JP2015117271A - 高分子の精製方法および精製された高分子とそれを用いた半導体用接着剤 - Google Patents

高分子の精製方法および精製された高分子とそれを用いた半導体用接着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 プロセスが簡便で低コストでありながら、精製効率にも優れる高分子の精製方法及び精製された高分子、これにより製造された精製された高分子を用いる半導体用接着剤を提供する。
【解決手段】 原子移動ラジカル重合によって合成された高分子の精製方法であって、重合後の高分子溶液に対し、(A)有機溶媒、(B)高分子の貧溶媒を添加・混合した後、(C)有機酸水溶液を加えて攪拌・静置することで高分子の溶液層と水溶液層の2層に分離させ、高分子中に残存するハロゲン化物イオンおよび遷移金属イオンを水溶液層側に抽出する高分子の精製方法。原子移動ラジカル重合によって合成された高分子が、少なくとも3つの重合鎖が放射状に伸びる星型構造を有する共重合体であって、分子鎖に架橋性反応基を少なくとも0.1mol%以上含有する高分子であると好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、リビングラジカル重合法のひとつである原子移動ラジカル重合によって合成した高分子の精製方法およびその精製方法によって精製された高分子とそれを用いた半導体用接着剤に関する。
近年、半導体パッケージの小型化に伴い、半導体チップと同等サイズであるCSP(Chip Size Package)、さらに、半導体チップを多段に積層したスタックドCSPが普及している(例えば、特許文献1〜5参照。)。凹凸を有するパッケージに対して接着を行うには、凹凸を良好に埋込む性能が求められている。
半導体用接着剤の代表的なものの1つとしてダイボンドフィルムが挙げられる。通常、ダイボンドフィルムは樹脂とフィラーとから構成され、樹脂は熱硬化性成分と、高分子量成分とを組み合わせて構成される。
熱硬化性成分としては、耐熱性、耐湿性の観点から、特にエポキシ樹脂が好適に用いられており、高分子量成分としては、架橋性基を有するポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂等が用いられており、中でもアクリルゴムが好適に用いられている。
ダイボンドフィルムの特性としては、プロセス適合性(ラミネート性、ダイシング性、ピックアップ性)、埋込性、信頼性(耐リフロー性)などが要求される。
この中で、埋込性の要求を満たすには、樹脂の流動性を高める、具体的には、Bステージでの低粘度化を実現すればよく、高分子量成分を低分子量化すれば、分子同士の絡み合いが少なくなり全体としての粘度を低下させることができる。
ところが、信頼性の要求を満たすには、樹脂を高分子量化しなければならず、そうすると流動性が低下してしまう。この流動性と信頼性のトレードオフの関係を突破するために、星型構造高分子を用いることで解決が図られている(特許文献6)。
原子移動ラジカル重合で得られる星型構造高分子は、構造の制御が容易であり、各半導体関連材料に星型構造高分子を適用することで直鎖状高分子と比較して優れた物性を示すことがわかっている(特許文献6,7)。
しかしながら、原子移動ラジカル重合に用いる開始剤はハロゲン化合物であり、重合後の高分子中には数百〜数千ppmのハロゲンが残存する。残存ハロゲンの中でも、重合の停止反応によって生成するハロゲン化物イオンは、半導体関連材料に用いた場合にイオンマイグレーションを引き起こし、信頼性を低下させる原因として挙げられる。
そのため、原子移動ラジカル重合法で合成された高分子を半導体関連材料に用いるためには、ポリマ中に残存するハロゲン化物イオンを除去する必要がある。
高分子の精製方法は、再沈殿法や分液精製法が挙げられる。再沈殿法は、多量の貧溶媒でポリマの析出・再溶解を繰り返すことで精製する方法であり、小スケールでの検討においてはしばしば再沈殿精製法が用いられる。しかしながら再沈殿精製法は生産性が低く、高コストであるため、工業的な精製方法としては不向きである。
分液精製法は、非水溶性溶媒に希釈した高分子を水と混合攪拌した後、静置することで水層側に残存触媒を抽出する方法である。例えば、株式会社カネカの特許では、非水溶性のアルコールを用いた分液精製方法が提案されているが、実施している高分子の重量平均分子量は約2万以下である(特許文献8)。
分液精製法は、再沈殿法と比較して生産性が高いものの、分子量5万以上の高分子量体の精製に用いられている例はない。この理由として、分子量が高くなるにつれて溶液の粘度が上昇すること、水層との接触で高分子が沈殿し、有機層と水層が明確に分離しないことなどが挙げられる。
また、分液精製によって水層にイオン性不純物を抽出する際には、水分子との接触確率が高いほど抽出効率が向上する。そのため、分液操作後に有機層と水層が明確に分離する組成の分液精製法は、高分子の沈殿を伴う分液精製よりも高確率で分子レベルでの接触が行われており、分液による精製度の向上には分液操作後に2層が濁りなく明確に分離していることが好ましい。
さらに、精製する高分子に反応性官能基が存在する場合、その官能基に影響がない方法で精製を行う必要がある。例えば、エポキシ基を含む高分子の精製においては、エポキシの開環反応が起こらないよう、注意する必要がある。
また、用途によっては分子量5万以上の高分子量体が必要とされ、特にダイボンドフィルムなどに用いる場合には、フィルム形成能を保持するために分子量10万以上が好ましい。以上のような理由から、高分子量体の精製をより簡便に行う必要があった。
特開2001−279197号公報 特開2002−222913号公報 特開2002−359346号公報 特開2001−308262号公報 特開2004−072009号公報 特開2009−231469号公報 特開2009−227793号公報 特開2011−231236号公報
本発明はかかる状況に鑑みなされたもので、プロセスが簡便で低コストでありながら、精製効率にも優れる高分子の精製方法及び精製された高分子、これにより製造された精製された高分子を用いる半導体用接着剤を提供するものである。
本発明者は、鋭意研究の結果、水層と有機層それぞれに対する高分子(ポリマ)の溶解性を、高分子の貧溶媒であるアルコール等によってコントロールすることで、重合体が高分子量体であっても2層が懸濁することなく分離する組成を見出し、かつ、一定範囲濃度の有機酸水溶液を水層として用いることで再沈殿精製法よりも低コスト・高精製効率を両立することを見出し、本発明に至った。
本発明は以下(1)〜(14)に関する。
(1)原子移動ラジカル重合によって合成された高分子の精製方法であって、重合後の高分子溶液に対し、(A)有機溶媒、(B)高分子の貧溶媒を添加・混合した後、(C)有機酸水溶液を加えて攪拌・静置することで高分子の溶液層と水溶液層の2層に分離させ、高分子中に残存するハロゲン化物イオンおよび遷移金属イオンを水溶液層側に抽出する高分子の精製方法。
(2)原子移動ラジカル重合によって合成された高分子が、少なくとも3つの重合鎖が放射状に伸びる星型構造を有する共重合体であって、分子鎖に架橋性反応基を少なくとも0.1mol%以上含有する高分子である前記(1)に記載の高分子の精製方法。
(3)(C)有機酸水溶液の有機酸が、カルボキシル基を少なくとも1つ含有する有機酸である前記(1)または(2)に記載の高分子の精製方法。
(4)(C)有機酸水溶液濃度が、0.001〜0.1Mである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の高分子の精製方法。
(5)(C)有機酸水溶液の有機酸が、シュウ酸である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の高分子の精製方法。
