以下、画像形成装置を実施するための形態について、図1〜図11を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
また、説明は以下の順序で行う。
1.画像形成装置の第1の実施の形態
2.画像形成装置の第2の実施の形態
3.変形例
1.画像形成装置の第1の実施の形態
[画像形成装置の構成例]
まず、画像形成装置の第1の実施の形態の構成例について、図1を参照して説明する。
図1は、画像形成装置の第1の実施の形態を示す全体構成図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真方式により用紙に画像を形成するものであり、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせるタンデム形式のカラー画像形成装置である。この画像形成装置1は、原稿搬送部10と、用紙収納部20と、画像読取部30と、画像形成部40と、中間転写ベルト50と、2次転写部60と、定着部80と、制御基板90とを有する。
原稿搬送部10は、原稿をセットする原稿給紙台11と、複数のローラ12と、搬送ドラム13と、搬送ガイド14と、原稿排出ローラ15と、原稿排出トレイ16とを有している。原稿給紙台11にセットされた原稿Gは、複数のローラ12及び搬送ドラム13によって、画像読取部30の読取位置に1枚ずつ搬送される。搬送ガイド14及び原稿排出ローラ15は、複数のローラ12及び搬送ドラム13により搬送された原稿Gを原稿排出トレイ16に排出する。
画像読取部30は、原稿搬送部10により搬送された原稿G又は原稿台31に載置された原稿の画像を読み取って、画像データを生成する。具体的には、原稿Gの画像がランプ
Lによって照射される。原稿Gからの反射光は、第1ミラーユニット32、第2ミラーユニット33、レンズユニット34の順に導かれて、撮像素子35の受光面に結像する。撮像素子35は、入射した光を光電変換して所定の画像信号を出力する。出力された画像信号は、A/D変換されることにより画像データとして作成される。
また、画像読取部30は、画像読取制御部36を有している。画像読取制御部36は、A/D変換によって作成された画像データに、シェーディング補正やディザ処理、圧縮等の処理を施して、制御基板90のRAM103(図7参照)に格納する。なお、画像データは、画像読取部30から出力されるデータに限定されず、画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータや他の画像形成装置などの外部装置から受信したものであってもよい。
用紙収納部20は、装置本体の下部に配置されており、用紙Sのサイズや種類に応じて複数設けられている。この用紙Sは、給紙部21により給紙されて搬送部23に送られ、搬送部23によって転写位置である2次転写部60に搬送される。また、用紙収納部20の近傍には、手差部22が設けられている。この手差部22からは、用紙収納部20に収納されていないサイズの用紙やタグを有するタグ紙、OHPシート等の特殊紙が転写位置へ送られる。
画像読取部30と用紙収納部20との間には、画像形成部40と中間転写ベルト50が配置されている。画像形成部40は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成するために、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kを有する。
第1の画像形成ユニット40Yは、イエローのトナー像を形成し、第2の画像形成ユニット40Mは、マゼンダのトナー像を形成する。また、第3の画像形成ユニット40Cは、シアンのトナー像を形成し、第4の画像形成ユニット40Kは、ブラックのトナー像を形成する。これら4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kは、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは第1の画像形成ユニット40Yについて説明する。
第1の画像形成ユニット40Yは、ドラム状の感光体41と、感光体41の周囲に配置された帯電部42と、露光部43と、現像部44と、クリーニング部45を有している。感光体41は、不図示の駆動モータによって回転する。帯電部42は、感光体41に電荷を与え感光体41の表面を一様に帯電する。露光部43は、原稿Gから読み取られた画像データ又は外部装置から送信された画像データに基づいて、感光体41の表面に対して露光操作を行うことにより感光体41上に静電潜像を形成する。
現像部44は、トナーとキャリアからなる2成分現像剤を用いて、感光体41上に形成された静電潜像を現像する。この現像部44は、感光体41に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させる。これにより、感光体41の表面は、イエローのトナー像が形成される。
なお、第2の画像形成ユニット40Mの現像部44は、感光体41にマゼンタのトナーを付着させ、第3の画像形成ユニット40Cの現像部44は、感光体41にシアンのトナーを付着させる。そして、第4の画像形成ユニット40Kの現像部44は、感光体41にブラックのトナーを付着させる。
