551からレジストローラー対56に切り替わる際、一時的に原稿の搬送が停止されるからである。このとき、既に第2の値t2に切り替わっていて、かつ捌きニップN1に原稿が複数枚噛み込まれていた場合には、搬送開始によって重送されてしまう可能性が高いからである。
また、原稿先端が原稿読取位置Pに到達するまでに第1の値t1から第2の値t2に切り替えるのは、画像の読み取りが開始されてしまった後では、第2の値t2に切り替えたときに、原稿のバックテンションが変動して倍率変動の問題を引き起こすおそれがあるからである。
なお、このようなバックテンションの変動に起因する画像劣化の問題は、搬送路を十分に長くして、原稿後端が捌きニップを抜けた後、原稿先端が原稿読取位置を通過するように構成すれば解決することは明らかである。しかしながら、その場合には、装置の大型化を招いてしまう。そこで、捌きローラー552のトルクリミット値を、上記した期間内に第1の値t1から第2の値t2に切り替えることにより、バックテンションの変動に起因する画像劣化を抑制するとともに、装置の大型化を回避できるように構成している。
図7は、制御部30で実行される「捌きローラーの負荷トルク変更処理」の制御内容を示すフローチャートである。
この制御は、複写機1全体を制御するメインフローチャート(不図示)のサブルーチンとして実施される。また、この制御は、シートスルーモードでの原稿の読み取りの際に実行されるものであり、上記した原稿搬送処理と並行して行われる。
同図に示すように、制御部30は、まず、捌きローラー552のトルクリミット値を第1の値t1に設定する(ステップS101)。
そして、原稿の給紙が開始され(ステップS102)、ピックアップローラー54により繰り出された原稿が、捌きローラー対55に捌かれスキュー補正された後、原稿の先端がレジストローラー対56のレジストニップN2を通過すれば(ステップS103:Yes)、制御部30は、捌きローラー552のトルクリミット値を第2の値t2に切り替える(ステップS104)。
上記ステップS103において、原稿の先端がレジストローラー対56のレジストニップN2を通過したか否かの判断は、レジストローラー対56の上流側にある原稿搬送センサーS1の出力情報を用いて、次のようにして行うことができる。
制御部30は、上記したように、原稿搬送センサーS1の出力の立ち上がりエッジを検出することで、原稿の先端が原稿搬送センサーS1の検出位置を通過するのを検出できる。また、原稿の先端が当該検出位置からレジストニップN2を通過するまでの時間(J1)(スキュー補正に要する時間を含む)は、予め実験により求めておくことができる。これらより、制御部30は、原稿の先端が原稿搬送センサーS1の検出位置を通過した時点から、時間(J1)が経過したかどうかをチェックすることにより、原稿の先端がレジストニップN2を通過したか否かを判断できるのである。
次に、原稿の後端が原稿読取位置Pを通過し(ステップS106:Yes)、画像読取が終了した後、次の原稿があれば(ステップS107:Yes)、ステップS101に戻り、捌きローラー552のトルクリミット値を第1の値t1に戻して、以降のステップS102〜S106の処理を繰り返す。次の原稿がなければ(ステップS107:No)、不図示のメインフローチャートにリターンする。
上記ステップS106において、原稿の後端が原稿読取位置Pを通過したか否かの判断は、原稿読取位置Pの上流側にある原稿搬送センサーS2の出力情報を用いて、上記ステップS103における判断と同様、次のようにして行うことができる。
制御部30は、上記したように、原稿搬送センサーS2の出力の立ち下がりエッジを検出することで、原稿の後端が原稿搬送センサーS2の検出位置を通過するのを検出できる。また、原稿の後端が当該検出位置から原稿読取位置Pを通過するまでの時間(J2)は、予め実験により、または搬送速度と検出位置から原稿読取位置Pまでの距離から求めることができる。これらより、制御部30は、原稿の後端が原稿搬送センサーS2の検出位置を通過した時点から、時間(J2)が経過したかどうかをチェックすることにより、原稿の後端が原稿読取位置Pを通過したか否かを判断できるのである。
