JP2013234501A - 斜面安定化工法に用いられる定着用ナット及びそれを使用した斜面安定化構造並びに斜面安定化工法 - Google Patents

斜面安定化工法に用いられる定着用ナット及びそれを使用した斜面安定化構造並びに斜面安定化工法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013234501A
JP2013234501A JP2012108025A JP2012108025A JP2013234501A JP 2013234501 A JP2013234501 A JP 2013234501A JP 2012108025 A JP2012108025 A JP 2012108025A JP 2012108025 A JP2012108025 A JP 2012108025A JP 2013234501 A JP2013234501 A JP 2013234501A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lock bolt
fixing nut
reinforcing material
bearing plate
sheath
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012108025A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5132009B1 (ja
Inventor
Katsumi Teraoka
克己 寺岡
Yoshihiko Kitamura
善彦 北村
Akifumi Shirota
陽文 城田
Hiroaki Hayashi
弘昭 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daika KK
Original Assignee
Daika KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daika KK filed Critical Daika KK
Priority to JP2012108025A priority Critical patent/JP5132009B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5132009B1 publication Critical patent/JP5132009B1/ja
Publication of JP2013234501A publication Critical patent/JP2013234501A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】施工を簡素化すると共に、長期に亘ってロックボルトの頭部の腐食を防止する。
【解決手段】斜面2から頭出しされたロックボルト4の頭部に螺着されて支圧板10を上側から押圧する金属製の定着用ナットであって、支圧板10を押圧するための押圧面23と、ロックボルト4に螺着するための締結用雌ネジ部31とを備え、押圧面23の下側には、ロックボルト4の外側を覆う筒状のシース部22が支圧板10よりも下側に突出するように一体的に形成されており、該シース部22の内周面のうち少なくとも下端から所定長さの領域は、前記締結用雌ネジ部31が形成されていない非ネジ部領域として構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、斜面安定化工法に用いられる定着用ナット及びそれを使用した斜面安定化構造並びに斜面安定化工法に関する。
例えば斜面安定化工法の一つであるロックボルト工法(ロックボルト工)では、補強材としてのロックボルトの頭部処理として、定着用ナットと支圧板(頭部プレート)からなる定着具が使用される。更に、通常は、それらの部材の他にも複数の部材が使用される。一例としては、図14に示すように、定着用ナット101と支圧板102の他に、シース管103や球座104、防錆用キャップ105が使用される。具体的には、図13のように、斜面110に形成された孔111(削孔)にロックボルト112とシース管103を挿入して注入材113により固定し、斜面110から頭出しされたロックボルト112の頭部に支圧板102と球座104を順に設置した後、定着用ナット101をロックボルト112の頭部に螺着させて球座104を介して支圧板102を押圧する。更にその上から、内部にグリース等の防錆剤が充填された防錆用キャップ105を被せ、支圧板102の凸部外周面の雄ネジ部に防錆用キャップ105の下端内周面の雌ネジ部を螺着させて取り付ける。
ロックボルト112は斜面110に対して垂直に挿入されることを基本としているが、実際には垂直ではない場合も多く、そのためロックボルト112と支圧板102との間の角度が直角にはならないケースも多い。そのような場合にも定着用ナット101を十分に締結できるように球座104が使用されている。
また、斜面110の地表部110a、即ち法面工として法枠が施工されている場合には法枠の表面であって、法面工がない場合には地山の表面であるが、この斜面110の地表部110aに近いロックボルト112の部分は腐食しやすい。特に、斜面110の地表部110aと支圧板102との境界部分には雨水等が入り込みやすいため、その境界部分に面しているロックボルト112の部分は最も腐食しやすい部分である。そこで、その境界部分に面したロックボルト112の部分を保護するためにロックボルト112の外側を覆うようにしてシース管103が配置される。上述したように、シース管103はロックボルト112と共に孔111に挿入されて注入材113により固定されるため、その後は高さや傾きを調整することができない。そのために、シース管103は変形容易なゴム製とされており、支圧板102を設置する際における、ロックボルト112と支圧板102との間の角度や距離を調整できるようにしている。
このようにロックボルト112の頭部処理には多数の部材が使用されており、第一に、部材数が多いことから工程数が多く、施工が複雑であるという問題がある。また、斜面安定化工法は斜面という不安定な環境下での作業であり、部材が落下したり紛失したりすることも生じる。従って、部材数が多くなるほど、落下や紛失の確率も高くなり、部材数に比例して施工は困難になる。
第二に、シース管103はゴム製であるため、他の金属製の部材に比して耐久性の点で劣っている。従って、長期間経過後におけるロックボルト112の腐食防止性能が懸念される。尚、ロックボルト112の周囲には注入材113が充填されていてその注入材113を介して斜面110にロックボルト112が定着一体化されるわけであるが、シース管103が配置された地表部110aに近い部分においてはロックボルト112の外側にゴム製のシース管103という弱く異質の材質からなる部材が存在することになり、シース管103で覆われた部分における定着力が他の部分に比して低下するおそれもある。
以上のような問題に対して例えば下記特許文献1乃至7では、部材数を削減するための種々の構造が提案されている。下記特許文献1では、防錆剤を貯留したキャップとナットとを一体化するという構成が提案され、更にナットに球座を一体化することで部材数の更なる削減を図っている。しかしながら、支圧板よりも上側の構造に関するものであってシース管は従来どおり使用されるため、上記第二の問題は解消されない。