(6)(A)有機溶媒が、非水溶性有機溶媒である前記(1)〜(5)のいずれかに記載に記載の高分子の精製方法。
(7)(B)高分子の貧溶媒が、水溶性有機溶媒である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の高分子の精製方法。
(8)(B)高分子の貧溶媒が、炭素数2〜4のアルコールである前記(1)〜(7)のいずれかに記載の高分子の精製方法。
(9)(A)有機溶媒、(B)高分子の貧溶媒および(C)有機酸水溶液の混合比率が、それぞれ(A)50〜100質量部、(B)10〜30質量部、(C)20〜60質量部である前記(1)〜(8)のいずれかに記載の高分子の精製方法。
(10)精製する高分子の重量平均分子量が、50,000〜2,000,000である前記(1)〜(9)のいずれかに記載の高分子の精製方法。
(11)攪拌・静置後、水溶液層に含まれる固形分が、3質量%以下である前記(1)〜(10)に記載の高分子精製方法。
(12)前記(1)〜(11)のいずれかに記載の高分子の精製方法により得られる精製された高分子。
(13)前記(12)に記載の精製された高分子が、少なくとも3つの重合鎖が放射状に伸びる星型構造を有する共重合体であって、分子鎖に架橋性反応基を少なくとも0.1mol%以上含有する高分子である精製された高分子。
(14)前記(13)に記載の精製された高分子を、熱硬化性成分と、高分子量成分からなる半導体用接着剤の高分子量成分の1成分として用いる半導体用接着剤。
本発明の高分子の精製方法は、従来は困難であった高分子量体の分液精製を可能とし、従来よりもイオン性不純物が少なく、高純度な高分子を安価に製造することが可能となる。
以下に本発明を実施する最良の形態について詳述する。
「精製対象となる高分子」
本発明の高分子の精製方法(分液精製法)は、リビングラジカル重合の一種である原子移動ラジカル重合によって合成された高分子に適用可能である。しかしながら他の合成方法によって合成された高分子・高分子溶液に対しても適用可能である。本発明の分液精製法が適用可能な高分子としては、具体的には、(メタ)アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、各種変性樹脂等が挙げられるが、ここに示した例は一例であり、重量平均分子量が5000以上のペプチドや高分子であれば、特にその構造を問わない。
精製する高分子の重量平均分子量は、5000〜2000000であり、20000〜150000であることが好ましく、50000〜1000000であることがより好ましい。
[有機酸水溶液の濃度]
本発明における、(C)有機酸水溶液の濃度は、0.0001〜1.0Mが好ましく、0.0005〜0.1Mがより好ましく0.001〜0.1Mがさらに好ましい。1.0Mを超える高濃度の有機酸水溶液を用いると、酸による影響で高分子が変質する可能性がある。また、濃度が低すぎると、有機酸による高い精製効果が発揮されない。
[有機酸の種類]
代表的な有機酸の種類を下記に示すが、本発明で適用可能な有機酸は下記に限定されるものではない。ホスホン酸、スルホン酸、スルフィン酸、フェノール、エノール、チオール、酸イミド、オキシム、スルホンアミド等が挙げられ、本発明で用いる有機酸水溶液の有機酸は、カルボキシル基を少なくとも1つ含有する有機酸であると好ましい。
脂式カルボン酸として、炭素数が7以下の短鎖脂肪酸が好ましく、ギ(蟻)酸[メタン酸]、酢酸[エタン酸]、プロピオン酸[プロパン酸]、酪酸(ブチル酸)[ブタン酸]、イソ酪酸、吉草酸(バレリアン酸)[ペンタン酸]、イソ吉草酸、カプロン酸[ヘキサン酸]、エナント酸(ヘプチル酸)[ヘプタン酸]などが挙げられる。その他、炭素数が8〜10のカプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸などの中鎖脂肪酸、炭素数が12以上の長鎖脂肪酸を用いることができ、炭素数が多いと水溶性に乏しくなるが低濃度の水溶液とすることができる。
芳香族カルボン酸として、サリチル酸[ヒドロキシ安息香酸]、没食子酸(トリヒドロキシ安息香酸)、安息香酸[ベンゼンカルボン酸]、フタル酸、ケイ(桂)皮酸(β-フェニルアクリル酸)、メリト酸(メリット酸)が挙げられる。水溶性に乏しいものは、低濃度の水溶液とすることができる。
オキソカルボン酸としてピルビン酸、その他のカルボキシル基を有する有機酸として、・シュウ酸[エタン二酸]、乳酸(α-ヒドロキシプロパン酸)、酒石酸、・マレイン酸、フマル酸、マロン酸[プロパン二酸]、コハク酸、リンゴ酸(ヒドロキシコハク酸)、クエン酸、アコニット酸、グルタル酸、アジピン酸[ヘキサン二酸]、アミノ酸、L-アスコルビン酸(ビタミンC)などが挙げられる。
[(A)有機溶媒]
本発明で用いる(A)有機溶媒は、非水溶性有機溶媒であることが好ましく、非水溶性有機溶媒は、攪拌・静置時の温度における純水への溶解度が30質量%以下であるものを指し、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。水への溶解度が30質量%を超える場合、水・有機層の2層分離が阻害される可能性がある。
本発明における非水溶性有機溶媒は、精製対象である高分子を5質量%以上溶解可能であるものを指し、20質量%以上溶解することが好ましく、50質量%以上溶解することがより好ましい。精製対象の高分子を5質量%未満しか溶解できない場合、回収する高分子溶液のNV(不揮発分)が低いことから、多量の有機溶媒が必要となること、蒸留時間が長くなることから、コストが高くなる可能性がある。
本発明における非水溶性有機溶媒の沸点は、300℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。沸点が高いほど、蒸留温度・時間が長くなり、コストが高くなる可能性がある。
非水溶性有機溶媒の添加量は重合溶液に対して1〜5倍質量部であり、1.5〜4倍質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜3倍質量部であることがより好ましい。添加量が少なすぎると水層/有機層の分離が阻害され、多すぎるとコストが高くなる。
「(B)高分子の貧溶媒」
本発明で用いる高分子の貧溶媒は水溶性の高分子貧溶媒であればその構造に関わらず用いることが出来る。一例として、後の減圧蒸留による除去が簡便であることから、低沸点の脂肪族アルコールが好適に用いられる。
高分子の貧溶媒としては、炭素数は1〜10のアルコールを用いるが、炭素数2〜6であることが好ましく、炭素数2〜3であることがより好ましい。
炭素数1〜10のアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、sec−ペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、sec−ヘキシルアルコール、へプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デカアルコールと、それらの異性体などが挙げられる。
高分子の貧溶媒の添加量は、非水溶性有機溶媒の量に対して、0.05〜2倍質量部であり、0.1〜1.5倍質量部であることが好ましく、0.2〜0.8倍質量部であることがより好ましい。添加する貧溶媒が少ないと水層・有機層の分離を阻害し、多すぎると高分子が析出する可能性がある。
攪拌・静置後、相分離した水溶液層に含まれる固形分は10質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。10質量%を超える固形分が水溶液中に含まれていると、精製によって得られる高分子量が減少し、コストが高くなること、精製度が減少することが考えられる。
