JP5881372B2 - 緩衝器 - Google Patents

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Description

ピストンロッドのストロークに対して、シリンダ内の作動流体の流れを制御することにより減衰力を発生させる緩衝器に関するものである。
例えば特許文献1に記載されているように、自動車等の車両のサスペンション装置に装着される筒型の緩衝器において、シリンダと、その周囲を覆う外筒との間に円筒状部材(セパレータチューブ)を配置して三重筒構造とし、シリンダと円筒状部材との間に環状の通路を形成し、さらに、円筒状部材の側壁を径方向外側に円筒状に突出させて環状の通路に連通する枝管を一体に形成するようにしたものがある。
特開平11−159563号公報
上記特許文献1に記載されているように、円筒状部材の側壁に枝管を一体に形成して作動流体の通路とする緩衝器では、円筒状部材及び枝管は、高圧となる作動流体に対して充分な耐圧性を確保する必要がある。また、円筒状部材は、ピストンロッドの伸縮の行程変化に伴う圧力変動によって繰返し荷重を受けるため、充分な疲労強度が求められる。そして、このような強度的な要求を満たしつつ、軽量化のために板厚を薄くすることが望まれている。
本発明は、シリンダの外周に設けられ、シリンダの側壁との間に作動流体が流通する環状通路を形成する円筒状の側壁及びこの側壁から径方向外側に突出する枝管を有するセパレータチューブの耐圧性及び疲労強度を高めて、その薄肉化を可能にする緩衝器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、相対移動可能な2部材間に取付けられる緩衝器であって、
作動流体が封入されたシリンダと、該シリンダ内に挿入されたピストンと、
該ピストンに連結されて前記シリンダの外部に延出されたピストンロッドと、
前記シリンダの外周に設けられた外筒と、
前記外筒の側壁に設けられる減衰力発生機構と、
前記シリンダの外周囲に設けられ、前記シリンダ内と連通する環状通路を形成する円筒状の側壁を有するセパレータチューブと、
前記シリンダと前記外筒との間の前記セパレータチューブの外側に形成されて作動流体及びガスが封入されたリザーバと、
前記セパレータチューブの円筒状の側壁に一体に形成され、径方向外側に略円筒状に突出して前記環状通路に連通する通路を形成する枝管と、を備え、
前記枝管は、
基端に形成されて内周及び外周が湾曲する湾曲部と、
該湾曲部と連続して先端側に向けて形成されて内径が同径となる筒部とを有し、
該筒部の外径を基端側から先端側に向う方向に小さくし、
前記枝管内には、前記減衰力発生機構の連結管が環状シールを介して設けられ、
前記セパレータチューブは、窒化処理が施され、前記セパレータチューブの表層を圧縮残留応力状態としていることを特徴とする。
本発明に係る緩衝器によれば、枝管が一体に形成されたセパレータチューブの耐圧性及び疲労強度を高めることができ、その薄肉化が可能になる。
本発明の一実施形態に係る緩衝器の縦断面図である。 図1の緩衝器のバッフルプレートが取付けられたセパレータチューブの枝管部分を拡大して示す縦断面図である。 図2に示すセパレータチューブの枝管部分の正面図である。 図2に示すセパレータチューブの枝管部分を更に拡大して示す縦断面図である。 枝管に挿入される連結管の変形例を示す枝管部分の縦断面図である。
以下に説明する本発明の実施形態は、上述の発明が解決しようとする課題の欄や発明の効果の欄に記載した内容に止まることなく、その他にも様々な課題を解決し、効果を奏し得るものである。以下の実施形態が解決し得る主な課題を上述の欄に記載した内容をも含めて次に列挙する。
〔減衰力の増大〕
昨今、緩衝器には更なる減衰力の増大が求められている。これは、ロールやピッチングなど車体が一方側に傾くような挙動を呈したとき、緩衝器の減衰力を大きくすることにより車体の挙動を抑制し、安定した走行を実現することができるためである。しかし、減衰力を増大させると、シリンダ内圧が高くなり、リザーバとシリンダ内との差圧が大きくなるため、円筒状部材と枝管との繋ぎ目に応力が集中し、耐圧性が下がるという課題がある。
