この発明の一実施例である多層射出成形品10は、たとえば図1および図2に示す分岐管継手12であり、内層14および外層16を備え、内側からこの順に積層された2層構造を有している。
図1および図2に示すように、分岐管継手12は、たとえば建物の雨水排水、雑排水、高温排水、上下水道等の用途に適用されるものであり、3方向へ向けて受口18が形成されたチーズ形状に形成される。具体的には、分岐管継手12は、それぞれの軸線が互いに一致する受口18aおよび18bならびにその軸線が受口18aおよび18bの軸線と直交する受口18cを有している。
内層14は、硬質塩化ビニル樹脂のような合成樹脂の射出成形によって形成され、その厚みは、たとえば3mm−5mmである。なお、この明細書においては、硬質塩化ビニル樹脂のガラス転移温度(またはビカット軟化点温度)を約76〜87℃とし、融点(熱分解温度)を約185〜200℃としている。
内層14は、分岐管継手12の各受口18a,18b,18cに対応する部分に、開口端20a,20b,20cを有している。
以下、受口18を配置位置などに応じて区別する場合には18に添え字a〜cを付した18a、18b、18cなどを用い、これらを包括して表現する場合には18を用いる。また、内層14の開口端20を配置位置などに応じて区別する場合には20に添え字a〜cを付した20a、20b、20cなどを用い、これらを包括して表現する場合には20を用いる。
図3に示すように、この開口端20の内面には、凹部22が形成されている。たとえば、この実施例では、凹部22は、奥側から先端側へ向かって低くなるように凹状に窪んだ窪みである。凹部22とそれよりも奥側との間(境界部分)には、段差形状が形成されており、この段差の高さは、たとえば1.2mmである。また、この段差には、分岐管継手12の受口18に他の管を挿入し易くするためのテーパ面24が形成されている。ただし、テーパ面24は、なくすことも可能である。
図1および図2に戻って、外層16は、後述する射出成形方法によって内層14の外側に積層され、その厚み寸法は、分岐管継手12の呼び径に関わらず0.8mm−3mmである。具体的には、詳細は後述する、成形用金型52の第2キャビティ78にくまなく外層16用の溶融樹脂を充填できるように、外層16の厚み寸法は0.8mm以上(たとえば、この実施例では、1mm程度)に設定される。また、分岐管継手12の受口18cの基端部など分岐部分の奥まった箇所において、外層16の厚み寸法は3mm程度に設定しており、これによって、成形用金型52の製作をラフに行うことができるように(つまり、寸法公差にあまり影響を受けずに成形用金型52を製作できるように)なる。ただし、図面上では、図解のために、外層16の厚みを実際よりも大きく図示していることに留意されたい。以下、同様である。
外層16の構成材料は、ASA(アクリロニトリル・スチレン・アクリル)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレンプロピレン・スチレン)樹脂、SAS(シリコン・アクリロニトリル・スチレン)樹脂等の耐候性に優れた熱可塑性樹脂や、着色によって意匠性を高めた塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂であるが、ここではASA樹脂の実施例を示す。たとえば、ASA樹脂としては、UMGABS株式会社製のS411Aなどの高流動性のものを利用すると好適である。なお、ASA樹脂は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂のブタジエンゴムをアクリルゴムへ変更した樹脂材料であるので、この明細書においては、ASA樹脂のガラス転移温度や融点をABS樹脂とほぼ同等と擬制しており、ASA樹脂のガラス転移温度を約120℃、融点を約400℃としている。
外層16は、内層14の外面と開口端20の端面とに亘る範囲を被覆している。具体的には、外層16は、内層14の外面の全体を被覆するとともに、先端部が逆L字形に屈曲しており、そこが被覆部26となって内層14の開口端20の端面を被覆している。すなわち、図3に示すように、外層16は、分岐管継手12の各受口18に対応する部分に逆L字形の被覆部26を有しており、その被覆部26によって内層14の外面と開口端20の端面とを被覆している。
このような分岐管継手12は、たとえば、先に単独で射出成形された一次成形物(つまり、内層)14に対して、さらに外層16を射出成形することによって製造される。図4に示すように、射出成形の製造ライン中には、たとえば、射出成形機50、成形用金型52、ならびに型締装置54が組み込まれる。
射出成形機50は、従来公知のものを使用することができるので、その詳細な説明は省略する。簡単に言えば、射出成形機50は、樹脂を溶融させて成形用金型52に供給するためのものであり、図4に示すように、たとえばペレット状の樹脂材料を投入するためのホッパ(材料投入口)54、ホッパ54に投入された樹脂材料を溶融させるためのシリンダ(加熱筒)56、シリンダ56を加熱するヒータ58、シリンダ56内で溶融された樹脂を混練しかつ圧力をかけて押し出すスクリュ60、シリンダ56の先端に設けられるノズル62を含んでいる。