下記特許文献2、5では支圧板の上面をシールしようとするものであるが、シース管は使用されておらず、従って、支圧板と法枠との間の境界部分から雨水等が入り込んでロックボルトが腐食する可能性がある。
下記特許文献3では、ロックボルトの頭部を熱収縮フィルムで被覆することにより腐食の防止を図る構成が提案されているが、ロックボルトに熱収縮フィルムを装着する工程が必要となるうえに、熱収縮フィルムが傷つきやすいという問題がある。下記特許文献4も同様であってロックボルトの合成樹脂被膜が傷つきやすいという問題がある。
一方、下記特許文献6では、支圧板を上側から押圧する押圧面よりも下側にナット部を一体的に設けたナット部材が提案されている。しかしながら、ナット部の下端まで雌ネジ部が形成されているため、ナット部材をロックボルトの頭部に螺着しようとしても、孔に注入された注入材がロックボルトとナット部の雌ネジ部との間に噛み込んで締結できない、あるいは、締結できたとしても施工性が非常に悪いという問題がある。
そして、仮に締結できたとしても次のような問題も生じる。即ち、下記特許文献6においては、ロックボルトの頭部が法枠から上方にほとんど突出しない、即ち、ほぼ頭出しされない仕様であって、ロックボルトはそのほぼ全体が孔の注入材に埋設されている。しかも、ナット部材の上面は閉じられた構成であるので、ナット部材をロックボルトに螺着する際にロックボルトの頭部を視認することはできない。その一方、ロックボルトの頭部の高さは施工によりばらつくことが多い。この仕様ではロックボルトが基準高さよりも高く設置されるとナット部材で支圧板を押圧することができないことから、施工時のバラツキを考慮すると必然的にロックボルトは基準高さよりも低めに施工されることになる。その結果、ロックボルトの頭部に螺着している雌ネジ部の長さが不足して十分な締結力が得られないという問題が生じるのである。
また、下記特許文献7でも同様に押圧面よりも下側にナット部を一体的に設けているが、法枠に形成された挿入孔には注入材が充填されずに空洞とされている。従って、ロックボルトとナット部との間に注入材が噛み込んでナット部材が螺着できないということは防止されており、鍔状の押え部は開口しているのでロックボルトの高さも確認することができる。しかしながら、法枠の挿入孔が空洞とされているため、ナット部材の下側には別途シース管が配置されており、該シース管によって挿入孔の内部におけるロックボルトの腐食を防止する必要がある。
特開2000−145743号公報 実用新案登録第3083619号公報 特開2007−239300号公報 特開2009−30258号公報 特開2012−36696号公報 特開2009−249879号公報 特開2011−63956号公報
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、施工を簡素化すると共に、長期に亘ってロックボルトの頭部の腐食を防止することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る斜面安定化工法に用いられる定着用ナットは、斜面から頭出しされたロックボルト等の補強材の頭部に螺着されて支圧板を上側から押圧する金属製の定着用ナットであって、支圧板を押圧するための押圧面と、補強材に螺着するための締結用雌ネジ部とを備え、押圧面の下側には、補強材の外側を覆う筒状のシース部が支圧板よりも下側に突出するように一体的に形成されており、該シース部の内周面のうち少なくとも下端から所定長さの領域は、前記締結用雌ネジ部が形成されていない非ネジ部領域として構成されていることを特徴とする。
該構成の定着用ナットにあっては、押圧面の下側にシース部が一体的に形成されているので、補強材に螺着することにより補強材の外側をシース部で自動的に覆うことができる。該シース部は支圧板よりも下側に突出するので、斜面と支圧板との間の境界部分を浸入してくる雨水等をシース部で確実に遮断することができ、補強材をシース部によって保護することができる。また、シース部は金属製であるので耐久性に優れており、長期に亘って補強材を腐食から確実に保護することができる。更に、シース部が金属製であるのでシース部の箇所において定着力が局所的に低下するということもなく、所定の定着力が確保され且つ経年変化も小さい。一方、斜面に形成された孔には一般的に注入材や充填材が既に注入されているので、定着用ナットを補強材の頭部に螺着させていくと、支圧板から下側に突出するシース部が注入材等に進入していくことになる。その際、シース部の内周面のうち少なくとも下端から所定長さの領域が非ネジ部領域とされているため、補強材と締結用雌ネジ部との間に注入材等が噛み込みにくくなり、定着用ナットを補強材にスムーズに螺着させることができる。そして、このようにシース部を注入材等に進入させながら定着用ナットを補強材に螺着させることができるので、定着用ナットを補強材に螺着した後に斜面の孔に注入材等を注入するというような特殊な工程を採用する必要がなく、斜面の孔に先に注入材等を注入しておくことができる。
特に、シース部の内周面のうち支圧板よりも下側に位置する領域が非ネジ部領域として構成されていることが好ましい。注入材等が支圧板の下面近傍まで注入されていても、シース部の内周面のうち支圧板よりも下側に位置する領域が非ネジ部領域であれば、注入材等には非ネジ部領域のみが進入することになる。従って、締結用雌ネジ部に注入材等が入り込むおそれがなく、定着用ナットを最後までスムーズに螺着させることができる。
一方、シース部の外周面の下部に、摩擦を増大させるための微小凹凸が形成されていることが好ましい。シース部の下部は注入材等に埋設される箇所であるので、その下部の外周面に微小凹凸を形成しておくことにより注入材等との摩擦を増大させて確実に定着させることができる。
また、押圧面を有して上方に延びる上側筒状部を備え、該上側筒状部の下側にシース部が一体的に形成され、上側筒状部に締結用雌ネジ部が形成されていることが好ましい。シース部の上側に上側筒状部を備えることにより、締結用雌ネジ部の長さを容易に確保することができる。
更に、上側筒状部とシース部とからナット本体が構成され、該ナット本体の上端は補強材が視認できるように開口しており、該上端開口を閉塞すべくナット本体に取り付けられるキャップを備えていることが好ましい。ナット本体の上端即ち上側筒状部の上端が開口していているのでその上端開口から補強材を視認しながら螺着していくことができる。また、締結後においても上端開口から補強材を視認できるので補強材の高さを容易に確認することができ、補強材へのねじ込み量の不足を防止することができる。そして、キャップをナット本体に取り付けることで上端開口を閉塞することができる。従って、補強材の頭部をナット本体とキャップによって覆うことができ、補強材の頭部を外力から保護することができると共に補強材の頭部の防錆も容易になる。しかも、補強材の頭部が露出しないので、仮に斜面に人が近づいても、補強材の頭部で怪我をするということも防止できる。
特にキャップがナット本体の上端に着脱可能に螺着されることが好ましい。施工後の検査においてナット本体からキャップを外せばナット本体の上端開口から補強材の頭部の高さを容易に確認することができ、また、検査終了後もキャップをナット本体の上端に螺着させればよいので、容易に元の状態に復帰させることができる。