クリーニング部45は、感光体41の表面に残留しているトナーを除去する。
感光体41上に付着したトナーは、中間転写体の一例を示す中間転写ベルト50に転写される。中間転写ベルト50は、無端状に形成されており、複数のローラに掛け渡されている。この中間転写ベルト50は、不図示の駆動モータで感光体41の回転(移動)方向とは逆方向に回転駆動する。
中間転写ベルト50における各画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの感光体41と対向する位置には、1次転写部51が設けられている。この1次転写部51は、中間転写ベルト50にトナーと反対の極性の電圧を印加させることで、感光体41上に付着したトナーを中間転写ベルト50に転写する。
そして、中間転写ベルト50が回転駆動することで、中間転写ベルト50の表面には、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kで形成されたトナー像が順次転写される。これにより、中間転写ベルト50上には、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックのトナー像が重なり合いカラー画像が形成される。
また、中間転写ベルト50には、ベルトクリーニング装置53が対向している。このベルトクリーニング装置53は、用紙Sへのトナー画像の転写を終えた中間転写ベルト50の表面を清掃する。
中間転写ベルト50の近傍で、かつ搬送部23の用紙搬送方向下流には、2次転写部60が配置されている。この2次転写部60は、搬送部23によって送られてきた用紙Sを中間転写ベルト50に接触させて、中間転写ベルト50の外周面上に形成されたトナー画像を用紙Sに転写する。
2次転写部60は、2次転写ローラ61を有している。2次転写ローラ61は、対向ローラ52に圧接されている。そして、2次転写ローラ61と中間転写ベルト50が接触する部分は、2次転写ニップ部62となる。この2次転写ニップ部62は、中間転写ベルト50の外周面上に形成されたトナー画像を用紙Sに転写する転写位置である。
2次転写部60における用紙Sの排出側には、定着部80が設けられている。この定着部80は、用紙Sを加圧及び加熱して、転写されたトナー像を用紙Sに定着させる。定着部80は、例えば、一対の定着部材である定着上ローラ81及び定着下ローラ82で構成されている。定着上ローラ81及び定着下ローラ82は、互いに圧接した状態で配置されており、定着上ローラ81と定着下ローラ82との圧接部として定着ニップ部が形成される。
定着上ローラ81の内部には、加熱部が設けられている。この加熱部からの輻射熱により定着上ローラ81のローラ部が温められる。そして、定着上ローラ81のローラ部の熱が用紙Sへ伝達されることにより、用紙S上のトナー画像が熱定着される。
用紙Sは、2次転写部60によりトナー画像が転写された面(定着対象面)が定着上ローラ81と向き合うように搬送され、定着ニップ部を通過する。したがって、定着ニップ部を通過する用紙Sには、定着上ローラ81と定着下ローラ82とによる加圧と、定着上ローラ81のローラ部の熱による加熱が行われる。
定着部80の用紙搬送方向下流には、切換ゲート24が配置されている。切換ゲート24は、定着部80を通過した用紙Sの搬送路を切り換える。すなわち、切換ゲート24は、片面画像形成におけるフェースアップ排紙を行う場合に、用紙Sを直進させる。これにより、用紙Sは、一対の排紙ローラ25によって排紙される。また、切換ゲート24は、片面画像形成におけるフェースダウン排紙及び両面画像形成を行う場合に、用紙Sを下方
に案内する。
フェースダウン排紙を行う場合は、切換ゲート24によって用紙Sを下方に案内した後に、用紙反転搬送部26によって表裏を反転して上方に搬送する。これにより、表裏が反転された用紙Sは、一対の排紙ローラ25によって排紙される。
両面画像形成を行う場合は、切換ゲート24によって用紙Sを下方に案内した後に、用紙反転搬送部26によって表裏を反転し、再給紙路27により再び転写位置へ送られる。
一対の排紙ローラ25の下流側には、用紙Sを折ったり、用紙Sに対してステープル処理等を行ったりする後処理装置を配置してもよい。
[トナー収納部及びキャリア収納部]
次に、トナー収納部及びキャリア収納部について、図2を参照して説明する。
図2は、画像形成装置1における現像部、トナー収納部及びキャリア収納部を示す説明図である。
図2に示す4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの各現像部44は、各色のトナーと、キャリアが供給される。現像部44は、トナーとキャリアからなる2成分現像剤を収容するハウジングと、感光体41にトナーを付着させる現像ロールと、現像剤循環搬送機構とを有している。