成形用金型52は、第1金型66およびコア68を含み、第1金型66とコア68とを組み合わせることによって、図5および図7に示すように、内層14を成形するための第1キャビティ70およびゲート72が形成される。
第1金型66は、型締装置54(図4参照)によって開閉される第1型および第2型を含む。第1金型66には、ゲート72の外周面を構成するための孔や溝74が形成される。また、図示は省略するが、第1金型66には、射出成形機50から供給された溶融樹脂をゲート72に導くための樹脂経路(スプル)が形成される。そして、この樹脂経路を介して、射出成形機50から供給された(取り込まれた)溶融樹脂が、ゲート72から第1キャビティ70内に充填される。
一方、コア68は、図示しない駆動装置によって軸方向に移動される第1部分68a、第2部分68b、および第3部分68cを含む。そして、コア68の第1部分68aと第2部分68bと第3部分68cとを突き合わせた状態で、第1金型66を閉じることによって、第1キャビティ70が構成される。
また、成形用金型52は、図6および図8に示すように、第2金型76をさらに含み、第2金型76の内部には、コア68を挿入した状態の内層14が配置される。そして、この第2金型76とコア68を挿入した状態の内層14とを組み合わせることによって、内層14の外側に外層16を成形するための第2キャビティ78およびゲート80が形成される。
第2金型76は、型締装置54(図4参照)によって開閉される第3型および第4型を含む。第2金型76には、ゲート80の外周面を構成するための孔や溝82が形成される。第2金型76は、図5および図7に示す第1金型66よりも所定の寸法(この実施例では、1mm程度)大きいサイズに設定され、さらに、第2金型76には、内層14の開口端20a,20b,20cに対応する位置に、被覆部26に対応した形状の空隙84が設けられる。また、図示は省略するが、第2金型76には、射出成形機50から供給された溶融樹脂をゲート80に導くための樹脂経路(スプル)が形成される。そして、この樹脂経路を介して、射出成形機50から供給された(取り込まれた)溶融樹脂が、ゲート80から第2キャビティ78内に充填される。
図4−図8を参照して、分岐管継手12を製造する方法を以下に示す。
先ず、図5(a)および図7(a)に示すように、第1金型66の内部にコア68を配置することによって、第1キャビティ70およびゲート72を構成する。
そして、射出成形機50のノズル64を第1金型66の樹脂経路(図示せず)に接続し、射出成形機50のスクリュ62を前進させることにより、溶融された硬質塩化ビニル樹脂(以下、第1樹脂)に圧力をかけて射出する。すると、図5(b)および図7(b)に示すように、樹脂経路およびゲート72を通して、第1キャビティ70内に第1樹脂が充填される。第1キャビティ70内に第1樹脂を充填した後は、たとえば第1金型66内を巡回する水等(図示せず)によって第1樹脂を所定時間冷却する。すると、第1キャビティ70内に射出した第1樹脂が硬化し、第1キャビティ70内には、1次成形品(つまり、内層)14が成形される。
それから、第1金型66を開く。すなわち、型締装置54によって第1型および第2型を互いに引き離して、1次成形品14をコア68を挿入した状態のまま取り出す。そして、その1次成形品14から、ゲート72や樹脂経路に相当する位置にできた不要なゲート部分を除去する。
次に、図6(a)および図8(a)に示すように、ゲート部分を除去した1次成形品14を、コア68を挿入した状態のまま、所定温度に保持した第2金型76内に移動させて、第2キャビティ78およびゲート80を構成する。このとき、第2金型76を、内層14を形成する硬質塩化ビニル樹脂のガラス転移温度である76℃より低い所定温度、この実施例では、70℃程度に保持しておく。
なお、コア68を挿入した状態の1次成形品14を、第1金型66から第2金型76まで移動させる方法としては、ロータリーテーブルによって第1金型66および第2金型76を移動させる方法や、コア68を挿入した状態の1次成形品14をリニアテーブルやロボット等によって移動させる方法が考えられるが、この発明の要旨ではないため、詳細は省略する。
続いて、上述と同じ要領で、射出成形機50のノズル64を第2金型76の樹脂経路(図示せず)に接続し、射出成形機50のスクリュ62を前進させることにより、溶融されたASA樹脂(第2樹脂)に圧力をかけて射出する。なお、このとき、射出成形機50のシリンダ56内の温度はヒータ60により約230−270℃に保持しているので、シリンダ56内で溶融された第2樹脂は、1次成形品14を構成する硬質塩化ビニル樹脂の融点よりも高い温度にした状態で射出されることとなる。
