JP5880250B2 - 車両用前照灯 - Google Patents

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Description

この発明は、半導体型光源とリフレクタと複数の領域を有するレンズとを備える車両用前照灯に関するものである。
この種の車両用前照灯は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用前照灯について説明する。
特許文献1の従来の車両用前照灯は、LEDと、リフレクタと、第一のレンズカット部と第2のレンズカット部を有するレンズと、を備えるものである。LEDを点灯させると、LEDからの光がリフレクタで反射して、その反射光が第一のレンズカット部から集束された配光パターンとしてまた第二のレンズカット部から拡散された配光パターンとして車両の前方に照射される。
ここで、車両用前照灯ではないが、レンズ、反射面、光源、を備える車両用灯具(特許文献2、特許文献3)について説明する。
特許文献2の従来の車両用灯具は、第1レンズカットが形成されている第1レンズ部と第2レンズカットが形成されている第2レンズ部とが交互に配置されているレンズ、反射面、光源を備えるものである。光源を点灯させると、光源からの光が反射面で反射して、その反射光が第1レンズから左右方向に拡散された配光パターンとしてまた第2レンズから左右方向に拡散された配光パターンとして照射される。
特許文献3の従来の車両用灯具は、レンズカットが形成されているレンズ体とリフレクタと光源とを備えるものである。光源を点灯させると、光源からの光がリフレクタで反射して、その反射光がレンズ体から広角に拡散された配光パターンとして照射される。
特許第4895831号公報 特開2010−165485号公報 特開2010−118254号公報
かかる車両用前照灯および車両用灯具においては、車体デザイン上から、レンズが、車両の側面視において、車両の前側から後側にかけて、車両の下側から上側に傾斜している場合と、車両の上側から下側に傾斜している場合とがある。レンズが、車両の側面視において、車両の前側から後側にかけて、車両の下側から上側に傾斜している場合においては、図9(B)に示すように、ある1個のレンズカット部から照射される配光パターンP10の左右両端部が下方に垂れ下がる所謂バナナ現象が発生する場合がある。また、レンズが、車両の側面視において、車両の前側から後側にかけて、車両の上側から下側に傾斜している場合においては、図10(B)に示すように、ある1個のレンズカット部から照射される配光パターンP20の左右両端部が上方につり上がる所謂逆バナナ現象が発生する場合がある。
このバナナ現象あるいは逆バナナ現象が発生すると、全体の配光パターンの両端部が下方に垂れ下がったり、あるいは、上方につり上がったりして、全体の配光パターンの配光制御が影響される。特に、車両用前照灯において、全体の配光パターンのうち、水平カットオフラインを有する配光パターンにバナナ現象あるいは逆バナナ現象が発生すると、水平カットオフラインの両端部が下方に垂れ下がったり、あるいは、上方につり上がったりして、影響が大きくなる。
この発明が解決しようとする課題は、従来の車両用前照灯では、レンズが、車両の側面視において、車両の前側から後側にかけて、車両の下側から上側に、あるいは、車両の上側から下側に、傾斜していると、バナナ現象あるいは逆バナナ現象が発生する場合があるという点にある。
この発明(請求項1にかかる発明)は、半導体型光源と、リフレクタと、レンズと、を備え、半導体型光源が下向きもしくは上向きの発光面を有し、リフレクタが反射面を有し、レンズが複数の領域に区画されていて、レンズが、車両の側面視において、車両の前側から後側にかけて、車両の下側から上側に傾斜していて、複数の領域の一部が、上端側の曲率半径が下端側の曲率半径よりも大きくなるように制御された連続的な自由曲面からなる、ことを特徴とする。
