(発明の要旨)
手術および注入の欠点を考慮すれば、皮膚に塗布され得、皮膚に透過し得、そして脂肪組織を局所的に増大させ得る医薬が長年にわたって必要とされてきた。米国特許第8,367,606号は、インビトロ結果に基づいて、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターγ(PPARγ)のアゴニスト、例えば、チアゾリジンジオンが、体脂肪を局所的に増大させるために、個体の皮膚に局所的に塗布され得ることを示唆する。しかし、この参考文献および他の参考文献は、作業実施例を欠いている。事実、このような化合物を皮膚に投与した実際の研究では、脂肪の局所的増加は示されなかった。例えば、KuenzliおよびSaurat,Dermatology(2003)206:252−256を参照のこと。
さらに、先行技術は、重要な実施上の問題:全身的な影響なく、有効量のチアゾリジンジオンを皮下脂肪にどのようにして送達するかに対処してもいないし、さらには認識してもいない。これは、非常に重要な問題である。なぜなら、チアゾリジンジオンは、肥満、心血管疾患、および特定のがんの発生率の増大などの全身毒性を有し得るからである。従って、全身的な吸収を最小限にするかもしくは回避しなければならない。このような送達は、皮膚循環の「シンク効果(sink effect)」(これによって、皮膚に透過する薬物は皮膚毛細管の密なネットワークによって全身循環へと急激に吸収される)に起因して技術的に困難である。例えば、チアゾリジンジオンであるロシグリタゾンは、パッチ形態で皮膚に付けられる場合、薬物の実質的な量が血流中に現れ、全身的な効果をもたらす。例えば、Damodharanら,Skin permeation of rosiglitazone from transdermal matrix patches,Pharmaceutical Technology(2010)34:56−72を参照のこと。例えば、Ghoshら,Feasibility of rosiglitazone maleate for transdermal delivery,Int.J.Pharm.Res.Innov.(2011)2:23−31もまた参照のこと。
皮膚表面投与と、血流への全身(経真皮(transdermal))送達と、脂肪への経皮(percutaneous)送達との間の区別は、図1に図示される。例えば、Dayan N,Delivery System Design in Topically Applied Formulations:An Overview,in Rosen M,Delivery System Handbook for Personal Care and Cosmetic Products,William Andrew,2005,pp.103−104;Kao J,In Vitro Assessment of Dermal Absorption,Hobson DW,Dermal and Ocular Toxicology:Fundamentals and Methods,CRC Press,1991,pp.272−273を参照のこと。皮膚を横断して全身循環へ入る薬物の送達は(例えば、血流へと経真皮的に)は、一般的に行われていることである。このような送達の例は、ニコチンパッチ(これは、皮膚を横断して血流へのニコチンの送達を生じる)である。経真皮投与と比較すると、皮膚を横断して皮下脂肪へと、全身曝露を回避しながら薬物を送達することは、非常に技術的な難題である。例えば、Dayanら(前出);Kao(前出)を参照のこと。この理由は、皮膚循環の「シンク状態」である。迅速な血流を有する毛細管のネットワークが真皮を包囲しているので、真皮に透過する任意の薬物に関しては、皮膚と血流との間には広い濃度勾配が作り出される。従って、薬物が真皮へと透過して、この勾配を迅速に下げて血流へと拡散するという強い傾向が認められる。このシンク現象は、(例えば、ニコチンパッチで用いられるような血流への)全身送達には都合が良いが、(例えば、本発明におけるような皮下脂肪への)局所送達では、徐々に試みを打ち砕いていく。当該分野では、あるとすれば、どのような製剤であれば皮膚の条件を巧みに回避し得るのかを示唆する推論法も予測法も利用可能でない。
本発明は、チアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物を被験体に経皮投与すること(すなわち、その結果、全身効果なく局所的皮下脂肪において治療効果が達成されること)が皮下脂肪における局所的増加を、例えば、有害な副作用なく、効率的に達成するという発見から生まれている。
従って、一局面において、必要性のある被験体の身体において脂肪を局所的に増大させるための方法が提供され、上記方法は、上記被験体の皮下脂肪に、チアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを経皮送達する工程を包含する。ある種の実施形態において、上記送達(投与)工程は、皮膚への局所塗布、または皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、病変内注射、経粘膜注射、もしくは粘膜塗布によるものを包含する。
ある種の実施形態において、被験体の身体において局所的に脂肪を増大させることは、被験体の対照部位と比較して、もしくはベースライン(投与前)皮下脂肪測定値と比較して、上記被験体の処置部位における皮下脂肪厚の増大(例えば、皮下脂肪厚の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、もしくは少なくとも40%の増大)を生じる。
ある種の実施形態において、上記被験体は、皮下脂肪欠損症に罹っている。
ある種の実施形態において、上記皮下脂肪欠損症は、代謝障害と関連している。ある種の実施形態において、上記代謝障害は、インスリン抵抗性、糖尿病、リパーゼ欠損症、消耗性疾患、栄養不良、傍腫瘍状態、食欲不振、悪性貧血、セリアック病、もしくは吸収不良症候群である。
ある種の実施形態において、上記皮下脂肪欠損症は、炎症状態と関連している。ある種の実施形態において、上記炎症状態は、補体成分3(C3)欠損症、膜性増殖性糸球体腎炎、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、関節リウマチ、側頭動脈炎、もしくは白血球核破壊性血管炎である。
ある種の実施形態において、上記皮下脂肪欠損症は、後天性である。ある種の実施形態において、上記後天性皮下脂肪欠損症は、HIV関連脂肪異栄養症、脂血症、後天性部分型脂肪異栄養症、後天性全身型脂肪異栄養症、パリー・ロンベルグ症候群、若年性皮膚筋炎、遠心性腹部脂肪異栄養症、環状脂肪異栄養症、もしくは限局性脂肪異栄養症である。
ある種の実施形態において、上記皮下脂肪欠損症は、先天性である。
ある種の実施形態において、上記先天性皮下脂肪欠損症は、先天性全身性脂肪異栄養症、家族性部分性脂肪異栄養症、中條・西村症候群、コケイン症候群、SHORT症候群、AREDYLD症候群、下顎骨先端形成異常症(mandibuloacral dysplasia)、ケッペン・ルビンスキー症候群、POEMS症候群、ウェルナー症候群、ハッチンソン・ギルフォード症候群、もしくは早老症である。
ある種の実施形態において、上記皮下脂肪欠損症は、APLD、AKT2、C3、CAV1、CGL1(AGPAT2)、およびCGL2(BSCL2)、LMF1、LMNA、PLIN1、PPARG、PSMB8、PTRF、ならびにZMPSTE24からなる群より選択される遺伝子における脂肪萎縮症を引き起こす変異によって引き起こされる。
ある種の実施形態において、上記皮下脂肪欠損症は、薬物療法、手術、もしくは傷害によって引き起こされる。
ある種の実施形態において、上記被験体は、皮膚の皺に悩まされており、上記方法は、皺のみかけを最小限にする工程を包含する。
ある種の実施形態において、上記被験体は、身体部分のサイズもしくは輪郭に不満を抱いており、上記方法は、上記身体部分の輪郭を変化させる工程を包含する。ある種の実施形態において、上記身体部分は、顔面、前頭部、顔面の眼窩周囲領域、顔面中部、頬部、頤部、口唇部、前頭部の頂点から頤部の最も下までの他の前側にある構造、乳房、肢、手、体幹部、股関節部、もしくは臀部である。
ある種の実施形態において、上記被験体は、脂肪を移植したことがあり、上記方法は、上記移植した脂肪を増大させる工程を包含する。
ある種の実施形態において、上記被験体は、糖尿病、HIV、家族性脂肪異栄養症、もしくは皮下脂肪欠損症に罹っている。
ある種の実施形態において、上記チアゾリジンジオンは、式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって;
ここで:
環Aは、置換されているかもしくは置換されていないアリーレンまたは置換されているかもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり;
Lは、置換されているかもしくは置換されていないC1〜6アルキレンまたは置換されているかもしくは置換されていないヘテロC1〜6アルキレンであり;そして
環Bは、置換されているかもしくは置換されていないカルボシクリル、置換されているかもしくは置換されていないヘテロシクリル、置換されているかもしくは置換されていないアリール、または置換されているかもしくは置換されていないヘテロアリールである。
ある種の実施形態において、上記チアゾリジンジオンは、以下:
ならびにこれらの薬学的に許容される塩およびプロドラッグからなる群より選択される。
ある種の実施形態において、上記食欲増進化合物は、式(II)の化合物:
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって;
ここで:
の各場合は、単結合もしくは二重結合を独立して表し;
R1は、水素、ヒドロキシル、置換されたヒドロキシル、チオール、置換されたチオール、アミノ、もしくは置換されたアミノであり;
R2は、水素、ヒドロキシル、置換されたヒドロキシル、チオール、置換されたチオール、アミノ、もしくは置換されたアミノであり;
R3は、水素または置換されているかもしくは置換されていないC1−6アルキルであり;
R4は、水素、ヒドロキシル、置換されたヒドロキシル、チオール、置換されたチオール、アミノ、もしくは置換されたアミノであり、R5は、水素であるか;またはR4およびR5は一緒になってオキソ基=Oを形成する。
ある種の実施形態において、上記食欲増進化合物は、以下:
ならびにこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される。
ある種の実施形態において、上記方法は、上記被験体の皮下脂肪に、約0.0001重量%〜約5重量%の間(両端を含む)のチアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを含む組成物を上記被験体に経皮送達する工程を包含する。ある種の実施形態において、上記チアゾリジンジオン、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの濃度は、約0.1重量%〜約5重量%の間(両端を含む)である。ある種の実施形態において、上記食欲増進化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの濃度は、約0.1重量%〜約5重量%の間(両端を含む)である。
別の局面において、チアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容されるキャリアを含む経皮投与のための組成物が提供される。ある種の実施形態において、上記組成物は、薬学的組成物もしくは美容用組成物である。ある種の実施形態において、上記組成物は、上記チアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの治療上有効量を含む。
ある種の実施形態において、上記薬学的に許容されるキャリアは、経皮用キャリアを含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、経皮用キャリアを含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、病変内注射、経粘膜注射、もしくは粘膜塗布のためのキャリア(必要に応じて、経皮用キャリア)を含む。ある種の実施形態において、上記経皮用キャリアは、本明細書で提供される作業実施例のうちの1つに従うキャリアである;例えば、実施例1〜11を参照のこと。
ある種の実施形態において、上記経皮用キャリアは、1種または1種より多くの脂肪酸を含む。ある種の実施形態において、上記脂肪酸は、オレイン酸である。ある種の実施形態において、上記オレイン酸は、約1重量%〜約10重量%の間の濃度で存在する。
ある種の実施形態において、上記経皮用キャリアは、1種または1種より多くの有機性アルコール(例えば、エタノールおよび/もしくはプロピレングリコール)を含む。ある種の実施形態において、上記有機性アルコールの終濃度は、約5重量%〜約99重量%の間である。
ある種の実施形態において、上記組成物は、チアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および脂肪酸(例えば、オレイン酸)を含む経皮用キャリアを含み、ここで上記脂肪酸濃度は、上記組成物中で約1重量〜約10重量%の間である。ある種の実施形態において、上記経皮用キャリアは、有機性アルコール(例えば、プロピレングリコールおよび/もしくはエタノール)をさらに含む。ある種の実施形態において、上記有機性アルコール濃度は、上記組成物中で約5重量%〜約99重量%の間である。ある種の実施形態において、上記組成物は、透過増強剤をさらに含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、粘性増強剤をさらに含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、酸化防止剤をさらに含む。
ある種の実施形態において、上記組成物は、無水である(例えば、0%〜1%の間(両端を含む)の水を含む)。
ある種の実施形態において、上記組成物は、ゲルである。
本発明の1以上の実施形態の詳細は、下記の添付の図面に示される。本発明の他の特徴、目的および利点は、詳細な説明、実施例、および特許請求の範囲から明らかである。
(定義)
具体的な官能基および化学用語の定義は、以下により詳細に記載される。化学元素は、the Periodic Table of the Elements、CAS版、Handbook of Chemistry and Physics、第75版、表紙裏に従って特定され、具体的な官能基は、一般にその中に記載されたとおりに定義される。さらに、有機化学の一般原理、ならびに具体的な官能性部分(functional moiety)および反応性は、Organic Chemistry、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito、1999年;Smith and March March’s Advanced Organic Chemistry、第5版、John Wiley & Sons, Inc.、New York、2001年;Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers, Inc.、New York、1989年;およびCarruthers、Some Modern Methods of Organic Synthesis、第3版、Cambridge University Press、Cambridge、1987年に記載されている。
本明細書で記載される化合物は、1または1より多くの不斉中心を含み得るので、種々の立体異性形態(例えば、エナンチオマーおよび/もしくはジアステレオマー)で存在し得る。例えば、本明細書で記載される化合物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマーもしくは幾何異性体の形態にあり得るか、または立体異性体の混合物(ラセミ混合物および1種もしくは1種より多くの立体異性体が富化された混合物を含む)の形態にあり得る。異性体は、当業者に公知の方法(キラル高圧液体クラマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化が挙げられる)によって混合物から単離され得るか;または好ましい異性体が不斉合成によって調製され得る。例えば、Jacquesら,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981);Wilenら,Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,E.L.Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill,NY,1962);およびWilen,S.H.Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel編,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照のこと。本発明はさらに、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体としての化合物を、そして代わりに、種々の異性体の混合物としての化合物を包含する。
ある範囲の値が列挙される場合、上記範囲内の各値および部分範囲を包含することが意図される。例えば、「C1〜6アルキル」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1〜6、C1〜5、C1〜4、C1〜3、C1〜2、C2〜6、C2〜5、C2〜4、C2〜3、C3〜6、C3〜5、C3〜4、C4〜6、C4〜5、およびC5〜6のアルキルを包含することが意図される。
本明細書で使用される場合、「アルキル」とは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝状の飽和炭化水素基のラジカル(「C1〜10アルキル」)をいう。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜9個の炭素原子を有する(「C1〜9アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜8個の炭素原子を有する(「C1〜8アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜7個の炭素原子を有する(「C1〜7アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有する(「C1〜6アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜5個の炭素原子を有する(「C1〜5アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜4個の炭素原子を有する(「C1〜4アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜3個の炭素原子を有する(「C1〜3アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜2個の炭素原子を有する(「C1〜2アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1個の炭素原子を有する(「C1アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、2〜6個の炭素原子を有する(「C2〜6アルキル」)。C1〜6アルキル基の例としては、以下が挙げられる:メチル(C1)、エチル(C2)、n−プロピル(C3)、イソプロピル(C3)、n−ブチル(C4)、tert−ブチル(C4)、sec−ブチル(C4)、イソブチル(C4)、n−ペンチル(C5)、3−ペンタニル(C5)、アミル(C5)、ネオペンチル(C5)、3−メチル−2−ブタニル(C5)、三級アミル(C5)、およびn−ヘキシル(C6)。アルキル基のさらなる例としては、n−ヘプチル(C7)、n−オクチル(C8)などが挙げられる。別段特定されなければ、アルキル基の各場合は、独立して、置換されていない(「置換されていないアルキル」)か、または1個もしくは1個より多くの置換基で置換されている(「置換されたアルキル」)。ある種の実施形態において、上記アルキル基は、置換されていないC1〜10アルキル(例えば、−CH3)である。ある種の実施形態において、上記アルキル基は、置換されたC1〜10アルキルである。
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」は、水素原子のうちの1個または1個より多くがハロゲン(例えば、フルオロ、ブロモ、クロロ、もしくはヨード)によって独立して置き換えられている、本明細書で定義されるとおりの置換されたアルキル基である。「ペルハロアルキル」は、ハロアルキルの部分セットであり、水素原子の全てがハロゲン(例えば、フルオロ、ブロモ、クロロ、もしくはヨード)によって独立して置き換えられているアルキル基をいう。いくつかの実施形態において、上記ハロアルキル部分は、1〜8個の炭素原子を有する(「C1〜8ハロアルキル」)。いくつかの実施形態において、上記ハロアルキル部分は、1〜6個の炭素原子を有する(「C1〜6ハロアルキル」)。いくつかの実施形態において、上記ハロアルキル部分は、1〜4個の炭素原子を有する(「C1〜4ハロアルキル」)。いくつかの実施形態において、上記ハロアルキル部分は、1〜3個の炭素原子を有する(「C1〜3ハロアルキル」)。いくつかの実施形態において、上記ハロアルキル部分は、1〜2個の炭素原子を有する(「C1〜2ハロアルキル」)。いくつかの実施形態において、上記ハロアルキルの水素原子の全てがフルオロで置き換えられて、ペルフルオロアルキル基を提供する。いくつかの実施形態において、上記ハロアルキルの水素原子の全てがクロロで置き換えられて、「ペルクロロアルキル」基を提供する。ハロアルキル基の例としては、−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CCl3、−CFCl2、−CF2Clなどが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキル」とは、酸素、窒素、もしくは硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、1個、2個、3個、もしくは4個のヘテロ原子)をさらに含み、そのヘテロ原子が親鎖の末端位置の内部にある(すなわち、親鎖の隣接する炭素原子の間に挿入される)か、そして/または親鎖の1もしくは1より多くの末端位置に位置する、本明細書で定義されるとおりのアルキル基をいう。ある種の実施形態において、ヘテロアルキル基は、親鎖の内部に1〜10個の炭素原子および1個または1個より多くのヘテロ原子を有する飽和した基をいう(「ヘテロC1〜10アルキル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、親鎖の内部に1〜9個の炭素原子および1個または1個より多くのヘテロ原子を有する飽和した基である(「ヘテロC1〜9アルキル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、親鎖の内部に1〜8個の炭素原子および1個または1個より多くのヘテロ原子を有する飽和した基である(「ヘテロC1〜8アルキル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、親鎖の内部に1〜7個の炭素原子および1個または1個より多くのヘテロ原子を有する飽和した基である(「ヘテロC1〜7アルキル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、親鎖の内部に1〜6個の炭素原子および1個または1個より多くのヘテロ原子を有する飽和した基である(「ヘテロC1〜6アルキル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、親鎖の内部に1〜5個の炭素原子および1個もしくは2個のヘテロ原子を有する飽和した基である(「ヘテロC1〜5アルキル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、親鎖の内部に1〜4個の炭素原子および1個もしくは2個のヘテロ原子を有する飽和した基である(「ヘテロC1〜4アルキル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、親鎖の内部に1〜3個の炭素原子および1個のヘテロ原子を有する飽和した基である(「ヘテロC1〜3アルキル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、親鎖の内部に1〜2個の炭素原子および1個のヘテロ原子を有する飽和した基である(「ヘテロC1〜2アルキル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、1個の炭素原子および1個のヘテロ原子を有する飽和した基である(「ヘテロC1アルキル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、親鎖の内部に2〜6個の炭素原子および1個もしくは2個のヘテロ原子を有する飽和した基である(「ヘテロC2〜6アルキル」)。別段特定されなければ、ヘテロアルキル基の各場合は、独立して、置換されていない(「置換されていないヘテロアルキル」)か、または1個もしくは1個より多くの置換基で置換されている(「置換されたヘテロアルキル」)。ある種の実施形態において、上記ヘテロアルキル基は、置換されていないヘテロC1〜10アルキルである。ある種の実施形態において、上記ヘテロアルキル基は、置換されたヘテロC1〜10アルキルである。
本明細書で使用される場合、「アルケニル」とは、2〜10個の炭素原子および1個もしくは1個より多くの炭素−炭素二重結合(例えば、1個、2個、3個、もしくは4個の二重結合)を有する直鎖もしくは分枝状の炭化水素基のラジカルをいう。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2〜9個の炭素原子を有する(「C2〜9アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2〜8個の炭素原子を有する(「C2〜8アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2〜7個の炭素原子を有する(「C2〜7アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2〜6個の炭素原子を有する(「C2〜6アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2〜5個の炭素原子を有する(「C2〜5アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2〜4個の炭素原子を有する(「C2〜4アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2〜3個の炭素原子を有する(「C2〜3アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2個の炭素原子を有する(「C2アルケニル」)。上記1個または1個より多くの炭素−炭素二重結合は、内部にあってもよいし(例えば、2−ブテニルにおいてのように)、末端にあってもよい(例えば、1−ブテニルにおいてのように)。C2〜4アルケニル基の例としては、エテニル(C2)、1−プロペニル(C3)、2−プロペニル(C3)、1−ブテニル(C4)、2−ブテニル(C4)、ブタジエニル(C4)などが挙げられる。C2〜6アルケニル基の例としては、前述のC2〜4アルケニル基、ならびにペンテニル(C5)、ペンタジエニル(C5)、ヘキセニル(C6)などが挙げられる。アルケニルのさらなる例としては、ヘプテニル(C7)、オクテニル(C8)、オクタトリエニル(C8)などが挙げられる。別段特定されなければ、アルケニル基の各場合は、独立して、置換されていない(「置換されていないアルケニル」)か、または1個もしくは1個より多くの置換基で置換されている(「置換されたアルケニル」)。ある種の実施形態において、上記アルケニル基は、置換されていないC2〜10アルケニルである。ある種の実施形態において、上記アルケニル基は、置換されたC2〜10アルケニルである。
