JP5883226B2 - 一重項酸素消去剤 - Google Patents
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Description
この腐植土の水抽出物製造法に関する技術が知られている(特許文献4及び特許文献5参照)。
また、腐植土抽出液の皮膚化粧料への配合について検討がなされており(例えば特許文献6)、その他に腐植土抽出物中に含まれるフルボ酸を抗炎症剤とて利用する技術も開示されている(例えば特許文献7)。しかしながら腐植土水抽出物が一重項酸素消去効果を有することに関してはこれまで開示されていなかった。
本発明で使用する腐植土抽出物の腐植土は、産地、状態を問わずいずれのものも使用することができる。具体的には、この腐植土として、例えば、森林、河川、湖沼、海洋などを起源とするものを使用することが可能であり、この腐植土とは、そこで生息していた地上植物、大型・微細藻類などの植物(広義)などやこれを含む堆積物が、嫌気性微生物などにより分解、合成、有機化を受けたものである。このうち、海洋でできた堆積物を起源とする腐植土、より好ましくは海洋でできた堆積物が隆起してなったような日本列島由来の腐植土であり、更に九州由来の腐植土が好ましい。
この腐植土の腐植の程度も特に限定されないが、腐植が進行し、高分子有機化合物であるフルボ酸やフミン酸が含まれるものが好ましい。
斯様にして得られた腐植土抽出物は、必要に応じて、希釈、濃縮や乾燥を行ったり、また不純物除去等のため分離や精製等を行ってもよい。
前記腐植土抽出物の形態としては、特に限定されず、例えば、固体状、半固体状や液状が挙げられる。具体的には、例えば、溶液、懸濁液、濃縮液、エマルジョン、スラリー、粉末、顆粒及び固形などの状態が挙げられる。
また、前記分離手段としては、特に限定されないが、例えば、ろ過分離手段や遠心分離手段などが挙げられる。これらを単独で又は組み合わせて使用してもよい。
ろ過分離手段としては、自然ろ過、減圧ろ過及び加圧ろ過などが挙げられる。このとき、セルロースフィルター、ガラス繊維フィルター、メンブランフィルターなどのろ材を用い、必要に応じてセライト、砂利及び活性炭などのろ過助剤を用いる。孔径は特に限定されないが、例えば0.1〜1μmが好適である。これらを適宜組み合わせてもよい。
また、抽出に先立って行う腐植土の乾燥や前処理の有無及び方法に特に限定はなく、また腐植土と溶媒との割合、抽出時間などといった抽出手段に特に限定はない。
前記アルコール類のうち、例えば、エタノール及び1,3−ブチレングリコールなどの炭素数1〜5の低級アルコール類が好ましく、このうち低級一価アルコール類が好ましく、このうち更にエタノールが好ましい。
このときの腐植土と抽出溶媒との混合攪拌は、特に限定されないが、例えば、0.5〜48時間程度行えばよい。これにより腐植土と抽出溶媒が接触し、有効成分を抽出しやすくなる。また、連続又は不連続に混合攪拌を行えばよい。
例えば、混合撹拌した後、更に一定期間混合攪拌する若しくは一定期間混合攪拌後放置するか、又は放置して熟成させるのが、抽出効率の点で、好適である。混合攪拌後に放置することで腐植土が沈降し、分離の際に有利であるため、好ましい。
例えば、前記抽出期間内(例えば1日〜3年間)、連続又は不連続に混合攪拌を行う;1〜24時間混合攪拌後、1〜60日間(好適には20〜40日間)放置する;1〜24時間混合攪拌後、引き続き1〜20日間(好適には3〜9日間)混合攪拌した後、1日〜3年間(好適には6ヶ月〜2年間)放置するなどが挙げられる。
ここで、フミン質(腐植質)とは、例えば、植物成分などが土壌中に分解、縮合して生成する高分子物質を指す。ここで、フミン質は、鉱泉試験法の腐植質測定法記載の方法で測定した場合の値である。
前記腐植土抽出物には、固形分濃度0.5質量%水溶液換算したときに、フルボ酸が、好ましくは1〜20mg/L、より好ましくは5〜15mg/L、更に好ましくは5〜13mg/L、より更に好ましくは8〜13mg/L含まれているのが好適である。
このときのフミン酸:フルボ酸の混合割合は、特に限定されないが、好ましくは1:10〜10:1とするのが好適である。
また、フルボ酸とは、植物などが微生物により分解される最終生成物である腐植物質のうち、酸によって沈殿しない無定形高分子有機酸を指すものであり、重金属などを吸着、放出するキレート作用をもつものである。
また、フミン酸及びフルボ酸の定量方法は、「Soil Science Plant Nutrition, 38巻, 23−30頁(Kuwatsuka A et al. 1992); Soil Science Plant Nutrition, 40巻, 601−608頁(Watanabe A. et al. 1994);Humic Substances Reseacrh, 1巻, 18−28頁(Watanabe A. et al. 2004)」等の参考文献に従って行えばよい。
前記pH調整剤としては、通常使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸などの無機酸類;クエン酸、酢酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、尿素、ε−アミノカプロン酸、ピロリドンカルボン酸などの有機酸類;グリシンベタイン、リジンベタインなどのベタイン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物(アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物など)などの無機アルカリ類;グアニジン、2−アミノ−2−メチルプロパンなどの有機アミン類;アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン;アルギニン、リジンなどの塩基性アミノ酸など、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
