JP5884169B2 - 電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システム及び方法 - Google Patents

電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システム及び方法 Download PDF

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本発明は、電気めっき鋼板の製造ラインの複数のめっきセル内のめっきパス毎に陽極を構成する複数の自溶性電極の消費量を監視し、交換時期を通知する電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システム及び方法に関する。
従来より、錫めっき等の電気めっき鋼板の製造は、鋼板と電極に電気をかけることによって行われている。電気めっき鋼板としては、錫めっき、亜鉛めっきなどが挙げられるが、例えば、錫めっきでは、錫を電気めっきする電気錫めっきライン(ETL:Electrolytic Tinning Line)で行われている(特許文献1参照)。
このような電気錫めっきライン、即ち、錫めっき鋼板の製造ラインにおいて、不溶性電極を用いる場合には、錫イオンは薬剤によって供給されるが、可溶性又は自溶性錫電極を陽極として使用している場合には、時間の経過と共に可溶性錫電極自身が消費されていく。したがって、可溶性錫電極を用いる場合には、所定量消費される毎に交換したり、補充する必要がある。
特開2006−348354号公報
しかしながら、特許文献1に開示の錫めっき鋼板の製造ラインでは、可溶性錫電極をめっきセルのめっきタンク内のめっき液中に浸漬するので、可溶性錫電極の交換や補充が煩雑であり、交換や補充のために鋼板の走行を停止する場合には、生産性が低下するという問題があった。
このため、例えば、図2に示す錫めっき鋼板等を製造するための電気めっき鋼板の製造ライン50において鋼板の錫めっき等の電気めっきが行われている。
図2に示す電気めっき鋼板の製造ライン50では、その複数のめっきセル52内を走行する帯状鋼板(鋼帯)51に対向して配置される可溶性の陽極64を、図3に示すように、鋼板51の幅方向にその一方の側から他方の側に順次その厚さが薄くなる複数の自溶性電極62(以下、単に、電極62ともいう)で形成し、時間の経過とともに電極62自身が溶解して消費され、薄い側の電極62の厚みが予め設定された所定厚みより薄くなると陽極64から抜き取り、他方の側(厚い側)より初期の厚さを持つ電極62を陽極64に装入することを繰り返して電気めっきを連続的に行う。
例えば、このような電気めっき鋼板の製造ラインで、自溶性錫電極(以下、単に錫電極ともいう)を用いた錫めっきを行う場合、錫電極が極度に消費されると、パスライン内に錫電極が落下して、例えば、錫電極に鍵部を設けて錫電極に通電するための銅製の棒状体や管状体に係合させて支持する場合には、めっきセル内に落下して、ライントラブルが発生してしまうため、定期的にオペレータ(作業者)の人手によって錫電極の消費量を確認する必要が生じる。
そのため、作業者は、錫めっきが連続的に行われている中で、錫電極の厚さ計測用のゲージ棒を用いて錫電極の消費量を確認している。このゲージ棒は、その先端に所定間隔、例えば25mmの凹部を持ち、作業者は、錫電極がこの凹部に嵌合する厚さ、例えば25mm未満となった時に、錫電極を抜き取るべき消費量であると判断している。
しかしながら、このような作業者によるゲージ棒を用いた錫電極消費量測定作業は、鋼板を走行させる回転体(コンダクターロール)への巻き込まれや、タンク内への落下や、めっき液の飛散を浴びる等といった危険性があるという問題があった。
また、錫電極消費量測定作業を行うタイミングは、作業者によって異なるため、錫電極の抜取・装入タイミングが作業者によってバラツキが生じてしまうという問題があった。特に、熟練者と未熟な新人とでは、大きなバラツキとなる場合が多いという問題があった。
また、錫電極の抜取・装入タイミングが早いと、錫電極が充分に使用されずに抜き取られることになり、錫めっき鋼板の製造コストをアップさせてしまうという問題があった。
図3に、陽極64が複数に分割された自溶性電極62の厚みを模式図で示す。鋼板51の幅方向に配置された複数の自溶性電極62(62a〜62j)からなる陽極64を用いる場合、電極62と鋼板51との距離、即ち間隔Dは、図4(A)に示すように、電極62が溶解して消費されるにつれて拡がるが、所定の第1の間隔D1がD2まで拡がると、図4(B)、(C)に示すように、電極の厚い側(図中鋼板51の上側は左側、鋼板51の下側は右側)に予め設定された所定の厚さを持つ電極62(62k)を装入するために、薄い側(図中鋼板51の上側は右側、鋼板51の下側は左側)の電極62(62a)が抜き取られると共に、残りの複数の電極62(62b〜62j)は、1個の電極62の電極幅の分だけ一方の側に移動され、他方の側(図中鋼板51の上側は左側、鋼板51の下側は右側)に初期の厚さの電極62(62k)が装入設置される。また、このときの移動により、電極間が狭くなるように電極62を移動させることにより電極間は狭くなり、一方の側に装入された電極62(62k)と鋼板51との所定の初期の間隔D1と略同じになり、電極62の抜取・装入タイミングが適切に行われると、鋼板51と電極62との間の間隔Dは、所定の適正な範囲(D2≦D≦D1)に維持されるように設定されている。
しかしながら、図5(A)に示すような自溶性電極62での錫等のめっき金属の溶解は、鋼板の流れ方向等の影響により、特に、液面近傍は不均一になっており、流れの方向によって、例えば、図5(B)に示すようにアップパスでは薄めになっていたり、図5(C)に示すようにダウンパスでは厚めになっていたりする。図6に示すように、電極62の抜取・装入タイミングが早いと、移動された残りの複数の電極62と鋼板51との間の間隔が狭くなり過ぎ、高速で搬送される鋼板51が、そのブレ等により、電極62(図5(C)の未溶解部63d参照)からなる陽極64に接触して、鋼板51に線状痕、いわゆるアノードストリークを発生させ、錫めっき鋼板等の電気めっき鋼板の商品価値を失わせ、電気めっき鋼板の製造コストをアップさせてしまうという問題があった。