〔特性改善〕
先に示した特許文献1に記載されているように、リザーバ内には油液およびガスが封入されており、減衰力発生機構からリザーバに流入する油液の噴流によってリザーバ内の油液の液面付近に渦や気泡が発生し、エアレーションが発生するという課題がある。エアレーションが発生すると安定した減衰力を得ることができないため、その課題を解決し、減衰特性を改善することが求められている。そこで、減衰力発生機構からリザーバに流入する流入口付近に、バッフルプレートを配置し、噴流の発生を抑制することが考えられるが、バッフルプレートの固定は、組立性向上及びコンタミの発生防止のため、溶接を用いないことが望まれている。そこで、枝管を利用して、バッフルプレートを拘束することを考えたが、そのためには枝管の軸長をさらに延長する必要がある。
〔軽量化〕
自動車に取付けられる部品は、燃費性能向上等のため、少しでも軽量化することが求められる。特に、前述のシリンダ、円筒状部材としてのセパレータチューブ及びこれらの外周を覆う外筒を有する三重筒構造の緩衝器では、単筒式及び複筒式の緩衝器に比して重量が重くなるため、軽量化の要求が大きい。ここで、外筒は、ストラットとして用いる場合、ピストンロッドに作用する横力を支持するため、薄肉化には限界がある。一方、横力が直接作用しないセパレータチューブは、ある程度薄肉化が可能であるが、高圧となる作動流体に対して充分な耐圧性を確保する必要がある。更に、セパレータチューブは、ピストンロッドの伸縮の行程変化に伴う圧力変動によって繰返し荷重を受けるため、充分な疲労強度を確保する必要がある。また、肉厚が薄い部材に枝管を形成すると、枝管部分の肉厚はさらに薄くなり、耐圧性及び疲労強度を確保することが困難になる。セパレータチューブの肉厚を薄くしつつ、充分な耐圧性及び疲労強度を確保した枝管を形成するというトレードオフの関係にある問題を解決することは大きな課題となっている。
以下、本発明に係る各実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る緩衝器1は、筒型の減衰力調整式油圧緩衝器であって、シリンダ2の外側に外筒3を設けた複筒構造で、シリンダ2と外筒3との間に環状のリザーバ4が形成されている。シリンダ2内には、ピストン5が摺動可能に嵌装され、このピストン5によってシリンダ2内がシリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとの2室に画成されている。ピストン5には、ピストンロッド6の一端がナット7によって連結されており、ピストンロッド6の他端側は、シリンダ上室2Aを通り、シリンダ2及び外筒3の上端部に装着されたロッドガイド8およびオイルシール9に挿通されて、シリンダ2の外部へ延出されている。シリンダ2の下端部には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを区画するベースバルブ10が設けられている。
ピストン5には、シリンダ上下室2A、2B間を連通させる通路11、12が設けられている。そして、通路12には、シリンダ下室2B側からシリンダ上室2A側への流体の流通のみを許容する逆止弁13が設けられ、また、通路11には、シリンダ上室2A側の流体の圧力が所定圧力に達したとき開弁して、これをシリンダ下室2B側へリリーフするディスクバルブ14が設けられている。
ベースバルブ10には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを連通させる通路15、16が設けられている。そして、通路15には、リザーバ4側からシリンダ下室2B側への流体の流通のみを許容する逆止弁17が設けられ、また、通路16には、シリンダ下室2B側の流体の圧力が所定圧力に達したとき開弁して、これをリザーバ4側へリリーフするディスクバルブ18が設けられている。シリンダ2内には、作動流体として油液が封入され、リザーバ4内には油液及びガスが封入されている。