また、ステップS107において、次の原稿があるか否かの判断は、原稿載置センサーS11のスイッチが入っているか否かによって判断することができる。
上記構成のADFユニット50は、原稿D1の先端D1aがレジストローラー対56のレジストニップN2を通過した後、原稿読取位置Pに到達する前に、捌きローラー552のトルクリミット値を第1の値t1から第2の値t2に下げて搬送抵抗を小さくしている(第1の抵抗値から第2の抵抗値に)。これにより、原稿D1の先端D1aがレジストニップN2を通過するまでは、捌きニップN1を通過する原稿に対する搬送抵抗を、捌くことができる十分な大きさにすることができるとともに、その後の搬送抵抗を小さくしているので、原稿D1の後端D1bが捌きニップN1を抜けたときのバックテンション、および搬送速度の変動を従来よりも小さくすることができる。これにより、読取り画像が部分的に圧縮されて倍率変動が生じるのを抑制でき、読取り画像の劣化を抑制することができる。
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態のADFユニットは、捌きローラー552のトルクリミット値の第2の値を、給紙する原稿の厚みに応じて厚紙、普通紙、薄紙の紙種毎に変えている点、および第2の値への切り替えに起因して原稿の連れ送りが生じた場合には、当該第2の値を増加させる補正を行うように構成されている点で、第1の実施の形態のADFユニット50とは相違する。
ここでの第2の値への切り替えに起因する「原稿の連れ送り」とは、捌きニップに連れ送られてきた原稿の先端が、第2の値への切り替え後に当該捌きニップを抜けてしまう現象のことを意味する。
その他の構成については、基本的に第1の実施の形態のADFユニット50と同様であるので、同じ構成については、同じ符号で示し、その説明を省略する。
(1)原稿紙種を判定する構成
図8(a)は、本実施の形態に係るADFユニットに設けられた、原稿紙種を判定する構成を説明するための模式図である。
同図に示すように、捌きローラー対55の下流側に、原稿搬送センサーS3と、原稿厚み検出センサーS4が設けられている。
原稿搬送センサーS3は、第1の実施の形態で説明した原稿搬送センサーS1,S2と同様、例えば反射型の光電センサーからなり、検出結果を制御部30(図5参照)に出力する。原稿厚み検出センサーS4は、原稿の搬送路を挟むように対向配置された、公知の測距センサー2つで構成されてなり、当該2つの測距センサー間の距離と、各測距センサーにより検出された原稿までの距離との差分(原稿の厚み)を、制御部30に出力する。
制御部30は、原稿搬送センサーS3の出力より原稿の厚みの検出タイミングを得ている。具体的には、原稿搬送センサーS3の出力の立ち上がりエッジを検出(原稿の先端を検出)したとき、原稿厚み検出センサーS4の出力結果より原稿の厚みを検出する。そして制御部30は、検出した原稿の厚みが、「普通紙」の厚みの規定範囲であれば、当該原稿の紙種が「普通紙」であると判定し、「普通紙」の厚みの規定範囲よりも大きい場合には「厚紙」であると判定、「普通紙」の厚みの規定範囲よりも小さい場合には「薄紙」であると判定する。
ここでの「普通紙」の厚みの規定範囲を示す情報(以下、「紙種情報」ともいう。)は、制御部30のROM32に格納されている。なお、紙種情報として、「普通紙」の厚みの規定範囲とともに、「厚紙」、「薄紙」の厚みの規定範囲も一緒に格納する構成としてもよい。
なお、原稿厚み検出センサーS4が原稿搬送センサーS3よりも下流側に配された構成としても構わない。この場合、原稿搬送センサーS3により原稿の先端を検出してから、当該先端が原稿厚み検出センサーS4位置を通過する所定時間が経過したときに、原稿の厚みを検出するようにすればよい。
(2)原稿の連れ送りを判定する構成
図8(b)は、原稿の連れ送りを検出し判定する構成を説明するための模式図である。ここでは、上記原稿搬送センサーS3の出力情報を用いて、次のようにして行う。
原稿の連れ送りが生じていれば、例えば、同図に示すように、搬送路510内を搬送している原稿D1の後端D1bが原稿読取位置Pを通過したときに捌きニップN1を見ると、次の原稿D2の先端D2aが捌きニップN1を抜けて下流側にきた状態となっている。このときには、原稿搬送センサーS3から原稿の検出を示すオン信号が出力されるので、制御部30は原稿の連れ送りが生じていると判定することができる。
