JP5875155B2 - 成膜装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマを用いた成膜装置に関する。
従来より、電子デバイスに用いる半導体装置等の製造に、プラズマ処理装置が多く用いられる。特に、半導体装置等の工業用製造ラインには、構造が簡単な平行平板型プラズマ処理装置が多く用いられる。この平行平板型プラズマ処理装置では、例えば13.6MHzの高周波の電力が用いられる。
一方、平行平板型プラズマ処理装置には、従来より以下の点で問題があることが知られている。
・ 大型の成膜用基板に対応した広い成膜空間で空間的に均一なプラズマを生成することが難しいこと、
・ 成膜処理のスループットが低いこと、及び
・ 供給電力の増大に伴って成膜用基板へのイオンや電子の衝突が増加し、膜表面が滑らかでないこと。
上記問題は、今日の多様化する半導体装置の製造にとってより大きな障害となっている。
例えば、成膜容器内の成膜空間における膜生成に必要なラジカル(分子、原子)の絶対濃度を濃くして半導体装置のスループットを向上するために、成膜容器内の成膜ガス密度を高くする、すなわち成膜容器内の圧力を高くすることが考えられる。しかし、1kPa程度あるいはそれ以上の圧力雰囲気では、生成されるプラズマは自己収縮する傾向にあり、空間的に均一なプラズマの生成が困難になる。特に、平行平板型プラズマ処理装置では、局所的に放電が発生し易くなり、プラズマの生成が不安定になる。
一方、平行平板の間に電圧を与えてプラズマを生成する上記プラズマ生成源の他に、複数の棒状アンテナを平行に並べた誘導結合型プラズマ処理装置も知られている(特許文献1)。この装置の場合、供給電力をより高周波にすることで、空間的に均一なプラズマをより安定して生成することができる。しかし、この装置でも、1kPa程度あるいはそれ以上の圧力雰囲気においてプラズマを安定的に生成することはできない。また、供給電力の周波数に高いVHF帯域の周波数を用いた場合、1kPa程度あるいはそれ以上の圧力雰囲気では、放電限界電圧が高くなり、1本の棒状アンテナに必要な電力が1kWオーダに近づく。このような電力を例えば数10本の棒状アンテナに供給する場合、全電力が数10kW以上必要になる。このような大きな供給電力を要する装置は、実用的なプラズマ処理装置に用いることはできない。
また、平行平板型プラズマ処理装置では、面積が1m2以上の基板をプラズマ処理の対象とする場合、供給電力が高周波になると分布定数系としての現象が無視できなくなり、生成される電磁波の波長の影響により空間的に不均一なプラズマが発生する。
さらには、少なくとも2種類の成膜用ガスを用いて成膜を行う場合、成膜用ガスから生成される少なくとも2種類のラジカルの密度分布によって形成される膜質が異なる。例えば、シランガスと水素ガスを成膜用ガスとして用いて、微結晶シリコンの薄膜を基板に形成する場合、シランガスから生成されるSiH3ラジカルと水素ガスから生成されるHラジカルとの間で密度の比が変化すると、微結晶シリコンの膜質が変化する。より具体的には、SiH3ラジカルの密度に対するHラジカルの密度の比が大きくなると、微結晶シリコンの結晶性が向上し、上記比が小さくなると、微結晶シリコンの結晶性が低下する。微結晶シリコンの膜質は、微結晶シリコンを用いたTFT(Thin Film Transistor)や太陽電池セルの特性に影響を与える。したがって、膜質についても、場所に拠らず一定に維持することが好ましい。
しかし、従来のプラズマ処理装置では、均一な厚さ及び均一な膜質で効率よく成膜することができない。
特開2003−86581号公報
そこで、本発明は、少なくとも2種類の成膜用ガスを用いて基板に成膜する場合、従来に比べて、均一な膜質で効率よく成膜することができる成膜装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、プラズマを用いた成膜装置である。
当該装置は、
成膜用基板が配置される成膜空間を備える成膜容器と、
プレートであって、前記プレートの厚さ方向に貫通する複数の貫通孔と、前記貫通孔それぞれの両側の開口に設けられた電極対と、を備えたプラズマ生成プレートを含み、前記成膜容器内に導入された少なくとも2種類の成膜用ガスを用いてプラズマを生成するプラズマ生成ユニットと、
前記成膜容器内に設けられ、前記少なくとも2種類の成膜用ガスを前記プラズマ生成プレートに供給するガス供給機構と、を有する。
前記プラズマ生成ユニットは、プラズマ生成プレートの他に、前記貫通孔それぞれの内部空間でプラズマを生成するために、前記電極対にプラズマ生成電圧を供給する電源と、前記プラズマ生成電圧の供給を前記電極対毎に制御する制御ユニットと、を有する。