現像剤循環搬送機構は、2成分現像剤を撹拌しながら現像ロールへ搬送すると共に、2成分現像剤をハウジング内で循環させる。2成分現像剤がハウジング内を循環する間に、トナーは印刷動作に伴い随時消費され、新しいトナーが補給される。また、ハウジング内の2成分現像剤は、トリクル機構により徐々に新しいものと入れ替えられる。これにより、劣化したキャリアが排出され、排出された量のキャリアが新しく補給される。
画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの各現像部44に補給するトナーは、トナー収納部71Y,71M,71C,71Kに収納されている。トナー収納部71Yには、イエローのトナーが収納され、トナー収納部71Mには、マゼンダのトナーが収納されている。また、トナー収納部71Cには、シアンのトナーが収納され、トナー収納部71Kには、ブラックのトナーが収納されている。
トナー収納部71Y,71M,71C,71Kに収納され各色のトナーは、管状に形成されたトナー搬送路72Y,72M,72C,72K内を搬送され、画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの各現像部44に補給される。トナー搬送路72Yの一端は、トナー収納部71Yに接続され、トナー搬送路72Yの他端は、第1の画像形成ユニット40Yの現像部44に接続されている。
これと同等に、トナー搬送路72M,72C,72Kの一端は、トナー収納部71M,71C,71Kに接続され、トナー搬送路72M,72C,72Kの他端は、画像形成ユニッ40M,40C,40Kの各現像部44に接続されている。トナー収納部71Y,71M,71C,71Kから画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの各現像部44へのトナーの搬送は、例えば、スクリューポンプの吸引力を用いて行うことができる。
画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの各現像部44に補給するキャリアは、キャリア収納部73に収納されている。このキャリア収納部73は、中空の直方体状に形成されており、トナー搬送路72Y,72M,72C,72Kの上方に配置されている。
キャリアは、粒径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂等の芯材に、アミノ系樹脂、ポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シリコン樹脂等で表面を被覆したものが用いられる。
キャリア収納部73の上方には、キャリアボトル74が配置されている。キャリアボトル74は、キャリアを収納しており、画像形成装置1の装置本体に対して着脱可能に構成されている。キャリアボトル74がキャリア収納部73の上方に装着されると、キャリアボトル74内のキャリアは、自重によりキャリア収納部73に充填される。
キャリア収納部73は、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)等の合成樹脂により箱状に形成されている。キャリア収納部73の底部73aは、中央部に向かうにつれて細くなるように傾斜されたテーパ状に形成されている。このキャリア収納部73の底部には、排出口731(図3参照)が形成されている。キャリア収納部73の排出口731には、キャリア排出機構77が設けられている。このキャリア排出機構77は、排出口731から所定量のキャリアを排出させる。
排出口731の下方には、振分部75が設けられており、振分部75には、キャリアガイド部材76Y,76M,76C,76Kが接続されている。振分部75は、キャリア収納部73の排出口731から排出されたキャリアを、キャリアガイド部材76Y,76M,76C,76Kのいずれかに振り分ける。
キャリアガイド部材76Y,76M,76C,76Kは、弾性を有するフレキシブルチューブにより形成されている。キャリアガイド部材76Y,76M,76C,76Kの一端は、振分部75に接続されており、他端は、トナー搬送路72Y,72M,72C,72Kの中途部に形成された補給口(不図示)に接続されている。これらキャリアガイド部材76Y,76M,76C,76Kは、キャリアを自由落下させてトナー搬送路72Y,72M,72C,72Kの補給口へ案内する。
キャリアガイド部材76Y,76M,76C,76Kは、上下方向に対する傾斜角度は、キャリアが転動可能な角度に設定する。キャリアガイド部材76Y,76M,76C,76Kの傾斜角度としては、例えば、上下方向に対して20度以下が好ましい。
[キャリア排出機構]
次に、キャリア排出機構77について、図3及び図4を参照して説明する。
図3は、キャリア排出機構77の断面図である。図4は、キャリア収納部73の排出口を拡大して示す断面図である。
図3に示すように、キャリア排出機構77は、キャリア収納部73の排出口731に設けられている。排出口731は、下方から見た平面形状が略長方形の筒状に形成されており、キャリア収納部73の底部73aを開口している。この排出口731における長辺側の2つの側部732,733は、外側に膨らむ円弧状に形成されている。そして、側部732の内面の曲率半径R1は、側部733の内面の曲率半径R2よりも大きくなっている(図4参照)。