逆に、自溶性電極62の抜取・装入タイミングが遅いと、上述したライントラブルが発生しない場合でも、電極62と鋼板51との間の間隔が拡がりすぎ、めっき効率等が低下して、鋼板へのめっき付着量が減少し、目標をはずれてしまったり、表面欠陥(ローカーレントストリーク)が発生してしまうという問題や、自溶性電極の厚みが不均一に薄くなっている部分(図5(B)の薄肉部63cの参照)では、自溶性電極が切れて自溶性電極の一部がめっきセルに落下してしまうという問題があった。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消するために、自溶性電極の消費量測定作業に伴う作業者の危険性を無くすと共に、作業者による自溶性電極の抜取・装入タイミングのバラツキを無くし、自溶性電極の抜取・装入タイミングの適正化、即ち適切なタイミングで自溶性電極の抜取・装入を行い、自溶性電極の使用を適正に行うと共に、めっき鋼板への線状痕(アノードストリーク)等のプレーティング性欠陥の発生を防止し、また、めっき効率等の低下を招くことなく、めっきを行うことができ、めっき鋼板の製造コストの低減を図ることのできるめっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システム及び方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係るめっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システムは、パスラインに沿って配置された複数のめっきセル内を連続的に走行する鋼板に対向し所定間隔離間して各めっきセル内に前記鋼板の搬送方向と直交する幅方向に配置される複数の自溶性電極からなる陽極と前記鋼板から成る陰極との間に通電して前記複数の自溶性電極を溶解しながら走行する前記鋼板に連続的に電気めっきを行うと共に、前記陽極となる前記複数の自溶性電極の内の、前記幅方向の一方の側にある予め設定した厚さまで減肉した自溶性電極を抜き取って残りの自溶性電極を前記幅方向の一方の側に順次移動させ、前記幅方向の他方の側に予め設定した厚さの自溶性電極を装入する電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システムであって、前記複数のめっきセルについて、各めっきセル内に形成される前記陽極となる前記複数の自溶性電極及び前記陰極となる前記鋼板から成る各めっきパス毎に前記複数の自溶性電極に通電された通電電気量を計測する通電電気量計測手段と、前記複数のめっきセルの全てのめっきパスについて、各めっきパス毎に前記複数の自溶性電極の各自溶性電極に、装入時点から通電された累積通電量を算出する累積通電量算出手段と、各めっきパスのめっき条件に対して、各めっきパス毎に予め設定された、前記幅方向の一方の側から抜き取る自溶性電極の累積通電量を抜取のための第1の閾値として設定する設定手段と、前記累積通電量算出手段によって算出された、各めっきパスの前記幅方向の一方の側にある自溶性電極の累積通電量を、前記設定手段に設定された当該めっきパスの前記第1の閾値と比較して監視し、前記自溶性電極の累積通電量が前記第1の閾値に達した時点で、前記自溶性電極の抜取を通知する通知手段とを有することを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の態様に係るめっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視方法は、所定のパスラインに沿って配置された複数のめっきセル内を連続的に走行する鋼板に対向し所定間隔離間して各めっきセル内に前記鋼板の搬送方向と直交する幅方向に配置される複数の自溶性電極からなる陽極と前記鋼板から成る陰極との間に通電して前記複数の自溶性電極を溶解しながら走行する前記鋼板に連続的にめっきを行うと共に、前記陽極となる前記複数の自溶性電極の内の、前記幅方向の一方の側にある予め設定した厚さまで減肉した自溶性電極を抜き取って残りの自溶性電極を前記幅方向の一方の側に順次移動させ、前記幅方向の他方の側に予め設定した厚さの自溶性電極を装入する電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視方法であって、前記複数のめっきセルについて、各めっきセル内に形成される前記陽極となる前記複数の自溶性電極及び前記陰極となる前記鋼板から成る各めっきパスのめっき条件に対し、予め、各めっきパス毎に設定された、前記幅方向の一方の側から抜き取る自溶性電極の累積通電量を抜取のための第1の閾値として設定しておき、各めっきパス毎に、前記複数の自溶性電極に通電された通電電気量を計測し、前記複数のめっきセルの全てのめっきパスについて、各めっきパス毎に前記複数の自溶性電極の各自溶性電極に、装入時点から通電された累積通電量を算出し、各めっきパスの前記幅方向の一方の側にある自溶性電極の累積通電量を、予め設定された当該めっきパスの前記第1の閾値と比較して監視し、前記自溶性電極の累積通電量が前記第1の閾値に達した時点で、前記自溶性電極の抜取を通知することを特徴とする。
ここで、前記設定手段又は設定ステップは、各めっきパス毎に、前記幅方向の一方の側から抜き取られる前記自溶性電極の累積通電量が前記第1の閾値に達する前に、前記自溶性電極の抜取時期が近いことを通知するための前記第1の閾値より小さい第2の閾値を設定し、前記通知手段又は通知ステップは、各めっきパス毎に、前記自溶性電極の抜取を通知する前に、前記自溶性電極の累積通電量が、前記第1の閾値に達する前に前記第2の閾値に達した時点で前記自溶性電極の抜取時期が近いことを通知することが好ましい。
また、前記累積通電量の前記第1の閾値に影響を与える前記めっき条件は、各パス毎
に、前記陽極と前記陰極との間に通電を行わない無通電時間、前記鋼板を搬送するライン速度、前記陰極の前記鋼板と前記陽極の前記複数の自溶性電極との電極間間隔、及び当該パスが形成された前記めっきセルを構成するめっきタンクの絶縁性の少なくとも1つであることが好ましい。
また、前記電気めっき鋼板の製造ラインにおいて、前記複数のめっきセルの各めっきパス毎に、前記陽極として前記幅方向の前記他方の側から前記一方の側に向かってその厚さが薄くなる複数の自溶性電極からなるテーパ状電極を用いて、前記鋼板の走行を開始してめっき鋼板の製造開始する際に、前記設定手段又は設定ステップは、各めっきパスの各自溶性電極毎に、各自溶性電極の厚さに応じて前記第1の閾値を設定することが好ましい。
本発明によれば、可溶性陽極を構成する自溶性電極の消費量を自動的に監視できるようにすることにより、これまで行っていたゲージ棒を使用した自溶性電極消費量測定作業を廃止して、自溶性電極消費量測定作業に伴う作業者の危険性を無くし、作業者の安全性を向上することができると共に、作業者による自溶性電極の抜取・装入タイミングのバラツキを無くし、適切なタイミングで自溶性電極の抜取・装入を行い、自溶性電極の使用を適正に行い、また、鋼板に線状痕(アノードストリーク)を発生させることなく、また、めっき効率等の低下を招くことなく、めっきを行うことができ、めっき鋼板の製造コストの低減を図ることができる。
本発明に係る電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システムの一実施形態の概略構成を示す断面図である。 図1に示す自溶性電極の消費量自動監視システムが適用される電気めっき鋼板の製造ラインの一実施形態の概略構成を示す模式的断面図である。 図2に示す電気めっき鋼板の製造ラインのめっきパスの鋼板に対向する陽極の自溶性電極の一実施形態の概略構成を示す断面模式図である。 (A)、(B)及び(C)は、それぞれ図3に示すめっきパスの陽極の自溶性電極の使用時、装入時及び抜取時の構成例を示す断面模式図である。 (A)、(B)及び(C)は、それぞれ図3に示すめっきパスの陽極に用いられる予め設定された所定厚さの自溶性電極、アップパスで用いられた自溶性電極及びダウンパスで用いられた自溶性電極の一例を示す模式的斜視図である。 図3に示すめっきパスの陽極の自溶性電極の装入・抜取時の従来構成例を示す断面模式図である。 図2に示す電気めっき鋼板の製造ラインのめっきパス毎の自溶性電極の累積電気量に対する錫消費量の理論値を示すグラフである。 図2に示す電気めっき鋼板の製造ラインのめっきパス毎の自溶性電極の抜取時の累積電気量データの一例を示すグラフである。 図2に示す電気めっき鋼板の製造ラインのめっきパス毎の自溶性電極の累積電気量データの抜取閾値データの一例を示す。 (A)及び(B)は、それぞれ図2に示す電気めっき鋼板の製造ラインのめっきパスに適用されるテーパ電極の各自溶性電極の累積電気量データの一例を示すグラフである。 (A)及び(B)は、それぞれ図2に示す電気めっき鋼板の製造ラインのめっきパスに適用される通常陽極及びテーパ電極の各自溶性電極の累積電気量データ及びその抜取閾値の一例を示すグラフである。 本発明に係る電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視方法の一例を示すフローチャートである。
