JP5884375B2 - リビングラジカル重合開始剤、星型共重合体、樹脂組成物、及びダイボンドフィルム - Google Patents
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Description
熱硬化性成分としては、耐熱性、耐湿性の観点から、特にエポキシ樹脂が好適に用いられており、高分子量成分としては、架橋性基を有するポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂等が用いられており、中でもアクリルゴムが好適に用いられている。
この中で、埋込性の要求を満たすには、樹脂の流動性を高める、具体的には、Bステージでの低粘度化を実現すればよく、高分子量成分を低分子量化すれば、分子同士の絡み合いが少なくなり全体としての粘度を低下させることができる。
(1)ハロゲン原子を末端に有する分岐鎖を1分子中に少なくとも3本有するリビングラジカル重合開始剤であって、
前記ハロゲン原子のうち最も近接する2個のハロゲン原子間の結合中に少なくとも1個のベンゼン環を有し、かつ前記ハロゲン原子間において結合する原子の最小数が9〜30個であり、該9〜30個の原子のうちの前記ベンゼン環に結合する2つ原子が該ベンゼン環のメタ位又はパラ位において結合していることを特徴とするリビングラジカル重合開始剤。
特に、市販の開始剤(Pentaerythritoltetrakis(2-bromoisobutyrate))を用いて合成した4本鎖星型構造高分子よりも低粘度の星形構造高分子が合成可能であり、より高流動なダイボンドフィルムを提供することができる。
本発明のリビングラジカル重合開始剤(以下、単に「本発明の重合開始剤」と呼ぶ場合がある。)は、ハロゲン原子を末端に有する分岐鎖を1分子中に少なくとも3本有するリビングラジカル重合開始剤であって、前記ハロゲン原子のうち最も近接する2個のハロゲン原子間の結合中に少なくとも1個のベンゼン環を有し、かつ前記ハロゲン原子間において結合する原子の最小数が9〜30個であり、該9〜30個の原子のうちの前記ベンゼン環に結合する2つ原子が該ベンゼン環のメタ位又はパラ位において結合していることを特徴としている。
本発明の重合開始剤は、上述の通り、重合開始点たるハロゲン原子のうち最も近接するハロゲン原子間において、上述のような構成で原子が存在することで、同ハロゲン原子間は立体障害の影響を無視できる程度に離間し、また最も近接するハロゲン原子間がそのように離間することから、それら以外のハロゲン原子間はさらに離間する。つまり、全体として、重合開始点が伸長した他の立体障害の影響を受けることなく、それぞれの分岐鎖が精密に伸長した高流動な星型共重合体を合成することができると推察される。
以下に先ず、本発明の重合開始剤について詳述する。
また、現在までに最大で21本鎖の星型重合体が報告されているが、分岐鎖を増やすことによる停止反応、ひいてはゲル化の危険性を抑制するために、低いモノマー転化率で重合を止めている。以上のことから、工業的・実用的に耐えうる分岐鎖は3〜18本程度であると考えられる。
さらに、ハロゲン原子間において結合する9〜30個の原子のうちのベンゼン環に結合する2つ原子は、ベンゼン環のメタ位又はパラ位において結合しているが、メタ位又はパラ位とすることで、その結合距離及び結合角度の兼ね合いからハロゲン原子間に一定の離間距離を確保することができ、星型共重合体とした場合の重合鎖の立体障害の影響を解消することができる。一方、オルト位では原子間距離が近距離であり、一定の離間距離を確保できず、重合鎖の立体障害の影響を無視できなくなる。
また、最も近接する2個のハロゲン原子間にベンゼン環が2個以上存在する場合においても、いずれのベンゼン環もメタ位又はパラ位に2つの原子が結合するが好ましいが、ハロゲン原子間の距離が一定の離間距離が確保できるように、その組み合わせは適宜設定することが好ましい。
本発明の星型共重合体は、既述の本発明の重合開始剤を用いて、モノマー種を重合してなることを特徴としている。
本発明の星型共重合体は、少なくとも3つの重合鎖が放射状に伸びる星型構造を有する共重合体であるが、樹脂の分類として具体的には、(メタ)アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられ、中でも、アクリルゴムが好ましい。当該星型共重合体は、樹脂混和物の流動性、硬化物の強靭性という観点から、ガラス転移点Tgが60℃以下のものが好ましく、より好ましくは50℃以下であり、さらに好ましくは40℃以下である。
以下に、まず当該合成方法において用いられる各成分について説明する。
モノマー種は、特に限定されず、種々のものを用いることができる。例えば、以下のモノマーを挙げることができる。なお、以下の構造式はアクリル系のものを示すが、メタクリル系のものも使用可能である。すなわち、(1)〜(7)の構造において、CH2=CH−を、CH2=C(CH3)−に置き換えたものも使用可能である。