キャリア収納部73には、キャリアの残量が所定量になったことを検知するキャリア残量検知センサ79が配設されている。このキャリア残量検知センサ79としては、例えば、発光素子と受光素子を有するフォトセンサを挙げることができる。しかし、本発明に係るキャリア検知センサとしては、例えば、撮像素子を用いてキャリア収納部の状態を画像で認識し、キャリアの充填量を検出するものであってもよい。
キャリア排出機構77は、ローラ771と、磁気部772から構成されている。
ローラ771の一部は、排出口731内に挿入されており、振分部75に回転可能に軸支されている。ローラ771は、後述するローラ回転駆動部91(図7参照)によって回転される。
ローラ771は、少なくとも外周面771aを形成する部分を酸化鉄、酸化クロム、コバルト、フェライト等の磁性部材によって形成することが好ましい。これにより、磁気部772との間に生じる磁界の磁束密度を高くすることができ、磁気部772との間でキャリアを磁気的に保持するための磁気力を大きくすることができる。
ローラ771の外周面771aの一部は、排出口731における2つの側部732,733の内面に所定の間隙をあけて対向している。そして、2つの側部732,733の内面に沿う円は、ローラ771の外周面771aに沿う円は、同心円となっている。つまり、2つの側部732,733における内面の曲率半径R1,R2の中心は、ローラ771の回転中心Pに一致している(図4参照)。
磁気部772は、排出口731における側部732の内面に貼り付けられた第1磁気片774と、側部733の内面に貼り付けられた第2磁気片775から構成されている。第1磁気片774及び第2磁気片775は、ローラ771の回転中心から上下方向に延びる線を境にして、左右両側に配置されている。これにより、第1磁気片774は、ローラ771の回転中心から上下方向に延びる線を境にして、ローラ771における外周面711aの一側に対向し、第2磁気片775は、ローラ771における外周面711aの他側に対向する。
第1磁気片774及び第2磁気片775は、可撓性を有するシート状に形成されており、対向するローラ771の外周面771aに沿って湾曲する曲面774a及び曲面775aを有している。
図4に示すように、第1磁気片774と第2磁気片775は、同じ厚みを有している。上述したように、第1磁気片774を貼り付ける側部732の内面の曲率半径R1は、第2磁気片775を貼り付ける側部733の内面の曲率半径R2よりも大きくなっている。そのため、第1磁気片774の曲面774aから曲面774aに対向するローラ771の外周面771aまでの距離D1は、第2磁気片775の曲面775aから対向するローラ771の外周面771aまでの距離D2よりも長い。したがって、第1磁気片774とローラ771との間の間隙は、第2磁気片775とローラ771との間の間隙よりも大きい。
図3に示すように、第1磁気片774とローラ771との間の間隙と、第2磁気片775とローラ771との間の間隙には、キャリア収納部73に収納されたキャリアが介在される。第1磁気片774とローラ771との間に介在されたキャリアは、第1磁気片774及びローラ771により生じる磁界の磁気力により、第1磁気片774側又はローラ771側に吸引され、磁気的に保持される。
また、第2磁気片775とローラ771との間に介在されたキャリアは、第2磁気片775及びとローラ771により生じる磁界の磁気力により、第2磁気片775側又はローラ771側に吸引され、磁気的に保持される。これにより、磁気片774,775とローラ771との間からキャリアが漏れないようにすることができる。
ここで、ローラ771の回転方向を、回転方向C1と回転方向C2とする。回転方向C1は、ローラ771における第1磁気片774に対向していた部分が外部へ露出される方向である。また、回転方向C2は、ローラ771における第2磁気片775に対向していた部分が外部へ露出される方向である。
ローラ771が回転方向C1に回転すると、第1磁気片774とローラ771との間に磁気的に保持されたキャリアは、ローラ771に引きずられて、第1磁気片774とローラ771により生じる磁界の磁気力が小さい位置(外部)へ移動する。これにより、ローラ771に引きずられたキャリアに対する磁気的な保持力が弱くなり、キャリアが自重により落下する。その結果、排出口731における第1磁気片774とローラ771との間からキャリアが排出される。
一方、ローラ771が回転方向C2に回転すると、第2磁気片775とローラ771との間に磁気的に保持されたキャリアは、ローラ771に引きずられて、第2磁気片775とローラ771により生じる磁界の磁気力が小さい位置(外部)へ移動する。これにより、ローラ771に引きずられたキャリアに対する磁気的な保持力が弱くなり、キャリアが自重により落下する。その結果、排出口731における第2磁気片775とローラ771との間からキャリアが排出される。
上述したように、第1磁気片774とローラ771との間の間隙は、第2磁気片775とローラ771との間の間隙よりも大きい。これにより、第1磁気片774とローラ771により生じる磁界の磁気力は、第2磁気片775とローラ771により生じる磁界の磁気力よりも小さくなる。