本発明における高分子の精製方法(分液精製)は、精製に用いている(A)有機溶媒、(B)高分子の貧溶媒以外の溶媒をさらに用いてもよい。分離速度を向上させる目的で、例えばトルエンなどの非水溶性有機溶媒の第2成分を、分離性に影響が無い程度に添加することが出来る。
また、本発明における高分子の精製方法(分液精製)は、(A)、(B)溶媒以外の化学物質を添加しても良い。例えば、銅およびハロゲンの水溶性を向上させ、精製効果を高める目的で、キレート剤や金属と配位する官能基をもつ有機物を、分離性に影響が無い程度に添加することができる。
下記に、本発明の精製対象の1つであるリビングラジカル重合の1つである原子移動ラジカル重合によって合成された星型共重合体について詳述する。本発明において精製する高分子は、必ずしもリビングラジカル重合によって合成されていなくとも良い。重量平均分子量が30〜80万の一般的なアクリルゴム(例えば、ナガセケムテックス株式会社製 HTR−P860)などにも本発明を用いて精製することが可能である。
「リビングラジカル重合」
本発明に係わるリビングラジカル重合によって合成される高分子の開始剤構造は、一般式(I)のような構造を有する。
Figure 2015117271
一般式(I)中、Rは、任意の構造を有する1価の有機基、Xは、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子を表し、塩素および臭素が好ましく、臭素がより好ましい。nは1〜20の整数を表す。RおよびRは、それぞれ水素原子および炭素数1〜20の脂肪族基を表す。脂肪族基としては、具体的には、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシアルキル基を表し、直鎖状でも分岐状でもよく、中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ステアリル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−プロポキシエチル基、2−ブトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−メトキシブチル基、4−メトキシブチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
[星型共重合体]
本発明に係わる星型共重合体は、同程度の分子量の直鎖状の重合体と比較して流動性が高く、低粘度であるという特徴を有する。これは、直鎖状の重合体は分子量が大きくなると分子鎖が長くなり、隣接する分子同士で絡み合いが生じるが、星型共重合体は中心から重合鎖が放射状に伸びる構造のため中心部に排除体積部分が存在し、直鎖状の重合体ほど重合鎖部分が長くならず、絡み合いの発生が少ないことに起因すると推察される。つまり、分岐鎖を増やすほど、同一分子量における流動性は向上していくと考えられる。
本発明の精製方法を用いて精製した星型共重合体は、少なくとも3つの重合鎖が放射状に伸びる星型構造を有する、ガラス転移点が60℃以下の共重合体であるが、具体的には、(メタ)アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられ、中でも、アクリルゴムが好ましい。
星型共重合体は、樹脂混和物の流動性、硬化物の強靭性という観点から、ガラス転移点Tgが60℃以下のものを用いるのが好ましく、より好ましくは50℃以下であり、さらに好ましくは40℃以下である。
アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とし、主として、ブチルアクリレートとアクリロニトリルなどの共重合体や、エチルアクリレートとアクリロニトリルなどの共重合体などからなるゴムであって、本発明においては、上述のように星型構造を有する。
前記星型共重合体の重量平均分子量は、ダイボンドフィルムとしての高信頼性を得るという観点から、30000〜3000000であることが好ましく、60000〜1000000であることがより好ましく、100000〜800000であることがさらに好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。またこの場合において、各重合鎖の重量平均分子量は、10000〜300000であることが好ましく、30000〜200000であることがより好ましく、50000〜150000であることがさらに好ましい。なお、各重合鎖の重量平均分子量は、分子全体の重量平均分子量を重合鎖の数で除した数値である。重量平均分子量が同程度の星型共重合体同士であって、同様のモノマーから構成される場合、重合鎖の数が多いほど1本当たりの重合鎖が短くなるため、流動性が向上し、ひいては低粘度となると考えられる。従って、重量平均分子量はそのままとし、より低粘度としたい場合は、重合鎖の数を増やせば低粘度とすることができる。
以下に、星型共重合体の具体例とその合成方法の一例を挙げるが、本発明の精製方法による対象となる高分子は、以下の合成方法に限定されるものではない。
星型共重合体は、例えば、ハロゲン化合物と、配位子としてアミン化合物と、触媒として周期律表第7族〜11族元素の遷移金属とを用いて、2種以上のモノマー種を原子移動ラジカル重合により重合することにより合成することができる。
以下に、合成方法において用いられる各成分について説明する。
[モノマー種]
モノマー種は、特に限定されず、種々のものを用いることができる。例えば、以下のモノマーを挙げることができる。なお、以下の構造式はアクリル系のものを示すが、メタクリル系のものも使用可能である。すなわち、(1)〜(7)の構造において、CH=CH−を、CH=C(CH)−に置き換えたものも使用可能である。
Figure 2015117271
前記(1)のRは、炭素数1〜20の脂肪族基、又は炭素数6〜20の芳香族基を表すが、脂肪族基としては、具体的には、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシアルキル基を表し、直鎖状でも分岐状でもよく、中でも、炭素数1〜10の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数2〜8の直鎖状のアルキル基がより好ましい。
具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ステアリル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−プロポキシエチル基、2−ブトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−メトキシブチル基、4−メトキシブチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
一方、芳香族基としては、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基を表し、中でも、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜11のアラルキル基が好ましい。具体的には、フェニル基、トルイル基、ベンジル基等が挙げられる。
前記(3)のRは、H又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を表すが、中でも、H又は炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子が好ましく、H又は炭素数1〜2の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子がより好ましい。例えば、炭素数1〜5のアルキル基、塩素、臭素を表し、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