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルケニル」とは、酸素、窒素、もしくは硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、1個、2個、3個、もしくは4個のヘテロ原子)をさらに含み、そのヘテロ原子が親鎖の内部にある(すなわち、親鎖の隣接する炭素原子の間に挿入される)か、そして/または親鎖の1もしくは1より多くの末端位置にある、本明細書で定義されるとおりのアルケニル基をいう。ある種の実施形態において、ヘテロアルケニル基とは、親鎖の内部に2〜10個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合、および1個または1個より多くのヘテロ原子を有する基をいう(「ヘテロC2〜10アルケニル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルケニル基は、親鎖の内部に2〜9個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合、および1個または1個より多くのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜9アルケニル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルケニル基は、親鎖の内部に2〜8個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合、および1個または1個より多くのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜8アルケニル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルケニル基は、親鎖の内部に2〜7個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合、および1個または1個より多くのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜7アルケニル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルケニル基は、親鎖の内部に2〜6個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合、および1個または1個より多くのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜6アルケニル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルケニル基は、親鎖の内部に2〜5個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合、および1個もしくは2個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜5アルケニル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルケニル基は、親鎖の内部に2〜4個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合、および1個もしくは2個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜4アルケニル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルケニル基は、親鎖の内部に2〜3個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合、および1個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜3アルケニル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルケニル基は、親鎖の内部に2〜6個の炭素原子、少なくとも1個の二重結合、および1個もしくは2個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜6アルケニル」)。別段特定されなければ、ヘテロアルケニル基の各場合は、独立して、置換されていない(「置換されていないヘテロアルケニル」)か、または1個もしくは1個より多くの置換基で置換されている(「置換されたヘテロアルケニル」)。ある種の実施形態において、上記ヘテロアルケニル基は、置換されていないヘテロC2〜10アルケニルである。ある種の実施形態において、上記ヘテロアルケニル基は、置換されたヘテロC2〜10アルケニルである。
本明細書で使用される場合、「アルキニル」とは、2〜10個の炭素原子および1個もしくは1個より多くの炭素−炭素三重結合(例えば、1個、2個、3個、もしくは4個の三重結合)を有する直鎖もしくは分枝状の炭化水素基のラジカルをいう(「C2〜10アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2〜9個の炭素原子を有する(「C2〜9アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2〜8個の炭素原子を有する(「C2〜8アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2〜7個の炭素原子を有する(「C2〜7アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2〜6個の炭素原子を有する(「C2〜6アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2〜5個の炭素原子を有する(「C2〜5アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2〜4個の炭素原子を有する(「C2〜4アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2〜3個の炭素原子を有する(「C2〜3アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2個の炭素原子を有する(「C2アルキニル」)。上記1個または1個より多くの炭素−炭素三重結合は、内部にあってもよいし(例えば、2−ブチニルにおいてのように)、末端にあってもよい(例えば、1−ブチニルにおいてのように)。C2〜4アルキニル基の例としては、エチニル(C2)、1−プロピニル(C3)、2−プロピニル(C3)、1−ブチニル(C4)、2−ブチニル(C4)などが挙げられるが、これらに限定されない。C2〜6アルケニル基の例としては、前述のC2〜4アルキニル基、ならびにペンチニル(C5)、ヘキシニル(C6)などが挙げられる。アルキニルのさらなる例としては、ヘプチニル(C7)、オクチニル(C8)などが挙げられる。別段特定されなければ、アルキニル基の各場合は、独立して、置換されていない(「置換されていないアルキニル」)か、または1個もしくは1個より多くの置換基で置換されている(「置換されたアルキニル」)。ある種の実施形態において、上記アルキニル基は、置換されていないC2〜10アルキニルである。ある種の実施形態において、上記アルキニル基は、置換されたC2〜10アルキニルである。
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキニル」とは、酸素、窒素、もしくは硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、1個、2個、3個、もしくは4個のヘテロ原子)をさらに含み、そのヘテロ原子が親鎖の末端位置の内部にある(すなわち、親鎖の末端位置の隣接する炭素原子の間に挿入される)か、そして/または親鎖の1もしくは1より多くの末端位置にある、本明細書で定義されるとおりのアルキニル基をいう。ある種の実施形態において、ヘテロアルキニル基は、親鎖の内部に2〜10個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個または1個より多くのヘテロ原子を有する基をいう(「ヘテロC2〜10アルキニル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキニル基は、親鎖の内部に2〜9個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個または1個より多くのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜9アルキニル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキニル基は、親鎖の内部に2〜8個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個または1個より多くのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜8アルキニル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキニル基は、親鎖の内部に2〜7個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個または1個より多くのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜7アルキニル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキニル基は、親鎖の内部に2〜6個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個または1個より多くのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜6アルキニル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキニル基は、親鎖の内部に2〜5個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個もしくは2個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜5アルキニル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキニル基は、親鎖の内部に2〜4個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個もしくは2個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜4アルキニル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキニル基は、親鎖の内部に2〜3個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜3アルキニル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキニル基は、親鎖の内部に2〜6個の炭素原子、少なくとも1個の三重結合、および1個もしくは2個のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜6アルキニル」)。別段特定されなければ、ヘテロアルキニル基の各場合は、独立して、置換されていない(「置換されていないヘテロアルキニル」)か、または1個もしくは1個より多くの置換基で置換されている(「置換されたヘテロアルキニル」)。ある種の実施形態において、上記ヘテロアルキニル基は、置換されていないヘテロC2〜10アルキニルである。ある種の実施形態において、上記ヘテロアルキニル基は、置換されたヘテロC2〜10アルキニルである。
本明細書で使用される場合、「カルボシクリル」もしくは「炭素環式」とは、3〜10個の環炭素原子(「C3〜10カルボシクリル」)および0個のヘテロ原子を非芳香環系の中に有する非芳香族の環式炭化水素基のラジカルをいう。いくつかの実施形態において、カルボシクリル基は、3〜8個の環炭素原子を有する(「C3〜8カルボシクリル」)。いくつかの実施形態において、カルボシクリル基は、3〜7個の環炭素原子を有する(「C3〜7カルボシクリル」)。いくつかの実施形態において、カルボシクリル基は、3〜6個の環炭素原子を有する(「C3〜6カルボシクリル」)。いくつかの実施形態において、カルボシクリル基は、4〜6個の環炭素原子を有する(「C4〜6カルボシクリル」)。いくつかの実施形態において、カルボシクリル基は、5〜6個の環炭素原子を有する(「C5〜6カルボシクリル」)。いくつかの実施形態において、カルボシクリル基は、5〜10個の環炭素原子を有する(「C5〜10カルボシクリル」)。例示的なC3〜6カルボシクリル基としては、シクロプロピル(C3)、シクロプロペニル(C3)、シクロブチル(C4)、シクロブテニル(C4)、シクロペンチル(C5)、シクロペンテニル(C5)、シクロヘキシル(C6)、シクロヘキセニル(C6)、シクロヘキサジエニル(C6)などが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なC3〜8カルボシクリル基としては、前述のC3〜6カルボシクリル基、ならびにシクロヘプチル(C7)、シクロヘプテニル(C7)、シクロヘプタジエニル(C7)、シクロヘプタトリエニル(C7)、シクロオクチル(C8)、シクロオクテニル(C8)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル(C7)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(C8)などが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なC3〜10カルボシクリル基としては、前述のC3〜8カルボシクリル基、ならびにシクロノニル(C9)、シクロノネニル(C9)、シクロデシル(C10)、シクロデセニル(C10)、オクタヒドロ−1H−インデニル(C9)、デカヒドロナフタレニル(C10)、スピロ[4.5]デカニル(C10)などが挙げられるが、これらに限定されない。前述の例が示すように、ある種の実施形態において、上記カルボシクリル基は、単環式(「単環式カルボシクリル」)もしくは多環式(例えば、縮合環系、架橋環系もしくはスピロ環系(例えば、二環式系(「二環式カルボシクリル」)または三環式系(「三環式カルボシクリル」))を含む)のいずれかであり、飽和であってもよいし、1個もしくは1個より多くの炭素−炭素の二重結合もしくは三重結合を含んでいてもよい。「カルボシクリル」はまた、上記で定義されるようなカルボシクリル環が、1個もしくは1個より多くのアリール基もしくはヘテロアリール基と縮合され、その結合点が上記カルボシクリル環上にある環系を含み、このような場合には、炭素数は、続けて上記炭素環式環系の中の炭素数を示す。別段特定されなければ、カルボシクリル基の各場合は、独立して、置換されていない(「置換されていないカルボシクリル」)か、または1個もしくは1個より多くの置換基で置換されている(「置換されたカルボシクリル」)。ある種の実施形態において、上記カルボシクリル基は、置換されていないC3〜10カルボシクリルである。ある種の実施形態において、上記カルボシクリル基は、置換されたC3〜10カルボシクリルである。
いくつかの実施形態において、「カルボシクリル」は、3〜10個の環炭素原子を有する単環式の飽和したカルボシクリル基である(「C3〜10シクロアルキル」)。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、3〜8個の環炭素原子を有する(「C3〜8シクロアルキル」)。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、3〜6個の環炭素原子を有する(「C3〜6シクロアルキル」)。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、4〜6個の環炭素原子を有する(「C4〜6シクロアルキル」)。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、5〜6個の環炭素原子を有する(「C5〜6シクロアルキル」)。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、5〜10個の環炭素原子を有する(「C5〜10シクロアルキル」)。C5〜6シクロアルキル基の例としては、シクロペンチル(C5)およびシクロヘキシル(C5)が挙げられる。C3〜6シクロアルキル基の例としては、前述のC5〜6シクロアルキル基、ならびにシクロプロピル(C3)およびシクロブチル(C4)が挙げられる。C3〜8シクロアルキル基の例としては、前述のC3〜6シクロアルキル基、ならびにシクロヘプチル(C7)およびシクロオクチル(C8)が挙げられる。別段特定されなければ、シクロアルキル基の各場合は、独立して、置換されていない(「置換されていないシクロアルキル」)か、または1個もしくは1個より多くの置換基で置換されている(「置換されたシクロアルキル」)。ある種の実施形態において、上記シクロアルキル基は、置換されていないC3〜10シクロアルキルである。ある種の実施形態において、上記シクロアルキル基は、置換されたC3〜10シクロアルキルである。
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」もしくは「複素環式」とは、環炭素原子および1〜4個の環ヘテロ原子を有し、ここで各ヘテロ原子が窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される3員〜14員の非芳香環系のラジカルをいう(「3〜14員のヘテロシクリル」)。1個または1個より多くの窒素原子を含むヘテロシクリル基では、その結合点は、原子価が許容する限り、炭素原子でっても窒素原子であってもよい。ヘテロシクリル基は、単環式(「単環式ヘテロシクリル」)または多環式(例えば、縮合環系、架橋環系もしくはスピロ環系(例えば、二環式系(「二環式ヘテロシクリル」)もしくは三環式系(「三環式ヘテロシクリル」)))のいずれかであり得、飽和していてもよいし、1個もしくは1個より多くの炭素−炭素の二重結合もしくは三重結合を含んでいてもよい。ヘテロシクリル多環式環系は、一方もしくは両方の環の中に1個もしくは1個より多くのヘテロ原子を含み得る。「ヘテロシクリル」はまた、ヘテロシクリル環(上記で定義されるとおり)が、1個もしくは1個より多くのカルボシクリル基と縮合され、その結合点がカルボシクリル環もしくはヘテロシクリル環のいずれかにある環系、または上記ヘテロシクリル環(上記で定義されるとおり)が1個もしくは1個より多くのアリール基もしくはヘテロアリール基と縮合され、その結合点が上記ヘテロシクリル環にある環系を含み、このような場合、環員の数は、続けて上記ヘテロシクリル環系の中の環員の数を示す。別段特定されなければ、ヘテロシクリルの各場合は、独立して、置換されていない(「置換されていないヘテロシクリル」)か、または1個もしくは1個より多くの置換基で置換されている(「置換されたヘテロシクリル」)。ある種の実施形態において、上記ヘテロシクリル基は、置換されていない3〜14員のヘテロシクリルである。ある種の実施形態において、上記ヘテロシクリル基は、置換された3〜14員のヘテロシクリルである。
いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子および1〜4個の環ヘテロ原子を有し、ここで各ヘテロ原子が窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される5〜10員の非芳香環系である(「5〜10員のヘテロシクリル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子および1〜4個の環ヘテロ原子を有し、ここで各ヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される5〜8員の非芳香環系である(「5〜8員のヘテロシクリル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子および1〜4個の環ヘテロ原子を有し、ここで各ヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される5〜6員の非芳香環系である(「5〜6員のヘテロシクリル」)。いくつかの実施形態において、上記5〜6員のヘテロシクリルは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜3個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、上記5〜6員のヘテロシクリルは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、上記5〜6員のヘテロシクリルは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。
1個のヘテロ原子を含む例示的な3員のヘテロシクリル基としては、アジリジニル(azirdinyl)、オキシラニル、チオレニル(thiorenyl)が挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な4員のヘテロシクリル基としては、アゼチジニル、オキセタニルおよびチエタニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な5員のヘテロシクリル基としては、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリルおよびピロリル−2,5−ジオンが挙げられるが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な5員のヘテロシクリル基としては、ジオキソラニル、オキサチオラニルおよびジチオラニルが挙げられるが、これらに限定されない。3個のヘテロ原子を含む例示的な5員のヘテロシクリル基としては、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、およびチアジアゾリニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な6員のヘテロシクリル基としては、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、およびチアニルが挙げられるが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な6員のヘテロシクリル基としては、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、ジオキサニルが挙げられるが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な6員のヘテロシクリル基としては、トリアジナニル(triazinanyl)が挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な7員のヘテロシクリル基としては、アゼパニル、オキセパニルおよびチエパニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な8員のヘテロシクリル基としては、アゾカニル、オキセカニルおよびチオカニルが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な二環式ヘテロシクリル基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロインドリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロクロメニル、オクタヒドロイソクロメニル、デカヒドロナフチリジニル、デカヒドロ−1,8−ナフチリジニル、オクタヒドロピロロ[3,2−b]ピロール、インドリニル、フタルイミジル、ナフタルイミジル、クロマニル、クロメニル、1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピニル、1,4,5,7−テトラヒドロピラノ[3,4−b]ピロリル、5,6−ジヒドロ−4H−フロ[3,2−b]ピロリル、6,7−ジヒドロ−5H−フロ[3,2−b]ピラニル、5,7−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−c]ピラニル、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジニル、2,3−ジヒドロフロ[2,3−b]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロフロ[3,2−c]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−b]ピリジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジニルなど。
本明細書で使用される場合、「アリール」とは、単環式または多環式の(例えば、二環式もしくは三環式の)4n+2芳香環系(例えば、6個、10個、または14個のπ電子が環式配置の中で共有されている)のラジカルであって、6〜14個の環炭素原子および0個のヘテロ原子が芳香環系の中に提供されているものをいう(「C6〜14アリール」)。いくつかの実施形態において、アリール基は、6個の環炭素原子を有する(「C6アリール」;例えば、フェニル)。いくつかの実施形態において、アリール基は、10個の環炭素原子を有する(「C10アリール」;例えば、1−ナフチルおよび2−ナフチルのようなナフチル)。いくつかの実施形態において、アリール基は、14個の環炭素原子を有する(「C14アリール」;例えば、アントラシル)。「アリール」はまた、上記アリール環(上記で定義されるとおり)が、1個もしくは1個より多くのカルボシクリル基もしくはヘテロシクリル基と縮合され、そのラジカルもしくは結合点がアリール環にある環系を含み、このような場合、炭素原子の数は続けて、上記アリール環系の中の炭素原子数を示す。別段特定されなければ、アリール基の各場合は、独立して、置換されていない(「置換されていないアリール」)か、または1個もしくは1個より多くの置換基で置換されている(「置換されたアリール」)。ある種の実施形態において、上記アリール基は、置換されていないC6〜14アリールである。ある種の実施形態において、上記アリール基は、置換されたC6〜14アリールである。
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」とは、5〜14員の単環式もしくは多環式の(例えば、二環式、三環式の)4n+2芳香環系(例えば、6個、10個、もしくは14個のπ電子が環式配置で共有されている)のラジカルであって、環炭素原子および1〜4個の環ヘテロ原子が芳香環系の中に提供されており、ここで各ヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択されるものをいう(「5〜14員のヘテロアリール」)。1個または1個より多くの窒素原子を含むヘテロアリール基において、その結合点は、原子価が許容する限り、炭素原子でっても窒素原子であってもよい。ヘテロアリール多環式環系は、一方もしくは両方の環の中に1個もしくは1個より多くのヘテロ原子を含み得る。「ヘテロアリール」は、上記ヘテロアリール環(上記で定義されるとおり)が1個もしくは1個より多くのカルボシクリルもしくはヘテロシクリル基と縮合され、その結合点が上記ヘテロアリール環にある環系を含み、このような場合に、環員の数は続けて、上記ヘテロアリール環系の中の環員の数を示す。「ヘテロアリール」はまた、上記ヘテロアリール環(上記で定義されるとおり)が1個または1個より多くのアリール基と縮合され、その結合点が上記アリール環もしくはヘテロアリール環のいずれかにある環系を含み、このような場合に、環員の数は、上記縮合された多環式(アリール/ヘテロアリール)環系の中の環員の数を示す。一方の環がヘテロ原子を含まない多環式ヘテロアリール基、(例えば、インドリル、キノリニル、カルバゾリルなど)、その結合点は、いずれの環にあってもよい。すなわち、ヘテロ原子を有する環にあっても(例えば、2−インドリル)、ヘテロ原子を含まない環にあっても(例えば、5−インドリル)いずれでもよい。
いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、環炭素原子および1〜4個の環ヘテロ原子が芳香環系の中に提供され、ここで各ヘテロ原子が窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される、5〜10員の芳香環系である(「5〜10員のヘテロアリール」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、環炭素原子および1〜4個の環ヘテロ原子が芳香環系の中に提供され、ここで各ヘテロ原子が、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される、5〜8員の芳香環系である(「5〜8員のヘテロアリール」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、環炭素原子および1〜4個の環ヘテロ原子が芳香環系の中に提供され、ここで各ヘテロ原子が、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される5〜6員の芳香環系である(「5〜6員のヘテロアリール」)。いくつかの実施形態において、上記5〜6員のヘテロアリールは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜3個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、上記5〜6員のヘテロアリールは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、上記5〜6員のヘテロアリールは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。別段特定されなければ、ヘテロアリール基の各場合は、独立して、置換されていない(「置換されていないヘテロアリール」)か、または1個もしくは1個より多くの置換基で置換されている(「置換されたヘテロアリール」)。ある種の実施形態において、上記ヘテロアリール基は、置換されていない5〜14員のヘテロアリールである。ある種の実施形態において、上記ヘテロアリール基は、置換された5〜14員のヘテロアリールである。
1個のヘテロ原子を含む例示的な5員のヘテロアリール基としては、ピロリル、フラニルおよびチオフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な5員のヘテロアリール基としては、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、およびイソチアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。3個のヘテロ原子を含む例示的な5員のヘテロアリール基としては、トリアゾリル、オキサジアゾリル、およびチアジアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。4個のヘテロ原子を含む例示的な5員のヘテロアリール基としては、テトラゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な6員のヘテロアリール基としては、ピリジニルが挙げられるが、これに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な6員のヘテロアリール基としては、ピリダジニル、ピリミジニル、およびピラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。3個もしくは4個のヘテロ原子を含む例示的な6員のヘテロアリール基としては、それぞれ、トリアジニルおよびテトラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な7員のヘテロアリール基としては、アゼピニル、オキセピニル、およびチエピニルが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な5,6−二環式のヘテロアリール基としては、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インドリジニル、およびプリニルが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な6,6−二環式ヘテロアリール基としては、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、およびキナゾリニルが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な三環式ヘテロアリール基としては、フェナントリジニル、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルおよびフェナジニルが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、用語「部分不飽和の」とは、少なくとも1個の二重結合もしくは三重結合を含む環部分をいう。用語「部分不飽和の」は、複数の不飽和部位を有する環を包含することが意図されるが、本明細書で定義されるとおりの芳香族基(例えば、アリール部分もしくはヘテロアリール部分)を含むことは意図されない。
本明細書で使用される場合、用語「飽和の」とは、二重結合も三重結合も含まない環部分をいう(すなわち、その環は、全て単結合を含む)。
基に接尾辞「−エン」を付けると、その基が二価部分であることを示す。例えば、アルキレンは、アルキルの二価部分であり、アルケニレンは、アルケニルの二価部分であり、アルキニレンは、アルキニルの二価部分であり、ヘテロアルキレンは、ヘテロアルキルの二価部分であり、ヘテロアルケニレンは、ヘテロアルケニルの二価部分であり、ヘテロアルキニレンは、ヘテロアルキニルの二価部分であり、カルボシクリレンは、カルボシクリルの二価部分であり、ヘテロシクリレンは、ヘテロシクリルの二価部分であり、アリーレンは、アリールの二価部分であり、ヘテロアリーレンは、ヘテロアリールの二価部分である。
上記から理解されるように、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリール基は、上記で定義されるように、ある種の実施形態において、必要に応じて置換される。必要に応じて置換されるとは、置換されていても置換されていなくてもよい基をいう(例えば、「置換された」もしくは「置換されていない」アルキル、「置換された」もしくは「置換されていない」アルケニル、「置換された」もしくは「置換されていない」アルキニル、「置換された」もしくは「置換されていない」ヘテロアルキル、「置換された」もしくは「置換されていない」ヘテロアルケニル、「置換された」もしくは「置換されていない」ヘテロアルキニル、「置換された」もしくは「置換されていない」カルボシクリル、「置換された」もしくは「置換されていない」ヘテロシクリル、「置換された」もしくは「置換されていない」アリールまたは「置換された」もしくは「置換されていない」ヘテロアリール基)。一般に、用語「置換される」とは、基に存在する少なくとも1個の水素が、許容される置換基、例えば、置換の際に、安定な化合物(例えば、転移、環化、脱離、もしくは他の反応によるような変換を自発的に受けない化合物)を生じる置換基で置き換えられることを意味する。別段示されなければ、「置換された」基は、上記基の1個または1個より多くの置換可能な位置において置換基を有し、任意の所定の構造において1個より多くの位置が置換されている場合、上記置換基は、各位置において同じであるか異なっているかのいずれかである。用語「置換された」は、有機化合物の全ての許容される置換基、安定な化合物の形成を生じる本明細書で記載される置換基のうちのいずれかでの置換を含むことが企図される。本発明は、安定な化合物に達するために、任意の全てのこのような組み合わせを企図する。本発明の目的のために、ヘテロ原子(例えば、窒素)は、そのヘテロ原子の原子価を満たし、安定な部分の形成を生じる、水素置換基および/もしくは本明細書で記載されるとおりの任意の適切な置換基を有し得る。
例示的な炭素原子置換基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ハロゲン、−CN、−NO2、−N3、−SO2H、−SO3H、−OH、−ORaa、−ON(Rbb)2、−N(Rbb)2、−N(Rbb)3 +X−、−N(ORcc)Rbb、−SH、−SRaa、−SSRcc、−C(=O)Raa、−CO2H、−CHO、−C(ORcc)2、−CO2Raa、−OC(=O)Raa、−OCO2Raa、−C(=O)N(Rbb)2、−OC(=O)N(Rbb)2、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCO2Raa、−NRbbC(=O)N(Rbb)2、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−OC(=NRbb)Raa、−OC(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb)2、−OC(=NRbb)N(Rbb)2、−NRbbC(=NRbb)N(Rbb)2、−C(=O)NRbbSO2Raa、−NRbbSO2Raa、−SO2N(Rbb)2、−SO2Raa、−SO2ORaa、−OSO2Raa、−S(=O)Raa、−OS(=O)Raa、−Si(Raa)3、−OSi(Raa)3、−C(=S)N(Rbb)2、−C(=O)SRaa、−C(=S)SRaa、−SC(=S)SRaa、−SC(=O)SRaa、−OC(=O)SRaa、−SC(=O)ORaa、−SC(=O)Raa、−P(=O)2Raa、−OP(=O)2Raa、−P(=O)(Raa)2、−OP(=O)(Raa)2、−OP(=O)(ORcc)2、−P(=O)2N(Rbb)2、−OP(=O)2N(Rbb)2、−P(=O)(NRbb)2、−OP(=O)(NRbb)2、−NRbbP(=O)(ORcc)2、−NRbbP(=O)(NRbb)2、−P(Rcc)2、−P(Rcc)3、−OP(Rcc)2、−OP(Rcc)3、−B(Raa)2、−B(ORcc)2、−BRaa(ORcc)、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜14カルボシクリル、3〜14員のヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員のヘテロアリール(ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、0個、1個、2個、3個、4個、もしくは5個のRdd基で独立して置換される);
あるいは1炭素原子上の2個のジェミナル水素が、基=O、=S、=NN(Rbb)2、=NNRbbC(=O)Raa、=NNRbbC(=O)ORaa、=NNRbbS(=O)2Raa、=NRbb、もしくは=NORccで置き換えられ;
Raaの各場合は、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜14員のヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員のヘテロアリールから独立して選択されるか、または2個のRaa基が一緒になって、3〜14員のヘテロシクリルもしくは5〜14員のヘテロアリール環を形成し、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、0個、1個、2個、3個、4個、もしくは5個のRdd基で独立して置換され;
Rbbの各場合は、水素、−OH、−ORaa、−N(Rcc)2、−CN、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc)2、−CO2Raa、−SO2Raa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc)2、−SO2N(Rcc)2、−SO2Rcc、−SO2ORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc)2、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、−P(=O)2Raa、−P(=O)(Raa)2、−P(=O)2N(Rcc)2、−P(=O)(NRcc)2、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜14員のヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員のヘテロアリールから独立して選択されるか、または2個のRbb基が一緒になって、3〜14員のヘテロシクリルもしくは5〜14員のヘテロアリール環を形成し、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、0個、1個、2個、3個、4個、もしくは5個のRdd基で独立して置換され;
Rccの各場合は、水素、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜14員のヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員のヘテロアリールから独立して選択されるか、または2個のRcc基は一緒になって、3〜14員のヘテロシクリルもしくは5〜14員のヘテロアリール環を形成し、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、0個、1個、2個、3個、4個、もしくは5個のRdd基で独立して置換され;
Rddの各場合は、ハロゲン、−CN、−NO2、−N3、−SO2H、−SO3H、−OH、−ORee、−ON(Rff)2、−N(Rff)2、−N(Rff)3 +X−、−N(ORee)Rff、−SH、−SRee、−SSRee、−C(=O)Ree、−CO2H、−CO2Ree、−OC(=O)Ree、−OCO2Ree、−C(=O)N(Rff)2、−OC(=O)N(Rff)2、−NRffC(=O)Ree、−NRffCO2Ree、−NRffC(=O)N(Rff)2、−C(=NRff)ORee、−OC(=NRff)Ree、−OC(=NRff)ORee、−C(=NRff)N(Rff)2、−OC(=NRff)N(Rff)2、−NRffC(=NRff)N(Rff)2,−NRffSO2Ree、−SO2N(Rff)2、−SO2Ree、−SO2ORee、−OSO2Ree、−S(=O)Ree、−Si(Ree)3、−OSi(Ree)3、−C(=S)N(Rff)2、−C(=O)SRee、−C(=S)SRee、−SC(=S)SRee、−P(=O)2Ree、−P(=O)(Ree)2、−OP(=O)(Ree)2、−OP(=O)(ORee)2、C1〜6アルキル、C1〜6ペルハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヘテロC1〜6アルキル、ヘテロC2〜6アルケニル、ヘテロC2〜6アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜10員のヘテロシクリル、C6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリールから独立して選択され、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、0個、1個、2個、3個、4個、もしくは5個のRgg基で独立して置換されるか、または2個のジェミナルRdd置換基は一緒になって、=Oもしくは=Sを形成し得;
Reeの各場合は、C1〜6アルキル、C1〜6ペルハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヘテロC1〜6アルキル、ヘテロC2〜6アルケニル、ヘテロC2〜6アルキニル、C3〜10カルボシクリル、C6〜10アリール、3〜10員のヘテロシクリル、および3〜10員のヘテロアリールから独立して選択され、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、0個、1個、2個、3個、4個、もしくは5個のRgg基で独立して置換され;
Rffの各場合は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6ペルハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヘテロC1〜6アルキル、ヘテロC2〜6アルケニル、ヘテロC2〜6アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜10員のヘテロシクリル、C6〜10アリールおよび5〜10員のヘテロアリールから独立して選択されるか、または2個のRff基は一緒になって、3〜14員のヘテロシクリルもしくは5〜14員のヘテロアリール環を形成し、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、0個、1個、2個、3個、4個、もしくは5個のRgg基で独立して置換され;そして
Rggの各場合は、独立して、ハロゲン、−CN、−NO2、−N3、−SO2H、−SO3H、−OH、−OC1〜6アルキル、−ON(C1〜6アルキル)2、−N(C1〜6アルキル)2、−N(C1〜6アルキル)3 +X−、−NH(C1〜6アルキル)2 +X−、−NH2(C1〜6アルキル)+X−、−NH3 +X−、−N(OC1〜6アルキル)(C1〜6アルキル)、−N(OH)(C1〜6アルキル)、−NH(OH)、−SH、−SC1〜6アルキル、−SS(C1〜6アルキル)、−C(=O)(C1〜6アルキル)、−CO2H、−CO2(C1〜6アルキル)、−OC(=O)(C1〜6アルキル)、−OCO2(C1〜6アルキル)、−C(=O)NH2、−C(=O)N(C1〜6アルキル)2、−OC(=O)NH(C1〜6アルキル)、−NHC(=O)(C1〜6アルキル)、−N(C1〜6アルキル)C(=O)(C1〜6アルキル)、−NHCO2(C1〜6アルキル)、−NHC(=O)N(C1〜6アルキル)2、−NHC(=O)NH(C1〜6アルキル)、−NHC(=O)NH2、−C(=NH)O(C1〜6アルキル),−OC(=NH)(C1〜6アルキル)、−OC(=NH)OC1〜6アルキル、−C(=NH)N(C1〜6アルキル)2、−C(=NH)NH(C1〜6アルキル)、−C(=NH)NH2、−OC(=NH)N(C1〜6アルキル)2、−OC(NH)NH(C1〜6アルキル)、−OC(NH)NH2、−NHC(NH)N(C1〜6アルキル)2、−NHC(=NH)NH2、−NHSO2(C1〜6アルキル)、−SO2N(C1〜6アルキル)2、−SO2NH(C1〜6アルキル)、−SO2NH2,−SO2C1〜6アルキル、−SO2OC1〜6アルキル、−OSO2C1〜6アルキル、−SOC1〜6アルキル、−Si(C1〜6アルキル)3、−OSi(C1〜6アルキル)3、−C(=S)N(C1〜6アルキル)2、C(=S)NH(C1〜6アルキル)、C(=S)NH2、−C(=O)S(C1〜6アルキル)、−C(=S)SC1〜6アルキル、−SC(=S)SC1〜6アルキル、−P(=O)2(C1〜6アルキル)、−P(=O)(C1〜6アルキル)2、−OP(=O)(C1〜6アルキル)2、−OP(=O)(OC1〜6アルキル)2、C1〜6アルキル、C1〜6ペルハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヘテロC1〜6アルキル、ヘテロC2〜6アルケニル、ヘテロC2〜6アルキニル、C3〜10カルボシクリル、C6〜10アリール、3〜10員のヘテロシクリル、5〜10員のヘテロアリールであるか;または2個のジェミナルRgg置換基は一緒になって=Oもしくは=Sを形成し得;ここでX−は、対イオンである。
本明細書で使用される場合、用語「ハロ」もしくは「ハロゲン」とは、フッ素(フルオロ、−F)、塩素(クロロ、−Cl)、臭素(ブロモ、−Br)、もしくはヨウ素(ヨード、−I)をいう。
本明細書で使用される場合、「対イオン」とは、電気的中性を維持するために、正に荷電した四級アミンと会合される負に荷電した基である。例示的な対イオンとしては、ハロゲン化物イオン(例えば、F−、Cl−、Br−、I−)、NO3 −、ClO4 −、OH−、H2PO4 −、HSO4 −、スルホン酸イオン(例えば、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、p−トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、10−カンファースルホネート、ナフタレン−2−スルホネート、ナフタレン−1−スルホン酸−5−スルホネート、エタン−1−スルホン酸−2−スルホネートなど)、およびカルボン酸イオン(例えば、アセテート、エタノエート、プロパノエート、ベンゾエート、グリセレート、ラクテート、タートレート、グリコレートなど)が挙げられる。
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロキシル」もしくは「ヒドロキシ」とは、基−OHをいう。用語「置換されたヒドロキシル」もしくは「置換されたヒドロキシル」とは、拡大解釈すると、親分子に直接結合した酸素原子が水素以外の基で置換されているヒドロキシル基をいい、−ORaa、−ON(Rbb)2、−OC(=O)SRaa、−OC(=O)Raa、−OCO2Raa、−OC(=O)N(Rbb)2、−OC(=NRbb)Raa、−OC(=NRbb)ORaa、−OC(=NRbb)N(Rbb)2、−OS(=O)Raa、−OSO2Raa、−OSi(Raa)3、−OP(Rcc)2、−OP(Rcc)3、−OP(=O)2Raa、−OP(=O)(Raa)2、−OP(=O)(ORcc)2、−OP(=O)2N(Rbb)2、および−OP(=O)(NRbb)2から選択される基(ここでRaa、Rbb、およびRccは、本明細書で定義されるとおりである)を含む。
本明細書で使用される場合、用語「チオール」もしくは「チオ」とは、基−SHをいう。用語「置換されたチオール」もしくは「置換されたチオ」とは、拡大解釈すると、親分子に直接結合した硫黄原子が水素以外の基で置換されているチオール基をいい、−SRaa、−S=SRcc、−SC(=S)SRaa、−SC(=O)SRaa、−SC(=O)ORaa、および−SC(=O)Raaから選択される基(ここでRaaおよびRccは、本明細書で定義されるとおりである)を含む。
本明細書で使用される場合、用語「アミノ」とは、基−NH2をいう。用語「置換されたアミノ」とは、拡大解釈すると、本明細書で定義されるとおり、モノ置換されたアミノ、ジ置換されたアミノ、もしくはトリ置換されたアミノをいう。ある種の実施形態において、上記「置換されたアミノ」は、モノ置換されたアミノ基もしくはジ置換されたアミノ基である。
本明細書で使用される場合、用語「モノ置換されたアミノ」とは、親分子に直接結合した窒素原子が1個の水素および水素以外の1個の基で置換されているアミノ基をいい、−NH(Rbb)、−NHC(=O)Raa、−NHCO2Raa、−NHC(=O)N(Rbb)2、−NHC(=NRbb)N(Rbb)2、−NHSO2Raa、−NHP(=O)(ORcc)2、および−NHP(=O)(NRbb)2から選択される基(ここでRaa、RbbおよびRccは、本明細書で定義されるとおりであり、基−NH(Rbb)のRbbは、水素ではない)を含む。
本明細書で使用される場合、用語「ジ置換されたアミノ」とは、親分子に直接結合した窒素原子が水素以外の2個の基で置換されているアミノ基をいい、−N(Rbb)2、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCO2Raa、−NRbbC(=O)N(Rbb)2、−NRbbC(=NRbb)N(Rbb)2、−NRbbSO2Raa、−NRbbP(=O)(ORcc)2、および−NRbbP(=O)(NRbb)2から選択される基(ここでRaa、Rbb、およびRccは、本明細書で定義されるとおりであるが、ただし親分子に直接結合した窒素原子は、水素で置換されていない)を含む。
本明細書で使用される場合、用語「トリ置換されたアミノ」とは、親分子に直接結合した窒素原子が3個の基で置換されているアミノ基をいい、−N(Rbb)3および−N(Rbb)3 +X−から選択される基(ここでRbbおよびX−は、本明細書で定義されるとおりである)を含む。
窒素原子は、原子価が許容する限り、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよく、一級、二級、三級、および四級の窒素原子を含む。例示的な窒素原子置換基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:水素、−OH、−ORaa、−N(Rcc)2、−CN、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc)2、−CO2Raa、−SO2Raa、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc)2、−SO2N(Rcc)2、−SO2Rcc、−SO2ORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc)2、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、−P(=O)2Raa、−P(=O)(Raa)2、−P(=O)2N(Rcc)2、−P(=O)(NRcc)2、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜14員のヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員のヘテロアリール、または1個のN原子に結合した2個のRcc基が一緒になって、3〜14員のヘテロシクリルもしくは5〜14員のヘテロアリール環を形成し、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、0個、1個、2個、3個、4個、もしくは5個のRdd基で独立して置換され、Raa、Rbb、RccおよびRddは、上記で定義されるとおりである。
ある種の実施形態において、窒素原子に存在する置換基は、窒素保護基(「アミノ保護基」とも本明細書でいわれる)である。窒素保護基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:−OH、−ORaa、−N(Rcc)2、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc)2、−CO2Raa、−SO2Raa、−C(=NRcc)Raa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc)2、−SO2N(Rcc)2、−SO2Rcc、−SO2ORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc)2、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、C1〜10アルキル(例えば、アラルキル、ヘテロアラルキル)、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜14員のヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員のヘテロアリール基(ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アラルキル、アリール、およびヘテロアリールは、0個、1個、2個、3個、4個、もしくは5個のRdd基で独立して置換され、Raa、Rbb、RccおよびRddは、本明細書で定義されるとおりである)。窒素保護基は、当該分野で周知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts,第3版,John Wiley & Sons,1999(本明細書に参考として援用される)に詳細に記載されるものを含む。
例えば、アミド基などの窒素保護基(例えば、−C(=O)Raa)としては、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3−フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド、3−ピリジルカルボキサミド、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、ベンズアミド、p−フェニルベンズアミド、o−ニトフェニルアセトアミド、o−ニトロフェノキシアセトアミド、アセトアセトアミド、(N’−ジチオベンジルオキシアシルアミノ)アセトアミド、3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、3−(o−ニトロフェニル)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−ニトロフェノキシ)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4−クロロブタンアミド、3−メチル−3−ニトロブタンアミド、o−ニトロシンアミド(nitrocinnamide)、N−アセチルメチオニン誘導体、o−ニトロベンズアミドおよびo−(ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミドが挙げられるがこれらに限定されない。