以下に、本発明に係る電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システム及び方法を、添付の図面に示す好適実施形態を参照して詳細に説明する。
図1に示す電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システムの説明に先立って、図2〜図6を参照して、この自溶性電極の消費量自動監視システムが適用される電気めっき鋼板の製造ラインについて簡単に説明する。
図2は、図1に示す自溶性電極の消費量自動監視システムが適用される電気めっき鋼板の製造ラインの概略構成を示す模式的断面図である。
図2に示す電気めっき鋼板の製造ライン50は、例えば、電気錫めっきライン又はETL(Electrolytic Tinning Line)と呼ばれる電気錫めっき鋼板の製造ラインとしても用いられるもので、図示しない駆動源によって駆動される搬送ロール等(図示せず)によって搬送されて、走行する鋼板51に連続的に電気錫めっき等の電気めっきをするためのもので、電気めっきラインを構成するように連続的に配設された複数のめっきセル52からなる。
以下の説明では、電気錫めっきの場合を具体的な代表例として説明するが、本発明はこれに限定されず、自溶性電極を用いる電気めっきであれば、どのようなものにも適用可能である。例えば、錫めっきの他、亜鉛めっき、ニッケルめっき等を挙げることができる。
電気めっき鋼板の製造ライン50において、各めっきセル52は、内部に錫めっき液等のめっき液54が満たされためっきタンク56と、めっきタンク56内のめっき液54に浸漬され、鋼板51を巻き掛けて搬送する浸漬ロール58と、隣接する2つのめっきタンク56の側壁部56aの上部に各々配設され、鋼板51を巻き掛けて、上流側のめっきタンク56内の浸漬ロール58から下流側のめっきタンク56内の浸漬ロール58に搬送する搬送ロール60と、めっきタンク56a内のめっき液54に浸漬され、上流側の搬送ロール60と浸漬ロール58とで搬送されている鋼板51及び浸漬ロール58と下流側の搬送ロール60とで搬送されている鋼板51の各表裏面にそれぞれ対向して所定距離離隔して配置される自溶性錫電極等の複数の自溶性電極62(図3参照)からなる陽極(アノード)64と、各搬送ロール60に巻き掛けられて搬送される鋼板51に電気的に接触して通電し、鋼板51を陰極として機能させる通電ロール66と、各めっきセル52内の各陽極64と各通電ロール66との間に電力を供給する直流電源(図示せず)と、各めっきセル52内の各陽極64及び各通電ロール66直流電源(図示せず)に電気的に接続する導体(図示せず)と、を有する。
本発明が適用される電気めっき鋼板の製造ライン50は、電気めっき工程を実施するめっきセクションであるが、そのライン速度や、めっき鋼板の板厚や板幅、陽極64に印加される電流等は、特に限定されるものではない。
各めっきセル52においては、めっきタンク56内に満たされためっき液54中に浸漬された陽極64と通電ロール60とを、図示しない導体により直流電源(図示せず)に接続して、浸漬ロール58と搬送ロール60とによりめっきタンク56内のめっき液54中を搬送される鋼板51に通電し、陽極64から錫等のめっき金属(錫イオン等のめっき金属イオン)を溶出させ、それをめっき液54に接触している鋼板51の表裏面に電析させるように構成されている。
なお、図2の電気めっき鋼板の製造ライン50において、鋼板51の表面は、搬送ロール60に巻きかえられている時、図中上側にくる面であり、鋼板51の裏面は、図中下側にくる面で、搬送ロール60と接触している面である。
ここで、図示例の各めっきセル52においては、めっきタンク56内のめっき液54中を搬送される鋼板51の表裏面にそれぞれ対向して陽極64が配置されており、鋼板51の一方の面と陽極64によって錫めっき等の電気めっきのための1つのめっきパス68が形成される。即ち、図示例の各めっきセル52において形成されるめっきパス68は、上流側の搬送ロール60と浸漬ロール58とで搬送されている鋼板51の表裏面と各面に対向する陽極64によって形成される2つのダウンパスと、浸漬ロール58と下流側の搬送ロール60とで搬送されている鋼板51の表裏面と各面に対向する陽極64によって形成される2つのアップパスとで構成される。
また、各めっきセル52においては、陽極64を引き上げることにより、めっきパス68の形成自体を無くすこともできるが、鋼板51に対向して配置される陽極64への通電を選択的に停止することにより、めっきパス68の機能を選択的に無くし、鋼板51表面へのめっきを選択的に停止することができるように構成されている。
これらのめっきパス68における、鋼板51に対向して配置される陽極64の構成を図3に示す。
図3は、図2に示す電気めっき鋼板の製造ラインのめっきパスの鋼板に対向する陽極の自溶性電極の一実施形態の概略構成を示す、鋼板の走行方向と直交する方向の断面模式図である。図4(A)、(B)及び(C)は、それぞれ図3に示すめっきパスの陽極の自溶性電極の使用時、装入時及び抜取時の構成例を示す断面模式図である。
なお、図3及び図4(A)、(B)並びに(C)に示すように、めっきパス68は、鋼板51の両面に配置される陽極64からなり、図面での鋼板51の下面側に配置される陽極64aから形成されるめっきパス68aと、鋼板51の上面側に配置される陽極64bからなるめっきパス68bからなる。なお、めっきパス68aとめっきパス68bとは、同様の構成を有するものであるので、めっきパス68aを代表例として説明する。
図3に示すように、めっきパス68aの陽極64aは、鋼板51の下面側に配置され、それぞれ、鋼板51の、走行方向と直交する幅方向に配列された複数、例えば、図示例では10本の自溶性電極62(62a〜62j)(以下、単に電極62(62a〜62j)ともいう)を有する。
図4(A)は、めっき初期の使用状態を示し、図4(B)は、めっきパス68aの陽極64aの自溶性電極62(62a〜62j)の内の図中左端の電極62aが抜き取るべき予め設定された厚さとなった状態、即ち抜取タイミングとなった抜取直前の状態を示すもので、反対側の図中右端の電極62jの右側に新しい未使用、又は予め設定された所定厚さの電極62kが装入されるべき状態、即ち装入直前の状態を示しており、陽極64aの電極62a〜62jと鋼板51の下側表面との間の間隔Dは、図4(A)では初期の間隔D1、図4(B)では、電極62a〜62jが溶解した分だけ拡がった所定の第2の間隔D2となっている。