シリンダ2には、上下両端部にシール部材19を介してセパレータチューブ20が外嵌されており、シリンダ2の側壁とその外周に設けられたセパレータチューブ20の円筒状の側壁との間に環状通路21が形成されている。環状通路21は、シリンダ2の上端部付近の側壁に設けられた通路22によってシリンダ上室2Aに連通されている。セパレータチューブ20の側壁の下部には、環状通路21に連通する通路である接続口23を有する小径の略円筒状の枝管45が突出している。また、外筒3の側壁には、枝管45と略同心に大径の流入口24が開口され、外筒3の側壁の流入口24に減衰力発生機構25が取付けられている。
減衰力発生機構25は、外筒の流入口24に取付けられた円筒状のケース26内に、パイロット型(背圧型)のメインバルブ27及びメインバルブ27の開弁圧力を制御するソレノイド駆動の圧力制御弁であるパイロットバルブ28が設けられ、更に、パイロットバルブ28の下流側に、フェイル時に作動するフェイルバルブ29が設けられている。そして、枝管45の接続口23に入口通路を形成する連結管30が液密的に挿入され、接続口23から連結管30に油液を導入し、メインバルブ27、パイロットバルブ28及びフェイルバルブ29を通してケース26で囲まれた室26Aへ流通させる。室26A内の油液は、ケース26の端部の通路31及び外筒3の流入口24を通してリザーバ4へ流入する。
このとき、メインバルブ27の開弁前には、パイロットバルブ28によって油液の流れを制御して減衰力を発生し、メインバルブ27の開弁時には、主にメインバルブ27によって減衰力を発生する。また、パイロットバルブ28の上流側の油液の一部をメインバルブ27の背部の背圧室32に導入し、その内圧をメインバルブ27の閉弁方向に作用させる。リード線41を介してソレノイド40に通電する電流によってパイロットバルブ28の制御圧力を調整することにより、減衰力を調整することができ、その結果、背圧室の内圧が変化してメインバルブ27の開弁圧力及び開度を調整することができる。また、フェイルバルブ29は、信号待ちで車を停止しているときや、万一ソレノイド40への通電が遮断されたとき閉弁し、常時開となったパイロットバルブ27の代りに油液の流れを制限することにより、減衰力の過度の低下を防止して適度な減衰力を維持するようになっている。
リザーバ4内には、セパレータチューブ20の外周面の外筒3の流入口24に対向する部位に、隔壁部材としてバッフルプレート33が取付けられている。図2及び図3に示すように、バッフルプレート33は、図面上において(以下、同じ)、上部が半円形で、その半円の直径部分から下方に延びる下部が長方形の板状部材で、セパレータチューブ20の外周面に沿って湾曲している。バッフルプレート33には、セパレータチューブ20の枝管45を挿入する拘束部としての開口部36が設けられている。バッフルプレート33は、開口部36に挿入したセパレータチューブ20の枝管45にツースドワッシャ44をはめ込むことにより固定されてセパレータチューブ20に取付けられている。ツースドワッシャ44は、環状のバネ部材の内周部に、放射状に延びる複数の爪部44Aを一体に形成したものであり、放射状の爪部44Aが撓むことにより枝管45を圧入することができ、一旦圧入された後は、楔効果によって抜け難くなるようになっている。バッフルプレート33には、その上部及び側部の周縁部に沿って略U字形に配置された弾性シール部材であるゴム製の隔壁部材43が焼付けにより固着されている。隔壁部材43は、断面形状が略三角形で、三角形の底辺がバッフルプレート33の本体に固着され、頂部が外筒3の内周面に押圧されて、バッフルプレート33と外筒3との間のシール性を高めると共に、騒音の発生を抑制している。
次に、図4を参照して、セパレータチューブ20の枝管45が形成された部分の形状について詳細に説明する。
図4に示すように、セパレータチューブ20の円筒状の側壁は、環状通路21に連通する接続口23となる円形の開口の周囲が径方向外側に突出されて略円筒状の枝管45が一体に形成されている。枝管45は、外周部が先細りのテーパ面45Aとなっている。テーパ面45Aのテーパ角θ1は、16°前後となっている。なお、枝管45を絞り加工等の塑性変形によって形成した場合、このテーパ面45Aは、軸方向断面の外径部分は、厳密には若干の凹曲面となっている。
