JP5875971B2 - 電力取引システム、マーケット併設型サービスシステム - Google Patents

電力取引システム、マーケット併設型サービスシステム Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、インターネット等の通信網を介して電力に関する売買取引を行う電力取引システム及び当該電力取引システムを含むマーケット併設型サービスシステムに関する。
近年、電力自由化の流れに伴い、特定規模電気事業者(PPS:Power Producer and Supplier)が発電した電力を一般電気事業者が保有する送電網を経由して第三者に売電する取引形態が一般的になってきている。そのような中、電力を商品として、より柔軟に取引を行うための市場を構築する技術の開発が進められている。
例えば、特許文献1には、電力の売買取引において、電力の送電損失率や託送費用等の電力系統の制約を考慮し、社会利益を最大化するように売買注文の約定量を決定する約定処理方法が開示されている。
また、特許文献2には、電力による支払い義務を記載した電子証券を用いた電力取引方法が開示されている。電子証券と言う形で電力取引が行われることで、電力系統における電力需給の同時性を改善することが可能となる。
特開2004−272441公報 特開2003−122956公報
上述した従来の電力取引システムは、発電電力量(ポジワット)を取引商品として流通させるためのシステムであり、電力削減量(ネガワット)のような取引商品を流通させることを想定していない。従って、電気事業者の電力小売り目的の取引と需要家の電力消費削減目的の取引とを区別することはできてはいない。
ネガワットは、実際に電力系統を利用するものではないため、需要家の取引参加が容易となるという性質を有している。従って、ネガワットを商品取引とする場合には、電力の最終消費者である需要家が電力流通市場に大量に参加してくることが考えられる。
従来技術のように、電気事業者と需要家を約定する際に区別できない電力取引システムでは、電気事業者が買い入札を行っても、大量の需要家からの買い入札による約定が競り勝つ可能性が高く、電力供給の逼迫を回避することができないという問題があった。
本発明の実施形態は、上記のような問題点を解決するために提案されたものである。すなわち、本発明の実施形態の目的は、電力の自由化を促進する一方で、安定した電力供給を維持できるように、多数の需要家が取引に参加しても電力逼迫リスクを低減する効果が得られる電力取引システム及び当該電力取引システムを含むマーケット併設型サービスシステムを提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の実施形態は、電力取引システムであって、次の構成を有することを特徴とする。
(1)入札者IDを含む入札情報を受け付ける入札受付部、
(2)前記入札者IDに対応付けられた優先度又は入札者種別に基づいて、前記入札受付部が受け付けた前記入札情報のうち、買い入札情報を複数のグループに分別する入札情報分別処理部、
(3)前記複数のグループのうち、第1のグループへ分別された買い入札情報で示される買い入札を売り入札に対して約定する処理を行い、約定されずに残っている売り入札に対して、後段のグループへ分別された買い入札情報で示される買い入札を約定する処理を行う約定処理部。
第1実施形態に係わる電力取引システムの構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係わる電力取引システムの動作を示すフローチャート図である。 第2実施形態に係わる電力取引システムの構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係わる電力取引システムの動作を示すフローチャート図である。 買い入札情報の一例である。 入札者情報データベースに記憶されている入札者情報の一例である。 売り入札情報の一例である。 第3実施形態に係わる電力取引システムの構成を示すブロック図である。 約定ポリシーの設定から約定処理までの動作を示すフローチャート図である。 第4実施形態に係わる電力取引システムの構成を示すブロック図である。 第5実施形態に係わるマーケット併設型サービスシステムの構成を示すブロック図である。 約定結果情報の一例である。 第6実施形態に係わるマーケット併設型サービスシステムの構成を示すブロック図である。 第7実施形態に係わるマーケット併設型サービスシステムの構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態における説明において、同一の符号が付されている部分は、実質的に同一の機能を有しており、重複部分については適宜説明が省略されている。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる電力取引システム100の構成を示すブロック図である。第1の実施形態に係わる電力取引システム100は、入札受付部101と、入札分別処理部102と、第1約定処理部103と、第2約定処理部104を備えている。
電力取引システム100は、実際に発電される卸売り電力(ポジワット)だけでなく、仮想的な電力量である電力削減予定量(ネガワット)を入札商品(対象商品)として取引を行う。本明細書では、取引対象となる商品であるポジワット及びネガワットを合わせて電力と称する。電力取引システム100を利用する入札者には、一般電気事業者や特定電気事業者だけでなく、電気事業の免許を持たない一般の需要家が含まれる。以下の説明では、特に言及しない限り、入札商品はネガワットであるとして説明する。
入札受付部101は、入札者を識別する入札者IDを含む入札情報を受け付ける。入札情報は、電力取引システム100を利用して対象商品である電力を入札するための情報であり、電力を買うための買い入札情報と電力を売るための売り入札情報とがある。
入札情報は、少なくとも、当該入札が買い入札か売り入札かを示す入札商品種別と、時間帯毎の電力量と、その単価の情報を含んでいる。例えば、30分間単位のネガワットを取引するための買い入札であれば、「14:00〜14:30の間の300KWh
のネガワットを、単価50円/KWh で買いたい」と言う内容の情報が買い入札情報となる。
電力取引システム100に対する入札は、Webアプリケーションのような形態でインターネットを介して接続されている端末から行われても良いし、Webサービスのような形態で、入札者が利用するシステムからのシステム間通信として行われても良い。例えば、入札者は、電力購入を希望する時間帯や単価など、入札に必要な情報を端末の画面から入力し、当該入力された情報が入札情報として、インターネット等のネットワークを介して電力取引システム100に送信される。入札受付部101は、当該ネットワークを介して送信されてくる入札情報を受信することで入札を受け付ける。
入札受付部101は、受け付けた入札情報のうち、買い入札情報を入札分別処理部102へ、売り入札情報を第1約定処理部103へそれぞれ送る。
入札分別処理部102は、入札者IDに対応付けられた優先度又は入札者種別に基づいて、入札受付部101が受け付けた入札情報のうち、買い入札情報を複数のグループに分別する。