なお、原稿の連れ送りを検出するタイミングは、原稿D1の後端D1bが原稿読取位置Pを通過したときに限定するものではない。原稿D1の後端D1bが、原稿搬送センサーS3の検出位置を通過した後であって、かつ次の原稿D2を繰り出し搬送する前であればいつでも構わない。
(3)捌きローラーへの負荷トルク発生機構
図9は、本実施の形態の負荷トルク発生機構の構成例を示す図である。
同図に示すように、負荷トルク発生機構170は、捌きローラー552の回転軸552bに、トルクリミッターTL1,TL2に加え、さらに3つのトルクリミッターTL3〜TL5が接続された構成となっている。
トルクリミッターTL3は、クラッチCL2を介してギア73に接続され、トルクリミッターTL4は、クラッチCL3を介してギア74に接続され、トルクリミッターTL5は、クラッチCL4を介してギア75に接続されている。
クラッチCL2〜CL4は、クラッチCL1と同様、公知の電磁クラッチからなり、制御部30の制御を受けてオン・オフされる。
制御部30は、クラッチCL1〜CL4をオン・オフ制御して、作動させるトルクリミッターTL2〜TL5の組み合わせを変えることにより、捌きローラー552に与える負荷トルク(トルクリミット値)を選択的に切り替えることができる。
図10は、第1の値t1、紙種毎に設定された第2の値t2、および各値のときのトルクリミッターTL1〜TL5の作動制御の一例を示すテーブルである。
同図に示すように、本実施の形態では、各トルクリミッターTL1〜TL5のトルクリミット値が、90gf・cm、100gf・cm、110gf・cm、120gf・cm、130gf・cmとなっている。
第1の値t1は、トルクリミッターTL1〜TL5の全てを作動(オン)させた値、550gf・cmである。
また、原稿が厚紙のときの第2の値t2は、420gf・cm、430gf・cm、440gf・cmと3段階に切り替えることができ、初期値はトルクリミッターTL1〜TL4をオンさせた値、420gf・cmである(◎印)。当該初期値で連れ送りが生じた場合、制御部30は、トルクリミッターTL4をオフ、トルクリミッターTL5をオンにして、第2の値t2を430gf・cmに切り替える。それでも連れ送りが生じた場合には、トルクリミッターTL3をオフ、トルクリミッターTL4をオンに戻して、第2の値t2を440gf・cmに切り替える制御を行う。
同様に、原稿が普通紙および薄紙のときの第2の値t2も、3段階に切り替えられることができ、それぞれの初期値は320gf・cm、200gf・cmである(◎印)。
このような厚紙、普通紙、薄紙毎の第2の値t2は、実験により求められている。第2の値t2が、薄紙よりも厚紙の方が大きくなっているのは、例えば2枚の原稿が捌きニップN1に噛み込まれたとき、当該原稿が厚いほど、原稿と原稿との間が圧接されて摩擦力が大きくなるために連れ送りが生じやすくなるのである。
また、同じ厚さの原稿であっても、例えば原稿の吸湿量や画像の種類(写真、文字等)などの違いによって原稿と原稿との間の摩擦力が変わるため、これらを考慮し過ぎると第2の値t2をあまり小さくすることができなくなる。なお、原稿給紙トレイにセットする原稿束の単位で見ると、このような原稿状態(吸湿量)、画像種類等はそう大きくばらつくことはない。このようなことから、ここでは、所定の原稿状態(吸湿量)を基準にし、かつ一般的に使用頻度の高い画像種類(例えば文字)の原稿を前提として、第2の値t2の初期値を設定し、連れ送りが生じれば、その値を補正(増加)するようにしている。これにより、第2の値t2(特に初期値)をより小さく設定することができるようになるからである。
各紙種の第2の値t2の最大値は、原稿状態および画像種類によらず、原稿の連れ送りを抑制できる大きさに設定される。また、ここでは初期値と最大値の間の値として、これらの中間値が設定されている。
このような各紙種における第2の値t2の、初期値、最大値は、予め実験により求められる。また、初期値と最大値の間の値を、原稿状態(吸湿量)や画像種類が初期値のときとは異なる原稿を前提にして、連れ送りを抑制できるように予め実験により求めて設定しても構わない。