この発明(請求項2にかかる発明)は、半導体型光源と、リフレクタと、レンズと、を備え、半導体型光源が下向きもしくは上向きの発光面を有し、リフレクタが反射面を有し、レンズが複数の領域に区画されていて、レンズが、車両の側面視において、車両の前側から後側にかけて、車両の上側から下側に傾斜していて、複数の領域の一部が、上端側の曲率半径が下端側の曲率半径よりも小さくなるように制御された連続的な自由曲面からなる、ことを特徴とする。
この発明(請求項3にかかる発明)は、半導体型光源と、リフレクタと、レンズと、を備え、半導体型光源が下向きもしくは上向きの発光面を有し、リフレクタが反射面を有し、レンズが複数の領域に区画されていて、レンズが、車両の側面視において、車両の前側から後側にかけて、車両の下側から上側に傾斜している第1レンズ部と、車両の上側から下側に傾斜している第2レンズ部と、から構成されていて、第1レンズ部の複数の領域の一部が、上端側の曲率半径が下端側の曲率半径よりも大きくなるように制御された連続的な自由曲面からなり、第2レンズ部の複数の領域の一部が、上端側の曲率半径が下端側の曲率半径よりも小さくなるように制御された連続的な自由曲面からなる、ことを特徴とする。
この発明(請求項4にかかる発明)は、複数の領域の一部が、全体の配光パターンのうち、水平カットオフラインを有する配光パターンを形成する領域である、ことを特徴とする。
この発明の車両用前照灯は、レンズが、車両の側面視において、車両の前側から後側にかけて、車両の下側から上側に傾斜している場合には、複数の領域の一部を、上端側の曲率半径が下端側の曲率半径よりも大きくなるように制御された連続的な自由曲面に形成する。これにより、領域の中央部の法線に対して下に向いている領域の左右両端部の法線を上に向けるように補正することができる。この結果、図9(B)に示す左右両端部が垂れ下がっている配光パターンP10を、図9(A)に示す左右両端部が水平である配光パターンP1に補正することができる。
また、この発明の車両用前照灯は、レンズが、車両の側面視において、車両の前側から後側にかけて、車両の上側から下側に傾斜している場合には、複数の領域の一部を、上端側の曲率半径が下端側の曲率半径よりも小さくなるように制御された連続的な自由曲面に形成する。これにより、領域の中央部の法線に対して上に向いている領域の左右両端部の法線を下に向けるように補正することができる。この結果、図10(B)に示す左右両端部がつり上がっている配光パターンP20を、図10(A)に示す左右両端部が水平である配光パターンP2に補正することができる。
このように、この発明の車両用前照灯は、レンズが、車両の側面視において、車両の前側から後側にかけて、車両の下側から上側に、あるいは、車両の上側から下側に、傾斜していても、バナナ現象あるいは逆バナナ現象を解消することができる。この結果、全体の配光パターンの両端部が下方に垂れ下がったり、あるいは、上方につり上がったりして、全体の配光パターンの配光制御が影響されるような虞がない。
図1は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態を示し、左右両側の車両用前照灯を搭載した車両の平面図である。 図2は、左側のランプユニットを示す斜視図である。 図3は、左側のランプユニットを示す正面図である。 図4は、図3におけるIV−IV線断面図である。 図5は、第1レンズ部の1個の領域を示す説明斜視図である。 図6は、第1レンズ部の1個の領域を示す説明図である。 図7は、第2レンズ部の1個の領域を示す説明斜視図である。 図8は、第2レンズ部の1個の領域を示す説明図である。 図9は、第1レンズ部の1個の領域から出射される配光パターンを示す説明図である。 図10は、第2レンズ部の1個の領域から出射される配光パターンを示す説明図である。 図11は、車両の前方に照射されるロービーム用配光パターン、ハイビーム用配光パターンを示す説明図である。
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態(実施例)を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。この明細書および特許請求の範囲において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用前照灯を車両に搭載した際の前、後、上、下、左、右である。