入札者種別は、入札者の種別を表す情報である。各入札者は、その入札者の特徴に応じてカテゴライズされており、入札者種別はその入札者が属するカテゴリーを表している。例えば、各入札者は、1:一般電気事業者、2:特定規模電気事業者、3:大口需要家、4:中口需要家、5:小口需要家、6:その他、と言った6つのカテゴリーにカテゴライズされているものとする。
優先度は、入札者に割り当てられた入札優先度を表す情報である。各入札者には、その入札者種別や取引量、取引頻度などに基づいて優先度が割り当てられている。
図1に示す入札分別処理部102は、入札受付部101が受け付けた買い入札情報を第1グループと第2グループの2つのグループに分別する。入札分別処理部102は、第1グループへ分別した買い入札情報を第1約定処理部103へ、第2グループへ分別した買い入札情報を第2約定処理部104へそれぞれ送る。
第1約定処理部103は、第1グループへ分別された買い入札情報で示される買い入札を、売り入札に対して約定する処理を行う。第1約定処理部103は、落札された各入札を表す約定結果を出力すると共に、落札されなかった未約定の売り入札を表す未約定入札情報を第2約定処理部104へ送る。
第2約定処理部104は、第2グループへ分別された買い入札情報で示される買い入札を、第1約定処理部103で落札されなかった未約定売り入札に対して約定する処理を行う。第2約定処理部104は、落札された各入札を表す約定結果を出力する。
次に、電力取引システム100の動作について説明する。図2は、電力取引システム100の動作の流れを示すフローチャート図である。
入札受付部101は、電力取引システム100を利用する入札者から送られる入札情報を受け付ける(ステップS101)。入札受付部101が受け付けた入札情報のうち、買い入札情報は入札分別処理部102へ、売り入札情報は第1約定処理部103へそれぞれ送られる。
具体的な受け付け処理として、入札受付部101は、通信インタフェースで受信された入札情報を読み込み、入札情報に含まれる買い入札か売り入札かを示す入札商品種別情報に基づいて、買い入札か売り入札かを判定する。次に、入札受付部101は、入札情報に含まれる入札時間帯情報に基づいて、入札の時間帯を判定する。入札受付部101は、判定結果に基づいて、入札の種別及び時間帯毎に入札情報をメモリ内の異なる記憶領域に格納しておく。
入札受付部101は、受け付け期限となるタイミングを設定しておき、当該受け付け期限の時刻になった時点で入札の受け付けを締め切る。例えば、入札時間帯の1日前に入札の受け付けを締め切る。入札受付部101は、読み込んだ入札情報に含まれる入札時間帯情報で示される入札の時間帯が受け付け期限を過ぎている場合は、入札情報を上記記憶領域に格納しない。このように、入札受付部101は、通信インタフェースで受信された入札情報が所定の入札受付期限に関する条件を満たしているかを当該入札情報に含まれる入札時間帯に基づいて判定し、当該条件を満たしている場合に入札を受け付ける。入札受付部101が所定の入札時間帯における入札の受け付けを締め切った段階で、次の分別処理へ移行する。
入札分別処理部102は、入札受付部101から買い入札情報を受け取り、当該買い入札情報に含まれる入札者IDに対応付けられた優先度又は入札者種別を取得する(ステップS102)。
具体的な取得処理として、入札分別処理部102は、受け付けが締め切られた入札時間帯の買い入札情報を上記記憶領域から順次読み込む。入札分別処理部102は、電力取引システム100に参加する入札者の情報を記憶している入札者情報データベースから、上記読み込んだ買い入札情報に含まれる入札者IDに対応付けられている優先度又は入札者種別の値を読み込む。
次に、入札分別処理部102は、当該取得した優先度又は入札者種別を、グループ分別のために設定されている条件と比較し、買い入札情報を複数のグループに分別する(ステップS103)。
具体的な分別処理として、入札分別処理部102は、ステップS102で入札者情報データベースより読み込んだ優先度又は入札者種別の値と分別条件とを比較する処理を行い、比較結果に応じて買い入札情報を異なる記憶領域に格納することで、買い入札情報を複数のグループに分別する。入札分別処理部102が、入札を締め切った入札時間帯に係る買い入札情報を全て読み込み、分別処理が完了した時点で第1約定処理部103における約定処理に移行する。
例えば、入札分別処理部102は、買い入札情報を第1グループと第2グループへ分別する。第1グループは優先的に約定される買い入札情報で構成されるグループであり、第2グループは通常の手続きに従って約定される買い入札情報で構成されるグループである。以下の説明では、第1グループへ分別された買い入札情報を第1の買い入札情報と称し、第2グループへ分別された買い入札情報を第2の買い入札情報と称する。
一例として、1:一般電気事業者、2:特定規模電気事業者、3:大口需要家、である入札者からの買い入札情報は第1グループへ分別し、4:中口需要家、5:小口需要家、6:その他、である入札者からの買い入札情報は第2グループへ分別する、と言う分別条件が設定されているとする。この場合、入札分別処理部102は、ステップS102で取得した入札種別が1、2、3であった場合は、その買い入札情報を第1グループへ分別し、入札種別が4、5、6であった場合は、その買い入札情報を第2グループへ分別する。
次に、第1約定処理部103は、入札分別処理部102が第1グループへ分別した買い入札情報で示される買い入札と、入札受付部101が受け付けた売り入札情報で示される売り入札とを約定させる処理を行う(ステップS104)。
具体的な約定処理として、第1約定処理部103は、ステップS101の受け付け処理によってメモリに格納されている売り入札情報と、ステップS103における分別処理によって約定処理の優先順位が最も高い第1の買い入札情報としてメモリに格納されている買い入札情報とを読み込む。第1約定処理部103は、当該読み込んだ売り入札情報及び買い入札情報でそれぞれ示される入札価格を対比し、入札価格の折り合う買い入札と売り入札を、所定のアルゴリズムに従って約定させる。
例えば、第1約定処理部103は、第1の買い入札情報の中で買い入札価格が最も低い買い入札情報を読み込み、当該買い入札価格よりも低い価格が売り入札価格として設定されている売り入札情報があるかを判定する。第1約定処理部103は、条件を満たす売り入札情報がある場合に、これらの買い入札情報と売り入札情報が約定したと判定し、これらの入札情報を第1の約定済み入札情報として約定済み入札情報記憶領域に格納する。一方、条件を満たす売り入札情報がなかった場合は、第1約定処理部103は、当該買い入札情報を未約定買い入札情報記憶領域に格納する。次に、第1約定処理部103は、残っている第1の買い入札情報の中で最も低い買い入札価格が設定されている買い入札情報を読み込み、上記と同様の比較処理を実行していく。全ての第1の買い入札情報についての判定処理が完了した段階で、第2約定処理部104における約定処理へ移行する。