前記(4)のR、Rは、それぞれH又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。中でも、H又は炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基が好ましい。例えば、炭素数1〜4のアルキル基を表し、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が挙げられる。また、R、Rが表すアルキル基はアミノ基で置換されていてもよい。
前記(5)のRは、炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化水素基を表す。中でも、炭素数1〜2の脂肪族炭化水素基が好ましい。例えば、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、より具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、等が挙げられる。また、R、RはそれぞれH又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。中でも炭素数1〜2の脂肪族炭化水素基が好ましい。例えば、炭素数1〜4のアルキル基を表し、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が挙げられる。炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、具体的には、フェニル基、トルイル基、ベンジル基等が挙げられる。
前記(7)のRは、炭素数1〜5の2価の脂肪族炭化水素基を表す。中でも、炭素数2〜4の脂肪族炭化水素基が好ましい。例えば、炭素数1〜5のアルキレン基を表し、より具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、等が挙げられる。また、R、R、Rは、それぞれ炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基を表す。中でも、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数2〜3の脂肪族炭化水素基がより好ましい。例えば、炭素数1〜5のアルキル基を表し、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のアルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などを表す。
前記(1)〜(7)の中でも、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリロニトリルが好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸」の表記は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を示す。
また、本発明の精製対象となる高分子に用いられるモノマー種としては、架橋性官能基を有するモノマーも好適に用いることができる。その例を以下に示すが、本発明は以下のものに限定されることはない。
Figure 2015117271
前記(8)、(9)中、Rは、炭素数1〜5の2価の脂肪族炭化水素基を示し、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられ、中でも、メチレン基が好ましい。また、前記(8)、(9)はアクリレート系の例示であるが、メタクリレート系のものも使用可能である。すなわち、(8)、(9)において、CH=CH−を、CH=C(CH)−に置き換えたものも使用可能である。以上の(8)〜(10)においては、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましい。
以上の(1)〜(10)のモノマー種のうちの1種として、(メタ)アクリロニトリルを用いることが好ましい。また、少なくとも1種として、架橋性官能基を有するモノマーを用いることが好ましい。具体的な組み合わせの例としては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、及び(メタ)アクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸プロピルなどを好適に挙げることができる。
モノマーの配合量としては、(メタ)アクリロニトリルやアミノ基含有モノマーを除き、特に制限はなく自由に設定することができる。本発明においては、アクリロニトリルやアミノ基含有モノマーの配合量として、使用するモノマー種の全体量に対してモル分率で、10%以上が可能であり、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましく、上限は概ね60%である。なお、ここでいうアミノ基含有モノマーとしては以下のモノマーなどが好適に使用される。また、以下のモノマー中のRは、−CH又は−Cを表す。
Figure 2015117271
多官能開始剤の使用量としては、モノマーに対して、モル比で200:1〜20000:1であることが好ましい。
[配位子]
本発明に係わる合成方法における配位子は、アミン化合物であり、1分子中に2個以上のN原子を有するアミン化合物を用いることが好ましい。そのようなアミン化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2015117271
(Rは炭素数1〜3の2価の脂肪族炭化水素基を示し、R、Rは、それぞれH又は炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を示す。)
で表される炭素数1〜3の2価の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が挙げられる。また、R、Rで表される炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。
配位子の使用量としては、用いる金属に対し、モル比で0.5:1〜2:1であることが好ましい。
[触媒]
本発明に係わる合成方法において用いられる触媒は、周期律表第7族〜11族元素の遷移金属であり、具体的には、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金が挙げられ、中でも、銅、ルテニウム、ニッケル、鉄が好ましく、銅が最も好ましい。特に、銅を使用すると、触媒活性が高く、高重合率、高分子量化を達成しやすい。
触媒の使用量としては、開始剤に対し、モル比で1:0.5〜1:10であることが好ましい。
[溶媒]
本発明に係わる合成方法において使用し得る溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等のアミド系溶媒などが好適に使用することができる。これらは、単独又は組み合わせて使用してもよい。但し、ここに挙げた例は一例であり、これらに制限されるものではない。
本発明は、重合が終了した溶液をろ過し、その後すぐに分液精製を行えるという特徴を有する。ろ過する際には、アセトンなどの高分子良溶媒やトルエンなどの高分子貧溶媒であっても高分子の析出を伴わない程度に希釈することが可能であり、このときの高分子溶液の濃度はNV(非揮発分)が10〜90質量%であり、15〜70質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。上述の濃度範囲であれば、本発明の分液組成を適用して水層と有機層が懸濁なく2層に分離することが可能である。