つまり、第1磁気片774とローラ771との間でキャリアを磁気的に保持する力は、第2磁気片775とローラ771との間でキャリアを磁気的に保持する力よりも小さい。したがって、ローラ771を回転方向C1へ回転させた方が、回転方向C2へ回転させるよりも、排出口731からキャリアが排出され易くなり、現像部44(図2参照)に対するキャリアの補給時間を短くすることができる。
本実施の形態では、後述するローラ回転駆動部91(図7参照)がローラ771を所定の回転速度(例えば、50〜300rpm)で回転させる構成とした。そして、ローラ771の回転方向を変更することにより、現像部44に対するキャリアの補給量を異ならせることができる。
[振分部]
次に、振分部75について、図3、図5及び図6を参照して説明する。
図5は、振分部75を下方から見た斜視図である。図6は、振分部75の底面図である。
図3に示すように、振分部75は、外装部751と、接続部752と、ロート部材753を備えている。外装部751は、キャリア収納部73に固定されており、キャリア収納部73の排出口731とキャリア排出機構77を覆う略筒状に形成されている。
接続部752は、外装部751の下部に接合されている。この接続部752は、有底筒状に形成されており、本体筒755と、この本体筒755の軸方向の一端に設けられた底部756とを有している。本体筒755は、円筒状に形成されており、外装部751の軸方向の一端部(下部)に嵌合されている。
底部756は、円形の板状に形成されている、この底部756の中心部には、貫通孔756aが形成されている。この貫通孔756aには、ロート部材753を回転させるロート回転駆動部92(図7参照)の回転軸(不図示)が貫通する。また、5つの接続口756bには、下方(外部)に突出する5つの接続口756bが設けられている。接続口756bは、底部756を貫通する貫通孔と、この貫通孔の周囲を覆う円筒状の突出部から形成されている(図5参照)。
図6に示すように、5つの接続口756bは、5つの接続口756bの中心部を中心に描かれる円の周方向に等しい間隔をあけて配置されている。これら5つの接続口756bのうちの4つの接続口756bには、キャリアガイド部材76Y,76M,76C,76Kの一端が接続されている。そして、5つの接続口756bのうちの1つの接続口756bには、不図示の封止部材が取り付けられている。つまり、底部756を貫通する貫通孔が封止されている。
ロート部材753は、略円柱状に形成されており、接続部752における本体筒755の内周面に回転可能に嵌合されている(図3参照)。ロート部材753には、キャリアを底部756の接続口756bに導くガイド部758が設けられている。このガイド部758は、ロート部材753の上面から下面にかけて斜めに傾斜した円錐状の切り欠きを設けることにより形成されている。
ガイド部758の下端758aは、ロート部材753の下面における中心部からずれた位置に開口している。このガイド部758の下端758aは、ロート部材753が回転することにより、接続部752の5つの接続口756bのいずれか1つに対向する。
また、ロート部材753の下面には、軸接続部759が設けられている。この軸接続部759には、ロート部材753を回転させるロート回転駆動部92(図7参照)の回転軸が接続される。
ロート回転駆動部92は、後述する制御部により制御され、ロート部材753を回転させせる。そして、キャリアを供給する現像部44に連通される接続口756bにガイド部758の下端758aを対向させる。
[画像形成装置の各部のハードウェア構成]
次に、画像形成装置1の各部のハードウェア構成について、図7を参照して説明する。
図7は、画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。
図7に示すように、画像形成装置1は、制御部100を備えている。この制御部100は、上述の制御基板90(図1参照)上に構成されている。
制御部100は、例えばCPU(中央演算処理装置)101と、CPU101が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)102と、CPU101の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)103とを有している。なお、ROM102としては、例えば、通常電気的に消去可能なプログラマブルROMを用いる。
CPU101は、装置全体を制御する。このCPU101は、HDD104及び操作表示部105にそれぞれシステムバス107を介して接続されている。また、CPU101は、通信部108、画像読取部30、画像処理部106、画像形成部40、給紙部21、定着部80、ローラ回転駆動部91、ロート回転駆動部92、温度計94、湿度計95、キャリア残量検知センサ79にシステムバス107を介して接続されている。