次に、第2約定処理部104は、入札分別処理部102が第2グループへ分別した買い入札情報で示される買い入札と、第1約定処理部103において約定されなかった売り入札とを約定させる処理を行う(ステップS105)。
具体的な約定処理として、第2約定処理部104は、第1約定処理部103における約定処理を経て、未約定の売り入札情報としてメモリに格納されている売り入札情報と、ステップS103における分別処理によって優先度が次に高い第2の買い入札情報としてメモリに格納されている買い入札情報とを読み込む。第2約定処理部104は、当該読み込んだ売り入札情報及び買い入札情報でそれぞれ示される入札価格を対比し、入札価格の折り合う買い入札と売り入札を、第1約定処理部103における約定処理と同様のアルゴリズムに従って約定させる。第2約定処理部103は、約定した入札情報を、第2の約定済み入札情報として約定済み入札情報記憶領域に格納し、約定しなかった買い入札情報と売り入札情報を、それぞれ未約定買い入札情報記憶領域と未約定売り入札情報記憶領域に格納する。
以上説明したように、本第1実施形態に係る電力取引システム100は、入札者IDに対応付けられた優先度又は入札者種別に基づいて、買い入札情報を複数のグループに分別し、所定の条件を満たす入札者からの買い入札を優先的に約定させることを特徴としている。大量の一般需要家の参加が見込まれるネガワット取引市場において、電気事業者が優先的に買い入札を行う機会を得られる構成とすることが可能であるため、電力供給の逼迫を回避することが可能となる。
なお、本第1実施形態では、入札分別処理部102は、第1グループと第2グループの2つのグループに買い入札情報を分別する場合について例示しているが、これに限定されるものではない。第Nグループまで拡張し、更に多くのグループ数のグループに分別することが可能である。
本明細書では、入札分別処理部102が第Nグループへ分別した買い入札情報を第Nの買い入札情報報と称する。入札分別処理部102は、第Nの買い入札情報を第N約定処理部へ送り、第N約定処理部は、第N買い入札情報で示される買い入札を第N−1約定処理部で未約定となった売り入札に対して約定する処理を行う。第N約定処理部は、約定結果を出力すると共に、未約定となった売り入札に関する未約定入札情報を後段の第N+1約定処理部へ送る。このような構成とすることで、拡張性の高い電力取引システムを実現することができる。
本明細書では、第1〜第N約定処理部を纏めて約定処理部と称することがある。入札処理部102は、買い入札情報を複数のグループに分別し、約定処理部は、当該複数のグループのうち、第1のグループへ分別された買い入札情報で示される買い入札を売り入札に対して約定する処理を行う。続いて約定処理部は、約定されずに残っている売り入札に対して、後段のグループへ分別された買い入札情報で示される買い入札を約定する処理を行う。このように約定処理がグループ単位で段階的に行われることで、前段のグループに振り分けられた買い入札情報ほど優先的に売り入札と約定する機会が得られる。
また、上記説明では、入札分別処理部102は、買い入札情報に含まれる入札IDに対応付けられた入札者種別又は優先度に基づいて、売り入札に対して優先的に約定が行われる第1の買い入札と、通常の約定が行われる第2の買い入札へ振り分ける構成について説明した。しかしながら、入札分別処理部102の構成はこれに限定されるものではない。
例えば、入札分別処理部102は、入札者種別又は優先度の指標に加えて、買い入札情報で示される入札量や入札価格に基づいて振り分ける構成としても良い。入札分別処理部102は、入札受付部101が受け付けた買い入札情報に含まれる入札量が、所定の基準入札量や他の買い入札情報から求まる基準入札量よりも上回っている場合に、この買い入札情報の分別先を第2グループから第1グループへ変更する。入札分別処理部102は、入札受付部101が受け付けた買い入札情報に含まれる入札量が、所定の基準入札量や他の買い入札情報から求まる基準入札量よりも上回っている場合に、第2グループから第1グループへ変更する。
このように構成することで、優先度等が低い入札者からの入札であっても、大口の買い入札や、高い落札価格であっても確実な入札を希望する入札者からの買い入札である場合に、優先取引市場となる第1約定処理部103で優先的に約定することが可能となる。
また、上記説明では、入札分別処理部102は、入札受付部101が受け付けた入札情報のうち、買い入札情報を複数のグループに分別する場合について説明したがこれに限定されるものではない。入札分別処理部102は、入札者IDに対応付けられた優先度又は入札者種別などの指標に基づいて、入札受付部101が受け付けた入札情報のうち、売り入札情報を複数のグループに分別する構成であっても良い。
例えば、信頼性の低い入札者からの売り入札は、第2約定処理部104へ振り分けると言った構成や、商品種別がポジワットである場合に、電気事業者や優先度の高い入札者からの売り入札情報を優先的な約定が行われる第1約定処理部103へ分別する構成とする。このように構成することで、電力逼迫リスクを更に低減することが可能となる。
<第2実施形態>
本第2実施形態に係る電力取引システムは、各入札者に割り当てられた優先度を利用して、一般電気事業者等を優先的に約定させる機能を備えることを特徴とする。以下、図面を参照して詳細に説明する。但し、第1実施形態で既に説明した個所については適宜説明を省略する。
図3は、第2実施形態に係る電力取引システム100の構成を示すブロック図である。電力取引システム100は、入札受付部101と、入札分別処理部102と、第1約定処理部103と、第2約定処理部104と、入札者情報データベース(DB)105と、を備えている。
第2実施形態において、所定の分別条件に基づいて入札情報を複数のグループに分別する入札分別処理部102は、入札優先度判定部102aを備えることを特徴としている。また、入札受付部101は、買い入札受付部101aと、売り入札受付部101bと、を備える。買い入札受付部101aは、ネットワークを介して送信されてきた買い入札情報を受信して買い入札を受け付け、当該買い入札情報を入札優先度判定部102aに送る。売り入札受付部101bは、ネットワークを介して送信されてきた売り入札情報を受信して売り入札を受け付け、当該売り入札情報を第1約定処理部103に送る。
入札優先度判定部102aは、買い入札受付部101aが受け付けた買い入札情報に含まれる入札者IDに対応づけられた優先度に基づいて、買い入札情報を第1グループと第2グループに分別する。具体的には、入札優先度判定部102aは、優先度が所定の閾値より高い買い入札情報を第1の買い入札情報と判定し、優先度が所定の閾値より低い買い入札情報を第2の買い入札情報と判定する。入札優先度判定部102aは、判定結果に従い、第1の買い入札情報を第1約定処理部103へ、第2の買い入札情報を第2約定処理部104へそれぞれ送る。
なお、3つ以上の約定処理部を使い分けるために、入札優先度判定部102aは、2種類以上の優先度閾値を用いて判定を行ってもよい。以降では、入札優先度判定部102aが用いる優先度閾値を1つとして実施例を述べる。
