JP2015001975A - 電力取引市場約定計算装置、電力取引市場約定計算方法、および電力取引市場約定計算プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】シングルプライスオークション方式に基づく約定計算を前提として、計算時間を抑制しつつ、社会的便益をより拡大させることが可能な電力取引市場約定計算装置、電力取引市場約定計算方法、および電力取引市場約定計算プログラムを提供すること。
【解決手段】電力取引市場約定計算装置2は、すべての売りブロック入札が約定したと仮定し当該すべての売りブロック入札を含めて約定計算をしたときの約定価格(Plow)、およびすべての売りブロック入札を含めずに約定計算をしたときの約定価格(Phigh)を計算する約定計算実行部32aと、(入札価格)>(Phighの平均値)を満たす売りブロック入札を約定しないことが確定した除外確定グループに追加し、(入札価格)≦(Plowの平均値)を満たす売りブロック入札を約定することが確定した約定確定グループに追加するブロック入札約定可否判定部32bとを備える。
【選択図】図6
【解決手段】電力取引市場約定計算装置2は、すべての売りブロック入札が約定したと仮定し当該すべての売りブロック入札を含めて約定計算をしたときの約定価格(Plow)、およびすべての売りブロック入札を含めずに約定計算をしたときの約定価格(Phigh)を計算する約定計算実行部32aと、(入札価格)>(Phighの平均値)を満たす売りブロック入札を約定しないことが確定した除外確定グループに追加し、(入札価格)≦(Plowの平均値)を満たす売りブロック入札を約定することが確定した約定確定グループに追加するブロック入札約定可否判定部32bとを備える。
【選択図】図6
Description
本発明は、電力取引市場における取引の約定計算をするための約定計算装置、約定計算方法、および約定計算プログラムに関する。
近時の世界的な電力自由化の流れを受けて、日本国内においても、2005年に日本卸電力取引所が創設され、電力取引市場が開設されている。
日本卸電力取引所では、翌日に受け渡す電力について、1日を取引時間単位(30分単位)に複数個(48個)の取引枠に分割し、それぞれの取引枠で取引される電力を単一の商品(スポット商品)として取扱い、当該各商品への売りまたは買い入札(売りまたは買いスポット入札)を認めるとともに、2013年3月25日からは、連続する複数個の商品(2時間以上の連続した取引枠)を一括してブロック商品として取り扱い、当該ブロック商品への売り入札(売りブロック入札)を認める電力取引市場が開設されている。
この電力取引市場において、売りブロック入札が可能となるに至った背景は次のとおりである。発電事業者側では、発電機の運用上の制約があるため、複数個の取引枠にわたって安定して電力供給をできることが望まれる。しかしながら、売り入札として売りスポット入札のみが可能な従来の取引では、発電事業者は複数個の取引枠にわたる約定を望んだとしても、約定の可否は取引時間単位で決まるため、ある特定の取引枠でのみ約定しないこともある。このような場合は、発電機を連続して運転することが困難となり、運用制約を満たさない場合がある。そのため、発電事業者は、制約違反となるリスクを回避するために、売り入札を控える場合もあり、入札量が抑制される傾向にあった。
そこで、当該電力取引市場では、特定の取引枠だけ約定が成立しないリスクを回避し、入札量の拡大、ひいては、取引量あるいは社会的便益(ソーシャルウェルフェア)の拡大を図ることを目的として、売りブロック入札が認められることとなった。
ここで、社会的便益とは、約定した各売り入札について(約定価格−入札価格)×約定量を計算し、約定した各買い入札について(入札価格−約定価格)×約定量を計算した後、これらを約定したすべての入札について総和をとったものである(特許文献1参照)。なお、当該計算式における約定量は各入札の約定量である。社会的便益は、取引量(約定量)のみならず、約定価格と入札価格との関係をも考慮して定義されている。一般に、電力取引市場では、取引における社会的便益の最大化が求められている。
なお、スポット入札では部分約定(入札量の一部のみが約定)が認められているが、売りブロック入札では部分約定が認められていない。したがって、上記した社会的便益の計算式における「約定量」は、売りブロック入札については入札量に等しく、スポット入札については入札量又は部分約定量に等しい。
また、スポット入札のみを認める取引では、社会的便益の最大化は取引量の最大化に等しいが、売りブロック入札を認める取引では、売りブロック入札に部分約定が認められていないことから、一般に社会的便益の最大化は取引量の最大化に等しくならない。
このように、当該電力取引市場では、取引時間帯において、一般に、複数個の売りブロック入札、複数個の売りスポット入札、および複数個の買いスポット入札が混在することとなるが、実際に社会的便益の拡大を図るためには、社会的便益の最大化あるいは準最大化を実現するような約定計算方法を選択し、当該約定計算方法に基づいて約定計算を実施する必要がある。
このような約定計算方法のうち、最も直接的なものとして、いわゆる全探索法が挙げられる。すなわち、全探索法では、複数個の売りブロック入札についてそれぞれ約定成否を仮定し、約定成否の組合せのすべてについてそれぞれシングルプライスオークション方式で約定計算をし、その計算結果が約定成否の仮定と矛盾しないもののうちから社会的便益が最大となるものを約定結果とする。
また、特許文献2では、売りおよび買いの双方のブロック入札が可能な電力取引市場において、ブロック商品を取引時間単位の複数個の商品に置き換えた後、取引時間単位で入札価格が最も低い売り入札と入札価格が最も高い買い入札とをマッチングさせることを基本として、シングルプライスオークション方式によらずに、売り入札と買い入札の約定の組み合わせを選定している。
しかしながら、全探索法は、売りブロック入札の個数が増加すると計算時間が指数関数的に増大するので、計算負荷の観点からは実際の取引の約定計算に採用することは困難である。
他方、単純化したアルゴリズムに基づく約定計算では、計算時間を抑制することが可能であっても、社会的便益が減少するおそれがある。
また、特許文献2に記載された約定計算では、シングルプライスオークション方式とは異なる約定方式が採用されている。
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、シングルプライスオークション方式に基づく約定計算を前提として、計算時間を抑制しつつ、社会的便益をより拡大させることが可能な電力取引市場約定計算装置、電力取引市場約定計算方法、および電力取引市場約定計算プログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電力取引市場約定計算装置は、取引時間帯が取引時間単位で複数個の取引枠に分割され、各取引枠で売買される電力がそれぞれ1個の商品とみなされて各商品への売り入札である売りスポット入札および買い入札である買いスポット入札が可能であるとともに、連続する複数個の商品への一括した売り入札である売りブロック入札が可能な電力取引市場における取引の約定計算をするための電力取引市場約定計算装置であって、前記取引時間帯におけるすべての売りブロック入札を、約定することが確定も約定しないことが確定もしていない売りブロック入札である浮遊ブロック入札とした後、すべての浮遊ブロック入札が約定すると仮定してシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格である最安約定価格および前記すべての浮遊ブロック入札が約定しないと仮定してシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格である最高約定価格を前記取引枠ごとに計算する約定計算実行部と、この約定計算実行部から出力される前記最安約定価格および前記最高約定価格を用いて、入札価格が入札時間帯における前記最高約定価格の平均値よりも大きい浮遊ブロック入札を、約定しないことが確定した売りブロック入札である除外確定ブロック入札とし、入札価格が入札時間帯における前記最安約定価格の平均値以下の浮遊ブロック入札を、約定することが確定した売りブロック入札である約定確定ブロック入札とする約定可否判定処理を実施するブロック入札約定可否判定部とを備える。
本発明によれば、シングルプライスオークション方式に基づく約定計算を前提として、計算時間を抑制しつつ、社会的便益をより拡大させることが可能になる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係る電力取引市場約定計算装置、電力取引市場約定計算方法、および電力取引市場約定計算プログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
まず、用語の定義および前提事項について説明する。
まず、用語の定義および前提事項について説明する。
約定は、入札に応じて取引(売買)が成立することをいう。約定計算は、入札に応じて取引の成否を判定し、約定量および約定価格を決定する計算をいう。約定量は、約定計算により決まった取引量をいう。約定価格は、約定計算により決まった取引価格をいう。約定価格は市場価格ともいう。
対象とする電力取引市場は、取引時間帯を取引時間単位に複数個の取引枠に分割し、各取引枠について売買される電力をそれぞれ1個の商品とみなすスポット市場を前提とする。例えば、スポット市場は、翌日に受け渡す電力について、24時間(取引時間帯)を30分単位(取引時間単位)に48個の取引枠に分割し、それぞれの取引枠で取引される商品を扱う。なお、入札は前日の予め決められた締切時間までに締め切られる。なお、1個の商品(取引時間単位の商品)をスポット商品ともいう。一般に、単に商品というときはスポット商品を意味する。
1個の商品(取引時間単位の商品)への入札をスポット入札という。スポット入札には、売りスポット入札と買いスポット入札がある。スポット入札は、売りまたは買いに対して、入札者識別情報(ID)、入札時間帯(商品名)、入札価格、および入札量等を指定してされる。図1は、スポット入札の一例を示した図である。図1では、入札時間帯が11:00〜11:30および11:30〜12:00における売りスポット入札および買いスポット入札の例を示している。例えば、売りスポット入札について、ID=s1は、入札量が100(MWh)、入札価格が10(円/MWh)である。取引量の単位は例えば1(MWh)とする。
スポット入札の約定は、全量約定または部分約定のいずれかである。全量約定は入札量の全量が約定されることであり、部分約定は入札量の一部が約定されることである。売りスポット入札では、入札価格が約定価格よりも低いときは全量約定となり、入札価格が約定価格よりも高いときは約定不成立となり、入札価格が約定価格に等しいときは、全量約定、部分約定、または約定不成立のいずれかである。また、買いスポット入札では、入札価格が約定価格よりも高いときは全量約定となり、入札価格が約定価格よりも低いときは約定不成立となり、入札価格が約定価格に等しいときは、全量約定、部分約定、または約定不成立のいずれかである。
また、連続する複数個の商品への一括した入札をブロック入札という。すなわち、連続する複数個の取引枠で取引される電力を一括した商品(ブロック商品)とし、このブロック商品への売りまたは買い入札をブロック入札という。ブロック入札は、売りまたは買いに対して、入札者識別情報(ID)、入札時間帯(連番商品名)、入札価格、および入札量等を指定してされる。ここで、入札価格は入札時間帯内で同じ価格とし、入札量は入札時間帯内で取引時間単位ごとに量を指定可能とする。
また、ブロック入札では、部分約定は認められず、約定量は入札量に等しいか、あるいは、約定不成立のいずれかである。特に、売りブロック入札で部分約定を認めないのは、売り手である発電事業者側の発電機の安定運用のためである。すなわち、売りブロック入札で部分約定が生じた場合、発電機の出力が運用制約で定められた出力下限値を下回るおそれがあり、運用制約違反となる可能性があるからである。
また、ブロック入札の約定条件は、売り入札の場合は、(入札価格)≦(約定価格の平均値)であり、買い入札の場合は、(入札価格)≧(約定価格の平均値)である。ここで、約定価格の平均値は、ブロック入札の入札時間帯内で取引時間単位ごとに決まる約定価格を当該ブロック入札の取引時間単位ごとの入札量で重み付けをして求めた加重平均値である。ただし、この平均値は、ブロック入札の入札量が入札時間帯内で一定であれば、算術平均値に等しい。
また、ブロック入札はスポット入札よりも優先的に約定されることとする。すなわち、売りブロック入札は、売りスポット入札よりも優先的に取引され、買いブロック入札は、買いスポット入札よりも優先的に取引される。
なお、本実施の形態における電力取引市場では、売りブロック入札のみが認められているものとする。買いブロック入札のみが認められる場合については、実施の形態3で説明する。
また、約定計算はシングルプライスオークション方式にしたがうものとする。シングルプライスオークション方式による約定計算では、各商品について、売り入札曲線(供給曲線)と買い入札曲線(需要曲線)を作成し、両曲線の交点での価格および量をそれぞれ約定価格および約定量とする。後述するように、売りブロック入札は価格が0(円)の入札とみなされて売り入札曲線が作成される。
また、入札者数は例えば100〜1000人程度が想定される。ただし、本実施の形態は、入札者数が当該想定範囲に含まれない場合にも適用可能であることはいうまでもない。