[その他の成分]
本発明の高分子の精製方法(分液精製法)において用いられる他の成分としては、精製効果を高めるための有機酸(例えばp−トルエンスルホン酸等)、又は無機塩(例えば、硫酸マグネシウム等)、又は還元剤(例えば、アスコルビン酸等)、分離性を向上させるための非水溶性有機溶媒(例えば、トルエン等)を添加することも可能である。また、上述した成分は、重合時に混合しておいても良く、添加のタイミングは問わない。
[原子移動ラジカル重合]
本発明の精製対象の1つである星型共重合体の合成において採用される原子移動ラジカル重合は、開始剤としてハロゲン化合物等を、触媒として遷移金属を用い、アクリル系などのモノマーを重合する重合法であり、ラジカル重合でありながら停止反応等の副反応が起こりにくく分子量分布の狭い重合体(Mw/Mn=1.1〜2.2)が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって、製造しようとする重合体の分子量を自由に制御し得るという「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲンを末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有する重合体の製造方法として有用である。この原子移動ラジカル重合法としては、例えば、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁、7901頁,Matyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁、サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁、国際公開第96/30421号パンフレット、国際公開第97/18247号パンフレット、国際公開第98/01480号パンフレット,国際公開第98/40415号パンフレット、特開平9−208616号公報、特開平8−41117号公報等に記載されている。
次に、本発明の精製対象の1つである星型共重合体の合成および精製の手順について説明する。
まず、合成のために用意した容器内に触媒を秤取して、容器内を減圧、窒素雰囲気下とし、各モノマー種と、配位子と、溶媒とを加える。次いで、窒素によりバブリングし、脱酸素を図る。再度窒素雰囲気下とし、別途調製した開始剤溶液を加え、重合を進行させる。このときの温度は10〜100℃程度である。
合成方法において、上記重合においては、酸素、水分の除去が重要である。また、重合反応を潤滑に進行させるため、モノマー、開始剤、配位子、金属、溶媒の純度を上げることが重要である。
重合後の溶液をろ過し、残存する銅粉末を除去する。その後、本発明の組成に基づき分液精製操作を行い、目的とする星型共重合体を得る。
本発明の半導体用接着剤は、熱硬化性成分と、高分子量成分からなり、高分子量成分の1成分として少なくとも3つの重合鎖が放射状に伸びる星型構造を有する共重合体用いる。その星型構造を有する共重合体の分子鎖に架橋性反応基を少なくとも0.1mol%以上含有する。
熱硬化性成分として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等を用いることができ、中でもエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂を用いた場合、硬化剤、硬化促進剤を用いることが好ましい。
高分子量成分としては、少なくとも3つの重合鎖が放射状に伸びる星型構造を有する共重合体を用いるが、その他の高分子量成分と併用してもよい。その他の高分子量成分としては、ポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリルゴム等が挙げられる。
半導体用接着剤には、熱硬化性成分と、高分子量成分の他に、硬化剤、硬化促進剤、カップリング剤、フィラーなどを含有してもよい。
半導体用接着剤は、ダイボンドフィルムが一般的であり、半導体素子同士、半導体素子と半導体素子搭載用基板の接着剤として用いることができる。また、層間接着絶縁層として用いることができる。
以下に、熱硬化性成分としてエポキシ樹脂を用いたダイボンドフィルムを例として、半導体用接着剤について説明する。
[エポキシ樹脂]
本発明に係わる半導体用接着剤として、ダイボンドフィルムが挙げられる。ダイボンドフィルムは、硬化性成分としてエポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂は、硬化して接着作用を有するものであれば特に限定されない。ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などの二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂などを使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂または脂環式エポキシ樹脂など、一般に知られているものを適用することができる。
特にBステージ状態でのフィルムの可撓性が高い点でエポキシ樹脂の分子量が1000以下であることが好ましく、さらに好ましくは500以下である。また、可撓性に優れる分子量500以下のビスフェノールA型又はビスフェノールF型エポキシ樹脂50〜90質量部と、硬化物の耐熱性に優れる分子量が800〜3000の多官能エポキシ樹脂10〜50質量%とを併用することも好ましい。
[硬化剤]
エポキシ樹脂の硬化剤としては、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができ、例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、キシリレン変性フェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂などが挙げられる。
一方、本発明に係わるダイボンドフィルム作製前におけるワニスの状態での相溶性が悪化する場合には、エポキシ樹脂の硬化剤を所定のものに変更することで改善することができる。当該所定の硬化剤としては、軟化温度が150℃以下(好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下である。)であるものが挙げられる。
具体的には、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等が挙げられ、中でも、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂が好ましい。硬化剤の含有量としては、全エポキシ樹脂のエポキシ基数と全硬化剤の水酸基数の当量比としては0.5〜2で配合することが好ましい。
[フィラー]
さらに、本発明に係わるダイボンドフィルムには、Bステージ状態における接着フィルムのダイシング性の向上、接着フィルムの取扱い性の向上、熱伝導性の向上、溶融粘度の調整、チクソトロピック性の付与などを目的として、好ましくはフィラー、より好ましくは無機フィラーを配合することが好ましい。
無機フィラーとしては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、アンチモン酸化物などが挙げられる。熱伝導性向上のためには、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。溶融粘度の調整やチクソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。また、ダイシング性を向上させるためにはアルミナ、シリカが好ましい。
