JP5877161B2 - クロストリジウム・ディフィシル感染を予防または抑制するための治療法 - Google Patents

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Description

本発明は、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染(CDI)の処置または抑制のための治療薬および対応する治療法に関する。
クロストリジウム・ディフィシル感染(CDI)は、現在、世界中の病院において大きな問題である。前記細菌は、院内の抗生物質関連疾病を引き起こし、これは軽度の自己限定的な下痢から生命を危うくする可能性のある重度の大腸炎までいくつかの形態で現れる。高齢の患者は、これらの生命を危うくする可能性のある疾病のリスクが最も高く、そしてCDIの事件は過去10年間において劇的に増加した。2007年に英国においてCDIの症例は50,000を超え、関連死は8,000を超えた。CDIにかかる国民健康保険の費用は1年につき5億ポンドを超える。
C.ディフィシルの種々の株は、多くの方法によって分類され得る。最も一般的に使用されるものの1つはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)リボタイピングであり、PCRを使用してC.ディフィシルの16S〜23S rRNA遺伝子の遺伝子間スペーサー領域を増幅する。これに由来する反応産物は、単離株の細菌リボタイプを同定する特徴的なバンドパターンを与える。毒素タイピングは別のタイピング法であり、C.ディフィシル毒素をコードするDNAに由来する制限酵素パターンを使用して株の毒素タイプを同定する。異なる株の毒素遺伝子間で観察される制限酵素パターンの差異もまた、C.ディフィシル毒素ファミリー内の配列変異を示す。毒素Bはいくつかの領域において配列変異を示す。例えば、毒素タイプ0の毒素BのC末端60kDa領域には、毒素タイプIIIの同じ領域と比較して、約13%の配列差異が存在する。
C.ディフィシル株は、多種多様な病原性因子を産生し、その中でも顕著なのは、いくつかのタンパク質毒素、すなわち、毒素A、毒素B、およびいくつかの株においては、Clostridium perfringensイオタ毒素に類似しているバイナリー毒素である。毒素Aは、感染の病態において役割を果たす巨大タンパク質の細胞毒/エンテロトキシンであり、そして腸内コロニー形成過程において影響を及ぼし得る。CDIの大流行は、毒素A陰性/毒素B陽性株によると報告されており、このことは、毒素Bもまた疾病の病態において重要な役割を果たし得ることを示す。毒素AおよびBの両方が、多段階の機序を介してその作用機序を発揮し、これは、細胞表面上のレセプターへの結合、内部移行、その後の転位そして細胞のサイトゾルへのエフェクタードメインの放出、並びに最後には細胞内作用を含む。毒素AおよびBの両方について、これはRhoファミリーの低分子量GTPaseファミリーの不活性化を含む。この不活性化のために、各々の毒素は、Rhoタンパク質のアミノ残基上へのグルコース部分(UDP−グルコースからの)の転移を触媒する。毒素AおよびBの両方がまた、システインプロテアーゼの形態で第2の酵素活性を含み、これは転位後のサイトゾルへのエフェクタードメインの放出において役割を果たすようである。C.ディフィシルバイナリー毒素は、NADからそのターゲットタンパク質上へのADP−リボース部分の転移を含む機序によって細胞のアクチンを修飾する。
C.ディフィシル感染の処置は、現在、抗生物質に依拠し、その中でメトロニダゾールおよびバンコマイシンが第1選択の処置である。しかしながら、これらの抗生物質は全ての場合において有効ではなく、患者の20〜30%は疾病の再発に苦しむ。大きな関心を寄せられているものの中に英国におけるより病原性の高い株の出現があり、これは2002年にカナダで初めて同定された。これらの株は、PCRリボタイプ027、毒素タイプIIIに属する株を含むが、これは以前に観察されたよりも3倍高い直接的に起因し得る死亡率でCDIを引き起こす。
それ故、新たな治療薬が特に緊急に必要とされる。なぜなら現在の抗生物質の効力が低下しているようであるからである。
従って、C.ディフィシル感染(CDI)に特異的に対処することのできる新たな治療/治療薬が当技術分野において必要である。この必要性は本発明によって対処され、これは前記の問題の1つ以上を解決する。
より詳細には、本発明の第1の局面は、CDIの予防または処置において経口使用するためのヒツジ抗体を提供する。前記の経口療法は、意外な効力および/または減少した副作用でもって、CDIの簡単な処置/予防/抑制を提供する。別の局面において、本発明は、CDIの予防または処置において経口使用するのに適した形態の、ヒツジ抗体を含む抗体組成物を提供する。1つの態様において、ヒツジ抗体はポリクローナル抗体である。
使用時に、本発明の抗体はC.ディフィシル毒素またはそのフラグメントに結合し、好ましくは前記毒素またはそのフラグメントの生物学的活性を中和する。従って、本発明の抗体は、CDIを予防または処置することができ、および/または好ましくは患者における再発を予防することもできる
本発明の抗体療法は、患者に対する最小限のまたは低い免疫原性効果を有しつつ、C.ディフィシルの1つ以上の毒素の生物学的作用を阻害することができる点で、他の治療法を上回る明瞭な利点を提供する。さらに、本発明の抗体を、非常に高い毒素中和力価で産生することができる。従って、ヒツジ抗体を容易に得ることができ、そして最小限の副作用でまたは全く副作用を伴わずにC.ディフィシルによって生じる病的作用に対して患者を保護することができる。本発明の抗体はまた、CDIの発症を予防するために予防的に使用され得る。
本発明の主要なターゲットは、C.ディフィシル毒素またはそのフラグメントである。本発明の抗体が結合および/または中和し得る適切なC.ディフィシル毒素は、CDIまたはその症状を引き起こすかまたはそれに関連した任意のC.ディフィシル毒素を含む。さらなる態様において、本発明の抗体は、以下:C.ディフィシル毒素Aまたはそのフラグメント、C.ディフィシル毒素Bまたはそのフラグメント、およびC.ディフィシルバイナリー毒素またはそのフラグメントから選択された1つ以上のタイプのC.ディフィシル毒素に結合および/または中和する。
従って、1つの態様において、本発明の抗体組成物は、C.ディフィシル毒素A(またはそのフラグメント)に結合および/または中和するヒツジ抗体を含む。別の態様において、本発明の抗体組成物は、C.ディフィシル毒素B(またはそのフラグメント)に結合および/または中和するヒツジ抗体を含む。さらに別の態様において、本発明の抗体組成物は、C.ディフィシルバイナリー毒素(またはそのフラグメント)に結合および/または中和するヒツジ抗体を含む。
別の態様において、本発明の抗体組成物は、C.ディフィシル毒素A(またはそのフラグメント)およびC.ディフィシル毒素B(またはそのフラグメント)に結合および/または中和するヒツジ抗体を含む。別の態様において、本発明の抗体組成物は、C.ディフィシル毒素A(またはそのフラグメント)およびC.ディフィシルバイナリー毒素(またはそのフラグメント)に結合および/または中和するヒツジ抗体を含む。さらに別の態様において、本発明の抗体組成物は、C.ディフィシル毒素B(またはそのフラグメント)およびC.ディフィシルバイナリー毒素(またはそのフラグメント)に結合および/または中和するヒツジ抗体を含む。
本発明の抗体組成物はまた、C.ディフィシル毒素A(またはそのフラグメント)、C.ディフィシル毒素B(またはそのフラグメント)およびC.ディフィシルバイナリー毒素(またはそのフラグメント)に結合および/または中和するヒツジ抗体も含み得る。
本発明の抗体は、毒素の特異的なエピトープと相互作用する。例えば、抗体は、C.ディフィシル毒素AのN末端ドメイン(例えばアミノ酸1〜957)または中間領域ドメイン(例えばアミノ酸958〜1831)またはC末端反復ドメイン(例えばアミノ酸1832〜2710)におけるエピトープと結合することができる。例えば、抗体は、C.ディフィシル毒素Aのアミノ酸1832〜2710内のエピトープに結合し得る。同様に、抗体は、毒素BのN末端ドメイン(例えばアミノ酸1〜955)または中間領域ドメイン(例えばアミノ酸956〜1831)またはC末端反復ドメイン(例えばアミノ酸1832〜2366)におけるエピトープと結合することができる。例えば、抗体は、毒素Bのアミノ酸1832〜2366内のエピトープに結合し得る。バイナリー毒素の場合、抗体は、触媒ドメイン(フラグメントA)、またはフラグメントBのC末端部分(およそ残基400〜870)に存在するレセプター結合ドメイン;および/またはフラグメントAとの結合およびフラグメントAの細胞中への転位に関与するフラグメントBのN末端半分(およそ残基1〜400)に結合し得る。
1つの態様において、C.ディフィシル毒素は、毒素タイプ0からXVまでの1つから選択される。好ましい毒素タイプ(それに加えてリボタイプおよび株の例)を、すぐ下の表に列挙する。列挙された毒素タイプは純粋に例示的なものであり、そして本発明を限定するものではない。
Figure 0005877161
本発明の種々の抗体が、同じまたは異なるC.ディフィシル株に由来するC.ディフィシル毒素に結合および/または中和し得る。例えば、抗体は、以下:C.ディフィシル毒素A−毒素タイプ0;C.ディフィシル毒素B−毒素タイプ0;C.ディフィシル毒素A−毒素タイプIII;C.ディフィシル毒素B−毒素タイプIII;C.ディフィシル毒素A−毒素タイプV;および/またはC.ディフィシル毒素B−毒素タイプVの1つ以上に結合および/または中和し得る。好ましくは、これらの毒素タイプの全てまたは殆どに由来する毒素AおよびBに結合および/または中和する、抗体の混合物が使用される。本発明の抗体は、前記のC.ディフィシル毒素Aおよび/またはC.ディフィシル毒素Bおよび/またはC.ディフィシルバイナリー毒素の株のN末端ドメイン、中間領域ドメインおよび/またはC末端反復ドメインにおけるエピトープと結合し得る。
特定の態様において、本発明の抗体は、配列番号1〜6またはそのフラグメントに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%またはそれ以上同一なアミノ酸配列を含む、少なくとも1つのC.ディフィシル毒素に結合および/または中和し得る。
本発明はまた、CDIの予防または処置のための対応する方法を包含し、前記方法は、本発明の抗体組成物を患者に経口投与することを含む。患者は、C.ディフィシルに感染し得るか、あるいはC.ディフィシルの症状(例えば、軽度の自己限定的な下痢、腹痛、発熱および食欲不振から、偽膜性大腸炎および細胞中毒性巨大結腸症などの生命を危うくする容態まで)を有し得るか、あるいはC.ディフィシル感染への素因を有し得る(例えば抗生物質の処置を受けている、C.ディフィシルに罹患したことがあり再発のリスクがある、またはC.ディフィシル感染に関連した臨床症状を示す第2の個体にさらされたことがある)。本発明は、そのため、CDI(またはその症状)を予防、抑制または処置するための効果的な手段を提供する。
1つの態様において、前記のCDI処置法は、C.ディフィシルに感染するかまたはCDIの症状を患う患者に、本発明の抗体組成物を経口投与することを含む。これは、治療有効量の抗体を使用して達成することができる。このような投与は、長期間におよぶ、本発明の抗体組成物の反復投与によって行ない得る。前記組成物の抗体成分は同じでもまたは異なっていてもよく(その毒素タイプ特異性および/またはC.ディフィシル毒素上のターゲティングする結合領域もしくはエピトープに関して)、そして投与は同時でもまたは連続的でもよく、そして任意の順序で行なうことができる。
別の態様において、前記のCDI予防法は、患者に本発明の抗体組成物を経口投与して、CDIに対する受動免疫を与えることを含む。これは、CDIの発症前またはCDIの非常に早期の段階で予防有効量の抗体を使用して達成することができる。このような投与は、長期間におよぶ、本発明の抗体組成物の反復投与によって行ない得る。前記組成物の抗体成分は同じでもまたは異なっていてもよく(その毒素タイプ特異性および/またはC.ディフィシル毒素上のターゲティングする結合領域もしくはエピトープに関して)、そして投与は同時でもまたは連続的でもよく、そして任意の順序で行なうことができる。
別の態様において、前記のCDI処置法は、抗体を全身投与し(例えば1日1回もしくは2回、または3〜4日間毎に1回もしくは2回もしくは3回もしくは4回;典型的には1〜2週間の短い期間)、その後、より長い期間におよぶ抗体の経口投与(例えば1日1回もしくは2回もしくは3回もしくは4回もしくは5回もしくは6回、または3〜4日間毎に1回もしくは2回もしくは3回もしくは4回もしくは5回もしくは6回、または1週間あたり1回もしくは2回もしくは3回もしくは4回もしくは5回もしくは6回)を含む。この態様において、全身に投与される抗体はその経路に適した製剤として提供され、そして経口投与される抗体は本発明の組成物の形態で提供される。このような投与は、全身経路を介した1回以上の抗体の投与の後に、より長い期間におよぶ本発明の抗体組成物の反復経口投与が行なわれることによってなされ得る。前記組成物の抗体成分は同じでもまたは異なっていてもよい(その毒素タイプ特異性および/またはC.ディフィシル毒素上のターゲティングする結合領域もしくはエピトープに関して)。
別の態様において、前記の経口投与は、対応する前記抗体の全身投与より前または同時に実施され得る。当然ながら、全身投与される場合、抗体はそれに応じて製剤化される(例えばこのような製剤は、典型的には、等張水性製剤として提供され、そして胃酸または胃内酵素、例えばトリプシンおよび/またはキモトリプシンに対する保護のための手段を必要としない)。
1つの態様において、処置または保護しようとする被験体は、以下のカテゴリー;入院している;65または70歳を超えている;広域スペクトルの抗生物質を投与されている;以前にCDIの病歴/感染を有する;症候性CDI患者の近くにいる;軽度から中程度の疾病重度を有する;無症候性として提示されているが、再発のリスクが高いと考えられている(例えば1回以上の再発エピソードのため);CDI大流行の地域または患者の近くにいる、の1つ以上の被験体である。
抗体調製
ヒツジ抗体は、ヒツジにおいて生じた抗体である。従って、本発明は、本発明の抗体組成物において使用するためのヒツジ抗体の産生法を含み、前記方法は、一般に、(i)C.ディフィシル毒素またはそのフラグメントを含む免疫原をヒツジに投与する工程、(ii)ヒツジにおける抗体の生成のために十分な時間をかける工程、そして(iii)ヒツジから抗体を得る工程を含む。本明細書において使用したヒツジは、Ovis属(例えば、Ovis ammon, Ovis orientalis aries, Ovis orientalis orientalis, Ovis orientalis vignei, Ovis Canadensis, Ovis dalli, Ovis nivicola)内に該当する任意の種を含む。
本発明はまた、本発明の経口抗体組成物において使用するためのヒツジ抗体の産生法を含み、ヒツジ抗体は、C.ディフィシル毒素またはそのフラグメント(好ましくは、完全長の天然毒素と抗原性の交差反応性を有するおよび/または完全長の天然毒素の毒素活性または毒素様活性を保持するフラグメント)を含む免疫原に応答してヒツジによって誘起される。
抗体は、ヒツジの血清から得ることができる。従って、手順は、C.ディフィシル毒素に結合および中和することのできる抗体を含むヒツジ抗血清を生じさせる。さらなる態様において、抗体は単離および/または精製される。従って、本発明の別の局面は、ヒツジ抗血清からの抗体の精製を含む。
