JP5878443B2 - アンカーパイプの設置方法 - Google Patents
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Description
また、トンネルや法面などの野外の構造物では雨風や気温の変化、海辺においては塩害、その他の要因により、表面のコンクリートが経時劣化によりひび割れや下地との剥離を生じることが多々あり、剥落したコンクリートが地上に落下しないように受け止める図3に示すようなネット24によりコンクリート面を覆う工法がある。(特許文献1)
このようなネット24を設置する工法では、強度や耐久性の他、ネット自体が自重で垂れ下がったり崩落したりしないよう、引っ張りに対する強度とある程度の剛性を持ちながらも軽量なFRPや高強度ビニロン等の素材でできたネット24が使用されることが多い。ネットは、格子状に積層した強化材(ガラス繊維や炭素繊維)に、マトリックス(樹脂)を浸潤させて形成されており、例えば50mm角の格子状に構成されている。この50mm角の格子の中に、細い太さでさらに小さい格子を形成したネットもある。
以上のようなアンカーパイプ1は、パイプ部分にかかる剪断力に対する強度、鍔部5の強度、及び抜けに対する保持強度の3種類の強度が要求されており、特にトンネルの天井面や下向きの斜面などに設置する場合は、抜けに対する保持強度が重要になる。
アンカーパイプ1は、図6に示すようにロックピン7を打ち込むことにより先端部3が拡開するように、先端部3側の内面に凸部4と摺り割5が設けられている。
躯体20に穿設された下孔22にこのアンカーパイプ1を挿入し、このアンカーパイプ1の先端部3にまでロックピン7を打ち込むことにより凸部4が外側に押し出されて先端部3が拡開し、下孔22の内面に食込んで固着される。
注入された樹脂は、矢印33で示すようにアンカーパイプ1内を進んで先端側3に達し、矢印34で示すように摺り割6を通って下孔22の最深部まで充填されるとともに、矢印35で示すようにアンカーパイプ1と下孔22との隙間14にも浸入し、アンカーパイプ1を外側から覆うよう充填される。
また、樹脂は下孔22内だけではなく、矢印37で示すように下孔22の周りに生じた亀裂27やモルタルの浮き部分(図示せず)にも浸入して補修が行われる。
下孔22とアンカーパイプ1との隙間14を樹脂で埋めることにより、特に抜けに対する保持強度が向上するとともに、気密性、水密性が向上し、アンカーパイプ1と水との接触による腐食を抑制することにより、経時劣化を減少させて耐用年数を延ばすことができる。
SUS304は、素地のままであれば耐腐食性が高いが、部品に加工する際の曲げや延展により組織変化を起こして耐腐食性が低下する。
前述のようなアンカーパイプ1では、内面の凸部4や基端部2の鍔部5を形成するためにパイプに延展、絞りなどの加工を加えるので、これらの部分が腐食しやすくなっている。
コーキングガン31は、図6に示すように下孔22に打ち込まれたアンカーパイプ1の基端部2から円錐形のノズル32の先端を挿し込み、コンクリート面21に人力で押し当てながらレバー12を引くことによりノズル32から圧出された樹脂をアンカーパイプ1の内部に注入する。
前記ノズル32はポリプロピレンなどのやや軟質の合成樹脂で形成されてはいるが、アンカーパイプ1の基端部2との間が完全に密閉されるわけではないので多少の隙間が生じている。
また、樹脂は下孔22内だけではなく、矢印37で示すように下孔22の周りに生じた亀裂27やモルタルの浮き部分にも浸入して補修が行われる。
これにより、注入圧力が逃げてしまい、アンカーパイプ1と下孔22の隙間14や下孔22の周りに生じた亀裂27への樹脂の充填が不充分になるという問題点があった。
樹脂を下孔22の最深部まで充填し、かつ、アンカーパイプ1と下孔22との隙間14にも充分に充填するためには、ノズル32の先端がアンカーパイプ1のすり割り6の手前の深さまで到達していることが望ましい。
しかし、図6に示すように、アンカーパイプ1の長さに比べてノズル32が到達する深さが浅い場合は、下孔22内に空気溜まりが生じ易く、充分な樹脂の充填ができない場合が多々あるという問題点があった。
コンクリート面にコンクリート片落下防止ネットを固定するためのアンカーパイプの設置方法において、
前記アンカーパイプは、このアンカーパイプの基端部に外側に延展加工された鍔部を有し、先端部にはロックピンを打ち込むことにより外側に押圧するための凸部と拡開するためのすり割りが設けられているものが用いられ、
前記コンクリート面に下孔を穿設し、
前記コンクリート片落下防止ネットと前記アンカーパイプの鍔部との間に、前記コンクリート片落下防止ネットの格子1区画を抑えるプレートと座金を挟んで前記下孔に前記アンカーパイプを挿入し、
前記アンカーパイプの先端部にロックピンを打ち込むことにより、前記凸部が外側に押し出されて前記アンカーパイプの先端部が拡開し、前記下孔の内面に食い込んで前記アンカーパイプの先端部を拡開させて前記下孔にアンカーパイプを固着し、
前記樹脂注入器の先端部と前記アンカーパイプの鍔部との間に、これらの樹脂注入器の先端部とアンカーパイプの鍔部との間を密閉するパッキンを挟んで、前記アンカーパイプの内径より細く形成された樹脂注入器の筒状のノズルをアンカーパイプに挿入し、