また、本発明に係る斜面安定化構造は、斜面に形成された孔に注入材が注入されて補強材が固定され、該補強材の頭部に請求項1乃至6の何れかに記載の定着用ナットが螺着され、該定着用ナットのシース部が支圧板から下方に突出して注入材に埋設されていることを特徴とする。尚、斜面に形成された孔は、地山に法面工が施工されている場合には地山及び法面工に形成された孔であり、法面工が施工されていない場合には地山に形成された孔である。
また、本発明に係る斜面安定化工法は、斜面に形成された孔に注入材を注入して補強材を固定する工程と、補強材の頭部に支圧板を設置する工程と、上述した定着用ナットを補強材の頭部に螺着して、そのシース部を支圧板から下方に突出させる工程とを備えることを特徴とする。尚、斜面の孔に補強材を挿入した後に注入材を孔に注入してもよいし、補強材を挿入する前に注入材を孔に注入してもよいし、補強材として自穿孔ボルトを使用して斜面に孔を形成しつつ補強材を斜面に設置してもよいし、補強材が貫通孔を有する場合にはその貫通孔から注入材を注入してもよい。
かかる斜面安定化工法においては、注入材が硬化する前に定着用ナットのシース部を注入材に進入させて埋設させることができるが、注入材が硬化するまでの間に螺着できる定着用ナットの個数には限度がある。そこで、次のような工程を採用することも好ましい。即ち、補強材に筒状のスペーサを装着する工程と、該スペーサが注入材に埋設した状態で注入材を硬化させ、その後スペーサを補強材から除去する工程と、スペーサの除去によって補強材の周囲に形成された隙間に充填材を充填する工程と、補強材に定着用ナットを螺着して前記隙間に定着用ナットのシース部を挿入させる工程とを備えることも好ましい。このようにスペーサを使用すれば、多数の補強材に定着ナットをまとめて螺着させることができ、作業効率が向上する。尚、補強材を先に孔に挿入し、その後、補強材にスペーサを装着してもよいし、予めスペーサを補強材に装着しておき、そのスペーサ付きの補強材を孔に挿入してもよい。また、定着用ナットを補強材に螺着する前に隙間に充填材を充填しておくことが好ましい。
また、スペーサを使用する場合には、合成樹脂製であって且つ下部外周面が下側に向けて徐々に細くなった先細りテーパ状のスペーサを使用することが好ましい。硬化した注入材からスペーサを容易に剥離して除去することができる。
以上のように、定着用ナットにシース部が一体的に形成されているので部材数と工数を削減できて施工が容易になり、特にシース部の内周面のうち下端から所定長さの領域を非ネジ部領域としているため、補強材にスムーズに螺着させることができる。また、シース部が金属製であるため、強度があって耐久性も高く、確実に定着させることができる。
本発明の一実施形態における斜面安定化工法により施工された斜面安定化構造を示す断面図。 同斜面安定化工法に用いられる定着用ナットを示す片側断面図。 (a)及び(b)は同斜面安定化工法の施工手順を示す断面図。 (a)及び(b)は同斜面安定化工法の施工手順を示す断面図。 本発明の他の実施形態における斜面安定化工法に用いられるスペーサを示し、(a)は片側断面図、(b)は(a)のA−A線拡大断面図。 (a)及び(b)は同斜面安定化工法の施工手順を示す断面図。 (a)及び(b)は同斜面安定化工法の施工手順を示す断面図。 本発明の他の実施形態における斜面安定化工法により施工された斜面安定化構造を示す平面図。 同斜面安定化工法に用いられるリングユニットを示し、(a)は正面図、(b)は側面図。 同斜面安定化工法に用いられるリングユニットとロックボルトとの関係を示す平面図。 同斜面安定化工法により施工された斜面安定化構造を示す断面図。 (a)及び(b)は同斜面安定化工法の施工手順を示す断面図。 従来の斜面安定化工法により施工された斜面安定化構造を示す断面図。 従来の斜面安定化工法に用いられる部材を示す一部断面図。
以下、本発明の一実施形態に係る斜面安定化方法とそれに用いられる定着用ナット並びにその斜面安定化方法によって施工された斜面安定化構造について図1〜図7を参酌しつつ説明する。
図1には本実施形態における斜面安定化構造を示しており、図2にはそれに使用されている定着用ナット1を示している。図1の斜面安定化構造はロックボルト工法によるものであって、斜面である地山2には削孔3が形成され、該削孔3には補強材としてのロックボルト4が挿入されていて注入材により固定されている。
ロックボルト4は注入材を介して地山2に定着される。ロックボルト4の頭部は地山2の地表部2aから所定長さ突出しており、該地表部2aから突出した突出量である頭出し長さは、定着具によって地山2とロックボルト4とが構造的に一体化されるために必要十分な長さとされる。ロックボルト4の全長は、地山2の崩壊規模や必要抑止力、施工性、経済性等を総合的に考慮して決定されるが、通常数メートルであって、2メートル以上とされる。ロックボルト4の表面には、全長のうち少なくとも頭部において亜鉛メッキを施すことが好ましい。また、補強材としては、ロックボルト4等のネジ節棒鋼の他、異形棒鋼や自穿孔ボルト等が使用される。
注入材は、地山2とロックボルト4との間の荷重伝達の役割と、ロックボルト4を保護する役割を担っている。注入材は、削孔3の大部分に充填されたグラウト5(セメントミルク)と、該グラウト5の上側に充填されたモルタル6とからなる。グラウト5は流動性が高いため、その上面は図1のように地山2の地表部2aと平行ではなく水平面となっている。該グラウト5の上面から地表部2aまでの空間にモルタル6が充填され、モルタル6の上面は地表部2aと略面一となっている。
ロックボルト4の頭部を地山2と定着一体化するための定着具として支圧板10と定着用ナット1とが用いられている。支圧板10と定着用ナット1は何れも金属製である。支圧板10は図13及び図14に示したものと同様の構成であってロックボルト4が挿通する貫通孔11を有している。支圧板10は地山2の地表部2aに設置され、該支圧板10の貫通孔11をロックボルト4が挿通しており、ロックボルト4は支圧板10から所定量上方に突出している。支圧板10の貫通孔11の壁面上部には定着用ナット1により押圧される被押圧面12が形成されている。該被押圧面12は、上側に向けて拡径する傾斜面とされている。但し、被押圧面12を凹状の球面(曲面)に形成してもよい。貫通孔11の下部は、貫通孔11の上部よりも大径であって削孔3と略同一径とされている。尚、支圧板10は、その下面が地山2の地表部2aと接する薄板状のベース部10aと、該ベース部10aの上面中央部に上方に向けて突設された柱部10bとからなる。ベース部10aと柱部10bを貫通するように貫通孔11が形成されていて、柱部10bに被押圧面12が形成されている。尚、例えばベース部10aは円盤状とされ、柱部10bは円筒状とされるが、何れも角形であってもよい。尚、図13及び図14に示した従来品の構成をそのまま流用しているため、柱部10bの外周面には雌ネジ部13が形成されているが、この雌ネジ部13は使用されない。従って、柱部10bの外周面には雌ネジ部13を形成する必要はない。
定着用ナット1は、ナット本体20とキャップ21とからなるツーピース構成とされている。ナット本体20は全体として筒状であってその上端と下端の双方が開口している。該ナット本体20は上側の上側筒状部40と下側のシース部22とからなり、上側筒状部40とシース部22とは一体に形成されている。