前記ガス供給機構は、前記貫通孔のそれぞれに、前記成膜用ガスのいずれか1種類のガスを供給する機構である。
このとき、前記電極対の2つの電極には、設定された周期の単位で正の電圧値と負の電圧値とが切り替わるパルス状の電圧が印加され、前記電極対に印加されるパルス状の電圧を、互いに逆位相にすることにより前記プラズマ生成電圧が供給され、互いに同位相にすることにより前記プラズマ生成電圧の供給を停止する。
あるいは、前記貫通孔は、前記プラズマ生成プレートの面上の2方向に沿って複数の列及び行を成すように格子状に並べられ、前記電極対のうち前記プラズマ生成プレートの一方の面の側に設けられた第1電極のうち、共通する行それぞれに位置する電極は、前記行毎に、第1電力線路で互いに直列に繋がれて前記電源と接続され、前記電極対のうち前記プラズマ生成プレートの他方の面の側に設けられた第2電極のうち、共通する列それぞれに位置する電極は、前記列毎に、第2電力線路で互いに直列に繋がれて前記電源と接続されている。
あるいは、前記電極対のうち前記成膜用基板が載せられる載置面に近い電極は、絶縁体で被覆されて前記プラズマ生成プレートの内部に設けられ、前記電極対のうち前記載置面から遠い電極は、前記プラズマ生成プレートの前記貫通孔の内表面に露出している。

上述の成膜装置は、従来に比べて、均一な膜質および成膜速度で成膜することができる。
本実施形態の成膜装置の全体の概略構成図である。 (a)は、本実施形態のプラズマ生成プレートの外観斜視図であり、(b)は、プラズマ生成プレートの貫通孔を説明する図である。 本実施形態のプラズマ生成プレートの各貫通孔に設けられる電極対への配線を説明する図である。 (a)は、プラズマ生成プレートの貫通孔の断面図であり、(b)は、(a)に示すA−A’線に沿った断面図であり、(c)は、(a)に示すB−B’線に沿った断面図である。 本実施形態の貫通孔の内部空間でプラズマが発生する状態を説明する図である。 本実施形態の給電線に供給する電力信号を生成するスイッチ素子の構成の一例を示す図である。 本実施形態の給電線に供給する電力信号を生成するスイッチ素子の構成の他の例を示す図である。 圧力Pと電極間距離Dの積P・Dを横軸に、放電開始電圧VBを縦軸にとったグラフを示す図である。 本実施形態で生成されるプラズマの生成頻度とプラズマにより作られるイオン、中性分子、ラジカルの流れを説明する図である。 本実施形態の第i番目の行で、第j番目の列に位置する電極対に給電される第1電力信号PRi及び第2電力信号PCjの一例を示す図である。 本実施形態のN2個の電極対がN行×N列で格子状に並んだプラズマ生成プレートの電極対と電力信号の関係を示す図である。 本実施形態の電力信号に用いられる基本信号と反転信号の一例を示す図である。 (a)は、図11に示すプラズマ生成プレートにおいてN=4とした場合における電力信号PR1〜4を表す図であり、(b)は、(a)に示される内容に従ってつくられる電力信号を記載した図であり、(c)は、電力信号PR2の波形の一例を示す図である。 (a),(b)は、2つの電力信号f1(t),f2(t)に施す演算「*」を説明する図である。 本実施形態の電力信号を説明する図である。 (a),(b)は、プラズマ生成頻度データと電力信号との関係式を示す図である。 本実施形態で用いる演算「*」の特徴を示す式を説明する図である。 (a)〜(d)は、プラズマ生成頻度データと電力信号との関係式を変形した式を説明する図である。 (a),(b)は、プラズマ生成プレートの貫通孔に与える電力分布の一例とそのとき成膜用基板の上方におけるラジカル密度の分布の一例を示す図である。 (a),(b)は、プラズマ生成プレートの貫通孔に与える電力分布の他の例とそのとき成膜用基板の上方におけるラジカル密度の分布の他の例を示す図である。 (a),(b)は、プラズマ生成プレートの貫通孔に与える電力分布の実施例とそのとき成膜用基板の上方におけるラジカル密度の分布の例を示す図である。 (a),(b)は、本実施形態の電力信号の波形の例を示す図である。 本実施形態のプラズマ生成プレートの変形例を説明する図である。
以下、本発明の成膜装置について詳細に説明する。以下説明する成膜装置では、2種類の成膜ガスを用いて成膜する場合を説明するが、3種類以上の成膜ガスを用いて成膜することもできる。
(成膜装置)
図1は、本実施形態の成膜装置10の全体の概略構成図である。成膜装置10は、成膜本体部12と、第1ガス源14と、第2ガス源15と、排気ユニット16と、プラズマ生成ユニット18と、を有する。