図面において、符号「F」は、車両の前側(車両の前進方向側)を示す。符号「B」は、車両の後側を示す。符号「U」は、ドライバー側から前側を見た上側を示す。符号「D」は、ドライバー側から前側を見た下側を示す。符号「L」は、ドライバー側から前側を見た場合の左側を示す。符号「R」は、ドライバー側から前側を見た場合の右側を示す。また、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。スクリーンの左側とは、上下の垂直線VU−VDより左側を言う。スクリーンの右側とは、上下の垂直線VU−VDより右側を言う。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。スクリーンの上側とは、左右の水平線HL−HRより上側を言う。スクリーンの下側とは、左右の水平線HL−HRより下側を言う。
図9〜図11は、コンピュータシミュレーションにより作図されたスクリーン上の配光パターンを簡略化して示す等光度曲線の説明図であって、中央の等光度曲線は、高光度帯であって、その他の曲線は、外に行くにしたがって低くなる光度帯である。
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態における車両用前照灯の構成について説明する。図1中、符号1L、1Rは、この実施形態における車両用前照灯(たとえば、ヘッドランプなど)である。前記車両用前照灯1L、1Rは、左側通行用の車両Cの前部の左右両端部に搭載されている。以下、車両Cの左側Lに搭載される左側の車両用前照灯1Lについて説明する。なお、車両Cの右側Rに搭載される右側の車両用前照灯1Rは、左側の車両用前照灯1Lとほぼ同様の構成をなすので、説明を省略する。
(車両用前照灯1Lの説明)
前記車両用前照灯1Lは、図2〜図4に示すように、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、第1半導体型光源(ロービーム用半導体型光源)2、図示しない第2半導体型光源(ハイビーム用半導体型光源)と、第1リフレクタ(ロービーム用リフレクタ)3、図示しない第2リフレクタ(ハイビーム用リフレクタ)と、レンズ4と、ヒートシンク部材5と、カバー部材6と、を備えるものである。
前記第1半導体型光源2、前記第2半導体型光源、前記第1リフレクタ3、前記第2リフレクタ、前記レンズ4、前記ヒートシンク部材5、前記カバー部材6は、ランプユニットを構成する。前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズは、灯室(図示せず)を画成する。前記ランプユニット2、3、4、5、6は、前記灯室内に配置されていて、かつ、上下方向用光軸調整機構(図示せず)および左右方向用光軸調整機構(図示せず)を介して前記ランプハウジングに取り付けられている。
(第1半導体型光源2の説明)
前記第1半導体型光源2は、図4に示すように、この例では、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源である。前記第1半導体型光源2は、発光チップ(LEDチップ)20と、前記発光チップ20を封止樹脂部材で封止したパッケージ(LEDパッケージ)と、前記パッケージを実装した基板21と、前記基板21に取り付けられていて前記発光チップ20に電源(バッテリー)からの電流を供給するコネクタ22と、から構成されている。前記基板21は、スクリュー(図示せず)により、前記ヒートシンク部材5に固定されている。この結果、前記第1半導体型光源2は、前記ヒートシンク部材5に固定されている。
前記発光チップ20は、平面矩形形状(平面長方形状)をなす。すなわち、4個の正方形のチップを図示しないX軸方向(水平方向)に配列してなるものである。なお、2個もしくは3個もしくは5個以上の正方形のチップ、あるいは、1個の長方形のチップ、あるいは、1個の正方形のチップ、を使用しても良い。前記発光チップ20の長方形の下側Dの面(下面)は、発光面をなす。この結果、前記発光面は、下側Dに向いている。前記発光チップ20の前記発光面の中心Oは、前記第1リフレクタ3の基準焦点F1もしくはその近傍に位置し、かつ、前記第1リフレクタ3の基準光軸(基準軸)Z上もしくはその近傍に位置する。