それから、図6(b)および図8(b)に示すように、樹脂経路およびゲート80を通して、第2キャビティ78内に第2樹脂が充填される。このとき、第2樹脂が1次成形品14の表面に接触することで、1次成形品14の表面の温度は上昇して第2樹脂との接触部分が軟化し、さらにそこに第2樹脂の射出圧力が加わることにより、1次成形品14の表面は第2樹脂と融着して一体化される。
そして、第2キャビティ78内に第2樹脂を充填した後、第2金型76内を巡回する水等(図示せず)によって第2樹脂を所定時間冷却する。冷却後、第2樹脂が硬化すると、第2キャビティ78内には、1次成形品14と融着して一体化された外層16が成形される。
それから、第2金型76を開く。すなわち、型締装置54によって第3型および第4型を互いに引き離すとともに、コア68を抜いて、成形品を取り出す。そして、その成形品から、ゲート80や樹脂経路に相当する位置にできた不要なゲート部分を除去することにより、分岐管継手12の製造が完了する。
以上のように、この実施例では、分岐管継手12の各受口18に対応する部分において、内層14の開口端20の端面が外層14(の被覆部26)によって被覆されており、通常であれば分岐管継手12の各受口18の開口端面に臨む内層14と外層16との境界部分が、内層14の内面側に露出する。すなわち、本来視認されてしまうはずの内層14と外層16との境界部分を内層14の内面側で露出させることによって、視認し難くすることが可能であるので、射出成形品10の外観が見苦しくならず、しかも分岐管継手12の各受口18の開口端面が単一色となることにより、優れた美感を表現できる。
さらに、内層14と外層16との境界部分が各受口18の開口端面や外面で露出しないので、その境界部分からの内層14と外層16との分離(剥離)も生じにくくなるため、内層14と外層16とを密着させた状態を安定的に保つことができる。
したがって、この実施例によれば、内層14と外層16との密着性が高く、しかも製品の美感に優れた多層射出成形品10を実現できる。
特に、この実施例では、第1樹脂を射出成形して形成した内層14に対して、先に射出成形した第1樹脂よりも融点の高い第2樹脂を第1樹脂の融点よりも高い温度にした状態で射出成形することにより、内層14と外層16とが融着して一体化しているので、内層14と外層16との密着性が向上するものの、その分だけ内層14と外層16との境界部分の外観が見苦しくなると言えるが、この実施例のように、内層14と外層16との境界部分を内層14の内面側で露出させて、内層14と外層16との境界部分を見えにくくしたことにより、射出成形品10の美感を損なうことなく、内層14と外層16との密着性を向上させることが可能になる。
また、この実施例では、成形のたびに成形品からゲート部分を除去するようにしているので、ホットランナなどの樹脂を常に溶融状態に保つ設備が不要である。すなわち、多層射出成形品10を成形するための専用の設備(金型や射出成形機等)がなくても、既存の設備を利用して成形することができるので、コストを抑制することができる。
ここで、特許文献1のように、二層成形品をダイスライド成形によって成形する場合には、ホットランナなどを用いて溶融した樹脂を均一な加熱状態で金型(ダイ)に導くようにすることが一般的である。よって、樹脂材料がたとえば塩化ビニル系樹脂である場合などには、ホットランナの加熱によって塩化ビニル系樹脂が分解し変質することにより、塩素等のガスが発生する等の不具合が生じてしまう。つまり、樹脂組成物の選択肢が限定されてしまう。
しかしながら、この実施例によれば、ホットランナなどの設備を使用しないので、樹脂材料が塩化ビニル系樹脂である場合などにも不具合が生じない。つまり、樹脂材料の種類に依らず多層射出成形品10を製造することが可能になる。
しかも、単層の成形品においては内面側に樹脂のヒケが発生することや、冷却不均一による反りが発生する懸念から、その大きさや形状に制約を受けてしまうが、この実施例のように、内層14と外層16とを別個に成形した多層射出成形品10においては、そのような懸念がないので、大きさや形状に制約を受けることがなく多層射出成形品10を製造することが可能である。
さらにまた、この実施例では、内層14の開口端20の内面側に、奥側から先端側へ向かって低くした形状の凹部22が形成される。このため、外層16を成形する際に、内層14とコア68との隙間に樹脂が流れ出ても、その樹脂を凹部22とそれよりも奥側との間の段差で堰き止めて凹部22内で保持することができる。すなわち、内層14とコア68との隙間に流れ出た樹脂が凹部22よりも奥側に達することを防止できるので、受口18の内面よりも内側(内径側)にバリが発生することがなくなるまたは低減され、バリに起因する分岐管継手12の受口18と他の管との接着接合の不具合も回避することができる。
さらに、この実施例では、第2金型76の温度を内層14を形成する樹脂材料のガラス転移温度より低い温度に保持した状態で、外層16の射出成形を行うようにしたため、外層16を成形している最中に、内層14が第2金型76の熱によって軟化してしまう可能性が極めて小さくなるので、第2金型76から成形品を取り出した後で、内層14が重力やその他の外力で変形することを可及的低減させることが可能になる。
