JP7204635B2 - 電力取引約定計算装置及び電力取引約定計算方法 - Google Patents

電力取引約定計算装置及び電力取引約定計算方法 Download PDF

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Description

本開示は、電力取引約定計算装置及び電力取引約定計算方法に関する。
互いに連続する複数の基本時間帯にまたがる入札であるブロック入札を行うための従来の約定計算として様々な技術が提案されている。例えば、ブロック入札を基本時間帯の単位に分割してマッチングを行い、ブロック入札のうち一部の基本時間帯でマッチングできなかった場合には条件を変えて再度マッチングを行うという組み合わせ最適化計算手法が提案されている(例えば特許文献1)。
また、リアルタイム方式での売り入札と買い入札とのマッチングに失敗したブロック入札に対して、ネゴシエーション方式の取引へ移行する、または再度マッチングを行うことにより、約定機会を増やす手法が提案されている(例えば特許文献2)。
特開2004-229363号公報 特開2005-025333号公報
需給調整市場においては、需給調整力の希望単価(ΔkW単価)、及び、発動調整電力量の希望単価(kWh単価)などの複数の価値を提示して売り入札が行われる。そして、買い入札者は売り入札者に、需給調整力の調達に対する費用(ΔkW費用)と発動調整電力量の運用に対する費用(kWh費用)との合計を支払う。しかし、複数の価値を考慮した約定計算手法は確立されていない。
また、需給調整市場ではブロック入札が可能になる見込みである。買い入札者が支払う費用を抑えるためには、各時刻の必要量を確保しながら費用が小さくなるように複数の売り入札を組み合わせて約定する必要がある。しかし、上記のようなマッチングを行う従来の約定計算手法では、計算時間が長くなる場合や、最適解が得られない場合があるなどの問題が生じると考えられる。
そこで、本開示は、上記のような問題点を踏まえてなされたものであり、適切な約定計算を行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
本開示に係る電力取引約定計算装置は、互いに連続する複数の基本時間帯にまたがる売り入札であるブロック入札が実施される電力取引の約定計算を行う演算部を備え、前記演算部は、買い入札データ及び売り入札データを集約する入札データ集約部と、前記入札データ集約部で集約された前記買い入札データ及び前記売り入札データに基づいて一以上の売り入札の需給調整力の単価及び発動調整電力量の単価を含む複数の価値を評価し、前記複数の価値に基づいて一以上の売り入札の約定判定を行う約定計算実行部と、前記約定計算実行部で行われた前記約定判定の結果に基づいて約定結果を確定する約定結果確定部とを備える。
本開示によれば、ブロック入札が実施される電力取引において、一以上の売り入札の複数の価値を評価し、当該価値に基づいて約定判定を行い、約定判定の結果に基づいて約定結果を確定する。このような構成によれば、適切な約定計算を行うことができる。
需給調整市場における、送配電事業者の買い入札データ及び調整力供出事業者の売り入札データの例を示す図である。 実施の形態1に係る電力取引約定計算システムの構成の一例を示すブロック図である。 実施の形態1に係る電力取引約定計算システムの動作を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る電力取引約定計算システムの動作を説明するための図である。 実施の形態4に係る電力取引約定計算システムの動作を示すフローチャートである。 実施の形態5に係る電力取引約定計算システムの構成の一例を示すブロック図である。
以下に、実施の形態に係る電力取引約定計算装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本開示が限定されるものではない。
<実施の形態1>
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの増加に伴い、将来的に需給調整力が不足することが懸念されている。現在の日本では、送配電事業者は公募で需給調整力の調達を行っているが、需給調整力の確保を効率化することを目的に2021年に需給調整市場が開設される予定である。需給調整市場は電力の安定供給のために需給調整力を取引する市場であり、送配電事業者が必要となる需給調整力の量[ΔkW]を買い入札し、それに対して需給調整力を供出できる事業者(調整力供出事業者)が、需給調整力の供出可能量[ΔkW]、需給調整力の希望単価(ΔkW単価)[円/ΔkW]、実際に発動された需給調整力の量(発動調整電力量)[kWh]の希望単価(kWh単価)[円/kWh]を提示して売り入札する市場になる見込みである。なお、調整力供出事業者は、例えば、発電事業者、VPP(Virtual Power Plant)事業者、小売電気事業者などである。
送配電事業者は、調整力供出事業者に対して、需給調整力[ΔkW]の調達に対する費用(ΔkW費用)と発動調整電力量[kWh]の運用に対する費用(kWh費用)との合計を、需給調整市場を介して支払うこととなる。調整力供出事業者が売り入札する需給調整力の供出可能量の合計が、送配電事業者が買い入札する需給調整力の必要量よりも大きい場合、送配電事業者は利益を高めるために、何らかの約定ロジックによりなるべく支払いが少なくなるように落札者を決める必要がある。
送配電事業者の支払う費用を抑えるためには、ΔkW単価及びkWh単価といった異なる複数の価値を考慮して約定計算を行う必要があるが、約定を行う時点では発動調整電力量[kWh]の大きさは不明であるため、kWh費用は決まらない。そこで本実施の形態1では、発動調整電力量の大きさについては、何らかの仮定を置くか、過去の発動調整電力量などに基づく予測を行うなどにより設定することとする。