枝管45のテーパ面45Aとセパレータチューブ20の側壁との結合部46の外周部は、半径R1の丸みが付けられて滑らかに湾曲している。
結合部46の外周部の丸みの半径R1は、セパレータチューブ20の直径が40〜45mm程度で、接続口23の内径Dが12mm程度のとき、1.5mm程度にするとよい。また、結合部46の内周部も丸みが付けられて滑らかに湾曲し、その板厚T1がセパレータチューブ20の側壁の板厚T0と略等しくなっている。
本発明において、この枝管45の軸方向において、内周及び外周が湾曲している部分を湾曲部51と定義する。また、この枝管45の軸方向において、湾曲部51から先端までを筒部52と定義する。
枝管45の先端の外周部は、テーパが付けられていない、すなわち、軸方向に沿って内外径が一定の円筒部45Bとなっている。よって、筒部52は、基端側の外周部がテーパ面45Aとなっている部分の外径が小さくなる割合より、先端側の円筒部45Bにおける外径が小さくなる割合(円筒部45Bにおいては0となる。)は小さくなっている。なお、この円筒部45Bに基端側より外径が小さくなる割合の小さなテーパをつけてもよい。
接続口23を形成する枝管45の内周面は、テーパが付けられていない、すなわち、軸方向に沿って内径が一定の円筒面45Cとなっており、この円筒面の軸方向長さは3.5〜4mm程度となっている。枝管45の先端の内周縁部には、テーパ角θ2でテーパ状に面取された面取り部47が形成されている。枝管45の先端面48は、平坦面となっている。また、セパレータチューブ20の側壁と円筒部45Bとでなす角θ3は、バッフルプレート33の開口部36を枝管45に挿入する際の組付け性の向上、さらには抜け防止のため、90°としている。
次に、セパレータチューブ20の円筒面に絞り加工により枝管45を一体に形成する方法について説明する。
セパレータチューブ20の円筒状の側壁に、下穴として軸方向が大径、周方向が小径となる楕円の穴を切削もしくはパンチ等により形成する。セパレータチューブ20の外周側であって、楕円の穴の周囲に外型を配し、セパレータチューブ20の内周側から楕円の穴にポンチを当て、その後外型を加圧することによりセパレータチューブ20の円筒状の側壁に、外周側に向けて延びる枝管45を形成する。このとき、ポンチの形状や外型の形状、加圧のタイミングを適宜設定することにより、テーパ面45A、円筒部45B、円筒面45Cを所望の形状に形成する。セパレータチューブ20の肉厚を有効に利用して枝管45を形成するため、シリンダ2内の液圧によって生じる応力を最も受ける結合部46の肉厚は十分確保するよう、結合部46の内周及び外周は湾曲する湾曲部51とし、セパレータチューブ20の肉厚T0と略等しい肉厚T1とする。結合部46からは連続して内周側は円筒状の円筒面45C、外周側はテーパ面45Aを形成する。テーパ面45Aの部分は、結合部46の肉厚よりも小さくなっている。
そして、枝管45は、先端側に向うにつれ、さらに肉厚を減少させていく。つまり、枝管45は、外径が基端側である結合部46から先端側に向う方向に小さくなり、内径は基端側から先端側に向けて同径となるようにしている。そして、減衰力発生機構25の入口通路を形成する連結管30が接続口23に挿入されると、連結管30の外周に設けられた環状シールであるシール部材50が筒部52の内周と接触して、これらの間をシールすることにより、シリンダ2側から先端側に向けて圧力勾配が生じる。これにより、筒部52のシール部の枝管45の先端側には高い液圧が作用せず、液圧によって生じる応力が低減されるので、筒部52の肉厚は薄くてもよい。、要は、結合部46の肉厚は、液圧によって生じる応力に耐える厚みが必要であり、筒部52のシール部材50の外側は、連結管30を保持するための厚みがあればよい。
更に、このようにして枝管45が形成されたセパレータチューブ20に窒化処理等の表面硬化処理を施し、その表層を硬化して耐圧性及び疲労強度を高める。表面硬化処理方法は、セパレータチューブ20の材質、処理時間(生産性)等を考慮して適宜選択することができる。
本実施形態では、一例として以下の条件でセパレータチューブ20にガス軟窒化処理を施す。