1つの態様において、本発明の抗体を生成するために使用される免疫原はC.ディフィシル毒素またはそのフラグメントであり、これは場合により精製されている。適切なC.ディフィシル毒素は、CDIまたはその症状を引き起こすかそれに関連した任意のC.ディフィシル毒素を含む。さらなる態様において、毒素は、以下の毒素:C.ディフィシル毒素Aまたはそのフラグメント、C.ディフィシル毒素Bまたはそのフラグメント、およびC.ディフィシルバイナリー毒素またはそのフラグメント、の少なくとも1つから選択される。C.ディフィシル毒素はまた、本明細書において前記したような毒素タイプ0からXVの1つから選択された毒素であり得る。
精製されたC.ディフィシル毒素の産生を実施例において例示する。特定の態様において、免疫原はC.ディフィシル毒素変異体である。別の態様において、免疫原は、配列番号1〜6またはそのフラグメントに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%またはそれ以上同一なアミノ酸配列を含む。
本発明の抗体を生成するために使用される免疫原はまた、部分的または完全に不活性化され得、すなわち、低下した毒性を有する。改変の例は、化学的処理(例えばUDP−ジアルデヒド、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、過酸化物または酸素を用いての処理)および組換え法(例えば毒素における欠失または突然変異)を含む。例えば、免疫原は、ホルムアルデヒドを用いての処理によって天然の毒素から誘導されたC.ディフィシルトキソイドまたはそのフラグメントであり得る。あるいは、組換えトキソイドは、部位特異的突然変異誘発によって活性部位モチーフを選択的に不活性化することによって生成され得る。毒素AおよびBの毒性作用を低下または除去する部位特異的突然変異誘発の一例は、毒素のN末端ドメインにおけるDXDモチーフの改変である。アスパラギン酸および/または他の残基を例えばアラニンに突然変異させて、毒素AおよびBのいずれかの生物学的活性を減少させることができる。例えば、毒素Aでは、以下のアミノ酸の1つ以上を突然変異させることができる:Asp269、Asp285、Asp287、Asn383、Trp519、Tyr283、Arg272。毒素Bでは、以下のアミノ酸の1つ以上を突然変異させることができる:Asp270、Asp286、Asp288、Asn384、Trp520、Tyr284、Arg273。
抗原をアジュバントと共に製剤化し得る。適切なアジュバントは、ヒトにおいて広範に使用されるミョウバン(リン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウム)、並びに他のアジュバント、例えばサポニンおよびその精製成分のQuil A、フロイント完全および不完全アジュバント、RIBBIアジュバント、並びに研究および獣医学的な適用に使用される他のアジュバントを含み得る。
C.ディフィシル毒素またはトキソイドを免疫原として、別々にまたは組み合わせて、同時にまたは連続的にのいずれかで使用して、個々のC.ディフィシル毒素または組合せに特異的な抗体を産生し得る。例えば、2つ以上の毒素またはトキソイドを一緒に混合し、そして単一の免疫原として使用し得る。あるいは、C.ディフィシル毒素(例えばC.ディフィシル毒素A)を別々に第1の免疫原として第1のヒツジに使用し得、そして別のC.ディフィシル毒素(例えばC.ディフィシル毒素B)を別々に第2のヒツジに使用し得る。別々の免疫化によって産生された抗体を合わせて、C.ディフィシル毒素に対して向けられる抗体組成物を得ることができる。
本発明の経口送達の局面が、別々のまたは追加的な治療成分(例えば非経口療法/治療薬)を含む場合、後者は慣用的な手段によって製剤化され、非経口療法の例は、皮下、筋肉内、腹腔内および静脈内を含む、任意の非経口経路を介した本発明の抗体または抗体群の投与を含む。
前記方法は、皮下、筋肉内、腹腔内および静脈内を含む、全ての免疫化形態(すなわち本発明の抗体を生成するための)を含む。本発明はまた、多種多様な免疫化計画を考える。1つの態様において、ヒツジまたはヤギは毒素(群)を0日目に投与され、そして続いてその後は間隔をおいて毒素(群)を受ける。必要とされる間隔の範囲および投与量の範囲は、免疫原の正にその性質、投与経路、製剤の性質、および担当者の判断に依存することが理解される。これらの投与量レベルの変更を、最適化のための標準的で経験的な慣行を使用して調整することができる。同様に、本発明は、抗体を回収するための任意の特定の計画に限定されるものではない。好ましい回収時は、56日目以後のいつかである。特異的抗体のレベル、すなわち免疫原に結合する抗体のレベルは、血清1リットルあたり少なくとも3gを示す。
本発明の抗体は、必要に応じて回収後に改変され得、よって特定の場合においては、本発明の抗体は、それらが投与された患者において、より免疫原性が低い。例えば、患者がヒトである場合、抗体は、当技術分野において周知の方法によって非種特異化され得る。抗体をどのようにより免疫原性を低くし得るかに関する一例は、(Fab)フラグメントの調製である。本発明の抗体を使用して、このような抗体フラグメントを産生し得、このために種々の技術が開発されている。例えば、フラグメントは、インタクトな抗体のタンパク質分解的消化によって誘導され得る。その産生のための他の技術は当業者には明らかであろう。
抗体製剤および送達
使用時に、本発明は、経口投与に適した形態で本発明の抗体組成物を含む薬学的組成物を使用する。精製されたインタクトな抗体またはそのフラグメントは、このような送達のために製剤化される。例えば、抗体またはそのフラグメントは、5〜50または15〜50または25〜50g/リットルの濃度で、緩衝液中で製剤化され得る。適切な緩衝液の成分の例としては、生理的塩、例えばクエン酸ナトリウムおよび/またはクエン酸が挙げられる。好ましい緩衝液は、100〜200または125〜175または約150(例えば153)mMの生理的塩、例えば塩化ナトリウムを含む。
本発明の抗体組成物は経口送達のために製剤化される。経口送達での重要な問題は、十分な抗体が、必要とされる場所である大腸に確実に到達することである。これに関して、腸に抗体の最適量が到達するのを阻害し得る因子としては、抗体分子を分解する、消化器分泌物中に存在するタンパク質分解酵素、並びにまた、いくつかの場合においては消化管の下方への液体の移動を妨げる麻痺性イレウスおよび他の合併症を引き起こし得るCDIそれ自体の作用が挙げられる。従って、本発明の好ましい態様において、抗体組成物は、消化酵素(例えば胃内酵素)および環境(例えば胃酸)の望ましくない作用を打ち消す/減少させるための手段の取り込みによって製剤化される。ここに前記手段の多種多様な態様を非制限的に記載する。前記態様の各々は単独でまたは互いに組み合わせて使用され得る。当業者に公知のさらなる手段が本発明の内容に含まれ、そして単独でまたは以下の態様のいずれかと組み合わせて使用され得る。
本発明の経口抗体製剤/組成物は、1つ以上のトリプシン阻害剤(例えばトリプシン−1および/またはトリプシン−2の阻害剤)および/またはキモトリプシン阻害剤(例えばキモトリプシンBの阻害剤)を含み得る。1つの態様において、前記阻害剤は巨大分子阻害剤(例えば少なくとも5kDaの分子量を有する巨大分子阻害剤)、例えばポリペプチドをベースとした阻害剤である。例えば、前記阻害剤(群)はポリペプチドループを含み得、このループがトリプシンまたはキモトリプシンのいずれかによって切断されると、前記阻害剤が非常に強力にプロテアーゼに結合して、トリプシンおよび/またはキモトリプシンのさらなる作用を阻害する。これに関して1つの好ましい阻害剤は、簡便には、卵白(アルブミン)の形態で提供され得る。あるいは(または加えて)、その活性成分(オボムコイドおよびオボスタチン/オボマクログロブリン)を使用し得る。別の例はダイズトリプシン阻害剤である。
1つの態様において、阻害剤カクテルは、簡便には、初乳(例えばウシ)の形態で提供され得る。あるいは(または加えて)、その活性成分(群)が使用され得る。初乳はヒツジ抗体と容易に配合され得、適切な経口投与製剤を与える。
1つの態様において、トリプシン阻害剤は、トリプシノーゲンからトリプシンへの変換を妨げ、よってトリプシンによる消化に対してそれ自体を保護する、膵外分泌部において天然に合成される低分子量タンパク質(例えば分子量5〜25kDa)である。膵トリプシン阻害剤は、トリプシンの活性部位に競合的に結合し、そして非常に低い濃度でそれを不活性化する。本発明において使用するために適したトリプシン阻害剤の例としては、天然に産生されたおよび組換え産生された分子、例えば以下が挙げられる。
Figure 0005877161
天然の膵トリプシン阻害剤は腺房細胞によって産生され、そして偶発的なトリプシノーゲン活性化およびそれに続く抑制のきかないタンパク質分解に対して安全を提供する。例えば、細胞内塩基性トリプシン阻害剤(BPTI)は初めて1936年にKunitzおよびNorthropによって結晶化された。塩基性膵トリプシン阻害剤(BPTI)は、pH3〜10でウシトリプシンと、およびまたヒトトリプシンとも非常に安定な1:1の複合体を形成する。キモトリプシンもBPTIによって阻害される。Kunitz (1945)によって初めて結晶化されたダイズトリプシン阻害剤(SBTI)は、ダイズに見られるいくつかのトリプシン阻害剤の1つである。最もよく知られる調製物はKunitzのものである(分子量21,500±800;等電点:4.5)。Kunitzダイズ阻害剤は、2つのジスルフィド橋によって架橋された単一のポリペプチド鎖からなり、そして1モル対1モルでトリプシンを阻害し、そしてより低い程度でキモトリプシンも阻害する。オボムコイド(分子量28,500±3,500)は、トリ卵白の糖タンパク質プロテアーゼ阻害剤であり、そしてウシトリプシンおよびキモトリプシンに対して作用する。ライマメトリプシン阻害剤(LBI)は、等モルの複合体を形成することによってトリプシンおよびキモトリプシンの両方に対して作用する。トリプシン感受性結合部位はlys−serペプチド結合であり、一方、キモトリプシン作用部位はleu−ser結合である(Krahn and Stevens 1970)。ライマメトリプシン阻害剤(分子量8,000〜10,000)はクロマトグラフィーにより6つもの変異体へと分離され得る。全てが、類似しているが同一ではないアミノ酸組成を有し、6または7つのジスルフィド結合を含み、そしてメチオニンおよびトリプトファンを欠いている。
さらなる例として、ボウマン・バークプロテアーゼ阻害剤は、ダイズおよび一連のマメ科植物によって産生される一群のキモトリプシンおよびトリプシン阻害剤である。それらはヒトに対して無毒性で良好な耐容性を示す、7〜10kdaの低分子量のジスルフィドに富んだタンパク質である。極端なpHに対して極めて安定であるキモトリプシンペプチド阻害剤がカメの卵白に存在する。これらの低分子量ペプチド阻害剤(約13kDa)はキモトリプシンと安定な複合体を形成する(Guha et al (1984) J. Bioscience 6: 155-163)。
1つの態様において、トリプシンおよび/またはキモトリプシン阻害剤(群)成分は、トリプシンおよび/またはキモトリプシンに結合し(例えば特異的に結合し)、そしてその酵素活性を不活性化する抗体(そのフラグメントを含む)であり得る。このような抗体をベースとした阻害剤は、前記の抗体をベースとしない阻害剤の代替としてまたはそれに加えて使用され得る。従って、抗体をベースとした阻害剤と非抗体阻害剤との阻害剤の組合せを使用し得る。例えば、非抗体阻害剤(例えばオボムコイド)を抗体阻害剤と組み合わせて使用し得、前記抗体はキモトリプシン(および/またはトリプシン)を阻害する。同様に、非抗体キモトリプシン阻害剤を抗体阻害剤と組合せて使用し得、前記抗体はトリプシン(および/またはキモトリプシン)を阻害する。このような抗体は慣用的に調製され得る(例えば実施例10参照)。
前記のトリプシンおよび/またはキモトリプシン阻害剤(群)を、抗体成分より前、同時、またはその後に経口投与し得る。1つの態様において、阻害剤(群)は抗体成分より前または同時に投与される。
1つの態様において、本発明の経口抗体製剤は、制酸成分を含み得る。使用時に、前記の制酸成分は、患者に存在する高度に酸性の胃内環境から抗体成分を保護することを助ける。
制酸剤は、胃の酸性度を打ち消す任意の物質、一般的には塩基または塩基性塩である。別の言葉で言えば、制酸剤は、限られた時間で、胃内のpHを理想的にはpH4.0より上に上昇させる胃酸中和剤である。制酸剤は中和反応を行ない、すなわちそれらは胃酸を緩衝してpHを上昇させ、胃内の酸性度を減少させる。
本発明において使用するための適切な制酸剤の例としては、水酸化アルミニウム(例えばAmphojel、AlternaGEL);水酸化マグネシウム(例えばPhillips' Milk of Magnesia);水酸化マグネシウムを含む水酸化アルミニウム(例えばマーロックス、ミランタ、Diovol);炭酸アルミニウムゲル(例えばBasaljel);炭酸カルシウム(例えばAlcalak、TUMS、Quick-Eze、Rennie、Titralac、Rolaids);重炭酸ナトリウム(例えば重炭酸ソーダ、Alka-Seltzer);炭酸マグネシウム;三ケイ酸マグネシウム;ヒドロタルサイト(例えばMgAl(CO)(OH)16・4(HO);Talcid);次サリチル酸ビスマス(例えばPepto-Bismol);アルギネート(例えばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸);シメチコンを含むマガルドレート(例えばPepsil);シメチコンと前記のいずれかの組合せ、例えばAsilone(これは3つの有効成分、すなわち水酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウム(酸を中和して疼痛の原因を除去する)およびジメチコンを有する)などが挙げられる。
前記の製剤成分に加えて(または代替的に)、前記組成物は、活性抗体が最終的に腸の作用部位(例えば大腸)に送達されるように、胃の酸性環境から抗体を保護するための物理的および/または化学的手段を含み得る。
例えば、抗体はカプセル化され得るか(例えばペレット、顆粒状マトリックス、ビーズ、ミクロスフィア、ナノ粒子またはリポソーム)、および/または化学的に保護され得る(例えばPEG化)。
本発明において使用するに適した慣用的なカプセル化技術としては以下が挙げられる:
Figure 0005877161
末端回腸および大腸(上行結腸を除く)におけるpHは消化管のあらゆる他の領域よりも高い。従って、高いpHレベルで優先的に崩壊する剤形が、この領域への部位特異的送達には最適である。pH依存性で多重粒子状の大腸特異的送達システムを設計するための最も簡単なアプローチの1つは腸溶性コーティング顆粒である。腸溶性コーティングは、上部消化管での薬物放出を妨げるために伝統的に使用されている。腸溶性コーティングポリマーは、結合剤としておよび顆粒のためのコーティング材料としての両方として使用され得る。コーティングおよび/または錠剤マトリックスへのクエン酸の取り込みは、酸の存在に因るコア系の崩壊時間の延長のために、in vitroにおける放出およびin vivoにおける吸収を遅延させることを助ける。経口送達のために最も一般的に使用されるpH依存性コーティングポリマーはメタクリル酸コポリマー、すなわちEudragit L100およびEudragit S 100であり、これはそれぞれpH6.0および7.0で溶解する。種々の比でのこれらの2つのポリマーの組合せは、6.0〜7.0のpH範囲内での薬物放出を操作することを可能とする。これらのポリマーを含むカプセルはポリメタクリレート溶液でさらにコーティングされ得る。
同様に、コーティング材料としての酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース水およびpH調節剤としてのクエン酸などの賦形剤を加え得る。グリセリルパルミトステアレートを、放出制御マトリックスを製剤化するための遅延材料として使用し得る。