(4)捌きローラーの負荷トルク変更処理
図11は、本実施の形態において、制御部30で実行される「捌きローラーの負荷トルク変更処理」の制御内容を示すフローチャートである。
ここでは、制御部30のROM32に、上記の紙種情報(普通紙の厚みの規定範囲を示す情報)、および図10に示す設定テーブルF内の各種情報が格納されている。また、RAM33には、厚紙、普通紙、薄紙の第2の値設定値を格納する第2の値格納部R1,R2,R3、および原稿の厚みを検出し判定した紙種を格納する紙種格納部R4の領域が設けられている。
図11に示すように、まず、制御部30は、各紙種の第2の値設定値に初期値をセットする(ステップS201)。具体的には、ROM32に格納された設定テーブルFから、厚紙、普通紙、薄紙のそれぞれに対応する第2の値の初期値(420gf・cm、320gf・cm、200gf・cm)を取得して、RAM33の第2の値格納部R1,R2,R3にそれぞれセットする。
次に、制御部30は、捌きローラー552のトルクリミット値を第1の値t1に設定する(ステップS202)。
そして、原稿の給紙が開始されると(ステップS203)、給紙された原稿の厚みを検出する(ステップS204)。制御部30は、検出した原稿の厚みと、ROM32に格納された紙種情報、普通紙の厚みの規定範囲とを比較することにより、原稿の紙種を判定する(ステップS205,S207)。このとき、判定した紙種をRAM33の紙種格納部R4に格納する。
判定した結果、普通紙の場合には(ステップS205:Yes)、RAM33の第2の値格納部R2に格納された「普通紙の第2の値設定値」を第2の値t2にセットする(ステップS206)。
判定した結果が厚紙の場合には(ステップS207:Yes)、第2の値格納部R1に格納された「厚紙の第2の値設定値」を第2の値t2にセットする(ステップS208)し、普通紙、厚紙のいずれでもない場合には(ステップS205,207:No)、第2の値格納部R3に格納された「薄紙の第2の値設定値」を第2の値t2にセットする(ステップS209)。
この後、スキュー補正された原稿の先端が、レジストローラー対56のレジストニップN2を通過すれば(ステップS210:Yes)、制御部30は、捌きローラー552のトルクリミット値を、上記ステップS206,S208,S209のいずれかでセットされた第2の値t2に切り替える(ステップS211)。
そして、原稿の後端が原稿読取位置Pを通過し(ステップS212:Yes)、画像読取が終了した時点で、原稿の連れ送りが発生しているか否かを確認する(ステップS213)。
原稿の連れ送りが発生していれば(ステップS213:Yes)、制御部30は、給紙した原稿紙種の第2の値設定値を引き上げる(ステップS214)。ここでの制御部30は、RAM33の紙種格納部R4に格納された紙種に対応する、第2の値格納部(R1,R2,R3のいずれか)に、ROM32の設定テーブルFより次に大きい第2の値を取得してセットする。
これにより、次に同じ紙種の原稿が給紙される際には、連れ送りを抑制できるようにしている。
一方、原稿の連れ送りが発生していなければ(ステップS213:No)、ステップS214をスキップする。
次の原稿があれば(ステップS215:Yes)、ステップS202に戻り、捌きローラー552のトルクリミット値を第1の値t1に戻して、以降のステップS203〜S215の処理を繰り返す。次の原稿がなければ(ステップS215:No)、不図示のメインフローチャートにリターンする。
本実施の形態では、第2の値t2を原稿の紙種毎に設定するとともに、第2の値t2を補正する手段を設けることにより、連れ送りが生じればそのときに第2の値t2を増加させるように補正すればよいので、第2の値t2が全ての紙種に対応しかつ固定される第1の実施の形態と比べて、第2の値t2(特に初期値)をより小さくすることが可能になる。また特に、薄紙や普通紙の原稿の場合に小さくすることができる(図10参照)。
これにより、原稿の後端が捌きニップを抜けたときのバックテンション、および搬送速度の変動を従来よりも、かつ第1の実施の形態よりも小さくすることができ、読取り画像の劣化をより抑制することができる。