図1は、需給調整市場における、送配電事業者の買い入札データ及び調整力供出事業者の売り入札データの例を示す図である。図1のドットハッチングが付されたブロック入札では、供出可能量または希望売単価を基本時間帯の単位(図1では30分)に分割して基本時間帯ごとに取引することはできない。例えば図1では、第1売り入札者は、1:00から2:00までの1時間の供出可能量を、1:00から1:30までの基本時間帯と、1:30から2:00までの基本時間帯とに分けて取引できないブロック入札で提示していることが示されている。なお、以下の説明では、基本時間帯を時刻または時間帯と記すこともある。
需給調整力の必要量を確保しながら送配電事業者の支払う費用を抑えるためには、組み合わせ最適化計算を行う必要がある。しかし、ブロック入札が含まれ、かつ、入札者が多くなって組み合わせが多数になると、上記の異なる複数の価値を考慮する難しさに加え、最適化計算が複雑となり約定計算に長い時間を要したり最適解が得られなかったりする可能性がある。そこで、本実施の形態1に係る電力取引約定計算装置は、ブロック入札を基本時間帯の単位によって分解せずにΔkW単価及びkWh単価といった異なる複数の価値を評価し、当該複数の価値に基づいて約定判定を行う、という発見的手法を用いる。このような構成によれば、約定判定の結果に基づく約定ロジックによって需給調整市場における取引を円滑に成立させることが可能となる。なお、以下では発見的手法として、ブロック入札を基本時間帯の単位によって分解せずにΔkW単価及びkWh単価といった異なる複数の価値を評価して、準最適解(最適に近い暫定解)が高速に得られるGreedy Heuristicを用いる例について説明するが、これに限ったものではない。
図2に本実施の形態1に係る電力取引約定計算システムの構成の一例を示す。図2のように、電力取引約定計算システム1は、電力取引約定計算装置2と、通信ネットワーク3と、複数台の買い入札者端末装置4と、複数台の売り入札者端末装置5とを備えている。
買い入札者端末装置4は、需給調整市場の買い入札者である送配電事業者が自社の事務所等に備えられるパソコン等の情報端末装置である。売り入札者端末装置5は、需給調整市場の売り入札者である調整力供出事業者が自社の事務所等に備えられるパソコン等の情報端末装置である。買い入札者端末装置4及び売り入札者端末装置5は、光回線やLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク3を介して電力取引約定計算装置2と相互にデータ通信を行うことができる。
電力取引約定計算装置2は、インターフェース部21と、記憶部22と、通信部23と、演算部24とを備える装置であり、需給調整市場を運営する送配電事業者の代表者などの事務所等に備えられるサーバ等の情報端末装置である。通信部23は、通信ネットワーク3を介して、買い入札者端末装置4及び売り入札者端末装置5と相互にデータ通信を行うことができ、スイッチングハブやルーター、パソコンやサーバに備わる通信機能等で構成される。
インターフェース部21は、入力部21aと出力部21bとを備えている。入力部21aは、需給調整市場の運営者が取引に必要となるデータをキーボードやマウスを使って入力可能に構成されている。出力部21bは、取引における買い入札に関する情報、売り入札に関する情報、落札に関する情報をディスプレイ装置などに出力可能に構成されている。
記憶部22は、通信部23が通信ネットワーク3を介して取得した買い入札に関する情報(買い入札データ)、及び、売り入札に関する情報(売り入札データ)、並びに、演算部24で求められた落札に関する情報(約定結果データ)などを記憶するハードディスク等の記憶装置で構成される。なお、買い入札データは、例えば、需給調整力の必要量[ΔkW]、及び、需給調整力の必要時間帯を含む。売り入札データは、例えば、需給調整力の供出可能量[ΔkW]、需給調整力の供出可能時間帯(供出可能時刻)、需給調整力の希望売り単価[円/ΔkW]、及び、発動調整電力量の希望売り単価[円/kWh]を含む。約定結果データは、例えば、落札した売り入札の組み合わせ、需給調整力の約定量[ΔkW]、及び、約定価格[円/ΔkW、円/kWh]を含む。
演算部24は、互いに連続する複数の基本時間帯にまたがる売り入札であるブロック入札が実施される電力取引の約定計算を行う。演算部24は、入札データ集約部31と、約定計算実行部32と、約定結果確定部33とを備えており、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等からなる演算処理装置で構成される。
入札データ集約部31は、通信部23などを経由して得られた送配電事業者からの買い入札データと、調整力供出事業者からの売り入札データとを集約する。
約定計算実行部32は、価値評価部32aと、約定判定部32bとを備える。価値評価部32aは、入札データ集約部31で集約された各売り入札についてΔkW単価及びkWh単価の両方を含む複数の価値を評価する。約定判定部32bは、価値評価部32aで評価された複数の価値に基づいて、各売り入札の約定判定を行う。
このため、約定計算実行部32は、入札データ集約部31で集約された買い入札データ及び売り入札データに基づいて一以上の売り入札の需給調整力のΔkW単価及び発動調整電力量のkWh単価を含む複数の価値を評価し、当該複数の価値に基づいて一以上の売り入札の約定判定を行う。本実施の形態1では、約定計算実行部32は、Greedy Heuristicなどの発見的手法を用いて売り入札データの中から落札者(複数の売り入札の組み合わせ)を選定する演算処理部である。これにより、入札データ集約部31で集約された買い入札データの需給調整力の必要量を確保しながら、ΔkW費用とkWh費用との合計を小さくすることが可能となる。
約定結果確定部33は、約定計算実行部32で行われた約定判定の結果に基づいて約定結果を確定する。本実施の形態1では、約定結果確定部33は、約定計算実行部32による計算結果を約定結果として確定する演算処理部である。約定結果確定部33は、確定した約定結果を約定結果データとして記憶部22に保存するとともに、通信部23及び通信ネットワーク3を介して買い入札者端末装置4及び売り入札者端末装置5に約定結果データを送信する。