第1約定処理部103は、売り入札受付部101bより送られてくる売り入札情報と、入札優先度判定部102aにて第1の買い入札情報と判定された買い入札情報とを受け取り、所定の約定方式を用いて約定処理を行う。例えば、第1約定処理部103は、電力の買い又は売りを希望する時間帯毎に、受け取った買い入札情報と売り入札情報を分類し、時間帯毎に買い入札を売り入札に対して約定させる処理を行う。第1約定処理部103は、約定処理によって得られた約定結果を第1の約定結果として出力する。また、第1約定処理部103は、落札されなかった売り入札を未約定入札情報として第2約定処理部104に出力する。
第2約定処理部104は、第1約定処理部103より送られてくる未約定入札情報と、入札優先度判定部102aにて第2の買い入札情報と判定された買い入札情報とを受け取り、所定の約定方式を用いて約定処理を行う。第2約定処理部104は、約定処理によって得られた約定結果を第2の約定結果として出力する。
入札者情報DB105は、少なくとも入札者IDと優先度とが対応付けられている入札者情報を記憶する。入札者情報DB105は、入札優先度判定部102aからのアクセスに基づいて、送られてきた入札者IDに対応付けられている優先度の値を入札優先度判定部102aへ送る。
次に、図3および図4を用いて、第2実施形態に係わる電力取引システム100の動作について説明する。図4は、第2実施形態に係る電力取引システム100の動作を示すフローチャートである。
買い入札受付部101aは、電力取引システム100を利用する入札者から送られる買い入札情報B1を受け付ける(ステップS201)。例えば、買い入札受付部101aでは、入札を区別せずに、電力を購入したい入札者からの買い入札を受け付け、所定の入札期限が来た時点で入札を締め切る。電力は、約定して直ちに削減できると言った性質の取引商品ではないため、入札時間帯から所定の日時以前の段階で入札を締め切ると良い。買い入札受付部101aが受け付けた買い入札情報は入札優先度判定部102aへ送られる。
図5に、買い入札情報の一例を示す。買い入札情報は、入札者を識別するために電力取引システム100より付与された入札者IDと、入札商品種別と、該入札商品についての入札時間帯と、入札量と、最高買取価格と、を含んだ情報セットで構成される。電力取引システム100は、複数種類の商品について入札が可能なように構成されており、入札商品種別は、希望する入札商品の種類を表す情報である。入札量は、入札する電力量を、最高買取価格は、買い取りを希望する最高価格をそれぞれ表している。
次に、入札優先度判定部102aは、買い入札情報B1に含まれる入札者IDに対応づけられた優先度情報P1を、入札者情報DB105より取得する(ステップS202)。
図6に、入札者情報DB105に記憶されている入札者情報の一例を示す。入札者情報は、入札者を識別するための入札者IDと、入札者の種別を表す入札者種別と、優先度の数値を示す買い入札優先度と、を含んだ情報セットで構成される。
例えば、買い入札情報B1に含まれる入札者IDの値がBidder-1001 であった場合、入札優先度判定部102aは、入札者情報DB105に記憶されている入札者情報を参照して、Bidder-1001の入札者IDに対応付けられている優先度P1を取得する。図6に例示する入札者情報が入札者情報DB105に記憶されている場合、入札優先度判定部102aが取得する優先度P1は100となる。
次に、入札優先度判定部102aは、ステップS202で取得した優先度情報P1と、電力取引システム100に予め設定された優先度比較のための閾値Pth0との値の大小を比較する(ステップS203)。例えば、P1の値が100で、閾値Pth0の値が50のとき、「P1は閾値より大きい」と判定する。
ステップS203の判定結果がYesであった場合は、入札優先度判定部102aは、買い入札情報B1を、第1の買い入札と判定した旨を記憶し、第1約定処理部103に買い入札情報B1を送信する(ステップS204)。
続いて、第1約定処理部103は、ステップS204で入札優先度判定部102aより送られてきた買い入札情報B1を買い入札として、入札受付部101が別途受け付けた売り入札情報との約定価格を算出する(ステップS205)。第1約定処理部103は、例えば、複数の買い入札者に同一価格で落札するシングルプライスオークション方式や、逐次約定するザラバ方式などの約定方式を、取引商品の特性に応じて適用して約定価格を算出する。
図7に、売り入札情報の一例を示す。売り入札情報は、入札者を識別するために該電力取引システム100より付与された入札者IDと、入札商品種別と、該入札商品についての入札時間帯と、入札量と、最低売却価格と、を含んだ情報セットで構成される。入札量は、売却を希望する電力量を、最低売却価格は、売却を希望する最低価格をそれぞれ表している。
続いて、第1約定処理部103は、未約定入札情報S1を算出する(ステップS206)。第1約定処理部103がステップS206で算出した未約定入札情報S1は、第2約定処理部104へ送られる。
ステップS203の判定結果がNoのとき、入札優先度判定部102aは、買い入札情報B1を、第2の買い入札情報と判断した旨を記憶し、第2約定処理部104に送信する(ステップS207)。
次に、第2約定処理部104は、ステップS207で送られてくる買い入札情報B1を買い入札として、ステップS206で算出された未約定入札情報S1との約定価格を算出する(ステップS208)。約定価格の算出方式は、ステップS205と同様、シングルプライスオークション方式やザラバ方式を、取引商品の特性に応じて適用する。
ステップS208における約定処理は、ステップS206で未約定入札情報S1が出力された後に実行される。第1約定処理部103に送られる買い入札と第2約定処理部104に送られる買い入札は、買い入札受付部101aで同時に締め切られている。従って、未約定入札情報S1を第2約定処理部104へ出力するタイミングは、システム処理上の都合で、数分〜数時間のオーダでデッドラインを設けると良い。
また、ザラバ方式で約定していく場合は、例えば、売り入札に対して、所定の時間の間に第1約定処理部103での買い入札処理が無かった場合、未約定と判断しても良い。第1約定処理部103は、所定の時間の間に約定されなかった売り入札を未約定入札として第2約定処理部104に送る。
以上説明したように、第2実施形態に係る電力取引システム100によれば、各入札者に予め優先度を割り当て、当該優先度に基づいて特定の入札者を優先的に約定させる。従って、大量の一般需要家がネガワット取引市場に参加している場合であっても、電気事業者に高い優先度を割り当てておくことで優先的に約定する機会が与えられることにより、電力逼迫リスクを低減することができる。また、画一的にカテゴライズされている入札者種別ではなく、柔軟に変更が可能な優先度を用いることで、取引状況に応じて入札者が入札できる機会を柔軟に調整することが可能となる。