セパレータチューブ20を構造用鋼管STKM12Bの引抜管(引張強さTS=400〜450MPa、伸びEL=40〜50%、完全焼鈍品、板厚1.8mm)とし、これをアルカリ洗浄等により脱脂した後、次の条件でガス軟窒化処理する。なお、外筒3は、構造用鋼管STKM13A、板厚は3.0mm、シリンダ2は、構造用鋼管STKM12B構造用鋼管STKM12B、板厚は1.6mmである。
1.ガス組成
アンモニアガス(NH):8.75m/h
窒素ガス(N):3.0m/h
二酸化炭素(CO):0.75m/h
2.処理温度及び処理時間
昇圧時間(常温から570℃):60min
保持時間(570℃):60min
この処理条件のガス軟窒化により、セパレータチューブ20の表層に厚さ2〜4μmの化合物層を得ることができる。
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
緩衝器1は、ピストンロッド6側を上方に、ベースバルブ10側を下方に向けて車両のサスペンション装置のバネ上(車体側)、バネ下(車輪側)間等の相対移動可能な部材間に装着され、リード線41が制御装置に接続される。
ピストンロッド6の伸び行程時には、シリンダ2内のピストン5の移動によって、ピストン5の逆止弁13が閉じ、ディスクバルブ14の開弁前には、シリンダ上室2A側の流体が加圧されて、通路22及び環状通路21を通り、セパレータチューブ20の接続口23から減衰力発生機構25の入口通路30へ流入する。そして、入口通路30から流入した流体は、メインバルブ27、パイロットバルブ28及びフェイルバルブ29を通ってケース26で囲まれた室26Aへ流れ、更に、ケース26の端部の通路31及び外筒3の流入口24を通ってリザーバ4へ流入する。
このとき、ピストン5が移動した分の流体がリザーバ4からベースバルブ10の逆止弁17を開いてシリンダ下室2Bへ流入する。なお、シリンダ上室2Aの圧力がピストン5のディスクバルブ14の開弁圧力に達すると、ディスクバルブ14が開いて、シリンダ上室2Aの圧力をシリンダ下室2Bへリリーフすることにより、シリンダ上室2Aの過度の圧力の上昇を防止する。
ピストンロッド6の縮み行程時には、シリンダ2内のピストン5の移動によって、ピストン5の逆止弁13が開き、ベースバルブ10の通路15の逆止弁17が閉じて、ディスクバルブ18の開弁前には、ピストン下室2Bの流体がシリンダ上室2Aへ流入し、ピストンロッド6がシリンダ2内に侵入した分の流体がシリンダ上室2Aから、上記伸び行程時と同様の経路を通ってリザーバ4へ流れる。なお、シリンダ下室2B内の圧力がベースバルブ10のディスクバルブ18の開弁圧力に達すると、ディスクバルブ18が開いて、シリンダ下室2Bの圧力をリザーバ4へリリーフすることにより、シリンダ下室2Bの過度の圧力の上昇を防止する。
これにより、ピストンロッド6の伸縮行程時共に、減衰力発生機構25において、メインバルブ27の開弁前(ピストン速度低速域)においては、パイロットバルブ28によって減衰力が発生し、メインバルブ27の開弁後(ピストン速度高速域)においては、その開度に応じて減衰力が発生する。そして、ソレノイド40への通電電流によってパイロットバルブ28の制御圧力を調整することにより、減衰力を調整することができ、その結果、背圧室32の内圧が変化してメインバルブ27の開弁圧力及び開度を調整することができる。また、車が信号で停車したときや、万一、ソレノイド40への通電が遮断された場合には、フェイルバルブ29が閉弁し、常時開となったパイロットバルブの代りに油液の流れを制限することにより、減衰力の過度の低下を防止して適度な減衰力を維持することができる。
バッフルプレート33を設けたことにより、減衰力発生機構25から通路31及び外筒3の流入口24を通ってリザーバ4内に油液が流入する部位がバッフルプレート33の隔壁部材43によってリザーバ4内の油液の液面Sから隔離される。これにより、減衰力発生機構25から通路31及び外筒3の流入口24を通ってリザーバ4内に流入する油液のうち、使用状態においてリザーバ4内上方への油液の流れを規制する。よって、流入口24を通ってリザーバ4内に流入する油液の噴流によって液面Sの付近に渦及び気泡が発生するのを防止することができ、リザーバ4内のガスの油液中への溶け込みを抑制し、エアレーション及びキャビテーションが発生し難くして、安定した減衰力を得ることができる。