カルバメート基などの窒素保護基(例えば、−C(=O)ORaa)としては、カルバミン酸メチル、カルバミン酸エチル、9−フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、9−(2−スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、9−(2,7−ジブロモ)フルオレニルメチルカルバメート、2,7−ジ−t−ブチル−[9−(10,10−ジオキソ−10,10,10,10−テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバメート(DBD−Tmoc)、4−メトキシフェナシルカルバメート(Phenoc)、2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、2−フェニルエチルカルバメート(hZ)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルカルバメート(Adpoc)、1,1−ジメチル−2−ハロエチルカルバメート、1,1−ジメチル−2,2−ジブロモエチルカルバメート(DB−t−BOC)、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(TCBOC)、1−メチル−1−(4−ビフェニリル)エチルカルバメート(Bpoc)、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルカルバメート(t−Bumeoc)、2−(2’−および4’−ピリジル)エチルカルバメート(Pyoc)、2−(N,N−ジシクロヘキシルカルボキサミド)エチルカルバメート、t−ブチルカルバメート(BOC)、1−アダマンチルカルバメート(Adoc)、ビニルカルバメート(Voc)、アリルカルバメート(Alloc)、1−イソプロピルアリルカルバメート(Ipaoc)、シンナミルカルバメート(Coc)、4−ニトロシンナミルカルバメート(Noc)、8−キノリルカルバメート、N−ヒドロキシピペリジニルカルバメート、アルキルジチオカルバメート、ベンジルカルバメート(Cbz)、p−メトキシベンジルカルバメート(Moz)、p−ニトベンジルカルバメート、p−ブロモベンジルカルバメート、p−クロロベンジルカルバメート、2,4−ジクロロベンジルカルバメート、4−メチルスルフィニルベンジルカルバメート(Msz)、9−アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、2−メチルチオエチルカルバメート、2−メチルスルホニルエチルカルバメート、2−(p−トルエンスルホニル)エチルカルバメート、[2−(1,3−ジチアニル)]メチルカルバメート(Dmoc)、4−メチルチオフェニルカルバメート(Mtpc)、2,4−ジメチルチオフェニルカルバメート(Bmpc)、2−ホスホニオエチルカルバメート(Peoc)、2−トリフェニルホスホニオイソプロピルカルバメート(Ppoc)、1,1−ジメチル−2−シアノエチルカルバメート、m−クロロ−p−アシルオキシベンジルカルバメート、p−(ジヒドロキシボリル)ベンジルカルバメート、5−ベンズイソオキサゾリルメチルカルバメート、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチルカルバメート(Tcroc)、m−ニトロフェニルカルバメート、3,5−ジメトキシベンジルカルバメート、o−ニトロベンジルカルバメート、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジルカルバメート、フェニル(o−ニトロフェニル)メチルカルバメート、t−アミルカルバメート、S−ベンジルチオカルバメート、p−シアノベンジルカルバメート、シクロブチルカルバメート、シクロヘキシルカルバメート、シクロペンチルカルバメート、シクロプロピルメチルカルバメート、p−デシルオキシベンジルカルバメート、2,2−ジメトキシアシルビニルカルバメート、o−(N,N−ジメチルカルボキサミド)ベンジルカルバメート、1,1−ジメチル−3−(N,N−ジメチルカルボキサミド)プロピルカルバメート、1,1−ジメチルプロピニルカルバメート、ジ(2−ピリジル)メチルカルバメート、2−フラニルメチルカルバメート、2−ヨードエチルカルバメート、イソボルニルカルバメート(isoborynl carbamate)、イソブチルカルバメート、イソニコチニルカルバメート、p−(p’−メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバメート、1−メチルシクロブチルカルバメート、1−メチルシクロヘキシルカルバメート、1−メチル−1−シクロプロピルメチルカルバメート、1−メチル−1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−(p−フェニルアゾフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−フェニルエチルカルバメート、1−メチル−1−(4−ピリジル)エチルカルバメート、フェニルカルバメート、p−(フェニルアゾ)ベンジルカルバメート、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルカルバメート、4−(トリメチルアンモニウム)ベンジルカルバメート、および2,4,6−トリメチルベンジルカルバメートが挙げられるがこれらに限定されない。
スルホンアミド基などの窒素保護基(例えば、−S(O)2Raa)としては、p−トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルホンアミド、2,3,6−トリメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtr)、2,4,6−トリメトキシベンゼンスルホンアミド(Mtb)、2,6−ジメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Pme)、2,3,5,6−テトラメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mte)、4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mbs)、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホンアミド(Mts)、2,6−ジメトキシ−4−メチルベンゼンスルホンアミド(iMds)、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β−トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9−アントラセンスルホンアミド、4−(4’,8’−ジメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルホンアミド(DNMBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミド、およびフェナシルスルホンアミドが挙げられるがこれらに限定されない。
他の窒素保護基としては、フェノチアジニル−(10)−アシル誘導体、N’−p−トルエンスルホニルアミノアシル誘導体、N’−フェニルアミノチオアシル誘導体、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、N−アセチルメチオニン誘導体、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン、N−フタルイミド、N−ジチアスクシンイミド(Dts)、N−2,3−ジフェニルマレイミド、N−2,5−ジメチルピロール、N−1,1,4,4−テトラメチルジシリルアザシクロペンタン付加体(STABASE)、5−置換1,3−ジメチル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、5−置換1,3−ジベンジル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、1−置換3,5−ジニトロ−4−ピリドン、N−メチルアミン、N−アリルアミン、N−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチルアミン(SEM)、N−3−アセトキシプロピルアミン、N−(1−イソプロピル−4−ニトロ−2−オキソ−3−ピロオリン(pyroolin)−3−イル)アミン、第四級アンモニウム塩、N−ベンジルアミン、N−ジ(4−メトキシフェニル)メチルアミン、N−5−ジベンゾスベリルアミン、N−トリフェニルメチルアミン(Tr)、N−[(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N−9−フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N−2,7−ジクロロ−9−フルオレニルメチレンアミン、N−フェロセニルメチルアミノ(Fcm)、N−2−ピコリルアミノN’−オキシド、N−1,1−ジメチルチオメチレンアミン、N−ベンジリデンアミン、N−p−メトキシベンジリデンアミン、N−ジフェニルメチレンアミン、N−[(2−ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N−(N’,N’−ジメチルアミノメチレン)アミン、N,N’−イソプロピリデンジアミン、N−p−ニトロベンジリデンアミン、N−サリチリデンアミン、N−5−クロロサリチリデンアミン、N−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N−シクロヘキシリデンアミン、N−(5,5−ジメチル−3−オキソ−1−シクロヘキセニル)アミン、N−ボラン誘導体、N−ジフェニルボリン酸誘導体、N−[フェニル(ペンタアシルクロム−またはタングステン)アシル]アミン、N−銅キレート、N−亜鉛キレート、N−ニトロアミン、N−ニトロソアミン、アミンN−オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、ジアルキルホスホルアミデート、ジベンジルホスホルアミデート、ジフェニルホスホルアミデート、ベンゼンスルフェンアミド、o−ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4−ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2−ニトロ−4−メトキシベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド、および3−ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)が挙げられるがこれらに限定されない。
ある種の実施形態において、酸素原子に存在する置換基は、酸素保護基(「ヒドロキシル保護基」とも本明細書でいわれる)である。酸素保護基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:−Raa、−N(Rbb)2、−C(=O)SRaa、−C(=O)Raa、−CO2Raa、−C(=O)N(Rbb)2、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb)2、−S(=O)Raa、−SO2Raa、−Si(Raa)3、−P(Rcc)2、−P(Rcc)3、−P(=O)2Raa、−P(=O)(Raa)2、−P(=O)(ORcc)2、−P(=O)2N(Rbb)2、および−P(=O)(NRbb)2(ここでRaa、Rbb、およびRccは、本明細書で定義されるとおりである)。酸素保護基は、当該分野で周知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts,第3版,John Wiley & Sons,1999(本明細書に参考として援用される)に詳細に記載されるものを含む。
例示的な酸素保護基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:メチル、メトキシメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t−ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4−メトキシフェノキシ)メチル(p−AOM)、グアイアコールメチル(GUM)、t−ブトキシメチル、4−ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2−メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、S,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル(CTMP)、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−(フェニルセレニル)エチル、t−ブチル、アリル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、p−フェニルベンジル、2−ピコリル、4−ピコリル、3−メチル−2−ピコリルN−オキシド、ジフェニルメチル、p,p’−ジニトロベンズヒドリル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4’−ブロモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4’,4”−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4’,4”−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4’,4”−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3−(イミダゾール−1−イル)ビス(4’,4”−ジメトキシフェニル)メチル、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチル、9−アントリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル、ベンゾイソチアゾリルS,S−ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルtヘキシルシリル(dimethylthexylsilyl)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t−ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、ホルメート、ベンゾイルホルメート、アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、フェノキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート(レブリネート)、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロエート、アダマントエート、クロトネート、4−メトキシクロトネート、ベンゾエート、p−フェニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート(メシトエート)、アルキルメチルカーボネート、9−フルオレニルメチルカーボネート(Fmoc)、アルキルエチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチル炭酸アルキル(Troc)、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート(TMSEC)、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート(Psec)、2−(トリフェニルホスホニオ)エチルカーボネート(Peoc)、アルキルイソブチルカーボネート、アルキルビニルカーボネート、アルキルアリルカーボネート、p−ニトロフェニル炭酸アルキル、アルキルベンジルカーボネート、p−メトキシベンジル炭酸アルキル、3,4−ジメトキシベンジル炭酸アルキル、o−ニトロベンジル炭酸アルキル、p−ニトロベンジル炭酸アルキル、S−ベンジルチオ炭酸アルキル、炭酸4−エトキシ−1−ナフチル(4−ethoxy−1−napththyl carbonate)、メチルジチオカーボネート、2−ヨードベンゾエート、4−アジドブチレート、4−ニトロ−4−メチルペンタノエート、o−(ジブロモメチル)ベンゾエート、2−ホルミルベンゼンスルホネート、2−(メチルチオメトキシ)エチル、4−(メチルチオメトキシ)ブチレート、2−(メチルチオメトキシメチル)ベンゾエート、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセテート、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシアセテート、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシアセテート、クロロジフェニルアセテート、イソブチレート、モノスクシネート(monosuccinoate)、(E)−2−メチル−2−ブテノエート、o−(メトキシアシル)ベンゾエート、α−ナフトエート、ニトレート、アルキル N,N,N’,N’−テトラメチルホスホロジアミデート、アルキル N−フェニルカルバメート、ボレート、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル 2,4−ジニトロフェニルスルフェネート、スルフェート、メタンスルホネート(メシレート)、ベンジルスルホネート、およびトシレート(Ts)。
ある種の実施形態において、硫黄原子上の存在する置換基は、硫黄保護基(チオール保護基とも称される)である。硫黄保護基としては、−Raa、−N(Rbb)2、−C(=O)SRaa、−C(=O)Raa、−CO2Raa、−C(=O)N(Rbb)2、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb)2、−S(=O)Raa、−SO2Raa、−Si(Raa)3、−P(Rcc)2、−P(Rcc)3、−P(=O)2Raa、−P(=O)(Raa)2、−P(=O)(ORcc)2、−P(=O)2N(Rbb)2、および−P(=O)(NRbb)2、が挙げられるがこれらに限定されず、ここで、Raa、Rbb、およびRccは、本明細書で定義されるとおりである。硫黄保護基は、当技術分野で周知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、第3版、John Wiley & Sons、1999年(本明細書に参考として援用される)に詳細に記載されるものを含む。
これらおよび他の例示的置換基は、詳細な説明、実施例、および特許請求の範囲においてより詳細に記載される。本発明は、上記の置換基の例示的列挙によって限定されるとは如何様にも意図されない。
(他の定義)
本明細書で使用される場合、用語「塩」、「許容される塩」、または「薬学的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー反応などがなくヒトおよび下等動物の組織と接触した使用に適しており、かつ妥当な利益/リスク比に見合う塩を指す。薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知である。例えば、Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences(1977年)66巻:1〜19頁に薬学的に許容される塩を詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、適切な無機および有機の酸および塩基に由来するものを含む。薬学的に許容される非毒性酸付加塩の例は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸、または有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸と、あるいはイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を用いることによって形成される、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基に由来する薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN+(C1〜4アルキル)4の塩が挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に許容される塩としては、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成される非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンカチオンが挙げられる。
「疾患」、「障害」、および「状態」は、本明細書で交換可能に使用される。
本明細書で使用される場合、投与が企図される「個体」もしくは「被験体」としては、ヒト(すなわち、任意の年齢群の男性もしくは女性、例えば、小児科の被験体(例えば、子供、青年期の者)または成人の被験体(例えば、青少年、中年期の成人もしくは高齢の成人))、他の霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)および産業関連の哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ(例えば、家畜、ミニブタ)、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、および/もしくはイヌ)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のいずれかの局面および/もしくは実施形態において、上記哺乳動物は、ヒトであり得る。
本明細書で使用される場合、「局所投与」もしくは「局所投与する」もしくは「局所効果」とは、活性成分もしくはその活性代謝産物の、上記活性物質がその効果を発揮するように意図された身体の部分、組織もしくは病変部に直接、もしくはその近辺への投与/塗布を意味する。これは、例えば、脂肪の増大が必要とされる皮膚への局所投与もしくは身体の部分での注射を含み得る。
本明細書で使用される場合、「経皮的」もしくは「経皮投与」もしくは「経皮送達」もしくは「経皮投与する」もしくは「経皮送達する」は、皮下脂肪に対して、対応する臨床的に顕著な全身効果なくして局所効果を生じる皮膚へのもしくは皮膚を貫通する投与を意味する。皮膚表面送達を用いれば、薬物は、皮膚上にもしくは皮膚内部に留まる。経真皮送達を用いれば、薬物への全身曝露は、臨床的に顕著な全身効果を生じるために十分である。対照的に、経皮送達を用いれば、薬物は皮下脂肪へと通過するが、全身曝露は無視できる程度である。例えば、経皮送達は、臨床的に顕著な全身効果を引き起こさない。例えば、図1を参照のこと。
本明細書で使用される場合、「全身(性の)」とは、薬物が投与されるかもしくはその効果を発揮することが意図される身体の部分以外に、身体の1または1より多くの部分で起こる作用もしくは効果をいう。
「対応する全身効果」とは、例えば、投与部位での薬物の局所効果がまた、上記投与部位から離れた身体の部位で認められる場合に現れる。例えば、身体の両側に脂肪の増大を生じる、身体の一方の側(例えば、側腹部)への薬物の投与は、全身効果を示す。逆に、経皮的投与を用いれば、処置部位での皮下脂肪は、対照部位の皮下脂肪に対して増大される。
本明細書で使用される場合、「臨床的に顕著な全身効果」とは、患者および/もしくは介護者に目立つ様式で、患者の健康、疾患状態、もしくは疾患のリスクに影響を及ぼすのに十分な大きさがある全身効果を意味する。例えば、Jonasら.Drug Class Review:Newer diabetes medications,TZDs,and combinations.Final Original Report.Drug Effectiveness Review Project,2011年2月を参照のこと。上記効果は、即効性であってもよいし、遅効性であってもよい;例えば、異常に上昇した血清中グルコース濃度(糖尿病)を有する患者は、糖尿病に直ぐには気づかない可能性があるが、糖尿病は、最終的には、上記患者の健康に、例えば、腎機能不全、心疾患、および視力喪失によって顕著に影響を及ぼす。さらなる例として、糖尿病を有する患者は、8.00%に上昇しているヘモグロビンA1C値(グルコース制御の長期のマーカー)を有すると仮定する。上記ヘモグロビンA1C値を7.99もしくは8.01へと変化させる効果は、臨床的には顕著ではない。なぜならそれは、腎機能不全、心疾患もしくは視力喪失の存在にもリスクにも影響を及ぼさないからである。しかし、上記ヘモグロビンA1C値を7.00もしくは9.00へと変化させる効果は、前述の結果の存在もしくはリスクに影響を及ぼす限りにおいて、臨床的に顕著である。
本明細書で使用される場合、「経皮用キャリア」または「経皮用賦形剤」とは、1種または1種より多くの活性成分と合わせ、被験体に投与される場合、臨床的に顕著な全身効果なく、皮下脂肪に局所的効果を生じるキャリアを意味する。
本明細書で使用される場合、「処置部位」とは、薬物が投与される身体上の場所である。
本明細書で使用される場合、「対照部位」は、対照を使用する実験において対照として使用するのに適した身体上の場所である。上記対照部位は、処置部位に匹敵する(例えば、反対側にある)が、未処置であるかもしくはプラセボ(例えば、不活性ビヒクル)で処置される身体上の場所であり得る。上記対照部位および上記処置部位は、同じ被験体にあってもよいし、異なる被験体にあってもよい。
本明細書で使用される場合、状況によって別段定義されなければ、「無水の」とは、水を欠いているかもしくは本質的に欠いている(例えば、水が組成物に添加されない場合、および/または水が組成物から除去される場合)組成物をいう。例えば、ある種の実施形態において、無水組成物は、約0〜約1重量%の間の水、例えば、約0%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、もしくは約1重量%の水からなり得る。
本明細書で使用される場合、および別段特定されなければ、化合物の「治療上有効な量」、「十分な量」もしくは「十分量」とは、身体もしくは処置部位に顕著な負のもしくは有害な副作用効果を引き起こすことなく、疾患、障害もしくは状態を処置するために、または被験体の身体における特定のパラメーターを改善する(例えば、体脂肪の増大、皺の減少)ために必要とされる化合物のレベル、量もしくは濃度を意味する。用語「治療上有効な量」とは、全体的な治療を改善するか、疾患もしくは状態の症状もしくは原因を低減もしくは回避するか、または別の治療上活性な薬剤の治療効力を増強する量を包含し得る。
本明細書で使用される場合、用語「増大(増加)する(させる)(increase)」、「増大(増加)する(させる)(increasing)」、「上昇する(させる)(raise)」もしくは「上昇する(させる)(raising)」とは、被験体の身体における物質(例えば、体脂肪、脂肪組織)の容積、サイズ、質量、かさ、密度、量、および/もしくは数量を増大する(させる)か、または上昇する(させる)ことを意味する。
本明細書で使用される場合、用語「増やす(augment)」、「増やす(augmenting)、および「増大(augmentation)」とは、身体部分もしくはその特定の領域のサイズもしくは突出(prominence)を増大させること(increasing)をいう。上記サイズは、任意の適切な手段(例えば、直線的、周囲、容積、もしくは質量)によって測定され得る。サイズの適切な測定法としては、組織学(例えば、生検、剖検)もしくは皮下脂肪深度の非侵襲的測定法(例えば、皮脂厚計、磁気共鳴画像化法、コンピューター断層撮影法、二重エネルギーx線吸収測定法、超音波など)が挙げられるが、これらに限定されないことが想定される。サイズは、いずれかのヒトの身体部分の外部測定値(例えば頸部、胸部、肢、ウエスト、腰回りの、例えば仕立屋の測定値)および衣料品に使用されるサイズ測定スキームなどを含むがこれらに限定されないことがさらに想定される。突出は、解剖学的もしくは視覚的であり得、絶対的であり得るか、または別の身体部分に対して測定され得、そして任意の適切な客観的もしくは主観的な変数(主観的ランク付けスケールを含む)によって測定され得る。