[変形例]
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(1)上記実施の形態では、ピックアップローラー54により繰り出された原稿を捌く捌き部材が、捌きローラー552と負荷トルク発生機構70との組み合わせからなる構成を示したが、これに限定するものではない。
例えば、捌きローラー552が、駆動モーターからの駆動力を受けて原稿の搬送方向とは反対向きに回転する構成とし、回転トルクによる搬送抵抗を原稿に与えて捌くようにすることができる。この場合、駆動モーターとして、例えばDCモーターを用いた場合には、供給電流値を変えることによって回転トルクを切り替えることができ、原稿に与える搬送抵抗の大きさを変えることができる。
また、例えば、捌きローラーに代えて、捌きパッドを捌き部材として用いることもできる。この場合には、捌きパッドを、バネおよびソレノイドなどの適当なアクチュエーター機構により給紙ローラーに押し付けて捌きニップを形成するとともに、押圧力を切り替えることにより原稿に与える搬送抵抗の大きさを変更可能に構成することができる。また、ソレノイドに代えてカム機構を用いて捌きパッドを押圧するようにしても構わない。カム機構などを用いた場合には、押圧力を多段階あるいは連続的に変更可能なので、例えば、搬送抵抗をより細かく制御するようにしてもよい。
(2)上記実施の形態では、捌きローラー552の回転軸552bの一端にトルクリミッターTL1が取り付けられ、他端に他のトルクリミッター(TL2など)が取り付けられてなる負荷トルク発生機構を示したが、これに限定するものではない。例えば、トルクリミッターTL1および他のトルクリミッター(TL2など)の全てを、回転軸552bの一端または他端に取り付けても構わない。
また、複数のトルクリミッターを連結するのにギアを用いた構成を示したが、ギアに代えて、ベルトにより連結する構成としても構わない。
トルクリミッターの取付構造は、ADFユニットの仕様(内部空間のレイアウトなど)に応じて、その構成を適宜選択することができる。
(3)上記実施の形態では、2つの測距センサーからなる原稿厚み検出センサーを用いた構成を示したが、これに限定するものではない。例えば、上記実施の形態では、厚紙、普通紙、薄紙の紙種を判定できる程度の測定精度があればよいので、原稿を厚さ方向から挟み込む接触型の厚さ測定装置を用いることもできる。なお、この場合、原稿を挟み込んだときに搬送抵抗が生じないように、厚み測定時には原稿搬送を一旦停止させるのが望ましい。
(4)第2の実施の形態では、第2の値t2を原稿の紙種毎に設定する構成、および第2の値t2を補正する構成をともに備えるADFユニットを用いて説明したが、これに限定するものではない。どちらか一方の構成を備えるだけでも、第1の実施の形態よりも、第2の値t2を小さくすることができるようになるので、原稿の後端が捌きニップを抜けたときのバックテンションの変動を抑制でき、読取り画像の劣化を抑制することができる。
(5)第2の実施の形態では、原稿の厚みにより分類される厚紙、普通紙、薄紙の紙種毎に第2の値t2を設定する構成を示したが、これに限定するものではない。例えば、原稿の厚みにより厚紙と、それ以外(普通紙および薄紙)の2つに分けて第2の値t2を設定する、また薄紙と、それ以外(普通紙および厚紙)の2つに分けて第2の値t2を設定するようにしても構わない。
さらに、厚紙、普通紙、薄紙を、原稿の厚みによってより細かく分類し、その分類毎に第2の値t2を設定するようにしても構わない。
(6)第2の実施の形態では、原稿の紙種毎に第2の値t2を3段階に切り替えられる構成を示したが、第2の値t2は2段階でも、また4段階、5段階に切り替えられる構成であっても構わない。
また、第2の値t2の初期値を小さくしておき、連れ送りが生じた場合にその値を高めるように補正する構成で説明したが、これに限定するものではない。例えば、第2の値t2の初期値を高くして、連れ送りが生じない場合にその値を小さくするように補正する構成としても構わない。この場合、第2の値t2を小さくしたために連れ送りが生じたときには、連れ送りが生じる前の値に戻し、当該値を維持するように制御するのが望ましい。