HDD104は、画像読取部30で読み取って得た原稿画像の画像データを記憶したり、出力済みの画像データ等を記憶したりする。操作表示部105は、液晶表示装置(LCD)又は有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイからなるタッチパネルである。この操作表示部105は、ユーザに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。さらに、操作表示部105は、複数のキーを備え、ユーザのキー操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付けて入力信号を出力する。
通信部108は、外部の情報処理装置であるPC(パーソナルコンピュータ)120から送信されるジョブ情報を、通信回線を介して受け取る。そして、受け取ったジョブ情報を、システムバス107を介して制御部100に送る。ジョブ情報には、形成する画像の画像データと、その画像データに対応付けられた使用する用紙の情報などが設定されている。
なお、本例では、外部装置としてパーソナルコンピュータを適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、外部装置としては、例えばファクシミリ装置等その他各種の装置を適用することができる。
温度計94及び湿度計95は、例えば、画像形成装置1の側面部に配設されている。温度計94は、画像形成装置1の外部の温度を検出し、その検出結果をCPU101に送信する。湿度計95は、画像形成装置1の外部の相対湿度を検出し、その検出結果をCPU101に送信する。
なお、相対湿度とは、ある気温で空気中に含まれる水蒸気の量(重量絶対湿度)を、その温度の飽和水蒸気量(重量絶対湿度)で割ったものである。
画像読取部30は、原稿画像を光学的に読み取って電気信号に変換する。例えば、カラー原稿を読み取る場合は、一画素当たりRGB各10ビットの輝度情報をもつ画像データを生成する。画像読取部30によって生成された画像データや、画像形成装置1に接続された外部装置の一例を示すPC120から送信される画像データは、画像処理部106に送られ、画像処理される。画像処理部106は、受信した画像データに対してアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮等の処理を行う。
例えば、画像形成装置1でカラー印刷を実行する場合、画像読取部30等によって生成されたR・G・Bの画像データを画像処理部106における色変換LUT(Look up Table)に入力する。そして、画像処理部106は、R・G・BデータをY・M・C・Kの画像データに色変換する。そして、色変換した画像データに対して、階調再現特性の補正、濃度補正LUTを参照した網点などのスクリーン処理、あるいは細線を強調するためのエッジ処理などを行う。
画像形成部40は、制御部100により駆動制御され、用紙S上にトナー像を形成する。定着部80は、制御部100により駆動制御され、用紙Sを加圧及び加熱して、トナー像を用紙Sに定着させる。ローラ回転駆動部91は、制御部100により駆動制御され、キャリア排出機構77のローラ771を所定の回転速度で回転させる。
ロート回転駆動部92は、制御部100により駆動制御され、キャリアを補給する現像部44に応じて振分部75のロート部材753を回転させる。例えば、第1の画像形成ユニット40Yの現像部44にキャリアを補給する場合は、振分部75のロート部材753を回転させて、キャリアガイド部材76Yが接続された接続口756bにガイド部758の下端を対向させる。
また、制御部100は、キャリアを排出口731から排出させないときに、振分部75のロート部材753を回転させて、封止部材が取り付けられた接続口756bにガイド部758の下端を対向させる。これにより、キャリアが排出口731から落ちてしまっても、そのキャリアを現像部44に補給してしまうことが無く、キャリアの補給量の制御を精度よく行うことができる。
キャリアを補給するタイミング及びキャリアの補給量は、例えば、画像を形成した用紙の枚数、画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの可動時間、トナーの消費量等に基づいて決定される。また、キャリアの補給のタイミング及びキャリアの補給量は、使用者が操作表示部105を用いて指示してもよい。
本実施の形態の画像形成装置1では、ローラ771と磁気部772との間でキャリアを磁気的に保持する。これにより、ローラ771と磁気部772との間からキャリアが漏れないようにすることができる。また、ローラ771が停止しているときに、キャリアを磁気的に保持するため、ローラ771が動作不能になったとしても、ローラ771と磁気部772との間からキャリアが漏れることは無い。
また、キャリアを排出口731から排出する場合は、ローラ771を回転方向C1又は回転方向C2へ回転させる。これにより、ローラ771と磁気部772との間で磁気的に保持されているキャリアは、回転するローラに引きずられて、ローラ771と磁気部772により生じる磁界の磁気力が小さい位置(外部)へ移動する。