上側筒状部40は、支圧板10の被押圧面12を押圧する押圧面23を最下部に有している。即ち、上側筒状部40は、上から順に、ストレート形状の円筒部24と、拡径する傾斜部25を介して円筒部24の下側に延設された六角形状の操作部26と、拡径する傾斜部27を介して操作部26の下側に延設された鍔状部28とからなる。定着用ナット1をロックボルト4に螺着して締結する際に工具を操作部26に装着して回転させることができる。また、鍔状部28の外周面に押圧面23が形成されている。該押圧面23は、下側凸に湾曲しながら下側に向けて小径となっていく球面状に形成されており、ロックボルト4と支圧板10との間の角度が直角ではない場合においても支圧板10の被押圧面12を押圧できるようになっている。また、上側筒状部40の内周面には全長に亘ってネジが形成されている。即ち、上側筒状部40の内周面のうち、上端開口29の近傍にはキャップ21を螺着するためのキャップ用雌ネジ部30が形成され、該キャップ用雌ネジ部30を除く他の領域全体にはロックボルト4に定着用ナット1を螺着するための締結用雌ネジ部31が形成されており、締結用雌ネジ部31は上端開口29の近傍まで形成されている。該締結用雌ネジ部31は、上側筒状部40にのみ形成されていてシース部22には形成されておらず、従ってシース部22の内周面22aは全長に亘って滑面であって締結用雌ネジ部31が形成されていない非ネジ部領域として構成されている。また、キャップ用雌ネジ部30は締結用雌ネジ部31より若干小さいネジ径であるが、締結用雌ネジ部31とは種類が異なりメートルネジとされている。尚、キャップ用雌ネジ部30が締結用雌ネジ部31より若干大きいネジ径や略同一のネジ径であってもよい。
シース部22は、上側筒状部40の下端から下側に向けて直線的に延びる薄肉のストレート管であって、その外径は上側筒状部40の鍔状部28のそれよりも小さく、その内径は締結用雌ネジ部31よりも若干大きい。シース部22の外周面のうち下部のみに、注入材や後述する充填材66との間の摩擦を増大させるための微小凹凸32が形成されている。該微小凹凸32は種々の形状であってよいが、本実施形態ではローレット状に溝を形成することにより微小凹凸32を形成している。尚、シース部22の外周面の下端部には面取り部33が形成されている。尚、シース部22は上側筒状部40と略同じ長さに形成されているが、シース部22の長さは任意であって上側筒状部40よりも短くすることもでき逆に長くすることもできる。但し、少なくともシース部22が支圧板10の下面よりも下方に延びてその下部が注入材に埋設されるようにする。
キャップ21は、ナット本体20の上端開口29を閉塞するためにナット本体20の上端に着脱可能に螺着される。キャップ21は、本体部50とボルト部51とからなる。本体部50は、ナット本体20にキャップ21が螺着された際においてナット本体20の上側に位置してナット本体20の上端面に当接する。本体部50は、ナット本体20の上端部即ち上側筒状部40の円筒部24よりも若干大きい六角形状に形成されてその下面がナット本体20の上端面に当接する操作部52と、該操作部52の上側に延設されて上側凸の球面状に形成されたドーム部53とから構成される。ボルト部51は、本体部50の下面から下方に突設され、その周面にはナット本体20のキャップ用雌ネジ部30に螺入する雄ネジ部が形成されている。
尚、図1のようにロックボルト4に定着用ナット1を螺着させた状態では、ロックボルト4の上端が締結用雌ネジ部31の上端まで到達しないようにする。また、キャップ21のボルト部51がキャップ用雌ネジ部30を下方に越えて締結用雌ネジ部31の領域に進入しないように、ボルト部51の長さはキャップ用雌ネジ部30の長さよりも短くしておくことが好ましい。
次に上述の定着具を使用した斜面安定化工法の施工手順の一例について説明する。まず、図3(a)のように地山2に削孔3を形成し、該削孔3にロックボルト4を挿入打設して、地山2の地表部2aからロックボルト4の頭部を所定長さ頭出しする。そして、図3(b)のようにグラウト5を削孔3に注入し、その上に、固練り状態のモルタル6を地表部2aまで充填する。該モルタル6が硬化する前に、図4(a)のように支圧板10をロックボルト4の位置に設置し、図4(b)のようにロックボルト4の頭部に定着用ナット1のナット本体20を螺着し、該ナット本体20で支圧板10を押圧して締結する。尚、ロックボルト4にはキャップ21を外した状態のナット本体20を螺着する。また、ナット本体20をロックボルト4に螺着する際に、ロックボルト4の頭部にグリース等の防錆剤を塗布しておいたり、あるいは、ナット本体20の内周面に防錆剤を塗布しておいてもよい。また、防錆剤入りの袋をナット本体20の内周面、特にシース部22の内周面22aに付着させておいて、ナット本体20をロックボルト4の頭部に螺着する動作によって自動的に袋が破けたり開口したりするようにして内部の防錆剤をロックボルト4に付着させるようにしてもよい。そして、図1のようにナット本体20の上端にキャップ21を螺着してナット本体20の上端開口29を閉塞し、これにより作業が完了する。
以上のような定着用ナット1を使用した斜面安定化工法にあっては、定着用ナット1にシース部22が一体的に形成されているので、定着用ナット1をロックボルト4に螺着させることにより同時にシース部22で地表部2a近傍のロックボルト4の外側を覆うことができる。シース部22が地表部2a近傍のロックボルト4を覆うことにより、ロックボルト4の腐食を確実に防止することができる。しかも、シース部22は上側筒状部40に一体的に形成されていて両部分の間には隙間が物理的に存在しない。従来のようにシース管が別体構成の場合には定着用ナットとシース管との間の境界部分から水が浸入してロックボルトが腐食するおそれがあった。これに対して本実施形態の場合にはシース部22が一体的に形成されているのでロックボルト4の腐食を確実に防止できる。更に、シース部22は金属製であって強度が大きく、耐久性にも優れているので、長期に亘ってロックボルト4の保護機能が維持される。また、シース部22が従来のようなゴム製ではなくロックボルト4と同様に金属製であるので、地表部2a近傍における定着も確実なものとなる。
そして、シース部22の内周面22aには締結用雌ネジ部31が形成されていないので、シース部22がモルタル6にスムーズに進入していくことになり、ロックボルト4にナット本体20を容易に螺着させることができる。特に、シース部22の内周面22aに締結用雌ネジ部31が形成されておらず締結用雌ネジ部31が上側筒状部40にのみ形成されているので、仮にモルタル6が地表部2aから上側にはみ出していたような場合であってもロックボルト4に付着したモルタル6に締結用雌ネジ部31が到達するということがなく、最後までスムーズ且つ確実にナット本体20を螺着することができる。また、シース部22に締結用雌ネジ部31が形成されておらず上側筒状部40のみに締結用雌ネジ部31が形成されているので、定着用ナット1をロックボルト4に螺着するためにはロックボルト4が頭出しされていなければならない。即ち、定着用ナット1を螺着する前にロックボルト4が適切な頭出し長さとされているか否かを確認することになるから、不確実な締結や締結力不足となることを未然に防止することができる。尚、頭出しが必要になるので確認試験も通常どおり実施することができ、施工後の維持管理も容易である。更に、上側筒状部40のみに締結用雌ネジ部31が形成されているので、締結用雌ネジ部31の全長が長くなり過ぎるということもなく、締結作業に要する時間と労力を短縮できる。