コーティング製剤(例えばEudragit S100)をキトサンHClの層でさらに覆い得る。水和時に、カプセルの殻が溶解し、そしてキトサン層がゲルを形成し(内部pH4.5)、これによりEudragitフィルムの周りに酸性の環境が生じ、よって上行結腸中では溶解しない。上行結腸では、キトサンHClゲルは腸の細菌叢によって分解し、これによりEudragitフィルムは腸の環境にさらされる。しかし上行結腸は弱酸性でありpHは7.0未満であるので、フィルムコートは依然として未変化である。しかしながら、pHが7を超える下行結腸に到達すると、Eudragitフィルムコートは溶解し、そして薬物がマトリックスから制御されて放出される。多層コートを、例えば、内部コート(Eudragit RL/RSの組合せ)および外部コート(Eudragit FS 30D)に基づいて使用し得る。Eudragit FS 30Dは、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸のイオン性コポリマーであり、そしてpH感受性であり、そして6.5を超えるpHで溶解する。
微生物により制御される送達システムも使用し得、これは大腸の細菌叢の独特な酵素能に依拠する。このタイプの送達システムは、消化管に沿ったpH変化に関係なく、より特異的なターゲティングを可能とする。多くの天然の多糖、例えば硫酸コンドロイチン、ペクチン、デキストラン、グアーガムなどを使用し得る。ヒドロゲルビーズ(キトサンおよびトリポリリン酸(TPP))を含む多粒子システムが1つの選択肢であり、TPPは正に荷電したキトサンに対する対イオンとして作用して、ゲルビーズを形成する。ビーズに、消化管の上部で分解されやすいタンパク質であるウシ血清アルブミン(BSA)をローディングし、そしてキトサンとTPPの架橋によりキトサンの溶解度が減少し、これにより上部消化管を移行する間にタンパク質(抗体)の放出がより少なくなる。アミロースは特に良好なフィルム形成ポリマー(ゲル化を介して)であり、そしてEudragit RS/RL 30D水性分散液と混合され得る。同様に、二価カチオン(例えばカルシウムまたは亜鉛)と強固なゲルを形成するアミド化低級メトキシペクチンを使用して、大腸への送達のためのカルシウムペクチネートゲルビーズを産生し得る。ペクチンはカルシウム塩と配合され得、ペクチン酸カルシウム(ペクチンの不溶性塩)は、胃内酵素または腸内酵素によって分解されないが、大腸のペクチン分解酵素によって分解され得る。可溶性多糖の架橋により不溶性塩を形成する代替として、多糖をベースとしたシステムをpH感受性ポリマーでコーティングし得る。例えば、キトサンミクロコアを調製し得、そしてアクリル酸ポリマー、例えばEudragit L100およびEudragit S100でぞれぞれコーティングし得る。Eudragit P-4135Fは、適切なpH感受性ポリマーのさらなる例を示し、これは大腸への送達のための微粒子を調製するのに使用され得る。
pH感受性送達および大腸内環境における生分解を合わせた、多粒子システムを使用し得る。例えば、キトサンミクロコアの内部封入マトリックスを噴霧乾燥などの技術を使用して調製し得、その後、油中油溶媒蒸発などの技術によってEudragitポリマー内にマイクロカプセル化されたキトサンミクロコアを適用し得る。適切なpHで外部Eudragitコートを溶解すると、さらされたキトサンミクロコアは膨潤し、そしてアルカリpHでゲルバリアを形成し、そして大腸領域において、キトサンは分解を受け、これにより放出は増強される。類似の大腸送達多粒子システムは、Eudragit L100またはS100でコーティングされたキトサンミクロスフィアに基づき得る。適切な調製技術としてはエマルション溶媒蒸発が挙げられる。キトサンはグルタルアルデヒドと架橋され得る。
ポリアクリレートは、本発明において使用するのに適した送達ビヒクルのさらなる例を示す。例えば、二官能基のアゾ化合物と架橋したスチレンおよびヒドロキシエチルメタクリレートのターポリマーを使用し得る。前記システムは、大腸の細菌叢によるアゾ結合の開裂、その結果、ポリマーが分解することに依存する。同様に、pH応答性ポリ(メタクリル−g−エチレングリコール)ヒドロゲルを経口送達ビヒクルとして使用し得る。一旦、小腸の塩基性および中性環境に入ると、ゲルは急速に膨潤し、そして解離する。
別の態様において、マイクロカプセル製剤は、経口による大腸特異的送達のために使用され得る。より詳細には、例えばエマルション重合技術(群)によって合成されたような、エチルアクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(ポリ(EA/MME/HEMA))の水性コロイド状ターポリマーを使用し得る。これらのポリマーは、長い遅れ時間およびその後の封入された部分の急速な放出によって特徴付けられた、遅延放出プロファイルを示す。
別の態様において、経口投与されたナノ粒子が、適切な送達ビヒクルとして作用し得る。例えば、ローディングされたナノ粒子はpH感受性ミクロスフィアに封入され得、このミクロスフィアは取り込まれたナノ粒子を所望の大腸の作用部位に送達するように作用する。ナノ粒子は、大きな特異的な表面を有し、これは生物学的表面との高い相互作用能を示す。従って、ナノ粒子を種々の分子と結合させることによって生物接着を誘導することができる。例えば、ナノ粒子は、小麦グルテン由来のグリアジンタンパク質単離物から調製され得、その後、レクチン(特異的な生物接着を与える非免疫起源の糖タンパク質)とコンジュゲートさせ得る。従って、腸と非特異的な相互作用をする高い能力を有するナノ粒子が提供され、そしてレクチンの結合は大腸粘膜に対するより大きな特異性を与える。
1つの態様において、アルブミン−キトサンの混合されたマトリックスの入ったミクロスフィアに充填されコーティングされたカプセル製剤に基づいた送達ビヒクルを使用し得る。これに関して、本発明の抗体調製物は硬ゼラチンカプセルに充填され、そして腸溶性コーティングされる。
1つの態様において、アルブミンミクロスフィアを経口送達システムとして使用し得る。
1つの態様において、スクアラン油を含む多層エマルションを使用し得る。
1つの態様において、ポリ(ラクチド−コ−グリコライド)ミクロスフィアを経口送達ビヒクルとして使用し得る。
1つの態様において、単層マトリックスフィルム中にpH応答性腸溶性ポリマー(Eudragit S)および生分解性多糖(耐性デンプン)の混合物を含む大腸送達コーティングを使用し得る。これらの送達ビヒクルの例は、例えばEncap Drug Delivery (Livingston, UK)から市販されており、特定の態様はPHLORAL(登録商標)およびENCODE(登録商標)を含む。
前記の送達ビヒクルの態様に加えて(または代替として)、本発明の抗体/抗体フラグメントを、ポリエチレングリコール(PEG)を用いてのPEG化によって酸による腐食から保護し得る。種々の分子量(500〜40000Da)のPEGを、例えば1抗体分子あたり2〜20個のPEG分子の比でIgGに結合させ得る。本発明者らは、Greenwald, R.B et al (2003) "Effective drug delivery by PEGylated drug conjugates", Advanced Drug Delivery Reviews 55, pp.217-250を参照する。この刊行物はその全体を参照することにより本明細書に組み入れられる。
1つの態様において、送達カプセル、例えばリポソーム、ミクロカプセルまたはナノカプセル(例えばキトサンナノカプセル)を、ポリ(エチレングリコール)(PEG)を用いて化学的に修飾し得る。PEG化の典型的な程度は、0.1〜5%、例えば0.5%〜2%の範囲、例えば0.5%または1%である。PEGの存在は、単独またはキトサンに移植されている場合、胃腸液における送達カプセルの安定性を改善する。
1つの態様において、本発明の抗体を、塩化シアヌル、コハク酸スクシンイミジルおよび塩化トレシルによって活性化されたモノメトキシポリ(エチレン)グリコールを用いて処理し得る。
PEG化送達ビヒクル、例えばリポソーム、マイクロカプセルまたはナノカプセルは、罹患部位に蓄積する内在的能力を有し、そしてターゲット細胞のトランスフェクションを促進する。多くのウイルスベクターとは異なり、PEG化リポソームは一般的に非免疫原性であると考えられる。
1つの態様において、分岐PEG化試薬は、分岐PEG保護基として使用され、鎖状PEG分子よりも効果的である。
本発明の抗体製剤は経口送達用であるので、前記製剤は、甘味剤、例えばバニラエッセンス、糖(例えばグルコース、スクロースなど)、糖アルコール、はちみつ、フルーツ、シロップ(例えばメープルシロップ、ライスシロップ、カバノキシロップ、マツシロップ、ヒッコリーシロップ、ポプラシロップ、ヤシシロップ、テンサイシロップ、ソルガムシロップ、コーンシロップ、サトウキビシロップ、ゴールデンシロップ、大麦モルトシロップ、モラス(糖蜜(treacle))、玄米シロップ、リュウゼツランシロップ、ヤーコンシロップ)、アセサルフェームカリウム(またSunettとしても知られる)、アリターム(aclameとしても知られる)、アスパルテーム(EqualまたはNutrasweetとしても知られる)、アネトール、チクロ、グリチルリジン、羅漢果(lo han guo)、ネオテーム、ペリラルチン、サッカリン(Sweet 'n' Lowとしても知られる)、ステビオシド、スクラロース(SucraPlusおよびSplendaとしても知られる)、またはイヌリンを含み得る。
経口送達に適した組成物は、液剤、懸濁剤、または使用前に適切なビヒクル中に溶解もしくは懸濁する乾燥散剤の形態であり得る。
薬学的製剤の調製時に抗体および/またはそのフラグメントをビヒクルに溶かすことができ、そして無菌技術を使用して滅菌フィルターを通したろ過によって滅菌し、その後、適切な滅菌バイアルまたはアンプルに充填し、そして封をする。有利には、緩衝剤、可溶化剤、安定化剤、保存剤または殺菌剤または懸濁化剤および/または局所麻酔剤などの添加剤をビヒクル中に溶解してもよい。
使用前に適切なビヒクル中に溶解または懸濁した乾燥散剤は、滅菌区域で無菌技術を使用して滅菌容器中に予め滅菌した成分を充填することによって調製され得る。あるいは、成分を、滅菌区域で無菌技術を使用して適切な容器中に溶解し得る。その後、産物を凍結乾燥し、そして容器を無菌的に封をする。
本発明の抗体の投与のための投与量範囲は、所望の治療効果をもたらすものである。必要とされる投与量の範囲は、抗体または組成物の正にその性質、製剤の性質、患者の年齢、患者の容態の性質、程度または重度、禁忌(ある場合)、および担当医の判断に依存することが理解される。これらの投与量レベルの変更を、最適化のための標準的で経験的な慣行を使用して調整することができる。
1つの態様において、典型的な1日投与量は、体重1kgあたり5〜20mgの範囲である(例えば8〜15mgまたは約10mg)。単位投与量は、100mg未満から変動し得るが、しかし典型的には1用量あたり250〜500mgの領域にあり、これは毎日(例えば1日1回、2回、3回または4回)またはより少ない頻度で(例えば隔日に、または例えば1週間に1日)投与され得る。
CDIの予防または処置のための経口治療法において本発明の抗体を、互いに組み合わせて、またはCDIの処置に通常使用される他の確立された療法の補助として、またはそれと併せて使用することも本発明の範囲内である。例えば、本発明の抗体は、適切な抗生物質(例えばメトロニダゾールおよび/またはバンコマイシン)と併せて投与され得る。
組合せ処置は、当業者によって必要であるまたは簡便であると思われる任意の方法で行われ得、そして本明細書の目的においては、組合せて使用しようとする化合物の順序、量、反復または相対量に関しての制限は全く考えない。
定義の章
クロストリジウム・ディフィシルは、クロストリジウム属のグラム陽性細菌の一種である。
クロストリジウム・ディフィシル感染(CDI)はヒトおよび動物に罹患し、そして軽度の自己限定的な下痢から、偽膜性大腸炎および細胞中毒性巨大結腸症などの生命を危うくする容態までの範囲の症状をもたらす、細菌感染を意味する。この疾病においては、C.ディフィシルは正常な腸の細菌叢を交代させ、そして腸上皮を攻撃しそして傷害を及ぼす細胞毒を産生する。ヒトCDIに対する主要なリスク因子としては、広域スペクトルの抗生物質を投与されていること、65歳を超えていること、および入院していることが挙げられる。
クロストリジウム・ディフィシル毒素Aは、約300kDaのサイズのタンパク質細胞毒/エンテロトキシンのファミリーである。毒素Aは、N末端領域内に酵素活性を有し、これは哺乳動物細胞の細胞骨格を破壊して細胞死を引き起こすように作用する。クロストリジウム・ディフィシル株内には数多くの天然に存在する毒素Aの変異体が存在し、これは「毒素タイプ」と呼ばれる。毒素Aの種々の毒素タイプは、その一次配列内に、通常全体で10%未満の変異を有する。適切な毒素A配列の例としては配列番号1および3が挙げられる。
クロストリジウム・ディフィシル毒素Bは、約270kDaのサイズのタンパク質細胞毒のファミリーであり、これは毒素Aと類似しているが、有意により細胞毒性が高い。毒素Aのように、毒素Bは、N末端領域内に酵素活性を有し、これが哺乳動物細胞の細胞骨格を破壊し、細胞死を引き起こすように作用する。C.ディフィシル株内には数多くの天然に存在する毒素Bの変異体が存在し、これは「毒素タイプ」と呼ばれる。毒素Bの種々の毒素タイプは、その一次配列内に、通常全体で15%未満の変異を有する。適切な毒素A配列の例としては、配列番号2および4が挙げられる。
バイナリー毒素は、いくつかのしかし全てではないC.ディフィシル株によって産生される2成分の細胞毒である。バイナリー毒素は、Clostridium botulinum C2およびClostridium perfringensイオタ毒素に作用が類似しており、これはC.ディフィシルバイナリー毒素のように、約100kDaの細胞結合フラグメントおよび約50kDaの酵素的に活性な「エフェクター」フラグメントからなる。適切なバイナリー毒素配列の例としては配列番号5および6が挙げられる。
本明細書において使用する「毒素」という用語は、前記の毒素フラグメントも包含する。前記フラグメントは、参照毒素の10〜2700(例えば、少なくとも50、100、150、200、250、300、350、400、500、750、1000、1500、2000または2500)の任意の数のアミノ酸の範囲であり得る。前記フラグメントは、好ましくは、問題の遺伝子産物の少なくとも1つのエピトープを含む。前記「フラグメント」はまた、それが由来する毒素と共通の抗原性交差反応性および/または実質的に同じin vivoにおける生物学的活性を有し得る。例えば、フラグメントに結合することのできる抗体は、それが由来する毒素にも結合することができるだろう。あるいは、前記フラグメントは、C.ディフィシル毒素の抗原性成分に以前にさらされたことがあるTリンパ球の「想起応答」を誘導する共通した能力を共有し得る。
毒素という用語への言及は、その「変異体」、例えば、C.ディフィシル毒素に対して少なくとも80または85または90または95または96または97または98または99%のアミノ酸配列相同性を有するペプチドまたはペプチドフラグメントを包含する。さらなる態様において、「変異体」は、前記ペプチドまたはペプチドフラグメントの模倣体であり得、この模倣体は、ペプチドまたはペプチドフラグメントの少なくとも1つのエピトープを再現する。
毒素への言及は、毒素「トキソイド」を包含し、これは以下においてより詳細に考察する。
毒素タイプは、C.ディフィシル株を分類するために使用されることが多い。毒素タイプは、毒素遺伝子を用いて得られた制限酵素パターンを特徴付ける方法に基づく。前記したように、毒素AおよびBの毒素タイプは、一次アミノ酸配列による、これらのタンパク質毒素の変異体を示す。