<動作>
図3は、本実施の形態1に係る電力取引約定計算システム1の動作を示すフローチャートである。次に、この動作について、図3を参照して説明する。
需給調整市場の商品毎(需給調整力が発動されてからの応動時間と、需給調整力の供出の継続時間とに区別して商品が用意されている)、及びその受け渡し日時毎に、所定の日時になると取引が開始される。取引が開始されると、まずステップS1にて、送配電事業者は、買い入札者端末装置4を使って必要となる需給調整力の量を買い入札し、調整力供出事業者は、売り入札者端末装置5を使って需給調整力の供出可能量、希望ΔkW単価、希望kWh単価を売り入札する。これにより、買い入札及び売り入札が受け付けられる。
ステップS2にて、需給調整力の商品毎、及び、その受け渡し日時毎に、所定の日時の取引が終了すると、入札データ集約部31は、各基本時間帯の買い入札データと売り入札データとを記憶部22に保存して集約する。
ステップS3からステップS6において、約定計算実行部32は、Greedy Heuristicを用いて、各基本時間帯の必要量を確保しながら買い入札者が支払う費用ができるだけ小さくなるように落札者を選定する。なお、ここでいう落札者は、複数の売り入札の組み合わせに相当する。以下、ステップS3からステップS6について詳細に説明する。
ステップS3にて、価値評価部32aは、各売り入札の価値をΔkW単価及びkWh単価の両方を考慮して評価する。このとき、価値評価部32aは、ブロック入札を基本時間帯の単位によって分解せずに複数の価値を評価する。
ステップS4にて、約定判定部32bは、ステップS3で評価された複数の価値に基づいて各売り入札の約定判定を行う。
ステップS5にて、約定計算実行部32は、ステップ3で約定すると判定された需給調整力の量を差し引くことで買い入札の残り必要量を更新する。
ステップS6にて、約定計算実行部32は、全ての時刻(基本時間帯)において買い入札の必要量が確保できたか否か(残り必要量が0以下になったか否か)を判定する。まだ確保できていない時刻があると判定された場合、処理がステップS3に戻る。これにより、全ての時刻において買い入札の必要量が確保できるまでステップS3からステップS6までの動作が繰り返し行われる。全ての時刻において買い入札の必要量が確保できたと判定された場合、処理がステップS7に進む。
ステップS7にて、約定結果確定部33は、ここまでの約定判定の結果を約定結果として確定する。
ステップS8にて、約定結果確定部33は、確定した約定結果データ(時刻ごとの約定量、落札した売り入札データ)を記憶部22に保存する。また、約定結果確定部33は、通信部23及び通信ネットワーク3を介して買い入札者端末装置4及び売り入札者端末装置5に約定結果データを送信する。ただし、売り入札者端末装置5に送信される約定結果データでは、他の落札者の情報は除かれる。
次に、ステップS3からステップS6で用いられるGreedy Heuristicについて説明する。Greedy Heuristicは、組み合わせ最適化問題の一つである多重集合被覆問題(Weighted Multiple Set Covering Problem)において準最適解を高速に得ることができる手法であり、アルゴリズムは以下で表される。
ここで、各変数及び定数を次のように定義する。
M:集合{1,2,・・・,m}
:Mに対するn個の部分集合のうちのj番目(次式(1)が成り立つ)
α:正定数(Mの重み)
:n項組みの変数(y ,…,y
t:n項組みの正定数(t,…,t
Figure 0007204635000001
<ステップ0’>
約定計算実行部32は、全てのj(1,…,n)についてy =0と設定する。
<ステップ1’>
全てのiについてt=0である場合、約定計算実行部32は、そのときのyを解と判定する。それ以外の場合、約定計算実行部32は、次式(2)及び次式(3)のように設定する。なお、次式(2)のargmaxは、その関数の括弧内の値が最大となるインデックスjを求める関数である。
Figure 0007204635000002
Figure 0007204635000003
<ステップ2’>
約定計算実行部32は、y =y +tと設定する。約定計算実行部32は、i∈Mとなる全てのiについて、t=t-tと設定する。約定計算実行部32は、t=0となるiがある場合、全てのjについてMからiを除く。ステップ2’の後、処理がステップ1’に戻る。
本実施の形態1に係る約定計算実行部32は、上記ステップ0’~2’のアルゴリズムを、以下のステップ0~2のように、ブロック入札を含む需給調整市場についてΔkW単価及びkWh単価の両方を考慮した約定計算に応用する。つまり、約定計算実行部32は、複数の価値の評価及び約定判定を多重集合被覆問題として扱う。
ここで、各変数及び定数を次のように定義する。
T:集合{1,2,・・・,m}(取引対象時刻)
:Tに対するn個の部分集合のうちのj番目(売り入札jの供出可能時間帯(供出可能時刻)であり、次式(4)が成り立つ)
:正定数(売り入札jのΔkW単価[円/ΔkW])
:正定数(売り入札jのkWh単価[円/kWh])
:m項組みの非負定数(cj,1,…,cj,m)(売り入札jの時刻1~mにおける供出可能量[ΔkW])
d:m項組みの非負変数(d,…,d)(買い入札の時刻1~mにおける必要量[ΔkW])
d’:m項組みの非負定数(d’,…,d’)(買い入札の時刻1~mにおける残り必要量[ΔkW])
D:m項組みの非負変数(D,…,D)(時刻1~mにおける発動調整電力量[kWh]の予測値)
:n項組みの二値変数(x ,…,x )(売り入札1~nの選択有無)
L:m項組みの非負変数(L,…,L)(時刻1~mの約定した需給調整力[ΔkW])
Figure 0007204635000004
<ステップ0>