図2は、売りブロック入札の一例を示した図である。ID=BL1については、入札時間帯は11:00〜12:00、入札量は、11:00〜11:30の時間帯では200(MWh)、11:30〜12:00の時間帯では100(MWh)、入札価格は8(円/MWh)である。また、ID=BL2については、入札時間帯は11:00〜12:00、入札量は、入札時間帯で一定の100(MWh)、入札価格は11(円/MWh)である。
また、電力取引市場では、「社会的便益(ソーシャルウェルフェア)」を最大化するような約定方式が求められている。社会的便益は、約定した各売り入札について(約定価格−入札価格)×約定量を計算し、約定した各買い入札について(入札価格−約定価格)×約定量を計算した後、これらを約定したすべての入札について総和をとったものである。
次に、本実施の形態で採用する約定方式の概要について説明する。本約定方式では、取引時間帯内におけるすべての売りブロック入札を、後述する約定計算およびこれに続く約定可否判定処理を繰り返すことにより、最終的に「約定確定ブロック入札」または「除外確定ブロック入札」に分類することで約定処理をする。ここで、「約定確定ブロック入札」は約定が確定した売りブロック入札、「除外確定ブロック入札」は約定しないことが確定した売りブロック入札である。また、「約定確定ブロック入札」または「除外確定ブロック入札」以外の売りブロック入札を「浮遊ブロック入札」という。したがって、約定処理の初期にはすべての売りブロック入札が浮遊ブロック入札に設定され、約定計算および約定可否判定処理を繰り返すことにより、浮遊ブロック入札を順次減らし、最終的にすべての浮遊ブロック入札を約定確定ブロック入札または除外確定ブロック入札に分類する。なお、以下では、「約定確定ブロック入札」の集合を「約定確定グループ」、「除外確定ブロック入札」の集合を「除外確定グループ」、「浮遊ブロック入札」の集合を「浮遊グループ」という。
また、本約定方式では、売りブロック入札については、売りブロック入札の約定数が増加すると約定価格が低下し、売りブロック入札の約定数が減少すると約定価格が上昇するという価格変動特性に基づき、浮遊ブロック入札がすべて約定したときに約定価格が最安値(このときの約定価格を「最安約定価格(Plow)」という)となり、浮遊ブロック入札がすべて約定しないときに約定価格が最高値(このときの約定価格を「最高約定価格(Phigh)」という)となることを利用する。
ここで、図3を参照して、売りブロック入札の約定数と約定価格との関係を具体的に説明する。図3は、入札曲線の例を示した図であり、横軸は価格(円)、縦軸は量(MWh)を表す。また、入札曲線(売り入札曲線および買い入札曲線)は、一つの取引枠(取引時間単位)について作成されている。
図3(a)は、売りブロック入札が存在せず、売りスポット入札と買いスポット入札のみが存在する場合における入札曲線の例を示した図である。約定価格および約定量は、売り入札曲線と買い入札曲線との交点での価格および量として定まる(シングルプライスオークション方式)。なお、売り入札曲線は、複数個の売り入札を入札価格の高いものから順次積み上げて作成され、実際には、階段状に表されるが、図示例では連続的に描いている。また、買い入札曲線は、複数個の買い入札を入札価格の安いものから順次積み上げて作成され、実際には、階段状に表されるが、図示例では連続的に描いている。
図3(b)は、一部の売りブロック入札の約定が確定したときの入札曲線の例を示した図である。ここで、約定が確定した売りブロック入札は、実際の入札価格にかかわらず、価格が0(円)の入札とみなされている。そのため、売り入札曲線は、図3(a)と比較して、売りブロック入札の入札量の総和の分底上げされている。このように、約定が確定した売りブロック入札を価格が0(円)の入札とみなして売り入札曲線を作成する理由は、上記したように売りブロック入札が売りスポット入札に優先して約定されるからである。なお、売りブロック入札を価格が0(円)の入札とみなして処理する方式は特許文献1の段落「0037」等に記載されている。ただし、売りブロック入札は、価格が0(円)の入札とみなす代わりに、取引時間帯におけるすべてのスポット入札の入札価格よりも低い任意の価格の入札とみなしてもよい。
図3(c)は、図3(b)の場合よりも、売りブロック入札の約定数が増加した場合の入札曲線の例を示した図である。図3(c)に示すように、売りブロック入札の約定数が増加すると、約定価格は低下する。
図3(d)は、図3(b)の場合よりも、売りブロック入札の約定数が減少した場合の入札曲線の例を示した図である。図3(d)に示すように、売りブロック入札の約定数が減少すると、約定価格は上昇する。
なお、図4では、図1および図2の入札例について、(a)11:00〜11:30の時間帯における入札曲線と、(b)11:30〜12:00の時間帯における入札曲線をそれぞれ示している。図4(a)では、売りブロック入札BL1,BL2のいずれも約定しない場合の売り入札曲線をSC1で、売りブロック入札BL1,BL2のいずれも約定した場合の売り入札曲線をSC2で、買い入札曲線をBC1で表している。この場合、Plowは、売り入札曲線SC2と買い入札曲線BC1との交点P2での価格(9円)で決まる。Phighは、売り入札曲線SC1と買い入札曲線BC1との交点P1での価格(11円)で決まる。また、図4(b)では、売りブロック入札BL1,BL2のいずれも約定しない場合の売り入札曲線をSC1で、売りブロック入札BL1,BL2のいずれも約定した場合の売り入札曲線をSC2で、買い入札曲線をBC1で表している。この場合、Plowは、売り入札曲線SC2と買い入札曲線BC1との交点P2での価格(8円)で決まる。Phighは、売り入札曲線SC1と買い入札曲線BC1との交点P1での価格(10円)で決まる。
本約定方式では、まず、すべての売りブロック入札を浮遊ブロック入札に設定した後、約定計算をする。詳細には、すべての浮遊ブロック入札が約定すると仮定した場合の約定価格であるPlowと、すべての浮遊ブロック入札が約定しないと仮定した場合の約定価格であるPhighを、すべての商品(取引枠)について求める。
次に、約定可否判定処理を実施する。詳細には、(入札価格)≦(Plowの平均値)を満たす浮遊ブロック入札は、他の浮遊ブロック入札の約定結果によらずに、必ず約定条件を満たすこととなるので、約定確定グループに分類することができる。ここで、Plowの平均値は、当該浮遊ブロック入札の入札時間帯における平均値であり、一般には取引時間単位ごとの入札量で重み付けした加重平均値である。
また、(入札価格)>(Phighの平均値)を満たす浮遊ブロック入札は、他の浮遊ブロック入札の約定結果によらずに、必ず約定条件を満たさないこととなるので、除外確定グループに分類することができる。ここで、Phighの平均値は、当該浮遊ブロック入札の入札時間帯における平均値であり、一般には取引時間単位ごとの入札量で重み付けした加重平均値である。
ここで、図5は、売りブロック入札が約定確定ブロック入札、除外確定ブロック入札、または浮遊ブロック入札に分類される様子を示した概念図である。図5では、横軸を時間、縦軸を価格(円)とし、取引時間帯にわたって、Plow,Phigh、および、すべての売りブロック入札を示している。Plow,Phighは、それぞれ取引時間単位で決定されるので、時間の関数としてPlow(t),Phigh(t)で表されている。E1は除外確定グループに属する除外確定ブロック入札の例、D1は約定確定グループに属する約定確定ブロック入札の例、F1は浮遊グループに属する浮遊ブロック入札の例である。
このようにして、最初の約定計算後にPlow,Phighに基づいて約定確定ブロック入札または除外確定ブロック入札を確定した後、まだ浮遊ブロック入札が残っている場合には、再度の約定計算に基づいてPlow,Phighを更新する約定価格更新処理を実施し、更新後のPlow,Phighを用いて再度の約定可否判定処理を実施する。再度の約定計算では、Plowは残りのすべての浮遊ブロック入札が約定すると仮定した上で残りのすべての浮遊ブロック入札およびすべての約定確定ブロック入札を含めて約定計算をしたときの約定価格であり、Phighは残りのすべての浮遊ブロック入札が約定しないと仮定した上で約定確定ブロック入札のみを含めて約定計算をしたときの約定価格である。詳細については後述するが、このような処理を、すべての浮遊ブロック入札が約定確定ブロック入札または除外確定ブロック入札に分類できるまで繰り返すことで約定処理を実施する。
次に、本実施の形態の構成について説明する。図6は、本実施の形態に係る電力取引市場約定計算システムの構成の一例を示した図である。図6に示すように、電力取引市場約定計算システム1は、電力取引市場約定計算装置2、通信ネットワーク3および複数台の入札者端末装置4を備えている。
電力取引市場約定計算装置2は、電力取引市場における取引の約定計算をするための約定計算装置である。電力取引市場約定計算装置2は、ハードウェアとしては例えばコンピュータを用いて実現することができる。入札者端末装置4は、電力取引市場への入札者が電力の売買に参加するために利用する端末装置である。通信ネットワーク3は、電力取引市場約定計算装置2と各入札者端末装置4とを通信可能に接続する。通信ネットワーク3は、例えばインターネットである。入札者は、入札者端末装置4および通信ネットワーク3を介して、入札データを電力取引市場約定計算装置2へ送信することができる。また、入札者は、通信ネットワーク3および入札者端末装置4を介して、電力取引市場約定計算装置2から約定結果を得ることができる。
電力取引市場約定計算装置2は、インターフェース部21、記憶部22、通信部23、および演算部24を備えている。
インターフェース部21は、入力部21aと出力部21bから構成される。入力部21aは、例えばキーボードおよびマウス等の入力装置である。出力部21bは、例えばディスプレイ等の出力装置である。電力取引市場約定計算装置2のユーザは、入力部21aを操作することにより、本装置にデータを入力することができる。また、当該ユーザは、出力部21bにより、約定計算の結果である約定結果データを表示させることができる。
記憶部22は、例えばハードディスク等の記憶装置である。記憶部22には、入札データおよび約定結果データ等のデータが保存される。通信部23は、電力取引市場約定計算装置2を通信ネットワーク3に接続するための通信インターフェースである。入札データは、売りスポット入札、買いスポット入札、および売りブロック入札の各入札ごとに、入札者識別情報(ID)、入札時間帯、入札価格、および入札量等の入札情報を与えるものである。入札データは、入札者端末装置4にて入力され、入札者端末装置4から通信ネットワーク3を介して電力取引市場約定計算装置2へ送信され、電力取引市場約定計算装置2にて通信部23を介して受信された後、記憶部22に保存される。なお、入札データは、入力部21aを介して電力取引市場約定計算装置2に直接入力することもできる。
演算部24は、入札データ集約部31、約定処理部32、および約定結果データ集約部35を備えている。また、約定処理部32は、約定計算実行部32aおよびブロック入札約定可否判定部32bを備えている。演算部24は、例えば電力取引市場約定計算プログラムによって制御されるCPU、およびその実行プログラムが記憶されたメモリ等により実現される。電力取引市場約定計算プログラムは、電力取引市場約定計算装置2を制御するための制御プログラムであり、当該制御プログラムをコンピュータで実行することにより電力取引市場約定計算装置2の機能を実現することができる。なお、電力取引市場約定計算プログラムは記憶部22に保存されている。また、電力取引市場約定計算プログラムは、記録媒体にコンピュータで読み取り可能に記録することができる。記録媒体は、例えば、CD−ROM、DVDディスク、HDD、光磁気ディスク、またはICカードなどである。
入札データ集約部31は、約定計算に用いられる翌日の取引時間帯内のすべての入札データを記憶部22から集約し、約定処理部32に出力する。約定処理部32は、入札データを用いて、約定処理を実施し、約定結果を算出する。
約定計算実行部32aは、入札データ集約部31から入札データが入力されると、すべての売りブロック入札を浮遊グループとした後、取引時間帯内における各商品(取引枠)について、すべての浮遊ブロック入札の約定成否の組合せの中で、約定価格が最安値になる場合、すなわち、すべての浮遊ブロック入札が約定すると仮定した上ですべての浮遊ブロック入札を含めてシングルプライスオークション方式で約定計算を実行したときの約定価格である最安約定価格(Plow)と、約定価格が最高値になる場合、すなわち、いずれの浮遊ブロック入札も約定しないと仮定した上でいずれの浮遊ブロック入札も含めずにシングルプライスオークション方式で約定計算を実行したときの約定価格である最高約定価格(Phigh)を計算する。
また、約定計算実行部32aは、ブロック入札約定可否判定部32bによる約定可否判定処理の結果、浮遊ブロック入札が減少した場合は、約定計算を実行して、Phigh,Plowを更新する約定価格更新処理を実施する。この場合、Plowは、残りのすべての浮遊ブロック入札が約定すると仮定した上で残りのすべての浮遊ブロック入札およびすべての約定確定ブロック入札を含めてシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格であり、Phighは残りのすべての浮遊ブロック入札が約定しないと仮定した上で約定確定ブロック入札のみを含めてシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格である。