本発明に係わるダイボンドフィルムにおいて、上記フィラーを樹脂100質量部に対して、40〜180質量部含むことが、ダイシング性が向上する点、および接着シート硬化後の貯蔵弾性率が170℃で20〜600MPaになり、ワイヤボンディング性が良好となる点で好ましく、60〜160質量部であることがより好ましく、60〜120質量部であることがさらに好ましい。
[各成分の含有量]
本発明によって精製した高分子を適用したダイボンドフィルムにおいて、前記各成分の含有量は、前記共重合体は10〜40質量部であり、前記エポキシ樹脂及び硬化剤は30〜45質量部であり、前記フィラーは、前記共重合体と前記エポキシ樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、40〜180質量部であることが好ましい。
各成分の含有量を上記数値範囲とすることで、凹凸を埋込み、かつ半導体チップとの絶縁性を確保することが可能となる。また、各成分の含有量は、好ましくは、前記共重合体は12〜35質量部であり、前記エポキシ樹脂及び硬化剤は33〜42質量部であり、前記フィラーは、前記共重合体と前記エポキシ樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、60〜160質量部であり、より好ましくは、前記共重合体は15〜30質量部であり、前記エポキシ樹脂及び硬化剤は35〜40質量部であり、前記フィラーは、前記共重合体と前記エポキシ樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、60〜120質量部である。
[その他の成分]
本発明に係わるダイボンドフィルムには、その他の成分として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、硬化促進剤、レベリング剤、酸化防止剤、イオントラップ剤などを含んでいてもよい。
<ダイボンドフィルムの作製>
次に、本発明に係わるダイボンドフィルムを作製する各工程について説明する。
以下に示す工程は一例であり、本発明に関わるダイボンドフィルムは以下の工程に限定されるものではない。
(1)ワニスの調製
前記高分子量成分、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性成分、フィラー、及び他の成分を有機溶媒中で混合、混練してワニスを調製する。
ワニスの調製に用いる有機溶媒は、材料を均一に溶解、混練又は分散できるものであれば制限はなく、従来公知のものを使用することができる。このような溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N―メチルピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、トルエン、キシレン等が挙げられる。乾燥速度が速く、価格が安い点でメチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどを使用することが好ましい。
ワニスの調製に用いる際の有機溶媒の使用量には特に制限はなく、有機溶媒は加熱乾燥などによりダイボンドフィルムから除去されるものであるが、ダイボンドフィルム作製後の有機溶媒量(残存揮発分)は全質量基準で0.01〜3質量%が好ましく、耐熱信頼性の観点からは全重量基準で0.01〜2質量%がより好ましく、全質量基準で0.01〜1.5質量%がさらに好ましい。
上記の混合、混練は、通常の撹拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。
(2)基材への塗工
上記(1)で得られたワニスを基材上に塗工し、ワニスの層を形成する。基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、メチルペンテンフィルムなどを用いることができる。
塗工の際には、上記のように基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム等を用いることができ、塗工厚みは、最終的なダイボンドフィルムの厚さを考慮して決定されるが、5〜250μmとすることが好ましい。
(3)加熱乾燥
上記(2)で得られた、ワニスを塗工した基材を加熱乾燥する。加熱乾燥の条件は、使用した溶媒が充分に揮散する条件であれば特に制限はないが、通常60〜200℃で、0.1〜90分間加熱して行う。加熱乾燥後、基材を除去してダイボンドフィルム(Bステージフィルム)得ることができる。
ダイボンドフィルムの厚さは、基板の配線回路や下層の半導体チップに付設された金ワイヤ等の凹凸を充てん可能とするため、5〜250μmとすることが好ましい。5μm未満と薄い場合、応力緩和効果や接着性が乏しくなる傾向があり、250μmを超えて厚いと経済的でなくなる上に、半導体装置の小型化の要求に応えられない。なお、接着性が高く、また、半導体装置を薄型化できる点で20〜100μmがより好ましく、さらに好ましくは40〜80μmである。
本発明に係るダイボンドフィルムは、加熱圧着により基板などとチップとを接着し、ダイボンドフィルムで基板表面の凹凸や中空ワイヤを充てんできるような溶融粘度を有することが必要であり、硬化前(Bステージ状態)の接着フィルムの100℃における溶融粘度は100Pa・s以上、2500Pa・s以下であることが、基板表面の凹凸や中空ワイヤの充てん性が優れる点から好ましく、さらに200〜1500Pa・sであることが好ましく、300〜1300Pa・sであることがより好ましい。
本発明において、溶融粘度は、後述する円板流れ法、回転式粘弾性測定装置により硬化前のダイボンドフィルムについて測定、算出して得ることができる。
本発明に係るダイボンドフィルムは、硬化前(Bステージ状態)のタック強度は、25℃において78.4〜294mN(8〜30gf)、40℃において392〜784mN(40〜80gf)であることが好ましいが、さらに、60℃においては、588〜2940mN(60〜300gf)、80℃においても、588〜2940mN(60〜300gf)であることが室温(25℃)でべたつきが少なく加工性に優れるとともに、60℃以上でべたつきがありラミネート加工性に優れるという点で好ましいものである。
本発明に係わるダイボンドフィルムは加工性向上のため、特定の貯蔵弾性率を有することが必要であり、ダイボンドフィルムにおいては、硬化前(Bステージ状態)の接着シートの25℃における動的粘弾性測定による貯蔵弾性率が200〜3000MPaであると、ダイシング性が優れる点で好ましい。ダイシング性に優れ、かつウエハとの密着性が優れる点で500〜2000MPaがより好ましい。また、硬化前(Bステージ状態)の接着シートの80℃における動的粘弾性測定による貯蔵弾性率が0.1〜10MPaであると、80℃でウエハにラミネート可能である。特にウエハへの密着性が高い点で、0.5〜5MPaであることがより好ましい。
さらに、本発明に係わるダイボンドフィルムにおいて、硬化後(Cステージ状態)のダイボンドフィルムの260℃における動的粘弾性測定による貯蔵弾性率は、良好なワイヤボンディング性を得るために5〜200MPaであることが好ましい。貯蔵弾性率は、より好ましくは10〜150MPa、さらに好ましくは20〜100MPaである。
本発明に係わるダイボンドフィルムは単層として用いるばかりでなく、多層構造として用いてもよく、例えば、上述したダイボンドフィルムを2枚以上ラミネートしたもの、あるいは、本発明に係わるダイボンドフィルムとそれ以外のダイボンドフィルムを複数ラミネートしたものとして用いてもよい。本発明に係わるダイボンドフィルムとそれ以外のダイボンドフィルムをラミネートする場合には、本発明に係わるダイボンドフィルムはダイシングテープ側にすることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