その結果、ローラ771に引きずられたキャリアに対する磁気的な保持力が弱くなり、キャリアが自重により落下して、排出口731におけるローラ771と磁気部772との間からキャリアが排出される。このように、ローラ771の回転力(機械力)によってキャリアを引きずり出して磁気的な保持から剥離するため、キャリアの充填量により変化するかさ密度に影響されずに、所定量のキャリアを排出することができる。したがって、キャリアの補給量を容易に制御することができる。
また、本実施の形態の画像形成装置1では、磁気部772が半永久的に磁気力を有するため、キャリアを保持するための保持力を半永久的に保つことができると共に、キャリアに対する機械的なストレスを低減することができる。
2.画像形成装置の第2の実施の形態
[画像形成装置の構成例]
次に、画像形成装置の第2の実施の形態について、図8を参照して説明する。
図8は、画像形成装置の第2の実施の形態に係るキャリア収納部の排出口を拡大して示す断面図である。
画像形成装置の第2の実施の形態は、第1の実施の形態の画像形成装置1(図1参照)と同様の構成を有している。画像形成装置の第2の実施の形態が画像形成装置1と異なる点は、キャリア収納部173と、キャリアの補給時間決定処理である。したがって、ここでは、画像形成装置の第2の実施の形態に係るキャリア収納部173と、キャリアの補給時間決定処理について説明する。
[キャリア収納部]
画像形成装置の第2の実施の形態に係るキャリア収納部173は、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)等の合成樹脂により箱状に形成されている。キャリア収納部173の底部173aは、中央部に向かうにつれて細くなるように傾斜されたテーパ状に形成されている。また、キャリア収納部173には、キャリアの残量が所定量になったことを検知するキャリア残量検知センサ79が配設されている。
キャリア収納部173の底部173aには、排出口231が形成されている。排出口231は、下方から見た平面形状が略長方形の筒状に形成されており、キャリア収納部173の底部173aを開口している。この排出口231における長辺側の2つの側部232,233は、外側に膨らむ円弧状に形成されている。そして、側部232の内面の曲率半径は、側部233の内面の曲率半径と等しくなっている。
また、本実施の形態のキャリア排出機構77におけるローラ771の回転方向は、回転方向C2のみに設定されている。したがって、キャリア収納部173内のキャリアは、排出口231における第2磁気片775とローラ771との間から排出される。また、本実施の形態においても、ローラ回転駆動部91(図7参照)は、ローラ771を所定の回転速度(例えば、300rpm)で回転させる。
[キャリアの補給時間決定処理]
次に、キャリアの補給時間決定処理について、図9〜図11を参照して説明する。
図9は、第2の実施の形態のキャリア排出機構77によるキャリアの補給時間と相対湿度との関係を示す表である。
本実施の形態では、異なる相対湿度の環境下で、第2の実施の形態に係るキャリア排出機構77のローラ771を回転速度300rpmで回転させて、4.5gのキャリアを排出口231(図8参照)から排出するまでに要する時間を測定した。
図9に示すように、相対湿度が55%以下であるとき、4.5gのキャリアを排出(補給)するまでに要する時間は10秒であった。一方、相対湿度が80%のであるとき、4.5gのキャリアを排出(補給)するまでに要する時間は14.4秒であった。したがって、キャリア排出機構77によるキャリアの排出量は、相対湿度に応じて変化することが分かる。つまり、相対湿度が高くなれば、同じ駆動時間内におけるキャリアの排出量が減少することが分かる。
そこで、本実施の形態では、相対湿度に応じてキャリアの補給時間(ローラ771の回転時間)を変更する。具体的には、予め設定された基本補給時間Tに対して、相対湿度に応じた批正係数βを乗算して値を補給時間として決定する。
図10は、画像形成装置の第2の実施の形態に係る補正係数テーブルの例を示す説明図である。
図10に示す補正係数テーブルは、図9に示すキャリアの補給時間と相対湿度との関係に基づいて作成されており、上述したROM102(図7参照)に格納されている。この補正係数テーブルは、相対湿度に応じて補正係数を規定している。
本実施の形態では、相対湿度hが55%以下のとき、補正係数βとして「1」が決定され、相対湿度hが55%より大きくて60%以下のとき、補正係数βとして「1.1」が決定される。また、相対湿度hが60%より大きくて70%以下のとき、補正係数βとして「1.3」が決定され、相対湿度hが70%より大きいとき、補正係数βとして「1.4」が決定される。
なお、図10に示す補正係数テーブルで規定された相対湿度hの範囲と、補正係数βの値は、一例を示すものであり、適宜設定することができる。例えば、相対湿度hの範囲を3つ以下に区切ってもよく、5つ以上に区切ってもよい。また、基本補給時間Tの値は、キャリアの補給量、ローラ771の回転速度、ローラ771の外周面771aと磁気部772の曲面775aとの間の距離に応じて適宜設定する。
図11は、キャリアの補給時間決定処理の例を示すフローチャートである。
図11に示すように、キャリアの補給時間決定処理が開始されると、まず、CPU101(図7参照)は、湿度計95の検出結果を取得する(ステップS1)。次に、CPU101は、相対湿度hが55%以下であるか否かを判別する(ステップS2)。