また、約定計算実行部32aは、各商品(取引枠)について、当該各商品(取引枠)を入札時間帯に含むすべての売りブロック入札が約定確定グループまたは除外確定グループに分類された後に、再度約定計算を実行し、当該各商品(取引枠)についての最終的な約定結果を得る。すなわち、約定計算実行部32aは、当該各商品(取引枠)を入札時間帯に含むすべての約定確定ブロック入札を含めてシングルプライスオークション方式で約定計算をすることにより、約定価格および約定量を得ることができる。これは、Phigh,Plowを再更新することにより得てもよく、この場合、更新後のPhigh,Plowは同じ値となる。約定計算実行部32aは、最終的な約定結果を約定結果データ集約部35に出力する。
ブロック入札約定可否判定部32bは、約定計算実行部32aから出力されるPlowおよびPhighを用いて、浮遊ブロック入札の約定可否を判定する。すなわち、ブロック入札約定可否判定部32bは、すべての浮遊ブロック入札のうち、(入札価格)>(Phighの平均値)を満たす浮遊ブロック入札を除外確定グループに追加するとともに、(入札価格)≦(Plowの平均値)を満たす浮遊ブロック入札を約定確定グループに追加する約定可否判定処理を実施する。なお、(Plowの平均値)<(入札価格)≦(Phighの平均値)を満たす場合は、浮遊ブロック入札のままである。また、(Phighの平均値)、(Plowの平均値)については既に説明したとおりである。
約定結果データ集約部35は、約定計算実行部32aによる最終的な約定結果を集約し、約定結果データを記憶部22に保存するとともに、通信ネットワーク3を介して入札者端末装置4に送信する。
次に、本実施の形態の動作について、図7を参照して説明する。図7は、本実施の形態の動作を示すフローチャートである。
まず、約定計算実行部32aは、入札データ集約部31から出力された入札データに基づいて、すべての売りブロック入札を浮遊ブロック入札とする(S1)。すなわち、約定処理の初期には、すべての売りブロック入札は浮遊グループに分類され、約定確定グループまたは除外確定グループに属する売りブロック入札は存在しない。
次に、約定計算実行部32aは、取引時間帯内におけるすべての商品(取引枠)について、約定価格が最安値になる場合、すなわち、すべての浮遊ブロック入札が約定すると仮定し、すべての浮遊ブロック入札を含めて約定計算を実行したときの約定価格である最安約定価格(Plow)と、約定価格が最高値になる場合、すなわち、すべての浮遊ブロック入札が約定しないと仮定し、いずれの浮遊ブロック入札も含めずに約定計算を実行したときの約定価格である最高約定価格(Phigh)を商品(取引枠)ごとに計算する(S2)。これにより、Phigh,Plowの初期値が算出される。
次に、ブロック入札約定可否判定部32bは、約定計算実行部32aから出力されるPlow,Phighを用いて、浮遊ブロック入札の約定可否を判定する。すなわち、ブロック入札約定可否判定部32bは、すべての浮遊ブロック入札のうち、(入札価格)>(Phighの平均値)を満たす浮遊ブロック入札を除外確定グループに追加するとともに、(入札価格)≦(Plowの平均値)を満たす浮遊ブロック入札を約定確定グループに追加する約定可否判定処理を実施する(S3)。(Plowの平均値)<(入札価格)≦(Phighの平均値)を満たす場合は、浮遊ブロック入札のままである。なお、上記したように、Plow,Phighの平均値は、各浮遊ブロック入札の入札時間帯における算術または加重平均値である。
次に、ブロック入札約定可否判定部32bは、新たに浮遊ブロック入札が約定確定グループまたは除外確定グループに追加されたか否かを判定する(S4)。
S4での判定の結果、新たに浮遊ブロック入札が約定確定グループまたは除外確定グループに追加された場合は(S4,Yes)、約定計算実行部32aは、約定価格が最安値になる場合、すなわち、残りのすべての浮遊ブロック入札が約定すると仮定し、残りのすべての浮遊ブロック入札およびすべての約定確定ブロック入札を含めて約定計算を実行したときの約定価格であるPlowと、約定価格が最高値になる場合、すなわち、残りのすべての浮遊ブロック入札が約定しないと仮定し、残りのすべての浮遊ブロック入札を含めずにすべての約定確定ブロック入札を含めて約定計算を実行したときの約定価格であるPhighを計算し、Phigh,Plowを更新する(S5)。
この際、約定計算実行部32aは、新たに約定確定または除外確定した浮遊ブロック入札が占めていた各商品(取引枠)についてのみPhigh,Plowの計算をすれば十分である。なぜならば、当該浮遊ブロックが占めていた各商品(取引枠)以外のその他の商品については、浮遊ブロック入札の減少はなく、約定計算の条件に変更がないので、Phigh,Plowの値に変化がないからである。
また、新たに約定確定または除外確定した浮遊ブロック入札が占めていた各商品(取引枠)についてのみPhigh,Plowの計算をする場合でも、その商品(取引枠)を占める当該浮遊ブロック入札のすべてが約定確定グループに追加されていた場合には、当該商品(取引枠)に関しては、Plowの値には変化はないので、Phighのみを計算すれば十分である。同様に、その商品(取引枠)を占める当該浮遊ブロック入札のすべてが除外確定グループに追加されていた場合には、当該商品(取引枠)に関しては、Phighの値には変化はないので、Plowのみを計算すれば十分である。これら以外の場合、すなわち、その商品(取引枠)を占める当該浮遊ブロック入札の一部は約定確定グループに、残りは除外確定グループに追加された場合には、Phigh,Plowの両方を計算する必要がある。
したがって、S5における約定計算は、新たに約定確定または除外確定した浮遊ブロック入札が占めていた各商品(取引枠)についてのみ実行するとともに、その商品(取引枠)を占める当該浮遊ブロック入札のすべてが約定確定グループに追加されていたか、もしくは、除外確定グループに追加されていたか、または、それ以外かに応じて、PhighおよびPlowの少なくとも一方を計算して更新すればよい。なお、PhighまたはPlowの値に計算前後で変化がない場合には、前回の約定計算で既に得られている値を使用する。S5にてPhigh,Plowが更新された後は、再びS3の処理が実施される。
他方、S4での判定の結果、新たに浮遊ブロック入札が約定確定グループまたは除外確定グループに追加されなかった場合は(S4,No)、ブロック入札約定可否判定部32bは、浮遊ブロック入札が残っているか否かを判定する(S6)。
S6での判定の結果、浮遊ブロック入札が残っていない場合は(S6,No)、ブロック入札約定可否判定部32bは約定処理を終了する。
他方、S6での判定の結果、浮遊ブロック入札が残っている場合は(S6,Yes)、ブロック入札約定可否判定部32bは、浮遊ブロック入札のうちから一つを選び、これを除外確定グループに追加する(S7)。この際、ブロック入札約定可否判定部32bは、以下のような優先順位で、除外する浮遊ブロック入札を一つ選ぶ。
(優先順位)
(1)a=(Phighの平均値)−(入札価格)、b=(入札価格)−(Plowの平均値)としたときに、a/bが最小となる浮遊ブロック入札を除外する(図8)。
(2)a/bが等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、c=(入札量の平均値)×(入札時間帯の長さ)=(入札時間帯における総入札量)が最小となる浮遊ブロック入札を除外する。
(3)cが等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、これらのうちからランダムに一つを除外する。
(優先順位)
(1)a=(Phighの平均値)−(入札価格)、b=(入札価格)−(Plowの平均値)としたときに、a/bが最小となる浮遊ブロック入札を除外する(図8)。
(2)a/bが等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、c=(入札量の平均値)×(入札時間帯の長さ)=(入札時間帯における総入札量)が最小となる浮遊ブロック入札を除外する。
(3)cが等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、これらのうちからランダムに一つを除外する。
(1)については、Phighにより近く、Plowからより遠い浮遊ブロック入札は一般的により除外されやすいと推定されるので、これを優先的に除外しようとするものである。なお、Phigh,Plowの平均値は既に説明したとおりである。また、aとbとの比を用いるのは、一般に浮遊ブロック入札ごとに(Phighの平均値)から(Plowの平均値)までの幅が異なるので、(Phighの平均値)と(Plowの平均値)との間における入札価格の相対的な位置を得るためである。この選択基準では、一般に浮遊ブロック入札ごとに(Phighの平均値)から(Plowの平均値)までの幅が異なることを考慮した上で、複数の浮遊ブロック入札の中から、相対的にみて最も除外すべきと推定される浮遊ブロック入札を除外している。したがって、この選択基準によれば、例えばPlowのみを用いる選択基準、具体的にはbの大小比較から除外すべき浮遊ブロック入札を選定する選択基準と比較して、本来約定すべき浮遊ブロック入札を除外してしまうおそれが低い。なお、a/bを用いる代わりに、a/(a+b)を用いてもよい。
(2)については、入札量の平均値の大きいもの、あるいは、入札時間帯の長さの大きいものを除外すると、価格変動に影響を及ぼすことが予想されるため、できるだけ影響の小さいものから優先的に除外しようとするものである。なお、入札量の平均値は、入札量が取引時間単位で指定可能であることを考慮したものであり、入札時間帯における取引時間単位の入札量の平均値である。入札量が入札時間帯にわたって一定である場合には、入札量の平均値は入札量そのものである。なお、(2)を用いる代わりに、(入札量の平均値)が最小となる浮遊ブロック入札を優先的に除外し、さらに、(入札量の平均値)が等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、(入札時間帯の長さ)が最小となる浮遊ブロック入札を除外するようにしてもよい。あるいは、これらの優先順位を逆にしてもよい。
S7で浮遊ブロック入札の一つが除外確定グループに追加されると、約定計算実行部32aは、約定価格が最安値になる場合、すなわち、残りのすべての浮遊ブロック入札が約定したと仮定し、残りのすべての浮遊ブロック入札およびすべての約定確定ブロック入札を含めて約定計算を実行したときの約定価格であるPlowを計算し、Plowを更新する(S8)。この際、約定計算実行部32aは、S6の処理における場合と同様の理由で、新たに除外確定した浮遊ブロック入札が占めていた各商品(取引枠)についてのみ約定計算をすれば十分である。また、浮遊ブロック入札は除外確定グループに追加されることから、Phighの値に変化はない。したがって、Phighを再度計算する必要はなく、前回の約定計算で既に得られている値を用いることができる。S8にてPlowが更新された後は、再びS3の処理が実施される。
以上の約定処理により、すべての売りブロック入札は、約定確定グループまたは除外確定グループのいずれかに分類される。
なお、当該約定処理では、最終的な約定価格および約定量の計算はS5の処理で得られる。すなわち、新たに浮遊ブロック入札が除外確定グループまたは約定確定グループに追加された場合において(S4,Yes)、新たに除外確定または約定確定した浮遊ブロック入札が占めていた商品(取引枠)に(残りの)いずれの浮遊ブロック入札によっても占められていない商品(取引枠)が存在するときには、当該商品(取引枠)について、S5で約定計算を実行すると、更新後のPhigh,Plowは互いに等しくなり、これらの更新後の値が最終的な約定価格となる。また、(入札価格)≦(Plowの平均値)は、約定条件:(入札価格)≦(約定価格の平均値)に等しくなる。したがって、当該約定計算により最終的な約定価格および約定量ならびにスポット入札の約定可否が決定される。
なお、当該約定計算では、更新後のPhigh,Plowは互いに等しくなるので、Phigh,Plowの双方について計算する必要はなく、いずれか一方について計算すれば十分である。
さらに言えば、当該商品(取引枠)において新たに約定確定または除外確定した浮遊ブロック入札がすべて約定確定グループに追加された場合には、再度の約定計算によりPlowの値に変化はないので、更新前のPlowの値そのものが最終的な約定価格となり、更新前のPlowの約定計算により最終的な約定価格および約定量ならびにスポット入札の約定可否が決定される。また、当該商品(取引枠)において新たに約定確定または除外確定した浮遊ブロック入札がすべて除外確定グループに追加された場合には、再度の約定計算によりPhighの値に変化はないので、更新前のPhighの値そのものが最終的な約定価格となり、更新前のPhighの約定計算により最終的な約定価格および約定量ならびにスポット入札の約定可否が決定される。
次に、本実施の形態を適用した具体例について説明する。図9は、具体例1〜3におけるスポット入札の内容を示した図である。図9に示すように、以下の具体例では、11:00〜12:00の時間帯における2取引枠(2商品)を約定処理の対象とする。なお、以下の具体例では、価格(円)はすべて1MWhあたりの価格を表すものとする。
具体例1.