成膜本体部12は、成膜容器20と、サセプタ22と、第1ガス供給室40と、第2ガス供給室42と、ガス供給機構44と、を主に有する。成膜容器20は、成膜容器20内の成膜空間を所定の圧力に減圧し、成膜空間の成膜用基板を成膜処理するための容器である。サセプタ22は、表面に成膜用基板24を載せる載置面26を有し、成膜空間内に設けられている。サセプタ22の内部に図示されないヒータが設けられて成膜容基板24を加熱する。成膜用基板24は、成膜容器20に設けられた図示されない開口したシャッターを通して、成膜容器20の外部から内部に搬入されてサセプタ22の載置面26に載せられる。また、成膜済みの成膜用基板24は、上記シャッターを通して成膜容器20の外部に搬出される。
第1ガス供給室40は、成膜用ガスのうち第1ガス、例えばシランガスのガス供給室である。成膜容器20の壁面には、第1ガス源14と接続した図示されない配管と接続された供給口28が設けられる。この供給口28を通して第1ガスが第1ガス供給室40に供給される。第1ガス供給室40に供給された第1ガスは、ガス供給機構44の一形態であるガス管44aを通して、後述するプラズマ生成ユニット18の貫通孔32aに供給される。すなわち、ガス供給機構44は、第1ガス供給室40と貫通孔32aとを結ぶガス管44aである。
第2ガス供給室42は、成膜用のガスのうち第2ガス、例えば水素ガスのガス供給室である。成膜容器20の壁面には、第2ガス源15と接続した図示されない配管と接続された供給口29が設けられる。この供給口29を通して第2ガスが第2ガス供給室42に供給される。第1ガス供給室42に供給された第2ガスは、後述するプラズマ生成ユニット18の貫通孔32aに供給される。第1ガス供給室40と第2ガス供給室42は、隔壁により仕切られている。プラズマ生成ユニット18は、第2ガス供給室42に隣接して設けられているので、第2ガスは、ガス管を通すことなく貫通孔32aに直接供給される。
なお、成膜容器20内には、上部から順に、第1ガス供給室40、第2ガス供給室42、及びプラズマ生成ユニット18が設けられている。したがって、第1ガス供給室40に供給された第1ガスは、ガス管44aを通して、後述するプラズマ生成プレート32の貫通孔32aに接続されるように、ガス管44aが第2ガス供給室42を横切って下方のプラズマ生成プレート32に延びている。
成膜容器20の床面には、成膜容器20内の成膜空間内の不要な成膜用ガス(第1ガス、第2ガス)を排気する排気口30が設けられている。排気口30は、排気ユニット16と接続した図示されない配管と接続されている。これにより、成膜空間は一定の圧力に維持される。
成膜空間内のサセプタ22の上方には、プラズマ生成ユニット18に属するプラズマ生成プレート32が設けられている。プラズマ生成プレート32は、プレートの厚さ方向に貫通する複数の貫通孔32a(図2参照)を有し、この貫通孔32aの内部で、供給された第1ガスあるいは第2ガスを用いてプラズマを生成する。プラズマ生成プレート32については後述する。
第1ガス源14は、例えば、シランガス等の成膜用ガス源であり、第2ガス源15は、例えば、水素ガス等の成膜用ガス源である。第2ガス源15は、例えば、シランガス等の成膜用ガス源であり、第1ガス源14は、例えば、水素ガス等の成膜用ガス源であってもよい。シランガスや水素ガス等は、成膜用基板24に形成する薄膜の成分を含むガスである。すなわち、薄膜として微結晶シリコンを成膜用基板24に形成するとき、成膜用ガスとしてシランガス及び水素ガスが用いられる。この場合、予め定められたシランガスと水素ガスの流量比でシランガスと水素ガスが成膜空間に供給される。成膜用ガスは、この他に、例えばメタンガスと水素ガスの組み合わせ、あるいは、エチレンガスと水素ガスの組み合わせが挙げられる。これらの組み合わせの場合、グラフェン等のカーボン膜を成膜することができる。
排気ユニット16は、ロータリポンプあるいはドライポンプ等を含み、成膜空間を、一定の圧力に維持する。また、成膜空間における圧力を大気圧に比べて低くする場合、排気ユニット16は、定められた圧力まで排気を行う。
プラズマ生成ユニット18は、プラズマ生成プレート32と、電源34と、スイッチ素子36と、制御ユニット38と、を有する。
プラズマ生成プレート32は、成膜容器20内に設けられたプレートであって、このプレートの厚さ方向に貫通する複数の貫通孔32aと、これらの貫通孔32aそれぞれの両側の開口の周りに設けられた電極対と、を備える。
電源34は、プラズマ生成プレート32の貫通孔それぞれの中でプラズマを生成するために、電極対にプラズマ生成電圧を供給する。