また、ロックボルト4にナット本体20を螺着させる際においては、ナット本体20の上端が開口していてその上端開口29からロックボルト4の存在、高さを目視で確認しながら螺着作業を行うことができるので、ねじ込み長さ不足に伴う締結不良を螺着作業時において防止することができる。更に、キャップ21をナット本体20に螺着する際にも、再度ナット本体20の上端開口29からロックボルト4を視認してその高さをチェックすることができる。また、施工完了後の完了検査においても、定着用ナット1全体をロックボルト4から取り外す必要がなく、キャップ21のみをナット本体20から外せばナット本体20の上端開口29からロックボルト4の高さを確認検査することができる。尚、ナット本体20の上端開口29から棒状の工具を挿入してその先端をロックボルト4の上端に当接させることによってロックボルト4の高さ、頭出しを確認検査することもできる。
上述した斜面安定化工法においてはモルタル6が硬化する前に定着用ナット1をロックボルト4に螺着する必要があるので、施工エリアの全ての定着用ナット1を一度に螺着していくことは難しい。従って、一定数の削孔3にモルタル6を充填する工程と、その一定数のロックボルト4に定着用ナット1を螺着する工程とを順次繰り返すことになる。そこで、モルタル6が硬化した後に定着用ナット1をロックボルト4に螺着できるようにスペーサ60をロックボルト4に装着することも好ましい。
スペーサ60の一例を図5に示している。該スペーサ60は、合成樹脂製であって、上端閉塞下端開口の筒状であり、その上端部には六角形状の操作部61が形成されている。スペーサ60の上部外周面62は径一定に形成されているが、スペーサ60の下部外周面63は下側に向けて徐々に細くなった先細りテーパ状に形成されている。尚、スペーサ60は定着用ナット1のシース部22と略同一径であってもよいが、大径であることが好ましい。また、図5(b)に示すように、スペーサ60の内周面は雌ネジ部のない滑面となっており、その断面形状はロックボルト4の断面形状に合わせた形状となっていて、180度対向した二カ所の平面部64と、それと直交する方向の二カ所の曲面部65とから構成されている。曲面部65の直径はロックボルト4の外径と略等しい。
かかるスペーサ60を使用する斜面安定化工法の施工手順を説明すると、図6(a)のように削孔3に挿入したロックボルト4の頭部にスペーサ60を被せるようにして装着する。スペーサ60の上端部内面がロックボルト4の上端に当接して止まるまでスペーサ60を押し込んでいく。スペーサ60を装着した状態では、スペーサ60の下部が削孔3内に位置しスペーサ60の上部は地表部2aから上方に突出する。その後、図6(b)のように削孔3に注入材としてグラウト5とモルタル6を充填し、支圧板10を設置する。
注入材が硬化すると、図7(a)のようにロックボルト4からスペーサ60を上方に引き抜く。その際、スペーサ60の下部外周面62が先細りテーパ状であるため容易に注入材から引き抜くことができる。また、スペーサ60が合成樹脂製であるので、硬化した注入材が亀裂することも防止されてスムーズに引き抜くことができる。尚、スペーサ60を引き抜く際にスペーサ60の上端部の操作部61に工具をセットしてスペーサ60を回転させることができ、これにより注入材からスペーサ60を容易に剥離できる。
注入材からスペーサ60を除去すると、ロックボルト4の周囲には隙間Sが生じる。そこで、この隙間Sにグラウト等のような流動性の高い充填材66を充填する。そして、図7(b)のように充填材66にシース部22が挿入するようにナット本体20をロックボルト4に螺着する。
このようにスペーサ60を使用することで先に注入材を硬化させることができるので、モルタル6を全ての削孔3に一度にまとめて充填することができ、作業効率が高まる。尚、充填材66を隙間Sに充填する工程が必要になるものの、充填材66はモルタル6に比して微量であって、しかも、流動性に優れたものを使用することができるので、複数回に分けてモルタル6を充填していく作業よりも作業効率が高くなる。従って、施工エリアや作業現場の状況に応じてスペーサ60の使用の有無を決定すればよい。
尚、上記説明においては地山2に法面工を施工しない場合について説明したが、吹付法枠等の法面工を施工する場合であっても同様である。
また、法枠ではなく地山2の地表部2aにネットを張る斜面安定化工法にも適用可能である。ネットを張ることで樹木を伐採する必要がなくなったり伐採する場合にもその量を抑制することができる。
ネット70の一例を図8に示している。該ネット70は、複数のリング状のリングユニット71を互いに固定しないで組み合わせることにより形成されている。該リングユニット71は、図9(a)に示すように略正方形状に形成されている。リングユニット71は、複数の素線を撚り合わせた線材72をリング状に成形することにより形成されている。該リングユニット71は、周方向の所定箇所を結合及び結合解除するためのジョイント具を備えている。即ち、リングユニット71の線材72の両端には、図9(b)に示すように互いに凹凸係合するフック部73をその先端に有する鉤部材74がそれぞれ取り付けられており、両フック部73を係脱させることでリングユニット71をリング状に結合し又結合解除することができる。尚、両フック部73を係合させてリングユニット71をリング状に結合した状態においてその結合部を部分的に覆う被覆管75がスライド可能に取り付けられており、該被覆管75を図9(b)のようにスライドさせて結合部の一部を覆ったうえで更に留め具であるCリング76で被覆管75の戻りを阻止することで、リングユニット71がリング状に結合保持される。尚、リングユニット71は例えば一辺が約50cmの正方形とされる。
このような構成のリングユニット71を平面的に並べて組み合わせることで図8のようなネット70が形成されるのであるが、そのネット70の交点70aのうち所定箇所にはロックボルト4が打設されて支圧板10と定着用ナット1が設置される。例えば、リングユニット71が四つ分の長さである約2mおきにロックボルト4を千鳥状に打設する。ロックボルト4は、図10のように、組み合わされた二つのリングユニット71の隅部同士の間に位置する。即ち、ロックボルト4は組み合わされた二つのリングユニット71のそれぞれの内側に位置する。図11にその断面図を示しているが、上側支圧板77と下側支圧板78とからなる支圧板10が使用され、上側支圧板77と下側支圧板78との間に二つのリングユニット71の隅部が挟み込まれている。但し、上側支圧板77と下側支圧板78によってネット70が完全には固定されない状態とされ、リングユニット71が地表部2aに沿ってある程度動くことができる程度に挟み込まれる。下側支圧板78は薄板状である一方、上側支圧板77はそれより肉厚に形成されている。尚、下側支圧板78は上側支圧板77よりも大型であり、円形の場合には大径である。上側支圧板77の下面には凸部79が四箇所突設されており、該凸部79が下側支圧板78に当接することにより、上側支圧板77と下側支圧板78との間には所定の間隙が形成され、該間隙にネット70が位置する。また、上側支圧板77に被押圧面12が形成されている。