図10は、本具体例における売りブロック入札の内容を示した図、図11は、本具体例におけるPlow,Phighを求めるための入札曲線を示した図、図12は、本具体例における約定結果を得るための入札曲線を示した図、図13は、本具体例における約定結果を示した図である。本具体例は、すべての売りブロック入札が、初回の約定計算後の約定可否判定処理により、約定確定ブロック入札または除外確定ブロック入札のいずれかに分類される場合である。
図10は、本具体例における売りブロック入札の内容を示した図、図11は、本具体例におけるPlow,Phighを求めるための入札曲線を示した図、図12は、本具体例における約定結果を得るための入札曲線を示した図、図13は、本具体例における約定結果を示した図である。本具体例は、すべての売りブロック入札が、初回の約定計算後の約定可否判定処理により、約定確定ブロック入札または除外確定ブロック入札のいずれかに分類される場合である。
図10では、売りブロック入札の条件を示している。売りブロック入札は、BL1,BL2の二つである。売りブロック入札BL1は、入札時間帯が11:00〜12:00、入札量は1取引枠あたり100(MWh)、入札価格は8(円)である。売りブロック入札BL2は、入札時間帯が11:00〜12:00、入札量は1取引枠あたり100(MWh)、入札価格は11(円)である。
図11(a)では、11:00〜11:30の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL1,BL2のいずれも約定しなかった場合の売り入札曲線、SC2は売りブロック入札BL1,BL2のいずれも約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、Phigh=11(円)を与える。P2は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC2との交点であり、Plow=9(円)を与える(図7のS2)。
図11(b)では、11:30〜12:00の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は、売りブロック入札BL1,BL2のいずれも約定しなかった場合の売り入札曲線、SC2は、売りブロック入札BL1,BL2のいずれも約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、Phigh=10(円)を与える。P2は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC2との交点であり、Plow=8(円)を与える(図7のS2)。
図11から、11:00〜12:00の時間帯におけるPlowの平均値は、8.5(円)であり、11:00〜12:00の時間帯におけるPhighの平均値は、10.5(円)である。なお、本具体例では、売りブロック入札BL1,BL2のいずれも入札時間帯内で入札量が一定であることから、加重平均値は算術平均値に等しい。
したがって、売りブロック入札BL1の入札価格である8(円)は、入札時間帯におけるPlowの平均値である8.5(円)以下となり、売りブロック入札BL1は約定確定ブロック入札となる。また、売りブロック入札BL2の入札価格である11(円)は、入札時間帯におけるPhighの平均値である10.5円よりも高値となり、売りブロック入札BL2は除外確定ブロック入札となる(図7のS3)。
以上により、すべての売りブロック入札が約定確定グループまたは除外確定グループに分類されたので、最後に、図12に示すように、約定確定ブロック入札BL1のみを含めた入札曲線を作成し、約定価格と約定量を決定する(図7のS5)。
図12(a)では、11:00〜11:30の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL1が約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、約定価格は10(円)、約定量は200(MWh)となる。この約定計算では、浮遊ブロック入札は既に存在しないので、Plow,Phighはこの場合の約定価格そのものである。
図12(b)では、11:30〜12:00の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL1が約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、約定価格は8(円)、約定量は200(MWh)となる。この約定計算では、浮遊ブロック入札は既に存在しないので、Plow,Phighはこの場合の約定価格そのものである。
図13は、図12に示す約定価格および約定量をもとに、最終的な約定結果を示した図である。図13(a)はスポット入札についての最終的な約定結果を示し、図13(b)は売りブロック入札についての最終的な約定結果を示している。
11:00〜11:30の取引枠(商品)については、約定量が200(MWh)であることから、約定した売りブロック入札BL1の入札量の100(MWh)を除いた100(MWh)が売りスポット入札s1により供給されることとなる。売りスポット入札s1の入札価格10(円)は、約定価格10(円)以下であり、約定条件を満たす。また、買いスポット入札b2の入札価格11(円)は、約定価格10(円)よりも高く、約定条件を満たす。したがって、買いスポット入札b2は約定する。買いスポット入札b1は約定不成立となる。
11:30〜12:00の取引枠(商品)については、約定量が200(MWh)であることから、約定した売りブロック入札BL1の入札量の100(MWh)を除いた100(MWh)が売りスポット入札s1により供給されることとなる。売りスポット入札s1の入札価格7(円)は、約定価格8(円)以下であり、約定条件を満たす。また、買いスポット入札b2の入札価格10(円)は、約定価格8(円)よりも高く、約定条件を満たす。したがって、買いスポット入札b2は約定する。買いスポット入札b1は約定不成立となる。
具体例2.
図14は、本具体例における売りブロック入札の内容を示した図、図15は、本具体例におけるPlow,Phighを求めるための入札曲線を示した図、図16は、本具体例におけるPlow,Phighを更新するための入札曲線を示した図、図17は、本具体例における約定結果を得るための入札曲線を示した図、図18は、本具体例における約定結果を示した図である。本具体例は、図7のS7の処理をすることなく、すべての売りブロック入札が、約定確定ブロック入札または除外確定ブロック入札のいずれかに分類される場合である。
図14は、本具体例における売りブロック入札の内容を示した図、図15は、本具体例におけるPlow,Phighを求めるための入札曲線を示した図、図16は、本具体例におけるPlow,Phighを更新するための入札曲線を示した図、図17は、本具体例における約定結果を得るための入札曲線を示した図、図18は、本具体例における約定結果を示した図である。本具体例は、図7のS7の処理をすることなく、すべての売りブロック入札が、約定確定ブロック入札または除外確定ブロック入札のいずれかに分類される場合である。
図14では、売りブロック入札の条件を示している。売りブロック入札は、BL1〜BL3の三つであり、いずれも入札時間帯は11:00〜12:00、入札量は1取引枠あたり100(MWh)である。入札価格は、BL1が8(円)、BL2が10(円)、BL3が11(円)である。
図15(a)では、11:00〜11:30の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL1〜BL3のいずれも約定しなかった場合の売り入札曲線、SC2は売りブロック入札BL1〜BL3のいずれも約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、Phigh=11(円)を与える。P2は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC2との交点であり、Plow=9(円)を与える(図7のS2)。
図15(b)では、11:30〜12:00の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は、売りブロック入札BL1〜BL3のいずれも約定しなかった場合の売り入札曲線、SC2は、売りブロック入札BL1〜BL3のいずれも約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、Phigh=10(円)を与える。P2は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC2との交点であり、Plow=7(円)を与える(図7のS2)。
図15から、11:00〜12:00の時間帯におけるPlowの平均値は、8(円)であり、11:00〜12:00の時間帯におけるPhighの平均値は、10.5(円)である。
したがって、売りブロック入札BL1の入札価格である8(円)は、入札時間帯におけるPlowの平均値である8(円)以下となり、売りブロック入札BL1は約定確定ブロック入札となる。また、売りブロック入札BL3の入札価格である11(円)は、入札時間帯におけるPhighの平均値である10.5円よりも高値となり、売りブロック入札BL3は除外確定ブロック入札となる(図7のS3)。
この段階で、浮遊ブロック入札は、BL2のみである。そこで、BL2が約定した場合と、BL2が約定しなかった場合について、売り入札曲線と買い入札曲線を作成すると、図16のようになる。
図16(a)では、11:00〜11:30の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL2が約定しなかった場合の売り入札曲線、SC2は売りブロック入札BL2が約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、Phigh=10(円)を与える。P2は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC2との交点であり、Plow=9(円)を与える(図7のS5)。
図16(b)では、11:30〜12:00の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL2が約定しなかった場合の売り入札曲線、SC2は売りブロック入札BL2が約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、Phigh=8(円)を与える。P2は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC2との交点であり、Plow=8(円)を与える(図7のS5)。
図16から、11:00〜12:00の時間帯におけるPlowの平均値は、8.5(円)であり、11:00〜12:00の時間帯におけるPhighの平均値は、9(円)である。
したがって、売りブロック入札BL2の入札価格である10(円)は、入札時間帯におけるPhighの平均値である9円よりも高値となり、売りブロック入札BL2は除外確定ブロック入札となる(図7のS3)。
以上により、すべての売りブロック入札が約定確定グループまたは除外確定グループに分類されたので、最後に、図17に示すように、約定確定ブロック入札BL1のみを含めた入札曲線を作成し、約定価格と約定量を決定する(図7のS5)。
図17(a)では、11:00〜11:30の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL1が約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、約定価格は10(円)、約定量は200(MWh)となる。この約定計算では、浮遊ブロック入札は既に存在しないので、Plow,Phighはこの場合の約定価格そのものである。
図17(b)では、11:30〜12:00の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL1が約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、約定価格は8(円)、約定量は200(MWh)となる。この約定計算では、浮遊ブロック入札は既に存在しないので、Plow,Phighはこの場合の約定価格そのものである。
図18は、図17に示す約定価格および約定量をもとに、最終的な約定結果を示した図であり、図18(a)はスポット入札についての最終的な約定結果を示し、図18(b)は売りブロック入札についての最終的な約定結果を示している。具体例1の図13と同様の表記にしたがうので、具体的な説明については省略する。
具体例3.