また、バッフルプレート33により、減衰力発生機構25からリザーバ4内へ流入する油液の流路面積の急激な拡大が緩和されるので、リザーバ4への流入による油液の流速の急激な上昇を緩和して渦の発生を抑制することができる。その結果、渦の発生に伴う気泡の発生及び油液中へのガスの溶け込みを抑制し、エアレーション及びキャビテーションが発生し難くして、安定した減衰力を得ることができる。
セパレータチューブ20の接続口23を形成する枝管45は、外周部にテーパ面45Aが形成され、セパレータチューブ20の側壁との結合部46の外周部及び内周部が滑らかに湾曲して、結合部46の板厚Tがセパレータチューブ20の側壁の板厚T0と略等しくなっているので、結合部46の強度が高められると共に、環状通路21とリザーバ4との差圧によって結合部46に生じる応力が低減され。その結果、作動流体に対する耐圧性を高めることができ、セパレータチューブ20の薄肉化による軽量化が可能になる。
接続口23を形成する枝管45の内周面は、テーパが付けられていない円筒面45Cとなっているので、減衰力発生機構25の入口通路を形成する連結管30が挿入されたとき、必要なシール性を確保して油液の漏れを防止することができる。枝管45の先端の内周縁部に面取り部47を形成したことにより、組立時に連結管30を容易に挿入することができる。枝管45の先端外周部にテーパが付けられていない円筒部45Bを形成したことにより、バッフルプレート33をツースドワッシャ44によって枝管45に取付ける際、ツースドワッシャ44の爪部44Aが円筒部45Bに係合することにより、充分な保持力を得ることができる。
なお、従来、セパレータチューブの円筒状の側壁に枝管を一体に形成する場合、セパレータチューブの側壁に平坦部を形成し、平坦部に円形の下穴を穿設してバーリング加工を行なう技術が知られている。これにより、下穴が円形ですみ、加工時の力を円周方向で均一にできるので、加工性を高めることができるが、この場合、枝管と平坦部との結合部に応力が集中しやすくなり、耐圧性が低下するという問題が生じる。
これに対して、本実施形態では、枝管45の外周部を先細りのテーパ面45Aとすることにより、絞り加工時のセパレータチューブ20の側壁との結合部46の板厚T1の減少を抑制することができ、板厚T1をセパレータチューブ20の側壁の板厚T0と略等しくすることができる。このとき、枝管45の先端部の板厚は薄くなるが、この部分は、減衰力発生機構25の連結管30が接続口23に挿入されて、これらの接合部がシール部材50によりシールされることにより、シール部材50のシリンダ側接触点より枝管45の先端側の接触点に向けて圧力勾配を持って、作用する圧力が小さくなり、先端側のシールと接触しない部分は、高い圧力が作用しないので、重量を増加させずに、高圧に耐えられるセパレータチューブ20を得ることが出来る。
なお、本実施の形態では、筒部52の外側のテーパ面45Aを1つのテーパ面としたが、枝管45の軸長を長くする場合、シールの圧力勾配を考慮して、先端側の外径が小さくなる割合を小さくするように複数のテーパ面としてもよく、さらには、それらの複数のテーパ面をなだらかに繋いだ曲面としてもよい。また、枝管45の軸長が短くてよい場合は、先端の円筒部45Bは設けなくともよい。
本実施の形態ではシール部材50は連結管30の外周を全て覆う構成としているが、例えば図5に示すように、連結管30に形成した外周溝にシール部材60を設けるようにしてもよい。このように構成した場合であっても、高圧が作用するシール部材60よりも基端側は肉厚が厚くなっているので、耐圧性を確保することができる。