なお、上記説明では、入札優先度判定部102aは、予め定められた優先度の閾値と比較することで、買い入札情報を第1の買い入札情報であるか第2の買い入札情報であるかを判定する構成について説明したがこれに限定されるものではない。例えば、入札優先度判定部102aは、他の買い入札情報と比較して相対的に優先度の高い買い入札情報を第1の買い入札情報と判定しても良い。入札優先度判定部102aは、買い入札受付部101aが受け付けた買い入札情報のうち、相対的に優先度が高い所定の入札量分の買い入札情報を第1の買い入札情報として判定し、残りの買い入札情報を第2の買い入札情報として判定する。相対的な優先度で買い入札を複数のグループに振り分けることで、優先的な電力取引市場となる第1約定処理と通常の電力取引市場となる第2約定処理の間のバランスを保つことができる。
<第3実施形態>
本第3実施形態に係る電力取引システムは、各約定処理部における落札価格の差異をコントロールする機能を備えることを特徴とする。以下、図面を参照して詳細に説明する。但し、第1実施形態及び第2実施形態で既に説明した個所については適宜説明を省略する。
図8は、本第3実施形態に係る電力取引システム100の構成を示すブロック図である。電力取引システム100は、入札受付部101と、入札分別処理部102と、第1約定処理部103と、第2約定処理部104と、入札者情報DB105と、約定ポリシー設定部106と、を備えている。入札受付部101は、買い入札情報を受け付ける買い入札受付部101aと、売り入札情報を受け付ける売り入札受付部101bとを備える。また、入札分別処理部102は、入札者IDに対応付けられた優先度に基づいて買い入札情報を複数のグループに分別する入札優先度判定部102aを備える。
約定ポリシー設定部106は、入札優先度判定部102aの出力する第2の買い入札情報に基づいて、第1約定処理部103に対して約定ポリシーの設定を行う。例えば、約定ポリシー設定部106は、第2の買い入札情報における統計量を算出し、算出した統計量に基づいて第1約定処理部103における約定ポリシーを設定する。
約定ポリシーとは、約定処理部が買い入札を売り入札に対して約定させる処理を行う際に従う条件を示している。従って、設定された約定ポリシーに従って約定処理が行われ、約定ポリシーに反する約定は行われない。第1約定処理部103は、約定ポリシー設定部106で設定された約定ポリシーに基づいて、第1の買い入札情報で示される買い入札を、売り入札に対して約定する処理を行う。
具体的な約定ポリシー設定処理として、約定ポリシー設定部106は、第2の買い入札情報としてメモリ内に格納されている各買い入札情報を読み込む。約定ポリシー設定部106は、読み込んだ買い入札情報における入札価格や入札量の平均値や偏差値などの所定の統計量を算出し、当該統計量に基づく条件を生成して、メモリに格納する。第1約定処理部103は、約定する際に当該メモリに格納されている条件を満たしているかの判定処理を更に行い、当該条件を満たしていると判定された場合に、当該約定に係る買い入札と売り入札を約定させる。
図9は、約定ポリシーの設定から約定処理までの一連の処理の流れを示すフローチャートの一例である。約定ポリシー設定部106は、入札優先度判定部102aによって第2の買い入札情報と判定された買い入札情報を受け取り、当該第2の買い入札情報における平均入札価格を算出する(ステップS301)。
次に、約定ポリシー設定部106は、ステップS301で算出した平均入札価格よりも所定の基準以上高い入札価格を最高買取価格として含む第2の買い入札情報を抽出する(ステップS302)。上記抽出を行う基準としては、倍率や分散値などで規定しておく。
続いて、約定ポリシー設定部106は、ステップS302で抽出した第2の買い入札情報における最高買取価格X(例えば100円/KWh)の値と、入札量(例えば1000KWh)の値に基づいて約定ポリシーを設定する(ステップS303)。約定ポリシーとしては、「未約定の売り入札量がY以下になる場合に落札するための最低価格をXとする」いう内容の約定ポリシーを、第1約定処理部103に対して設定する。
第1約定処理部103は、約定ポリシー設定部106が設定した約定ポリシーの内容に従って約定処理を行う(ステップS304)。約定ポリシーに違反するケースが出た場合は、第1約定処理部103は、第1の買い入札の取引を成立させないようにするといった処理を行う。すなわち、本来は価格X以下で落札できる売り入札が残っていても、その売り入札量がYを下回る場合は、第1の買い入札は、より高い売り入札に対して約定されることになる。従って、第1約定処理部103における約定処理の結果、残った未約定入札には、価格X以上の未約定入札がY以上残ることが期待できる。
第2約定処理部104は、第2の買い入札情報で示される買い入札を未約定入札に対して約定させる処理を行う(ステップS305)。
以上説明したように、第3実施形態に係る電力取引システムによれば、未約定であった売り入札に対して約定することになる第2の買い入札情報を考慮して第1約定処理が行われることになる。従って、第2の買い入札扱いとなる入札であっても、より高額な買い入札を行うことで、第1買い入札に優先される効果が更に得られる。従って、一般の需要家が本当にネガワットを購入したい場合に、純粋な取引の範囲で、ネガワットを落札する手段を担保することができる。
なお、上述した約定ポリシー設定部106における約定ポリシーの設定方法は一例であって、他の約定ポリシーを設定することが可能である。例えば、第2の買い入札情報において、入札量が、第1の買い入札情報の履歴から求まる第1の平均入札量に対してある比率以上(例えば、10%以上)となるような入札情報を抽出し、同様のポリシーを設定しても良い。
また、上記説明では約定ポリシー設定部106が第2の買い入札情報に基づいて第1約定処理部103における約定ポリシーを設定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、約定ポリシー設定部106は、売り入札情報や第1の買い入札情報に含まれる情報に基づいて約定ポリシーを設定しても良い。例えば、売り入札情報に含まれる入札量や最低売却価格に応じて、通常の約定方法では第2約定処理部104へ回る未約定入札が確保できない場合に約定ポリシーを変更し、第1の約定結果と第2の約定結果の間で差異が広がりすぎないように調整しても良い。
<第4実施形態>
第4実施形態に係る電力取引システムは、入札情報を複数のグループに分別する際に参照される優先度を柔軟に変更する機能を備えることを特徴としている。以下、図面を参照して詳細に説明する。但し、第1実施形態〜第3実施形態で既に説明した個所については適宜説明を省略する。
図10は、第4実施形態に係る電力取引システム100の構成を示すブロック図である。電力取引システム100は、買い入札受付部101aと、売り入札受付部101bと、入札優先度判定部102aと、第1約定処理部103と、第2約定処理部104と、入札者情報データベース(DB)105と、入札履歴情報データベース(DB)107と、優先度更新部108と、を備えている。
入札履歴情報DB107は、電力取引システム100に対して行われる入札履歴を記憶する。入札履歴情報DB107は、買い入札受付部101aが受け付けた買い入札情報、売り入札受付部101bが受け付けた売り入札情報、第1約定処理部103及び第2約定処理部104でそれぞれ得られた約定結果、等の各種情報を入札履歴として記憶する。