図4において、Y、Zは、直交座標(X−Y−Z直交座標系)を構成する。図示しないX軸は、前記発光チップ20の前記発光面の中心Oを通る左右方向の水平軸である。前記X軸は、車両Cの内側、すなわち、この実施形態1において、右側Rが+方向であり、車両Cの外側、すなわち、この実施形態1において、左側Lが−方向である。また、前記Y軸は、前記発光チップ20の前記発光面の中心Oを通る上下方向の鉛直軸(垂直軸、法線、垂線)である。前記Y軸は、この実施形態1において、上側Uが+方向であり、下側Dが−方向である。さらに、前記Z軸は、前記第1リフレクタ3の基準光軸Zであり、前記発光チップ20の前記発光面の中心Oを通り、かつ、前記X軸および前記Y軸と直交する前後方向の軸である。前記Z軸は、この実施形態1において、前側Fが+方向であり、後側Bが−方向である。図5、図7において、X1、X2は、前記X軸に平行な水平軸である。また、Y1、Y2は、前記Y軸に平行な鉛直軸である。Z1、Z2は、前記Z軸に平行な軸である。
前記第2半導体型光源は、前記第1半導体型光源2とほぼ同様の構成をなすので、前記第2半導体型光源の構成の詳細な説明を省略する。なお、前記第2半導体型光源の発光チップの発光面は、下側に向いている。また、前記第2半導体型光源の発光光量は、前記第1半導体型光源2の発光光量よりも少ない。さらに、前記第2半導体型光源は、前記第1半導体型光源2よりも車両Cの内側(右側R)に位置する。
(第1リフレクタ3の説明)
前記第1リフレクタ3は、図4に示すように、反射部30と、取付部(図示せず)と、から構成されている。前記取付部は、スクリュー(図示せず)により、前記ヒートシンク部材5に固定されている。この結果、前記第1リフレクタ3は、前記ヒートシンク部材5に固定されている。前記反射部30の前側Fの面(内面)には、ひとつの連続面で形成された反射面32が設けられている。
前記反射面32は、パラボラ系の自由曲面からなる反射面である。この結果、前記反射面32(前記第1リフレクタ3)は、前記基準焦点F1および前記基準光軸Zを有する。前記反射面32は、前記第1半導体型光源2からの光を、斜めカットオフラインと水平カットオフラインとエルボー点(斜めカットオフラインと水平カットオフラインとの交点もしくはその近傍の点)とを有する第1基本配光パターン(ロービーム用基本配光パターン、図示せず)として反射させる自由曲面の反射面である。
前記第2リフレクタは、前記第1リフレクタ3とほぼ同様の構成をなすので、前記第2リフレクタの構成の詳細な説明を省略する。なお、前記第2リフレクタは、前記第2半導体型光源からの光を、図示しない高光度帯を有する第2基本配光パターン(ハイビーム用基本配光パターン、図示せず)として反射させる自由曲面の反射面を有する。また、前記第2リフレクタは、前記第1リフレクタ3よりも車両Cの内側(右側R)に位置する。
(レンズ4の説明)
前記レンズ4は、図2〜図8に示すように、正面視長方形形状をなすレンズ部41、42と、取付部(図示せず)と、から構成されている。前記レンズ部は、上側Uほぼ半分の第1レンズ部41と、下側Dのほぼ半分の第2レンズ部42と、から構成されている。前記取付部は、スクリュー(図示せず)により、前記ヒートシンク部材5に固定されている。この結果、前記レンズ4は、前記ヒートシンク部材5に固定されている。前記レンズ4と前記第1リフレクタ3、前記第2リフレクタとの間の前後方向の距離は、小さい。
前記第1レンズ部41、前記第2レンズ部42は、複数の領域(プリズム、プリズムカット、カット、プリズム面、プリズムカット面、カット面)43、44に区画されているレンズ(薄肉レンズ、プリズムレンズ)である。前記レンズ4の前記第1レンズ部41、前記第2レンズ部42は、車両Cの正面視において、車両Cの内側(右側R)から外側(左側L)にかけて車両Cの下側Dから上側Uに傾斜(スラント)している(つり上がっている)。