約定計算実行部32は、全てのj(1,…,n)について、x =0と設定する。約定計算実行部32は、全てのt(1,…,m)について、L=0、d’=dと設定する。約定計算実行部32は、全てのj(1,…,n)、全てのt(1,…,m)について、T’j,t=Tj,tと設定する。
<ステップ1>
全てのtについてd’≦0である場合、約定計算実行部32は、そのときのx及びLを解と判定する。それ以外の場合、約定計算実行部32は、次式(5)のように設定し、x =1と設定する。なお、次式(5)のargminは、その関数の括弧内の値が最小となるインデックスjを求める関数である。
Figure 0007204635000005
<ステップ2>
約定計算実行部32は、t∈Tとなる全てのtについて、L=L+cと設定する。約定計算実行部32は、t∈T’となる全てのtについて、d’=d’-cと設定する。約定計算実行部32は、d’≦0となるtがある場合、全てのjについてT’からtを除く。ステップ2の後、処理がステップ1に戻る。
<約定計算の例>
このアルゴリズムを用いた約定計算の一例を説明する。買い入札データの必要量、売り入札データの供出可能時刻(供出可能時間帯)時間帯、単価、供出可能量、発動調整電力量の予測値は図4に示す通りである。図4の例では、D={1.5,1.5,1,2,1,2}、d={4,3,2,5,3,4}、p={2,6,4,3,5}、c={2,3,2,2,4}、q={6,10,8,7,9}である。p~p、つまり第1~第5売り入札は、ブロック入札である。基本時間帯の単位は例えば30分であるが、これに限ったものではなく、一定でなくてもよい。以下、次式(6)のように式(5)の一部をρと表して説明する。
Figure 0007204635000006
<1巡目のステップ0>
価値評価部32aは、x={0,0,0,0,0}、L={0,0,0,0,0,0}、d’={4,3,2,5,3,4}と設定する。価値評価部32aは、T’={2,3,4}、T’={3,4,5,6}、T’={1,2,3,4}、T’={1,2}、T’={4,5,6}と設定する。
<1巡目のステップ1>
価値評価部32aは、以下のようにρ~ρを求めることにより、売り入札の需給調整力の単価及び発動調整電力量の単価を含む複数の価値を評価する。
ρ=2×6/6+4.5/10×6×4.5/4.5=4.7
ρ=6×12/11+6/14×10×6/6=10.83
ρ=4×8/8+6/14×8×6/6=7.43
ρ=3×4/4+3/7×7×3/3=6
ρ=5×12/11+5/12×9×5/5=9.20
例えば、ρの1項目は、p×(c+c+c+c)/(min(d’,c)+min(d’,c)+min(d’,c)+min(d’,c))に対応している。例えば、ρの2項目は、(D+D+D+D)/(d+d+d+d)×q×(D+D+D+D)/(D+D+D+D)に対応している。
約定判定部32bは約定判定を行う。この例では、ρはj=1のとき最小であるため、約定判定部32bは、k=1と設定し、x={1,0,0,0,0}と更新する。このときT’={2,3,4}であり、c=2である。
<1巡目のステップ2>
={2,3,4}であり、c=2であるため、約定計算実行部32は、L,L,Lに2を加え、d’,d’,d’から2を引くことで、残り必要量を更新する。これにより、L=0+2=2,L=0+2=2,L=0+2=2となり、L={0,2,2,2,0,0}と更新される。また、d’=3-2=1,d’=2-2=0,d’=5-2=3となり、d’={4,1,0,3,3,4}と更新される。
d’≦0となったので、約定計算実行部32はT’から3を除くことにより、T’={4,5,6}、T’={1,2,4}、T’={1,2}、T’={4,5,6}と更新される。
<2巡目のステップ1>
価値評価部32aは、以下のようにρ~ρを求めることにより、売り入札の需給調整力の単価及び発動調整電力量の単価を含む複数の価値を評価する。なお、先のステップ2で残り必要量を更新したことにより、無駄になった期間の価値が考慮され、残りの売り入札の価値であるρ~ρが適宜高く見積もられる。
ρ=6×12/9+6/12×10×6/5=14
ρ=4×8/6+6/12×8×6/5=10.13
ρ=3×4/4+3/7×7×3/3=6
ρ=5×12/11+5/12×9×5/5=9.20
例えば、ρの1項目は、p×(c+c+c+c)/(min(d’,c)+min(d’,c)+min(d’,c))に対応している。例えば、ρの2項目は、(D+D+D)/(d+d+d)×q×(D+D+D+D)/(D+D+D)に対応している。
約定判定部32bは約定判定を行う。この例では、ρはj=4のとき最小であるため、約定判定部32bは、k=4と設定し、x={1,0,0,1,0}と更新する。このときT’={1,2}であり、c=2である。
<2巡目のステップ2>
={1,2}であり、c=2であるため、約定計算実行部32は、L,Lに2を加え、d’,d’から2を引くことで、残り必要量を更新する。これにより、L=0+2=2,L=2+2=4となり、L={2,4,2,2,0,0}と更新される。また、d’=4-2=2,d’=1-2=-1となり、d’={2,-1,0,3,3,4}と更新される。
d’≦0となったので、約定計算実行部32はT’から2を除くことにより、T’={4,5,6}、T’={1,4}、T’={4,5,6}と更新される。
<3巡目のステップ1>
価値評価部32aは、以下のようにρ、ρ、ρを求めることにより、売り入札の需給調整力の単価及び発動調整電力量の単価を含む複数の価値を評価する。
ρ=6×12/9+6/12×10×6/5=14
ρ=4×8/4+6/9×8×6/3.5=17.14
ρ=5×12/11+5/12×9×5/5=9.20
約定判定部32bは約定判定を行う。この例では、ρはj=5のとき最小であるため、約定判定部32bは、k=5と設定し、x={1,0,0,1,1}と更新する。このときT’={4,5,6}であり、c=4である。
<3巡目のステップ2>