本明細書で使用される場合、「罹る(suffer)」、「罹る(suffers)」または「に罹っている(suffering from)」は、特定の疾患または状態と診断された被験体を指す。本明細書で使用される場合、「罹る恐れがある(likely to suffer)」は、医師により特定の疾患または状態と診断されていないが、素因(例えば、遺伝的および/または生理的素因)を有するか、または疾患もしくは状態の徴候もしくは症状を示す被験体を指す。
本明細書で使用される場合、特に断りのない限り、「処置する(treat)」、「処置する(treating)」および「処置(treatment)」という用語は、被験体が特定の疾患または状態に罹っている間に起こり、疾患もしくは状態の重症度を軽減するか、または疾患もしくは状態の進行を遅延させる(retard)もしくは遅くさせる(slow)作用を企図する。
本明細書で使用される場合、別段特定されなければ、用語「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」および「予防(prevention)」は、被験体が特定の疾患もしくは状態に罹り始める前に起こす行動であって、上記疾患もしくは状態を阻害もしくはその重篤度を低減するものを企図する。
本明細書で使用される場合、および別段特定されなければ、用語「医薬」とは、疾患もしくは状態を処置もしくは予防するために個体に投与される物質を意味する。状況から別段明らかにならなければ、用語「医薬」、「薬物療法」、「医薬品」、および「薬学的組成物」とは、交換可能に使用される。
本明細書で使用される場合、用語「プロドラッグ」は、生物学的条件(例えば、インビトロまたはインビボでの酵素条件)下で加水分解するか、酸化するか、または別の方法で反応して、薬学的に活性な化合物を提供し得る化合物を意味する。ある場合には、プロドラッグは、親化合物より改善された物理的および/もしくは送達特性を有する。プロドラッグは、代表的には、親化合物と関連する薬理学、薬学および/もしくは薬物動態ベースの特性を増強するように設計される。プロドラッグの利点は、その物理的特性(例えば、親化合物と比較して、製剤化のために増強された溶解度、もしくは皮膚の角質層を横断する増強された透過性、もしくは皮下脂肪における増強した沈着)にあり得る。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
治療上有効量のチアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容されるキャリアを含む、経皮投与のための組成物。
(項目2)
前記薬学的に許容されるキャリアは、経皮用キャリアである、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記薬学的に許容されるキャリアは、皮膚への局所塗布のためのキャリア、または皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、病変内注射、経粘膜注射、もしくは粘膜塗布のためのキャリアである、項目1に記載の組成物。
(項目4)
前記経皮用キャリアは、脂肪酸を含む、項目1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
(項目5)
前記脂肪酸は、オレイン酸である、項目4に記載の組成物。
(項目6)
前記経皮用キャリアは、約1重量%〜約10重量%の間のオレイン酸を含む、項目5に記載の組成物。
(項目7)
前記経皮用キャリアは、約1重量%〜約5重量%の間のオレイン酸を含む、項目5に記載の組成物。
(項目8)
前記経皮用キャリアは、有機性アルコールを含む、項目1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
(項目9)
前記有機性アルコールは、プロピレングリコールもしくはエタノールである、項目8に記載の組成物。
(項目10)
前記経皮用キャリアは、約10重量%〜約40重量%の間のプロピレングリコールを含む、項目9に記載の組成物。
(項目11)
前記経皮用キャリアは、Lipoderm(登録商標)、Vanpen(登録商標)、HRT基剤、Occlusaderm(登録商標)、もしくはPluronic(登録商標)レシチンオルガノゲルを含む、項目1に記載の組成物。
(項目12)
前記組成物は、透過増強剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目13)
前記組成物は、粘性増強剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目14)
前記組成物は、酸化防止剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目15)
前記組成物は、薬学的組成物である、項目1に記載の組成物。
(項目16)
前記組成物は、美容用組成物である、項目1に記載の組成物。
(項目17)
前記チアゾリジンジオンは、式(I)の化合物:
またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって;
ここで:
環Aは、置換されているかもしくは置換されていないアリーレン、または置換されているかもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり;
Lは、置換されているかもしくは置換されていないC 1〜6 アルキレンまたは置換されているかもしくは置換されていないヘテロC 1〜6 アルキレンであり;そして
環Bは、置換されているかもしくは置換されていないカルボシクリル、置換されているかもしくは置換されていないヘテロシクリル、置換されているかもしくは置換されていないアリール、または置換されているかもしくは置換されていないヘテロアリールである、項目1に記載の組成物。
(項目18)
前記チアゾリジンジオンは、以下:
ならびにこれらの薬学的に許容される塩およびプロドラッグからなる群より選択される、項目16に記載の組成物。
(項目19)
前記チアゾリジンジオンは、ロシグリタゾン、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、項目18に記載の組成物。
(項目20)
前記食欲増進化合物は、式(II)の化合物:
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって;
ここで:
の各場合は、単結合もしくは二重結合を独立して表し;
R 1 は、水素、ヒドロキシル、置換されたヒドロキシル、チオール、置換されたチオール、アミノ、もしくは置換されたアミノであり;
R 2 は、水素、ヒドロキシル、置換されたヒドロキシル、チオール、置換されたチオール、アミノ、もしくは置換されたアミノであり;
R 3 は、水素または置換されているかもしくは置換されていないC 1−6 アルキルであり;
R 4 は、水素、ヒドロキシル、置換されたヒドロキシル、チオール、置換されたチオール、アミノ、もしくは置換されたアミノであり、そしてR 5 は、水素であるか;あるいはR 4 およびR 5 は一緒になって、オキソ基=Oを形成する、
項目1に記載の組成物。
(項目21)
前記食欲増進化合物は、以下:
およびこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、項目19に記載の組成物。
(項目22)
前記チアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの濃度は、約0.1重量%〜約2重量%の間である、項目1に記載の組成物。
(項目23)
必要性のある被験体の身体において局所的に脂肪を増大させるための方法であって、該方法は、該被験体の皮下脂肪に、項目1〜22のいずれか1項に記載の組成物を経皮投与する工程を包含する、方法。
(項目24)
前記増大は、対照部位におけるより処置部位において少なくとも10%高い、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記増大は、対照部位におけるより処置部位において少なくとも20%高い、項目23に記載の方法。
(項目26)
前記増大は、対照部位におけるより処置部位において少なくとも40%高い、項目23に記載の方法。
(項目27)
前記投与する工程は、経皮用キャリアを使用する皮膚への局所塗布、または皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、病変内注射、経粘膜注射、もしくは粘膜塗布によるものを含む、項目23に記載の方法。
(項目28)
経皮投与する工程は、経皮用キャリアを使用する皮膚への局所塗布を含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記皮膚には皺がある、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記皮膚は、顔面部、前頭部、顔面の眼窩周囲領域、顔面中部、頬部、頤部、口唇部、乳房、肢、手、体幹部、股関節部、もしくは臀部にある、項目28に記載の方法。
(項目31)
前記被験体は、皮下脂肪欠損症に罹っている、項目23に記載の方法。
(項目32)
前記皮下脂肪欠損症は、代謝障害と関連している、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記代謝障害は、インスリン抵抗性、糖尿病、リパーゼ欠損症、消耗性疾患、栄養不良、傍腫瘍状態、食欲不振、悪性貧血、セリアック病、もしくは吸収不良症候群である、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記皮下脂肪欠損症は、炎症状態と関連している、項目31に記載の方法。
(項目35)
前記炎症状態は、補体成分3(C3)欠損症、膜性増殖性糸球体腎炎、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、関節リウマチ、側頭動脈炎、もしくは白血球核破壊性血管炎である、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記皮下脂肪欠損症は、後天性である、項目31に記載の方法。
(項目37)
前記後天性皮下脂肪欠損症は、HIV関連脂肪異栄養症、脂血症、後天性部分型脂肪異栄養症、後天性全身型脂肪異栄養症、パリー・ロンベルグ症候群、若年性皮膚筋炎、遠心性腹部脂肪異栄養症、環状脂肪萎縮症、もしくは限局性脂肪異栄養症である、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記皮下脂肪欠損症は、先天性である、項目31に記載の方法。
(項目39)
前記先天性皮下脂肪欠損症は、先天性全身性脂肪異栄養症、家族性部分性脂肪異栄養症、中條・西村症候群、コケイン症候群、SHORT症候群、AREDYLD症候群、下顎骨先端形成異常症、ケッペン・ルビンスキー症候群、POEMS症候群、ウェルナー症候群、ハッチンソン・ギルフォード症候群、もしくは早老症である、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記皮下脂肪欠損症は、APLD、AKT2、C3、CAV1、CGL1(AGPAT2)、およびCGL2(BSCL2)、LMF1、LMNA、PLIN1、PPARG、PSMB8、PTRF、ならびにZMPSTE24からなる群より選択される遺伝子における脂肪萎縮症を引き起こす変異によって引き起こされる、項目31に記載の方法。
(項目41)
前記皮下脂肪欠損症は、薬物療法、手術、もしくは傷害によって引き起こされる、項目31に記載の方法。
(項目42)
前記被験体は、皮膚の皺に悩まされており、前記方法は、皺の見かけを最小限にする工程を包含する、項目23に記載の方法。
(項目43)
前記被験体は、身体部分のサイズもしくは輪郭に不満を抱いており、前記方法は、該身体部分の輪郭を変化させる工程を包含する、項目23に記載の方法。
(項目44)
前記身体部分は、顔面部、前頭部、顔面の眼窩周囲領域、頬部、頤部、口唇部、前頭部の頂点から頤部の最も下までの他の前側にある構造、乳房、肢、手、体幹部、股関節部、もしくは臀部である、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記被験体は、脂肪を移植したことがあり、前記方法は、該移植した脂肪を増大させる工程を包含する、項目23に記載の方法。
(項目46)
前記被験体は、糖尿病、HIV、家族性脂肪異栄養症、もしくは皮下脂肪欠損症に罹っている、項目23に記載の方法。
(本発明のある種の実施形態の詳細な説明)
本発明は、チアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物を被験体に経皮投与すると、皮下脂肪の局所的増大が効率的に達成されるということが解ったことから生まれている。この知見は、痩せたマウスにおけるインビボ研究の間に生じ(実施例1)、その後、さらなるマウスおよびミニブタでの研究(例えば、実施例2および実施例4)、ならびにヒト皮膚のインビトロ研究(例えば、実施例5)において確証されかつ改善された。
第1のマウス研究は、対照アームおよび4つの介入アーム(各々は、ヒトへと全身投与される場合に、肥満および脂肪蓄積を促進することが公知である異なるクラスの化合物を用いた)を要した。
上記アームは、以下のとおりであった:ビヒクル(Lipoderm(登録商標))、チアゾリジンジオン(ピオグリタゾン)、ハルミン、食欲増進化合物(酢酸メゲストロール)、およびエファビレンツ。各化合物を、等モル濃度(5mM)で経皮的Lipoderm(登録商標)製剤中に合わせた。Lipoderm(登録商標)ビヒクルは、それぞれの化合物を経皮的に、すなわち、皮膚を横断して皮下脂肪へと送達するように適合されている。上記製剤を、各動物の右側腹部に毎日塗布したのに対して、左側腹部を、未処置対照として使用した。
24日間の治療後、チアゾリジンジオン(ピオグリタゾン)もしくは食欲増進化合物(酢酸メゲストロール)で処置した動物は、皮下脂肪の局所的増大を示した(右側腹部のみ)。しかし、ビヒクル、ハルミン、もしくはエファビレンツで処置した動物は、いかなる脂肪の増大も、両側腹部間の非対称性も示さなかった。ピオグリタゾンおよび酢酸メゲストロールで処置した動物で認められた体脂肪の非対称性の増大は、他の群の動物と比較して、全体的な体重増加での軽い増大によって確証された。
この研究において局所的脂肪を増大させるためにピオグリタゾンが優れていることは予測外であった。ハルミン(類似の生物物理学的および薬物動態的特性を有する別のクラスのPPARγ活性化因子)は効果がなかったことからするとなおさらである。さらに、インビトロでの証拠のみに基づいて、個体へのチアゾリジンジオンの局所投与が体脂肪を局所的に増大させ得ると仮定したが、局所塗布したチアゾリジンジオンの臨床試験ではこのような効果は全く認められなかった。例えば、KuenzliおよびSaurat,Dermatology(2003)206:252−256を参照のこと。
この研究において脂肪を局所的に増大させるために酢酸メゲストロールが優れていることもまた、予測外であった。なぜならこの化合物の肥満促進作用は、食欲刺激に起因する(それは、前述のマウス研究において局所的な脂肪増大よりむしろびまん性として現れてきた)と考えられているからである。さらに、酢酸メゲストロールの皮下移植および/もしくは経真皮投与は、投与部位での脂肪蓄積(治験実施者、処置する医師、および患者の注意をほぼ確実に引いてきた副作用)と関連づけられてこなかった。例えば、Coutinhoら,Contraception(1996)53:121−125を参照のこと。
本発明はまた、治療効果が、全身効果(前述のマウス研究において局所的な脂肪増大よりむしろびまん性として現れた)なしに、局所的皮下脂肪で達成されるように、チアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物を投与するための手段の実施へと還元することから生まれる。この経皮的送達様式は、皮膚への表面的適用(これによって、深部への透過は起こらない)からは区別されるべきである。例えば、図1を参照のこと。経皮投与は、経真皮投与(ここでその目的は、全身効果を達成するための血流への吸収である)からも区別されるべきである。皮膚へのチアゾリジンジオン、例えば、ロシグリタゾンの経真皮投与は、臨床的に顕著な血流への薬物送達を生じ得る。例えば、Damodharanら,Skin permeation of rosiglitazone from transdermal matrix patches,Pharmaceutical Technology(2010)34:56−72を参照のこと。例えば、Ghoshら,Feasibility of rosiglitazone maleate for transdermal delivery,Int.J.Pharm.Res.Innov.(2011)2:23−31もまた参照のこと。チアゾリジンジオンの経真皮投与は、望ましくなく、潜在的に安全でないと考えられており、例えば、肥満を引き起こすことによって本発明の目的を害する。メゲストロールの経真皮投与は、肥満を引き起こし、避妊薬として作用すると予測され、これは本発明の目的には、望ましくない。
表面的投与および経真皮投与的が一般的な薬学的投与経路である一方で、皮下脂肪への経皮投与のごく僅かな例は、任意の化合物について公知である。例えば、Singhら,Local deep tissue penetration of compounds after dermal application:structure−tissue penetration relationships.JPET(1996)279:908−917を参照のこと。
本発明によれば、チアゾリジンジオンおよび/もしくは食欲増進化合物は、本明細書で記載されるように、皮下体脂肪の局所的増大を達成するために、経皮的に(例えば、皮膚への経皮的製剤において、もしくは皮膚を貫通する注射によって)投与されるべきである。上記経皮投与は、2つの非常に重要な利点を付与する:身体の特定の罹患部分に治療を制限できること、ならびに全身曝露(および従って、全身のリスクおよび副作用)を回避できること。
経皮投与は、被験体の身体の特定の罹患領域、例えば、頭部(例えば、前頭部のような顔面、前頭部、眼窩周囲領域、頬部、頤部、口唇部、および前頭部の頂点から頤部の最も下までの他の前側にある構造)、乳房、肢、手、体幹部、股関節部、および臀部に指向され得る。理論によって拘束されないが、本明細書で開示されるとおりのチアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物の投与の関数としての脂肪の増大としては、脂肪細胞の数の増大、1個もしくは1個より多くの脂肪細胞の容積の増大、1個もしくは1個より多くの脂肪細胞の成熟の増大、および/または1個もしくは1個より多くの脂肪細胞の分化の促進が挙げられ得る。
脂肪の増大は、容積、サイズ、質量、かさ、密度、量、および/もしくは数量のうちの少なくとも1つによって測定される場合の脂肪の増大を含み得る。本発明は、75%もしくはそれより大きく、70%もしくはそれより大きく、60%もしくはそれより大きく、50%もしくはそれより大きく、40%もしくはそれより大きく、30%もしくはそれより大きく、25%もしくはそれより大きく、20%もしくはそれより大きく、15%もしくはそれより大きく、10%もしくはそれより大きく、または5%もしくはそれより大きく、脂肪を増大させると予測される。例えば、脂肪の増大はまた、脂肪細胞量(例えば、脂肪細胞数)の増大、脂肪細胞容積の増大、脂肪細胞成熟の増大、および/もしくは脂肪細胞分化の促進を含み得る。
(チアゾリジンジオン化合物)
チアゾリジンジオンは、2型糖尿病の処置の全身投与に関して以前承認された薬物療法のクラスである。使用が具体的に企図されたチアゾリジンジオンとしては、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、シグリタゾン、ネトグリタゾン、リボグリタゾン、ならびにこれらの薬学的に許容される塩およびプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、およびトログリタゾンは、糖尿病のために以前に市場に出された。しかし、これら化合物は、大部分の国で回収されているかもしくは制限されており、他のチアゾリジンジオンの開発も、安全性の懸念事項、例えば、死亡、心血管有害事象、膀胱がん、肝炎、および骨折に起因して、取りやめになった。よって、ヘルスケア実務者および科学者は、チアゾリジンジオンのさらなる使用もしくは開発を強く思いとどまらされてきた。全身投与されたチアゾリジンジオンの公知の有害効果は、肥満および体脂肪の蓄積である。例えば、Smithら,Metabolism(2005)54:24−32;Jacobら,Diabetes Obes Metab(2007)9:386−393;Kimら,Eur J Endocrinol(2007)157:167−174を参照のこと。この効果は、広く、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターγ(PPARγ)の活性化である、これら化合物の分子作用にあるとされる。全身性のチアゾリジンジオン投与の肥満を促進する望ましくない傾向は、にもかかわらず、脂肪異栄養症、例えば、HIV脂肪異栄養症に罹患した個体において体脂肪を増大させるために利用されてきた。例えば、Slamaら,Antivir Ther(2008)13:67−76を参照のこと。この全身的アプローチの欠点としては、重大な副作用の可能性(例えば、心血管有害事象、膀胱がん、および肝炎)、ならびに身体の特定の部位に治療を指向させられないことが挙げられる。従って、全身性のチアゾリジンジオン投与は、肥満促進のために実用的でないとみられているので、体脂肪の局所的増大を達成するためにより安全な手段が必要である。
対照的に、本発明は、体脂肪を局所的に増大させるためにチアゾリジンジオンの経皮投与を企図する。例えば、一局面において、必要性のある被験体において局所的に脂肪を増大させるための方法が提供され、上記方法は、被験体の皮下脂肪に、チアゾリジンジオンまたはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを経皮投与する工程を包含する。ある種の実施形態において、上記投与工程は、経皮用キャリアを使用する皮膚への局所塗布、または皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、病変内注射、経粘膜注射、もしくは粘膜塗布によるものを含む。
ある種の実施形態において、チアゾリジンジオンは、式(I)の化合物:
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって;
ここで:
環Aは、置換されているかもしくは置換されていないアリーレンまたは置換されているかもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり;
Lは、置換されているかもしくは置換されていないC1〜6アルキレンまたは置換されているかもしくは置換されていないヘテロC1〜6アルキレンであり;そして
環Bは、置換されているかもしくは置換されていないカルボシクリル、置換されているかもしくは置換されていないヘテロシクリル、置換されているかもしくは置換されていないアリール、または置換されているかもしくは置換されていないヘテロアリールである。
ある種の実施形態において、環Aは、置換されているかもしくは置換されていないアリーレン、例えば、置換されているかもしくは置換されていないフェニレンまたは置換されているかもしくは置換されていないナフチレンである。ある種の実施形態において、環Aは、置換されているかもしくは置換されていないフェニレンである。
ある種の実施形態において、環Aは、置換されているかもしくは置換されていないヘテロアリーレン、例えば、6員のヘテロアリーレン(例えば、置換されているかもしくは置換されていないピリジニレン)である。
ある種の実施形態において、Lは、置換されているかもしくは置換されていないC1〜6アルキレン、例えば、置換されているかもしくは置換されていないC1アルキレン、置換されているかもしくは置換されていないC2アルキレン、置換されているかもしくは置換されていないC3アルキレン、置換されているかもしくは置換されていないC4アルキレン、置換されているかもしくは置換されていないC5アルキレン、または置換されているかもしくは置換されていないC6アルキレンである。ある種の実施形態において、Lは、−CH2−、−(CH2)2−、−(CH2)3−、−(CH2)4−、−(CH2)5−、もしくは−(CH2)6−である。
ある種の実施形態において、Lは、置換されているかもしくは置換されていないヘテロC1〜6アルキレン、例えば、置換されているかもしくは置換されていないヘテロC1アルキレン、置換されているかもしくは置換されていないヘテロC2アルキレン、置換されているかもしくは置換されていないヘテロC3アルキレン、置換されているかもしくは置換されていないヘテロC4アルキレン、置換されているかもしくは置換されていないヘテロC5アルキレン、または置換されているかもしくは置換されていないヘテロC6アルキレンである。ある種の実施形態において、Lは、−CH2(Y)−、−(CH2)2(Y)−、−(CH2)3(Y)−、−(CH2)4(Y)−、−(CH2)5(Y)−、もしくは−(CH2)6(Y)−であり、ここでYは、O、S、もしくはNRLであり、RLは、水素、窒素保護基、もしくはC1−6アルキル(例えば、メチル)である。ある種の実施形態において、Yは、NRLであり、RLは、水素もしくはメチルである。
ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていないカルボシクリル、例えば、置換されているかもしくは置換されていないC5〜6カルボシクリルである。ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていないシクロペンチルである。ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていないシクロヘキシルである。
ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていないヘテロシクリル、例えば、5〜6員のヘテロシクリルである。ある種の実施形態において、上記ヘテロシクリル環は、そこに縮合された、置換されているかもしくは置換されていないアリールまたは置換されているかもしくは置換されていないヘテロアリール環を含み、ここでその結合点は、上記ヘテロシクリル環にある。ある種の実施形態において、環Bは、6員の置換されているかもしくは置換されていないヘテロシクリル、例えば、そこに縮合された置換されているかもしくは置換されていないアリール環を含む置換されているかもしくは置換されていないジヒドロピラニル(置換されているかもしくは置換されていないクロマニルともいう)である。
ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていないアリール、例えば、置換されているかもしくは置換されていないフェニルまたは置換されているかもしくは置換されていないナフチルである。ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていないフェニルである。
ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていないヘテロアリールである。ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていない6員のヘテロアリール、例えば、置換されているかもしくは置換されていないピリジニルである。ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていない二環式ヘテロアリール、例えば、置換されているかもしくは置換されていない5,6−二環式ヘテロアリール、例えば、置換されているかもしくは置換されていないベンゾイミダゾリルである。
上記の実施形態の種々の組み合わせが、本明細書で企図される。
例えば、環Aがフェニレンである、ある種の実施形態において、提供されるのは、式(I−a)の化合物:
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。ある種の実施形態において、Lは、−CH2(Y)−もしくは−(CH2)2(Y)−であり、ここでYは、O、S、もしくはNRLである。ある種の実施形態において、Lは、−CH2−、−(CH2)2−、もしくは−(CH2)3−である。ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていないシクロヘキシルである。ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていないクロマニルである。ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていないフェニルである。ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていないヘテロアリール、例えば、置換されているかもしくは置換されていないピリジニルまたは置換されているかもしくは置換されていないベンゾイミダゾリルである。
環Aがナフチレンであるある種の実施形態において、式(I−b)の化合物:
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが提供される。ある種の実施形態において、Lは、−CH2(Y)−もしくは−(CH2)2(Y)−であり、ここでYは、O、S、もしくはNRLである。ある種の実施形態において、Lは、−CH2−、−(CH2)2−、もしくは−(CH2)3−である。ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていないシクロヘキシルである。ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていないクロマニルである。ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていないフェニルである。ある種の実施形態において、環Bは、置換されているかもしくは置換されていないヘテロアリール、例えば、置換されているかもしくは置換されていないピリジニルまたは置換されているかもしくは置換されていないベンゾイミダゾリルである。
式(I)の例示的な化合物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
および
ならびにこれらの薬学的に許容される塩およびプロドラッグ。
(食欲増進化合物)
プレグナン誘導体は、1位〜21位に存在する炭素を有するステロイド誘導体の1クラスである。本明細書で使用される場合、「食欲増進化合物」とは、被験体に全身投与される場合、食欲および/もしくは食物摂取を刺激する、プレグナンもしくはプレグネン(例えば、プレグネン、プレグナジエン、もしくはプレグナトリエン)化合物を意味する。本発明での使用が具体的に企図される食欲増進化合物としては、メゲストロール、酢酸メゲストロール、メドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ならびにこれらの薬学的に許容される塩およびプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
全身投与される場合、酢酸メゲストロールは、中枢機構によって食欲を刺激するので、例えば、がん関連悪液質もしくはHIV関連悪液質を有する患者において、カロリー収支を増大させ、体重増加を促進するために使用される。酢酸メゲストロールはまた、避妊薬として、ならびに例えば、乳がん、子宮頸がん、および前立腺がんの処置において抗新生物薬剤として使用される。酢酸メゲストロールの全身投与は体重増加および/もしくは肥満を引き起こすが、それは乳房組織を増大させない。反して、酢酸メゲストロールの内分泌プロフィールは、乳房組織を阻害するようにするものである。
対照的に、本発明は、体脂肪を局所的に増大させるために食欲増進化合物の経皮投与を企図する。例えば、別の局面において、必要性のある被験体において脂肪を局所的に増大させるための方法が提供され、上記方法は、上記被験体の皮下脂肪に、食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを経皮投与する工程を包含する。ある種の実施形態において、上記投与する工程は、経皮用キャリアを使用して上記皮膚に局所塗布、または皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、病変内注射、経粘膜注射、もしくは粘膜塗布によるものを包含する。
いくつかの実施形態において、食欲増進化合物は、被験体に全身投与される場合には、対照の200%もしくはそれより大きく、対照の150%もしくはそれより大きく、対照の125%もしくはそれより大きく、対照の110%もしくはそれより大きく、対照の105%もしくはそれより大きく、対照の100%もしくはそれより大きく、例えば、対照の約100%〜約500%の間、約100%〜約200%の間、約300%〜約400%の間、または約400%〜約500%の間である、上記被験体における平均1日カロリー摂取を引き起こす化合物である。
ある種の実施形態において、上記食欲増進化合物は、式(II)の化合物:
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって;
ここで:
の各場合は、単結合もしくは二重結合を独立して表し;
R1は、水素、ヒドロキシル、置換されたヒドロキシル、チオール、置換されたチオール、アミノ、もしくは置換されたアミノであり;
R2は、水素、ヒドロキシル、置換されたヒドロキシル、チオール、置換されたチオール、アミノ、もしくは置換されたアミノであり;
R3は、水素、または置換されているかもしくは置換されていないC1−6アルキルであり;
R4は、水素、ヒドロキシル、置換されたヒドロキシル、チオール、置換されたチオール、アミノ、もしくは置換されたアミノであり、R5は、水素であるか;またはR4およびR5は一緒になって、オキソ基=Oを形成する。
ある種の実施形態において、「b」として示される
は、二重結合を表す。ある種の実施形態において、「a」として示される
は、二重結合を表す。ある種の実施形態において、
の各場合は、二重結合を表す。
しかし、ある種の実施形態において、「b」として示される
は、単結合を表す。ある種の実施形態において、「a」として示される
は、単結合を表し、このような場合に、C5にある水素は、αもしくはβ配置で提供される。ある種の実施形態において、
の各場合は、単結合を表す。
ある種の実施形態において、「b」として示される
は、単結合を表し、そして「a」として示される
は、二重結合を表す。ある種の実施形態において、「a」として示される
は、単結合を表し、そして「b」として示される
は、二重結合を表す。
ある種の実施形態において、R1は、水素である。ある種の実施形態において、R1は、ヒドロキシルである。ある種の実施形態において、R1は、置換されたヒドロキシルである。ある種の実施形態において、R1は、チオールである。ある種の実施形態において、R1は、置換されたチオールである。ある種の実施形態において、R1は、アミノである。ある種の実施形態において、R1は、置換されたアミノである。
ある種の実施形態において、R2は、水素である。ある種の実施形態において、R2は、ヒドロキシルである。ある種の実施形態において、R2は、置換されたヒドロキシルである。ある種の実施形態において、R2は、チオールである。ある種の実施形態において、R2は、置換されたチオールである。ある種の実施形態において、R2は、アミノである。ある種の実施形態において、R2は、置換されたアミノである。
ある種の実施形態において、R3は、水素である。ある種の実施形態において、R3は、置換されているかもしくは置換されていないC1−6アルキル、例えば、置換されているかもしくは置換されていないC1アルキル、置換されているかもしくは置換されていないC2アルキル、置換されているかもしくは置換されていないC3アルキル、置換されているかもしくは置換されていないC4アルキル、置換されているかもしくは置換されていないC5アルキル、または置換されているかもしくは置換されていないC6アルキルである。ある種の実施形態において、R3は、−CH3もしくは−CH2CH3である。
ある種の実施形態において、R4は、水素であり、R5は、水素である。ある種の実施形態において、R4は、ヒドロキシルであり、R5は、水素である。ある種の実施形態において、R4は、置換されたヒドロキシルであり、R5は、水素である。ある種の実施形態において、R4は、チオールであり、R5は、水素である。ある種の実施形態において、R4は、置換されたチオールであり、R5は、水素である。ある種の実施形態において、R4は、アミノであり、R5は、水素である。ある種の実施形態において、R4は、置換されたアミノであり、R5は、水素である。ある種の実施形態において、R4およびR5は一緒になって、オキソ基=Oを形成する。
上記の実施形態の種々の組み合わせは、本明細書で企図される。
例えば、ある種の実施形態において、
の各場合は、二重結合を表し、式(II−a)の化合物:
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが提供される。ある種の実施形態において、R1は、水素である。ある種の実施形態において、R2は、ヒドロキシルである。ある種の実施形態において、R2は、置換されたヒドロキシル、例えば、−OC(=O)Raaであり、ここでRaaは、置換されているかもしくは置換されていないC1−10アルキルである。ある種の実施形態において、R4は、水素であり、R5は、水素である。ある種の実施形態において、R3は、置換されているかもしくは置換されていないC1−6アルキルであり、例えば、R3は、−CH3である。
「b」として示される
が単結合を表し、そして「a」として示される
が二重結合を表すある種の実施形態において、式(II−b)の化合物:
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが提供される。ある種の実施形態において、R1は、水素である。ある種の実施形態において、R2は、ヒドロキシルである。ある種の実施形態において、R2は、置換されたヒドロキシル、例えば、−OC(=O)Raaであり、ここでRaaは、置換されているかもしくは置換されていないC1−10アルキルである。ある種の実施形態において、R4は、水素であり、R5は、水素である。ある種の実施形態において、R3は、置換されているかもしくは置換されていないC1−6アルキルであり、例えば、R3は、−CH3である。ある種の実施形態において、「b」として示される
は、単結合を表し、そして「a」として示される
は、二重結合を表す。ある種の実施形態において、
の各場合は、二重結合を表す。
式(II)の例示的化合物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
ならびにこれらの薬学的に許容される塩およびプロドラッグ。
(本発明に従うプロドラッグの使用)
いかなる特定の理論によっても拘束されないが、被験体への投与が企図された上記の化合物のうちの1種または1種より多くは、プロドラッグとして存在し得ることが理解される。よって、および理論によって拘束されることなく、本発明は、例えば、上記の化合物のアナログが皮膚におけるヒドロラーゼ(例えば、エステラーゼ、アミダーゼ)の基質であるエステル(例えば、−OC(=O)Raaもしくは−C(=O)ORaa(ここでRaaは本明細書で定義されるとおりである))および/またはアミド(例えば、−NRbbC(=O)Raaもしくは−C(=O)N(Rbb)2(ここでRaaおよびRbbは本明細書で定義されるとおりである)を含み得ることを想定する。本明細書で記載される化合物が、親化合物と比較した場合に、経皮送達のためのより望ましい特性を有するプロドラッグを作製する欲求に従って、エステル、アミド、および他の加水分解可能な部分で置換され得ることは、理解される。例えば、エステル形態は、皮膚および/もしくは脂肪組織中の部分に、親化合物より効率的に透過し得る。
(処置方法)
本明細書で一般的に記載されるように、必要性のある被験体の身体において脂肪を局所的に増大させるための方法が提供され、上記方法は、上記被験体の皮下脂肪に、チアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを経皮送達する工程を包含する。送達(する工程)および投与(する工程)は、本明細書で交換可能に使用される。
ある種の実施形態において、送達する工程は、皮膚への局所塗布、または皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、病変内注射、経粘膜注射、もしくは粘膜塗布によるものを包含する。
ある種の実施形態において、経皮送達する工程は、チアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグおよび経皮用キャリアを含む薬学的組成物を、上記皮膚に塗布する工程を包含する。
他の実施形態において、経皮送達する工程は、チアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグおよび経皮用キャリアを含む薬学的組成物を、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、病変内注射、経粘膜注射、もしくは粘膜塗布によって投与する工程を包含する。
ある種の実施形態において、被験体の身体において脂肪を局所的に増大させることは、上記被験体の対照部位と比較して、またはベースライン(投与前)皮下脂肪測定値と比較して、被験体の処置部位での皮下脂肪厚において増大(皮下脂肪厚において例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、もしくは少なくとも40%の増大)を、例えば、10%〜100%の間(両端を含む)の増大を生じる。ある種の実施形態において、上記増大は、対照部位におけるより、もしくはベースライン測定値と比較して、処置部位において少なくとも10%多い。ある種の実施形態において、上記増大は、対照部位におけるより、もしくはベースライン測定値と比較して、処置部位において少なくとも20%多い。ある種の実施形態において、上記増大は、対照部位におけるより、もしくはベースライン測定値と比較して、処置部位において少なくとも30%多い。ある種の実施形態において、上記増大は、対照部位におけるより、もしくはベースライン測定値と比較して、処置部位において少なくとも40%多い。
いくつかの実施形態において、上記被験体は、皮下脂肪欠損症に罹っており、上記方法は、皮下脂肪送達を扱うために指向される。
いくつかの実施形態において、上記皮下脂肪欠損症は、代謝障害と関連する。皮下脂肪欠損症と関連する例示的な代謝障害としては、インスリン抵抗性、糖尿病(例えば、脂肪萎縮性糖尿病)、リパーゼ欠損症、消耗性疾患、栄養不良、傍腫瘍状態、食欲不振、悪性貧血、セリアック病、および吸収不良症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、上記皮下脂肪欠損症は、炎症状態と関連する。皮下脂肪欠損症と関連する例示的な炎症状態としては、補体成分3(C3)欠損症、膜性増殖性糸球体腎炎、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、関節リウマチ、側頭動脈炎、および白血球核破壊性血管炎が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、上記皮下脂肪欠損症は、後天性である。本明細書で使用される場合、「後天性」とは、先天性ではない障害を意味する。後天性皮下脂肪欠損症と関連する例示的な状態としては、HIV関連脂肪異栄養症、脂血症、後天性部分型脂肪異栄養症(Barraquer−Simons症候群)、後天性全身型脂肪異栄養症、パリー・ロンベルグ症候群、若年性皮膚筋炎、遠心性腹部脂肪異栄養症(centrifugal abdominal lipodystrophy)(小児腹壁遠心性脂肪委縮症)、環状脂肪異栄養症(フェレイラマルクス脂肪異栄養症)、および限局性脂肪異栄養症が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、上記皮下脂肪欠損症は、先天性である。皮下脂肪欠損症と関連する例示的な先天性の状態としては、先天性全身性脂肪異栄養症(Beradinelli−Seip症候群)、家族性部分性脂肪異栄養症(例えば、Kobberling型、Dunnigan型、もしくは3型)、中條・西村症候群、コケイン症候群、SHORT症候群、AREDYLD症候群、下顎骨先端形成異常症、ケッペン・ルビンスキー症候群、POEMS症候群、ウェルナー症候群、ハッチンソン・ギルフォード症候群、および早老症が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、上記皮下脂肪欠損症は、APLD、AKT2、C3、CAV1、CGL1(AGPAT2)、およびCGL2(BSCL2)、LMF1、LMNA、PLIN1、PPARG、PSMB8、PTRF、ならびにZMPSTE24からなる群より選択される遺伝子における脂肪萎縮症を引き起こす変異によって引き起こされる。
いくつかの実施形態において、上記皮下脂肪欠損症は、薬物療法によって引き起こされる。皮下脂肪欠損症を引き起こすことが公知の例示的な薬物療法としては、抗レトロウイルス薬(例えば、Domingoら,AIDS Rev 2012;14:112−123を参照のこと)、抗生物質(例えば、Kayikciogluら,J Pediatr 1996;129:166−167を参照のこと)、鉄、成長ホルモン、界面活性剤(例えば、米国特許第7,622,130号を参照のこと)、ならびにコルチコステロイドおよび/もしくはβ−アドレナリン作動性アゴニスト(例えば、米国特許出願第13/204,423号を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な抗レトロウイルス薬物療法は、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(例えば、エファビレンツ)、ヌクレオシド/ヌクレオチドアナログ逆転写酵素インヒビター(例えば、ジドブジン)、およびHIV−1プロテアーゼインヒビター(例えば、ネルフィナビル)である。例示的なコルチコステロイドとしては、フルチカゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、およびデキサメタゾンが挙げられる。例示的な抗生物質としては、ペニシリンが挙げられる。例示的なβ−アドレナリン作動性アゴニストは、サルメテロールである。例示的な界面活性剤は、デオキシコレートである。
いくつかの実施形態において、上記皮下脂肪欠損症は、手術によって引き起こされる。例えば、チアゾリジンジオンおよび/もしくは食欲増進化合物は、本明細書で記載されるとおり、術前、術中もしくは術後の期間に使用されるかに拘わらず、様々な種類の手術のうちのいずれかに対する補助として有用でもあり得る。
いくつかの実施形態において、脂肪の喪失もしくは欠損症は、傷害によって引き起こされる。いくつかの実施形態において、上記傷害は、機械的傷害、熱傷、低温傷害(cryoinjury)、および放射線傷害からなる群より選択される。
いくつかの実施形態において、上記被験体は、必ずしも脂肪欠損症に罹っていなくてもよい。
例えば、いくつかの実施形態において、上記被験体は、皮膚の皺に悩まされている。例えば、上記皮膚は、皺による影響があり、上記方法は、例えば、皺のみかけを最小限にすることによって、皺を処置することに指向される。
ある種の実施形態において、上記皮膚は、顔面、前頭部、顔面の眼窩周囲領域、顔面中部、頬部、頤部、口唇部、乳房、肢、手、体幹部、股関節部、もしくは臀部にある。
他の実施形態において、上記被験体は、身体部分のサイズもしくは輪郭に不満を抱いており、上記方法は、上記身体部分の輪郭を変化させることに関する。本明細書で使用される場合、「身体部分の輪郭を変化させる」とは、上記身体部分の形状を、例えば、上記身体部分全体を増大させることによって、上記身体部分のうちの1もしくは1より多くの領域を増大させることによって、または上記身体部分に隣接する1もしくは1より多くの領域を増大させることによって、変化させることをいう。例えば、頬部の輪郭は、頬部を全体として増大させることによって、頬部の一部(例えば、頬骨隆起部)のみを選択的に増大させることによって、変化させられ得る。特定の領域の選択的増大は、本明細書で記載されるように、上記特定の領域を選択的処置することによって得られる。変化が企図される例示的な身体部分としては、例えば、頭部(例えば、前頭部、前頭部、眼窩周囲領域、頬部、頤部、口唇部、および前頭部の頂点から頤部の最も下までの他の前側にある構造のような顔面)、乳房、肢、手、体幹部、股関節部、ならびに臀部が挙げられる。いくつかの実施形態において、上記方法は、顔面の輪郭を変化させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、頬部の輪郭を変化させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、頤部の輪郭を変化させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、下顎部の輪郭を変化させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、口唇部の輪郭を変化させることをさらに包含する。いくつかの実施形態において、上記方法は、乳房(単数または複数)の輪郭を変化させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、肢(単数または複数)の輪郭を変化させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、手の輪郭を変化させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、股関節部の輪郭を変化させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、臀部の輪郭をさらに変化させることをさらに含む。
さらに他の実施形態において、上記被験体は、脂肪を移植したことがあり、上記方法は、上記移植した脂肪を増大させることに指向される。
ある種の実施形態において、上記被験体は、糖尿病、HIV、家族性脂肪異栄養症、もしくは皮下脂肪欠損症に罹っている。
(薬学的組成物および美容用組成物)
本明細書で一般的に記載されるように、活性成分および薬学的に許容されるキャリアを含む、経皮投与のための組成物が提供される。
本明細書で使用される場合、「組成物」とは、薬学的組成物(例えば、医療専門家によって診断される特定の疾患、障害、もしくは状態の処置のために有用である)または美容用組成物(例えば、美化目的の)をいう。キャリアおよび賦形剤は、本明細書では交換可能に使用される。さらに、本明細書で使用される場合、「活性成分」とは、本明細書で記載されるように、チアゾリジンジオンおよび/もしくは食欲増進化合物をいう。ある種の実施形態において、上記活性成分は、上記組成物中に治療上有効な量で提供される。
ある種の実施形態において、上記薬学的に許容されるキャリアは、経皮用キャリアを含み、この場合、上記薬学的に許容されるキャリアは全体として、経皮用キャリアとしてみられる。ある種の実施形態において、上記組成物は、経皮用キャリアを含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、病変内注射、経粘膜注射、もしくは粘膜塗布のためのキャリア(必要に応じて、経皮用キャリア)を含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、1種または1種より多くの脂肪酸をさらに含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、1種または1種より多くの有機性アルコールをさらに含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、透過増強剤をさらに含む。
例示的な薬学的に許容されるキャリアとしては、所望の特定の投与様式に適合させられるように、任意の全ての溶媒もしくは他の液体ビヒクル、分散補助物質もしくは懸濁補助物質、界面活性剤、等張剤、濃化剤もしくは乳化剤、保存剤、緩衝化剤、滑沢剤などが挙げられる。
組成物の製剤および/もしくは製造における一般的な考慮事項は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)、およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy,第21版(Lippincott Williams & Wilkins,2005)に見いだされ得る。Singhら,Local deep tissue penetration of compounds after dermal application:structure−tissue penetration relationships.JPET(1996)279:908−917もまた参照のこと。
本明細書で記載される組成物は、薬理学分野で公知の任意の方法によって調製され得る。一般に、このような調製法は、活性成分をキャリアおよび/または1種もしくは1種より多くの他の補助成分と会合した状態にする工程、ならびにその後、必要であればおよび/または望ましくは、上記生成物を所望の単一用量もしくは複数用量のユニットへと形作るおよび/またはパッケージする工程を包含する。
組成物は、バルクで、単一単位用量として、および/もしくは複数の単一単位用量として、調製され得るか、パッケージされ得るか、そして/または販売され得る。本明細書で使用される場合、「単位用量」は、所定の量の活性成分を含む組成物の別個の量である。上記活性成分の量は、一般に、被験体に投与される活性成分の投与量および/もしくはこのような投与量の都合の良い分数(例えば、このような投与量の1/2もしくは1/3)に等しい。
組成物中の活性成分、薬学的に許容されるキャリア、および/もしくは任意のさらなる成分の相対量は、処置される被験体の独自性、サイズ、および/もしくは状態に依存して、ならびに上記組成物が投与される予定である経路にさらに依存して、変動する。例示すれば、上記組成物は、0.1%〜100%(w/w)の間の活性成分を含み得る。
例示的な造粒剤および/または分散剤としては、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クレー、アルギン酸、グアーガム、柑橘パルプ、寒天、ベントナイト、セルロースおよび木材製品、天然スポンジ、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、シリケート、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニル−ピロリドン)(クロスポビドン)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、アルファデンプン(デンプン1500)、微結晶デンプン、水溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)、ラウリル硫酸ナトリウム、第四級アンモニウム化合物など、ならびにこれらの組合せが挙げられる。
例示的な界面活性剤および/または乳化剤としては、脂質/天然乳化剤(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドラックス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス、およびレシチン)、コロイド状クレー(例えば、ベントナイト[ケイ酸アルミニウム]およびVeegum[ケイ酸アルミニウムマグネシウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、トリアセチンモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、グリセリルモノステアレート、およびプロピレングリコールモノステアレート、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、およびカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート[Tween20]、ポリオキシエチレンソルビタン[Tween60]、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート[Tween80]、ソルビタンモノパルミテート[Span40]、ソルビタンモノステアレート[Span60]、ソルビタントリステアレート[Span65]、グルセリルモノオレエート、ソルビタンモノオレエート[Span80]、ポリオキシエチレンエステル(例えば、ポリオキシエチレンモノステアレート[Myrj45]、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリオキシメチレンステアレート、およびSolutol)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、Cremophor)、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[Brij30]、ポリ(ビニル−ピロリドン)、ジエチレングリコールモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、プルロニックF68、ポロキサマー188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドキュセートナトリウム、など、および/またはこれらの組合せが挙げられる。