図19は、本具体例における売りブロック入札の内容を示した図、図20は、本具体例におけるPlow,Phighを求めるための入札曲線を示した図、図21は、本具体例におけるPlow,Phighを更新するための入札曲線を示した図、図22は、本具体例におけるPlow,Phighを更新するための入札曲線を示した別の図、図23は、本具体例における約定結果を得るための入札曲線を示した図、図24は、本具体例における約定結果を示した図である。本具体例は、すべての売りブロック入札を約定確定ブロック入札または除外確定ブロック入札のいずれかに分類するために、図7のS7の処理をすることが必要な場合である。
図19は、本具体例における売りブロック入札の内容を示した図、図20は、本具体例におけるPlow,Phighを求めるための入札曲線を示した図、図21は、本具体例におけるPlow,Phighを更新するための入札曲線を示した図、図22は、本具体例におけるPlow,Phighを更新するための入札曲線を示した別の図、図23は、本具体例における約定結果を得るための入札曲線を示した図、図24は、本具体例における約定結果を示した図である。本具体例は、すべての売りブロック入札を約定確定ブロック入札または除外確定ブロック入札のいずれかに分類するために、図7のS7の処理をすることが必要な場合である。
図19では、売りブロック入札の条件を示している。売りブロック入札は、BL1〜BL3の三つであり、いずれも入札時間帯は11:00〜12:00、入札量は1取引枠あたり100(MWh)である。入札価格は、BL1が8(円)、BL2が8.5(円)、BL3が9(円)である。
図20(a)では、11:00〜11:30の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL1〜BL3のいずれも約定しなかった場合の売り入札曲線、SC2は売りブロック入札BL1〜BL3のいずれも約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、Phigh=11(円)を与える。P2は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC2との交点であり、Plow=9(円)を与える(図7のS2)。
図20(b)では、11:30〜12:00の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は、売りブロック入札BL1〜BL3のいずれも約定しなかった場合の売り入札曲線、SC2は、売りブロック入札BL1〜BL3のいずれも約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、Phigh=10(円)を与える。P2は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC2との交点であり、Plow=7(円)を与える(図7のS2)。
図20から、11:00〜12:00の時間帯におけるPlowの平均値は、8(円)であり、11:00〜12:00の時間帯におけるPhighの平均値は、10.5(円)である。
したがって、売りブロック入札BL1の入札価格である8(円)は、入札時間帯におけるPlowの平均値である8(円)以下となり、売りブロック入札BL1は約定確定ブロック入札となる(図7のS3)。
この段階で、浮遊ブロック入札は、BL2,BL3である。そこで、BL2,BL3のいずれも約定した場合と、BL2,BL3のいずれも約定しなかった場合について、売り入札曲線と買い入札曲線を作成すると、図21のようになる。
図21(a)では、11:00〜11:30の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL2,BL3が約定しなかった場合の売り入札曲線、SC2は売りブロック入札BL2,BL3が約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、Phigh=10(円)を与える。P2は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC2との交点であり、Plow=9(円)を与える(図7のS5)。
図21(b)では、11:30〜12:00の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL2,BL3が約定しなかった場合の売り入札曲線、SC2は売りブロック入札BL2,BL3が約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、Phigh=8(円)を与える。P2は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC2との交点であり、Plow=7(円)を与える(図7のS5)。
図21から、11:00〜12:00の時間帯におけるPlowの平均値は、8(円)であり、11:00〜12:00の時間帯におけるPhighの平均値は、9(円)である。
そうすると、売りブロック入札BL2,BL3の入札価格は、ともにPlowの平均値:8(円)よりも高値で、かつ、Phigh:9(円)以下である。したがって、再度、売りブロック入札BL2,BL3は、約定確定グループにも除外確定グループにも分類されない(図7のS4、No)。
そこで、図7のS7の処理、具体的には、図8を用いて説明した浮遊ブロック入札の除外処理を実施する。すなわち、浮遊ブロック入札BL2,BL3に対し、それぞれ例えばa/(a+b)を計算し、その値の小さい方を除外確定グループに分類する。上記したように、a=(Phighの平均値)−(入札価格)、b=(入札価格)−(Plowの平均値)である。
浮遊ブロック入札BL2,BL3のそれぞれについてa/(a+b)を計算すると、次のようになる。
BL2:a/(a+b)=(9−8.5)/(9−8)=0.5
BL3:a/(a+b)=(9−9)/(9−8)=0
よって、a/(a+b)の値が小さい方の売りブロック入札BL3が除外されて、除外確定グループに分類される。
BL2:a/(a+b)=(9−8.5)/(9−8)=0.5
BL3:a/(a+b)=(9−9)/(9−8)=0
よって、a/(a+b)の値が小さい方の売りブロック入札BL3が除外されて、除外確定グループに分類される。
売りブロック入札BL3の除外後、浮遊ブロック入札はBL2のみとなる。そこで、BL2が約定した場合と、BL2が約定しなかった場合について、売り入札曲線と買い入札曲線を作成すると、図22のようになる。
図22(a)では、11:00〜11:30の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL2が約定しなかった場合の売り入札曲線、SC2は売りブロック入札BL2が約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、Phigh=10(円)を与える。P2は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC2との交点であり、Plow=9(円)を与える(図7のS8)。
図22(b)では、11:30〜12:00の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL2が約定しなかった場合の売り入札曲線、SC2は売りブロック入札BL2が約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、Phigh=8(円)を与える。P2は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC2との交点であり、Plow=8(円)を与える(図7のS8)。
図22から、11:00〜12:00の時間帯におけるPlowの平均値は、8.5(円)であり、11:00〜12:00の時間帯におけるPhighの平均値は、9(円)である。
したがって、売りブロック入札BL2の入札価格である8.5(円)は、入札時間帯におけるPlow値である8.5円以下となり、売りブロック入札BL2は約定確定ブロック入札となる(図7のS3)。
以上により、すべての売りブロック入札が約定確定グループまたは除外確定グループに分類されたので、最後に、図23に示すように、約定確定ブロック入札BL1,BL2のみを含めた入札曲線を作成し、約定価格と約定量を決定する(図7のS5)。
図23(a)では、11:00〜11:30の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL1,BL2が約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、約定価格は9(円)、約定量は200(MWh)となる。この約定計算では、浮遊ブロック入札は既に存在しないので、Plow,Phighはこの場合の約定価格そのものである。
図23(b)では、11:30〜12:00の取引枠(商品)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL1,BL2が約定した場合の売り入札曲線である。P1は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、約定価格は8(円)、約定量は300(MWh)となる。この約定計算では、浮遊ブロック入札は既に存在しないので、Plow,Phighはこの場合の約定価格そのものである。
図24は、図23に示す約定価格および約定量をもとに、最終的な約定結果を示した図であり、図24(a)はスポット入札についての最終的な約定結果を示し、図24(b)は売りブロック入札についての最終的な約定結果を示している。具体例1の図13と同様の表記にしたがうので、具体的な説明については省略する。
以上は、一般的なケースにおける具体例である。次に、例外的処理について説明する。
例外的処理1.
図7のS2では、Phighの算出時に、浮遊ブロック入札がすべて約定しないと仮定して約定計算をする。
図7のS2では、Phighの算出時に、浮遊ブロック入札がすべて約定しないと仮定して約定計算をする。
しかしながら、売りスポット入札が存在しない場合には、浮遊ブロック入札がすべて約定しないと仮定すると、売り入札量が0となり、売り入札曲線と買い入札曲線との交点からPhighが求まらない。
そこで、この場合には、Phigh=(買いスポット入札の入札価格の最高値)とする補正をする。
この補正を、具体例を用いて説明する。図25は、本例外的処理が適用される入札例の内容を示した図、図26は、本例外的処理を説明するための図である。
図25(a)では、スポット入札の例を示している。売りスポット入札は存在せず、買いスポット入札b1,b2のみが存在する。買いスポット入札b1,b2の入札時間帯はそれぞれ11:00〜11:30と11:30〜12:30の2商品(2取引枠)であり、入札条件はそれぞれ時間帯によらず同一とする。また、図25(b)では、売りブロック入札の例を示している。この場合、売りブロック入札BL1のみが存在する。売りブロック入札BL1の入札時間帯は11:00〜12:00とする。
図26では、例えば11:00〜11:30の商品(取引枠)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL1が約定した場合の売り入札曲線である。P2は、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、Plow=8(円)を与える。
他方、売りスポット入札がないため、売りブロック入札BL1が約定しなかったと仮定すると、売り入札量が0となり、通常の方法ではPhighが求まらないが、本補正処理を適用することにより、Phigh=(買いスポット入札の入札価格の最高値)=(買いスポット入札b2の入札価格)=10(円)に定まる。
この補正処理は、売りスポット入札が最低取引量(例えば1(MWh))だけ存在すると仮定し、この場合の売り入札曲線と買い入札曲線BC1との交点での価格としてPhighを求めることに相当する。
例外的処理2.
図7のS2,S5,S8では、PhighまたはPlowの算出時に、売り入札曲線と買い入札曲線との交点から約定価格を求める。
図7のS2,S5,S8では、PhighまたはPlowの算出時に、売り入札曲線と買い入札曲線との交点から約定価格を求める。
しかしながら、(売りブロック入札の入札量の和)≧(買いスポット入札の入札量の和)となった場合には、売り入札曲線と買い入札曲線との交点が売りブロック入札の価格線上に乗ってしまう。このため、以下の補正処理をする。
まず、(売りブロック入札の入札量の和)=(買いスポット入札の入札量の和)となる場合の補正処理について説明する。この場合は、約定価格=(売りおよび買いスポット入札の入札価格の最安値)とする補正をする。
この補正を、具体例を用いて説明する。図27は、本例外的処理が適用される入札例の内容を示した図、図28は、本例外的処理を説明するための図である。
図27(a)では、スポット入札の例を示している。売りスポット入札はs1が存在し、買いスポット入札はb1,b2が存在する。売りスポット入札s1および買いスポット入札b1,b2の入札時間帯はそれぞれ11:00〜11:30と11:30〜12:30の2商品(2取引枠)であり、入札条件はそれぞれ時間帯によらず同一とする。また、図27(b)では、売りブロック入札の例を示している。この場合、売りブロック入札BL1,BL2が存在する。売りブロック入札BL1,BL2の入札時間帯はそれぞれ11:00〜12:00とする。本入札例では、(売りブロック入札の入札量の和)=(買いスポット入札の入札量の和)=300(MWh)となっている。
図28では、例えば11:00〜11:30の商品(取引枠)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL1,BL2が約定した場合の売り入札曲線である。P2は、補正処理を適用しない場合の、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、売りブロック入札の価格線上に乗るため、Plowが0(円)となってしまう。P1は、補正処理を適用した場合の、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、Plow=(売りおよび買いスポット入札の入札価格の最安値)=(売りスポット入札s1の入札価格)=7(円)を与える。
この補正処理は、売りブロック入札の入札量の和が最低取引量(例えば1(MWh))だけ少ないと仮定してPlowを求めることに相当する。
なお、図27および図28では、売りスポット入札の入札価格の最安値7(円)が、買いスポット入札の入札価格の最安値8(円)よりも低い場合の例を示しているが、本例外的処理は、両者の大小関係が逆転した場合にも適用可能である。
次に、(売りブロック入札の入札量の和)>(買いスポット入札の入札量の和)となる場合の補正処理について説明する。この場合は、売りブロック入札の部分約定が生ずることとなるので、約定価格=0(円)とする補正をする。
この補正を、具体例を用いて説明する。図29は、本例外的処理が適用される入札例を示した図、図30は、本例外的処理を説明するための図である。
図29(a)では、スポット入札の例を示している。売りスポット入札はs1が存在し、買いスポット入札はb1,b2が存在する。売りスポット入札s1および買いスポット入札b1,b2の入札時間帯はそれぞれ11:00〜11:30と11:30〜12:30の2商品(2取引枠)であり、入札条件はそれぞれ時間帯によらず同一とする。また、図29(b)では、売りブロック入札の例を示している。この場合、売りブロック入札BL1,BL2が存在する。売りブロック入札BL1,BL2の入札時間帯はそれぞれ11:00〜12:00とする。本入札例では、(売りブロック入札の入札量の和)=300(MWh)、(買いスポット入札の入札量の和)=200(MWh)であり、(売りブロック入札の入札量の和)>(買いスポット入札の入札量の和)となっている。
図30では、例えば11:00〜11:30の商品(取引枠)における入札曲線が示されている。BC1は買い入札曲線、SC1は売りブロック入札BL1,BL2が約定した場合の売り入札曲線である。P1は、補正処理を適用した場合の、買い入札曲線BC1と売り入札曲線SC1との交点であり、約定価格=0(円)を与える。したがって、例えば、Plowの計算で、約定計算に含める(売りブロック入札の入札量の和)>(買いスポット入札の入札量の和)が成り立つ場合には、Plow=0(円)となる。Phighの計算についても同様であるが、Phighの計算では、浮遊ブロック入札を含めずに約定計算をするので、Plowの計算に比べて約定処理の初期には部分約定が生じにくい。
ある時間帯でのPlowが低いほど、その時間帯を跨いだ売りブロック入札は除外されやすくなる。この補正処理では、約定処理中に部分約定が生じている売りブロック入札をできるだけ早く除外することを目的に、Plowを0(円)に補正するものである。なお、Plowを0(円)に補正する代わりに、予め決められた取引の価格単位(最小価格)としてもよい。
例外的処理3.