前記レンズ4の前記第1レンズ部41は、車両Cの側面視において、車両Cの前側Fから後側Bにかけて車両Cの下側Dから上側Uに傾斜(スラント)している。すなわち、前記第1レンズ部41は、鉛直線(前記鉛直軸Y1)に対して角度θ1分傾斜している。前記レンズ4の前記第2レンズ部42は、車両Cの側面視において、車両Cの前側Fから後側Bにかけて車両Cの上側Uから下側Dに傾斜(スラント)している。すなわち、前記第2レンズ部42は、鉛直線(前記鉛直軸Y2)に対して角度θ2分傾斜している。
前記レンズ4の前記第1レンズ部41、前記第2レンズ部42の内面(後側Bの面)には、入射面45が設けられている。前記レンズ4の前記第1レンズ部41、前記第2レンズ部42の外面(前側Fの面)には、出射面46が設けられている。前記入射面45は、複数の前記領域43、44であって、凸状自由曲面をなす。なお、前記領域43、44(前記入射面45)は、前記の凸状自由曲面(凸面)以外に、平面(素通し)、凸面あるいは平面の一部に凹面を設けたものであっても良い。この結果、前記レンズ4の前記第1レンズ部41、前記第2レンズ部42の水平断面(横断面)において、前記入射面45は、円弧形状とはならない。前記出射面46は、平面もしくは複合2次曲面をなす。
前記レンズ4の前記第1レンズ部41、前記第2レンズ部42は、ロービーム用レンズ部と、ハイビーム用レンズ部と、から一体に構成されている。前記ハイビーム用レンズ部は、前記ロービーム用レンズ部よりも車両Cの内側(右側R)に位置する。
前記ロービーム用レンズ部は、前記第1リフレクタ3の前記反射面32に対応して設けられている。前記ロービーム用レンズ部は、前記第1リフレクタ3の前記反射面32からの前記第1基本配光パターンを、図11(A)に示す第1配光パターンすなわちロービーム用配光パターンLPとして配光制御して車両Cの前方に照射するレンズ部である。前記ロービーム用配光パターンLPは、斜めカットオフラインCL1と水平カットオフラインCL2とエルボー点E(斜めカットオフラインCL1と水平カットオフラインCL2との交点もしくはその近傍の点)とを有する。
前記ハイビーム用レンズ部は、前記第2リフレクタの前記反射面に対応して設けられている。前記第2レンズ部は、前記第2リフレクタの前記反射面からの前記第2基本配光パターンを、図11(B)に示す第2配光パターンP2として配光制御して車両Cの前方に照射するレンズ部である。前記第2配光パターンP2は、高光度帯(ホットゾーン)HZを有する。前記ロービーム用配光パターンLPと前記第2配光パターンP2とを重畳(合成)することにより、図11(C)に示すハイビーム用配光パターンHPが得られる。
(領域43、44の説明)
前記第1レンズ部41の複数の前記凸状自由曲面すなわち前記領域43(前記入射面45)は、図6に示すように、上端(図6(A)中の実線、図6(C)中の破線にて示す端)側の曲率半径が下端(図6(C)中の実線にて示す端)側の曲率半径よりも大きくなるように制御された連続的な自由曲面からなる。図6(A)は、図6(B)におけるA矢視図である。図6(B)は、前記第1レンズ部41の1個の前記領域43を示す正面図(背面図)である。図6(C)は、図6(B)におけるC矢視図である。
前記第2レンズ部42の複数の前記凸状自由曲面すなわち前記領域44(前記入射面45)は、図8に示すように、上端(図8(A)中の実線にて示す端)側の曲率半径が下端(図8(A)中の破線、図8(C)中の実線にて示す端)側の曲率半径よりも小さくなるように制御された連続的な自由曲面からなる。図8(A)は、図8(B)におけるA矢視図である。図8(B)は、前記第2レンズ部42の1個の前記領域44を示す正面図(背面図)である。図8(C)は、図8(B)におけるC矢視図である。
ここで、前記第1レンズ部41、前記第2レンズ部42の複数の前記凸状自由曲面すなわち前記領域43、44(前記入射面45)全部を前記の構成としても良いし、あるいは、複数の前記領域43、44のうち、全体の配光パターン、すなわち、図11(A)に示すロービーム用配光パターンLPの水平カットオフラインCL2を有する配光パターンP1、P2を形成する一部の前記領域43、44を、前記の構成としても良い。