クロストリジウム・ディフィシルトキソイドは、部分的にまたは完全に不活性化されたC.ディフィシル毒素(毒素A、毒素Bまたはバイナリー毒素)またはC.ディフィシル毒素の混合物を説明するために使用される。毒素は、in vitroにおける細胞毒性アッセイによってまたは動物毒性によって測定したところ、非処理毒素よりも低い毒性(例えば100%、99%、95%または90%低い毒性)を有する場合に不活性化されていると考える。
対象の毒素に結合する抗体は、前記抗体が治療剤として有用であるような十分な親和性でその毒素に結合することのできるものである。対象の毒素に結合する抗体は、C.ディフィシルの毒素に少なくとも10Mの親和性(K)で結合するものである。
毒素中和は、C.ディフィシルの1つ以上の細胞毒(毒素Aおよび/または毒素Bおよび/またはバイナリー毒素)の生物学的作用を遮断する物質(例えば抗体)の作用を意味する。細胞毒の生物学的作用は、哺乳動物の腸上皮の特定の細胞において哺乳動物細胞を殺滅またはその機能を損なうその能力として定義される。物質の毒素中和活性は、培養液中で増殖した哺乳動物細胞の死滅を防ぐその能力によって測定され得る。
治療有効量は、CDI、またはCDIの臨床症状の少なくとも1つを処置するために患者に単独でまたは組み合わせて投与された場合に、疾病または症状のこのような処置を行なうに十分である、抗体の量を指す。治療有効量は、例えば、抗体、感染、および/または感染の症状、感染の重度、および/または感染の症状、処置しようとする患者の年齢、体重および/または健康、並びに処方医の判断に依存して変更され得る。任意の所与の場合における適切な治療有効量は、当業者によって確認され得るか、または慣用的な実験によって決定することができる。また、治療有効量は、抗体の任意の毒性作用または有害な作用よりも有益な作用がまさるものである。
「予防有効量」は、単独でまたは組み合わせて患者に投与した場合に、CDIの発症もしくは再発またはCDIの臨床症状の少なくとも1つを阻害または遅延させる、抗体の任意の量である。いくつかの態様において、予防有効量は、クロストリジウム・ディフィシル感染の発症または再発を完全に予防する。発症を「阻害する」とは、感染の発症の可能性を低下させるか、または発症を完全に予防することのいずれかを意味する。
経口抗体製剤は、経口投与した場合に、予防有効量の抗体が腸に到達して、そしてCDIの発症または再発を阻害または遅延させることができるものである。経口製剤は、プロテアーゼ阻害剤、物理的バリアおよび化学的バリアの使用を含む種々の機序によって腸環境において抗体の分解を妨げるまたは減少させる。
ヒツジは、Ovis属(例えばOvis ammon, Ovis orientalis aries, Ovis orientalis orientalis, Ovis orientalis vignei, Ovis Canadensis, Ovis dalli, Ovis nivicola)内に該当する任意の種を意味する。
ヒツジ抗体は、ヒツジにおいて生じた抗体に対して少なくとも100%、99%、95%、90%、80%、75%、60%、50%、25%または10%のアミノ酸配列同一性を有する抗体である。
配列の比較のために、典型的には1つの配列が参照配列として作用し、これと試験配列を比較し得る。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列をコンピューターに入力し、必要であればその後の座標を指定し、そして配列アルゴリズムプログラムパラメーターを指定する。その後、配列比較アルゴリズムは、指定したプログラムパラメーターに基づいて、参照配列と比較した試験配列(群)についての配列同一率を計算する。
比較のための配列の最適なアラインメントを、例えば、Smith and Waterman [Adv. Appl. Math. 2: 484 (1981)]の局所相同性アラインメントアルゴリズムによって、Needleman & Wunsch [J. Mol. Biol. 48: 443 (1970)]のアルゴリズムによって、Pearson & Lipman [Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85: 2444 (1988)]の類似性の方法についての探索によって、これらのアルゴリズムのコンピューター実行によって(GAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA、Genetics Computer Groupの配列解析ソフトウェアパッケージ、University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705)、または目視検査によって[Current Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausbel et al, eds, Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, In. And John Wiley & Sons, Inc. (1995 Supplement) Ausbubelを参照]、実施し得る。
配列類似率を決定するのに適したアルゴリズムの例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムである[Altschul (1990) J. Mol. Biol. 215: pp. 403-410;および"http://www.ncbi.nlm.nih.gov/" of the National Center for Biotechnology Informationを参照]。
ある相同性比較において、同一性は、少なくとも10または20または30または40または50のアミノ酸残基長である配列の領域におよび存在する。別の相同性比較において、同一性は、少なくとも60または70または80または90または100のアミノ酸残基長である配列の領域におよび存在する。
「抗体」は最も広い意味で使用され、そしてそれらが所望の生物学的活性を示す限りポリクローナル抗体および抗体フラグメントも特に網羅する。特に、抗体は、少なくとも1つまたは2つの重鎖(H)可変領域(本明細書においてはVHCと略称する)、および少なくとも1つまたは2つの軽鎖(L)可変領域(本明細書においてはVLCと略称する)を含むタンパク質である。VHCおよびVLC領域はさらに、「フレームワーク領域」(FR)と呼ばれるより保存された領域の散在した、「相補性決定領域」(「CDR」)と呼ばれる超可変領域にさらに分類され得る。フレームワーク領域およびCDRの程度は正確に定義されている(Kabat, E.A., et al. Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242, 1991,およびChothia, C. et al, J. MoI. Biol. 196:901-917, 1987を参照、これは参照により本明細書に組み入れられる)。好ましくは、各々のVHCおよびVLCは3つのCDRおよび4つのFRから構成され、これはアミノ末端からカルボキシ末端まで以下の順序で整列している:FRI、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。
抗体のVHC鎖またはVLC鎖はさらに、重鎖または軽鎖の定常領域の全部または一部をさらに含むことができる。1つの態様において、抗体は2つの重鎖免疫グロブリンと2つの軽鎖免疫グロブリンとの四量体であり、重鎖および軽鎖の免疫グロブリン鎖は、例えばジスルフィド結合によって内部接続されている。重鎖定常領域は、3つのドメイン、すなわちCH1、CH2およびCH3を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、すなわちCLを含む。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、典型的には、宿主組織または因子(免疫系の種々の細胞(例えばエフェクター細胞)および古典的な補体系の第一成分(C1q)を含む)への抗体の結合を媒介する。「抗体」という用語は、IgA型、IgG型、IgE型、IgD型、IgM型(ならびにそのサブタイプ)のインタクトな免疫グロブリンを含み、免疫グロブリンの軽鎖は、κ型またはλ型であり得る。
本明細書において使用する抗体という用語はまた、C.ディフィシルの毒素(例えば毒素B)に結合する抗体の部分、例えば、1つ以上の免疫グロブリン鎖が全長ではないが毒素に結合する分子を指す。抗体という用語に包含される結合部分の例としては、(i)VLCドメイン、VHCドメイン、CLドメインおよびCH1ドメインからなる一価フラグメント、Fabフラグメント;(ii)ヒンジ領域においてジスルフィド橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント、F(ab’)フラグメント;(iii)VHCドメインおよびCH1ドメインからなるFcフラグメント;(iv)抗体の単腕のVLCドメインおよびVHCドメインからなるFvフラグメント、(v)VHCドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al, Nature 341:544-546, 1989);および(vi)結合するために十分なフレームワークを有する単離された相補性決定領域(CDR)、例えば可変領域の抗原結合部分が挙げられる。軽鎖可変領域の抗原結合部分および重鎖可変領域の抗原結合部分、例えばFvフラグメントの2つのドメインである、VLCおよびVHCを、組換え法を使用して、1つのタンパク質鎖として作製することを可能とする合成リンカーによって接続することができ、VLC領域とVHC領域は対を形成して一価の分子を形成する(単鎖Fv(scFv)として知られる;例えば、Bird et al. (1988) Science lAl-ATi-Alβ;およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. ScL USA85:5879-5883参照)。このような単鎖抗体もまた抗体という用語に包含される。これらは、当業者に公知の慣用的な技術を使用して得られ、そして前記部分を、インタクトな抗体と同じように有用性についてスクリーニングする。
これから図面の簡単な説明を以下に示し、これは本発明の局面および/または態様を説明する。
アフィニティクロマトグラフィーによる血清中における毒素Aに対する抗体の測定。その後に溶出された、セファロースゲルに固定された毒素Aに結合している抗体。図は、ローディングされた血清と溶出された毒素A特異的抗体との間の直線関係を示す。実験の詳細を実施例9において提供する。 アフィニティクロマトグラフィーによる血清中における毒素Aに対する抗体の測定。その後に溶出された、セファロースゲルに固定された毒素Aに結合している抗体。図は、毒素Aのトキソイドを用いて免疫化されたヒツジにおける特異的抗体を実証する。毒素Aに対する抗体は、ヒツジ血清中に3mg/ml(3g/リットル)超で存在していた。実験の詳細を実施例9において提供する。 卵白、初乳および正常なヒツジ血清によるトリプシン活性の阻害。データは、トリプシンが、ニワトリおよびシチメンチョウの卵白、初乳およびヒツジ血清に見られるような多種多様な天然に存在する阻害剤によって阻害され得ることを示す。 カゼイン寒天および初乳寒天の放射状プロテアーゼ拡散プレートにおけるトリプシン活性。放射状プロテアーゼ拡散法を使用した初乳によるトリプシンの阻害を示す。 In vivo実験1−制酸剤の存在下における抗体の経口送達によるCDIからのハムスターの防御。これらのデータは、制酸剤の存在下において経口送達されたC.ディフィシル毒素AおよびBに対する抗体が、CDIからハムスターを防御することを示す。 In vivo実験2−制酸剤の存在下における抗体の経口送達によるCDIからのハムスターの防御。これらのデータは、制酸剤の存在下において経口送達されたC.ディフィシル毒素AおよびBに対する抗体が、CDIからハムスターを防御することを示す。 In vivo実験3−カプセル化形態の抗体の経口送達によるCDIからのハムスターの防御。これらのデータは、腸溶性コーティングされたカプセルで経口送達されたC.ディフィシル毒素AおよびBに対する抗体が、CDIからハムスターをいくらか防御することを示す。
実施例の要約
実施例1 C.ディフィシルの毒素タイプ0の毒素AおよびBの精製。
実施例2 C.ディフィシルの他の毒素タイプの毒素AおよびBの精製。
実施例3 組換えC.ディフィシル毒素AおよびBの精製。
実施例4 C.ディフィシルバイナリー毒素の精製。
実施例5 C.ディフィシル毒素AおよびBのトキソイドの調製。
実施例6 抗血清の調製。
実施例7 毒素タイプ0の毒素AおよびBに対する抗血清の調製。
実施例8 in vitro細胞アッセイを使用した、毒素に対する抗血清の中和効力の評価。
実施例9 イムノアフィニティカラムを使用した血清中のC.ディフィシル毒素に対する特異的抗体の量の定量。
実施例10 トリプシンおよび/またはキモトリプシンに対する抗体阻害剤の調製。
実施例11 卵白(アルブミン)からのトリプシンおよび/またはキモトリプシン阻害剤の調製。
実施例12 トリプシンのタンパク質分解活性の阻害の実証。
実施例13 キモトリプシンのタンパク質分解活性の阻害の実証。
実施例14 トリプシンおよび/またはキモトリプシンの抗体をベースにした阻害剤を含む製剤の調製。
実施例15 トリプシンおよび/またはキモトリプシンの薬物をベースにした阻害剤を含む製剤の調製。
実施例16 ウシ初乳−ヒツジ抗体製剤の調製。
実施例17 ポリエチレングリコール(PEG)を用いて改変された抗体の調製。
実施例18 アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸のコポリマー(Eudragit)を用いての抗体のコーティング。
実施例19 アルギネート/キトサンのコポリマーを用いての抗体のコーティング。
実施例20 ペクチンを用いての抗体のコーティング
実施例21 模擬した胃内および腸内条件を使用した、消化酵素に対する抗体製剤の安定性の評価。
実施例22 CDIの予防についてのヒツジ抗体のin vivoにおける効力の評価。
実施例23 CDIの処置についてのヒツジ抗血清のin vivoにおける効力の評価。
実施例24 抗体製剤(薬物)の臨床的使用。
実施例25 経口送達した抗体および抗生物質の組合せの臨床的使用。
実施例26 全身および経口送達した抗体製剤の組合せの臨床的使用。
配列番号の要約
最初のMetアミノ酸残基または対応する開始コドンが、以下のいずれの配列番号において示されているが、前記残基/コドンは任意選択である。
1.クロストリジウム・ディフィシル毒素A−毒素タイプ0のタンパク質配列
2.クロストリジウム・ディフィシル毒素B−毒素タイプ0のタンパク質配列
3.クロストリジウム・ディフィシル毒素A−毒素タイプIIIのタンパク質配列
4.クロストリジウム・ディフィシル毒素B−毒素タイプIIIのタンパク質配列
5.クロストリジウム・ディフィシルバイナリー毒素フラグメントAのタンパク質配列
6.クロストリジウム・ディフィシルバイナリー毒素フラグメントBのタンパク質配列
7.ヒトトリプシン−1のタンパク質配列(Swiss Prot Accession P07477)
8.ヒトトリプシン−2のタンパク質配列(Swiss Prot Accession P07478)
9.キモトリプシン−2のタンパク質配列(Swiss Prot Accession P17538)
実施例
実施例1 クロストリジウム・ディフィシルの毒素タイプ0の毒素AおよびBの精製