また、金型の温度を比較的高い温度に保持した状態で射出成形を行うと、溶融樹脂の充填中の温度低下を抑えることができるので、溶融樹脂の流動性が高まって薄肉や複雑形状であっても成形し易くなるものの、金型から取り出した後の成形品の収縮変形が大きくなってしまうので、成形品がたとえばチーズ形状やサドル形状等のような肉厚が均一でない(つまり、肉厚が異なる部位が存在する)形状である場合には、金型から取り出した後で、成形品に部分的な反りや受口の楕円化などの不具合が生じる恐れがある。
しかしながら、この実施例によれば、第2金型76を、内層14を形成する合成樹脂材料のガラス転移温度以下の温度、つまり比較的低い温度に保持した状態で射出成形を行うようにしたため、その分だけ第2金型76から取り出した成形品の収縮変形を抑えることができるようになる。しかも、成形品の冷却時間を短縮できるので、成形サイクルを短縮できるようになり、生産性も向上される。
さらにまた、この実施例のように、内層14の樹脂材料としてガラス転移温度が低くかつ流動性の悪い硬質塩化ビニル樹脂を用いた場合であっても、第2金型76内に配置された内層14がウェルドラインで分離してしまうことを可及的低減させることが可能になる。
ただし、必ずしも第2金型76を内層14を構成する硬質塩化ビニル樹脂のガラス転移温度より低い温度に保持する必要はない。実際には、外層16を成形する工程は短時間であるので、第2金型76の温度が厳密に硬質塩化ビニル樹脂のガラス転移温度よりも低い温度である必要はなく、硬質塩化ビニル樹脂のガラス転移温度に比較的近い温度であれば、ガラス転移温度を多少超える温度であってもよい。しかしながら、上述したように、第2金型76を、内層14を形成する樹脂材料のガラス転移温度より低い温度に保持しておくと、内層14が第2金型76の熱によって軟化してしまう可能性が極めて小さくなるので、好適である。さらに、外層16は薄肉であるので、第2金型76の温度は高いほうが第2樹脂の流動性が高まって成形し易くなることも考慮すると、第2金型76を、内層14を形成する樹脂材料のガラス転移温度より低い温度であってかつ可及的高い温度に保持しておくと、より好適である。
また、この実施例では、第1樹脂を射出成形して形成した内層14に対して、先に射出成形した第1樹脂よりも融点の高い第2樹脂を第1樹脂の融点よりも高い温度にした状態で射出成形することによって、内層14と外層16とが融着して一体化させたが、必ずしも第2樹脂を第1樹脂の融点よりも高い温度にした状態で射出成形する必要はない。たとえば、第2樹脂を第1樹脂の融点よりも低い温度にした状態で射出成形すると、内層14と外層16とが融着して一体化することはないが、その分内層14と外層16とを分離し易くなるので、射出成形品10をリサイクルするときなどに、樹脂材料ごとで分別し易くなるというメリットがある。
さらに、図示は省略するが、コア68を、コア68の外形(外表面)を構成する5mm程度の厚みのキャップ部分と、キャップ部分内に挿入するコア部分とに分割可能に形成するようにしてもよい。
このようにすれば、コア68の重量が軽くなるので、1次成形品(つまり、内層)14をコア68を挿入した状態のまま第2金型76内に移動させる際に、搬送が容易に行える。すなわち、内層14と外層16とを異なる射出成形機を使用して成形する場合などにも、射出成形機間の搬送が容易に行える。
さらに、安価になることで大量に保有できるので、成形後の1次成形品(つまり、内層)14をコア68のキャップ部分のみを挿入した状態のまま保管しておき、後で外層16を成形する際に、再度コア部分をキャップ部分に挿入するようにしてもよい。こうすることにより、1次成形品14の外側に、用途に応じて添加剤や着色料を添加した外層16を適宜積層することも可能になる。
なお、コア68のキャップ部分をポリフェニレンサルファイド樹脂等のエンジニアリングプラスチックやポリアセタール樹脂で製造するようにすると、大量生産するのに好都合であり、金属で製造した場合と比較して更なる軽量化を実現できる。また、成形品からコア68を抜き取る際にも傷が生じにくい。
また、この発明の他の一実施例である多層射出成形品10は、たとえば図1および図2に示す分岐管継手12であるが、図5−図8の実施例における成形方法とは異なる成形方法によって製造される。以下、先の実施例と同様の部分については、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
分岐管継手12は、たとえば、先に単独で射出成形された一次成形物(つまり、内層)14に対して、さらに外層16を射出成形することによって製造される。図4に示すように、射出成形の製造ライン中には、たとえば、射出成形機50、成形用金型52、ならびに型締装置54が組み込まれる。
成形用金型52は、図9(a)に示すように、第3金型86および第1コア88を含み、第3金型86と第1コア88とを組み合わせることによって、内層14を成形するための第3キャビティ90が形成される。