(ヒートシンク部材5の説明)
前記ヒートシンク部材5は、図2〜図4に示すように、水平板部50と、フィン部51と、取付部と、シェード部53と、から構成されている。前記水平板部50の一面(下側Dの面)には、前記第1半導体型光源2および前記第2半導体型光源および前記第1リフレクタ3および前記第2リフレクタが前記スクリューにより取り付けられている。
前記水平板部50の他面(上側Uの面)には、複数枚の垂直板形状の前記フィン部51が一体に設けられている。前記フィン部51は、前記第1半導体型光源2の前記発光チップ20、前記第2半導体型光源の前記発光チップで発生する熱を外部に放出するものである。
前記水平板部50の一面の前側Fの縁の左右両端部には、前記取付部が一体に設けられている。前記取付部には、前記レンズ4が前記スクリューにより取り付けられている。
前記水平板部50の一面の前側Fの縁の中央部には、前記シェード部53が一体に設けられている。前記シェード部53は、前記第1半導体型光源2の前記発光面からの光が前記レンズ4の前記第1レンズ部41、前記第2レンズ部42に直接入射するのを防ぐものである。
(カバー部材6の説明)
前記カバー部材6は、図2〜図4に示すように、前側Fの部分が閉塞し、かつ、後側Bの部分が開口した中空状のカバー形状をなす。前記カバー部材6は、光不透過性部材から構成されている。
前記カバー部材6の前側Fの部分には、長方形形状をなす挿入開口部60が設けられている。前記挿入開口部60には、前記レンズ4の前記第1レンズ部41、前記第2レンズ部42が挿入されている。前記カバー部材6の前側Fの部分の前記挿入開口部60の内側の左右両側の縁には、取付部が一体に設けられている。前記取付部は、前記レンズ4の前記取付部に取り付けられている。この結果、前記カバー部材6は、前記レンズ4を介して前記ヒートシンク部材5に固定されている。前記カバー部材6の後側Bの開口部の上下の縁の中央部には、通気開口部62が設けられている。
(実施形態の作用の説明)
この実施形態における車両用前照灯1L、1Rは、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
第1半導体型光源2の発光チップ20を点灯する。すると、発光チップ20の発光面から放射される光の大部分は、第1リフレクタ3の反射面32でレンズ4側に反射される。
反射面32で反射された反射光は、斜めカットオフラインと水平カットオフラインとエルボー点とを有する第1基本配光パターン(図示せず)に配光制御されて、レンズ4のロービーム用レンズ部を、入射面45から出射面46へと、透過する。ロービーム用レンズ部から出射する出射光は、図11(A)に示すように、斜めカットオフラインCL1と水平カットオフラインCL2とエルボー点Eとを有するロービーム用配光パターンLPに配光制御されて車両Cの前方に照射される。
また、第2半導体型光源の発光チップを点灯する。すると、発光チップの発光面から放射される光の大部分は、第2リフレクタの反射面でレンズ4側に反射される。
反射面で反射された反射光は、高光度帯を有する第2基本配光パターン(図示せず)に配光制御されて、レンズ4のハイビーム用レンズ部を、入射面45から出射面46へと、透過する。ハイビーム用レンズ部から出射する出射光は、図11(B)に示すように、高光度帯(ホットゾーン)HZを有する第2配光パターンP2に配光制御されて車両Cの前方に照射される。
図11(A)に示すロービーム用配光パターンLPと、図11(B)に示す第2配光パターンP2とを重畳(合成)することにより、図11(C)に示すハイビーム用配光パターンHPが得られる。
(実施形態の効果の説明)
この実施形態における車両用前照灯1L、1Rは、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