優先度更新部108は、入札履歴情報DB107に記憶されている入札履歴に基づいて、入札者情報DB105において入札者IDと対応付けられた状態で記憶されている優先度を更新する。
例えば、優先度更新部108は、売り入札情報の履歴、買い入札情報の履歴、第1約定結果の履歴、第2約定結果の履歴、を入札履歴情報DB107から入力し、入札者情報における優先度の修正値を入札者情報DB105に出力する。入札者情報DB105は、優先度更新部108から出力された優先度の修正値に基づいて、修正後の優先度を入札者IDと対応付けた状態で記憶する。
優先度更新部108は、例えば、買い入札の履歴において、所定の期間の取引量の桁違いに大きい入札者の優先度の値を高くすることで優先度の更新を行う。あるいは、優先度更新部108は、取引頻度の少ない入札者の優先度を低くすることで優先度の更新を行う。
本第4実施形態に係る電力取引システム100によれば、入札履歴等に基づいて各入札者の優先度が柔軟に変更されるため、入札に積極的に参加することで優先度が上がっていき、優先的に取引を行うことが可能となる。
なお、第1約定処理部103や第2約定処理部104において、各入札情報に割り当てられている優先度に基づいて約定処理が行われる構成とすると更に良好である。第1約定処理部103及び第2約定処理部104では、同額の買い入札がある場合に、優先度が高い方の買い入札を約定する処理を行う。
例えば、入札者IDに対応付けられた優先度が30である入札者Aと、入札者IDに対応付けられた優先度が15である入札者Bより、それぞれ買い入札情報を買い入札受付部101aが受け付けたとする。入札優先度判定部102aにおける優先度の判定閾値が50に設定されている場合、上記2つの買い入札情報は共に第2の買い入札情報と判定され、第2約定処理部104へ送られる。ここで、上記2つの買い入札情報で指定されている買取価格が同一価格(例えば50円/KWh)であったとする。売却価格が50円/KWhである売り入札がある場合、第2約定処理部104は、上記優先度がより高い入札者Aからの買い入札情報で示される買い入札を先に約定する。
以上のように、第1約定処理部103又は第2約定処理部104は、同一の買取価格である複数の買い入札がある場合に、優先度が相対的に高い方の買い入札を先に約定する処理を行う。当該構成とすることで、同じ区分の買い入札扱いになる入札間であっても、過去の取引実績が弱い入札者に約定処理上のペナルティを与えたり、あるいは、新規に取引を始めた入札者に約定処理上の特典を与えたりすることが可能となる。従って、電力取引市場への参加を活性化させることができると共に、市場参加者の質を担保することができる。
<第5実施形態>
本第5実施形態は、第1〜第4実施形態で説明した電力取引システム100で得られた約定結果に基づいて、デマンドレスポンス(節電を促す需要応答)を生成するアグリゲータシステム及びマーケット併設型サービスシステムに関する。以下、図面を参照して詳細に説明する。但し、第1実施形態〜第4実施形態で既に説明した個所については適宜説明を省略する。
図11は、本第5実施形態に係るマーケット併設型サービスシステム1000の構成を示すブロック図である。マーケット併設型サービスシステム1000は、大きく分けて、主にネガワットの取引を行う電力取引システム100と、需要家に対してデマンドレスポンスサービスを提供するアグリゲータシステム200と、を備える。
電力取引システム100は、入札受付部101と、入札分別処理部102と、第1約定処理部103と、第2約定処理部104と、入札者情報DB105と、約定結果通知部109と、を備えている。
約定結果通知部109は、第1約定処理部103が出力した第1約定結果と、第2約定処理部104が出力した第2約定結果を入力し、当該約定結果に係わる入札者に対して約定結果を通知する。例えば、入札者が電力会社(電気事業者)であった場合は、当該電力会社用入札端末301に対して、当該電力会社の約定結果を通知する。入札者が需要家であった場合は、需要家用入札端末302に対して当該需要家の約定結果を通知する。
また、約定結果通知部109は、アグリゲータシステム200に対して、売り入札を行った需要家の約定結果を通知する。
図12に、約定結果の一例を示す。約定結果は、約定した入札者を識別する入札者IDと、売り買いの区別を示す入札種別と、約定した入札商品を示す入札商品種別と、該入札商品についての入札時間帯、落札量、落札価格と、を含んだ情報セットで構成される。図12の例において、約定結果通知部109は、Bidder-2001、Bidder-2002、Bidder-2003の売り入札結果を約定結果としてデマンドレスポンス情報生成部201へ通知する。当該通知する約定結果には、少なくとも約定した入札商品の時間帯、入札量、及び入札金額が含まれる。例えば、Bidder-2001のケースでは、2012年8月20日の14時からの30分間のネガワット量(150KWh)とその単価(40円/KWh)を含む情報である。
アグリゲータシステム200は、デマンドレスポンス情報生成部201と、デマンドレスポンス通知部202と、を備える。
デマンドレスポンス情報生成部201は、約定結果通知部109から通知された約定結果に基づいてデマンドレスポンス情報を生成する。デマンドレスポンス情報生成部201は、所定のデマンドレスポンスプログラムに基づいて、通知された約定結果の内容と同じ量のネガワットを得るためのデマンドレスポンス情報を生成する。
デマンドレスポンス通信部202は、デマンドレスポンス情報生成部201が生成した需要家毎のデマンドレスポンス情報を需要家EMS(Energy Management System)303に通知する。需要家EMS303では、通知されたデマンドレスポンス情報に基づいて、電力管理が行われる。
以上説明したように、本第5実施形態に係わるマーケット併設型サービスシステム1000によれば、電力取引システム100が約定結果通知部109を更に備え、アグリゲータシステム200がデマンドレスポンス情報生成部201と、デマンドレスポンス通信部202を備える。当該構成とすることで、需要家の買い入札より電力会社の買い入札を優先することができ、更に、約定結果を着実に実現するデマンドレスポンスサービスまでを一連のサービスとして提供することができる。従って、電力逼迫リスクの更なる低減が可能となる。
<第6実施形態>
本第6実施形態は、アグリゲータシステムが需要家EMSに応じたデマンドレスポンス情報を生成することを特徴とする。以下、図面を参照して詳細に説明する。但し、第1実施形態〜第5実施形態で既に説明した個所については適宜説明を省略する。
図13は、本第6実施形態に係るマーケット併設型サービスシステム1000の構成を示すブロック図である。マーケット併設型サービスシステム1000は、電力取引システム100と、アグリゲータシステム200と、を備える。
電力取引システム100は、電力会社用入札端末301や需要家用入札端末302から入札を受け付け、売り入札と買い入札とを約定する処理を行った後に、約定結果を通知する。
アグリゲータシステム200は、デマンドレスポンス情報生成部201と、デマンドレスポンス通知部202と、デマンドレスポンス方式選択部203と、を備える。