かかるネット70を使用した斜面安定化工法の施工手順について説明すると、まず、施工エリアにネット70を敷設する。その際、ロックボルト4を設置する交点70aに上述したスペーサ60をロックボルト4の代わりに挿入しておくことが好ましく、ロックボルト4が設置されることを前提としてネット70を敷設することができる。そして、ロックボルト4を打設するために地山2に削孔3を形成するのであるが、その際にはその箇所におけるリングユニット71を一旦結合解除する。そして、図12(a)のように削孔3にロックボルト4を挿入し、該ロックボルト4の頭部に上述したスペーサ60を被せ、リングユニット71を再結合させる。リングユニット71を結合させる際に、ロックボルト4の外側にスペーサ60が存在しているので、リングユニット71とロックボルト4が直接接触することが防止される。その後、図12(b)のように削孔3に注入材としてグラウト5とモルタル6を注入、充填し、上側支圧板77と下側支圧板78を設置する。尚、下側支圧板78を設置する際にはリングユニット71をロックボルト4から上側に持ち上げるようにして下側支圧板78をロックボルト4に設置する。そして、スペーサ60をロックボルト4から除去し、隙間Sに充填材66を充填し、図11のように定着用ナット1を螺着させて上側支圧板77を押圧する。定着用ナット1が上側支圧板77を押圧することで下側支圧板78は地山2に埋まるが、下側支圧板78が地山2に押入されるか否かは地山2の地表部2aの状況による。また、定着用ナット1のシース部22は、二つのリングユニット71の隅部によってその間に形成された矩形の孔部を挿通することになるが、スペーサ60をロックボルト4から除去することでリングユニット71とロックボルト4との間には所定のクリアランスが形成される。従って、定着用ナット1のシース部22が二つのリングユニット71の間をスムーズに通過できて注入材に進入することができる。かかる観点からスペーサ60はシース部22よりも大径であることが好ましい。
このようにネット70を地表部2aに張り巡らせて斜面を安定化させる工法においては、ロックボルト4からネット70に力が分散されつつ伝達されることになり、景観を保護しつつ斜面の崩壊を効果的に防止することができる。特に、組み合わされたリングユニット71同士が互いに固定されていないため、線材72に力が作用してもネット70の交点70aにおいてリングユニット71が自由に動くことができる。そのため、ネット70に特定の方向の力が作用した場合には、その力がネット70の交点70aにおいて四方に分散されることになり、一本のロックボルト4に過大な力が作用するということを防止することができる。また、二つのリングユニット71の間にロックボルト4が介在しているので、ロックボルト4から二つのリングユニット71へと力が分散されることになる。
そして、地表部2aから上側においてもロックボルト4がシース部22によって覆われていて露出していないので、ロックボルト4の腐食を効果的に防止することができる。そして、シース部22が金属製であるので長期に亘ってロックボルト4が保護されることになる。しかも、ネット70とロックボルト4との間にシース部22が介在していて両者が直接接触することがない。従って、ネット70に擦れることでロックボルト4の表面が傷ついてそこから腐食していくということも防止できる。また、本工法においてはロックボルト4からネット70に力を伝達していくという特徴があり、シース部22はロックボルト4と二つのリングユニット71によって挟まれる部分であることから該シース部22には大きな力が作用することになる。そのシース部22がゴム製ではなく金属製であるので強度及び耐久性が高く、ロックボルト4と二つのリングユニット71によって挟まれてもそれに耐えることができ、ロックボルト4を長期に亘って保護する。尚、仮にシース部22が腐食等した場合にはロックボルト4はそのままで定着用ナット1のみを交換することもできる。
尚、上記実施形態においては、シース部22の内周面22aの全長に亘って締結用雌ネジ部31のない非ネジ部領域とされていたが、少なくともシース部22の下端から所定長さの領域が非ネジ部領域とされていればよく、支圧板10の下面よりも下方に位置する領域を非ネジ部領域とすれば好ましい。
また、キャップ21にボルト部51を設けてナット本体20の上端の内側に螺入するようにしたが、キャップ21をナット本体20の上端の外側に被せるように螺着する構成としてもよい。
更に、キャップ21をナット本体20の上端に着脱可能に螺着する構成とする以外に、キャップ21を取り外し不能にナット本体20に取り付けるようにしてもよい。例えば、キャップ21の下面に嵌合突部を形成し、該嵌合突部をナット本体20の上端開口29に嵌入するようにして上端開口29を閉塞してもよい。この嵌入作業はキャップ21を工具で打ち込むようにして行うことができる。
また、キャップ21を備えていることが好ましいが、これを省略してもよい。更に、キャップ21がナット本体20と別体構成ではなく一体構成としてもよい。即ち、キャップ21からシース部22まで一つの部材で構成してもよい。
また、押圧面23を球面状に形成したが平坦面としてもよい。支圧板10の被押圧面12についても同様である。また、支圧板10のベース部10aと柱部10b(座金)とを別体構成としてもよい。尚、微小凹凸32をシース部22の外周面の全体に亘って形成してもよい。但し、加工時間や経済性等から注入材に埋設される部分のみに微小凹凸32を形成することが好ましい。
尚、斜面安定化工法の一つであるグラウンドアンカー工(グラウンドアンカー工法)にも定着用ナット1を適用可能である。
1 定着用ナット
2 地山(斜面)
2a 地表部
3 削孔(孔)
4 ロックボルト(補強材)
5 グラウト(注入材)
6 モルタル(注入材)
10 支圧板
10a ベース部
10b 柱部
11 貫通孔
12 被押圧面
13 雌ネジ部
20 ナット本体
21 キャップ
22 シース部
22a 内周面
23 押圧面
24 円筒部
25 傾斜部
26 操作部
27 傾斜部
28 鍔状部
29 上端開口
30 キャップ用雌ネジ部
31 締結用雌ネジ部
32 微小凹凸
33 面取り部
40 上側筒状部
50 本体部
51 ボルト部
52 操作部
53 ドーム部
60 スペーサ
61 操作部
62 上部外周面
63 下部外周面
64 平面部
65 曲面部
66 充填材
70 ネット
70a 交点
71 リングユニット
72 線材
73 フック部
74 鉤部材
75 被覆管
76 Cリング
77 上側支圧板
78 下側支圧板
79 凸部
101 定着用ナット
102 支圧板
103 シース管
104 球座
105 防錆用キャップ
110 斜面
110a 地表部
111 孔
112 ロックボルト
113 注入材
S 隙間
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る斜面安定化工法に用いられる定着用ナットは、斜面から頭出しされたロックボルト等の補強材の頭部に螺着されて支圧板を上側から押圧する金属製の定着用ナットであって、支圧板を押圧するための押圧面と、補強材に螺着するための締結用雌ネジ部とを備え、押圧面の下側には、補強材の外側を覆う筒状のシース部が押圧面と一つの部材を構成すべく一体的に形成され、該シース部は、その下部が支圧板よりも下側に突出すると共に補強材を斜面の孔に固定するための注入材に埋設される程度の長さを有しており、該シース部の内周面のうち少なくとも下端から所定長さの領域は、前記締結用雌ネジ部が形成されていない非ネジ部領域として構成されていることを特徴とする。