上記したように、売りブロック入札が約定するための価格条件は(入札価格)≦(Plowの平均値)である。この価格条件では、売りブロック入札の入札価格は約定価格の平均値と比較されるので、たとえ価格条件を満たしていても、入札時間帯内のある時間帯では入札価格が0(円)となって、部分約定が生じている可能性がある。
上記したように、売りブロック入札が約定するための価格条件は(入札価格)≦(Plowの平均値)である。この価格条件では、売りブロック入札の入札価格は約定価格の平均値と比較されるので、たとえ価格条件を満たしていても、入札時間帯内のある時間帯では入札価格が0(円)となって、部分約定が生じている可能性がある。
例えば、売りブロック入札の入札価格が8(円)、入札時間帯が0:00〜5:00、入札量は入札時間帯にわたって一定としたときに、4:30〜5:00の時間帯で部分約定が発生し、約定価格が0(円)となっていても、0:00〜4:30の時間帯で約定価格が10(円)となっていれば、入札時間帯(0:00〜5:00)における約定価格の平均値は9(円)となり、売りブロック入札は約定のための価格条件を満たす。しかし、この売りブロック入札は、部分約定が生じているので、約定することができない。
したがって、たとえ価格条件を満たしていても、部分約定が生じている売りブロック入札は、除外する必要がある。このため、すべての浮遊ブロック入札が、約定確定グループまたは除外確定グループに分類されたとしても、約定確定グループの中に、部分約定をした約定確定ブロック入札があれば、部分約定が解消するまで、このようなブロック入札を一つずつ除外する必要がある。
図31は、部分約定を除外するための補正処理を含んだフローチャートである。なお、S1〜S8の処理は図7と同じであり、以下では、主に部分約定を除外するための補正処理について説明する。
S6にて、浮遊ブロック入札が残っていないと判定された場合(S6,No)、ブロック入札約定可否判定部32bは、約定確定ブロック入札の中に、部分約定したもの(部分約定ブロック入札)があるかどうかを判定する(S9)。具体的には、ブロック入札約定可否判定部32bは、約定確定ブロック入札ごとに、その入札時間帯内に約定価格(Plow=Phigh)が0(円)の取引枠(商品)が存在するか否かにより部分約定しているか否かを判定する。約定確定ブロック入札は、その入札時間帯内に約定価格(Plow=Phigh)が0(円)の取引枠(商品)が存在すれば、部分約定していると判定することができる(例外的処理2参照)。当該判定の結果、部分約定したものがなければ(S9,No)、ブロック入札約定可否判定部32bは、約定処理を終了する。当該判定の結果、部分約定したものがある場合は(S9,Yes)、ブロック入札約定可否判定部32bは、部分約定したものの中から以下のような優先順位で除外するものを一つ選択し、当該選択した一つを除外確定グループに追加する(S10)。
(優先順位)
(1)a=(Phighの平均値)−(入札価格)が最小となる部分約定ブロック入札を除外する。
(2)aが等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、c=(入札量の平均値)×(入札時間帯の長さ)=(入札時間帯における入札総量)が最小となる浮遊ブロック入札を除外する。
(3)cが等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、これらのうちからランダムに一つを除外する。
(優先順位)
(1)a=(Phighの平均値)−(入札価格)が最小となる部分約定ブロック入札を除外する。
(2)aが等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、c=(入札量の平均値)×(入札時間帯の長さ)=(入札時間帯における入札総量)が最小となる浮遊ブロック入札を除外する。
(3)cが等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、これらのうちからランダムに一つを除外する。
(1)については、Phighにより近い部分約定ブロック入札は一般的により除外されやすいと推定されるので、これを優先的に除外しようとするものである。なお、この場合は、Phigh=Plowであることから、選定基準にaのみを用いることとなる。(2)、(3)については、実施の形態1で説明した優先順位の場合と同じ趣旨である。
次に、約定計算実行部32aは、約定計算を実行し、Plowを更新する(S8)。この場合、約定確定ブロック入札を除外確定ブロック入札に変更したので、PhighおよびPlowの双方が変化するが、浮遊ブロックは既に存在しないので、Plow(=Phigh)は約定価格に等しく、Plowを求める際に約定量も求められる。なお、Phighを更新してもよい。この後は、S3〜S6を経て、再度S9に至る。この場合のS3の処理は、Plow=Phigh=約定価格による約定可否の判定処理となる。
このようにして、一般にS9,S10の処理を繰り返すことにより、部分約定を解消することができる。
以上説明したように、本実施の形態では、浮遊ブロック入札の約定成否の組合せの中で、約定価格が最安値になる場合の最安約定価格(Plow)と、約定価格が最高値になる場合の最高約定価格(Phigh)という2通りの約定価格を用いて、すべての売りブロック入札を、約定確定グループまたは除外確定グループに順次分類していくようにしたので、計算時間を膨大化させることなく、妥当な計算時間内で、約定処理を実施することが可能になる。
また、本実施の形態では、最安約定価格(Plow)および最高約定価格(Phigh)という2通りの約定価格を用いて約定処理を実施することで、いずれか一方を用いる場合と比較して、約定させるべき売りブロック入札をより適切に約定させ、除外させるべき売りブロック入札をより適切に除外させることができ、社会的便益をより拡大することが可能となる。
また、本実施の形態では、浮遊ブロック入札が減少せず(図7のS4,No)、かつ、浮遊ブロック入札がまだ残っている場合は(図7のS6,Yes)、予め設定された選択基準に基づいて浮遊ブロック入札のうちから一つを選択し、これを除外確定グループに追加するようにしている(S7)。この際、選択基準は、優先順位に応じて複数設けられており、(1)a=(Phighの平均値)−(入札価格)、b=(入札価格)−(Plowの平均値)としたときに、a/bが最小となる浮遊ブロック入札を優先的に除外し、(2)a/bが等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、c=(入札量の平均値)×(入札時間帯の長さ)=(入札時間帯ににおける総入札量)が最小となる浮遊ブロック入札を除外するようにしている。特に、(1)の選択基準では、PlowおよびPhighの双方を用い、(Phighの平均値)と(Plowの平均値)との間における(入札価格)の相対的な位置を互いに比較することで浮遊ブロック入札を選択しているので、選択の妥当性が高く、社会的便益をより拡大することができる。
なお、いわゆる全探索法では、売りブロック入札の約定成否を仮定して約定成否の組合せのすべてについてそれぞれ約定計算をし、計算結果が約定成否の仮定と矛盾しないもののうち取引量が最大となるものを約定結果として選択する。しかしながら、全探索法は、売りブロック入札の個数が増加すると計算時間が指数関数的に増大するので、計算負荷の観点からは採用することが困難となる。
これに対し、本実施の形態では、売りブロック入札の約定成否の組合せのすべてを検討する必要がなく、計算量を大幅に抑制することが可能であるとともに、社会的便益を準最大化する準最適解を求めることができる。
また、本実施の形態では、図7のS5において、Plow,Phighを更新する際には、約定計算実行部32aは、新たに約定確定または除外確定した浮遊ブロック入札が占めていた商品(取引枠)についてのみ、Phigh,Plowの計算をするようにしている。これにより、約定価格の値に変化のあるもののみを再計算するので、計算量を抑制できる。さらに、S4で浮遊ブロックが約定確定グループのみに追加されたか、もしくは、除外確定グループのみに追加されたか、または、約定確定グループおよび除外確定グループの双方に追加されたかに応じて、PhighおよびPlowの少なくとも一方を計算するようにすることで、計算量を一層抑制できる。図7のS8の計算についても同様である。
また、本実施の形態では、図31のS9,S10の処理等により、売りブロック入札が部分約定しないようにしている。これにより、発電事業者は入札した量を下回る量を供給する必要がないので、発電機を安定して運用することができる。
ところで、特許文献2では、売りおよび買いの双方のブロック入札が可能な電力取引市場において、ブロック商品を取引時間単位の複数個の商品に置き換えた後、取引時間単位で入札価格が最も低い売り入札と入札価格が最も高い買い入札とをマッチングさせることを基本として、売り入札と買い入札の約定の組み合わせを選定している。
しかしながら、引用文献2に記載の従来の技術と本実施の形態とでは、以下に述べる相違点が存在する。
まず、引用文献2では、約定方式にシングルプライスオークション方式を採用した電力取引市場を対象としていないのに対し、本実施の形態では、シングルプライスオークション方式を採用した電力取引市場を対象としている。
また、引用文献2に記載の従来の技術と本実施の形態とでは、約定条件が異なる。具体的には、引用文献2では、約定条件は、(売りブロック入札の入札価格)≦(当該売りブロック入札に組み合わせ選定された買い入札の入札価格の平均値)で与えられる(引用文献2の請求項2)。これに対し、本実施の形態では、約定条件は、(売りブロック入札の入札価格)≦(当該売りブロック入札の入札時間帯内における約定価格の平均値)で与えられる。
また、引用文献2では、除外確定ブロック、約定確定ブロックという概念はなく、約定条件を満足しないブロック入札を一つずつ除外している。
また、引用文献2に記載の従来の技術と本実施の形態とでは、除外するブロックの選定条件が異なる。すなわち、本実施の形態では、PlowおよびPhighの双方を用いて、「最も約定する可能性が低い」と推定される浮遊ブロック入札から除外するようにしている(図7のS7)。これに対し、引用文献2では、再マッチングを実施してもマッチングが不完全な売りブロック入札があれば、マッチングが不完全なすべての売りブロック入札のうち、最も入札価格の高い売りブロック入札を除外し、再度のマッチングを実施しており(引用文献2の段落「0031」、請求項9)、単に入札価格の高い売りブロック入札から除外している。そのため、引用文献2の除外方法では、特に売りブロック入札の入札数が増加した場合に、適切な順序で売りブロック入札を除外していくことが困難となり、最終的に約定条件を満たす売りブロック入札を除外しかねず、ひいては約定量(取引量)および社会的便益の減少に繋がる。言い換えれば、本実施の形態では、PlowおよびPhighの双方を用いることにより、適切な順序で売りブロック入札を除外していくことができ、最終的に約定条件を満たす売りブロック入札を除外する可能性が低く、ひいては約定量(取引量)および社会的便益の増加に繋がる。
実施の形態2.