デマンドレスポンス方式選択部203は、電力取引システム100より受け取った需要家毎の約定結果に基づいて、当該約定結果の内容と同じ量のネガワットを得るためのデマンドレスポンス方式を、需要家毎のデマンドレスポンス方式に応じて選択する。
デマンドレスポンス情報生成部201は、デマンドレスポンス方式選択部203で選択されたデマンドレスポンス方式に従ってデマンドレスポンス情報を生成する。図13において、デマンドレスポンス情報生成部201は、削減目標値生成部201aと、価格表生成部201bと、制御目標値生成部201cと、を備える。
削減目標値生成部201aは、約定結果のネガワット量に所定の指数を乗じた値を削減目標量とし、ネガワットの単価と組み合わせたデマンドレスポンス情報を生成する。乗じる指数は、そのまま割り当てるのであれば1とし、あるいは、過去の履歴等から削減目標量に対する実績量の揺らぎの幅が分かるようであれば、その分を織り込んだ指数(1より大きい値)とする。需要家側で削減目標量へのコミットメントが可能なEMS(エネルギー管理システム)を備えている場合、デマンドレスポンス方式選択部203は、当該デマンドレスポンス方式を選択し、削減目標値生成部201aは、上記デマンドレスポンス情報を生成する。
価格表生成部201bは、約定結果のネガワット時間帯の電力料金を通常より高額に設定した価格表を表すデマンドレスポンス情報を生成する。設定する金額は、例えば、「電力料金の単価を通常のX倍にすると、Y%の電力削減が得られる見込みがある」といった、電力料金と削減見込み量との関係を纏めた対応表に基づいて行う。当該対応表は、過去の実績に基づいて得られている。
制御目標値生成部201cは、需要家側でデマンドレスポンスプログラムへの需要家向けの支援サービス(節電行動を促すメールサービスや設備機器の制御目標値設定サービスなど)に対して、需要家がネガワット量に相当する電力削減量を実現するために必要なサービスパラメータを含んだデマンドレスポンス情報を生成する。設定するサービスパラメータは、例えば、「空調の温度をX度下げると、YKWhの電力削減が得られる見込みがある」といった、サービスパラメータと削減見込み量との関係を纏めた対応表に基づいて行う。当該対応表は、過去の実績に基づいて求めても良いし、制御シミュレーションによって予測して求めても良い。
デマンドレスポンス通信部202は、デマンドレスポンス情報生成部201を構成する削減目標値生成部201a、価格表生成部201b、制御目標値生成部201c、のいずれかによって生成された需要家毎のデマンドレスポンス情報を需要家EMSに通知する。需要家EMSは受け取ったデマンドレスポンス情報に従って、所定の動作を行い、エネルギーを管理する。
以上説明したように、本第6実施形態に係るアグリゲータシステム200は、電力取引における約定結果に基づいて、需要家EMSに対応したデマンドレスポンス方式を選択してデマンドレスポンス情報を生成する。当該構成とすることで、各需要家に即したデマンドレスポンスによって、約定した電力削減量の電力を適切に削減させることが可能となる。
<第7実施形態>
本第7実施形態は、アグリゲータシステムが電力取引のための入札を代理で行う構成を備えることを特徴とする。以下、図面を参照して詳細に説明する。但し、第1実施形態〜第6実施形態で既に説明した個所については適宜説明を省略する。
図14は、本第7実施形態に係るマーケット併設型サービスシステム1000の構成を示すブロック図である。マーケット併設型サービスシステム1000は、電力取引システム100と、アグリゲータシステム200とを備える。
電力取引システム100は、ネットワークを介してポジワットやネガワットと言った電力を取引商品の入札である入札情報を受信し、シングルプライスオークション方式やザラバ方式と言った所定の約定方式に従って買い入札と売り入札とを約定させる。電力取引システム100は、約定した入札に関する約定結果を示す約定結果情報をアグリゲータシステム200に送信することで約定結果を通知する。
アグリゲータシステム200は、デマンドレスポンス情報生成部201と、デマンドレスポンス通知部202と、代理入札処理部204と、約定結果代理通知部205と、を備える。
代理入札処理部204は、需要家用入札端末302から送信された入札情報を代理で受け付け、電力取引システム100に対して入札を行う。代理入札処理部204は、当該入札情報で示される内容の買い入札情報又は売り入札情報を生成して電力取引システム100に送信する。
約定結果代理通知部205は、電力取引システム100より通知された約定結果を代理で需要家に通知する。
以上説明したように、本第7実施形態に係るアグリゲータシステム200は、需要家の入札情報を収集し、電力取引システム100に対する入札の取引を代行する。また、アグリゲータシステム200が電力取引システム100から約定結果の通知を受け取り、需要家に約定結果を代理で通知する。
なお、代理入札処理部204は、過去の統計情報や天気予報等の各種情報に基づいてネガワットを売ることが可能な日時及び電力量を算出し、別途算出した売却最低価格を含めて売り入札情報を生成して入札を行っても良い。当該構成とすることで、需要家用入札端末と需要家EMSを一体化することができる。
<他の実施形態>
本明細書においては、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。具体的には、これら実施形態の全て又は何れかを組み合わせたものも包含される。以上のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、上記説明では取引商品としてネガワットを中心に説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ポジワットを取引商品とすることが可能である。この場合、電気事業者から見て買い入札と売り入札は逆の関係になる。従って、その場合は上記説明における買い入札と売り入札を入れ替えると良い。
すなわち、本発明の実施形態に係る電力取引システムは、ポジワットに対する入札である入札者IDを含む入札情報を受け付ける入札受付部と、入札者IDに対応付けられた優先度又は入札者種別に基づいて、入札受付部が受け付けた入札情報のうち、売り入札情報を複数のグループに分別する入札分別処理部と、第1のグループへ分別された売り入札情報で示される売り入札を、入札受付部が受け付けた買い入札情報で示される買い入札に対して約定する処理を行う第1約定処理部と、第2のグループへ分別された売り入札情報で示される売り入札を、第1約定処理部で落札されなかった未約定の買い入札に対して約定する処理を行う第2約定処理部と、を備える。当該構成とすることで、取引商品がポジワットであっても安定した電力供給を行える電気事業者を優先して約定させることが可能となり、電力逼迫リスクを低減する効果が得られる。
また、上記説明では取引商品が電力である場合について説明したが、本発明は、同様の取引性質を有する他の商品に拡張することが可能である。例えば、本発明の他の実施形態として、二酸化炭素の削減枠を取引商品とする取引システムなどに拡張することが可能である。