={4,5,6}であり、c=4であるため、約定計算実行部32は、L,L,Lに4を加え、d’,d’,d’から4を引くことで、残り必要量を更新する。これにより、L=2+4=6,L=0+4=4,L=0+4=4となり、L={2,4,2,6,4,4}と更新される。また、d’=3-4=-1,d’=3-4=-1,d’=4-4=0となり、d’={2,-1,0,-1,-1,0}と更新される。
d’≦0、d’≦0、d’≦0となったので、約定計算実行部32はT’から4,5,6を除くことにより、T’=φ、T’={1}と更新される。
<4巡目のステップ1>
価値評価部32aは、以下のようにρ、ρを求めることにより、売り入札の需給調整力の単価及び発動調整電力量の単価を含む複数の価値を評価する。
ρ=6×12/0+6/0×10×6/0=∞
ρ=4×8/2+6/4×8×6/1.5=64
約定判定部32bは約定判定を行う。この例では、ρはj=3のとき最小であるため、約定判定部32bは、k=3と設定し、x={1,0,1,1,1}と更新する。このときT’={1}であり、c=2である。
<4巡目のステップ2>
={1,2,3,4}であり、c=2であるため、約定計算実行部32は、L,L,L,Lに2を加え、d’,d’,d’,d’のうち0以下でないd’から2を引くことで、残り必要量を更新する。これにより、L=2+2=4,L=4+2=6,L=2+2=4L=6+2=8となり、L={4,6,4,8,4,4}と更新される。また、d’=2-2=0となり、d’={0,-1,0,-1,-1,0}と更新される。
<5巡目のステップ1>
全てのtについてd’≦0となったので、約定計算実行部32は、そのときのx={1,0,1,1,1}、L={4,6,4,8,4,4}を解と判定する。その後、約定結果確定部33は、判定された結果を約定結果として確定する。つまり、約定結果確定部33は、第1売り入札、第3売り入札、第4売り入札、第5売り入札を落札するという約定結果を確定する。
なお、上記では、「上げ調整力」(供給量の不足に対応するための調整力)である場合について説明したが、需給調整市場では「下げ調整力」(供給量の余剰に対応するための調整力)も取引の対象となる見込みである。下げ調整力の取引においては、需給調整力[ΔkW]の調達については上げ調整力と同様に送配電事業者が調整力供出事業者に費用を支払うが、発動調整電力量[kWh]については送配電事業者が調整力供出事業者から費用を受け取ることになる。発動調整電力量[kWh]に対する費用はkWh単価[円/kWh]と発動調整電力量の大きさ[kWh]との積であるため、送配電事業者にとってはkWh単価が高い売り入札と約定することが望ましい。以上のことを踏まえて、上記の手順を次のように変更することで、下げ調整力に対応することが可能となる。上げ調整力に対する下げ調整力の相違点は以下のとおりである。
C:m項組みの非正変数(C,…,C)(時刻1~mにおける発動調整電力量[kWh](予測値))
<ステップ1>
全てのtについてd’≦0である場合、約定計算実行部32は、そのときのx及びLを解と判定する。それ以外の場合、約定計算実行部32は、次式(7)のように設定し、x =1と設定する。
Figure 0007204635000007
<実施の形態1のまとめ>
以上のような本実施の形態1に係る構成及び処理フローにより、一以上の売り入札について、需給調整力の単価及び発動調整電力量の単価を含む複数の価値を評価し、当該複数の価値に基づいて約定判定を行い、約定判定の結果に基づいて約定結果を確定する。このように、需給調整力の必要量の確保と調達費用の抑制とを両立させる約定計算の速度を高めることが可能となり、適切な約定計算を行うことができる。
<実施の形態2>
送配電事業者が支払う需給調整力[ΔkW]の調達に対する費用(ΔkW費用)は、各時刻のΔkW単価[円/ΔkW]と供出可能量[ΔkW]との積和で決定される。同様に、発動調整電力量[kWh]の運用に対する費用(kWh費用)は、各時刻のkWh単価[円/kWh]と発動調整電力量[kWh]との積和で決定される。精算時の費用算出に使用されるΔkW単価及びkWh単価に関して、2021年に開設される需給調整市場では、当面、価格決定方式にマルチプライスオークション方式が採用される見込みであるが、将来的にシングルプライスオークション方式を採用することも検討されている。シングルプライスオークション方式が採用された場合の詳細な価格決定方法は不明である。しかし、採用される可能性のある方法としては、約定済み売り入札の希望単価について時刻ごとの最高値を求めて約定価格とし、約定価格をその時刻の全ての約定済み売り入札の精算に適用する方法などが考えられる。
本実施の形態2においては、約定結果確定部33が、精算時の費用算出に使用するΔkW単価及びkWh単価を決定して、精算価格を算出する。マルチプライスオークション方式の場合には、約定結果確定部33は、約定計算実行部32で落札者として選定された各売り入札の希望ΔkW単価を、次式(8)のようにそのまま約定価格として用いてΔkW費用を算出する。シングルプライスオークション方式の場合には、まず、約定結果確定部33は、約定計算実行部32で落札者として選定された各売り入札(約定済み売り入札)のΔkW単価に基づいて、時刻(基本時間帯)ごとに単一の約定価格を求める。例えば、約定結果確定部33は、各時刻の単一の約定価格として、次式(9)のように各時刻の最高希望ΔkW単価を求める。そして、約定結果確定部33は、次式(10)のように各時刻の単一の約定価格をその時刻の全ての約定済み売り入札に適用してΔkW費用を算出する。
約定結果確定部33は、ΔkW費用の算出と同様に、マルチプライスオークション方式の場合に次式(11)を用いてkWh費用を算出し、シングルプライスオークション方式の場合に次式(12)及び(13)を用いてkWh費用を算出する。
Figure 0007204635000008
Figure 0007204635000009
Figure 0007204635000010
Figure 0007204635000011
Figure 0007204635000012