実施の形態1では、浮遊ブロック入札が減少せず(図7のS4,No)、かつ、浮遊ブロック入札がまだ残っている場合は(図7のS6,Yes)、優先順位が決められた選択基準に基づいて浮遊ブロック入札のうちから一つを選択し、これを除外確定グループに追加するようにしている(S7)。
実施の形態1では、浮遊ブロック入札が減少せず(図7のS4,No)、かつ、浮遊ブロック入札がまだ残っている場合は(図7のS6,Yes)、優先順位が決められた選択基準に基づいて浮遊ブロック入札のうちから一つを選択し、これを除外確定グループに追加するようにしている(S7)。
本実施の形態では、このような選択基準に基づいて浮遊ブロック入札を除外して反復計算を継続する代わりに、浮遊ブロック入札が減少しなくなった時点で、残りの浮遊ブロック入札に対して、全探索法を適用する。
図32は、本実施の形態の動作を示すフローチャートである。図32に示すように、本フローチャートでは、図7のS7,S8の処理がS11の処理に置き換えられている。図32におけるその他の処理は図7と同様である。したがって、以下では主に図7との差異について説明する。
浮遊ブロック入札が減少せず(S4,No)、かつ、浮遊ブロック入札がまだ残っている場合は(S6,Yes)、約定計算実行部32aは、残りの浮遊ブロック入札の約定成否の組合せのすべてについてそれぞれ約定計算を実行し、これらの組合せのうち、計算結果が約定成否の仮定と矛盾せず、かつ、社会的便益が最大となるものを約定結果として選択する(S11)。
具体例として、S11の処理を実施の形態1で説明した具体例3に適用した場合を考える。具体例3では、売りブロック入札BL1が約定確定グループに分類された後、浮遊ブロック入札BL2,BL3のいずれも約定確定グループまたは除外確定グループに分類されなくなる。
そこで、S11では、(a)浮遊ブロック入札BL2,BL3のいずれも約定したと仮定した場合、(b)浮遊ブロック入札BL2は約定し、浮遊ブロック入札BL3は約定しなかったと仮定した場合、(c)浮遊ブロック入札BL2は約定せず、浮遊ブロック入札BL3は約定したと仮定した場合、(d)浮遊ブロック入札BL2,BL3のいずれも約定しなかったと仮定した場合の4通りについて、約定計算を実行する。
(a)の場合の約定計算は、売りブロック入札BL1,BL2,BL3のいずれも約定した場合の約定計算と同じであり、約定価格の平均値は8(円)となる(図20のPlowの平均値)。しかし、この場合は、浮遊ブロック入札BL2の入札価格(8.5(円))と浮遊ブロック入札BL3の入札価格(9(円))が、いずれも約定価格の平均値よりも高く、価格条件を満たさず、浮遊ブロック入札BL2,BL3のいずれも約定したという仮定に矛盾する。
(b)の場合の約定計算は、売りブロック入札BL1,BL2が約定し、かつ、売りブロック入札BL3が約定しなかった場合の約定計算と同じであり、具体例3の約定結果を与える場合に相当する。約定価格の平均値は8.5(円)となる(図23の約定価格の平均値)。この場合は、浮遊ブロック入札BL2の入札価格(8.5(円))は約定価格の平均値に等しいので、価格条件を満たし、浮遊ブロック入札BL2が約定したとする仮定に矛盾せず、また、浮遊ブロック入札BL3の入札価格(9(円))は約定価格の平均値よりも高いので、価格条件を満たさず、浮遊ブロック入札BL3が約定しないという仮定にも矛盾しない。
(c)の場合の約定計算は、売りブロック入札BL1,BL3が約定し、かつ、売りブロック入札BL2が約定しなかった場合の約定計算と同じであり、約定価格の平均値は8.5(円)となる(売りブロック入札BL2,BL3の入札量が互いに等しいので、図22のPlowの平均値に等しい)。しかし、この場合は、浮遊ブロック入札BL3の入札価格(9(円))が、約定価格の平均値よりも高くなり、浮遊ブロック入札BL3が約定したという仮定に矛盾する。
(d)の場合の約定計算は、売りブロック入札BL1が約定し、かつ、売りブロック入札BL2,BL3が約定しなかった場合の約定計算と同じであり、約定価格の平均値は9(円)となる(図21のPhighの平均値に等しい)。この場合は、浮遊ブロック入札BL2の入札価格(8.5(円))は約定価格よりも小さいので、価格条件を満たし、浮遊ブロック入札BL2が約定しないという仮定にも矛盾する。
以上から、社会的便益を比較するまでもなく、(b)のみが約定成否の仮定と矛盾せず、したがって、具体例3と同様に、(b)の場合が約定結果となる。
本実施の形態によれば、Phigh,Plowを用いて、浮遊ブロック入札を可能な限り減らした後に、残りの浮遊ブロック入札に対して全探索法を適用しているので、最初からすべての浮遊ブロック入札に対して全探索法を適用する場合に比べて、計算量を抑制することができる。
例えば、上記の具体例では、最初から全探索法を用いた場合には、23=8通りの場合について計算をする必要があるが、本実施の形態では、浮遊ブロック入札を実施の形態1の方法で減らした後は、22=4通りの場合について計算すればよい。
なお、図32のS11において、全探索法以外のアルゴリズムを用いて残りの約定計算を実行することもできる。この場合でも、実施の形態1の方法により既に浮遊ブロック入札を減らしているので、全体として計算量を抑制する効果がある。さらに言えば、初回の約定計算(S2)およびこれに続く約定可否判定処理(S3)のみを実施し、その後は、全探索法を含む他のアルゴリズムに基づいて約定処理をすることもできる。この場合でも、浮遊ブロック入札が減少した場合には、全体として計算量を抑制する効果があり、また、少なくとも浮遊ブロック入札の一部については適切に約定確定または除外確定しているので、誤った選択をする場合に比べて、社会的便益をより拡大する効果もある。本実施の形態のその他の構成、動作、および効果は実施の形態1と同様である。
実施の形態3.
実施の形態1では、ブロック入札は売りブロック入札のみとした。本実施の形態では、ブロック入札は買いブロック入札のみとする。本実施の形態の構成は、図6に示す実施の形態1の構成と同じである。また、本実施の形態の動作は、基本的には、実施の形態1と同様であり、以下で説明するように、売りと買いで逆になる部分を変更すればよい。
実施の形態1では、ブロック入札は売りブロック入札のみとした。本実施の形態では、ブロック入札は買いブロック入札のみとする。本実施の形態の構成は、図6に示す実施の形態1の構成と同じである。また、本実施の形態の動作は、基本的には、実施の形態1と同様であり、以下で説明するように、売りと買いで逆になる部分を変更すればよい。
約定計算は、実施の形態1と同様にシングルプライスオークション方式にしたがう。ただし、買いブロック入札は、価格が無限大(円)の入札とみなして、買い入札曲線が作成される。なお、買いブロック入札を、取引時間帯内におけるすべてのスポット入札の入札価格よりも高い任意の価格の入札とみなしてもよい。
また、実施の形態1と同様に、約定処理の初期に、すべての買いブロック入札を浮遊ブロック入札とし、約定計算および約定可否判定処理を繰り返すことにより、浮遊ブロック入札を順次減らし、最終的にすべての浮遊ブロック入札を約定確定ブロック入札または除外確定ブロック入札に分類することで約定処理を実施する。
また、約定処理では、買いブロック入札の約定数が増加すると約定価格が上昇し、買いブロック入札の約定数が減少すると約定価格が低下するという価格変動特性に基づき、浮遊ブロック入札がすべて約定したときに約定価格が最高値(このときの約定価格を「最高約定価格(Phigh)」という)となり、浮遊ブロック入札がすべて約定しないときに約定価格が最安値(このときの約定価格を「最安約定価格(Plow)」という)となることを利用する。
すなわち、(入札価格)≧(Phighの平均値)を満たす浮遊ブロック入札は、他の浮遊ブロック入札の約定結果によらずに、必ず約定条件を満たすこととなり、約定確定グループに分類することができる。
また、(入札価格)<(Plowの平均値)を満たす浮遊ブロック入札は、他の浮遊ブロック入札の約定結果によらずに、必ず約定条件を満たさないこととなり、除外確定グループに分類することができる。
図33は、本実施の形態の動作を示すフローチャートである。図33は、図7のS1で「売りブロック入札」を「買いブロック入札」とし、図7のS3を「(入札価格)<(Plowの平均値)を満たす浮遊ブロック入札を除外確定グループに追加し、(入札価格)≧(Phighの平均値)を満たす浮遊ブロック入札を約定確定グループに追加する」に置き換えたものである。同様の変更は図31、図32にも適用される。
ただし、図33のS7では、ブロック入札約定可否判定部32bは、以下のような優先順位で、除外する浮遊ブロック入札を一つ選ぶ。
(優先順位)
(1)a=(Phighの平均値)−(入札価格)、b=(入札価格)−(Plowの平均値)としたときに、b/a(または、b/(a+b))が最小となる浮遊ブロック入札を除外する(図8)。
(2)b/aが等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、c=(入札量の平均値)×(入札時間帯の長さ)=(入札時間帯における総入札量)が最小となる浮遊ブロック入札を除外する。なお、(2)を用いる代わりに、(入札量の平均値)が最小となる浮遊ブロック入札を優先的に除外し、さらに、(入札量の平均値)が等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、(入札時間帯の長さ)が最小となる浮遊ブロック入札を除外するようにしてもよい。あるいは、これらの優先順位を逆にしてもよい。
(3)cが等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、これらのうちからランダムに一つを除外する。
(優先順位)
(1)a=(Phighの平均値)−(入札価格)、b=(入札価格)−(Plowの平均値)としたときに、b/a(または、b/(a+b))が最小となる浮遊ブロック入札を除外する(図8)。
(2)b/aが等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、c=(入札量の平均値)×(入札時間帯の長さ)=(入札時間帯における総入札量)が最小となる浮遊ブロック入札を除外する。なお、(2)を用いる代わりに、(入札量の平均値)が最小となる浮遊ブロック入札を優先的に除外し、さらに、(入札量の平均値)が等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、(入札時間帯の長さ)が最小となる浮遊ブロック入札を除外するようにしてもよい。あるいは、これらの優先順位を逆にしてもよい。
(3)cが等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、これらのうちからランダムに一つを除外する。
図33におけるその他の処理は、図7における処理と同様にして説明することができるので、詳細は省略する。
以上のようにして、実施の形態1,2は、ブロック入札として買いブロック入札のみが存在する場合にも容易に構成することができる。本実施の形態によれば、買いブロック入札が存在する電力取引市場における約定計算において、計算時間を膨大化させることなく、妥当な計算時間内で、社会的便益をより拡大させることが可能となる。
なお、本実施の形態のその他の構成、動作、および効果は、売り買いで本質的な差異が存在する場合を除いて、実施の形態1,2と同様である。
本発明は、電力取引市場における取引の約定計算をするための約定計算装置、約定計算方法、および約定計算プログラムとして有用である。
1 電力取引市場約定計算システム、2 電力取引市場約定計算装置、3 通信ネットワーク、4 入札者端末装置、21 インターフェース部、21a 入力部、21b 出力部、22 記憶部、23 通信部、24 演算部、31 入札データ集約部、32 約定処理部、32a 約定計算実行部、32b ブロック入札約定可否判定部、35 約定結果データ集約部。
Claims (20)
- 取引時間帯が取引時間単位で複数個の取引枠に分割され、各取引枠で売買される電力がそれぞれ1個の商品とみなされて各商品への売り入札である売りスポット入札および買い入札である買いスポット入札が可能であるとともに、連続する複数個の商品への一括した売り入札である売りブロック入札が可能な電力取引市場における取引の約定計算をするための電力取引市場約定計算装置であって、
前記取引時間帯におけるすべての売りブロック入札を、約定することが確定も約定しないことが確定もしていない売りブロック入札である浮遊ブロック入札とした後、すべての浮遊ブロック入札が約定すると仮定してシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格である最安約定価格および前記すべての浮遊ブロック入札が約定しないと仮定してシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格である最高約定価格を前記取引枠ごとに計算する約定計算実行部と、
この約定計算実行部から出力される前記最安約定価格および前記最高約定価格を用いて、入札価格が入札時間帯における前記最高約定価格の平均値よりも大きい浮遊ブロック入札を、約定しないことが確定した売りブロック入札である除外確定ブロック入札とし、入札価格が入札時間帯における前記最安約定価格の平均値以下の浮遊ブロック入札を、約定することが確定した売りブロック入札である約定確定ブロック入札とする約定可否判定処理を実施するブロック入札約定可否判定部とを備えた電力取引市場約定計算装置。 - 前記約定計算実行部は、前記約定可否判定処理により新たに浮遊ブロック入札が前記約定確定ブロック入札または前記除外確定ブロック入札とされた場合には、残りのすべての浮遊ブロック入札が約定すると仮定してシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格で前記最安約定価格を更新し、前記残りのすべての浮遊ブロック入札が約定しないと仮定してシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格で前記最高約定価格を更新する約定価格更新処理を実施し、