セパレータチューブ20に窒化処理等の表面硬化処理を施すことにより、その表層が硬化して圧縮残留応力状態となる。これにより、セパレータチューブ20の耐圧性及び疲労強度を高めることができ、更なる薄肉化が可能になる。窒化処理の場合、処理後の寸法変化が充分小さいので、処理後の仕上げ加工が不要であり、生産性に優れる。また、セパレータチューブ20を薄肉化することにより、上述の枝管45の形成を含むセパレータチューブ20の機械加工が容易になり、生産性を高めることができる。また、枝管45形成後、ガス軟窒化を行なうため、枝管加工時は薄肉のため加工力が小さくて済むという利点が得られ、加工後にガス軟窒課によるセパレータチューブ20の硬化を図ることで、生産性を向上させつつ、強度を高めることができる。
本実施形態では、上述の条件のガス軟窒化により、セパレータチューブ20の表層に2〜4μm程度の化合物層を形成することができる。このように薄肉化され、更にガス軟窒化処理されたセパレータチューブ20を用いて疲労耐久試験を行った結果、ガス軟窒化処理を施さない場合、50〜60万回の負荷により破損するのに対して、1000万回以上の負荷でも破損は見られず、疲労強度が飛躍的に向上したことが分かった。
また、枝管の軸長が延長される場合には本実施形態のように基端に形成されて内周および外周が湾曲する湾曲部と、湾曲部と連続して先端側に向けて形成されて内径が同径となる筒部を有し、筒部の外径を基端側から先端側に向う方向に小さくするという枝管形状が必要となる。枝管の軸長延長によって枝管が薄肉化することによる強度不足をガス軟窒化により解消でき、本実施形態の枝管延長技術とセパレータチューブ20をガス軟窒化することにより強度を向上させる技術とを組み合わせると、信頼性、生産性の点で大きな効果が期待できる。また、本実施の形態では、外筒3に対し、4割板厚を減らし、さらに枝管加工を行っても、ガス軟窒化を行なうことにより強度不足、耐圧性を向上させることができる。また、シリンダ2に対し、僅かに板厚を増やすのみで、枝管加工を施すという過酷なセパレータチューブであっても、ガス軟窒化により強度不足、耐圧性を目標値まで達成することができる。
1…緩衝器、2…シリンダ、5…ピストン、6…ピストンロッド、20…セパレータチューブ、21…環状通路、45…枝管

Claims (3)

  1. 相対移動可能な2部材間に取付けられる緩衝器であって、
    作動流体が封入されたシリンダと、該シリンダ内に挿入されたピストンと、
    該ピストンに連結されて前記シリンダの外部に延出されたピストンロッドと、
    前記シリンダの外周に設けられた外筒と、
    前記外筒の側壁に設けられる減衰力発生機構と、
    前記シリンダの外周囲に設けられ、前記シリンダ内と連通する環状通路を形成する円筒状の側壁を有するセパレータチューブと、
    前記シリンダと前記外筒との間の前記セパレータチューブの外側に形成されて作動流体及びガスが封入されたリザーバと、
    前記セパレータチューブの円筒状の側壁に一体に形成され、径方向外側に略円筒状に突出して前記環状通路に連通する通路を形成する枝管と、を備え、
    前記枝管は、
    基端に形成されて内周及び外周が湾曲する湾曲部と、
    該湾曲部と連続して先端側に向けて形成されて内径が同径となる筒部とを有し、
    該筒部の外径を基端側から先端側に向う方向に小さくし、
    前記枝管内には、前記減衰力発生機構の連結管が環状シールを介して設けられ、
    前記セパレータチューブは、窒化処理が施され、前記セパレータチューブの表層を圧縮残留応力状態としていることを特徴とする緩衝器。
  2. 前記外筒には、前記減衰力発生機構から前記リザーバに作動流体を流入させる流入口が設けられ、前記2部材間への取付状態で、前記流入口から上方への作動流体の流れを規制する隔壁を有する隔壁部材を前記リザーバ内に設け、前記隔壁部材は、前記枝管の外周に挿入される開口部を有することを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
  3. 前記枝管の湾曲部の肉厚を前記セパレータチューブの肉厚とほぼ等しくしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の緩衝器。
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