従って、前記腐植土抽出物は、一重項酸素消去や皮膚の老化、皮膚の黒化及び皮膚の損傷等を防止するなどのための、化粧料、皮膚外用剤、食品及び医薬品などに配合するための素材又は製剤として有用である。
前記化粧料や前記皮膚外用剤の使用形態は、例えば、乳液、クリーム、化粧水、美容液、パック、洗浄料、メーキャップ化粧料、育毛料、シャンプー、コンディショナーなどの化粧料;また、分散液、軟膏、液剤、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤などの皮膚外用剤(外用医薬品)であってもよい。
また、前記製剤のpH(25℃)は、好ましくは、酸性〜中性領域であり、より好ましくは2〜7、更に好ましくは3〜7とするのが、効用の点で好適である。このようなpHにて肌に使用するのが、好適である。
地中(九州地方海岸付近土壌)から採取した腐食土壌を乾燥させた後、微粉砕した。この粉砕物5kgと、精製水20リットルを2時間混合攪拌し、更に常温(10〜30℃程度)で7日間撹拌し、20日間静置した。静置後、メンブランフィルター(孔径0.45μm)を用いてろ過し、腐植土抽出物(原液)を得た。このときのpH(20℃)は3.0であった。また、この乾燥固形分(固形分濃度)は0.4%であった。
この原液に含まれるフミン質の総量は520mg/L(乾燥固形分5g/水1Lの水溶液換算としたとき、650mg/L)であり、フミン酸及びフルボ酸の含有量は、それぞれ6mg/L及び10mg/L(乾燥固形分5g/水1Lの水溶液換算としたとき、それぞれ7.5mg/L及び12.5mg/L)であった。この水溶液を、製造例1の腐植土抽出物とした。
地中(長崎県水田)から採取した腐食土壌を乾燥させた後、微粉砕した。この粉砕物5kgと、20%(v/v)エタノール含有のエタノール水溶液20リットルを2時間混合攪拌し、更に冷暗所(4℃程度)にて20日静置して、熟成させた。静置後、メンブランフィルター(孔径0.3μm)を用いてろ過し、腐食土抽出物(原液)を得た。このときのpH(20℃)は2.6であった。また、この乾燥固形分(固形分濃度)は0.5%であった。
この原液に含まれるフミン質の総量は350mg/L(乾燥固形分5g/水1Lの水溶液換算としたとき、350mg/L)、フミン酸及びフルボ酸の含有率は、それぞれ5mg/L及び8.5mg/L(乾燥固形分5g/水1Lの水溶液換算としたとき、それぞれ5mg/L及び8.5mg/L)であった。この水溶液を、製造例2の腐植土抽出物とした。
製造例2の腐植土抽出物について、一重項酸素消去率を以下の様に測定した。一重項酸素検出装置は、特許第3356517号公報に記載の装置を用いた。フローセル中には、ローズベンガル50μM含有水溶液を20ml/分の速度で循環させた。このセルに、ローズベンガルの吸収波長である514.5nmの波長のレーザー光を照射すると、一重項酸素の遷移に伴う発光が観察され、その発光ピークは波長1268nmであった。溶媒のみの波長1268nmでの発光強度(I0)を測定し、製造例2の腐植土抽出物を各濃度で添加した場合の波長1268nmでの発光強度(I)を測定し、下記式から一重項酸素消去率(E)を算出した。なお、比較例として一般的な活性酸素消去剤として知られるジブチルヒドロキシトルエン(以下BHTと記載する)を用いた。
(E)=(I0−I)/I0×100
比較例であるBHTは難水溶性であるため、ローズベンガル50μM含有水溶液に代えてローズベンガル20μM含有エタノール溶液を用いて試験した。なお、エタノール溶媒の場合に水溶媒よりもローズベンガル濃度を低く設定している理由は、エタノール中では水中と比較して一重項酸素の遷移に伴う1268nmの発光強度が強いためである。
(成分) (質量%)
1 グリセリン 5
2 1,3−ブチレングリコール 5
3 乳酸 0.05
4 乳酸ナトリウム 0.1
5 モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.2
6 エチルアルコール 8
7 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
8 香料 0.05
9 製造例2の腐植土抽出物 10
10 精製水 残量
A:成分5〜8を混合溶解する。
B:成分1〜4及び9〜10を混合溶解する。
C:BにAを添加混合し、化粧水を得た。
(成分) (質量%)
1 モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1
2 トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.5
3 グリセリルモノステアレート 1
4 ステアリン酸 0.5
5 ベヘニルアルコール 0.5
6 スクワラン 8
7 カルボキシビニルポリマー 0.1
8 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9 水酸化ナトリウム 0.05
10 エタノール 5
11 製造例1の腐植土抽出物 1