具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ステアリル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−プロポキシエチル基、2−ブトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−メトキシブチル基、4−メトキシブチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。一方、芳香族基としては、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基を表し、中でも、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜11のアラルキル基が好ましい。具体的には、フェニル基、トルイル基、ベンジル基等が挙げられる。
本合成方法における配位子は、アミン化合物であり、1分子中に2個以上のN原子を有するアミン化合物を用いることが好ましい。そのようなアミン化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
本合成方法において用いられる触媒は、周期律表第7族〜11族元素の遷移金属であり、具体的には、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金が挙げられ、中でも、銅、ルテニウム、ニッケル、鉄が好ましく、銅が最も好ましい。特に、銅を使用すると、触媒活性が高く、高重合率、高分子量化を達成しやすい。
本合成方法において使用し得る溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等のアミド系溶媒などが好適に使用することができる。これらは、単独又は組み合わせて使用してもよい。但し、ここに挙げた例は一例であり、これらに制限されるものではない。
その他の成分としては、触媒活性を上げるためルイス酸(例えば、アルミニウムアルコキシド等)、又は無機塩(例えば、炭酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等)、又は還元剤(例えば、2−エチルヘキサン酸すず等)を添加することも可能である。
本合成方法において採用される原子移動ラジカル重合は、開始剤としてハロゲン化合物等を、触媒として遷移金属を用い、アクリル系などのモノマーを重合する重合法であり、ラジカル重合でありながら停止反応等の副反応が起こりにくく分子量分布の狭い重合体(Mw/Mn=1.1〜2.2)が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって、製造しようとする重合体の分子量を自由に制御し得るという「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲンを末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有する重合体の製造方法として有用である。この原子移動ラジカル重合法としては、例えば、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁、7901頁,Matyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁、サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁、国際公開第96/30421号パンフレット,国際公開第97/18247号パンフレット、国際公開第98/01480号パンフレット,国際公開第98/40415号パンフレット、特開平9−208616号公報、特開平8−41117号公報等に記載されている。
まず、本合成方法における合成のために用意した容器内に触媒を秤取して、容器内を減圧、窒素雰囲気下とし、各モノマー種と、配位子と、溶媒とを加える。次いで、窒素によりバブリングし、脱酸素を図る。再度窒素雰囲気下とし、別途調製した開始剤溶液を加え、重合を進行させる。このときの温度は10〜100℃程度で、最後に、反応溶液を精製し、目的とする星型共重合体を得る。
本発明の樹脂組成物は、既述の本発明の星型共重合体と、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含むことを特徴としている。また、本発明のダイボンドフィルムは、当該本発明の樹脂組成物からなることを特徴としている。
以下、各成分について説明する。