まず、4本鎖星型アクリルゴムの合成に必要な配位子及び4官能開始剤を以下のようにして合成した。
(配位子の合成)
三方コックを備えたジムロートとセプタムラバとを50ml二口ナスフラスコに装着し、N雰囲気下にした後、蟻酸25.0ml(521.4mmol)を秤取した。
0℃に冷却した後、ホルムアルデヒド10.0ml(123.2mmol)を加え、そのまま0℃の状態で1時間攪拌した。この反応液に、トリス(2−アミノエチル)アミン 1.5ml(10.0mmol)を蒸留水5mlに溶解させた水溶液を約10分かけて滴下した。その後、反応液を室温(25℃)に戻し、窒素気流下とした。次に95℃に設定したオイルバスにこの反応器を設置し緩やかに10時間還流した。次いで、室温に戻し、溶媒をエバポレータにて除去した後、残渣を飽和NaOH水溶液で処理した。有機層を抽出した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去し、薄黄色液体のヘキサメチル化トリス(2−アミノエチル)アミン(以下、MeTRENと称す)1.9g(収率86%)を得た。
構造はH、13C−NMRより確認した。
まず4本鎖星型アクリルゴムの合成に必要な配位子及び4官能開始剤を以下のようにして合成した。
(4官能開始剤の合成)
三方コックを備えた500ml四口フラスコにTekP−4HBPA(2,2−ビス[4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロへキシルプロパン]) 5.0g(8.7mmol)を秤取した。THF(テトラヒドロフラン) 100gおよびEtN(トリエチルアミン) 3.7g(36.6mmol)を加え、N雰囲気下で0℃に冷却した。2−ブロモプロピオニルブロミド7.9g(36.6mmol)を滴下(3g/min)した後、室温に戻し12時間反応させた。反応追跡はTLC(薄層クロマトグラフィー)を用いて行い、原料のスポットが消失したとき、反応終了とみなした。反応終了後、ろ過によって溶液中のEtNの臭素酸塩を除去し、溶媒をエバポレーターで除去した。残渣を純水で2回洗浄した後、減圧乾燥機で2時間乾燥させた。乾燥した試料をエタノールで再結晶することで白色固体化合物19.5g(収率50%)を得た。構造はH NMRで確認した。
(星型アクリルゴムの合成)
三方コックを備えた300ml三口フラスコに銅粉末(以下、Cu(0)と称す)を0.0457g(1.44mmol)秤取した。アクリル酸ブチル(以下BAと称す)29.85g(232.89mmol)、アクリル酸エチル(以下EAと称す)22.23g(222.03mmol)、メタクリル酸グリシジル(以下GMAと称す)2.31g(16.25mmol)、アクリロニトリル22.74g(428.57mmol)、脱水ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと称す)97.18g、MeTRENを0.1037g(0.45mmol)加えた。溶液をNバブリング(500ml/min 60min)し脱酸素した後、上記の4官能開始剤を0.2389g(0.45mmol)加えさらにNバブリング(500ml/min 15min)した。容器を密閉系とし、設定温度30℃のウォーターバスに設置し16時間反応を進行させた。
「分液精製法」
反応終了後、ジメチルスルホキシドで重合溶液の固形分が30質量%となるように希釈し、吸引ろ過した。ろ液100gに、(A)有機溶媒として酢酸エチル200g、(B)高分子の貧溶媒として1−プロパノールを50g加え攪拌した後、(C)有機酸水溶液として0.1Mシュウ酸水溶液を100g加えて150rpm(回転/min)で30min攪拌後、攪拌を停止し、静置することで水層と有機層の2層に分離させた。分離した有機層(ポリマ溶液)を回収し、シクロヘキサノンを添加し、減圧蒸留によって低沸点溶媒を除去し、星型アクリルゴム溶液とした。
次に、得られた高分子の星型アクリルゴムを用いて、以下の通りワニスを調製した。
〈ワニスの調製〉
上記のように合成した高分子量成分として星型アクリルゴム17.9g、熱硬化性成分としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、YDF−8170C)29.0g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、YDCN−703)9.7g、硬化剤としてキシレン変性ノボラック(三井化学株式会社製、XLC−LL)33.8g、硬化促進剤(四国化成工業(株)製、2PZ−CN;1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)0.1g、カップリング剤(日本ユニカー株式会社製、A−189;γ-メルカプト−プロピルトリメトキシシラン)0.3gおよび(日本ユニカー株式会社製、A−1160;3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン)0.5gからなる組成物に、シクロヘキサノンを加えて、攪拌脱泡し、半導体用接着剤ワニスを調製した。
なお、フェノール硬化剤の軟化温度は76.5℃である。
〈ダイボンドフィルムの塗工〉
アプリケータ自動塗工機(テスター産業株式会社製)を用いて、PET基材(帝人デュポン株式会社製 A53)上に調製したワニスを塗布し、ギャップを調整したアプリケータで塗工した。得られたフィルムを、オーブン中120℃、20minの条件で加熱乾燥した。その後、PET基材を引き剥がすことで、膜厚40μmのBステージのダイボンドフィルム(半導体用接着剤)を得た。
〈ダイボンドフィルムの後硬化〉
得られたBステージのダイボンドフィルムをオーブン中で120℃、30min、140℃、1h、175℃、2hの条件で加熱硬化することでCステージのダイボンドフィルムとした。
[実施例2]
実施例1の「分液精製法」において、(C)有機酸水溶液である0.050Mのシュウ酸水溶液を用いて分液操作を行った。それを用いてワニスを調整したこと以外は、実施例1と同様にして星型アクリルゴムの精製を行った。
[実施例3]
実施例1の「分液精製法」において、0.035Mのシュウ酸水溶液を用いて分液操作を行った。それを用いてワニスを調整したこと以外は、実施例1と同様にして星型アクリルゴムの精製を行った。
[実施例4]
実施例1の「分液精製法」において、0.015Mのシュウ酸水溶液を用いて分液操作を行った。それを用いてワニスを調整したこと以外は、実施例1と同様にして星型アクリルゴムの精製を行った。
[実施例5]
実施例1の「分液精製法」において、0.010Mのシュウ酸水溶液を用いて分液操作を行った。それを用いてワニスを調整したこと以外は、実施例1と同様にして星型アクリルゴムの精製を行った。
[実施例6]
実施例1の「分液精製法」において、0.008Mのシュウ酸水溶液を用いて分液操作を行った。それを用いてワニスを調整したこと以外は、実施例1と同様にして星型アクリルゴムの精製を行った。
[実施例7]
実施例1の「分液精製法」において、0.005Mのシュウ酸水溶液を用いて分液操作を行った。それを用いてワニスを調整したこと以外は、実施例1と同様にして星型アクリルゴムの精製を行った。
[比較例1]
実施例1の「分液精製法」において、純水を用いて分液操作を行った。それを用いてワニスを調整したこと以外は、実施例1と同様にして星型アクリルゴムの精製を行った。
[比較例2]
実施例1の「分液精製」において、下記の再沈殿精製法によって星型アクリルゴムを精製した以外は実施例1と同様にしてダイボンドフィルムを作製した。
「再沈殿精製法」