毒素タイプ0の毒素AおよびBを産生するC.ディフィシル株(例えばVPI 10463)を、記載(Roberts and Shone (2001) Toxicon 39: 325-333)のように透析サック培養液中で増殖させた。増殖後、細胞スラリーを透析サックから回収し、そしてその後、10000×gで30分間遠心分離にかけ、そして得られた上清の液体のpHをpH7.5に調整し、そして硫酸アンモニウムに関して70%飽和とさせた。毒素を含む沈降物を遠心分離によって回収し、その後、50mMビストリスpH6.5緩衝液中に再懸濁し、そして4℃の同じ緩衝液に対して透析した。透析後、毒素AおよびBの粗溶液をQセファロースクロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィーによって精製し、そして毒素を含むタンパク質ピークをNaCl勾配で溶出した。毒素Aを含むピークを、0.5M NaClを含む50mM Hepes(pH7.4)緩衝液に対して透析し、Znキレートカラム(Znセファロース)で精製した。毒素をローディングし、そしてカラムから汚染タンパク質を洗浄した後、精製した毒素Aを、50mM Hepes(pH7.4)、20mM EDTAおよび0.1M NaClを含む緩衝液を用いて溶出した。精製した毒素Aを、0.15M NaClを含む50mM Hepes(pH7.4)緩衝液に対して透析し、そして使用するまで4℃で保存するかまたは凍結させた。最初のQセファロースカラムからの毒素Bを含むピークを、高分解能のMonoQ陰イオン交換樹脂のカラムクロマトグラフィーによってさらに精製した。毒素を、50mMビストリス(pH6.5)緩衝液中のカラムにローディングした後、精製した毒素Bを、NaCl勾配を用いて溶出し、そして毒素を含む画分をプールした。精製した毒素Bを、0.15M NaClを含む50mM Hepes(pH7.4)緩衝液に対して透析し、そして使用するまで4℃で保存するかまたは凍結させた。
実施例2 C.ディフィシルの他の毒素タイプの毒素AおよびBの精製
公知の任意の毒素タイプを示す毒素AおよびBを、実施例1に記載のように精製する。種々の毒素タイプの毒素AおよびBを産生する公知のC.ディフィシル株を表1に示し、そして精製のために必要な株を選択することによって、必要とされる毒素タイプの毒素AおよびBを精製する。あるいは、所望の毒素タイプの毒素を産生するC.ディフィシル株が得られるまで、C.ディフィシルを以前に記載(Rupnik et al. (1998) J. Clinical Microbiol. 36: 2240-2247; Rupnik et al. (2001) Microbiology 147: 439-447)のように毒素タイプ分類し得る。これらの各参考文献は、その全体を参照することにより組み入れられる。
毒素タイプIIIの毒素AおよびBを産生するために、C.ディフィシルR20291株(またNCTC13366としても知られる)を、透析サック培養液中で記載(Roberts and Shone (2001) Toxicon 39: 325-333、その全体が参照により組み入れられる)のように増殖させ、そして毒素を実施例1に記載のように精製した。
実施例3 組換えC.ディフィシル毒素AおよびBの精製
C.ディフィシル毒素AおよびBの例のアミノ酸配列を配列番号1〜4に示す。これらのペプチドをコードする遺伝子は、任意の所望の発現宿主(例えばE.coli、Pichia pastoris)のためのコドンバイアスを伴って商業的に入手可能である。ペプチドをこれらの遺伝子から標準的な分子生物学的方法(例えばSambrook et al. 1989, Molecular Cloning a Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)を使用して発現させ、そして得られた可溶性の発現されたポリペプチドを、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよびセラミックヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーの組合せによって精製する。タンパク質精製技術分野においては周知である代替的なクロマトグラフィー技術、例えばサイズ排除クロマトグラフィーおよび/またはアフィニティクロマトグラフィーも使用し得る。後者のために、組換えフラグメントは、pET vector Expression System Manual, 11th Edition published by Merck KGaA, Darmstadt, Germanyにおいて記載のようにアフィニティ精製タグ(例えばヒスチジン−6、streptag)と共に発現され得る。
配列が不明であるC.ディフィシルの毒素タイプから組換え毒素を産生するために、標準的な分子生物学的方法によってDNAを抽出し、そして毒素配列(群)を導く。その後、組換え毒素を、前記のように合成遺伝子から発現させる。
実施例4 組換えC.ディフィシルバイナリー毒素の精製
C.ディフィシルバイナリー毒素フラグメントAおよびBのアミノ酸配列をそれぞれ配列番号5および6に示す。これらのペプチドをコードする遺伝子は、任意の所望の発現宿主(例えばE.coli、Pichia pastoris)のためのコドンバイアスをもって商業的に入手可能である。ペプチドをこれらの遺伝子から標準的な分子生物学的方法(例えばSambrook et al. 1989, Molecular Cloning a Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)を使用して発現させ、そして得られた可溶性の発現されたペプチドを、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよびセラミックヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーの組合せによって精製する。タンパク質精製技術分野においては周知である代替的なクロマトグラフィー技術、例えばサイズ排除クロマトグラフィーおよび/またはアフィニティクロマトグラフィーも使用し得る。
組換えフラグメントは、pET vector Expression System Manual, 11th Edition published by Merck KGaA, Darmstadt, Germany(本明細書においてその全体が組み入れられる)において記載のようにアフィニティ精製タグ(例えばヒスチジン−6、streptag)と共に発現される。バイナリー毒素成分の精製の詳細は、Sundriyal et al. 2010 (Protein Expression & Purification 74: 42-48)に記載され、これは本明細書にその全体が組み入れられる。
ペプチドを、溶解度を向上させるために、例えばpET52bなどの市販されている発現ベクターを使用してヒスチジン−6精製タグと共に発現させ得、そしてLia et al.の概説およびその中に含まれる参考文献(Lia M et al (2004) Protein Expression & Purification 33, 1-10、これは参照により本明細書に組み入れられる)によって記載のようなオンカラムリフォールディング技術によってリフォールディングし得る。
実施例5 C.ディフィシル毒素AおよびBのトキソイドの調製
0.2〜2mg/mlの濃度の精製されたC.ディフィシル毒素を、適切な緩衝液(例えば、150mM NaClを含む10mM Hepes緩衝液、pH7.4)に対して透析し、そしてその後、0.05〜0.5%の最終濃度でホルムアルデヒドを加え、そして1〜25日間35℃でインキュベーションする。インキュベーション後、ホルムアルデヒドを透析によって除去する。ホルムアルデヒドを用いての処理のための条件は、ペプチドによって僅かに変動し得、そして最終条件は、それに応じて防御効力の評価の結果に基づいて微調整される。
実施例6 抗血清の調製
最適な体液性抗体応答を達成するために、抗血清の調製中には多くの慣用的な因子を考慮する。これらは:動物の繁殖、アジュバントの選択、免疫化部位の数および場所、免疫原の量、投与の回数および投与間隔を含む。
これらのパラメーターの慣用的な最適化の結果として、血清1リットルあたり6g超の特異的な抗体レベルを得ることが通例である。
ヒツジのために、10〜500μgのC.ディフィシル抗原を含む2mlの緩衝溶液を、2.6mlのフロイントアジュバントと混合する。完全形のアジュバントを一次免疫化のために使用し、そして不完全フロイントアジュバントをその後の全てのブーストのために使用する。安定なエマルションが確実に得られるように、アジュバントの混合を数分間かけて行なう。約4.2mlの抗原/アジュバント混合物を使用して、筋肉内注入によって各ヒツジを免疫化し、そして首および全ての上肢を含む6つの部位に広げる。これを28日毎に繰り返す。血液試料を各免疫化の14日後に採取する。一旦、適切な抗体レベルが達成されると、より多くの容量を滅菌バッグに採取する(体重1kgあたり10ml)。バッグをゆっくりと回転させて凝血を加速させ、4500×gで30分間遠心分離にかけ、そして血清を無菌条件下で取り出し、そしてプールする。所望のC.ディフィシル抗原に対して低い力価を示したあらゆる動物を集団から除去する。
実施例7 毒素タイプ0の毒素AおよびBに対する抗血清の調製
毒素タイプ0の株(例えばVPI 10463)からの毒素AおよびBを実施例1に記載のように調製した。あるいは、毒素AまたはBを、Yang et al.(Yang G, Zhou B, Wang J, He X, Sun X, Nie W, Tzipori S, Feng H (2008) Expression of recombinant Clostridium difficile toxin A and B in Bacillus megaterium. BMC Microbiol. 8: 192)によって記載のような組換え法によって作製し得る。精製した毒素を、実施例5に記載のようにトキソイド化し得る。
トキソイドAまたはBを用いてのヒツジの免疫化のために、10〜500μgのC.ディフィシルトキソイドAまたはBのいずれかを含む2mlの緩衝溶液を、2.6mlのフロイントアジュバントと混合した。完全形のアジュバントを一次免疫化のために使用し、そして不完全フロイントアジュバントをその後の全てのブーストのために使用した。安定なエマルションが確実に得られるように、アジュバントの混合を数分間かけて行なう。混合後、約4.2mlの抗原/アジュバント混合物を使用して、筋肉内注入によって各ヒツジを免疫化し、そして首および全ての上肢を含む6つの部位に広げた。これを28日毎に繰り返し、そして血清試料を各免疫化の14日後に回収した。一旦、適切な抗体レベルが達成されると、より多くの産生試料を滅菌バッグに採取した(体重1kgあたり10ml)。バッグをゆっくりと回転させて凝血を加速させ、4500×gで30分間遠心分離にかけ、そして血清を無菌条件下で取り出し、そしてプールした。毒素AまたはBのいずれかに対して低い力価を示したあらゆる動物を集団から排除した。
実施例8 in vitroにおける細胞アッセイを使用した、毒素に対する抗血清の中和効力の評価
C.ディフィシル毒素に対する抗血清の毒素中和活性を、Vero細胞を使用して細胞毒性アッセイによって測定する。一定量の精製されたC.ディフィシル毒素AまたはBのいずれかを、種々の希釈の抗体と混合し、37℃で1時間インキュベーションし、そしてその後、24ウェル組織培養プレート上で増殖しているVero細胞に適用する。毒素AおよびBの両方が細胞毒性活性を有し、その結果、24〜72時間の期間におよびVero細胞の特徴的な円形化が起こる。中和抗体の存在下においてはこの活性は阻害され、そして抗体調製物の中和強度は、指定された量の毒素AまたはBのいずれかの効果を中和するのに必要とされる希釈によって評価される。
C.ディフィシル毒素Aに対するヒツジ抗体の中和活性を実証したデータを表2に示す。この実験においては、種々の希釈のヒツジ抗体を毒素Aと50ng/mlの最終濃度で混合し、そして37℃で1時間インキュベーションし、そしてその後、前記のようにVero細胞に適用し、そして37℃でインキュベーションし、そして24〜72時間の期間かけてモニタリングした。毒素Aの細胞毒性作用に対して細胞を防御する抗体希釈を計算した。表2は、14週間の期間かけて免疫化したヒツジが、16000の中和力価を有していたことを示す(すなわち1/16000の希釈の血清が、細胞を、毒素Aの細胞毒性作用から防御した)。
表2 ホルムアルデヒドで処理した毒素Aに対して生じたヒツジ抗体の中和力価
Figure 0005877161
毒素B(トキソイド)によって産生された抗血清については、4週間毎に各動物に250μg/用量を1回投与して免疫化する14週間の計画により、1/10000を超える抗血清力価を有する抗血清が得られた(0.5ng/mlの一定濃度の毒素Bを使用して)。
表3 ホルムアルデヒドで処理した毒素Bに対して生じたヒツジ抗体の中和力価
データは、Vero細胞の細胞毒性アッセイによって測定したところ、より高い免疫化用量のトキソイドB抗原が、より良好なヒツジ毒素中和免疫応答をもたらすことを示す。これらのアッセイを、実施例8において記載する。
Figure 0005877161

全ての動物に、2用量のホルムアルデヒドで処理した毒素Bを投与した。
* 細胞中和アッセイにおいて0.5ng/mlの毒素Bを完全に中和するのに必要とされる血清の希釈度
表4、5および6は、毒素AおよびBから得られたトキソイドを用いての免疫化によってヒツジにおいて、血清1mlあたり非常に高い毒素中和力価(20,000超)単位が得られることを実証する。これらの力価は、他の種において以前に報告されたよりも有意に高い。
表4 種々の用量のホルムアルデヒドで処理した毒素Aを使用して生じたヒツジ抗体の中和力価
データは、長い免疫化期間の後に、ヒツジにおいて種々のトキソイド用量を用いて非常に高い力価を得ることができることを示す。これらのアッセイを実施例8において記載する。
Figure 0005877161
表5 ホルムアルデヒドで処理した毒素Bに対して生じたヒツジ抗体の中和力価
データは、長い免疫化期間におよぶ250μgの免疫化用量のトキソイドB抗原により非常に高い毒素中和力価が得られることを示す。これらのアッセイを実施例8において記載する。
Figure 0005877161
表6 ホルムアルデヒドで処理した毒素AおよびBの免疫化により得られた精製IgGの中和力価
表は、カプリル酸と他のタンパク質との沈降によって、ヒツジ抗血清から得られた精製IgGの高い毒素中和力価を示す。
Figure 0005877161
実施例9 イムノアフィニティカラムを使用した、血清中のC.ディフィシル毒素に対する特異的抗体の量の定量
カラム調製
CNBr活性化セファロース4ファストフロー(0.5g乾燥重量)を適切な清潔な容器(ガラスまたはプラスチック)に評量する。約10mlの希塩酸(1mM)を加えてゲルを膨潤させ、そして20〜30分後、ゲルを10mLのガラスカラムに移し、そしてさらなる20mLのHCl(1mM)で洗浄し、その後、20mLのカップリング緩衝液(500mMの塩化ナトリウムを含む重炭酸ナトリウム、100mM、pH8.3)で洗浄する。1mg/mLの濃度の毒素(毒素A、毒素Bまたはバイナリー毒素フラグメント溶液(1mL))をカップリング緩衝液を用いて5mLに希釈し、そして活性化ゲルを含むカラムに加え、そしてゲルが再懸濁されるまで内容物を穏やかに混合し、そして室温で一晩(16〜18時間)回転させる。その後、カラムを流し、そして5mlの遮断試薬(エタノールアミン溶液、1M)を加え、穏やかに混合し、そして室温で2時間回転させる。次に、カラムを20mLのカップリング緩衝液で洗浄し、その後、20mLの溶出緩衝液(グリシン溶液、100mM、pH2.5)で洗浄する。この工程を2回繰り返す。カラムを最後に20mLのアッセイ緩衝液(500mM塩化ナトリウムおよび最終濃度1g/Lのアジ化ナトリウムを含む、リン酸ナトリウム緩衝液、10mM、pH7.4)で洗浄し、そして使用するまで2〜8℃で3〜5mLのアッセイ緩衝液中に保存する。
カラム評価