また、成形用金型52は、図10(a)に示すように、第4金型92および第2コア94をさらに含み、第4金型92と第2コア94とを組み合わせることによって、内層14の外側に外層16を成形するための第4キャビティ96が形成される。
図9(a)および図10(a)に示すように、第1コア88は、内層14から第1コア88を抜いた後に当該内層14が収縮することを考慮して、第2コア94よりも全体的に所定の寸法大きいサイズに設定されている。具体的には、第1コア88の径が第2コア94よりも所定寸法大きくなる値に設定されている。この所定の寸法は、内層14を構成する樹脂材料によって異なるが、内層14を構成する樹脂材料が硬質塩化ビニル樹脂の場合には、その内層14の内径の約0.002〜0.004倍程度に設定するとよい。さらに、第1コア88は、分岐管継手12の各受口18に対応する部分において、第2コア94を挿入するときの挿入し易さを考慮して、奥側から先端側にかけて下り勾配をつけた形状に形成されている。この理由は、収縮後も内層14に抜き勾配が残るようにすることで、内層14に第2コア94を挿入するときに、内層14の内面に擦り傷等ができることがなくなるからである。
図4、図9および図10を参照して、分岐管継手12を製造する方法を以下に示す。
先ず、図9(a)に示すように、第1コア88と第3金型86とを組み合わせることによって、第3キャビティ90およびゲート(図示せず)を構成する。
そして、射出成形機50のノズル64を第3金型86の樹脂経路(図示せず)に接続し、射出成形機50のスクリュ62を前進させることにより、溶融された硬質塩化ビニル樹脂(以下、第1樹脂)に圧力をかけて射出する。すると、図9(b)に示すように、樹脂経路およびゲートを通して、第3キャビティ90内に第1樹脂が充填される。第3キャビティ90内に第1樹脂を充填した後は、第1樹脂を所定時間冷却する。すると、第3キャビティ90内に射出した第1樹脂が硬化し、第3キャビティ90内には、1次成形品(つまり、内層)14が成形される。
それから、第3金型86を開く。すなわち、型締装置54によって第1型および第2型を互いに引き離すとともに、第1コア88を抜いて、1次成形品14を取り出す。続いて、その1次成形品14からゲートや樹脂経路に相当する位置にできた不要なゲート部分を除去する。このとき、冷却等による温度低下により合成樹脂が収縮して、1次成形品14のサイズは全体的に少し小さくなる。
次に、図10(a)に示すように、収縮して全体的に小さくなった1次成形品14内に第2コア94を挿入するとともに、それらを内層14を構成する硬質塩化ビニル樹脂のガラス転移温度である76℃より低い所定温度に保持した第4金型92内に移動させて、第4キャビティ96およびゲート(図示せず)を構成する。
続いて、上述と同じ要領で、第4金型92の樹脂経路(図示せず)に射出成形機50のノズル64を接続し、射出成形機50のスクリュ62を前進させることにより、溶融されたASA樹脂(第2樹脂)に圧力をかけて射出する。すると、第4キャビティ96内に第2樹脂が充填され、射出された第2樹脂の加熱や圧力によって、図10(b)に示すように、1次成形品14が第2コア94に密着するとともに、1次成形品14の表面は第2樹脂と溶け合って一体化される。
それから、図10(c)に示すように、第4キャビティ96内に第2樹脂を充填した後、第4金型92内を巡回する水等(図示せず)によって第2樹脂を所定時間冷却する。冷却後、第2樹脂が硬化すると、第4キャビティ96内には、1次成形品14と融着して一体化された外層16が成形される。
それから、第4金型92を開く。すなわち、型締装置54によって第3型および第4型を互いに引き離すとともに、第2コア94を抜いて、成形品を取り出す。そして、その成形品から、ゲートや樹脂経路に相当する位置にできた不要なゲート部分を除去することにより、分岐管継手12の製造が完了する。
このように、この実施例においても、分岐管継手12の各受口18に対応する部分において、内層14の開口端20を外層16によって被覆して、内層14と外層16との境界部分を内層14の内面側で露出させるようにしたため、多層射出成形品10の美感が損なわれてしまうことがなく、しかも境界部分での内層14と外層16との分離(剥離)が生じにくい。
さらに、この実施例によれば、予め1次成形品(つまり、内層)14のみを成形しておいて、後でその1次成形品14の外側に添加剤や着色料を添加した外層16を適宜積層することが可能になる。したがって、用途に応じて射出成形品10を色分けしたり、射出成形品10の機能を多様化させたりすることが容易になる。
なお、上述の各実施例ではいずれも、分岐管継手の各受口18に対応する部分において、外層16の先端部を逆L字形に屈曲させて、その被覆部26によって内層14の外面および開口端20の端面を被覆したが、これに限定される必要はなく、図11に示すように、外層16の先端部を逆U字形(鉤形)に屈曲させて、その被覆部28によって内層14の外面と開口端20の内面とに亘る範囲を被覆するようにしてもよい。一例として、このような分岐管継手12を製造するためには、図12に示すように、成形用金型52(第4金型92、第2コア94)に、逆U字形の被覆部28に対応した形状の空隙98を設けておく。