Claims (10)

  1. 斜面から頭出しされたロックボルト等の補強材の頭部に螺着されて支圧板を上側から押圧する金属製の定着用ナットであって、
    支圧板を押圧するための押圧面と、補強材に螺着するための締結用雌ネジ部とを備え、押圧面の下側には、補強材の外側を覆う筒状のシース部が支圧板よりも下側に突出するように一体的に形成されており、該シース部の内周面のうち少なくとも下端から所定長さの領域は、前記締結用雌ネジ部が形成されていない非ネジ部領域として構成されていることを特徴とする斜面安定化工法に用いられる定着用ナット。
  2. シース部の内周面のうち支圧板よりも下側に位置する領域が非ネジ部領域として構成されている請求項1記載の定着用ナット。
  3. シース部の外周面の下部に、摩擦を増大させるための微小凹凸が形成されている請求項1又は2記載の定着用ナット。
  4. 押圧面を有して上方に延びる上側筒状部を備え、該上側筒状部の下側にシース部が一体的に形成され、上側筒状部に締結用雌ネジ部が形成されている請求項1乃至3の何れかに記載の定着用ナット。
  5. 上側筒状部とシース部とからナット本体が構成され、該ナット本体の上端は補強材が視認できるように開口しており、該上端開口を閉塞すべくナット本体に取り付けられるキャップを備えている請求項4記載の定着用ナット。
  6. キャップがナット本体の上端に着脱可能に螺着される請求項5記載の定着用ナット。
  7. 斜面に形成された孔に注入材が注入されて補強材が固定され、該補強材の頭部に請求項1乃至6の何れかに記載の定着用ナットが螺着され、該定着用ナットのシース部が支圧板から下方に突出して注入材に埋設されていることを特徴とする斜面安定化構造。
  8. 斜面に形成された孔に注入材を注入して補強材を固定する工程と、補強材の頭部に支圧板を設置する工程と、請求項1乃至6の何れかに記載の定着用ナットを補強材の頭部に螺着して、そのシース部を支圧板から下方に突出させる工程とを備えることを特徴とする斜面安定化工法。
  9. 補強材に筒状のスペーサを装着する工程と、該スペーサが注入材に埋設した状態で注入材を硬化させ、その後スペーサを補強材から除去する工程と、スペーサの除去によって補強材の周囲に形成された隙間に充填材を充填する工程と、補強材に定着用ナットを螺着して前記隙間に定着用ナットのシース部を挿入させる工程とを備える請求項8記載の斜面安定化工法。
  10. 合成樹脂製であって且つ下部外周面が下側に向けて徐々に細くなった先細りテーパ状のスペーサを使用する請求項9記載の斜面安定化工法。
JP2012108025A 2012-05-09 2012-05-09 斜面安定化工法に用いられる定着用ナット及びそれを使用した斜面安定化構造並びに斜面安定化工法 Active JP5132009B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012108025A JP5132009B1 (ja) 2012-05-09 2012-05-09 斜面安定化工法に用いられる定着用ナット及びそれを使用した斜面安定化構造並びに斜面安定化工法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012108025A JP5132009B1 (ja) 2012-05-09 2012-05-09 斜面安定化工法に用いられる定着用ナット及びそれを使用した斜面安定化構造並びに斜面安定化工法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5132009B1 JP5132009B1 (ja) 2013-01-30
JP2013234501A true JP2013234501A (ja) 2013-11-21