12 精製水 残量
13 香料 0.05
A:成分12に成分7〜9を加えて70℃で均一に混合する。
B:成分1〜6を70℃で均一に混合する。
C:AにBを加えて乳化し、室温まで冷却する。
D:成分10、11、13をそれぞれ加えて均一に混合し、乳液を得た。
(成分) (質量%)
1 アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合(注2) 0.5
2 トリエタノールアミン 1.5
3 精製水 残量
4 グリセリン 5
5 パラオキシ安息香酸エチル 0.1
6 1,3ブチレングリコール 5
7 水素添加大豆リン脂質 0.5
8 酸化チタン 5
9 ベンガラ 0.1
10 黄酸化鉄 1
11 黒酸化鉄 0.05
12 ステアリン酸 0.9
13 モノステアリン酸グリセリン 0.3
14 セトステアリルアルコール 0.4
15 モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
16 トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
17 パラメトキシケイ皮酸2―エチルヘキシル 5
18 製造例2の腐植土抽出物 0.02
19 香料 0.02
(注2)ペミュレンTR−2(NOVEON社製)
A:成分6〜11を分散する。
B:Aに成分12〜17を加え70℃で均一に混合する。
C:成分1〜5を70℃で均一に混合する。
D:CにBを加え乳化し、室温まで冷却する。
E:Dに成分18、19を添加し均一に混合して水中油型クリーム状リキッドファンデーションを得た。
(成分) (質量%)
1 モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
2 ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 0.1
3 精製水 残量
4 製造例1の腐植土抽出物 0.1
5 ジプロピレングリコール 10
6 硫酸マグネシウム 0.5
7 シリコーン化合物(注3) 3
8 デカメチルシクロペンタシロキサン 20
9 イソノナン酸イソトリデシル 5
10 パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 8
11 ジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト 1.2
(注3)KF−6028(信越化学工業社製)
A:成分1〜6を均一に分散する。
B:成分7〜11を均一に分散する。
C:Bを攪拌しながら徐々にAを加えて乳化し、油中水型クリーム状日焼け止め化粧料を得た。
(成分) (質量%)
1 ステアリン酸 18
2 セタノール 4
3 酢酸DL−α―トコフェロール(注4) 0.2
4 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
5 トリエタノールアミン 2
6 グリセリン 5
7 精製水 残量
8 製造例1の腐植土抽出物 15
9 エタノール 9
(注4)エーザイ社製
A.成分4〜7を加熱混合し、75℃に保つ。
B.成分1〜3を加熱混合し、75℃に保つ。
C.AにBを徐々に加えて攪拌し、これを冷却しながら成分8、9を加えて混合し、軟膏剤を得た。
(成分) (質量%)
1 ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタンモノラウリン酸エステル1.2
2 エタノール 5
3 パラオキシ安息香酸メチル 0.2
4 グリセリン 5
5 1,3−ブチレングリコール 6.5
6 製造例2の腐植土抽出物 20
7 アラントイン(注5) 0.2
8 精製水 残量
(注5)メルク社製
A.成分1〜3を混合溶解する。
B.成分4〜8を混合溶解する。
C.AとBを混合して均一にし、ローション剤を得た。
(成分) (質量%)
1 ポリビニルアルコール 15
2 グリセリン 10
3 ポリオキシエチレンメチルグルコシド 3
4 トリオクタン酸グリセリル 5
5 ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム 1
6 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
7 エタノール 20
8 カオリン 2
9 酸化チタン 2
10 乳酸(50%水溶液) 0.5
11 乳酸ナトリウム(50%水溶液) 0.5
12 香料 0.1
13 製造例2の腐植土抽出物 1
14 精製水 残量
A.成分1〜6及び14を70℃で加熱混合し、室温まで冷却する。
B.Aに成分7〜13を添加混合してパック化粧料を得た。
Claims (4)
- 腐植土抽出物を有効成分とする一重項酸素消去剤(但し、老化防止用途、抗アクネ用途、脂質、たんぱく質、ビタミンである薬剤の保存用途を除く)。
- 前記腐植土抽出物が、水及びアルコール類から選ばれる1種以上のもので抽出して得られるものである請求項1に記載の一重項酸素消去剤。
- 前記腐植土抽出物の固形分濃度0.5質量%水溶液としたときにフミン質を100mg/L以上含有する請求項1または2に記載の一重項酸素消去剤。
- 前記腐植土抽出物の含有量が、固形分濃度として0.0001〜0.1質量%である請求項1〜3の何れか1項に記載の一重項酸素消去剤。
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