この実施形態における車両用前照灯1L、1Rは、レンズ4のうち、車両Cの側面視において、車両Cの前側Fから後側Bにかけて、車両Cの下側Dから上側Uに傾斜している第1レンズ部41の複数の領域43を、上端側の曲率半径が下端側の曲率半径よりも大きくなるように制御された連続的な自由曲面に形成する。これにより、領域43の中央部の法線に対して下に向いている領域43の左右両端部の法線を上に向けるように補正することができる。この結果、図9(B)に示す左右両端部が垂れ下がっている配光パターンP10を、図9(A)に示す左右両端部が水平である配光パターンP1に補正することができる。
また、この実施形態における車両用前照灯1L、1Rは、レンズ4のうち、車両Cの側面視において、車両Cの前側Fから後側Bにかけて、車両Cの上側Uから下側Dに傾斜している第2レンズ部42の複数の領域44を、上端側の曲率半径が下端側の曲率半径よりも小さくなるように制御された連続的な自由曲面に形成する。これにより、領域44の中央部の法線に対して上に向いている領域の左右両端部の法線を下に向けるように補正することができる。この結果、図10(B)に示す左右両端部がつり上がっている配光パターンP20を、図10(A)に示す左右両端部が水平である配光パターンP2に補正することができる。
このように、この実施形態における車両用前照灯1L、1Rは、レンズ4が、車両Cの側面視において、車両Cの前側Fから後側Bにかけて、車両Cの下側Dから上側Uに、また、車両Cの上側Uから下側Dに、傾斜していても、バナナ現象あるいは逆バナナ現象を解消することができる。この結果、全体の配光パターン、すなわち、図11(A)に示すロービーム用配光パターンLPの左右両端部、および、図11(C)に示すハイビーム用配光パターンHPの左右両端部が下方に垂れ下がったり、あるいは、上方につり上がったりして、全体の配光パターン、すなわち、図11(A)に示すロービーム用配光パターンLP、および、図11(C)に示すハイビーム用配光パターンHPの配光制御が影響されるような虞がない。
ここで、車両用前照灯において、全体の配光パターンのうち、水平カットオフラインを有する配光パターンにバナナ現象あるいは逆バナナ現象が発生すると、水平カットオフラインの両端部が下方に垂れ下がったり、あるいは、上方につり上がったりして、影響が大きくなる。これに対して、この実施形態における車両用前照灯1L、1Rは、複数の領域43、44のうち、全体の配光パターン、すなわち、図11(A)に示すロービーム用配光パターンLPの水平カットオフラインCL2を有する配光パターンP1、P2を形成する一部の領域43、44を、前記の構成とする。この結果、前記の影響をなくすことができる。
(実施形態以外の例の説明)
この実施形態においては、車両Cが左側通行の場合の車両用前照灯1L、1Rについて説明するものである。ところが、この発明においては、車両Cが右側通行の場合の車両用前照灯にも適用することができる。
また、この実施形態においては、第1半導体型光源2の発光チップ20の発光面および第2半導体型光源の発光チップの発光面が下側Dに向いているものである。ところが、この発明においては、第1半導体型光源2の発光チップ20の発光面および第2半導体型光源の発光チップの発光面が上側Uに向いているものであっても良い。
さらに、この実施形態においては、レンズ4の入射面45が複数の領域43、44をなすものである。ところが、この発明においては、レンズ4の出射面46が複数の領域43、44をなすものであっても良いし、レンズ4の出射面46および入射面45が複数の領域43、44をなすものであっても良い。
さらにまた、この実施形態においては、レンズ4の入射面45が複数の領域43、44であって、凸状自由曲面をなすものであって、レンズ4の出射面46が平面もしくは複合2次曲面をなすものである。ところが、この発明においては、レンズ4の入射面45が平面もしくは複合2次曲面をなし、レンズ4の出射面46が複数の領域43、44であって、凸状自由曲面をなすものであっても良い。