また、第2の値t2の初期値に、切り替え可能な値の中の、中間的な値を設定し、連れ送りが生じれば値を高めるように補正をし、連れ送りが生じなければ値を低くするように補正する構成としても構わない。
(7)上記実施の形態では、プリンター部2に設けられた(配置された)制御部30を用いて、ADFユニット50を制御する構成を示したが、これに限定するものではない。例えば、ADFユニット50専用の制御部を設けた構成としても構わない。この場合、ADFユニット50専用の制御部は、プリンター部2の制御部30と連携して、上記原稿搬送処理および捌きローラーの負荷トルク変更処理を実行するように構成される。
(8)上記実施の形態では、画像形成装置として、タンデム型カラー複写機を用いて説明したが、本発明の適用範囲は、これに限らず、他の複写機や、プリンター、ファクシミリ装置などに適用することができる。
また、上記実施の形態及び変形例の内容は、可能な限り組み合わせても構わない。
本発明は、原稿の捌き機構の改良技術として有用である。
1 複写機
2 プリンター部
3 画像読取部
10 画像形成部
11 作像ユニット
12 中間転写ベルト
13 二次転写ローラー対
14 定着部
20 給紙部
30 制御部
40 スキャナーユニット
50 ADFユニット
52 原稿給紙トレイ
53 原稿排紙トレイ
54 ピックアップローラー
55 捌きローラー対(捌き部)
551 給紙ローラー
552 捌きローラー
56 レジストローラー対
57 読取前ローラー対
58 読取後ローラー対
59 排紙ローラー対
70、170 負荷トルク発生機構
CL1〜CL4 クラッチ
N1 捌きニップ
N2 レジストニップ
S1〜S3 原稿搬送センサー
S4 原稿厚み検出センサー
TL1〜TL5 トルクリミッター

Claims (5)

  1. 原稿トレイ上に積載された原稿をピックアップローラーで繰り出し、捌き部において給送ローラーに押圧された捌き部材により搬送抵抗を付与して捌いた後、原稿読取位置まで搬送する原稿搬送装置であって、
    前記捌き部材による搬送抵抗の大きさを変更する搬送抵抗変更手段と、
    前記捌き部より原稿搬送方向下流側に配された搬送ローラー対を回転駆動して原稿を搬送する搬送手段と、
    前記捌き部から前記搬送ローラー対のニップに到るまでの搬送路途中における原稿の厚みを検出する厚み検出手段と、
    を備え、
    前記搬送抵抗変更手段は、
    捌き部を通過した原稿の先端が、前記搬送手段における搬送ローラー対のニップを通過した後、前記原稿読取位置に到達するまでの間に、前記捌き部材により付与される搬送抵抗を、第1の値から、より小さな第2の値に変更し、かつ、前記第2の値を、複数の異なる値から設定可能であり、
    前記厚み検出手段により検出された原稿の厚みが普通紙の厚みの規定範囲よりも大きい場合には前記規定範囲よりも小さい場合よりも前記第2の値が大きな値に決定されることを特徴とする原稿搬送装置。
  2. 前記捌き部で連れ送りが生じたことを検出する連れ送り検出手段を備え、
    前記搬送抵抗変更手段は、前記連れ送りが検出されたときは、前記第2の値を所定量増加する補正を行うことを特徴とする請求項に記載の原稿搬送装置。
  3. 前記捌き部材は、給紙ローラーに押圧されて捌きニップを形成する捌きローラーと、当該捌きローラーに回転負荷を与える複数のトルクリミッターとからなり、
    前記搬送抵抗変更手段は、前記複数のトルクリミッターのうち一部の、前記捌きローラーへの回転負荷を切断することにより、前記搬送負荷を第1の値から第2の値に変更する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の原稿搬送装置。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の原稿搬送装置を備えることを特徴とする原稿読取装置。
  5. 請求項に記載の原稿読取装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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