ステップS2の処理において、相対湿度hが55%以下の範囲(50≦h)であると判別(YES)したとき、CPU101は、補正係数テーブルを参照して補正係数βとして「1」を決定する。そして、基本補給時間Tに「1」を乗算して、補給時間として「T」を決定する(ステップS3)。ステップS3の処理を終えると、CPU101は、キャリアの補給時間決定処理を終了する。
ステップS2の処理において、相対湿度hが55%以下の範囲ではないと判別(NO)したとき、CPU101は、相対湿度hが55%より大きくて60%以下の範囲(55<h≦60)であるか否かを判別する(ステップS4)。
ステップS4の処理において、相対湿度hが55%より大きくて60%以下の範囲であると判別(YES)したとき、CPU101は、補正係数テーブルを参照して補正係数βとして「1.1」を決定する。そして、基本補給時間Tに「1.1」を乗算して、補給時間として「1.1T」を決定する(ステップS5)。ステップS5の処理を終えると、CPU101は、キャリアの補給時間決定処理を終了する。
ステップS4の処理において、相対湿度hが55%より大きくて60%以下の範囲ではないと判別(NO)したとき、CPU101は、相対湿度hが60%より大きくて70%以下の範囲(60<h≦70)であるか否かを判別する(ステップS6)。
ステップS6の処理において、相対湿度hが60%より大きくて70%以下の範囲であると判別(YES)したとき、CPU101は、補正係数テーブルを参照して補正係数βとして「1.3」を決定する。そして、基本補給時間Tに「1.3」を乗算して、補給時間として「1.3T」を決定する(ステップS7)。ステップS7の処理を終えると、CPU101は、キャリアの補給時間決定処理を終了する。
ステップS6の処理において、相対湿度hが60%より大きくて70%以下の範囲ではないと判別(NO)したとき、CPU101は、補正係数テーブルを参照して補正係数βとして「1.4」を決定する。そして、基本補給時間Tに「1.4」を乗算して、補給時間として「1.4T」を決定する(ステップS8)。ステップS8の処理を終えると、CPU101は、キャリアの補給時間決定処理を終了する。
本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、ローラ771と磁気部772との間からキャリアが漏れないようにすることができる。また、ローラ771の回転力(機械力)によってキャリアを引きずり出すため、キャリアのかさ密度に影響されずに、所定量のキャリアを排出することができる。したがって、キャリアの補給量を容易に制御することができる。
また、本実施の形態では、相対湿度に応じてキャリアの補給時間を制御し、排出口231から排出されるキャリアの量を一定にする。これにより、相対湿度が変化してもキャリアの補給量を一定にすることができる。
3.変形例
以上、画像形成装置の実施の形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の画像形成装置は、上述の第1及び第2の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上述の第1及び第2の実施の形態では、ローラ771を磁性部材によって形成した。しかし、磁気部の磁気力によってキャリアを磁気的に保持できる場合は、本発明に係るローラを、磁界と相互作用を及ぼさない部材から形成してもよい。
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、ローラ771と磁気部772(第1磁気片774及び第2磁気片775)の間に2つの間隙を設ける構成とした。しかし、本発明に係るローラと磁気部の間の間隙は1つであってもよい。
また、上述の第1の実施の形態では、排出口731の2つの側部732,733を円弧状に形成し、第2の実施の形態では、排出口231の2つの側部232,233を円弧状に形成した。しかし、本発明に係る排出口の側部は、ローラ771に沿って湾曲することに限定されず、例えば、平板状に形成してもよい。
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、第1磁気片774と第2磁気片775をシート状に形成し、排出口における2つの側部の内面に貼り付けることにより、ローラ771の外周面771aに沿って湾曲させた。しかし、本発明に係る磁気部は、ローラ771の外周面771aに沿って湾曲していなくてもよく、ローラ771の外周面771aとの間にキャリアを磁気的に保持する間隙があれば、その形状を適宜変更することができる。
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、排出口における2つの側部の内面に第1磁気片774と第2磁気片775を固定する(貼り付ける)構成とした。しかし、本発明に係る磁気部としては、排出口の一部を兼ねる構成であってもよい。つまり、排出口における2つの側部が磁気部であってもよい。この場合は、第1磁気片及び第2磁気片を省くことができる。