さらにまた、この実施形態においては、第1半導体型光源2および第1リフレクタ3およびレンズ4の第1レンズ部により、図11(A)に示すロービーム用配光パターンLPを照射し、第2半導体型光源および第2リフレクタおよびレンズ4の第2レンズ部により、図11(B)に示す高光度帯(ホットゾーン)HZを有する第2配光パターンP2を照射して、図11(A)に示すロービーム用配光パターンLPと図11(B)に示す第2配光パターンP2とを重畳(合成)して図11(C)に示すハイビーム用配光パターンHPを称するものである。ところが、この発明においては、ロービーム用配光パターンLPのみを照射するもの、あるいは、フォグランプ用配光パターンを照射するもの、あるいは、カットオフラインを有する配光パターンを照射するものであってもよい。
1L 左側の車両用前照灯
1R 右側の車両用前照灯
2 第1半導体型光源
20 発光チップ
21 基板
22 コネクタ
3 第1リフレクタ
30 反射部
32 反射面
4 レンズ
41 第1レンズ部
42 第2レンズ部
43 第1レンズ部の領域
44 第2レンズ部の領域
45 入射面
46 出射面
5 ヒートシンク部材
50 水平板部
51 フィン部
53 シェード部
6 カバー部材
60 挿入開口部
62 通気開口部
C 車両
F 前側
B 後側
U 上側
D 下側
L 左側(車両外側)
R 右側(車両内側)
HL−HR スクリーンの左右の水平線
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
LP ロービーム用配光パターン
CL1 斜めカットオフライン
CL2 水平カットオフライン
E エルボー点
P2 第2配光パターン
HZ 高光度帯(ホットゾーン)
HP ハイビーム用配光パターン
F1 リフレクタの基準焦点
O 発光面の中心
Y Y軸
Z リフレクタの基準光軸(Z軸)
X1、X2 X軸に平行な水平軸
Y1、Y2 Y軸に平行な鉛直軸
Z1、Z2 Z軸に平行な軸
θ1 第1レンズ部の傾斜角度
θ2 第2レンズ部の傾斜角度

Claims (4)

  1. 半導体型光源と、リフレクタと、レンズと、を備え、
    前記半導体型光源は、下向きもしくは上向きの発光面を有し、
    前記リフレクタは、反射面を有し、
    前記レンズは、複数の領域に区画されていて、
    前記レンズは、車両の側面視において、車両の前側から後側にかけて、車両の下側から上側に傾斜していて、
    複数の前記領域の一部は、上端側の曲率半径が下端側の曲率半径よりも大きくなるように制御された連続的な自由曲面からなる、
    ことを特徴とする車両用前照灯。
  2. 半導体型光源と、リフレクタと、レンズと、を備え、
    前記半導体型光源は、下向きもしくは上向きの発光面を有し、
    前記リフレクタは、反射面を有し、
    前記レンズは、複数の領域に区画されていて、
    前記レンズは、車両の側面視において、車両の前側から後側にかけて、車両の上側から下側に傾斜していて、
    複数の前記領域の一部は、上端側の曲率半径が下端側の曲率半径よりも小さくなるように制御された連続的な自由曲面からなる、
    ことを特徴とする車両用前照灯。
  3. 半導体型光源と、リフレクタと、レンズと、を備え、
    前記半導体型光源は、下向きもしくは上向きの発光面を有し、
    前記リフレクタは、反射面を有し、
    前記レンズは、複数の領域に区画されていて、
    前記レンズは、車両の側面視において、車両の前側から後側にかけて、車両の下側から上側に傾斜している第1レンズ部と、車両の上側から下側に傾斜している第2レンズ部と、から構成されていて、
    前記第1レンズ部の複数の前記領域の一部は、上端側の曲率半径が下端側の曲率半径よりも大きくなるように制御された連続的な自由曲面からなり、
    前記第2レンズ部の複数の前記領域の一部は、上端側の曲率半径が下端側の曲率半径よりも小さくなるように制御された連続的な自由曲面からなる、
    ことを特徴とする車両用前照灯。
  4. 複数の前記領域の一部は、全体の配光パターンのうち、水平カットオフラインを有する配光パターンを形成する前記領域である、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
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