図4(C)は、めっきパス68aの陽極64aにおいて、図4(B)では図中右端にあった自溶性電極62jが、その電極幅分だけ左側に移動し、図中右端に新しい未使用、又は予め設定された所定厚さの電極62kが装入され、図4(A)では図中左端にあった電極62aが抜き取られ、その右側にあった残りの電極62b〜62jがそれぞれ電極幅分だけ左側に移動し、電極62bが図中左端に来た状態を示しており、陽極64aの電極62b〜62kと鋼板51の下側表面との間の間隔は、最も狭い所定の第1の間隔D1に戻っている。
なお、これらの自溶性電極62は、図5(A)に示すように、フック(鉤状部)63aを有しており、鋼板51の表面に対して所定の傾斜角度で傾斜した棒状体(図示せず)に電極62のフック63aを引っ掛けることにより、電極62は、この棒状体に支持され、図中左側に移動することにより、溶解によって拡がった鋼板51との第2の間隔を狭めて第1の間隔D2となるように設定されている。なお、自溶性電極62の下方端64は、板厚が薄くなっており、図2に示すめっきセル52のめっきタンク56内において、浸漬ロール58の上方に設置されたガイドに、鋼板51との間隔を保つように、即ち図2中左右にずれないように支持されている。
しかし、従来技術においては、図6に示すように、めっきパス68aの陽極64aにおいて、自溶性電極62の抜取・装入(電極62aの抜取及び電極62kの装入)のタイミングが早いと、移動された残りの複数の電極62(62b〜62j)と鋼板51とが近付き過ぎ、鋼板51がブレて、電極62に、例えば図5(B)に示すように、自溶性電極62の上部の未溶解部63cに接触して、例えば、鋼板51にアノードストリークを発生させ、逆に電極62の抜取・装入タイミングが遅いと、上記間隔が拡がりすぎ、めっき効率等が低下して、付着量の目標はずれや、不均一に薄い部分、例えば図5(c)に示すように、自溶性電極62の上部の薄肉部63cによる一部落下などの問題を発生させ、電気めっき鋼板の製造コストをアップさせてしまうという問題があったのは、上述した通りである。
これに対して、図1に示す電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システムは、後述するように、各めっきパス68(68a)の陽極64(64a)の自溶性電極62(62a〜62k)において、電極62の装入・抜取(電極62kの装入及び電極62aの抜取)が適切な装入・抜取タイミングで行われるように、自溶性電極62の消費量を自動監視するものであり、その結果、常に、陽極64(64a)の自溶性電極62(62a〜62j及び62b〜62k)と鋼板51との間隔Dを、所定の、即ち第1の間隔D1と第2の間隔D2との間の適正な範囲(D1≦D≦D2)に維持することができる。
以下に、本発明に係る電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システムについて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システムの一実施形態の概略構成を示す図である。
同図に示すように、自溶性電極の消費量自動監視システム(以下、単に監視システムともいう)10は、図2及び図3に示す電気めっき鋼板の製造ライン50のめっきセル52内のめっきパス68の各自溶性電極62毎に通電された通電電気量(以下、単に通電量ともいう)を計測する通電量計測手段12と、各めっきパス68の各電極62毎に、装入時点からの累積通電量を算出する累積通電量算出手段14と、各めっきパス68毎に、予め、少なくとも、抜取通知のための第1の閾値及び抜取準備通知のための第2の閾値等として累積通電量を設定する閾値設定手段16と、算出された電極62aの累積通電量を各めっきパス68の第1の閾値及び第2の閾値と比較して監視し、第2の閾値及び第1の閾値に達した時点で電極62の抜取準備及び抜取を通知する通知手段18とを有する。
本実施形態の監視システム10は、この他、閾値設定手段16に設定されるめっきパス68毎の第1の閾値及び第2の閾値等の設定値や監視システム10に必要なその他の設定値などを入力する入力手段20と、閾値設定手段16によって設定された第1及び第2の閾値等の種々の設定値などを変更する設定値変更手段22と、設定された第1及び第2の閾値等の種々の設定値などを記憶する記憶手段とを備えるのが好ましい。
なお、本実施形態の監視システム10は、入力手段20を構成する、マウスやキーボード等の操作部や記録媒体等のドライブやリーダ等の入力部や、通知手段18を構成するディスプレイモニタ等の表示部や、各手段を構成するCPUやメモリやハードディスクなどのコンピュータ本体を備えるパーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータによって構成され、錫めっき鋼板の製造ライン50の入側制御、ライン制御、めっき制御、及び出側制御等の制御システム(図示せず)に接続され、又は組み込まれ、これらの制御システムとの間で種々の制御データを送受するものであるのが好ましい。
本実施形態の監視システム10において、通電量計測手段12は、電気めっき鋼板の製造ライン50の複数のめっきセル52内に形成される各めっきパス68(68a)の陽極64(64a)の複数の自溶性電極62(62a〜62j)と陰極となる鋼板51との間に通電された通電量を各電極62毎に計測するものである。この通電量計測手段12は、電気めっき鋼板の製造ライン50のめっき制御システムの通電量制御部(図示せず)に設けられるものであっても良い、通電量制御部から通電量データを受信するものであっても良い。
ここで、通電量計測手段12は、陽極64の自溶性電極62に流れる電流を計測する電流計を備え、所定通電時間において電流計で計測された電流を時間積分して通電量を算出することにより所定通電時間の通電量を測定するものである。通電量計測手段12は、個々の電極62毎に電流を計測して通電量を測定しても良いが、例えば、電流計で陽極64全体、即ち構成する全ての電極62に流れる電流を計測し、計測された電流を時間積分して全ての電極62に所定通電時間流れた全体の通電量を測定し、陽極64を構成する電極62の本数で割り算して、個々の電極62の所定通電時間の通電量を算出するようにしても良い。
なお、本発明が適用される電気めっき鋼板の製造ライン50では、基本的に、各めっきパス68において一定の電流を陽極64に流して電気めっきが行われるので、電流計で計測される電流値が所定通電時間中一定であるとみなせる場合には、電流計で計測される電流値をIとし、通電時間をtとすると、所定通電時間の通電量E0は、式E0=I*tで表すことができ、陽極64を構成する自溶性電極62の本数をn本とすると、個々の電極62の所定通電時間の通電量Eは、式E=E0/nで表すことができる。
しかしながら、電気めっき鋼板の製造ライン50における電気めっきでは、実際のところ、電流値は、様々な要因で変動することがあるので、本発明では、通電量計測手段12は、電流値が一定であると見做せる単位時間、例えば1秒毎に電流を計測して通電量を測定し、測定された通電量を加算して集計することにより、所定通電時間の通電量を計測している。
ここで、通電量計測手段12は、所定通電時間として、先の自溶性電極62の装入・抜取から次の電極62の装入・抜取までの1サイクルの時間、即ち、前後の装入・抜取タイミング間の時間を設定して、個々の電極62の1サイクル分の通電量を算出するようにしても良い。