本発明の樹脂組成物(ダイボンドフィルム)は、硬化性成分としてエポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂は、硬化して接着作用を有するものであれば特に限定されない。ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などの二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂などを使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂または脂環式エポキシ樹脂など、一般に知られているものを適用することができる。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができ、例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、キシリレン変性フェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂などが挙げられる。
具体的には、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等のフェノール系硬化剤が挙げられ、中でも、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂が好ましい。硬化剤の含有量としては、全エポキシ樹脂のエポキシ基数と全硬化剤の水酸基数の当量比としては0.5〜2で配合することが好ましい。
さらに、本発明の樹脂組成物(ダイボンドフィルム)には、Bステージ状態における接着シートのダイシング性の向上、接着シートの取扱い性の向上、熱伝導性の向上、溶融粘度の調整、チクソトロピック性の付与などを目的として、好ましくはフィラー、より好ましくは無機フィラーを配合することが好ましい。
本発明のダイボンドフィルムにおいて、前記各成分の含有量は、前記星型共重合体は10〜40質量部であり、前記エポキシ樹脂及び硬化剤は30〜45質量部であり、前記フィラーは、前記星型共重合体と前記エポキシ樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、40〜180質量部であることが好ましい。
各成分の含有量を上記数値範囲とすることで、凹凸を埋込み、かつ半導体チップとの絶縁性を確保することが可能となる。また、各成分の含有量は、好ましくは、前記共重合体は12〜35質量部であり、前記エポキシ樹脂及び硬化剤は33〜42質量部であり、前記フィラーは、前記星型共重合体と前記エポキシ樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、60〜160質量部であり、より好ましくは、前記星型共重合体は15〜30質量部であり、前記エポキシ樹脂及び硬化剤は35〜40質量部であり、前記フィラーは、前記星型共重合体と前記エポキシ樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、60〜120質量部である。
本発明のダイボンドフィルムには、その他の成分として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、硬化促進剤、レベリング剤、酸化防止剤、イオントラップ剤などを含んでいてもよい。
次に、本発明のダイボンドフィルムを作製する各工程について説明する。以下に示す工程は一例であり、本発明のダイボンドフィルムは以下の工程に限定されるものではない。
(1)ワニスの調製
高分子量成分(星型共重合体)、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性成分、フィラー、及び他の成分を有機溶媒中で混合、混練してワニスを調製する。
ワニスの調製に用いる有機溶媒は、材料を均一に溶解、混練又は分散できるものであれば制限はなく、従来公知のものを使用することができる。このような溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N―メチルピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、トルエン、キシレン等が挙げられる。乾燥速度が速く、価格が安い点でメチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどを使用することが好ましい。
上記(1)で得られたワニスを基材上に塗工し、ワニスの層を形成する。基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、メチルペンテンフィルムなどを用いることができる。
塗工には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム等を用いることができ、塗工厚みは、最終的なダイボンドフィルムの厚さを考慮して決定されるが、10〜250μmとすることが好ましい。