前記ブロック入札約定可否判定部は、更新された前記最安約定価格および前記最高約定価格を用いて、前記約定可否判定処理を実施することを特徴とする請求項1に記載の電力取引市場約定計算装置。 - 前記約定計算実行部は、新たに前記約定確定ブロック入札または前記除外確定ブロック入札とされた浮遊ブロック入札が占めていた各取引枠についてのみ、前記約定価格更新処理を実施することを特徴とする請求項2に記載の電力取引市場約定計算装置。
- 前記約定可否判定処理により新たに浮遊ブロック入札が前記約定確定ブロック入札または前記除外確定ブロック入札とされる限りは、前記約定計算実行部による前記約定価格更新処理および前記ブロック入札約定可否判定部による前記約定可否判定処理を繰り返し実施するものであることを特徴とする請求項2または3に記載の電力取引市場約定計算装置。
- 前記ブロック入札約定可否判定部は、前記約定可否判定処理により新たに前記約定確定ブロック入札または前記除外確定ブロック入札とされた浮遊ブロック入札がなく、かつ、浮遊ブロック入札が残っている場合には、当該浮遊ブロック入札のうちの一つを除外確定ブロック入札とし、
前記約定計算実行部は、残りのすべての浮遊ブロック入札が約定すると仮定してシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格で前記最安約定価格を更新し、
前記ブロック入札約定可否判定部は、更新された前記最安約定価格を用いて、前記約定可否判定処理を実施することを特徴とする請求項4に記載の電力取引市場約定計算装置。 - 前記約定計算実行部は、新たに除外確定とされた浮遊ブロック入札が占めていた各取引枠についてのみ、前記最安約定価格を更新することを特徴とする請求項5に記載の電力取引市場約定計算装置。
- 前記ブロック入札約定可否判定部は、前記浮遊ブロック入札のうちの一つを除外確定ブロック入札とする際に、a=(入札時間帯における前記最高約定価格の平均値)−(入札価格)、b=(入札価格)−(入札時間帯における前記最安約定価格の平均値)としたときに、a/bを最小にする浮遊ブロック入札を選択して前記除外確定ブロック入札とすることを特徴とする請求項5または6に記載の電力取引市場約定計算装置。
- 前記ブロック入札約定可否判定部は、a/bが等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、入札時間帯における総入札量を最小にする浮遊ブロック入札を選択して前記除外確定ブロック入札とすることを特徴とする請求項7に記載の電力取引市場約定計算装置。
- 前記約定計算実行部は、前記最安約定価格の計算または更新をする際の約定計算において、約定計算に含める前記売りブロック入札の入札量の和が買いスポット入札の入札量の和よりも大きくなる取引枠がある場合には、当該取引枠について、前記最安約定価格の計算または更新後の値を0とし、前記最高約定価格の計算または更新をする際の約定計算において、約定計算に含める前記売りブロック入札の入札量の和が買いスポット入札の入札量の和よりも大きくなる取引枠がある場合には、当該取引枠について、前記最高約定価格の計算または更新後の値を0とすることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の電力取引市場約定計算装置。
- 前記ブロック入札約定可否判定部は、前記約定可否判定処理により新たに前記約定確定ブロック入札または前記除外確定ブロック入札とされた浮遊ブロック入札がなく、かつ、浮遊ブロック入札が残っていない場合には、前記約定確定ブロック入札ごとに、その入札時間帯内に前記最安約定価格または前記最高約定価格が0の取引枠が存在するか否かを判定し、その入札時間帯内に前記最安約定価格または前記最高約定価格が0の取引枠が存在する約定確定ブロック入札が存在する場合には、当該約定確定ブロック入札のうちの一つを除外確定ブロック入札とし、
前記約定計算実行部は、前記約定確定ブロック入札を含めてシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格で前記最安約定価格を更新し、
前記ブロック入札約定可否判定部は、更新された前記最安約定価格を用いて、前記約定可否判定処理を実施することを特徴とする請求項9に記載の電力取引市場約定計算装置。 - 前記ブロック入札約定可否判定部は、前記約定確定ブロック入札のうちの一つを除外確定ブロック入札とする際に、a=(入札時間帯における前記最高約定価格の平均値)−(入札価格)を最小にする約定確定ブロック入札を選択して前記除外確定ブロック入札とすることを特徴とする請求項10に記載の電力取引市場約定計算装置。
- 前記ブロック入札約定可否判定部は、aが等しい浮遊ブロック入札が複数個存在するときは、入札時間帯における総入札量を最小にする約定確定ブロック入札を選択して前記除外確定ブロック入札とすることを特徴とする請求項11に記載の電力取引市場約定計算装置。
- 前記約定計算実行部は、前記約定可否判定処理により新たに浮遊ブロック入札が前記除外確定ブロック入札または前記約定確定ブロック入札とされた場合において、当該浮遊ブロック入札が占めていた取引枠にいずれの浮遊ブロック入札によっても占められていない取引枠が存在するときには、当該取引枠について、前記約定価格更新処理により、更新後の前記最安約定価格または前記最高約定価格として与えられる約定価格、約定量、および前記スポット入札の約定成否を約定結果として求めることを特徴とする請求項2〜12のいずれか1項に記載の電力取引市場約定計算装置。
- 前記約定計算実行部は、前記約定可否判定処理により新たに前記約定確定ブロック入札または前記除外確定ブロック入札とされた浮遊ブロック入札がなく、かつ、浮遊ブロック入札が残っている場合には、残りの浮遊ブロック入札の約定成否の組合せのすべてについてそれぞれシングルプライスオークション方式で約定計算を実行し、これらの組合せのうち、計算結果が約定成否の仮定と矛盾せず、かつ、社会的便益が最大となるものを約定結果とすることを特徴とする請求項5または6に記載の電力取引市場約定計算装置。
- 前記売りブロック入札は、その入札量が前記取引時間単位ごとに指定可能であり、
前記入札時間帯における前記最高約定価格の平均値は、前記取引時間単位ごとの入札量で重み付けした加重平均値であり、
前記入札時間帯における前記最安約定価格の平均値は、前記取引時間単位ごとの入札量で重み付けした加重平均値であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の電力取引市場約定計算装置。 - 前記約定計算実行部は、約定すると仮定した浮遊ブロック入札および約定確定ブロック入札をそれぞれすべてのスポット入札の入札価格よりも低い任意の価格の入札とみなしてシングルプライスオークション方式で約定計算をすることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の電力取引市場約定計算装置。
- 取引時間帯が取引時間単位で複数個の取引枠に分割され、各取引枠で売買される電力がそれぞれ1個の商品とみなされて各商品への売り入札である売りスポット入札および買い入札である買いスポット入札が可能であるとともに、連続する複数個の商品への一括した買い入札である買いブロック入札が可能な電力取引市場における取引の約定計算をするための電力取引市場約定計算装置であって、
前記取引時間帯におけるすべての買いブロック入札を、約定することが確定も約定しないことが確定もしていない買いブロック入札である浮遊ブロック入札とした後、すべての浮遊ブロック入札が約定すると仮定してシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格である最高約定価格および前記すべての浮遊ブロック入札が約定しないと仮定してシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格である最安約定価格を前記取引枠ごとに計算する約定計算実行部と、
この約定計算実行部から出力される前記最安約定価格および前記最高約定価格を用いて、入札価格が入札時間帯における前記最安約定価格の平均値よりも小さい浮遊ブロック入札を、約定しないことが確定した買いブロック入札である除外確定ブロック入札とし、入札価格が入札時間帯における前記最高約定価格の平均値以上の浮遊ブロック入札を、約定することが確定した買いブロック入札である約定確定ブロック入札とする約定可否判定処理を実施するブロック入札約定可否判定部とを備えた電力取引市場約定計算装置。 - 取引時間帯が取引時間単位で複数個の取引枠に分割され、各取引枠で売買される電力がそれぞれ1個の商品とみなされて各商品への売り入札である売りスポット入札および買い入札である買いスポット入札が可能であるとともに、連続する複数個の商品への一括した売り入札である売りブロック入札が可能な電力取引市場における取引の約定計算をするための電力取引市場約定計算装置による電力取引市場約定計算方法であって、
前記電力取引市場約定計算装置が、前記取引時間帯におけるすべての売りブロック入札を、約定することが確定も約定しないことが確定もしていない売りブロック入札である浮遊ブロック入札とするステップと、
前記電力取引市場約定計算装置が、すべての浮遊ブロック入札が約定すると仮定してシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格である最安約定価格および前記すべての浮遊ブロック入札が約定しないと仮定してシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格である最高約定価格を前記取引枠ごとに計算するステップと、
前記電力取引市場約定計算装置が、前記最安約定価格および前記最高約定価格を用いて、入札価格が入札時間帯における前記最高約定価格の平均値よりも大きい浮遊ブロック入札を、約定しないことが確定した売りブロック入札である除外確定ブロック入札とし、入札価格が入札時間帯における前記最安約定価格の平均値以下の浮遊ブロック入札を、約定することが確定した売りブロック入札である約定確定ブロック入札とする約定可否判定処理を実施するステップとを含む電力取引市場約定計算方法。 - 取引時間帯が取引時間単位で複数個の取引枠に分割され、各取引枠で売買される電力がそれぞれ1個の商品とみなされて各商品への売り入札である売りスポット入札および買い入札である買いスポット入札が可能であるとともに、連続する複数個の商品への一括した買い入札である買いブロック入札が可能な電力取引市場における取引の約定計算をするための電力取引市場約定計算装置による電力取引市場約定計算方法であって、
前記電力取引市場約定計算装置が、前記取引時間帯におけるすべての買いブロック入札を、約定することが確定も約定しないことが確定もしていない買いブロック入札である浮遊ブロック入札とするステップと、
前記電力取引市場約定計算装置が、すべての浮遊ブロック入札が約定すると仮定してシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格である最高約定価格および前記すべての浮遊ブロック入札が約定しないと仮定してシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格である最安約定価格を前記取引枠ごとに計算するステップと、
前記電力取引市場約定計算装置が、前記最安約定価格および前記最高約定価格を用いて、入札価格が入札時間帯における前記最高約定価格の平均値よりも小さい浮遊ブロック入札を、約定しないことが確定した買いブロック入札である除外確定ブロック入札とし、入札価格が入札時間帯における前記最安約定価格の平均値以上の浮遊ブロック入札を、約定することが確定した買いブロック入札である約定確定ブロック入札とする約定可否判定処理を実施するステップとを含む電力取引市場約定計算方法。 - 取引時間帯が取引時間単位で複数個の取引枠に分割され、各取引枠で売買される電力がそれぞれ1個の商品とみなされて各商品への売り入札である売りスポット入札および買い入札である買いスポット入札が可能であるとともに、連続する複数個の商品への一括した売り入札である売りブロック入札が可能な電力取引市場における取引の約定計算をするための電力取引市場約定計算プログラムであって、
前記電力取引市場約定計算装置が、前記取引時間帯におけるすべての売りブロック入札を、約定することが確定も約定しないことが確定もしていない売りブロック入札である浮遊ブロック入札とする手順と、
前記電力取引市場約定計算装置が、すべての浮遊ブロック入札が約定すると仮定してシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格である最安約定価格および前記すべての浮遊ブロック入札が約定しないと仮定してシングルプライスオークション方式で約定計算をしたときの約定価格である最高約定価格を前記取引枠ごとに計算する手順と、
前記電力取引市場約定計算装置が、前記最安約定価格および前記最高約定価格を用いて、入札価格が入札時間帯における前記最高約定価格の平均値よりも大きい浮遊ブロック入札を、約定しないことが確定した売りブロック入札である除外確定ブロック入札とし、入札価格が入札時間帯における前記最安約定価格の平均値以下の浮遊ブロック入札を、約定することが確定した売りブロック入札である約定確定ブロック入札とする約定可否判定処理を実施する手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする電力取引市場約定計算プログラム。
Priority Applications (1)
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