前記ノズルの先端部が前記アンカーパイプのすり割りのやや手前までの深さに到達するように調節するために前記パッキンと樹脂注入器の先端部との間にカラーを挟み、
前記樹脂注入器をコンクリート面側に押圧しつつアンカーパイプ内に樹脂を圧入する
ことを特徴とするアンカーパイプの設置方法である。
また、ノズルの先端がアンカーパイプの先端部に設けたすり割りのやや手前までの深さに到達するので、すり割りを通じて下孔の最深部及びアンカーピンと下孔との隙間に効率よく樹脂を充填することができ、空気溜まりなどが生じにくいという効果を有する。さらに、カラーによってアンカーパイプの先端部のすり割りのやや手前までの深さに到達する深さを調節できるので、1種類の長さのノズルで長さが相違するアンカーパイプに対応することができるという効果を有する。
まず、アンカーパイプ1は、図2に示すように、パイプの基端部2に外側に延展加工された鍔部5を有し、先端部3にはロックピン7を打ち込むことにより外側に押圧するための凸部4と拡開するためのすり割り6が設けられている。
図3に示すように、強度を勘案した適当な間隔や配置で下孔22を穿設し、座金25とプレート26でネット1を抑えつつ前記アンカーパイプ1を下孔22に固着する。
(1)図1(a)(b)に示すように、コンクリート躯体20に下孔22を穿設する。
(2)ネット24とアンカーパイプ1の鍔部5との間に、ネット24の格子1区画を抑えるプレート26と座金25を挟んで前記下孔22にアンカーパイプ1を挿入する。前記座金25は、プレート26が樹脂製である場合に、プレート26と大きさに限界がある鍔部5との間の接触面積を増大させて応力を分散させるためのものであって、プレートが金属製である場合には入れなくてもよい場合もある。
(3)ロックピン7をアンカーパイプ1の先端部3にまで打ち込み、このロックピン7で凸部4を外側に押圧することにより、先端部3を拡開させて下孔22の内面に食い込ませてアンカーパイプ1を固着する。
樹脂注入器8は、図4(a)(b)に示すように、先端部17に筒状のノズル9が設けられ、このノズル9の基端部にはパッキン10が設けられている。
前記ノズル9は、図1(a)(b)に示すようにアンカーパイプ1の内径よりもやや細い外径とアンカーパイプ1の基端部2からすり割り6のやや手前までの深さ到達する長さを有する。
このノズル9の外径と長さはアンカーパイプ1の内径と長さに応じた大きさのものが用いられる。なお、長さについては、長めのノズル9を利用して、図5に示すようにパッキン10と先端部17との間にカラー18を挟むなどして調節するようにしても良い。
前記コンクリート躯体20に打ち込まれたアンカーパイプ1に樹脂注入器8の先端のノズル9を挿入し、樹脂注入器8をコンクリート躯体20側に押し付けつつ引き金12を引いて樹脂の注入を始める。
すると、樹脂は矢印15で示すようにすり割り6を通って下孔22の最深部に充填され、次いで矢印16で示すようにアンカーパイプ1と下孔22の隙間14や矢印19で示すように下孔22の周囲に生じている亀裂27などに浸入してゆく。
ここで、樹脂注入器8の先端部17とアンカーパイプ1の基端部2、鍔部5との間はパッキン10により空気が流通しないように密閉されているので、ノズル9とアンカーパイプ1の内側との隙間には樹脂はほとんど流れ込まない。
従って、注入圧力がアンカーピン1と下孔22との隙間14や下孔22の周囲に生じている亀裂27などに効率よく樹脂を充填することができ、施工強度を補完して、特に抜けに対する保持強度を向上させ、かつ腐食を抑制することにより耐用年数を延ばすことができる。
Claims (2)
- コンクリート面にコンクリート片落下防止ネットを固定するためのアンカーパイプの設置方法において、
前記アンカーパイプは、このアンカーパイプの基端部に外側に延展加工された鍔部を有し、先端部にはロックピンを打ち込むことにより外側に押圧するための凸部と拡開するためのすり割りが設けられているものが用いられ、
前記コンクリート面に下孔を穿設し、
前記コンクリート片落下防止ネットと前記アンカーパイプの鍔部との間に、前記コンクリート片落下防止ネットの格子1区画を抑えるプレートと座金を挟んで前記下孔に前記アンカーパイプを挿入し、
前記アンカーパイプの先端部にロックピンを打ち込むことにより、前記凸部が外側に押し出されて前記アンカーパイプの先端部が拡開し、前記下孔の内面に食い込んで前記アンカーパイプの先端部を拡開させて前記下孔にアンカーパイプを固着し、
前記樹脂注入器の先端部と前記アンカーパイプの鍔部との間に、これらの樹脂注入器の先端部とアンカーパイプの鍔部との間を密閉するパッキンを挟んで、前記アンカーパイプの内径より細く形成された樹脂注入器の筒状のノズルをアンカーパイプに挿入し、
前記ノズルの先端部が前記アンカーパイプのすり割りのやや手前までの深さに到達するように調節するために前記パッキンと樹脂注入器の先端部との間にカラーを挟み、
前記樹脂注入器をコンクリート面側に押圧しつつアンカーパイプ内に樹脂を圧入することを特徴とするアンカーパイプの設置方法。 - 電動の動力によりノズルから樹脂を圧出する樹脂注入器を用いたことを特徴とする請求項1記載のアンカーパイプの設置方法。
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