上記(2)で得られた、ワニスを塗工した基材を加熱乾燥する。加熱乾燥の条件は、使用した溶媒が充分に揮散する条件であれば特に制限はないが、通常60℃〜200℃で、0.1〜90分間加熱して行う。加熱乾燥後、基材を除去してダイボンドフィルム(Bステージフィルム)得ることができる。
まず、3本鎖星型アクリルゴムの合成に必要な配位子及び3官能開始剤を以下のようにして合成した。
三方コックを備えたジムロートとセプタムラバとを50ml二口ナスフラスコに装着し、N2雰囲気下にした後、蟻酸25.0ml(521.4mmol)を秤取した。
0℃に冷却した後、ホルムアルデヒド10.0ml(123.2mmol)を加え、そのまま0℃の状態で1時間攪拌した。この反応液に、トリス(2−アミノエチル)アミン 1.5ml(10.0mmol)を蒸留水5mlに溶解させた水溶液を約10分かけて滴下した。その後、反応液を室温に戻し、窒素気流下とした。次に95℃に設定したオイルバスにこの反応器を設置し緩やかに10時間還流した。次いで、室温に戻し、溶媒をエバポレータにて除去した後、残渣を飽和NaOH水溶液で処理した。有機層を抽出した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去し、薄黄色液体のヘキサメチル化トリス(2−アミノエチル)アミン(以下、Me6TRENと称す)1.9g(収率86%)を得た。構造は1H、13C−NMRより確認した。
三方コック、セプタムラバを備えた100ml二口ナスフラスコにフロログルシノール1.00g(7.93mmol)を秤取した。N2雰囲気にした後、脱水テトラヒドロフラン(以下、THFと称す)40.0mlを加えた。さらに、トリエチルアミン(以下、Et3Nと称す)3.9ml(27.8mmol)を加え、0℃に冷却した。次いで、2−ブロモプロピオン酸クロリド2.8ml(27.8mmol)をゆっくりと滴下した後、室温に戻し2時間反応を進行させた。反応追跡はTLC(薄層クロマトグラフィー)を用いて行い、原料のスポットが消失したとき、反応終了とみなした。反応終了後、ろ過し溶液中の塩酸塩を取り除き、溶媒をエバポレータにて留去した。残渣をMeOHにより再結晶することで白色固体の生成物2.4g(収率57%)で得た。
なお、構造は1H、13C−NMRより確認したところ、既述の構造式(2)で表される構造であった。つまり、最も近接するハロゲン原子たる臭素原子間において結合する原子の最小数は9個である。
三方コックを備えた300ml三口フラスコに銅粉末(以下、Cu(0)と称す)を0.0457g(1.44mmol)秤取した。アクリル酸ブチル(以下BAと称す)29.85g(232.89mmol)、アクリル酸エチル(以下EAと称す)22.23g(222.03mmol)、メタクリル酸グリシジル(以下GMAと称す)2.31g(16.25mmol)、アクリロニトリル22.74g(428.57mmol)、脱水ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと称す)97.18g、Me6TRENを0.1037g(0.45mmol)加えた。溶液をN2バブリング(500ml/min 60min)し脱酸素した後、上記の3官能開始剤を0.2389g(0.45mmol)加えさらにN2バブリング(500ml/min 15min)した。容器を密閉系とし、設定温度30℃のウォーターバスに設置し16時間反応を進行させた。反応終了後、アセトンで溶液の粘度を低下させ、吸引ろ過した。ろ液を、テフロン(登録商標)減圧攪拌装置を備えた500ml三口フラスコに移した。150rpmで攪拌しながら1時間かけ純水を滴下した後、30分間攪拌した。攪拌後に減圧蒸留を行い、アセトンおよび未反応モノマを除去した。フラスコ内に残った水溶液をスポイトで除去した後、残ったポリマを水で2回、メタノールで1回洗浄し、再びアセトンで溶解した。溶解後、再び1時間かけ純水を滴下し、30分攪拌した。攪拌後に減圧蒸留を行い、フラスコ内に残った水溶液をスポイトで除去した後、残ったポリマを水とメタノールで1回ずつ洗浄した。洗浄後、ポリマをシクロヘキサノンで溶解させ、減圧蒸留によって低沸点溶媒を除去し、アクリルゴム溶液とした。合成した星型アクリルゴムの重量平均分子量は20万であった。また、ガラス転移点Tgは44℃であった。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により得られた値である。
〈ワニスの調製〉