Figure 0007204635000013
なお、式(8)から式(13)における変数及び定数の定義は以下の通りである。
cost_kWmulti:マルチプライスオークション方式におけるΔkW費用[円]
cost_kWsingle:シングルプライスオークション方式におけるΔkW費用[円]
cost_kWhmulti:マルチプライスオークション方式におけるkWh費用[円]
cost_kWhsingle:シングルプライスオークション方式におけるkWh費用[円]
j:約定済み売り入札番号(1,…,n’)
:約定済み売り入札jの希望ΔkW単価[円/ΔkW]
:約定済み売り入札jの希望kWh単価[円/kWh]
j,t:約定済み売り入札jの時刻tにおける需給調整力の供出可能量[ΔkW]
j,t:約定済み売り入札jの時刻tにおける発動調整電力量[kWh]の予測値(上げ調整力の場合は非負定数、下げ調整力の場合は非正定数)
T:集合{1,2,・・・,m}(取引対象時刻)
:Tに対するn’個の部分集合のうちのj番目(約定済み売り入札jの供出可能時間帯であり、式(4)においてnをn’に置き換えた式が成り立つ)
<実施の形態2のまとめ>
以上のような本実施の形態2に係る構成によれば、マルチプライスオークション方式及びシングルプライスオークション方式に関して適切な約定計算を行うことができる。
<実施の形態3>
シングルプライスオークション方式を採用する場合、実施の形態1及び2では必ずしも最適な約定結果(精算価格が最小となる約定結果)となるとは限らない。本実施の形態3では、実施の形態1の手順を次のように変更することで、シングルプライスオークション方式に適用する場合に、より精算価格を抑えることが可能となっている。
ここで、各変数及び定数を次のように定義する。
T:集合{1,2,・・・,m}(取引対象時刻)
:Tに対するn個の部分集合のうちのj番目(売り入札jの供出可能時間帯であり、式(4)が成り立つ)
:正定数(売り入札jのΔkW単価[円/ΔkW])
:正定数(売り入札jのkWh単価[円/kWh])
:m項組みの非負定数(cj,1,…,cj,m)(売り入札jの時刻1~mにおける供出可能量[ΔkW])
d:m項組みの非負定数(d,…,d)(買い入札の時刻1~mにおける必要量[ΔkW])
d’:m項組みの非負定数(d’,…,d’)(買い入札の時刻1~mにおける残り必要量[ΔkW])
D:m項組みの非負変数(D,…,D)(時刻1~mにおける発動調整電力量[kWh]の予測値)
:n項組みの二値変数(x ,…,x )(売り入札1~nの選択有無)
L:m項組みの非負変数(L,…,L)(時刻1~mの約定した需給調整力[ΔkW])
<ステップ0>
約定計算実行部32は、全てのj(1,…,n)について、x =0と設定する。約定計算実行部32は、全てのt(1,…,m)について、L=0、d’=dと設定する。約定計算実行部32は、全てのj(1,…,n)、全てのt(1,…,m)について、T’j,t=Tj,tと設定する。
<ステップ1>
全てのtについてd’≦0である場合、約定計算実行部32は、そのときのx及びLを解と判定する。それ以外の場合、約定計算実行部32は、n’をここまでの手順で約定した売り入札数として、次式(14)~(16)のように設定し、x =1と設定する。
Figure 0007204635000014
Figure 0007204635000015
Figure 0007204635000016
<ステップ2>
約定計算実行部32は、t∈Tとなる全てのtについて、L=L+cと設定する。約定計算実行部32は、t∈T’となる全てのtについて、d’=d’-cと設定する。約定計算実行部32は、d’≦0となるtがある場合、全てのjについてT’からtを除く。ステップ2の後、処理がステップ1に戻る。
以上の発展形アルゴリズムにより約定計算を行った後、約定結果確定部33においてp及びqを約定価格とし、約定結果を確定する。以上により、約定計算実行部32は、一の売り上げ入札を約定した場合の約定価格の上昇を考慮した総支払い費用を用いて、複数の価値の評価及び約定判定を行うことが可能となる。なお、上記では上げ調整力を想定して記述したが、上記の手順を次のように変更することで、下げ調整力に対応することが可能となる。相違点は以下のとおりである。
C:m項組みの非正定数(C,…,C)(時刻1~mにおける発動調整電力量[kWh](予測値))
<ステップ1>
全てのtについてd’≦0である場合、約定計算実行部32は、そのときのx及びLを解と判定する。それ以外の場合、約定計算実行部32は、次式(17)のように設定する。
Figure 0007204635000017
<実施の形態3のまとめ>
以上のような本実施の形態3に係る構成によれば、シングルプライスオークション方式の約定計算の精算価格をより抑えることが可能となる。
<実施の形態4>
約定計算実行部32が、ブロック入札を時刻によって分解せずに複数の価値を評価し当該複数の価値に基づいて約定判定を行う手法では、高速に解が得られるが、得られる解は最適に近い準最適解であるため、より良い解が存在する場合がある。そこで、本実施の形態4に係る演算部24が、実施の形態1から3で得られた約定判定の結果を初期解とする予め定められた探索手法を用いて、約定判定の結果を改善することで、買い入札者が支払う調達費用をより低く抑えることを可能にする。
図5は、本実施の形態4に係る電力取引約定計算システム1の動作を示すフローチャートである。この図5のフローチャートでは、図3のフローチャートのステップS6の後にステップS9として探索手法による約定結果の改善を追加した。ステップS9は演算部24によりステップS6とステップS7との間で行われる。
ステップS9にて、演算部24は、ステップS3からステップS6における約定計算実行部32での約定判定の結果、ひいては約定計算で得られた結果を初期解とし、探索手法により解を改善していく。
次のステップS7にて、約定結果確定部33は、改善された解を、約定結果として確定する。ステップS8にて、約定結果確定部33は、確定した約定結果データを記憶部22に保存し、通信部23及び通信ネットワーク3を介して買い入札者及び売り入札者へ送信する。