例示的な保存剤としては、酸化防止剤、キレート剤、抗菌性保存剤、抗真菌性保存剤、アルコール保存剤、酸性保存剤、および他の保存剤が挙げられる。
例示的な酸化防止剤としては、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート(acorbyl palmitate)、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、および亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
例示的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)と、その塩および水和物(例えば、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸二カリウムなど)、クエン酸と、その塩および水和物(例えば、クエン酸一水和物)、フマル酸と、その塩および水和物、リンゴ酸と、その塩および水和物、リン酸と、その塩および水和物、ならびに酒石酸と、その塩および水和物が挙げられる。例示的な抗菌性保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、およびチメロサールが挙げられる。
例示的な抗真菌性保存剤としては、ブチルバラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、およびソルビン酸が挙げられる。
例示的なアルコール保存剤としては、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾエート、およびフェニルエチルアルコールが挙げられる。
例示的な酸性保存剤としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータ−カロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、およびフィチン酸が挙げられる。
他の保存剤としては、トコフェロール、酢酸トコフェロール、デテロキシムメシレート(deteroxime mesylate)、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluened)(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、Glydant Plus、Phenonip、メチルパラベン、Germall115、Germaben II、Neolone、Kathon、およびEuxylが挙げられる。ある種の実施形態において、保存剤は酸化防止剤である。他の実施形態において、保存剤はキレート剤である。
例示的な緩衝剤としては、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D−グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、リン酸水素カルシウム、リン酸、第三リン酸カルシウム、水酸化カルシウムホスフェート(sodium hydroxide phosphate)、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱性物質を含まない水、等張性塩水、リンゲル液、エチルアルコールなど、およびこれらの組合せが挙げられる。
例示的な滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、グリセリルベヘネート(glyceryl behanate)、水素化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど、およびこれらの組合せが挙げられる。
例示的な油剤としては、アーモンド油、杏仁油、アボカド油、ババスー油、ベルガモット油、クロスグリ種子(black current seed)油、ルリジサ油、ケード油、カモミール油、キャノーラ油、キャラウェー油、カルナウバ油、ヒマシ油、シナモン油、ココアバター油、ココナッツ油、たら肝油、コーヒー油(coffee)、トウモロコシ油、綿実油、エミュー油(emu)、ユーカリ油、オオマツヨイグサ油、魚油、亜麻仁油、ゲラニオール油、ヒョウタン油、グレープシード油、ヘーゼルナッツ油、ヒソップ油、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ油、クークーエーナッツ油、ラバンディン油、ラベンダー油、レモン油、アオモジ(litsea cubeba)油、マカデミアナッツ油、ゼニアオイ油、マンゴー種子油、メドウフォーム種子油、ミンク油、ニクズク油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラフィー油、パーム油、パーム核油、桃仁油、ピーナッツ油、ケシ粒油、パンプキンシード油、菜種油、米糠油、ローズマリー油、紅花油、ビャクダン油、サザンカ(sasquana油)、セイボリー油、シーバックソーン(sea buckthorn)油、ゴマ油、シアバター油、シリコーン油、大豆油、ヒマワリ油、ティーツリー油、アザミ油、ツバキ油、ベチベルソウ(vetiver)油、クルミ油、および麦芽油が挙げられる。例示的な油剤としては、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油、およびこれらの組合せが挙げられる。
注射用調製物、例えば、滅菌注射用水性もしくは油性懸濁物は、適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の技術に従って製剤化され得る。上記滅菌注射用調製物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤もしくは溶媒中の、滅菌注射用溶液、懸濁物もしくはエマルジョン(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)であり得る。使用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液(米国局方)および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌不揮発性油は、溶媒もしくは懸濁媒体として、従来どおり使用される。この目的で、任意の刺激の強くない不揮発性油が使用され得る(合成のモノグリセリドもしくはジグリセリドが挙げられる)。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)は、注射物の調製において使用される。注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルタを通す濾過によって、または使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体中に溶解もしくは分散させられ得る滅菌した固体組成物の形態で滅菌剤を組みこむことによって、滅菌され得る。活性成分の例えば、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、病変内注射、もしくは経粘膜注射に適切な注射用デバイスは、短針デバイス(例えば、米国特許第4,886,499号;同第5,190,521号;同第5,328,483号;同第5,527,288号;同第4,270,537号;同第5,015,235号;同第5,141,496号;および同第5,417,662号に記載されるもの)を含む。上記活性成分は、皮膚への針の有効な貫通長を制限するデバイス(例えば、PCT公開WO 99/34850に記載されるものおよびその機能的均等物)によって投与され得る。代わりにもしくはさらに、従来のシリンジが使用され得る。
活性成分の局所投与(例えば、皮膚への経皮投与、粘膜への粘膜投与)のための剤形としては、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル、散剤、軟膏剤、パスタ剤、液剤、スプレー、吸入薬および/もしくはパッチが挙げられ得る。このような剤形は、例えば、上記活性成分を適切な媒体中に溶解および/もしくは懸濁することによって調製され得る。一般に、上記活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に許容されるキャリアおよび/もしくは任意の必要とされる保存剤および/もしくは必要とされ得る場合には緩衝化剤と混合される。さらに、本発明は、上記活性成分の送達の制御を提供するという付加的な利点をしばしば有するパッチ(例えば、「経皮的」パッチ)の使用を企図する。代わりにもしくはさらに、速度制御膜を提供するか、ならびに/またはポリマーマトリクスおよび/もしくはゲル中に上記活性成分を分散させるかのいずれかによって、その速度が制御され得る。
本明細書で企図される例示的な経皮的パッチは、上記活性成分および経皮用キャリアを、接着剤と合わせ、上記合わせた活性成分/キャリア/接着剤の層を固体マトリクス(例えば、メッシュ生地(fabric mesh)もしくはプラスチックシート)に塗布することによって、作製され得る。経真皮的パッチを作製するための方法は、当該分野で公知であり(例えば、Williams AC.Transdermal and Topical Drug Delivery,London:Pharmaceutical Press,2003を参照のこと)、経皮送達のために適合され得るが、ただし、上記キャリアおよび活性成分濃度は、本明細書で定義されるように、経真皮送達よりむしろ経皮送達のために適合される。
経皮用キャリアは、活性成分を例えば、皮下脂肪に経皮送達するために適合された薬学的に許容されるキャリアである。例えば、Singhら,Local deep tissue penetration of compounds after dermal application:structure−tissue penetration relationships.JPET(1996)279:908−917を参照のこと。市場に出ている薬物療法(Pennsaid(登録商標)[ジクロフェナク1.5%局所液剤])の中の例示的な経皮用キャリアは、約45% w/wジメチルスルホキシドを、より少ない量のプロピレングリコール、アルコール、およびグリセリンとともに含む水溶液である。他の例示的な経皮用キャリアとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Lipoderm(登録商標)、Vanpen(登録商標)、HRT基剤、Occlusaderm(登録商標)、およびPluronic(登録商標)レシチンオルガノゲル。例えば、Kumarら,AAPS PharmSciTech(2005)6:E298−E310を参照のこと。経皮用キャリアの作業実施例を提供する実施例1〜11もまた参照のこと。
ある種の実施形態において、上記経皮用キャリア(または組成物)は、1種または1種より多くの脂肪酸を含む。いくつかの実施形態において、上記1種または1種より多くの脂肪酸の終濃度は、約1重量%〜約20重量%の間(両端を含む)である。いくつかの実施形態において、上記1種または1種より多くの脂肪酸の終濃度は、約5〜約15%、約1〜約10%、約1〜約2%、約1〜約3%、約1〜約5%、約2〜約4%、約3〜約5%、約3〜約7%、約4〜約6%、約5〜約7%、約6〜約8%、約7〜約10%、約10〜約20%、約10〜約15%、または約15〜約20%の間である。ある種の実施形態において、上記組成物中の1種または1種より多くの脂肪酸の終濃度は、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、または20重量%である。
ある種の実施形態において、上記経皮用キャリアは、脂肪酸であるオレイン酸を含む。しかし、当業者は、オレイン酸が類似の構造の1種または1種より多くの脂肪酸によって置き換えられ得ることを認識する。例えば、ここで脂肪酸のアシル部分(RFA1)は、必要に応じて置換されたC10〜C20アルキルもしくは必要に応じて置換されたC10〜C20アルケニルである。
ある種の実施形態において、RFA1は、必要に応じて置換されたC10〜C19アルキル、C10〜C18アルキル、C10〜C17アルキル、C10〜C16アルキル、C10〜C15アルキル、C10〜C14アルキル、C10〜C13アルキル、C11〜C20アルキル、C11〜C19アルキル、C11〜C18アルキル、C11〜C17アルキル、C11〜C16アルキル、C11〜C15アルキル、C11〜C14アルキル、C11〜C13アルキル、C12〜C19アルキル、C12〜C18アルキル、C12〜C17アルキル、C12〜C16アルキル、C12〜C15アルキル、C12〜C14アルキル、C12〜C13アルキル、C13〜C20アルキル、C13〜C19アルキル、C13〜C18アルキル、C13〜C17アルキル、C13〜C16アルキル、C13〜C15アルキル、C13〜C14アルキル、C14〜C20アルキル、C14〜C19アルキル、C14〜C18アルキル、C14〜C17アルキル、C14〜C16アルキル、C14〜C15アルキル、C15〜C20アルキル、C15〜C19アルキル、C15〜C18アルキル、C15〜C17アルキル、もしくはC15〜C16アルキルである。ある種の実施形態において、RFA1は、直鎖(非分枝状の)アルキル基である。ある種の実施形態において、RFA1は、置換されていないアルキル基であり、すなわち、炭素原子および水素原子のみを含む。ある種の実施形態において、RFA1は、置換されたアルキル基であり、例えば、ハロゲン原子によって置換されている。
ある種の実施形態において、RFA1は、必要に応じて置換されたC10〜C19アルケニル、C10〜C18アルケニル、C10〜C17アルケニル、C10〜C16アルケニル、C10〜C15アルケニル、C10〜C14アルケニル、C10〜C13アルケニル、C11〜C20アルケニル、C11〜C19アルケニル、C11〜C18アルケニル、C11〜C17アルケニル、C11〜C16アルケニル、C11〜C15アルケニル、C11〜C14アルケニル、C11〜C13アルケニル、C12〜C19アルケニル、C12〜C18アルケニル、C12〜C17アルケニル、C12〜C16アルケニル、C12〜C15アルケニル、C12〜C14アルケニル、C12〜C13アルケニル、C13〜C20アルケニル、C13〜C19アルケニル、C13〜C18アルケニル、C13〜C17アルケニル、C13〜C16アルケニル、C13〜C15アルケニル、C13〜C14アルケニル、C14〜C20アルケニル、C14〜C19アルケニル、C14〜C18アルケニル、C14〜C17アルケニル、C14〜C16アルケニル、C14〜C15アルケニル、C15〜C20アルケニル、C15〜C19アルケニル、C15〜C18アルケニル、C15〜C17アルケニル、C15〜C16アルケニルである。ある種の実施形態において、RFA1は、非分枝状のアルケニル基である。ある種の実施形態において、RFA1は、置換されていないアルケニル基であり、すなわち、炭素原子および水素原子のみを含む。ある種の実施形態において、RFA1は、置換されたアルケニル基であり、例えば、ハロゲン原子によって置換されている。ある種の実施形態において、RFA1は、1個、2個、3個、もしくは4個の二重結合(各々独立して、シスもしくはトランスである)を含むアルケニル基である。
ある種の実施形態において、RFA1は、少なくとも1個のシス二重結合、例えば、1個、2個、3個、もしくは4個のシス二重結合を含むアルケニル基である。ある種の実施形態において、RFA1は、式(a)のアルケニル基:
であり、ここで:
pは、2〜8の間の整数(両端を含む)であり;
qは、1〜8の間の整数(両端を含む)であり;そして
RFA2は、必要に応じて置換されたC1〜C10アルキル、もしくは必要に応じて置換されたC2〜C10アルケニルであり、
ただし式(a)の炭素の合計は、20を超えない。
ある種の実施形態において、RFA2は、必要に応じて置換されたC1〜C9アルキル、C1〜C8アルキル、C1〜C7アルキル、C1〜C6アルキル、C1〜C5アルキル、C1〜C4アルキル、C1〜C3アルキル、C1〜C2アルキル、C2〜C10アルキル、C2〜C9アルキル、C2〜C8アルキル、C2〜C7アルキル、C2〜C6アルキル、C2〜C5アルキル、C2〜C4アルキル、C2〜C3アルキル、C3〜C10アルキル、C3〜C9アルキル、C3〜C8アルキル、C3〜C7アルキル、C3〜C6アルキル、C3〜C5アルキル、C3〜C4アルキル、C4〜C10アルキル、C4〜C9アルキル、C4〜C8アルキル、C4〜C7アルキル、C4〜C6アルキル、C4〜C5アルキル、C5〜C10アルキル、C5〜C9アルキル、C5〜C8アルキル、C5〜C7アルキル、C5〜C6アルキル、C6〜C10アルキル、C6〜C9アルキル、C6〜C8アルキル、C6〜C7アルキル、C7〜C10アルキル、C7〜C9アルキル、C7〜C8アルキル、C8〜C10アルキル、C8〜C9アルキル、もしくはC9〜C10アルキルである。ある種の実施形態において、RFA2は、直鎖(非分枝状の)アルキル基である。ある種の実施形態において、RFA2は、置換されていないアルキル基であり、すなわち、炭素原子および水素原子のみを含む。ある種の実施形態において、RFA2は、置換されたアルキル基であり、例えば、ハロゲン原子によって置換されている。
ある種の実施形態において、RFA2は、必要に応じて置換されたC2〜C9アルケニル、C2〜C8アルケニル、C2〜C7アルケニル、C2〜C6アルケニル、C2〜C5アルケニル、C2〜C4アルケニル、C2〜C3アルケニル、C3〜C10アルケニル、C3〜C9アルケニル、C3〜C8アルケニル、C3〜C7アルケニル、C3〜C6アルケニル、C3〜C5アルケニル、C3〜C4アルケニル、C4〜C10アルケニル、C4〜C9アルケニル、C4〜C8アルケニル、C4〜C7アルケニル、C4〜C6アルケニル、C4〜C5アルケニル、C5〜C10アルケニル、C5〜C9アルケニル、C5〜C8アルケニル、C5〜C7アルケニル、C5〜C6アルケニル、C6〜C10アルケニル、C6〜C9アルケニル、C6〜C8アルケニル、C6〜C7アルケニル、C7〜C10アルケニル、C7〜C9アルケニル、C7〜C8アルケニル、C8〜C10アルケニル、C8〜C9アルケニル、もしくはC9〜C10アルケニルである。ある種の実施形態において、RFA2は、直鎖(非分枝状)アルケニル基である。ある種の実施形態において、RFA2は、置換されていないアルケニル基であり、すなわち、炭素原子および水素原子のみを含む。ある種の実施形態において、RFA2は、置換されたアルケニル基であり、例えば、ハロゲン原子によって置換されている。ある種の実施形態において、RFA2は、置換されたアルケニル基であり、例えば、ハロゲン原子によって置換されている。ある種の実施形態において、RFA2は、1個もしくは2個の二重結合(各々独立して、シスもしくはトランスである)を含むアルケニル基である。
ある種の実施形態において、RFA1は、以下の飽和もしくは不飽和の脂肪アシル部分のうちのいずれか1つから選択される:
いくつかの実施形態において、上記経皮用キャリア(または組成物)は、1種または1種より多くの有機性アルコール、例えば、Raa−OHを含み、ここでRaaは、本明細書で定義されるとおりである。ある種の実施形態において、Raaは、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、もしくはヘテロC2〜10アルキニルであり、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、およびヘテロアルキニルは、0個、1個、2個、3個、4個、もしくは5個のRdd基(本明細書で定義されるとおりである)で独立して置換される(例えば、−OHもしくは−ORee(本明細書で定義されるとおりである)によって置換される)。ある種の実施形態において、Raaは、C1〜10アルキル、例えば、C1〜9アルキル、C1〜8アルキル、C1〜6アルキル、C1〜4アルキル、C1〜3アルキル、C1〜2アルキル、C2〜10アルキル、C2〜9アルキル、C2〜8アルキル、C2〜6アルキル、C2〜4アルキル、もしくはC2〜3アルキルである。ある種の実施形態において、Raaは、置換されていないアルキル基である。ある種の実施形態において、Raaは、置換されたアルキル基であり、例えば、1個、2個、3個、4個、もしくは5個のRdd基(本明細書で定義されるとおりである)で置換される(例えば、−OHもしくは−ORee(本明細書で定義されるとおりである)によって置換される)。例示的な有機性アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、もしくはエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。ある種の実施形態において、上記経皮用キャリアは、プロピレングリコールおよび/もしくはエタノールを含む。いくつかの実施形態において、上記組成物中の1種または1種より多くの有機性アルコールの終濃度は、約5重量%〜約99重量%の間(両端を含む)である。
いくつかの実施形態において、上記経皮用キャリア(または組成物)は、基本賦形剤(すなわち、上記組成物の主要な部分を構成する)として作用する1種または1種より多くの有機性アルコールを含む。いくつかの実施形態において、上記組成物中の上記有機性アルコール基本賦形剤の終濃度は、50重量%より高く約99%(両端を含む)である。いくつかの実施形態において、上記組成物中の有機性アルコール基本賦形剤の終濃度は、約51%〜60%、51%〜約70%、約60%〜約70%、約60%〜約80%、約70%〜約80%、約70%〜約90%、約80%〜約90%、約85%〜約95%、約90%〜約95%、約90%〜約99%、および約95%〜約99%の間(両端を含む)である。ある種の実施形態において、基本賦形剤として作用する上記有機性アルコールは、エタノールである。
いくつかの実施形態において、上記経皮用キャリア(または組成物)は、上記組成物の基本成分ではない(例えば、成分として50重量%またはそれ未満で提供される)1種または1種より多くの有機性アルコールを含む。ある種の実施形態において、上記組成物中の有機性アルコールの終濃度は、約5重量%〜約50重量%の間(両端を含む)である。いくつかの実施形態において、上記有機性アルコールの終濃度は、約5%〜10%、約5%〜約15%、約10%〜約15%、約10%〜約20%、約10%〜約30%、約10%〜約40%、約15%〜約20%、約15%〜約25%、約20%〜約25%、約20%〜30%、約25%〜約30%、約25%〜約35%、約30%〜約35%、約30%〜約40%、約35%〜約40%、約35%〜約45%、約40%〜約50%、約40%〜約45%、もしくは約45%〜約50%の間(両端を含む)である。ある種の実施形態において、上記経皮用キャリアは、有機性アルコールを含み、ここで上記有機性アルコールは、上記組成物中に1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、もしくは30重量%で存在する。ある種の実施形態において、上記組成物の基本成分ではない有機性アルコールは、プロピレングリコールである。
ある種の実施形態において、上記経皮用キャリア(もしくは組成物)は、透過増強剤をさらに含む。種々の透過増強剤は、当該分野で公知である(例えば、酵素、ラクタム、プロピレングリコール、アルコール(例えば、エタノールおよびプロパノール)、ポリオール、リモネン、テルペン、ジオキソラン、プロピレングリコール、エチレングリコール、他のグリコール、グリセロール、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびメチルドデシルスルホキシド)、エステル(例えば、ミリスチン酸/パルミチン酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、およびカプリン酸/カプリル酸トリグリセリド)、ケトン(例えば、2−アルキルシクロヘキサノン、t−ブチルシクロヘキサノン、および種々のC8誘導体);アミド(例えば、アセトアミド);オレエート(例えば、トリオレイン);種々の界面活性剤(例えば、Brij 96、Tweens(Atlas Chemical Company)、およびラウリル硫酸ナトリウム);種々のアルカン酸(例えば、カプリル酸);ラクタム化合物(lacta compound)(例えば、Azone);アルカノール(例えば、オレイルアルコール);ならびにこれらの混合物)。透過増強剤が上記活性成分の化学的安定性もしくは薬理学的作用を妨害せず、上記製剤の他の成分と有害に相互作用もしないことが理解される。ある種の実施形態において、上記経皮用キャリアは、透過増強剤として有用な、40%〜99%w/wの間のDMSOを含む。
いくつかの実施形態において、上記経皮用キャリア(もしくは組成物)は、粘性増強剤(ゲル化剤ともいわれる)をさらに含む。粘性増強剤は、本明細書で使用される場合、液体/固体混合物または溶液の粘性を増大させる物質である。例示的な粘性増強剤としては、グリセリン;セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース(MC);ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);カルボキシメチルセルロース(CMC);微結晶性セルロース(CC);エチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース(HEC);ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);セルロース);ゼラチン;デンプン;ヘタスターチ;ポロキサマー;プルロニック;CMCナトリウム;ソルビトール;アカシア;ポビドン;カルボポル;ポリカルボフィル;キトサン;アルギネート;キトサングルタメート;ヒアルロン酸;エラスチン;ヒアルロナン;マルトデキストリンDE;デオキシグリココレート(GDC);ポリメタクリル酸;グリコール(例えば、ポリメチレングリコール;ポリエチレングリコール);シクロデキストリン(例えば、スルホブチルエーテルB シクロデキストリン);タウロ−ジヒドロフシジン酸ナトリウム(STDHF);およびN−トリメチルキトサンクロリド(TMC)が挙げられるが、これらに限定されない。ある種の実施形態において、上記粘性増強剤は、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)である。ある種の実施形態において、上記組成物は、約0.5重量%〜約5重量%(両端を含む)、例えば、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%もしくは5重量%で粘性増強剤を含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、約1重量%で粘性増強剤を含む。
ある種の実施形態において、上記組成物は、ゲルである。
ある種の実施形態において、上記組成物は、約0.001重量%〜約0.1重量%の間(両端を含む);例えば、約0.002重量%、約0.004重量%、約0.006重量%、約0.008重量%、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.04重量%、約0.06重量%、約0.08重量%、もしくは約0.1重量%の酸化防止剤、例えば、αトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル(acorbyl palmitate)、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、および亜硫酸ナトリウムをさらに含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、約0.002重量%の酸化防止剤を含む。