この実施例の分岐管継手12によれば、内層14と外層16との境界部分が内層14のより奥側で露出することとなるので、内層14と外層16との境界部分がより視認されにくくなる。
また、上述の各実施例ではいずれも、外層16を成形する際に、第4金型92を内層14を構成する硬質塩化ビニル樹脂のガラス転移温度より低い温度に保持したが、これに限定される必要はない。上述した第2金型76と同じように、硬質塩化ビニル樹脂のガラス転移温度に比較的近い温度であれば、ガラス転移温度を多少超える温度に保持するようにしてもよい。
さらにまた、この発明のさらに他の一実施例である多層射出成形品10は、たとえば図1および図2に示す分岐管継手12であるが、図5−図8の実施例における成形方法や図9および図10の実施例における成形方法とは異なる成形方法によって製造される。以下、先の実施例と同様の部分については、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
このような分岐管継手12は、たとえば、先に単独で射出成形された外層16の内側に、さらに内層14を射出成形することによって製造される。図4に示すように、射出成形の製造ライン中には、たとえば、射出成形機50、成形用金型52、ならびに型締装置54が組み込まれる。
成形用金型52は、第5金型100および第3コア102を含み、図13(a)に示すように、第5金型100と第3コア102とを組み合わせることによって、外層16を成形するための第5キャビティ104が形成される。
また、成形用金型52は、第4コア106をさらに含み、図14(a)に示すように、第5金型100と第4コア106とを組み合わせることによって、外層16の内側に内層14を成形するための第6キャビティ108が形成される。
ここで、第3コア102には、成形後に外層16から第3コア102を抜くことを考慮して、第3コア16が外層16のアンダーカット部、すなわち被覆部26に接触しないように、拡縮径機構が組み込まれている。
拡縮径機構としては、従来公知の機構を適用することができ、この発明の要旨ではないので、その詳細な説明は省略するが、簡単に言えば、第3コア102には、可動部110aおよび110bが組み込まれている。そして、図15(a)に示すように、可動部110aを軸方向に移動させて、図15(b)に示すように、可動部100bを径方向内側に移動させることにより、第3コア102を縮径させることが可能である。
なお、このような拡縮径機構については、特開2001−30353号公報等に詳述されているので、必要であればそれを参照されたい。
また、図示は省略するが、第4コア106には、ゲート、および射出成形機50から供給された溶融樹脂をゲートに導くための樹脂経路が形成されている。そして、内層14を成形する際には、この樹脂経路およびゲートを介して射出成形機50から供給された(取り込まれた)第2樹脂が第6キャビティ108内に充填される。
図4、図13、図14、および図15を参照して、分岐管継手12を製造する方法を以下に示す。
先ず、第3コア102と第5金型100とを組み合わせることによって、図13(a)に示すように、第5キャビティ104およびゲート(図示せず)を構成する。
そして、射出成形機50のノズル64を第5金型100の樹脂経路(図示せず)に接続し、射出成形機50のスクリュ62を前進させることにより、溶融されたASA樹脂(以下、第1樹脂)に圧力をかけて射出する。すると、図13(b)に示すように、樹脂経路およびゲートを通して、第5キャビティ104内に第1樹脂が充填される。第5キャビティ104内に第1樹脂を充填した後は、第1樹脂を所定時間冷却する。すると、第5キャビティ104内に射出した第1樹脂が硬化し、第5キャビティ104内には、1次成形品(つまり、外層)16が成形される。
それから、第5金型100を開き、図15(a)および図15(b)に示すように、第3コア102を縮径させて、1次成形品16の被覆部26に第3コア102が接触しないように、1次成形品16から第3コア102を抜き取る。
次に、図14(a)に示すように、1次成形品16内に第4コア106を挿入するとともに、それらを第5金型100内に配置して、第6キャビティ108およびゲート(図示せず)を構成する。
続いて、上述と同じ要領で、第4コア106の樹脂経路(図示せず)に射出成形機50のノズル64を接続し、射出成形機50のスクリュ62を前進させることにより、溶融された硬質塩化ビニル樹脂(以下、第2樹脂)に圧力をかけて射出する。すると、図14(b)に示すように、第6キャビティ108内に第2樹脂が充填される。
そして、第6キャビティ108内に第2樹脂を充填した後は、第5金型100内を巡回する水等(図示せず)によって第2樹脂を所定時間冷却する。冷却後、第2樹脂が硬化すると、第6キャビティ108内には、内層14が成形される。