カラムの特異的結合容量および非特異的な容量を典型的には使用前に評価する。カラムを冷蔵庫から取り出し、そして室温で平衡化させ、そしてその後、25mLのアッセイ緩衝液で洗浄する。漸増容量の産物(全抗血清、精製IgG、FabまたはF(ab’))を個々にカラムにローディングし、そして室温で1時間穏やかに回転させて混合する。非結合画分を25mLのアッセイ緩衝液で洗浄除去し、そしてその後、結合した画分をカラムから20mlの溶出緩衝液(グリシン緩衝液100mM、pH2.5)を用いて溶出する。溶出画分のタンパク質含量を、産物に関連した吸光係数、すなわちヒツジIgGについては1.5(Curd et al., 1971)またはヒツジFabおよびF(ab’)については1.4(Allen, 1996)を使用して280nmにおける分光測定で決定する。ローディングされた容量に対して溶出タンパク質の量をプロットすることによって飽和曲線を得る。
非特異的結合(NSB)を免疫化前の通常のヒツジ血清(NSS)を使用して評価する。従って、これと、正常の血清中のいくつかの特異的な抗体に起因する結合とを区別する必要がある(全ての動物がC.ディフィシルにさらされたことがあろうため)。図1は、抗血清ローディング容量の増加の結果としての、特異的な結合の増加を示す、典型的な結合能曲線を実証する。ローディング容量の増加により非特異的結合(NSB)に僅かな変化がある。1mgの毒素(カップリング比は2mg/g)を含む0.5g(1.5〜2.0mLの膨潤したゲル)は、ローディングする特異的な抗血清の容量(0.5〜4mL)に対して十分である。これに関して、1mlが、容易かつ簡便な計算のために推奨されるローディング容量である。
10個のレプリケートの変動係数(アッセイ間CV)は、約6%である。時間に伴う(80〜100回使用した場合と推定)カラム容量の減少は全くない。このことは、カラムからの毒素の浸出が全くないことを示す。
産物の評価のためのアフィニティカラム
カラムを、製造工程および最終産物、すなわち全抗血清、精製IgG、FabおよびF(ab’)のGMP/GLPの評価のために使用する。それはまた、免疫化動物の免疫応答を評価およびモニタリングするため、並びにヒト試料中の抗毒素抗体を検出するために使用される。
カラムを冷蔵庫から取り出し、そして室温で平衡化させ、25mLのアッセイ緩衝液で洗浄する。産物(1mL)をカラムに加え、そして室温で1時間穏やかに回転させて混合し、その後、非結合画分を25mLのアッセイ緩衝液(500mM塩化ナトリウムおよび最終濃度1g/Lのアジ化ナトリウムを含む、リン酸ナトリウム緩衝液、10mM、pH7.4)で洗浄除去する。その後、結合画分を20mlの溶出緩衝液(グリシン緩衝液100mM、pH2.5)で溶出し、そしてそのタンパク質含量を、産物に関連した吸光係数を使用して280nmにおける分光測定で決定する。図2は、毒素Aのトキソイドを用いて免疫化したヒツジに由来する血清の分析を示す。
実施例10 トリプシン/キモトリプシンに対する抗体阻害剤の調製
適切な抗原を、例えば、以下のプロトコール(a)または(b)によって調製し得る。
(a)天然および/またはトキソイド化トリプシンおよびキモトリプシンを用いての免疫化
ヒトトリプシン−1、トリプシン−2およびキモトリプシンは市販で得られる。これらの酵素を150mm NaClを含むMES(50mM、pH6.0)などの適切な緩衝液中で透析し、そして0.2%ホルムアルデヒドを添加し、その後、4〜37℃で1〜14日間インキュベーションすることによりトキソイド化する。
(b)組換えトリプシンおよびキモトリプシンを用いての免疫化
主要なヒトトリプシンおよびキモトリプシンのアミノ酸配列をそれぞれ配列番号7、8および9に示す。例えば、下線を付けた残基(例えばヒスチジン、アスパルテート、セリン)の1つ以上を、アラニンなどのアミノ酸残基(またはその保存的置換体)へと変更することによって、触媒的に不活性な抗原が提供される。これらの改変されたトリプシンおよびキモトリプシンペプチドをコードする遺伝子は、任意の所望の発現宿主(例えばE.coli、Pichia pastoris)のためのコドンバイアスをもって商業的に入手可能である。ペプチドは、これらの遺伝子から標準的な分子生物学的方法(例えば、Sambrook et al. 1989, Molecular Cloning a Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)を使用して発現され、そして得られた可溶性の発現されたペプチドを、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよびセラミックヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーの組合せによって精製する。タンパク質精製技術分野においては周知である代替的なクロマトグラフィー技術、例えばサイズ排除クロマトグラフィーおよび/またはアフィニティクロマトグラフィーも使用し得る。
組換えフラグメントは、pET vector Expression System Manual, 11th Edition published by Merck KGaA, Darmstadt, Germanyにおいて記載のようにアフィニティ精製タグ(例えばヒスチジン−6、streptag)と共に発現され得る。
ペプチドを、溶解度を向上させるために、例えばpET52bなどの市販されている発現ベクターを使用してヒスチジン−6精製タグと共に発現させ得、そしてLia et al.の概説およびその中に含まれる参考文献(Lia M et al (2004) Protein Expression & Purification 33, 1-10、これは参照により本明細書に組み入れられる)によって記載のようなオンカラムリフォールディング技術によってリフォールディングし得る。
前記の抗原を単独でまたは種々の組合せのいずれかで使用して、以下の方法によって抗体を生成する。ヒツジにおける抗体の調製のために、10〜500μgのトリプシンおよび/またはキモトリプシン抗原(群)を含む2mlの緩衝溶液を2.6mlのフロイントアジュバントと混合する。完全形のアジュバントを初回免疫化のために使用し、そして不完全フロイントアジュバントをその後の全てのブーストに使用する。安定なエマルションが確実に得られるように、アジュバントの混合を数分間かけて行なう。約4.2mlの抗原/アジュバント混合物を使用して、筋肉内または皮内注入によって各ヒツジを免疫化し、そして首および全ての上肢を含む6つの部位に広げる。これを28日毎に繰り返す。血液試料を各免疫化の14日後に採取する。一旦、適切な抗体レベルが達成されると、より多くの容量を滅菌バッグに採取する(体重1kgあたり10ml)。バッグをゆっくりと回転させて凝血を加速させ、4500×gで30分間遠心分離にかけ、そして血清を無菌条件下で取り出し、そしてプールする。所望のC.ディフィシル抗原に対して低い力価を示したあらゆる動物を集団から除去する。
実施例11 卵白からのトリプシン/キモトリプシン阻害剤の調製
卵白はほんの痕跡量の脂質および炭水化物を含み、そして主にタンパク質からなる。主なプロテアーゼ阻害剤、オボムコイドおよびオボスタチンを含むタンパク質画分を、沈降によって、または標準的なタンパク質精製法、例えばイオン交換クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーによって容易に得ることができる。1つのこのような方法において、卵の白身を卵黄から分離し、そして、1mM EDTAを含む50mMトリスHCl(pH7.5)中の1%NaClの2容量に懸濁し、そして超音波粉砕機を用いてホモジナイズし、その後、15,000×gで20分間遠心分離にかける。その後、上清の液体を、10mMトリスHCl緩衝液(pH7.5)に対して透析し、そしてQ−セファロースカラムにアプライする。カラムを、0M〜0.5Mの線形勾配でNaClを含む10mMトリスHCl緩衝液を用いて溶出し、プロテアーゼ阻害剤の種々のピークを得る。トリプシンおよびキモトリプシンに対するプロテアーゼ阻害活性を含む粗または精製されたタンパク質画分(実施例12および13において評価)を場合により合わせて、濃縮されたプロテアーゼ阻害タンパク質混合物を産生し得る。
他の方法において、卵白プロテアーゼ阻害剤の濃縮された混合物は、例えばアセトンなどの種々の物質を用いての卵白タンパク質の沈降によって(Lineweaver & Murray (1947) J. Biol. Chem. 171, 565-581)、または70%までの硫酸アンモニウムを用いての沈降によって容易に得られる。あるいは、卵白プロテアーゼは市販されている。
実施例12 トリプシンのタンパク質分解活性の阻害の実証
トリプシン活性はL−BAPNAアッセイを使用して測定される:この方法は、阻害剤の存在下および非存在下、所与の濃度のトリプシンによるベンゾイル−DL−アルギニン−p−ニトロアニリド(DL−BAPNA)の分解産物の分光測定での決定に基づく(Kakade et al. 1974)(これはその全体が参照により組み入れられる)。
材料
アッセイ緩衝液:0.02M CaClを含むトリス緩衝液(0.05M、pH8.2)
基質溶液:ベンゾイル−DL−アルギニン−p−ニトロアニリド塩酸塩(DL−BAPNA)(10mg)を0.2mLのジメチルスルホキシド(DMS)に溶解し、そしてアッセイ緩衝液を用いて20mLまで希釈した。溶液を毎日調製し、そして使用中は37℃で保存した。
トリプシン溶液(0.2mg/mL):トリプシン40mgを200mLの希HCl(0.001M)に溶解した。溶液を2〜8℃で2週間保存することができる。
停止溶液:氷酢酸(30mL)を蒸留水(70mL)と混合することによって酢酸溶液(30%v/v)を調製した。
手順
種々の容量のトリプシン阻害剤(例えば抗体、または卵白、または卵白誘導体または初乳)を2セットの試験チューブにピペットで入れ、そしてアッセイ緩衝液を用いて1mLに調整した。対照試料は、等しいタンパク質濃度の非特異的タンパク質または抗体を含んでいた。トリプシン溶液を各チューブに加え、その後、1mLのDL−BAPNA溶液を加えた。室温で5分間インキュベーションした後、0.5mLの停止溶液を加えることによって反応を停止させ、そして各チューブの410nmにおける吸光度を分光測定した。ブランク試料は、基質溶液の前に停止溶液を加えることによって調製された。
効果的なトリプシン阻害剤を含む試験試料は、DL−BAPNAの開裂を阻害し、従って、対照試料と比較して410nmにおける吸光度の増加を阻害することが判明した。
種々の阻害調製物(例えば卵白および初乳)におけるトリプシン中和活性の実証
試薬
ニワトリ卵白を手で卵黄から分離し、そして1:1の比率でアッセイ緩衝液(トリス緩衝液、0.05M、pH8.2、0.02M CaClを含む)を用いて希釈した。シチメンチョウ卵白(Sigma UK)およびウシ初乳(Colostrum UK ltd)試薬からの高度に精製されたII型トリプシン阻害剤を、それぞれ、アッセイ緩衝液中0.4g/Lおよび100g/Lの濃度で調製した。
手順
種々の容量のトリプシン阻害剤(ニワトリ卵白、シチメンチョウ卵白II型トリプシン阻害剤、通常のヒツジ血清;ウシ初乳)を2セットの試験チューブにピペットで入れ、そして0.02M CaClを含む1mLトリス緩衝液(0.05M、pH8.2)を用いて1mLに調整した。トリプシン溶液(0.2mg/ml)を1mM塩酸中で調製し、そして1mlを各チューブに加え、その後、1mlのDL−BAPNA溶液(0.5mg/ml)を加えた。室温で5分間インキュベーションした後、0.5mlの酢酸溶液(30%v/v)の添加によって反応を終了させ、そして各チューブの410nmにおける吸光度を分光測定した。ブランク試料は、基質溶液より前に停止溶液を加えることによって調製した。
初乳を含むチューブについては、硫酸ナトリウム溶液(360g/l)を等しい容量で加え、そして3500rpmで45分間遠心分離にかけて、カゼインタンパク質を沈降させた。各チューブの上清を回収し、そして吸光度を上記のように測定した。
結果
トリプシン活性の阻害が、ヒツジ血清、ウシ初乳並びにニワトリおよびシチメンチョウ卵白を含む試験した全ての調製物において実証された(図3)。トリプシン阻害は、これらの調製物に存在する内因性阻害剤に起因する。
放射状プロテアーゼ拡散による初乳によるトリプシンの阻害の実証
この技術を使用して、初乳のトリプシン阻害活性を測定した。煮沸水浴中の50mlのアッセイ緩衝液(トリス緩衝液、0.05M、pH8.2;0.02M CaClを含む)中で0.5gの寒天(Bio-Rad)を溶解し、60℃まで冷却し、そしてアッセイ緩衝液中の50mlのカゼインまたは初乳懸濁液(20g/l)を加えて、10g/Lの最終濃度を得ることによって拡散プレートを調製した。温懸濁液を90cmのプラスチックプレートに注ぎ、2.5mmの厚さの層を生じさせ、これを室温で2時間かけて加湿チャンバー中で固形化させた。直径5mmのウェルの穴を開け、そして20μLの種々のブタトリプシン濃度(6.25、12.5、25および50mg/L)を各ウェルにローディングした。プレートを室温で(22℃)加湿チャンバー中で24時間インキュベーションした。トリプシン拡散およびカゼインの消化から生じた透明なサークルの直径(dmm)を測定し、そしてトリプシン濃度に対してプロットした(図4)。
結果は、10g/Lの濃度の初乳が、試験した濃度でトリプシンのタンパク質分解活性を阻害したことを示した。
ニワトリ卵白の存在下によるトリプシンによる消化からのヒツジ免疫グロブリンの保護
ヒツジIgGをカプリル酸によって精製し、そしてクエン酸ナトリウム食塩水緩衝液(pH6.0)中で25g/Lで製剤化した。ブタトリプシンを1mM塩酸中に溶解して2g/Lの濃度とし、そして全タンパク質の5%w/wの濃度でヒツジIgGに加えた。トリス緩衝液(0.05M、pH8.2;0.02M CaClを含む)で1:1の比で希釈した等容量のニワトリ卵白を加え、そして混合物を37℃で20時間インキュベーションした。消化をサイズ排除ゲルろ過(FPLC)によってモニタリングした。
結果は、ニワトリ卵白が、トリプシンによる消化からIgGを完全に保護したことを示した。対照実験は、これらの実験条件下においておよびニワトリ卵白の非存在下において、トリプシンはIgGをFabおよび小さなフラグメントへと完全に消化したことを実証した。
実施例13 キモトリプシンのタンパク質分解活性の阻害の実証
プロテアーゼ反応速度は、ベンゾイル−L−チロシンエチルエステルの加水分解から生じる256nmにおける吸光度の増加を測定することによって決定される。1単位は、pH7.8および25℃で特定の条件下において、1分間あたり1μmolのベンゾイル−L−チロシンエチルエステル(BTEE)を加水分解する。
試薬
0.1M塩化カルシウムを含む0.08MトリスHCl緩衝液(pH7.8)
50%w/wメタノール(63mlの無水メタノールが50mlの試薬等級の水に添加された)中の0.00107Mベンゾイル−L−チロシンエチルエステル(BTEE)
0.001N HClに1mg/mlで酵素を溶解する。アッセイのために0.001N HCl中で10〜30μg/mlに希釈する。
手順
分光光度計を256nmおよび25℃に調整する。
種々の容量のキモトリプシン阻害剤(例えば抗体、卵白誘導体、または初乳)を2セットの試験チューブにピペットで入れ、そしてアッセイ緩衝液(0.08MトリスHCl緩衝液、pH7.8、0.1M CaClを含む)を用いて1.5mlに調整した。対照試料は、等タンパク質濃度の非特異的タンパク質または抗体を含んでいた。
前記に1.4mlの0.00107M BTEEを加える。
分光光度計中で25℃で4〜5分間インキュベーションし、温度平衡を達成し、そしてあればブランク比を記録する。0.1mlの適切に希釈された酵素を加え、そして256nmにおける吸光度の増加を4〜5分間記録する。曲線の最初の線形部分からΔA256/分を計算する。
効果的なキモトリプシン阻害剤を含む試験試料はDL−BAPNAの開裂を阻害し、従って、対照試料と比較して256nmにおける吸光度の増加を阻害することが判明した。