累積通電量算出手段14は、各めっきパス68の各自溶性電極62毎に、予め設定された所定厚さの新品として装入された時点から現在までに通電された累積通電量を算出するものである。
例えば、図4(C)に示す図中陽極64aの右端の電極62kは、新しく装入された自溶性電極であるので、累積通電量算出手段14は、電極62kについて、装入時から現時点までに積算された通電量を累積通電量として算出する。
これに対し、図4(C)に示す電極62kの左隣の電極62jは、電極62kが装入される前に、既に、電極62の先の装入・抜取から次の装入・抜取までの1サイクルの時間通電されているので、累積通電量算出手段14は、電極62jの1サイクル分の通電量と電極62kの通電量と同じ通電量との積算通電量を累積通電量として算出する。
同様にして、自溶性電極62i〜62bの累積通電量は、電極62jの累積通電量に対して、それぞれ順次その前の1サイクル分の通電量が積算された通電量となる。
したがって、図中左端の電極62bの累積通電量は、先の9サイクル分の通電量と電極62kの通電量と同じ通電量との積算通電量となる。
なお、累積通電量算出手段14は、電気めっき鋼板の製造ライン50のめっき制御システムとは別個に設けられていても良いが、このめっき制御システム内の通電量制御部(図示せず)に設けられるものであっても良い、通電量制御部から通電量データを受信するものであっても良い。
閾値設定手段16は、電気めっき鋼板の製造ライン50の各めっきセル52の各めっきパス68のめっき条件に対して、各めっきパス68毎に、予め、鋼板51の幅方向の一方の側(図中陽極64aの左端)にある自溶性電極62(62a)を抜き取るべき抜取タイミングに達した時点での自溶性電極62の累積通電量を電極62aの抜取の通知のための第1の閾値として設定するものである。閾値設定手段16は、更に、図3中陽極64aの左端にある電極62(62a)を抜き取るべき抜取タイミングに近付いた時点での電極62の累積通電量を電極62aの抜取の準備の通知ための第2の閾値として設定するのが好ましい。
閾値設定手段16によって設定される第1及び第2の閾値等の設定値は、マウスやキーボードなどの入力手段20によって外部から入力されたものであっても良いし、記録媒体のドライブ等の入力手段20によって記録媒体に格納された設定値の電子データを読み取ることによって入力されたものであっても良いし、設定値変更手段22によって変更された第1及び第2の閾値等の設定値であっても良いし、積通電量算出手段14によって算出された、各めっきパス68毎の陽極64の各電極62の累積通電量に基づいて設定される設定値であっても良い。
なお、設定値変更手段22は、累積通電量算出手段14によって算出された、各めっきパス68毎の陽極64の各自溶性電極62の累積通電量に基づいて第1及び第2の閾値等の設定値を変更し、更新するものであるのが好ましい。
また、記憶手段24は、PC等のメモリやハードディスク等によって構成され、閾値設定手段16によって設定された第1及び第2の閾値等の設定値や、設定値変更手段22によって変更・更新された第1及び第2の閾値等の設定値を記憶しておくものであり、記憶された設定値は、通知手段18に送信される。
通知手段18は、累積通電量算出手段14によって算出された、各めっきパス68の幅方向の図中陽極64aの左端側にある自溶性電極62aの累積通電量を、閾値設定手段16によって設定されためっきパス68の第1及び第2の閾値と比較して電極62aの累積通電量が第1及び第2の閾値に達するか否かを監視する比較・監視手段26と、電極62aの累積通電量が第1及び第2の閾値に達した時点で、電極62の抜取の指示及び抜取の準備の指示を表示して通知する表示手段28と、電極62の抜取の指示及び抜取の準備の指示を音声で通知する音声通知手段30と、を備える。
なお、本実施形態の監視システム10の累積通電量算出手段14、閾値設定手段16、通知手段18の比較・監視手段26、設定値変更手段22等は、PC等のCPUなどによって構成されるものであり、具体的には、プログラムとして設定されるものであっても良いし、表示手段28は、PC等のディスプレイなどで、音声通知手段30は、内蔵スピーカ等によって構成されるものであれば良い。
本発明の特徴である自溶性電極62の消費量の自動監視、これに用いる自溶性電極62の累積通電量の第1の閾値Qth1及び第2の閾値Qth2、及び閾値設定手段16による第1及び第2の閾値Qth1、Qth2の設定方法について説明する。
本発明者らは、電気めっき鋼板の製造ラインにおいて、自溶性電極の消費量の自動監視を行うには、自溶性電極に通電された累積通電量を測定して監視することによって、交換時の自溶性電極の消費量を自動監視をするのが良いこと、具体的には、交換時の自溶性電極の消費量の閾値に相当する自溶性電極に通電された累積通電量の閾値を自動監視するのが良いことを知見した。このため、本発明者らは、以下のような検討を行った。
まず、電気めっきにおける自溶性電極の消費量を、錫めっきの錫(Sn)で例示すると、錫(Sn)の消費量W(kg)は、錫(Sn)の原子量Awが118.7であり、ファラデー定数Fが96500c/molであり、めっき効率ηが0.85であるので、累積電気量をQa(×10c)とすると、下記式のように、通電電気量(通電量)によって理論的に算出することができる。
Sn→Sn2++2e
W=Qa×10×Aw×η/(2F×10
=Qa×10×118.7×0.85/(2×96500×10)
=0.5228×Qa
この結果を図7に示す。
このグラフから明らかなように、錫製の自溶性電極の交換が必要となる消費量の閾値を、例えば30kgとすると、累積電気量Qaは、57.4×10cとなるので、理論上の累積電気量の閾値Qthは、57.4×10cとすることができる。
こうして、自溶性電極交換時の理論上の累積電気量の閾値Qthを決めることができる。
しかしながら、実際の電気めっき鋼板の製造ラインでは、上述の理論的な通電量だけではなく、他の要因による影響についても考慮する必要があることも本発明者らは知見している。
これらの要因としては、以下のようなものが挙げられる。
・めっきパス特性
図2に示す電気めっき鋼板の製造ライン50では、ライン仕様によって多少の増減はあるものの、電気めっき処理パス、即ちめっきパスは数10パス程度を有しており、それぞれ独立しためっきタンク56に装入されている。
これらのめっきタンク56は、外部と絶縁するためにライニング加工が施されており、また、陽極64(自溶性電極62)と鋼板51との距離(間隔D)もほぼ一定となるように調整されているが、それぞれ各タンク56及び各めっきパス68毎に若干の相違があるため、同じ通電量であっても電極62の消費量は異なっている。
例えば、めっきタンクの絶縁性が悪くなると、めっき効率が悪くなり、例えば絶縁抵抗値に依存して悪くなり、また、自溶性電極62と鋼板51との距離Dが拡がると、めっき効率が悪くなり、例えば、距離Dの2乗に依存して悪くなり、電極62の消費量は減少する。即ち、各めっきパス68における電極62の累積通電量が同じであっても、電極62の消費量は異なることになる。
また、電極62は、めっき液54に浸漬されているので電極62に通電されていない無通電時間においても、めっき液54に溶解している。このため、無通電時間中にも、電極62は、消費される。無通電時間が、めっきパス68毎に異なる場合、累積通電量が同じであっても、電極62の消費量は異なることになる。