ある種の実施形態において、上記組成物は、無水であり、0重量%〜約1重量%の間(両端を含む)の水を含む。しかし、ある種の実施形態において、上記組成物は、水を含む;例えば、例えば、水は、上記組成物に添加され、1%より多くの水を含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、約5重量%〜約30重量%の間(両端を含む)の水、例えば、約10重量%〜約25重量%の間(両端を含む)の水を含む。
本明細書で提供される組成物の説明は、主に、ヒトへの投与に適している組成物に関するが、このような組成物は一般に全ての種の動物への投与に適していることは、当業者によって理解される。ヒトへの投与に適した組成物を上記組成物を種々の動物への投与に適しているようにする改変は、十分に理解され、通常の技術を持った獣医薬理学者が、通常の実験でこのような改変を設計および/もしくは実施し得る。組成物の製剤および/もしくは製造における一般的考慮事項は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy第21版,Lippincott Williams & Wilkins,2005に見いだされ得る。
薬学的もしくは美容用のパックおよび/もしくはキットがさらになお、本発明によって包含される。提供される薬学的もしくは美容用のパックおよび/もしくはキットは、提供される組成物(すなわち、薬学的組成物もしくは美容用組成物)および容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、および/もしくは分与パッケージ、または他の適切な容器)を含み得る。いくつかの実施形態において、提供されるキットは、必要に応じて、被験体への投与の準備のために、提供される組成物を希釈もしくは懸濁するための適切な水溶性キャリアを含む第2の容器をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、提供される製剤容器および溶媒容器の内容物は、少なくとも1つの単位剤形を形成するために合わされる。
上記活性成分は、処置に有効な任意の量および任意の局所的投与経路を使用して投与され得る。必要とされる正確な量は、被験体の種、年齢、および全身状態、感染症の重篤度、具体的な組成物、その投与様式、その作用様式などに依存して、被験体間で変動する。
上記活性成分は、代表的には、投与の容易さおよび投与量の均一性のために、単位剤形で製剤化される。しかし、本発明の組成物の全体的な1日使用量は、信頼できる医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解される。任意の特定の被験体に対する具体的な治療上有効な用量レベルは、処置されている状態およびその状態の重篤度;使用される具体的活性成分の活性;使用される具体的組成物;被験体の年齢、体重、全身的な健康状態、性別および食餌;使用される具体的活性成分の投与時間、投与経路、および排出速度;処置の継続期間;使用される具体的活性成分と併用してもしくはこれと同時に使用される薬物を含む種々の要因;ならびに医療分野で周知の類似の要因に依存する。
所望の投与量は、1日3回、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、もしくは4週間ごとに送達され得る。ある種の実施形態において、所望の投与量は、複数回投与(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、もしくはより多くの投与)を使用して送達され得る。付随の実施例で示されるように、被験体への毎日の投与は、所望の効果を達成するために十分であり得る(しかし、必ずしも好ましいわけではない)。毎日の投与スケジュールは、ヒトでの使用に都合がよいと考えられる。上記活性成分は、被験体によって彼自身もしくは彼女自身に反復して、特別な器具も訓練もなしに投与され得るが、医療専門家もまた、上記被験体に活性成分を投与し得る。
ある種の実施形態において、1日1回またはより多く投与するための上記活性成分の治療上有効な量は、処置される皮膚1cm2あたり約0.00001mg〜約1000mg、1cm2あたり約0.0001mg〜約1000mg、1cm2あたり約0.001mg〜約1000mg、1cm2あたり約0.01mg〜約1000mg、1cm2あたり約0.1mg〜約1000mg、1cm2あたり約1mg〜約1000mg、1cm2あたり約1mg〜約100mg、1cm2あたり約1mg〜約10mg、1cm2あたり約10mg〜約1000mg、もしくは1cm2あたり約100mg〜約1000mgを含み得る。
ある種の経皮的実施形態において、1日1回またはより多く処置される予定の皮膚の面積は、約1cm2〜約10,000cm2、約1cm2〜約1,000cm2、約1cm2〜約100cm2、約1cm2〜約10cm2、約10cm2〜約100cm2、約10cm2〜約1,000cm2、約100cm2〜約1,000cm2、もしくは約1,000cm2〜約10,000cm2(両端を含む)を含み得る。
ある種の実施形態において、70kgの成人へ1日1回またはより多く投与するための上記活性成分の治療上有効な量は、単位剤形あたり約0.0001mg〜約3000mg、約0.0001mg〜約2000mg、約0.0001mg〜約1000mg、約0.001mg〜約1000mg、約0.01mg〜約1000mg、約0.1mg〜約1000mg、約1mg〜約1000mg、約1mg〜約100mg、約10mg〜約1000mg、もしくは約100mg〜約1000mg(両端を含む)の活性成分を含み得る。本明細書で記載されるとおりの投与範囲が成体への提供される薬学的組成物の投与のためのガイドラインを提供することは、認識される。例えば、小児もしくは青年に投与される予定の量は、医師もしくは当業者によって決定され得、成体に投与されるものより低いかもしくはそれと同じであり得る。
ある種の実施形態において、上記組成物は、被験体に対して、約0.0001重量%〜約5重量%の間(両端を含む)、例えば、約0.001重量%〜約2重量%の間、約0.01重量%〜約2重量%の間、約0.1重量%〜約2重量%の間、約0.5重量%〜約2重量%の間、約1重量%〜約3重量%の間、もしくは約3重量%約5重量%の間(両端を含む)のチアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを含む。
ある種の実施形態において、上記チアゾリジンジオンの濃度は、約0.001重量%〜約2重量%の間、約0.01重量%〜約2重量%の間、約0.1重量%〜約2重量%の間、約0.5重量%〜約2重量%の間、約1重量%〜約3重量%の間、もしくは約3重量%〜約5重量%の間(両端を含む)である。
ある種の実施形態において、上記食欲増進性プレグナン誘導体の濃度は、約0.001重量%〜約2重量%の間、約0.01重量%〜約2重量%の間、約0.1重量%〜約2重量%の間、約0.5重量%〜約2重量%の間、約1重量%〜約3重量%の間、もしくは約3重量%〜約5重量%の間(両端を含む)である。
種々の組成物が、本明細書でさらに企図される。
例えば、1つの例示的実施形態において、上記組成物は、チアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および1種または1種より多くの脂肪酸(例えば、オレイン酸)を含む経皮用キャリアを含み、ここで上記脂肪酸濃度は、上記組成物中の約1重量%〜約10重量%の間(両端を含む)である。ある種の実施形態において、上記経皮用キャリアは、1種または1種より多くの有機性アルコール(例えば、プロピレングリコールおよび/もしくはエタノール)をさらに含む。ある種の実施形態において、上記有機性アルコール濃度は、上記組成物中の約5重量%〜約99重量%(両端を含む)である。ある種の実施形態において、上記組成物は、上記組成物中の約0.1重量%〜約2重量%の間(両端を含む)のチアゾリジンジオンまたは食欲増進化合物を含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、透過増強剤をさらに含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、粘性増強剤をさらに含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、酸化防止剤をさらに含む。
例えば、1つの例示的実施形態において、上記組成物は、チアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および1種または1種より多くの有機性アルコール(例えば、プロピレングリコールおよび/もしくはエタノール)を含む経皮用キャリアを含み、ここで上記有機性アルコール濃度は、上記組成物中の約5重量%〜約99重量%の間(両端を含む)である。ある種の実施形態において、上記組成物は、1種または1種より多くの脂肪酸(例えば、オレイン酸)をさらに含み、ここで上記脂肪酸濃度は、上記組成物中の約1重量%〜約10重量%の間(両端を含む)である。ある種の実施形態において、上記組成物は、上記組成物中の約0.1重量%〜約2重量%の間(両端を含む)のチアゾリジンジオンまたは食欲増進化合物を含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、透過増強剤をさらに含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、粘性増強剤をさらに含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、酸化防止剤をさらに含む。
別の例示的実施形態において、上記組成物は、約0.1重量%〜約2重量%の間(両端を含む)のチアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、ならびに1種または1種より多くの脂肪酸(例えば、オレイン酸)、プロピレングリコールおよびエタノールを含む経皮用キャリアを含み、ここで上記脂肪酸の濃度は、上記組成物中の約1重量%〜約10重量%の間(両端を含む)であり、上記プロピレングリコールの濃度は、上記組成物中の約10重量%〜約40重量%の間(両端を含む)であり、上記エタノールの濃度は、上記組成物中の約50重量%〜約90重量%の間(両端を含む)である。ある種の実施形態において、上記組成物は、約0.5重量%〜約2重量%(両端を含む)の粘性増強剤をさらに含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、酸化防止剤をさらに含む。
別の例示的実施形態において、上記組成物は、約0.1重量%〜約1重量%の間(両端を含む)のチアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、ならびに脂肪酸(例えば、オレイン酸)、プロピレングリコール、およびエタノールを含む経皮用キャリアを含み、ここで上記脂肪酸の濃度は、上記組成物中の約1重量5〜約5重量%の間(両端を含む)であり、上記プロピレングリコールの濃度は、上記組成物中の約20重量%〜約40重量%の間(両端を含む)であり、上記エタノールの濃度は、上記組成物中の約60重量%〜約80重量%の間(両端を含む)である。ある種の実施形態において、上記組成物は、約0.5重量%〜約2重量%(両端を含む)の粘性増強剤をさらに含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、酸化防止剤をさらに含む。
さらに別の例示的実施形態において、上記組成物は、約0.1重量%〜約5重量%の間(両端を含む)のチアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、ならびにオレイン酸、プロピレングリコール、およびエタノールを含む経皮用キャリアを含み、ここで上記オレイン酸の濃度は、約3重量%(両端を含む)であり、上記プロピレングリコールの濃度は、約27重量%(両端を含む)であり、上記エタノールの濃度は、約65重量%〜約70重量%(両端を含む)である。ある種の実施形態において、上記組成物は、約0.5重量%〜約2重量%(両端を含む)の粘性増強剤をさらに含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、酸化防止剤をさらに含む。
さらに別の例示的実施形態において、上記組成物は、約0.1重量%〜約5重量%の間(両端を含む)のチアゾリジンジオンもしくは食欲増進化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、ならびにオレイン酸、プロピレングリコール、およびエタノールを含む経皮用キャリアを含み、ここで上記オレイン酸の濃度は、約3重量%であり、上記プロピレングリコールの濃度は、約27重量%であり、上記エタノールの濃度は、約40〜約60重量%(両端を含む)である。ある種の実施形態において、上記組成物は、約0.5重量%〜約2重量%(両端を含む)の粘性増強剤をさらに含む。ある種の実施形態において、上記組成物は、酸化防止剤をさらに含む。
上記活性成分が1種または1種より多くのさらなる治療上活性な薬剤(「薬剤」または「活性薬剤」)と併用して投与され得ることもまた、認識される。上記化合物もしくは組成物は、1種または1種より多くのさらなる薬剤と同時に、その前に、またはその後に投与され得る。一般に、上記活性成分および各さらなる活性薬剤は、上記成分および薬剤に関して決定された用量および/もしくは時間スケジュールで投与される。この組み合わせで利用される上記活性成分および活性薬剤は、単一組成物中で一緒に投与され得るか、または異なる組成物中で別個に投与され得ることがさらに認識される。レジメンにおいて使用する特定の組み合わせは、上記活性成分と上記活性薬剤との適合性および/または達成されるべき所望の治療効果を考慮に入れる。一般に、併用して利用されるさらなる活性薬剤は、それらが個々に利用されるレベルを超えないレベルで利用されると予測される。いくつかの実施形態において、併用して利用されるレベルは、個々に利用されるものより低い。上記活性成分は、バイオアベイラビリティーを改善し、代謝を低下および/もしくは変化させ、排出を阻害し、そして/または身体内での分布を変化させる活性薬剤と併用して投与され得る。使用される治療は、同じ障害に対して所望の効果を達成し得、そして/または異なる効果を達成し得ることもまた、認識される。
前述の記載に鑑みれば、以下に示される具体的な非限定的実施例は、例示目的に過ぎず、本発明の範囲を限定するとは如何様にも意図されない。
(実施例1)
無作為化対照試験を、C57BL/6Jで行った。約6週齢の雄性マウスを、群へと前向きに無作為化し、以下の処置条件に割り当てた(n=5 動物/群):
動物を、研究の開始時に側腹部にわたって剃毛し除毛した。
動物を同一条件で飼育し、標準化高脂肪食餌(70% kcal脂肪)を自由給餌とした。動物の体重を、毎週3回測定した。処置の24連続日後に、マウスを屠殺し、処置した側腹部の皮膚および近接の脂肪のサンプルを組織学試験のために採取した。
表2は、0日目から24日目までの群による平均体重増加をまとめる。ビヒクル群のマウスと比較すると、群2(ピオグリタゾン)および群4(酢酸メゲストロール)のマウスは、数値的により高い体重増加と関連した。
左右の側腹部の相対的皮膚層(skin fold)の厚さに注意して、24日目に動物を調べた。群1、3および5の動物は、対称に見えた。群2(ピオグリタゾン)および群4(酢酸メゲストロール)の動物は、非対称であり、未処置側腹部と比較して、処置側腹部の皮膚層はより厚かった。群2および群4で認められた非対称性の代表図を、図1に示す。動物の右(処置した)側腹部の皮膚層は、左(未処置の)側腹部の皮膚層(約2mm)より顕著に厚かった(約4mm)。図2に示されるように、皮膚層の厚さの肉眼による差異は、左(未処置の)側腹部に対して右(処置した)側腹部で脂肪がより厚いことによる、皮下脂肪厚の差異によって説明された。
(実施例2)
別個の研究を、実施例1の方法に従って行った。ここでは、動物の群をビヒクル、ロシグリタゾン 0.1重量%、もしくはロシグリタゾン 0.3重量%で処置した。有害反応は示されなかった。皮膚および皮下組織および筋肉を、研究の最後に集め、ホルマリン中で固定し、ヘマトキシリン・エオシンで染色し、鏡検し、デジタル方式で測定した。表3は、処置群による皮下脂肪の絶対厚および相対厚を、ならびにボディマスの相対的増加を示す。図3は、ビヒクルおよびロシグリタゾン 0.3%で処置した動物に由来する組織の代表的顕微鏡写真を示す。上記顕微鏡写真は、皮下脂肪厚の選択的局所的増大を示した。炎症などの有害反応は全く認められなかった。
従って、マウスでの前向き無作為化試験において、経皮的ロシグリタゾンは、十分に許容され、全身効果なしに、用量依存性の皮下脂肪の局所的増大を引き起こした。
(実施例3)
皮下脂肪を局所的に増大させるための組成物を、以下のように調製した:
ロシグリタゾンをエタノールに溶解した。プロピレングリコールおよびオレイン酸を添加し、得られた調製物を、徹底的に混合した。ヒドロキシプロピルセルロースを添加し、徹底的に混合して、最終ロシグリタゾン濃度約1%(w/w)の約100gのゲルを得た。
(実施例4)
前向き対照試験を4匹のGottingenミニブタ(雄性2匹、雌性2匹)で行った。背中の毛を刈った。各動物の右側に、四角形のロシグリタゾン処置領域(50cm
2)の印を付けた。2つの処置領域が解剖学的に等しくなるように、動物の左側に、等しいビヒクル処置領域の印を付けた。各ロシグリタゾン処置領域を、0.3mLの実施例3の組成物で毎日1回処置した;各ビヒクル処置領域を、0.3mLの対応するビヒクル(ロシグリタゾンなし)で毎日1回処置した。標準的な食餌を動物に与え、皮膚状態および全身的な健康状態について観察した。処置の42日後に、血漿中薬物動態(PK)を、液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法によって、全ての動物に関して評価した。剖検を行って、皮膚、皮下脂肪、および筋肉のサンプルを、対照された様式で、各所治療域からひとまとめにして集めた。サンプルをホルマリン中で固定し、ヘマトキシリン・エオシンで染色し、鏡検し、処置領域1つあたり6つの系統的に管理された位置(各位置は、反対側の処置領域にあるその対応物に対して正確に対側性である)においてデジタル方式で測定した。上記処置は、十分に許容され、皮膚刺激の証拠も他の臨床所見の証拠もなかった。図5は、代表的な組織の結果を示す(各スライドの上に皮膚がある;垂線は、真皮の深部面から筋肉の境界である皮筋層までの距離を示す)。皮下脂肪厚の増大は、それぞれの対照(C)と比較して、処置した組織(T)で明らかである。表5は、動物ごとに、6つの処置した位置および対照(ビヒクル)位置の各々に関する皮下脂肪厚を示す。経皮的ロシグリタゾンでの処置は、皮下脂肪の厚さの統計的に有意な48%の局所的増大と関連した(p<0.0001)。表6は、経皮投与後の血漿PK(本研究)と、ヒトにおける経口投与後の血漿PKとを比較する。経皮投与後のピーク血漿濃度および曝露は、無視できる程度、すなわち、経口(全身)治療に関するより約3400倍および1300倍低かった。従って、ヒトのものに類似の皮膚を有する大型哺乳動物では、実用の経皮的製剤中でのロシグリタゾンの毎日の投与は、いかなる明確な全身効果を伴わずに、皮下脂肪の局所的増大を引き起こした。さらに、全身薬物レベルは、薬理学的に無視できる程度であった。
p<0.0001(対応のあるt検定)
AUC
0−24=曲線下面積,0〜24時間
*ヒト均等物(平均ブタ体重14kg,ヒト換算係数=5)
** Chenら,Simultaneous determination and pharmacokinetic study of metformin and rosiglitazone in human plasma by HPLC−ESI−MS,J Chromatog Sci(2011)49:94−100。用量は、糖尿病を有する成人に関する代表的用量である。
(実施例5)
可能性のある経皮用製剤を同定するために、ロシグリタゾンの種々の製剤を用いて、エキソビボで新鮮なミニブタの皮膚に対して皮膚透過研究を行った。採取した皮膚を、標準的な(フランツ型)拡散セル装置に取り付けた。全ての試験物品は、0.1%(重量/重量)のロシグリタゾンを含んだ。各試験物品(8mg)を、0.8cm
2の皮膚面積に均一に塗布した。処置した皮膚は、大気に対して開放したままにして、臨床条件を摸倣した。レセプター流体を24時間連続して流し、画分単位で集めた。これら画分中のロシグリタゾンの量を、液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法によって決定した。以下の薬物量は、24時間にわたってレセプター流体から回収した:
LL=乳酸ラウリル,PG=プロピレングリコール
従って、エキソビボでの皮膚研究では、オレイン酸を含むロシグリタゾンの製剤は、他の製剤および公知のエンハンサー(Lipoderm(登録商標)、ブタンジオール、および乳酸ラウリルが挙げられる)の範囲と比較して、優れた薬物透過を提供した。
(実施例6)
以下の実験は、経皮投与したチアゾリジンジオンが、HIV脂肪異栄養症に罹っている、抗レトロウイルス治療を受けているHIV血清陽性患者の頬部における脂肪を増大させるかを試験するための、ヒト被験体における無作為化二重盲検研究を記載する。
HIV脂肪異栄養症および特徴的な顔面脂肪萎縮症を有する適格な被験体(例えば、n=40)を、無作為化二重盲検研究へと登録する。被験体を、1:1様式で無作為化して、ロシグリタゾン(例えば、経皮用ビヒクル中1%)、もしくはビヒクルのみのいずれかを与える。上記ビヒクルは、例えば、実施例3に従う。生成物には、ロシグリタゾンもしくはビヒクルの存在について表示しない。被験体には、1日に1回、頬部に1シリンジの内容物を塗布するように指示する。
一連の臨床検査および非侵襲的画像化を、研究開始時に、その後、1ヶ月間隔で行う。臨床検査に基づいて、脂肪萎縮症の程度を、1〜5のスケールでランク付けする。処置を3ヶ月間継続する。
ある期間の後、例えば、処置の3ヶ月後、ピオグリタゾンは、頬部脂肪の主観的および/もしくは客観的増大と関連づけられるのに対して、ビヒクルはそうではないと予期される。一連の非侵襲的画像化(例えば、超音波もしくはコンピューター断層撮影法)から、皮下脂肪厚の増大に起因して、頬部脂肪の増大が確認される。
(実施例7)
以下の記載は、顔面中部での増大のためのチアゾリジンジオンの経皮投与の臨床適用を例証する。
女性もしくは男性患者は、顔面中部増大処置を受けたがるが、手術のリスクを心配する。医師は、両乳房の皮膚へのロシグリタゾンの毎日の塗布(例えば、実施例3の組成物として)を処方する。
ある期間の後、例えば、3ヶ月の処置後、上記乳房は、臨床的により大きく見えると予期される。一連の非侵襲的画像化(例えば、超音波もしくはコンピューター断層撮影法)から、皮下脂肪厚の増大に起因して、乳房サイズの増大が確認される。
(実施例8)
以下の記載は、乳房での増大のためのチアゾリジンジオンの経皮投与の臨床適用を例証する。
女性もしくは男性患者は、乳房増大処置を受けたがるが、手術のリスクを心配する。医師は、両乳房の皮膚へのロシグリタゾンの毎日の塗布(例えば、実施例3の組成物として)を処方する。
ある期間の後、例えば、3ヶ月の処置後、上記乳房は、臨床的により大きく見えると予期される。一連の非侵襲的画像化(例えば、超音波もしくはコンピューター断層撮影法)から、皮下脂肪厚の増大に起因して、乳房サイズの増大が確認される。
(実施例9)
以下の記載は、臀部での増大のための食欲増進性プレグナン誘導体の経皮投与の臨床適用を例証する。
女性もしくは男性患者は、臀部増大処置を受けたがるが、手術のリスクを心配する。医師は、臀部への酢酸メゲストロール(例えば、Lipoderm(登録商標)中10mg/ml)の毎日の塗布を処方する。
ある期間の後、例えば、6ヶ月の処置後、臀部は、臨床的により大きく見えると予期される。一連の非侵襲的画像化(例えば、超音波もしくはコンピューター断層撮影法)から、皮下脂肪厚の増大に起因して、臀部サイズの増大が確認される。
(実施例10)
以下の記載は、皮膚の皺を減らすための本発明の適用を例証する。
女性もしくは男性の患者は、手の皮膚にある皺に悩まされている。医師は、両手背側の皮膚にロシグリタゾンの毎日の塗布(例えば、実施例3の組成物として)を処方する。
ある期間の後、例えば、3ヶ月の処置後、上記皮膚の皺は、臨床検査で少なくなっているように見えると予期される。一連の非侵襲的画像化(例えば、超音波)から、手背の皮下脂肪厚の増大が確認される。
(実施例11)
実施例4のプロトコルに従って研究を行う。ロシグリタゾンの濃度を、血漿中およびロシグリタゾン処置領域およびビヒクル処置領域からの脂肪中で(各々、重量/重量ベースで)決定する。ロシグリタゾン濃度は、ビヒクル処置領域由来の脂肪と比較すると、または血漿と比較すると、ロシグリタゾン処置領域由来の脂肪中で実質的に高いことが予測される。例えば、ロシグリタゾン処置領域由来の脂肪中のロシグリタゾン濃度は、ビヒクル処置領域由来の脂肪中よりも少なくとも100倍、もしくは少なくとも1000倍高いことが予測される。例えば、ロシグリタゾン処置領域由来の脂肪中のロシグリタゾン濃度は、血漿中におけるよりも少なくとも100倍もしくは少なくとも1000倍高いことも、予測される。
(他の実施形態)
特許請求の範囲において、「a(1つの、ある)」、「an(1つの、ある)」および「the(上記、この、その)」のような冠詞は、そうでないと示されなければ、もしくは状況からそうでないことが明らかにならなければ、1または1より多くを意味し得る。1つの群の1または1より多くのメンバーの間に「or(もしくは、または、あるいは)」を含む請求項もしくは説明は、そうでないと示されなければ、もしくは状況からそうでないことが明らかにならなければ、その群のメンバーのうちの1つ、1より多く、もしくは全てが、所定の生成物もしくはプロセスに存在するか、その中で使用されるか、または別の点でそれに関連するのであれば、満たされると考えられる。本発明は、その群のうちの正確に1つのメンバーが所定の生成物もしくはプロセスに存在するか、その中で使用されるか、または別の点でそれに関連する実施形態を含む。本発明は、その群のメンバーのうちの1より多く、もしくは全てが、所定の生成物もしくはプロセスに存在するか、その中で使用されるか、または別の点でそれに関連する実施形態を含む。
さらに、本発明は、列挙される請求項のうちの1または1より多くからの、1または1より多くの限定、要素、文節および説明の項目が、別の請求項に導入される、全てのバリエーション、組み合わせ(combination)、および変更(permutation)を包含する。例えば、1つの請求項に従属するいずれかの請求項は、同じ基礎となる請求項に従属するいずれかの他の請求項において見いだされる1または1より多くの限定を含むように改変され得る。要素が列挙として、例えば、マーカッシュグループ形式で示される場合、その要素の各サブグループもまた開示され、そしていずれの要素(単数または複数)も上記グループから除去され得る。一般に、本発明もしくは本発明の局面が、特定の要素および/もしくは特徴を含むといわれる場合、本発明もしくは本発明の局面のある種の実施形態が、そのような要素および/もしくは特徴からなるかもしくはこれらから本質的になることは、理解されるべきである。単純にする目的で、それらの実施形態は、本明細書ではそのとおりの言葉で具体的に示されてこなかった。用語「含む(comprising)」および「含む(containing)」は、開放系であると意図され、さらなる要素もしくは工程の包含を許容することもまた、留意される。範囲が与えられる場合、端点は含まれる。さらに、別段示されなければ、または状況および当業者の理解から別段明らかにならなければ、範囲として表される値は、状況から別段明確に示されなければ、その範囲の下限の単位の1/10まで、本発明の種々の実施形態において決められた範囲内の任意の具体的な値もしくは部分範囲を想定し得る。
本出願は、種々の発行された特許、公開特許出願、雑誌記事、および他の刊行物(これらの全ては、本明細書に参考として援用される)を参照する。援用の表示のいずれかと、本明細書との間に齟齬があれば、本明細書が優先するものとする。さらに、先行技術の範囲内に入る本発明の任意の特定の実施形態は、請求項のうちのいずれか1以上から明示的に除外され得る。このような実施形態は当業者に公知であるとみなされるので、それらはその除外が本明細書中で明示的に示されないとしても、除外され得る。本発明の任意の特定の実施形態は、先行技術の存在と関連しようがしまいが、何らかの理由でいずれかの請求項から除外される可能性がある。
当業者は、単に慣用的な実験を使用して、本明細書で記載される具体的実施形態の多くの均等物を認識するかまたは確かめ得る。本明細書で記載される本実施形態の範囲は、上記の説明に限定されるとは意図されず、むしろ添付の特許請求の範囲に示されるとおりである。当業者は、この説明に対する種々の変更および改変が、以下の特許請求の範囲で定義されるような、本発明の趣旨もしくは範囲から逸脱することなく、行われ得ることを認識する。