実施例14 トリプシンおよびキモトリプシンに対する抗体阻害剤を含む製剤の調製
経口送達した場合にCDIを予防および処置するのに効果的な抗体の製剤は、以下の成分:
− ディフィシル毒素Aおよび/またはBに対するヒツジ抗体
− 場合により、ディフィシルバイナリー毒素に対するヒツジ抗体
− ヒトトリプシンに対する阻害活性を有するヒツジ抗体および/またはヒトキモトリプシンに対する阻害活性を有するヒツジ抗体
− 場合により、胃酸の中和を補助する制酸成分
− 場合により、混合物をより美味にするための甘味剤などの香味剤
を含み得る。
詳細には、典型的な製剤は、以下:
− 5〜50mg/mlの毒素Aおよび/またはBに対するヒツジ抗体
− 場合により、5〜50mg/mlのバイナリー毒素に対するヒツジ抗体
− 5〜50mg/mlのトリプシンおよび/またはキモトリプシンの抗体阻害剤
− 場合により、例えば0.05〜0.5Mの濃度の、制酸成分(例えば水酸化マグネシウムまたは重炭酸ナトリウム)
− 場合によりバニラエッセンスなどの香味剤(例えば甘味剤)
を含む。
実施例15 トリプシンおよび/またはキモトリプシンの薬物(例えば卵由来)阻害剤に基づいた製剤の調製
経口送達された場合にCDIを予防および処置するのに効果的な抗体の製剤は、以下の成分:
− ディフィシル毒素Aおよび/またはBに対するヒツジ抗体
− 場合により、ディフィシルバイナリー毒素に対するヒツジ抗体
− 実施例11に記載のようなトリプシンおよびキモトリプシンに対するプロテアーゼ阻害活性を含む雌ニワトリ卵からの粗または精製したタンパク質画分
− 場合により、胃酸の中和を補助するための制酸成分
− 場合により、混合物をより美味にするための甘味剤などの香味剤
を含む。
詳細には、典型的な製剤は以下:
− 5〜50mg/mlの毒素Aおよび/またはBに対するヒツジ抗体
− 場合により、5〜50mg/mlのバイナリー毒素に対するヒツジ抗体
− 5〜50mg/mlの濃度の雌ニワトリ卵白に由来するプロテアーゼ阻害剤(実施例11に記載のように精製)
− 場合により、例えば0.05〜0.5Mの濃度の、制酸成分(例えば水酸化マグネシウムまたは重炭酸ナトリウム)
− 場合により、バニラエッセンスなどの香味剤(例えば甘味剤)
を含む。
実施例16 ウシ初乳−ヒツジ抗体製剤の調製
ウシ初乳を含むヒツジ抗体製剤は、いくつかの方法:
液体のウシ初乳を、ヒツジIgG溶液と混合することによって。
凍結乾燥または乾燥させたウシ初乳を、液体IgGと混合することによって。
液体のウシ初乳を、凍結乾燥したヒツジIgGと混合することによって。
凍結乾燥または乾燥したウシ初乳を凍結乾燥したヒツジIgGと混合し、そして水または緩衝食塩水を用いて所望の濃度に復元することによって
で調製され得る。
上記の製剤において、初乳成分は、その最初の濃度の10%〜90%の最終濃度を有する。IgGの最終濃度は理想的には10〜50mg/mlである。
経口送達された場合にCDIを予防および処置するのに効果的な抗体の製剤は、以下の成分:
− ディフィシル毒素Aおよび/またはBに対するヒツジ抗体
− 場合により、ディフィシルバイナリー毒素に対するヒツジ抗体
− 初乳成分は、その最初の濃度の10%〜90%の最終濃度を有する
− 場合により、胃酸の中和を補助するための制酸成分
− 場合により、混合物をより美味とするための甘味剤などの香味剤
を含む。
詳細には、典型的な製剤は以下:
− 5〜50mg/mlの毒素Aおよび/またはBに対するヒツジ抗体
− 5〜50mg/mlのバイナリー毒素に対するヒツジ抗体
− 初乳成分は、その最初の濃度の10〜90%の最終濃度を有する
− 場合により、例えば0.05〜0.5Mの濃度の、制酸成分(例えば水酸化マグネシウムまたは重炭酸ナトリウム)
− 場合により、バニラエッセンスなどの香味剤(例えば甘味剤)
を含む。
実施例17 ポリエチレングリコールまたはデキストランを用いて改変された抗体の調製
ポリエチレングリコール(PEG)またはデキストランの分子を、抗体に多種多様な方法で付着させ、前記分子は単独でまたは組み合わせて使用され得る。
N−ヒドロキシスクシンイミドPEG誘導体は、アミノ基を介するヒツジIgGへの付着を可能とする。これらの反応のために、水性緩衝液(例えばHEPES 50mM、pH6.5〜8.0)中の新しく調製したN−ヒドロキシスクシンイミドPEGを、IgG溶液(5〜100mg/ml)と37℃で3時間までまたは4℃で24時間までかけて混合する。
カルボキシルPEG化:軽度の酸性pHでEDEC(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド、HCl塩)によって活性化された後、抗体のカルボキシル基は、PEG−ヒドラジドと容易に反応し、一方、全ての試薬に存在するアミノ基はこれらの特定の条件下で不活性のままである。
炭水化物を介してPEGヒドラジドは、オリゴ糖残基の過ヨウ素酸酸化によって形成されたアルデヒド基と反応して、ヒドラゾンを形成する。
上記のカップリング法を使用して、種々の分子量(500〜40000Da)のPEGを、1抗体分子あたり2〜20のPEG分子の比でIgGに結合させる。
デキストランは誘導体化剤としてPEGの代替選択肢であり、そしてそれらは分子サイズ(500〜40000Da)の範囲で入手可能であり、これはデキストランのポリアルデヒド誘導体を作る過ヨウ素酸ナトリウムを使用して1抗体分子あたり2〜20のデキストラン分子の比でIgGに共有結合的に付着し得る。PEG化学反応とは異なり、各デキストラン部分は、抗体上の1つより多くの部位に付着し得る。デキストランを用いての改変のための非常に類似した戦略を、上記のPEG化について記載のように使用し得、そしてこれらはHermanson (Hernamson, GT (1996) Bioconjugate Techniques, Academic Press)によって記載されている。
PEG化またはデキストラン誘導体化IgG調製物の生物活性を、実施例8において記載のような細胞アッセイにおいて毒素A、Bまたはバイナリー毒素のいずれかを中和するその能力によって測定する。PEG化またはデキストラン誘導体化IgGの安定性を、実施例21に記載したような模擬した胃内および腸内条件を使用して評価する。in vivoにおける効力試験と合わせて、これらの評価を使用して上記PEG化条件を最適化し、消化管環境に対して所望の安定性を有するIgG製剤を提供する。
抗体の生物活性(毒素中和活性)の保持は、消化管環境からのその保護とは両立しない。PEG化またはデキストラン誘導体化条件により好ましくは、全体として腸への活性IgGの最も高い送達がなされる。
実施例18 アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸のコポリマー(Eudragit)を用いての抗体のコーティング
経口送達のためのヒツジ抗体を製剤化する1つの方法において、抗体をまず、コーンスターチ粉末と混合することによって小さな顆粒にする。この方法では、精製したヒツジIgGを、約1部のIgGに対して4部のスターチの比でコーンスターチと混合する。その後、この混合物を造粒機(例えばYokomizo Granular model FR160 x 60)で20〜37℃の温度で、60〜90%の湿度で、2〜15分間かけて造粒し、1〜4mmの直径の顆粒を生成する。プロセスの2段階目で、PEG(分子量範囲3000〜10000から選択)のPEG水溶液(3〜10%)に浸し、その後、37℃で風乾することによってIgG顆粒に封をする。プロセスの最後段階で、封をしたIgG顆粒を、Eudragit(例えばEudragit L100-55; Rohm GmbH, Germany)溶液でコーティングする。このために、ポリマーをゆっくりと水に加え、そしてNaOHを加えてカルボキシル基の5〜15%を部分的に中和することによってEudragit L100-55(10〜20%)水溶液を作る。その後、PEGでコーティングされたIgG顆粒を、浸漬および37℃での風乾の繰り返しによってポリマー溶液中でコーティングし、5〜40%(w/w)の最終ポリマーコーティングを得る。
コーティングされたIgGの安定性を、実施例21に記載したような模擬した胃内および腸内条件を使用して評価する。in vivoにおける効力試験と合わせたこれらの評価を使用して、上記のコーティング条件を最適化し、消化管環境に対して所望の安定性を有するIgG製剤を提供することができる。
実施例19 アルギネート/キトサンのコポリマーを用いての抗体のコーティング
アルギネート/キトサンマイクロカプセルを、Esquisabel et al. (J. Microencapsul, 14:627-638; 1997)(その全体が参照により組み入れられる)によって記載のものと類似した方法によって調製する。この方法では、0.2%(w/v)塩化カルシウムを含む2%(w/v)アルギネート水溶液を、精製したヒツジIgG(最終濃度0.1〜20mg/ml)に加える。混合後、この水相を油相(例えば0.2%Tween80を含むダイズ油)と、1部の水に対して10部の油の比で混合し、そして5〜10分間かけて乳化する。pHを約pH5に調整した後、ゲル化反応が完了するまで混合物を15分間撹拌する。この懸濁液に、水/n−ヘキサン(80:20)混合物を加え、そして抗体マイクロカプセルを水相に分配させる。この水相を分離し、そして1%catic酸溶液中のキトサン溶液0.1〜10%(w/v)に種々の比率で加え、そして30分間反応させ、その後、濾過し乾燥させる。
その後、コーティングされたIgGの安定性を、実施例21に記載のような胃内および腸内条件を使用して評価する。in vivoにおける効力試験と合わせてこれらの評価を使用して上記のコーティング条件を最適化し、消化管環境に対して所望の安定性を有するIgG製剤を提供する。
実施例20 ペクチンを用いての抗体のコーティング
ペクチンビーズは、Munjeri et al. (Drug Delivery 5: 239-241; 1998)によって記載のように形成される。アミド化低級メトキシルペクチンの水溶液(4%w/v)を高速混合によって調製する。ペクチンおよび抗体を200:1から10:1(ペクチン対抗体)までの種々の比率で合わせ、そして塩化カルシウム溶液(約2%w/v)に前記溶液を滴下して加えることによって、アミド化ペクチン−抗体ビーズを調製する。前記溶液を1〜5mmの範囲の直径のチューブを通してポンプで押し出し、そして得られたビーズを風乾し、そして4℃で保存する。
実施例21 模擬胃内および腸内条件を使用した消化酵素に対する抗体製剤の安定性の評価
製剤を、模擬胃内条件にさらすことによって胃内安定性について評価する。これらは米国薬局方(United Stated Pharmacopeial Convention Council of Experts (2004) 27, volume 22 p 2728)(その全体が組み入れられる)において記載のように調製され、そして30mM NaCl中3.2mg/mlペプシン(pH1.2)からなる。抗体製剤をこの溶液と、1部のペプシン溶液に対して250部の抗体溶液の比で混合し、そして種々の時間(例えば0分間〜360分間)37℃でインキュベーションする。この時間の終了時に、抗体の完全性を、実施例8に記載のように毒素A/B中和効力について評価する。150kDaの抗体分子の分解はまた、SDS PAGEゲル上でも評価され、インタクトな150kDaの量を、非処理対照試料と比較して定量することができる。
製剤を、模擬腸内条件にさらすことによって腸内安定性について評価する。これらは米国薬局方(United Stated Pharmacopeial Convention Council of Experts (2004) 27, volume 22 p 2728)(その全体が組み入れられる)において記載のように調製され、そして50mMリン酸カリウム緩衝液中10mg/mlパンクレアチン(pH6.8)からなる。抗体製剤をこの溶液と、1部のパンクレアチン溶液に対して50部の抗体溶液の比で混合し、そして種々の時間(例えば0分間〜360分間)37℃でインキュベーションする。この時間の終了時に、抗体の完全性を、実施例8に記載のように毒素A/B中和効力について評価する。150kDaの抗体分子の分解はまた、SDS PAGEゲル上でも評価され、インタクトな150kDaの量を、非処理対照試料と比較して定量する。
また、前記の模擬胃内および腸内条件の組合せを使用して、抗体製剤の安定性を評価する。この場合、ペプシン溶液を用いての処理後、混合物のpHを、前記したようにパンクレアチン溶液を加える前に、例えば0.1M重炭酸ナトリウム溶液または0.1Mトリス−HClの添加によって6.8まで上昇させる。
実施例22 CDIの予防についてヒツジ抗体のin vivoにおける効力の評価
in vivoにおいてCDIを予防する抗体の効力を実証するために、シリアンハムスターに抗体製剤を経口投与する。予防製剤の効力の評価のために、C.ディフィシルを用いてのチャレンジの96時間前からチャレンジから240時間後までの種々の時点で、ハムスターに抗体を経口投与する(0.5mlまで)。
製剤の投与中、広域抗生物質(例えばクリンダマイシン)を投与し、その後、12〜72時間後にC.ディフィシル胞子を用いて経口でチャレンジすることによって、ハムスターにCDIを誘発する。その後、動物を15日間、C.ディフィシル関連疾病の症状についてモニタリングする。対照の非処理動物は疾病の兆候(例えば下痢、腹部膨満、傾眠、被毛の乱れ(ruffled fur))を発達させ、一方、ヒツジ抗体製剤を用いて処理されたものは、正常のようであったか、またはほんの軽度な疾病症状を発達させるかのいずれかである。
実施例23 CDIの処置についてヒツジ抗血清のin vivoにおける効力の評価
in vivoにおいてCDIを処置する抗体の効力を実証するために、シリアンハムスターに抗体製剤(実施例15および16に記載のような)を経口投与する。処置製剤の効力の評価のために、C.ディフィシルを用いてのチャレンジから6時間後から240時間後までの種々の時点においてハムスターに抗体を経口投与する(0.5mlまで)。
製剤の投与前に、広域抗生物質(例えばクリンダマイシン)を投与し、その後、12〜72時間後にC.ディフィシル胞子を用いて経口でチャレンジすることによって、ハムスターにCDIを誘発する。その後、動物を15日間、C.ディフィシル関連疾病の症状についてモニタリングする。対照の非処理動物は疾病の兆候(例えば下痢、腹部膨満、傾眠、被毛の乱れ)を発達させ、一方、ヒツジ抗体製剤を用いて処理されたものは、正常のようであったか、またはほんの軽度な疾病症状を発達させるかのいずれかである。
In vivoにおける実験1−制酸剤の存在下における抗体の経口送達
目的:
C.ディフィシル胞子(VPI 10463株)を用いてのチャレンジによって誘導されるCDIから防御する、経口投与された毒素AおよびBに対するヒツジ抗体の混合物の効力を評価するため。2つの異なる用量レベルを評価し、これは0日目に1回投与され、その後、4日間は1日2回投与された。
方法
3つの群の動物を使用した:
1群および2群−10匹の動物の「試験亜群」および4匹の動物の「対照亜群」(胞子チャレンジを受けなかった)に分類された。
3群−10匹の動物の「試験亜群」
1群−試験群および対照群は、0.1M重炭酸ナトリウムを含むPBSを受けた(重炭酸ナトリウムは0.1Mとなるまで投与直前に加えられた)。
2群−試験群および対照群は、0.1M重炭酸ナトリウムを含む1:1比のヒツジ抗体A+B混合物を受けた(重炭酸ナトリウムは0.1Mとなるまで投与直前に加えられた)。ヒツジ抗毒素A−バッチCDA000185およびヒツジ抗毒素B−バッチCDB000229を1:1の比で使用した。最終抗体濃度は、混合物1mlあたり45mgであった。ハムスターは1日あたり45mgの抗体を受けた。
3群−試験群および対照群は、0.1M重炭酸ナトリウムを含む1:1比のヒツジ抗体A+B混合物を受けた(重炭酸ナトリウムは0.1Mとなるまで投与直前に加えられた)。ヒツジ抗毒素A−バッチCDA000185およびヒツジ抗毒素B−バッチCDB000229を1:1の比で使用し、そしてPBSで5倍に希釈した。最終抗体濃度は混合物1mlあたり9mgであった。ハムスターは1日あたり9mgの抗体を受けた。