そのため、本発明の自動監視システムでは、各めっきパス68毎に、累積通電量を測定して電極62の消費量を監視できるようにする必要がある。
・ライン速度
図2に示す電気めっき鋼板の製造ライン50では、めっきパス68の内のアップパスにおいて自溶性電極62の局所的な消費が観察される。
この理由は、アップパスでは、めっきタンク56内のめっき液54の持ち上がりが発生し、自溶性電極62の上部が消費されるためである。
また、ライン速度を増加させると、この持ち上がり量は増加するため、電極62の上部の消費量も顕著となる。例えば、電極62の消費量は、ライン速度の2乗に依存して増大する。即ち、電極62の累積通電量が同じであっても、ライン速度が異なると、電極62の消費量は異なることになる。
そのため、ライン速度の増加によるアップパスの電極62上部の消費量増加について考慮する必要があるため、本発明の自動監視システムでは、ライン速度による電極62の消費量補正を行えるようにしている。
以上から、自溶性電極62の消費量と累積通電量に影響を与えるめっき条件は、ライン速度、各めっきパス68毎の鋼板51と電極62との電極間距離、各めっきパス68毎に設定される陽極64と鋼板51との間に通電を行わない無通電時間、及びこのめっきパス68が形成されためっきセル52を構成するめっきタンク56の絶縁性の少なくとも1つであるということができる。
本発明者らは、上述したように、陽極64の自溶性電極62の厚みは、累積電気量と比例関係にあることから、累積電気量から電極62の交換時期を自動的に判定することが可能であること、しかしながら、電極62の消費量及び累積通電量は種々のめっき条件によって影響を受けるため、電極62の交換時の累積通電量は、各めっきパス68毎に異なることを知見した。
このため、自溶性電極の交換時期を自動的に判定する本発明の監視システムを構築するために、図2に示す電気めっき鋼板の製造ライン50において錫めっきを行い、通電量計測手段12によって各めっきパス68毎に錫棒製の各自溶性電極62の通電量を測定し、累積通電量算出手段14で各電極62の累積通電量を算出し、従来のゲージ棒による計測に基づく各めっきパス68毎に各電電極62(62a)の交換時の累積通電量を収集した。
その結果を図8に示す。
図8は、各めっきパス68の錫棒製の各電極62への通電量を1秒ごとに集計し、消費した電極62を抜き取った際の、各めっきパス68の累積通電量の実績を示す。なお、図8において、1D〜8D、1U〜8Uの数字は、めっきセルに順番に番号をつけ、Dは、ダウンパス、Uはアップパスを示す。それぞれについて、鋼板51の上面を表面、鋼板51の下面を裏面とした。
また、めっきパス5Dや1Uでは、本チャンスでめっきに使用されていないか、使用を停止しているために、抜取時の累積通電量は表示されていない。
実操業では、このように、全てのセルを同じように使用するわけではなく、各めっきパス68毎に累積通電量が異なっており、めっきパス単位で、各電極62の消費量を監視する必要があることが確認できた。
図8では、各めっきパス68毎に、自溶性電極62の抜取時の累積通電量にバラツキが見られたため、抜取後の電極62の厚みの状態を確認し、抜取が適切な場合、抜取が早い(電極62が適切な厚みより厚い)場合、及び抜取が遅い(電極62が適切な厚みより薄い)場合の3段階で評価し、対応する電極62の抜取時の累積通電量を同様に、抜取が適切な場合、早い場合、及び遅い場合の3段階で評価し、各めっきパスにおいて、抜取が適切な場合を○、抜取が早い場合を×、抜取が遅い場合を▲で示す。
この結果から明らかなように、自溶性電極62の抜取時の厚みの状態で評価することにより、電極62の抜取時の適切な累積通電量の値(閾値)を設定することが可能となることが分かる。即ち、図8において、抜取が早い場合×及び抜取が遅い場合▲が存在しない抜取が適切な場合○のみからなる所定範囲を設定し、その範囲の上限値及び下限値を閾値として、即ち、上限値を自溶性電極62の消費量の自動監視のための累積通電量の第1の閾値、下限値を第2の閾値として設定することができる。
図9に、図8に示すようにして設定された錫棒製の自溶性電極消費量の自動監視設定値を示す。
図9に示すように、各めっきパス毎に、設定値は2つあり、第2の閾値Qth2は、注意(抜取真近であり、抜取準備のタイミング)、第1の閾値Qth1は、警告(即抜取実施、抜取タイミング)を意味しており、各めっきパスごとに適切な値を設定している。なお、図8と同様に、めっきパス5Dや1Uでは、本チャンスでめっきに使用されていないか、使用を停止しているために、閾値データは表示されていない。
以上のようにして設定された第1及び第2の閾値等の設定値が入力手段20によって入力され、閾値設定手段16に設定され、記憶手段24内に格納される。
このようにして、本監視システム10において、第1の閾値Qth1及び第2の閾値Qth2の設定を完了した後、本監視システム10を稼動し、各めっきパスの自溶性電極の所定の期間の通電量、累積通電量、通電時間、累積通電時間を監視する。
本監視システム10では、各めっきパス毎に装入されている陽極64の複数の自溶性電極62の通電量、具体的には累積通電量を監視しており、それらの第1及び第2の閾値Qth1及びQth2を越えた場合には、作業者(オペレータ)に知らせる仕組みとなっている。作業者への知らせ方は種々の方法が適用できるが、例えば、表示ライトなどで、色を変え、オペレータに作業の通知や指示をすることができる。
その一例を以下の表1に示す。
Figure 0005884169
なお、これらの第1及び第2の閾値Qth1及びQth2は、適宜変更が可能であり、現状に最適な閾値を常に設定していくことが可能となっている。
また、最適な閾値Qth1及びQth2を設定するために、抜き取られた自溶性電極62を上述したように評価することを行い、オペレータが、入力手段等を用いて、第1及び第2の閾値Qth1及びQth2を適切な値に更新するようにしても良いし、予め、抜き取られた電極62とこの電極62の抜取時の累積通電量とを対応付けて記憶手段に記憶しておき、対応する抜取電極62の評価結果をオペレータが入力することで、設定値変更手段が、電極62の抜取時の累積通電量と評価結果とに基づいて、第1及び第2の閾値Qth1及びQth2を自動更新するようにしても良い。
なお、この場合にも、上述したように、第1及び第2の閾値Qth1及びQth2として設定する累積通電量を、ライン速度、各めっきパス68毎の電極間距離、無通電時間、及びめっきタンク56の絶縁性等のめっき条件によって、修正するのが好ましいのは言うまでもない。
例えば、ライン速度に関しては、めっきパス68のアップパスでは、めっき液54の持ち上がりによって自溶性電極62が局所的に消費され、ライン速度が増加するにつれて消費量も増加するが、鋼板51によるめっき液54の持ち上がりはライン速度の2乗に比例するため、下記式で表されるライン速度Vによる自溶性電極消費量補正係数の導入を行うことができる。
α=Av + Bv + C
ここで、αは、補正係数、vは、ライン速度、A、B、Cは、設定値である。
上記式中のA、B及びCは、本監視システム10内にて任意に設定できるため、ライン速度による自溶性電極消費量補正係数αは、実操業にあわせて変更することが可能となっている。