それから、第5金型100を開くとともに、成形品から第4コア106を抜いて、成形品を取り出す。そして、その成形品から、ゲートや樹脂経路に相当する位置にできた不要なゲート部分を除去することにより、分岐管継手12の製造が完了する。
このように、この実施例においても、分岐管継手12の各受口18に対応する部分において、内層14の開口端20を外層16によって被覆して、内層14と外層16との境界部分を内層14の内面側で露出させるようにしたため、多層射出成形品10の美感が損なわれてしまうことがなく、しかも境界部分での内層14と外層16との分離(剥離)が生じにくい。
さらに、この実施例によれば、射出成形品10を形成するための外型(つまり、第5金型100)が1つで済むので、その分だけコストを削減することができる。
なお、上述の各実施例ではいずれも、本発明の射出成形品10として、3方向へ向けて受口18が形成されたチーズ形状の分岐管継手12を製造したが、これに限定される必要はない。本発明の射出成形品10は、ソケット型、径違い型またはエルボ型等のような他のタイプの管継手でもよい。また、両受口の継手に限定される必要もなく、一方端側に受口を有し、もう一方端側に差口などの別の形状を有するタイプの管継手でもよい。さらに、継手に限定される必要もなく、本発明の射出成形品10として、直管(被覆管)を製造してもよい。これらの場合においては、管継手の受口ないし差口や、直管の管端において、内層14が開口端20を有することとなる。
また、上述の各実施例ではいずれも、分岐管継手12が、内層14とその外側に設けられる外層16との2層構造で形成されたが、これに限定される必要はなく、内層14と外層16との間に1または複数の中間層を設けるようにしてもよい。
一例として、図16に示す実施例では、分岐管継手12が、内層14、中間層30および外層16を備えており、内側からこの順に積層された3層構造を有している。中間層30は、たとえば廃棄プラスチックを微粉砕して作成されたリサイクル材等からなり、射出成形などによって内層14の外側に積層され、その厚みは、たとえば3mm−5mmである。中間層30の外面には、射出成形によって外層16が積層され、分岐管継手の各受口18に対応する部分の中間層30の開口端面は、外層16の被覆部26によって被覆される。
また、図示は省略するが、内層14の成形後、その外側に外層16を成形する前に、ステンレス等の金属からなる補強用金属を中間層30として内層14の外側に設けておいて、その中間層30のさらに外側に外層16を成形するようにしてもよい。同様に、外層16の成形後、その内側に内層14を成形する前に、ステンレス等の金属からなる補強用金属を中間層30として外層16の内側に設けておいて、その中間層30のさらに内側に内層16を成形するようにしてもよい。
なお、中間層30は、軽量化のために、発泡層として形成するようにしてもよい。発泡層を形成する場合には、たとえば、中間層30の樹脂材料中に発泡剤を混入する。この場合には、一般的なサンドイッチ成形と比較して、中間層30の充填比率を高くすることが可能になるので、樹脂使用量を低減させることができ、その分だけ省コスト化が図れる。
さらにまた、上述の各実施例ではいずれも、内層14の開口端20の内面に、奥側から先端側へ向かって低くなるように窪んだ窪み状の凹部22を形成し、内層14とコア68との隙間に流れ出た樹脂をその窪み内で保持するようにしたが、これに限定される必要はない。奥側から先端側へ向かって低くした形状に形成するのであれば、凹部22には任意の形状を採用することができる。
一例として、図17に示す実施例では、分岐管継手12の各受口18に対応する部分において、内層14の開口端20の内面には、奥側から先端へ向かって下り勾配で傾斜するテーパ面32が形成され、このテーパ面32が凹部22として機能する。また、外層16は、射出成形によって内層14の外面に積層されるとともに、逆L字形の被覆部26によって内層14の外面と開口端20の端面とを被覆している。そして、この被覆部26の内側の端縁には、内層14のテーパ面32から連続しかつ奥側から先端へ向かって下り勾配で傾斜するテーパ面34が形成される。
この実施例によれば、分岐管継手12の各受口18に対応する部分において、内層14および外層16にテーパ面32,34を形成したことにより、受口18に管を挿入し易くすることができる。また、内層14とコア68との隙間に流れ出た樹脂をテーパ面32の部分にとどめてそこで保持することにより、樹脂がテーパ面32よりも奥側に達することを防止できるので、受口18の内面よりも内側(内径側)にバリが発生することがなくなるまたは低減され、バリに起因する分岐管継手12の受口18と管との接着接合の不具合を回避することができる。
すなわち、この実施例によれば、分岐管継手12の受口18への管の挿入を容易にしつつ、それらの接着接合の不具合も回避できるようになる。
なお、図17に示す実施例では、逆L字形の被覆部26によって内層14の開口端20の端面を被覆したが、これに限定される必要はなく、図18に示すように、外層16の先端部を逆U字形(鉤形)に屈曲させて、その被覆部28によって内層14の外面と開口端20の内面とに亘る範囲を被覆するようにしてもよい。