クリンダマイシン(0.2mlの10mg/ml溶液)およびC.ディフィシルVPI 10463胞子(0.2mlの用量中に250cfu)を経口胃で投与した。
in vivoにおける実験1についての投与タイムテーブル(全ての用量を経口胃で投与する)
Figure 0005877161
結果および結論
生存データを図5に示す。対照群は重度のCDIの急速な発症を示し、全ての動物がチャレンジから3日間以内に重度の疾病に罹った。
経口投与された抗体混合物は、疾病発症率に対する防御を与えた。チャレンジから4日目に、PBS対照(1群)では動物の100%が疾病に罹ったが、それぞれ低用量(3群)および高用量(2群)の抗体用量群では30%および60%が生存していた。
実験終了時に、両方の抗体群で動物の20%が生存していたが、これと比較してPBS対照群では0%であった。投与した制酸用量の存在下における経口投与された抗体は、CDIの発症に対していくらかの防御を与える。
In vivoにおける実験2−制酸剤の存在下における高い抗体用量の経口送達
目的:
C.ディフィシル胞子(VPI 10463株)を用いてのチャレンジによって誘導されるCDIから防御する、経口投与された毒素AおよびBに対するヒツジ抗体の混合物の効力を評価するため。抗体は、0日目に1回投与され、その後、4日間は1日3回投与された。
方法
2つの群の動物を使用した:
1群−10匹の動物の「試験亜群」および4匹の動物の「対照亜群」(胞子チャレンジを受けなかった)に分類された。
2群−10匹の動物の「試験群」
1群−試験亜群および対照亜群は処置を全く受けなかった
2群−試験群は、0.1M重炭酸ナトリウムを含む1:1比のヒツジ抗体A+B混合物を受けた。(重炭酸ナトリウムは0.1Mとなるまで投与直前に加えられた)。ヒツジ抗毒素A−バッチCDA000264およびヒツジ抗毒素B−バッチCDB000229を1:1の比で使用した。最終抗体濃度は、混合物1mlあたり45mgであった。ハムスターは1日あたり68mgの抗体を受けた。
クリンダマイシン(0.2mlの10mg/ml溶液)およびC.ディフィシルVPI 10463胞子(0.2ml用量中500cfu)を経口胃で投与した。
結果および結論
生存データを図6に示す。対照動物(1群)は比較的遅い重度のCDIの発症を示し、動物の60%がチャレンジから9日間以内に重度の疾病に罹った。緩衝化された液状の抗体(1日あたり合計で68mg)で処置された2群動物は、16日間の実験期間におよびCDIの症状は全く示さず、そして完全に防御された。1匹の動物が17日目に疾病を患った。全体として、対照群(1群)と比較して2群の動物ではCDIから有意に防御された。
データは、経口投与されたヒツジ抗体がCDIの予防および処置の両方ができることを示す。
in vivoにおける実験2についての投与タイムテーブル(全ての用量を経口胃で投与する)
Figure 0005877161
in vivoにおける実験3−腸溶性コーティングカプセルの形態での抗体の経口送達
目的:
C.ディフィシル胞子(VPI 10463株)を用いてのチャレンジによって誘導されるCDIから防御する、経口投与されたカプセル化形態の毒素AおよびBに対するヒツジ抗体の混合物の効力を評価するため。
方法
2つの群の動物を使用した:
1群−10匹の動物の「試験亜群」および4匹の動物の「対照亜群」(胞子チャレンジを受けなかった)に分類された。2群−10匹の動物の「試験群」
1群−試験群および対照群は全く処置を受けなかった。
2群−試験群は腸溶性コーティングカプセル(Encap:バッチ244/15/1)を受けた。カプセルは、胃および小腸を通じてその完全性を維持するために、2つの腸溶性コーティング(Eudragit+PEG400)を受けた。これらは、1:1の比でヒツジ抗毒素A−バッチCDA000264およびヒツジ抗毒素B−バッチCDB000229の約10μlの混合物を含んだ。ハムスターは、1日あたり約1.5mgの抗体混合物を受けた。
結果および結論
生存データを図7に示す。2群の動物に、カプセル形態の少用量の抗体(1日あたり約1.5mg)を投与した。この抗体用量によるいくらかの防御が観察された。チャレンジから5日目に、1群対照動物の40%が重度の疾病に罹ったが、2群では90%が生存していた。実験の終了時に2群のカプセルで処置された動物の60%が生存し、これに比較して1群対照では40%であった。
in vivoにおける実験3についての投与タイムテーブル(全ての用量を経口胃で投与する)
Figure 0005877161
実施例24 抗体製剤(薬物)の臨床使用
「リスクがある」患者群の予防的処置
CDIの予防として、「リスクがある」と同定された患者は、薬物で処置される。このような患者群を定義するためのパラメータとしては以下:
− 入院している
− 65歳を超えている
− 広域抗生物質を投与されている
− CDIの病歴があるかまたは徴候のある症例に近接する
が挙げられる。
経口抗体療法に特に適切である患者群としては以下:
− 軽度から中程度の疾病重度を有する患者
− 無症候であるが、高い再発のリスクがあると考えられる患者(おそらく1回以上の再発エピソードのため)
− 大流行の症例に近接する患者
が挙げられる。
このカテゴリーに該当する患者は、2週間までの期間におよび1日6回まで10〜50mlの薬物の製剤を経口投与されるだろう。どの患者も、処置中にはCDIの症状を発症しないだろう。
実施例25 経口送達される抗体および抗生物質の組合せの臨床使用
CDIを処置するための抗体の経口投与は、以下の実施例に詳述するような標準的な抗生物質療法と併せて実施される。
再発性のクロストリジウム・ディフィシル感染を有する患者のCL夫人は、老人ホームにいる間に、尿路感染を処置するために処方された抗生物質のクール後に下痢を発症する。何日か後に水様下痢を発症し、そして病院に運ばれ、そこで糞便試料中に毒素Aおよび毒素Bが検出される。84歳の患者はメトロニダゾールのクールを受け、そして完全に回復したようにみえる。しかしながら、数日後に下痢を再発し、そして再度、適切な手順によってCDIと診断される。バンコマイシンのクールにより一過性に下痢は収まったが、数日間以内に3回目のCDIが再発した。最後に、漸減量のバンコマイシンと、4週間クールの経口投与されたヒツジポリクローナル抗体(500mg1日2回)の組合せにより完全に治癒される。
実施例26 全身および経口送達された抗体製剤の組合せの臨床使用
腸閉塞を起こし得る重度のCDIに患者が罹患した場合には、全身および経口送達される抗体の組合せが使用される。このような使用の一例を以下に示す。
難治性のクロストリジウム・ディフィシル感染患者で72歳の年金受給者であるMN夫人は、軽度の発作後に病院に入院する。平穏無事に回復し、その時、抗生物質を必要とする胸部感染を発症する。10日後、軽度の腹痛を伴う重度の下痢を起こす。毒素Aおよび毒素Bの両方が糞便試料中に検出され、それからC.ディフィシルを培養し、その後、リボタイプ027であることが示された。直ちにC.ディフィシル感染(CDI)と診断され、MN夫人はメトロニダゾールのクールを受ける。しかしながら症状は改善したが、水様便は続いている。バンコマイシンのクールもCDIを完全に寛解できない。C.ディフィシル毒素は依然として糞便中に存在するので、ヒツジ抗C.ディフィシル毒素抗体の3回の静脈内注射を受ける(隔日に250mg)。それと組み合わせて、外来患者としてヒツジ抗体(500mg1日2回)も経口投与され(3週間のクールを介して)、そして完全に回復する。
配列番号
配列番号1 クロストリジウム・ディフィシル毒素A−毒素タイプ0
Figure 0005877161

Figure 0005877161
配列番号2 C.ディフィシル毒素B−毒素タイプ0のタンパク質配列
Figure 0005877161
配列番号3 C.ディフィシル毒素A−毒素タイプIIIのタンパク質配列
Figure 0005877161

Figure 0005877161
配列番号4 C.ディフィシル毒素B−毒素タイプIIIのタンパク質配列
Figure 0005877161
配列番号5 C.ディフィシルバイナリー毒素フラグメントAのタンパク質配列
Figure 0005877161
配列番号6 C.ディフィシルバイナリー毒素フラグメントBのタンパク質配列
Figure 0005877161
配列番号7 ヒトトリプシン−1(Swiss Prot accession P07477)
Figure 0005877161
配列番号8 ヒトトリプシン−2(Swiss Prot accessionP07478)
Figure 0005877161
配列番号9 キモトリプシン−B(Swiss Prot accessionP17538)
Figure 0005877161

Claims (22)

  1. C.ディフィシル(C. difficile)感染の予防または処置において使用するためのヒツジ抗体を含む抗体組成物であって、前記抗体はC.ディフィシル毒素に結合し、そして前記予防または処置は抗体組成物の経口送達による、前記抗体組成物。
  2. 抗体が、ポリクローナル抗体である、請求項1記載の使用のための抗体組成物。
  3. 抗体が、C.ディフィシル毒素A、C.ディフィシル毒素BおよびC.ディフィシルバイナリー毒素からなる群より選択されるC.ディフィシル毒素に結合する、請求項1〜2のいずれか記載の使用のための抗体組成物。
  4. 抗体が、C.ディフィシル毒素AおよびC.ディフィシル毒素Bに結合する、請求項3記載の使用のための抗体組成物。
  5. 抗体が、C.ディフィシル毒素AおよびC.ディフィシルバイナリー毒素に結合する、請求項3記載の使用のための抗体組成物。
  6. 抗体が、C.ディフィシル毒素BおよびC.ディフィシルバイナリー毒素に結合する、請求項3記載の使用のための抗体組成物。
  7. C.ディフィシル毒素が、以下の群:毒素タイプ0、毒素タイプIIIおよび毒素タイプVから選択される毒素Aである、請求項1〜5のいずれか記載の使用のための抗体組成物。
  8. C.ディフィシル毒素が、以下の群:毒素タイプ0、毒素タイプIII、毒素タイプVおよび毒素タイプVIIIから選択される毒素Bである、請求項1〜4または請求項6のいずれか記載の使用のための抗体組成物。
  9. C.ディフィシル毒素が、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)リボタイプ017である、請求項1〜4または請求項6のいずれか記載の使用のための抗体組成物。
  10. 請求項1〜のいずれかに定義された抗体組成物を、トリプシンおよび/またはキモトリプシンおよび/または胃酸から前記抗体組成物を保護するための1つ以上の手段と一緒に含む、経口送達のための薬学的組成物。
  11. トリプシンおよび/またはキモトリプシンおよび/または胃酸から前記抗体組成物を保護するための1つ以上の手段が、
    (a)トリプシンおよび/またはキモトリプシンに特異的に結合し、そしてそのタンパク質分解活性を抑制または不活性化するポリペプチド;および/または
    (b)トリプシンおよび/またはキモトリプシンに結合し、そして前記トリプシンおよび/またはキモトリプシンのプロテアーゼ活性を抑制または不活性化する抗体;および/または
    (c)リポソーム、ミクロソーム、ナノソーム、ペレット、顆粒状マトリックス、ビーズ、ミクロスフィア、ナノ粒子製剤または水性液剤から選択される送達ビヒクル;および/または
    (d)制酸分子;および/または
    (e)より多くの抗体の1つに共有結合的に付着したPEG化部分
    から選択される、請求項10記載の経口送達のための薬学的組成物。
  12. 前記組成物が、制酸分子および
    (a)トリプシンおよび/またはキモトリプシンに特異的に結合し、そしてそのタンパク質分解活性を抑制または不活性化するポリペプチド;または
    (b)トリプシンおよび/またはキモトリプシンに結合し、そして前記トリプシンおよび/またはキモトリプシンのプロテアーゼ活性を不活性化する抗体
    を含む、請求項10または請求項11記載の経口送達のための薬学的組成物。
  13. C.ディフィシル感染の予防または処置において使用するための、請求項10〜12のいずれか記載の薬学的組成物。
  14. 請求項1〜のいずれか記載の経口抗体組成物において使用するための、または請求項10〜12のいずれか記載の薬学的組成物において使用するための、ヒツジ抗体を生産する方法であって、前記ヒツジ抗体は、C.ディフィシル毒素またはそのフラグメントを含む免疫原に応答してヒツジによって誘発される、前記方法。
  15. C.ディフィシル感染の予防または処置のための方法において使用するためのヒツジ抗体を生産する方法であって、前記方法は、(i)C.ディフィシル毒素またはそのフラグメントを含む免疫原をヒツジに投与する工程、(ii)ヒツジにおける抗体の生成のために十分な時間をかける工程、そして(iii)ヒツジから抗体を得る工程を含む、前記方法。
  16. 免疫原が、C.ディフィシルトキソイドである、請求項14または請求項15記載の方法。
  17. 前記の1つ以上のトリプシンおよび/またはキモトリプシン阻害剤および/または制酸分子が、抗体組成物の投与より前、同時またはその後に投与される、請求項13記載の使用のための薬学的組成物。
  18. 前記経口投与が、第2のヒツジ抗体組成物の非経口投与より前、同時またはその後に実施され、前記の第2のヒツジ抗体組成物は、請求項1〜8のいずれかに定義されたヒツジ抗体を含、請求項1〜8のいずれか記載の使用のための抗体組成物または請求項12記載の使用のための薬学的組成物。
  19. 前記の非経口投与は前記の経口投与より前に実施される、請求項1〜8のいずれか記載の使用のための抗体組成物または請求項12記載の使用のための薬学的組成物。
  20. 前記の非経口投与が、全身投与である、請求項1〜8のいずれか記載の使用のための抗体組成物または請求項12記載の使用のための薬学的組成物。
  21. 処置または保護しようとする被験体が、以下のカテゴリー:入院している;65または70歳を超えている;広域スペクトルの抗生物質を投与されている;以前にCDIの病歴/感染を有する;症候性CDI患者に近接する;軽度から中程度の疾病重度を有する;無症候性として提示されているが、再発のリスクが高いと考えられている(例えば1回以上の再発エピソードのため);CDI大流行の地域または患者に近接する、の1つ以上にある被験体である、請求項1〜8または18〜20のいずれか記載の使用のための抗体組成物、あるいは請求項13または請求項18〜20記載の使用のための薬学的組成物。
  22. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用のための抗体組成物であって、
    前記ヒツジ抗体が、下記:
    (a)(i)2mlの緩衝溶液中の抗原としてのC.ディフィシル毒素10〜500μg及び(ii)2.6mlの完全フロイントアジュバントを含む一時免疫化溶液を得ること、
    (b)(i)2mlの緩衝溶液中の抗原としてのC.ディフィシル毒素10〜500μg及び(ii)2.6mlの不完全フロイントアジュバントを含むブースト免疫化溶液を得ること
    (c)ヒツジへの、4.2mlの一次免疫化溶液を含む一次免疫化の投与、
    (d)ヒツジへの、4.2mlのブースト免疫化溶液を含む続くブースト免疫化の投与、
    (e)ヒツジにおける抗体の産生に十分な時間を与えること、
    ここで、前記免疫化は、筋肉内、及び首及び全ての上肢を含むヒツジの6つの部位に広げ、前記続くブースト免疫化は、28日毎に繰り返される、
    を含む方法によって得ることができる、抗体組成物。
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