上述の通電量、従って、累積通電量に、この補正係数αを乗算することにより、ライン速度による影響を反映することが可能となる。
また、本監視システム10においては、上述した種々のめっき条件の各めっき条件毎に、実操業に即して、通電量及び累積通電量閾値を適切に修正し、かつ、閾値を設定し、更新するので、常に実操業に即した監視を行うことができる。
即ち、本発明においては、このようにして、実操業中に閾値(第1及び第2の閾値Qth1及びQth2)を変更できるようにしているので、常時、実操業に最適な閾値を設定することが可能となる。
その結果、本監視システムを適用することにより、危険性を伴うゲージ棒による錫電極等の自溶性電極の厚さ測定作業を廃止することができ、オペレータの熟練度による抜取時期のバラツキ、例えば、新入社員等の未熟練者における大きなバラツキを無くすことができ、自溶性電極を極限まで使用して消費することができるので、電気めっき鋼板の製造コストを低減させることができ、自溶性電極の交換時期の適正化により、アノードストリーク等の線条痕の発生を防止することができる。
ところで、本監視システム10が適用される電気めっき鋼板の製造ライン50のメンテナンスや故障等によって、稼働していた電気めっき鋼板の製造ライン50が停止された場合、可溶性の陽極64は、図3に示す陽極64の自溶性電極62a〜62jのように、テーパ状を成している。そこで、陽極64の電極62a〜62jが取り外されて、メンテナンス等が行われる。
この後、電気めっき鋼板の製造ライン50が再開される場合、電気めっき鋼板の製造ライン50の停止時の、図3に示す陽極64の自溶性電極62a〜62jの状態と同じ、テーパ状を成す複数の自溶性電極62を各めっきパス68に設置する必要がある。
このため、電気めっき鋼板の製造ライン50には、電極の種類として、通常の厚さを持つ自溶性電極62kのような通常電極のほかに、テーパ状を成す複数の自溶性電極からなるテーパ電極が用いられている。
通常電極は、自溶性電極の厚さが全て等しいのに対し、テーパ電極は、各自溶性電極の厚さが異なっており、規則正しいテーパ形状となった陽極64を構成している。
したがって、テーパ電極では、各自溶性電極ごとに厚さが異なる、すなわち消費量が異なるため、通常電極とは異なる閾値設定が必要となる。
そのため、本監視システム10では、電極の種類によって閾値設定を変更できるようにしている。
ここで、テーパ電極では、累積通電量実績は、図10(A)及び(B)に示すように比例関係を示すことが分かった。
このため、本監視システム10では、以上の結果から、通常電極においては、図11(A)に示すように、逆向きのテーパ状を成す各自溶性電極62の累積通電量に対して、各電極62に対して一定値である第1及び第2の閾値Qth1及びQth2が設定されるのに対し、テーパ電極では、図11(B)に示すように、各電極62の累積通電量は一定値となるので、各電極62毎に閾値Qth1及びQth2を設定する必要があり、これらの閾値Qth1及びQth2は、比例関係となるように設定すればよい。
こうして、電極の種類が、通常電極と異なるテーパ電極に対しても、適切な自溶性電極62の交換時期となる累積通電量の第1及び第2の閾値Qth1及びQth2を設定することができる。
なお、これらの閾値は、実操業中に変更できるのは、上述した通常電極の場合と同様である。
本発明に係る電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システムは、基本的に以上のように構成される。
以下に、本発明に係る電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システムの作用、及び、本発明に係る電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視方法について説明する。
図12は、本発明に係る電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システムの一例を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、ステップS10において、閾値設定手段16によって、図2及び図3に示す電気めっき鋼板の製造ライン50の各めっきパス68毎に、予め、第1及び第2の閾値Qth1及びQth2を設定する。又は、設定値変更手段による第1及び第2の閾値の変更後、閾値設定手段16によって、変更後の第1及び第2の閾値を設定する。その後、必要に応じて、第1及び第2の閾値は、記憶手段24に格納される。
次に、ステップS12において、通電量計測手段12で、各めっきパス68毎に、各自溶性電極62の通電量をする。
次に、ステップS14において、累積通電量算出手段14で、全てのめっきパスについて、各めっきパス68毎に、各電極62に、予め設定された所定厚さの新品として装入時点から通電された累積通電量を各電極62毎に算出する。
次に、ステップS16において、通知手段18の比較・監視手段26において、各めっきパス68の、鋼板51の幅方向の一方の側(図3中左端)にある抜取対象の自溶性電極62aの累積通電量を、予め設定された当該めっきパス68の第2の閾値Qth2と比較して累積通電量が第2の閾値Qth2に達したか否かを監視する。
ここで、電極62aの累積通電量が、第2の閾値Qth2に達していなければ、ステップS12に戻る。
一方、電極62aの累積通電量が、第2の閾値Qth2に達した時点で、ステップS18に移り、通知手段18の表示手段28に、電極62aの抜取タイミングが間近であり、抜取の準備のタイミングであることを表示して通知し、注意すべきことをオペレータに通知する。
次に、ステップS20において、通知手段18の比較・監視手段26において、各めっきパス68の電極62aの累積通電量を、第1の閾値Qth1と比較して累積通電量が第1の閾値Qth1に達したか否かを監視する。
ここで、電極62aの累積通電量が、第1の閾値Qth1に達していなければ、ステップS12に戻る。
一方、電極62aの累積通電量が、第1の閾値Qth1に達した時点で、ステップS22に移り、通知手段18の表示手段28に、電極62aの抜取タイミングであり、即時、抜取を実施すべきであることを表示して通知し、オペレータに警告する。
この後、オペレータが、電極62aを抜き取り、電極62b〜62jを図中左側に移動させ、電極62kを図中右端に装入すると、ステップS24に移り、各ステップの監視対象を電極62bに変更する。
次に、ステップ26において、電気めっきが継続されるか否かが判定され、電気めっき継続であれば、ステップS12に戻り、電気めっきが継続されなけば、監視を終了する。
本発明の電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視方法は、基本的に以上のように行われる。
以上、本発明に係る電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システム及び消費量自動監視方法及について具体的に錫めっきでの実施形態及び実施例を挙げて詳細に説明したが、本発明は以上の実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのはもちろんである。