Family

ID=47693040

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012108025A Active JP5132009B1 (ja) 2012-05-09 2012-05-09 斜面安定化工法に用いられる定着用ナット及びそれを使用した斜面安定化構造並びに斜面安定化工法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5132009B1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016172969A (ja) * 2015-03-17 2016-09-29 長寿補強土株式会社 長期耐久性を有する斜面の補強土構造とその施工方法
JP2020183618A (ja) * 2019-04-26 2020-11-12 国立大学法人 琉球大学 グラウンドアンカー頭部の点検構造
JP2020200654A (ja) * 2019-06-10 2020-12-17 弘和産業株式会社 テンドンの頭部定着構造

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6062280B2 (ja) * 2013-02-19 2017-01-18 岡部株式会社 ロックボルト用防錆キャップ及びその防錆キャップを使用したロックボルトの頭部の防錆方法
CN105804100B (zh) * 2016-04-28 2017-08-08 中铁二院工程集团有限责任公司 一种倾斜布置的微型桩结构

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09273397A (ja) * 1996-02-08 1997-10-21 Okabe Co Ltd 止水シート防護装置
JP2001090493A (ja) * 1999-09-24 2001-04-03 Kfc Ltd ロックボルト用ナット
JP2009108546A (ja) * 2007-10-29 2009-05-21 Kfc Ltd ロックボルト用ナット

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09273397A (ja) * 1996-02-08 1997-10-21 Okabe Co Ltd 止水シート防護装置
JP2001090493A (ja) * 1999-09-24 2001-04-03 Kfc Ltd ロックボルト用ナット
JP2009108546A (ja) * 2007-10-29 2009-05-21 Kfc Ltd ロックボルト用ナット

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016172969A (ja) * 2015-03-17 2016-09-29 長寿補強土株式会社 長期耐久性を有する斜面の補強土構造とその施工方法
JP2020183618A (ja) * 2019-04-26 2020-11-12 国立大学法人 琉球大学 グラウンドアンカー頭部の点検構造
JP7244833B2 (ja) 2019-04-26 2023-03-23 国立大学法人 琉球大学 グラウンドアンカーの頭部構造
JP2020200654A (ja) * 2019-06-10 2020-12-17 弘和産業株式会社 テンドンの頭部定着構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP5132009B1 (ja) 2013-01-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5132009B1 (ja) 斜面安定化工法に用いられる定着用ナット及びそれを使用した斜面安定化構造並びに斜面安定化工法
US7967532B2 (en) Ground anchor or rock anchor with an anchor tension member comprised of one or more individual elements with corrosion-protected anchor head design
US8448397B2 (en) Anchor system for securing a concrete wall panel to a supporting concrete foundation
KR101150125B1 (ko) 확개된 앵커헤드부를 가지는 그라운드 앵커 및 그 그라운드 앵커를 이용한 앵커 시공 방법
AU2015209142B2 (en) System and method for retrofitting walls with retaining ties
US20190352900A1 (en) Concrete boss anchor
KR101265226B1 (ko) 압착콘을 간격재로 이용한 강관네일과 이의 시공방법
KR102009686B1 (ko) 사면 보강용 와이어넷 조립체
KR101502600B1 (ko) 스트롱 앵커
JP6202754B2 (ja) 斜面安定化構造
JP2006016952A (ja) アンカーとその仮固定方法及びそれを用いた仮固定構造
KR102132677B1 (ko) 개선된 앵커볼트 조립체 및 이를 포함하는 천장 마감패널 고정장치
KR100586078B1 (ko) 인장재 제거식 그라운드 앵커용 내부정착체
JP7272589B2 (ja) 支柱構造物
JP4931766B2 (ja) ロックボルト用ナット
KR100505330B1 (ko) 지반 보강용 텐션 네일
JP6762154B2 (ja) ロックボルト頭部の定着具
JP4785167B2 (ja) 鋼管構造における柱脚部の補強構造
KR20170002841U (ko) 데크플레이트용 인서트기구
KR102612246B1 (ko) 영구식 사면 보강용 쏘일 네일링 구조
KR101187845B1 (ko) 정착부 내하체와 강연선에 가인장력을 제공한 그라운드 앵커 구조
JP4577893B2 (ja) グランドアンカーの頭部構造
JP7016579B2 (ja) ロックボルト用プレート及びロックボルト設置構造、ロックボルトの載荷試験方法
JP2006112189A (ja) 緊張材定着具
KR200458451Y1 (ko) 갱폼용 거푸집 간격유지구

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121102

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121105

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151116

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5132009

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250