たとえば、図18(a)に示すように、分岐管継手12の各受口18に対応する部分において、内層14の開口端20の内面には、奥側から先端へ向かって下り勾配で傾斜するテーパ面32が形成され、外層16の被覆部28は、そのテーパ面32を被覆する。また、被覆部28の内面側には、奥側から先端へ向かってテーパ面32よりも緩い下り勾配で傾斜するテーパ面36が形成される。この場合にも、図17と同様の効果が得られる。ただし、必ずしも外層16の被覆部28の内面側にテーパ面36を形成する必要はなく、図18(b)に示すように、被覆部28の内面側にテーパ面36を形成せずに、被覆部28の内面側を内層14のテーパ面32よりも奥側と連続させるようにしてもよい。
また、上述の各実施例ではいずれも、外層16は、内層14の外面と開口端20の端面とに亘る範囲(または、内層14の外面と開口端20の内面とに亘る範囲)を被覆したが、これに加えて、外層16の厚み寸法を部分的に大きくしてそこに固定用の台座などを設けるようにしてもよい。
一例を挙げると、この発明の他の実施例である多層射出成形品10は、たとえば図19および図20に示す管継手38であり、内層14および外層16を備え、先に単独で射出成形された一次成形物(つまり、内層)14に対して、さらに外層16を射出成形することによって製造される。管継手38は、たとえば建物の雨水排水、雑排水、高温排水、上下水道等の用途に適用されるものであり、エルボ状の継手本体40を含み、この継手本体40の両端部に、排水管などの管端を受容する受口18d,18eが形成される。
図19および図20に示すように、内層14は、硬質塩化ビニル樹脂のような合成樹脂の射出成形によって形成され、その厚みは、たとえば3mm−5mmである。内層14は、管継手38の各受口18d,18eに対応する部分に、開口端20a,20b,20cを有しており、この開口端20の内面には、奥側から先端側へ向かって低くなるように凹状に窪んだ凹部22が形成されている。
また、外層16は、内層14の外側に積層され、その構成材料は、たとえばASA樹脂である。外層16は、内層14の外面の全体を被覆するとともに、内層14の開口端20の部分において、逆L字形の被覆部26によって内層14の外面と開口端20の端面とを被覆している。
さらに、外層16は、管継手38の継手本体40の部分において、管継手38を固定するための台座42を構成する。図示は省略するが、台座42は、成形用金型に台座42に対応した形状の空隙を設けておくことによって外層16と一体的に形成される。たとえば、この実施例では、台座42は、断面略L字の板状に形成される本体44、および本体44と継手本体40の部分の外層16とを繋ぐ接合部46を含む。本体44の所定位置には、貫通孔48が形成され、この貫通孔48にボルト等を挿通させることによって、管継手38が壁や床などに固定される。
このように、この実施例では、内層14の成形後に内層14の外側に積層する外層16によって台座42を構成するようにしている。ここで、たとえば、内層14によって台座を構成し、その台座の外側に外層16を積層させるようにすると、その台座に起因する肉厚部分に発生する樹脂のヒケや冷却不均一による反りが、管継手38の内面(つまり、内層14の内面)に影響を与えてしまう恐れがある。しかしながら、この実施例では、内層14の成形後に、その外側に積層する外層16によって台座42を構成するようにしているので、通水部分となる管継手38の内面にヒケや反りが発生することを回避できる。
しかも、管継手38における通水部分となる内層14の成形樹脂は、JIS等の公的規格によって材料や性質が限定されてしまうが、外層16はその制約を受けずに成形性など内層14とは異なった視点から材料を選択することが可能である。したがって、内層14によって台座42を構成する場合と比較して、複雑な形状の台座42などを簡単に成形することができるようになる。
なお、図19および図20の実施例では、90°エルボ状の管継手38の外層16によって継手固定用の台座42を構成したが、これに限定される必要はなく、図1および図2のようなチーズ形状の分岐継手12においても、外層16によって継手固定用の台座を構成するようにしてもよいことは言うまでもない。また、このような付加的に成形する付加成形部分すなわち管継手の基本構成(たとえば、受口、差口、および胴幹部など)以外の部分は、必ずしも継手固定用の台座である必要はなく、たとえば多層射出成形品10が転がることを防止するためのリブなど、必要に応じて任意の形状の付加成形部分を構成することができる。要は、付加成形部分の形状に関わらず、多層射出成形品10の付加成形部分を外層16のみで構成することにより、その付加成形部分に起因するヒケや反りが多層射出成形品10の内面に発生することを回避できるようになる。
また、上述した径や高さ等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。