反応終了後、アセトンで溶液の粘度を低下させ、吸引ろ過した。ろ液を、減圧攪拌装置を備えた500ml三口フラスコに移した。150rpm(回転/min)で攪拌しながら1時間かけ純水を滴下した後、30分間攪拌した。攪拌後に減圧蒸留を行い、アセトンおよび未反応モノマーを除去した。フラスコ内に残った水溶液をスポイトで除去した後、残ったポリマを水で2回、メタノールで1回洗浄し、再びアセトンで溶解した。溶解後、再び1時間かけ純水を滴下し、30分攪拌した。攪拌後に減圧蒸留を行い、フラスコ内に残った水溶液をスポイトで除去した後、残ったポリマを水とメタノールで1回ずつ洗浄した。洗浄後、ポリマをシクロヘキサノンで溶解させ、減圧蒸留によって低沸点溶媒を除去し、星型アクリルゴム溶液とした。
[比較例3]
実施例1の「分液精製」において、「分液精製」を行わず、重合直後の溶液を乾燥し、シクロヘキサノンを用いて再度溶解することで星型アクリルゴム溶液とした。それを用いてワニスを調製したこと以外は実施例1と同様にしてダイボンドフィルムを作製した。
[評価]
上記より得られた実施例、比較例のダイボンドフィルムの各々について、以下の評価を行った。
(1)タック力の測定
タック力は、JIS Z0237−1991に準じたプローブタック試験で評価した。株式会社レスカ製タックテスタを用い、プローブ直径:5.1mm、接触速さ:2mm/sec、引き剥がし速さ10mm/secの条件で引き剥がし強度を測定し、タック力とした。接触条件は、接触荷重:0.98N/cm、接触時間:1sec、測定温度:40℃を標準とした。
(2)溶融粘度測定
厚み40μmの未硬化フィルム2枚を60℃でラミネートすることで膜厚を80μmとし、直径8mmの円状に打ち抜いた後、ガラス板/カバーガラスで挟んだ。120℃、3kgf、3秒で圧着後、式1を用いることで溶融粘度を算出した。算出方法は式1に示した。なお、式中のηは粘度、Vはダイボンドフィルムの初期体積、tは圧着時間、Fは圧着加重、Zは初期のフィルム厚み、Zは圧着後のフィルム厚みをそれぞれ示す。
Figure 2015117271
(3)ダイシェア強度測定
Bステージのダイボンドフィルムを5mm×5mmの打ち抜き型を用いて打ち抜き、チップに40℃でラミネートし、熱圧着試験機(日立化成テクノプラント株式会社製)を用いて基板に熱圧着した。
その後、加熱硬化した。さらにその後、260℃の熱板に30秒放置後、万能ボンドテスタ(Dage 社製 シリーズ4000)を用いてダイシェア強度を測定した。
チップサイズ:5mm×5mm×280μm(厚み)
基板:20mm×10mm×100μm(厚み)
熱圧着条件:120℃、0.5kg、3s
ダイシェア強度測定速度:50μm/sec
(4)重量平均分子量の測定(GPC)
合成した高分子を、濃度1質量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液として調整し、東ソー株式会社製GPC装置(ゲル浸透クロマトグラフィー)で測定した。分子量の計算はポリスチレン換算で行った。溶離液はTHFとし、流量は1ml/min、RI(屈折率計)によって検出を行った。得られたピークチャートより、重量平均分子量を算出した。
(5)PCT抽出
合成した星型アクリルゴムを減圧条件下で乾燥し、星型アクリルゴム1g、超純水10gをポリ四フッ化エチレン製耐圧容器に入れ、オーブンで120℃で24h加熱した。室温まで冷却した後、0.2μmのフィルターで濾過することでPCT抽出水サンプルとした。
(6)陰イオンの定量
日本ダイオネクス株式会社製の陰イオンクロマトグラフ装置(IC−20)を用い、下記の条件で臭化物イオン濃度を定量した。
溶離液:0.1M炭酸ナトリウム水溶液
流量:1ml/min
温度:30℃
カラム:日本ダイオネクス株式会社製AS−9SC
以上の評価結果を表1〜表3に示した。
表1は、実施例1〜7および比較例1〜3とを対比した表であり、本発明の分液精製法および再沈殿生成法の各精製ポリマおよび未精製ポリマについてPCT抽出を行い、各PCT抽出液中の臭化物イオン濃度を陰イオンクロマトグラフによって定量・比較したものである。
Figure 2015117271
表1より、実施例2〜7は比較例1〜3よりも臭化物イオンの除去効果が高いことがわかる。また、実施例1は精製効果が低いことから、シュウ酸濃度が高い場合には精製効果が低いことがわかる。さらに、実施例1〜7を比較すると、高い精製効果を示す適切なシュウ酸濃度が存在することがわかる。表1より、本発明の有機酸の濃度範囲で分液精製することで、従来の再沈殿精製および純水による分液精製よりも優れた精製効果を示すことがわかる。
表2は、実施例5と比較例1〜2とを対比した表であり、本発明の分液精製法と再沈殿生成法の場合によるダイボンドフィルム物性を比較したものである。
Figure 2015117271
表2より、本発明は、精製した高分子(ポリマ)が精製法の違いによる影響を受けず、ダイボンドフィルムとしての諸特性に変化は見られないことを示している。従って、本発明の高分子の精製方法(分液精製法)が純水分液精製、再沈殿精製法に代わる低コストな精製方法として採用できることを示している。

Claims (14)

  1. 原子移動ラジカル重合によって合成された高分子の精製方法であって、重合後の高分子溶液に対し、(A)有機溶媒、(B)高分子の貧溶媒を添加・混合した後、(C)有機酸水溶液を加えて攪拌・静置することで高分子の溶液層と水溶液層の2層に分離させ、高分子中に残存するハロゲン化物イオンおよび遷移金属イオンを水溶液層側に抽出する高分子の精製方法。
  2. 原子移動ラジカル重合によって合成された高分子が、少なくとも3つの重合鎖が放射状に伸びる星型構造を有する共重合体であって、分子鎖に架橋性反応基を少なくとも0.1mol%以上含有する高分子である請求項1に記載の高分子の精製方法。
  3. (C)有機酸水溶液の有機酸が、カルボキシル基を少なくとも1つ含有する有機酸である請求項1または請求項2に記載の高分子の精製方法。
  4. (C)有機酸水溶液の濃度が、0.001〜0.1Mである請求項1〜3のいずれかに記載の高分子の精製方法。
  5. (C)有機酸水溶液の有機酸が、シュウ酸である請求項1〜4のいずれかに記載の高分子の精製方法。
  6. (A)有機溶媒が、非水溶性有機溶媒である請求項1〜5のいずれかに記載の高分子の精製方法。
  7. (B)高分子の貧溶媒が、水溶性有機溶媒である請求項1〜6のいずれかに記載の高分子の精製方法。
  8. (B)高分子の貧溶媒が、炭素数2〜4のアルコールである請求項1〜7のいずれかに記載の高分子の精製方法。
  9. (A)有機溶媒、(B)高分子の貧溶媒および(C)有機酸水溶液の混合比率が、それぞれ(A)50〜100質量部、(B)10〜30質量部、(C)20〜60質量部である請求項1〜8のいずれかに記載の高分子の精製方法。
  10. 精製する高分子の重量平均分子量が、50,000〜2,000,000である請求項1〜9のいずれかに記載の高分子の精製方法。
  11. 攪拌・静置後、水溶液層に含まれる固形分が、3質量%以下である請求項1〜10のいずれかに記載の高分子の精製方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の高分子の精製方法により得られる精製された高分子。
  13. 請求項12に記載の精製された高分子が、少なくとも3つの重合鎖が放射状に伸びる星型構造を有する共重合体であって、分子鎖に架橋性反応基を少なくとも0.1mol%以上含有する高分子である精製された高分子。
  14. 請求項13に記載の精製された高分子を、熱硬化性成分と、高分子量成分からなる半導体用接着剤の高分子量成分の1成分として用いる半導体用接着剤。
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