なお、上記説明した電力取引システム100及びアグリケータシステム200は、例えば、汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることでも実現することが可能である。すなわち、上記のコンピュータ装置に搭載されたプロセッサにプログラムを実行させることにより実現することができる。このとき、上記のプログラムをコンピュータ装置にあらかじめインストールすることで実現してもよいし、CD−ROMなどの記憶媒体に記憶して、あるいはネットワークを介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータ装置に適宜インストールすることで実現してもよい。また、上記のコンピュータ装置に内蔵あるいは外付けされたメモリ、ハードディスクもしくはCD−R、CD−RW、DVD−RAM、DVD−Rなどの記憶媒体などを適宜利用して実現することができる。
100 電力取引システム 101 入札受付部
101a 買い入札受付部 101b 売り入札受付部
102 入札分別処理部 102a 入札優先度判定部
103 第1約定処理部 104 第2約定処理部
105 入札者情報データベース 106 約定ポリシー設定部
107 入札履歴情報データベース 108 優先度更新部
109 約定結果通知部 200 アグリゲータシステム
201 デマンドレスポンス情報生成部 201a 削減目標値生成部
201b 価格表生成部 201c 制限目標値生成部
202 デマンドレスポンス通知部 203 デマンドレスポンス方式選択部
204 代理入札処理部 205 約定結果代理通知部
301 電力会社用入札端末 302 需要家用入札端末
303 需要家EMS
1000 マーケット併設型サービスシステム

Claims (9)

  1. 入札者IDを含む入札情報を受け付ける入札受付部と、
    前記入札者IDに対応付けられた優先度又は入札者種別に基づいて、前記入札受付部が受け付けた前記入札情報のうち、買い入札情報を複数のグループに分別する入札分別処理部と、
    前記複数のグループのうち、第1のグループへ分別された買い入札情報で示される買い入札を売り入札に対して約定する処理を行い、約定されずに残っている売り入札に対して、後段のグループへ分別された買い入札情報で示される買い入札を約定する処理を行う約定処理部と、
    を備えることを特徴とする電力取引システム。
  2. 前記入札分別処理部は、前記入札者IDに対応付けられた優先度又は入札者種別に基づいて、前記入札受付部が受け付けた前記入札情報のうち、買い入札情報を第1のグループと第2のグループの2つのグループに分別し、
    前記約定処理部は、前記第1のグループへ分別された買い入札情報で示される買い入札を、売り入札に対して約定する処理を行う第1約定処理部と、
    前記第2のグループへ分別された買い入札情報で示される買い入札を、前記第1約定処理部で約定されなかった売り入札に対して約定する処理を行う第2約定処理部と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の電力取引システム。
  3. 前記入札分別処理部は、前記入札者IDに対応付けられた優先度に基づいて、前記入札受付部が受け付けた前記入札情報のうち、優先度が所定の閾値より高い買い入札情報を第1の買い入札情報と判定し、優先度が前記所定の閾値より低い買い入札情報を第2の買い入札情報と判定する入札優先度判定部を備え、
    前記第1約定処理部は、前記第1の買い入札情報で示される買い入札を、前記売り入札に対して約定する処理を行い、
    前記第2約定処理部は、前記第2の買い入札情報で示される買い入札を、前記第1約定処理部で落札されなかった前記未約定入札に対して約定する処理を行う、
    ことを特徴とする請求項2に記載の電力取引システム。
  4. 入札者IDと優先度とが対応付けられている入札者情報を記憶する入札者情報記憶部を更に備え、
    前記入札優先度判定部は、前記入札者情報記憶部に記憶されている前記入札者情報を参照して、前記入札受付部で受け付けた買い入札情報に含まれる入札者IDに対応付けられた優先度を取得する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の電力取引システム。
  5. 前記グループへ分別された買い入札情報における所定の統計量を算出し、前記算出した統計量に基づいて前記第1約定処理部における約定ポリシーを設定する約定ポリシー設定部を更に備え、
    前記第1約定処理部は、前記約定ポリシー設定部で設定された約定ポリシーに基づいて、前記第1の買い入札情報で示される買い入札を売り入札に対して約定する処理を行うことを特徴とする、
    請求項3又は4記載の電力取引システム。
  6. 前記入札情報は、時間帯毎のネガワット(電力削減予定量)とネガワット単価とを更に含み、
    前記約定処理部は、それぞれシングルプライスオークション方式又はザラバ方式で、前記買い入札を前記売り入札に対して約定する処理を行うことを特徴とする、
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電力取引システム。
  7. 入札履歴を記憶する入札履歴記憶部と、
    前記入札履歴に基づいて、前記入札者情報記憶部に記憶される入札者情報における優先度を更新する優先度更新部と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電力取引システム。
  8. 前記約定処理部は、同一の買取価格である複数の買い入札がある場合に、前記複数の買い入札のうち、前記優先度が相対的に高い方の買い入札を先に約定する処理を行うことを特徴とする、
    請求項7に記載の電力取引システム。
  9. 電力取引を行う電力取引システムと、需要家に対してデマンドレスポンスサービスを提供するアグリゲータシステムと、を備えるマーケット併設型サービスシステムであって、
    前記電力取引システムは、
    入札者IDを含む入札情報を受け付ける入札受付部と、
    前記入札者IDに対応付けられた優先度又は入札者種別に基づいて、前記入札受付部が受け付けた前記入札情報のうち、買い入札情報を複数のグループに分別する入札分別処理部と、
    前記複数のグループのうち、第1のグループへ分別された買い入札情報で示される買い入札を売り入札に対して約定する処理を行い、約定されずに残っている売り入札に対して、後段のグループへ分別された買い入札情報で示される買い入札を約定する処理を行う約定処理部と、
    前記約定処理部における約定結果を通知する約定結果通知部と、
    を備え、
    前記アグリゲータシステムは、
    前記約定結果通知部から通知された前記約定結果に基づいてデマンドレスポンス情報を生成するデマンドレスポンス情報生成部と、
    前記生成されたデマンドレスポンス情報を通知するデマンドレスポンス通知部と、
    を備えることを特徴とするマーケット併設型サービスシステム。

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