上記探索手法としては、例えば、約定計算実行部32で約定計算を行った後、演算部24が、落札されていない売り入札の中から落札済の売り入札と入れ替えが可能なものを探索し、必要量を確保しながら調達費用が改善できるものがあれば入れ替えるという手法が挙げられる。このとき、1件の落札済売り入札と2件の未落札売り入札との入れ替え、及び、2件の落札済売り入札と1件の未落札売り入札との入れ替えなどが許容されてもよい。また、落札済売り入札の供出量の合計が必要量を超える場合で、かつ、ある落札済売り入札を除外しても各時刻の必要量を確保できる場合は、その売り入札を約定対象から除外することが許容されてもよい。
上記探索手法の他の例としては、分枝限定法が挙げられる。例えば、演算部24が、約定問題として定式化された組み合わせ最適化問題を分枝限定法で解く際の初期解として、発見的手法で得られた暫定解を使用するという手法である。
<実施の形態4のまとめ>
以上のような本実施の形態4に係る構成及び処理フローによれば、約定計算実行部32で得られた約定結果が改善されるので、買い入札者が支払う調達費用をより低く抑えることが可能となる。
<実施の形態5>
VPP事業者などの調整力供出事業者は、需給調整市場で売るための需給調整力を、需要家などが供出する分散型エネルギーリソース(太陽光発電、DR(Demand Response)などによるもの)を集めることによって調達する場合がある。この構成を図6に示す。
本実施の形態5では、実施の形態1~4で説明したブロック入札が実施される電力取引における買い入札者は、VPP事業者などの調整力供出事業者である。VPP事業者43は、需給調整市場で売る需給調整力を集めるため、需給調整力の取引を実施する。この取引は需給調整力取引システム44で行われる。この取引において、VPP事業者43は調達したい需給調整力の量を買い入札し、それに対して需要家45が需給調整力の供出可能量及び希望単価、発動調整電力量の希望単価を提示して売り入札する。需給調整力取引システム44は、VPP事業者43が調達したい量を確保しながら調達費用が小さくなるように複数の売り入札を組み合わせて約定する。
この取引は、需給調整市場42において送配電事業者41がVPP事業者43から需給調整力を調達する取引と同様である。本実施の形態5では、上記実施の形態1~4が、VPP事業者などの調整力供出事業者が需要家などから需給調整力を調達する際の需給調整力取引システムに適用される。
<実施の形態5のまとめ>
本実施の形態5に係る構成では、上記実施の形態1~4が、VPP事業者などの調整力供出事業者が需給調整市場で売るための需給調整力を調達する際の取引に適用される。このような構成によれば、当該取引に関して適切な約定計算を行うことができる。なお、この構成は、次の実施の形態6においても適用されてもよい。
<実施の形態6>
約定計算実行部32が、ブロック入札を時刻によって分解せずに複数の価値を評価し、当該複数の価値に基づいて約定判定を行う手法では、高速に解が得られるが、得られる解は最適に近い準最適解である。この約定計算では、評価値の良い入札から約定するため、約定計算の序盤では最適な約定結果に含まれる入札が選ばれる可能性が終盤よりも高く、約定計算の終盤では最適な約定結果に含まれない入札が選ばれる可能性が序盤よりも高い。
一方、入札件数が多い場合に組み合わせ最適化計算で約定計算をすると、厳密な最適解が得られるが計算時間が長くなる場合や、最適解が得られない場合がある。そこで、高速に解を得る約定計算と、厳密な最適解を得る組み合わせ最適化とを融合させることで、良好な約定結果を比較的高速に得られる手法を以下で説明する。
まず、売り入札の条件はそのままで、演算部24は、各商品の需給調整力の必要量[ΔkW]及び発動調整電力量[kWh]に0より大きく1より小さい第1定数α(例えば、α=0.7)を掛ける。演算部24は、その演算後の各商品の需給調整力の必要量[ΔkW]及び発動調整電力量[kWh]を改めて各商品の需給調整力の必要量[ΔkW]及び発動調整電力量[kWh]とした上で、約定計算実行部32で行われた約定判定の結果を第1約定結果Aとする。第1約定結果Aに含まれる入札は、評価値が比較的良いと考えられるため、元の需給調整力の必要量[ΔkW]及び発動調整電力量[kWh]に対する厳密な最適解に含まれる可能性が高い。
次に、売り入札の条件はそのままで、演算部24は、各商品の需給調整力の必要量[ΔkW]及び発動調整電力量[kWh]に1より大きい第2定数β(例えば、β=1.3)を掛ける。演算部24は、その演算後の各商品の需給調整力の必要量[ΔkW]及び発動調整電力量[kWh]を改めて各商品の需給調整力の必要量[ΔkW]及び発動調整電力量[kWh]とした上で、約定計算実行部32で行われた約定判定の結果を第2約定結果Bとする。第2約定結果Bに含まれない入札は、評価値が比較的悪いと考えられるため、元の需給調整力の必要量[ΔkW]及び発動調整電力量[kW]に対する厳密な最適解に含まれない可能性が高い。
次に、演算部24は、元の需給調整力の必要量[ΔkW]及び発動調整電力量[kWh]に対して、第1約定結果Aに含まれる入札を約定するものと確定し、第2約定結果Bに含まれない入札を約定しないものと確定し、そのどちらでもない入札(第1約定結果Aに含まれず、第2約定結果Bに含まれる入札)を組み合わせ最適化で約定する対象とする。ただし、組み合わせ最適化の目的関数は、需給調整力の調達に対する費用(ΔkW費用)及び発動調整電力量の運用に対する費用(kWh費用)との合計の最小化とする。
組み合わせ最適化で得られた約定結果と、第1約定結果Aとを合わせたものを、元の需給調整力の必要量[ΔkW]及び発動調整電力量[kWh]に対する約定結果とする。このようにすることで、組み合わせ最適化の対象となる売り入札の件数を削減でき、組み合わせ最適化計算の計算時間を短縮することができる。また、約定結果も厳密な最適解か、それに近いものになることが期待できる。