上記のように合成した星型アクリルゴム17.9g、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成(株)製、YDF−8170C)29.0g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(東都化成(株)製、YDCN−703)9.7g、キシレン変性ノボラック(三井化学製、XLC−LL)33.8g、硬化促進剤(四国化成工業(株)製、2PZ-CN)0.1g、カップリング剤(日本ユニカー(株)製、A-189)0.3gおよび(日本ユニカー(株)製、A-1160)0.5gからなる組成物に、シクロヘキサノンを加えて、攪拌脱泡し、ワニスを調製した。なお、フェノール硬化剤の軟化温度は76.5℃である。
アプリケータ自動塗工機(テスター産業(株)製)を用いて、PET基材(帝人デュポン(株)製 A53)上に調製したワニスを塗布し、ギャップを調整したアプリケータで塗工した。得られたフィルムを、オーブン中120℃/20minの条件で加熱乾燥した。その後、PET基材を引き剥がすことで、膜厚40μmのBステージフィルムを得た。
得られたフィルムをオーブン中で120℃/30min、140℃/1h、175℃/2hの条件で加熱硬化することでCステージフィルムとした。
まず、4本鎖星型アクリルゴムの合成に必要な配位子及び4官能開始剤を以下のようにして合成した。
三方コックを備えた500ml四口フラスコにTekP−4HBPA 5.0g(8.7mmol)を秤取した。THF 100gおよびEt3N 3.7g(36.6mmol)を加え、N2雰囲気下で0℃に冷却した。2−ブロモプロピオニルブロミド7.9g(36.6mmol)を滴下(3g/min)した後、室温に戻し12時間反応させた。反応追跡はTLCを用いて行い、原料のスポットが消失したとき、反応終了とみなした。反応終了後、ろ過によって溶液中のEt3Nの臭素酸塩を除去し、溶媒をエバポレーターで除去した。残渣を純水で2回洗浄した後、減圧乾燥機で2時間乾燥させた。乾燥した試料をエタノールで再結晶することで白色固体化合物19.5g(収率50%)を得た。構造は1H NMRで確認したところ、既述の構造式(1)で表される構造であった。つまり、最も近接するハロゲン原子たる臭素原子間において結合する原子の最小数は15個である。
実施例1の「ワニスの調製」において、星型アクリルゴム17.9gに代え、直鎖状のアクリルゴム(ナガセケムテックス(株)製、HTR−860P−3、重量平均分子量:80万)17.9gを用いてワニスを調製したこと以外は実施例1と同様にしてダイボンドフィルムを作製した。なお、「HTR−860P−3」の重量平均分子量は、GPCによる分子量である。
実施例1の「星型アクリルゴムの合成」において、開始剤を3官能開始剤から、2官能開始剤(Aldrich、2,6-dibromoheptandionate)に変更してアクリルゴムを合成し、それを用いてワニスを調製したこと以外は実施例1と同様にしてダイボンドフィルムを作製した。
実施例1の「星型アクリルゴムの合成」において、開始剤を3官能開始剤から、4官能開始剤(Aldrich、Pentaerythritoltetrakis(2-bromoisobutyrate))に変更してアクリルゴムを合成し、それを用いてワニスを調製したこと以外は実施例1と同様にしてダイボンドフィルムを作製した。
上記より得られた実施例、比較例のダイボンドフィルムの各々について、以下の評価を行った。
タック力は、JIS Z0237-1991に準じたプローブタック試験で評価した。レスカ製タックテスタを用い、プローブ径:φ5.1mm、接触速さ:2mm/sec、引き剥がし速さ10mm/secの条件で引き剥がし強度を測定し、タック力とした。接触条件は、接触荷重:0.98N/cm2、接触時間:1sec、測定温度:40℃を標準とした。
厚み40μmの未硬化フィルム2枚を60℃でラミネートすることで膜厚を80μmとし、直径8mmの円状に打ち抜いた後、ガラス板/カバーガラスで挟んだ。120℃、3kgf、3秒で圧着後、式1を用いることで溶融粘度を算出した。算出方法は式1に示した。なお、式中のηは粘度、Vはダイボンドフィルムの初期体積、tは圧着時間、Fは圧着加重、Z0は初期のフィルム厚み、Zは圧着後のフィルム厚みをそれぞれ示す。
Bステージのダイボンドフィルムを5mm×5mmの打ち抜き型を用いて打ち抜き、チップに40℃でラミネートし、熱圧着試験機(日立化成テクノプラント(株)製)を用いて基板に熱圧着した。
その後、加熱硬化した。さらにその後、260℃の熱板に30秒放置後、万能ボンドテスタ(Dage社製、シリーズ4000)を用いてダイシェア強度を測定した。
チップサイズ:5mm×5mm×280μmt 基板:20mm×10mm×100μmt
ソルダレジスト:AUS308 熱圧着条件:120℃/0.5kg/3s ダイシェア強度測定速度:50μm/sec
表1は、実施例1及び2並びに比較例1〜3とを対比した表であり、本発明の星型共重合体を用いて作製したダイボンドフィルムと、従来の高分子量成分を用いて作製したダイボンドフィルムとの性能の差異を示す。
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