上述した実施例においては、第1及び第2の閾値を共に用いているが、本発明は抜取タイミングを警告する第1の閾値のみを用いるものであっても良いことはもちろんである。
10 自溶性電極の消費量自動監視システム
12 通電量計測手段
14 累積通電量算出手段
16 閾値設定手段
18 通知手段18
20 入力手段
22 設定値変更手段
24 記憶手段
50 電気めっき鋼板の製造ライン
51 鋼板
52 めっきセル
54 めっき液
56 めっきタンク
58 浸漬ロール
60 搬送ロール
62,62a,62b,62c,62d,62e,62f,62g,62h,62i,62j,62k 自溶性電極
64 陽極(アノード)
66 通電ロール

Claims (7)

  1. パスラインに沿って配置された複数のめっきセル内を連続的に走行する鋼板に対向し所定間隔離間して各めっきセル内に前記鋼板の搬送方向と直交する幅方向に配置される複数の自溶性電極からなる陽極と前記鋼板から成る陰極との間に通電して前記複数の自溶性電極を溶解しながら走行する前記鋼板に連続的に電気めっきを行うと共に、前記陽極となる前記複数の自溶性電極の内の、前記幅方向の一方の側にある予め設定した厚さまで減肉した自溶性電極を抜き取って残りの自溶性電極を前記幅方向の一方の側に順次移動させ、前記幅方向の他方の側に予め設定した厚さの自溶性電極を装入する電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システムであって、
    前記複数のめっきセルについて、各めっきセル内に形成される前記陽極となる前記複数の自溶性電極及び前記陰極となる前記鋼板から成る各めっきパス毎に前記複数の自溶性電極に所定期間通電された通電電気量を計測する通電電気量計測手段と、
    前記複数のめっきセルの全てのめっきパスについて、各めっきパス毎に前記複数の自溶性電極の各自溶性電極について、前記通電電気量計測手段によって計測された通電電気量を装入時点から累積通電量算出時点に至るまで期間に亘って積算することにより、装入時点から通電された累積通電量を算出する累積通電量算出手段と、
    各めっきパスのめっき条件に対して、各めっきパス毎に独立して、予め、前記幅方向の一方の側から抜き取る自溶性電極の累積通電量を、該自溶性電極の抜取のための第1の閾値として設定する設定手段と、
    前記累積通電量算出手段によって算出された、各めっきパスの前記幅方向の一方の側にある自溶性電極の累積通電量を、前記設定手段に設定された当該めっきパスの前記第1の閾値と比較して前記自溶性電極の累積通電量が前記第1の閾値に達するか否かを監視し、前記自溶性電極の累積通電量が前記第1の閾値に達した時点で、前記自溶性電極の抜取を通知する通知手段とを有することを特徴とする電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システム。
  2. 前記設定手段は、各めっきパス毎に、前記幅方向の一方の側から抜き取られる前記自溶性電極の累積通電量が前記第1の閾値に達する前に、前記自溶性電極の抜取時期が近いことを通知するための前記第1の閾値より小さい第2の閾値を設定し、
    前記通知手段は、各めっきパス毎に、前記自溶性電極の抜取を通知する前に、前記自溶性電極の累積通電量が、前記第1の閾値に達する前に前記第2の閾値に達した時点で前記自溶性電極の抜取時期が近いことを通知することを特徴とする請求項1に記載の電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システム。
  3. 前記累積通電量の前記第1の閾値に影響を与える前記めっき条件は、前記鋼板を搬送するライン速度、各めっきパス毎に設定される前記陽極と前記陰極との間に通電を行わない無通電時間、各めっきパス毎の前記鋼板と前記複数の自溶性電極との電極間距離、及び当該めっきパスが形成された前記めっきセルを構成するめっきタンクの絶縁性の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システム。
  4. 前記電気めっき鋼板の製造ラインにおいて、前記複数のめっきセルの各めっきパス毎に、前記陽極として、前記幅方向の前記他方の側から前記一方の側に向かってその厚さが薄くなる複数の自溶性電極からなるテーパ状電極を用いて、前記鋼板の走行を開始してめっき鋼板の製造開始する際に、
    前記設定手段は、各めっきパスの各自溶性電極毎に、各自溶性電極の厚さに応じて前記第1の閾値を設定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システム。
  5. 前記複数のめっきパスは、各めっきセル内において、前記鋼板が下降方向に搬送されるダウンパスと、下降した前記鋼板が上昇方向に搬送されるアップパスとからなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視システム。
  6. パスラインに沿って配置された複数のめっきセル内を連続的に走行する鋼板に対向し所定間隔離間して各めっきセル内に前記鋼板の搬送方向と直交する幅方向に配置される複数の自溶性電極からなる陽極と前記鋼板から成る陰極との間に通電して前記複数の自溶性電極を溶解しながら走行する前記鋼板に連続的に電気めっきを行うと共に、前記陽極となる前記複数の自溶性電極の内の、前記幅方向の一方の側にある予め設定した厚さまで減肉した自溶性電極を抜き取って残りの自溶性電極を前記幅方向の一方の側に順次移動させ、前記幅方向の他方の側に予め設定した厚さの自溶性電極を装入する電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視方法であって、
    前記複数のめっきセルについて、各めっきセル内に形成される前記陽極となる前記複数の自溶性電極及び前記陰極となる前記鋼板から成る各めっきパスのめっき条件に対し、予め、各めっきパス毎に独立して、前記幅方向の一方の側から抜き取る自溶性電極の累積通電量を、該自溶性電極の抜取のための第1の閾値として設定しておき、
    各めっきパス毎に、前記複数の自溶性電極に所定期間通電された通電電気量を計測し、
    前記複数のめっきセルの全てのめっきパスについて、各めっきパス毎に前記複数の自溶性電極の各自溶性電極について、前記通電電気量計測手段によって計測された前記所定期間の通電電気量を装入時点から累積通電量算出時点に至るまで期間に亘って積算することにより、装入時点から通電された累積通電量を算出し、
    各めっきパスの前記幅方向の一方の側にある自溶性電極の累積通電量を、予め設定された当該めっきパスの前記第1の閾値と比較して前記自溶性電極の累積通電量が前記第1の閾値に達するか否かを監視し、
    前記自溶性電極の累積通電量が前記第1の閾値に達した時点で、前記自溶性電極の抜取を通知することを特徴とする電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視方法。
  7. 前記複数のめっきパスは、各めっきセル内において、前記鋼板が下降方向に搬送されるダウンパスと、下降した前記鋼板が上昇方向に搬送されるアップパスとからなる請求項6に記載の電気めっき鋼板の製造ラインの自溶性電極の消費量自動監視方法。
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