<実施の形態6のまとめ>
本実施の形態6に係る構成では、約定計算実行部32で売り入札の中から評価値の良い入札は約定させることを確定し、評価値の悪い入札は約定させないことを確定し、確定していない残りの入札に対して組み合わせ最適化により約定するかどうかを決定する。このため、計算時間を短縮し、買い入札者が支払う調達費用をより低く抑えることが可能となる。
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
1 電力取引約定計算装置、24 演算部、31 入札データ集約部、32 約定計算実行部、33 約定結果確定部、42 需給調整市場、43 VPP事業者。

Claims (12)

  1. 互いに連続する複数の基本時間帯にまたがる売り入札であるブロック入札が実施される電力取引の約定計算を行う演算部を備え、
    前記演算部は、
    買い入札データ及び売り入札データを集約する入札データ集約部と、
    前記入札データ集約部で集約された前記買い入札データ及び前記売り入札データに基づいて一以上の売り入札の需給調整力の単価及び発動調整電力量の単価を含む複数の価値を評価し、前記複数の価値に基づいて一以上の売り入札の約定判定を行う約定計算実行部と、
    前記約定計算実行部で行われた前記約定判定の結果に基づいて約定結果を確定する約定結果確定部と
    を備える、電力取引約定計算装置。
  2. 請求項1に記載の電力取引約定計算装置であって、
    前記約定計算実行部は、
    前記ブロック入札を前記基本時間帯の単位で分解せずに、前記複数の価値の評価及び前記約定判定を行う、電力取引約定計算装置。
  3. 請求項2に記載の電力取引約定計算装置であって、
    前記複数の価値の評価及び前記約定判定を、買い入札の残りの必要量が0以下となる前記売り入札の約定の組み合わせを決定する多重集合被覆問題(Weighted Multiple Set Covering Problem)として扱う、電力取引約定計算装置。
  4. 請求項3に記載の電力取引約定計算装置であって、
    前記約定計算実行部は、
    前記買い入札の残りの必要量が0以下となるまで、前記複数の価値により表現された評価値に基づいて売り入札を約定するように前記複数の価値の評価及び前記約定判定を繰り返し行う、電力取引約定計算装置。
  5. 請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の電力取引約定計算装置であって、
    前記約定結果確定部は、
    前記約定計算実行部で行われた前記約定判定の結果で選定された各売り入札の希望単価を約定価格として用いることにより、マルチプライスオークション方式の精算価格を算出する、電力取引約定計算装置。
  6. 請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の電力取引約定計算装置であって、
    前記約定結果確定部は、
    前記約定計算実行部で行われた前記約定判定の結果で選定された各売り入札の希望単価に基づいて、前記基本時間帯ごとに単一の約定価格を求め、当該約定価格を用いることにより、シングルプライスオークション方式の精算価格を算出する、電力取引約定計算装置。
  7. 請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の電力取引約定計算装置であって、
    前記約定計算実行部は、
    シングルプライスオークション方式の約定計算を行う場合に、一の売り上げ入札を約定した場合の約定価格の上昇を考慮した総支払い費用を用いて、前記複数の価値の評価及び前記約定判定を行う、電力取引約定計算装置。
  8. 請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の電力取引約定計算装置であって、
    前記演算部は、
    前記約定計算実行部で行われた前記約定判定の結果を初期解とする予め定められた探索手法を用いて、前記約定判定の結果を改善する、電力取引約定計算装置。
  9. 請求項1から請求項8のうちのいずれか1項に記載の電力取引約定計算装置であって、
    前記電力取引を行う市場は、需給調整市場である、電力取引約定計算装置。
  10. 請求項1から請求項8のうちのいずれか1項に記載の電力取引約定計算装置であって、
    前記電力取引における買い入札者は、調整力供出事業者である、電力取引約定計算装置。
  11. 請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の電力取引約定計算装置であって、
    前記演算部は、
    需給調整力の必要量及び発動調整電力量に0より大きく1より小さい第1定数を掛けて前記約定計算実行部で行われた前記約定判定の結果を第1約定結果とし、
    前記需給調整力の必要量及び前記発動調整電力量に1より大きい第2定数を掛けて前記約定計算実行部で行われた前記約定判定の結果を第2約定結果とし、
    第1約定結果に含まれる売り入札の約定を確定し、
    第2約定結果に含まれない売り入札の非約定を確定し、
    約定及び非約定のいずれも確定していない売り入札を組み合わせ最適化で約定するかどうかを決定する、電力取引約定計算装置。
  12. 互いに連続する複数の基本時間帯にまたがる売り入札であるブロック入札が実施される電力取引の約定計算を行う演算として、
    買い入札データ及び売り入札データを集約し、
    集約された前記買い入札データ及び前記売り入札データに基づいて一以上の売り入札の需給調整力の単価及び発動調整電力量の単価を含む複数の価値を評価し、前記複数の価値に基づいて一以上の売り入札の約定判定を行い、
    前記約定判定の結果に基づいて約定結果を確定する、電力取引約定計算方法。
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