制御ユニット38は、制御信号を生成し、電極対毎にプラズマ生成電圧の供給を、スイッチ素子36(36a,36b)を通して制御する。スイッチ素子36(36a,36b)は、電極対それぞれを構成する後述する電極32b(図4(a)参照),電極32c(図4(a)参照)に印加する電圧を、設定された周期単位で切り替えることにより電力信号を生成し、この電力信号を電極対毎に供給する。
図2(a)は、プラズマ生成プレート32の外観斜視図である。
プラズマ生成プレート32は、成膜用ガスが導入される成膜空間の第2ガス供給室42と、成膜用基板24が成膜空間内に載置されるサセプタ22との間に、プラズマ生成プレート32の一方の面が、サセプタ22の載置面26に対して対向するように、成膜空間内に設けられている。
プラズマ生成プレート32は、プレート厚さ方向に貫通する複数の同一の大きさの貫通孔32aが、図中のX方向及びY方向に沿って一定の間隔で整然と並んで格子状に設けられている。本明細書では、Y方向に沿って並んだ貫通孔32aの群を列といい、X方向に沿って並んだ貫通孔32aの群を行という。
図2(b)は、プラズマ生成プレート32をプレート面の上方あるいは下方から見た図である。プラズマ生成プレート32の貫通孔32aは、上述したように第1ガス供給室40から延びるガス管44aを通して第1ガスが供給される貫通孔32a(図2(b)中の斜線領域)と、第2ガス供給室42から第2ガスが供給される貫通孔32a(図2(b)中の白い領域)とに分けられる。すなわち、貫通孔32aは、プラズマ生成プレート32に2次元的に配列される。そして、貫通孔32aに供給される成膜用ガスの種類は、隣接する貫通孔32aに供給される成膜用ガスの種類と異なるようになっている。したがって、第1ガスが例えばシランガスである場合SiH3ラジカルが、第2ガスが例えば水素ガスである場合Hラジカルが、が別々の貫通孔32aから生成される。本実施形態では、貫通孔32aに供給される成膜用ガスの種類は、隣接する貫通孔32aに供給される成膜用ガスの種類と異なるようになっているが、必ずしも、貫通孔32aに供給される成膜用ガスの種類は、隣接する貫通孔32aに供給される成膜用ガスの種類と異ならなくてもよい。しかし、成膜する膜厚を均一にし、しかも膜質を均一にするためには、貫通孔32aに供給される成膜用ガスの種類を、隣接する貫通孔32aに供給される成膜用ガスの種類と異ならせることが好ましい。すなわち、2次元上に配列される貫通孔32aには、異なる成膜用ガスを千鳥配列で供給することが好ましい。
また、本実施形態のように、プラズマ生成プレート32の上方に成膜用ガスそれぞれのガス供給室が成膜用ガス毎に上段及び下段に設けられ、上段に設けられたガス供給室を、ガス管44aを通して貫通孔32aと接続することにより、2種類の成膜用ガスが混ざることなく貫通孔32aのそれぞれに供給され得る。このため、貫通孔32aのそれぞれでプラズマが生成されて、成膜空間内で第1ガス及び第2ガスから生成されるラジカルの密度を別々に制御することができる。すなわち、後述するような貫通孔32aに設けられた電極32b,32cに供給する電力を制御することにより、プラズマ密度を制御し、これにより第1ガス及び第2ガスから生成されるラジカルの密度を制御することができる。
図3は、プラズマ生成プレート32の各貫通孔32aに設けられる電極対への配線を説明する図である。図4(a)は、貫通孔32aの断面図であり、図4(b)は、図4(a)に示すA−A’線に沿った断面図であり、図4(c)は、図4(a)に示すB−B’線に沿った断面図である。図3に示す例では、列8、行8からなる貫通孔32aのそれぞれに電極対が設けられている例であるが、列の数、行の数は8に限定されず、複数の数であればよい。列の数と行の数は同数であることが、後述するように、逆行列を用いて第2電力信号PCj(jは1以上8以下の整数)を定める上で好ましいが、必ずしも列の数と行の数が同数でなくてもよい。
プラズマ生成プレート32は、図4(a)に示すように、誘電体層32d,32e、導体層32f、及び誘電体層32g,32hが積層されて構成されている。貫通孔32aには、図4(a)に示すように、電極32b及び電極32cが設けられている。導体層32fは、貫通孔32aの面には露出されておらず、導体層32fの貫通孔32a側の面は誘電体32mで覆われている。
電極32b及び電極32cは、貫通孔32aの両側の開口部に、貫通孔32aの内周に沿って配された環状の電極である。電極32bは、図4(a)に示すように、誘電体層32eの角に配置されるよう、断面が90度に折れ曲がった屈曲形状をしている。電極32b,32cは、プレート表面においてそれぞれ誘電体層32d,32hにより被覆されている。貫通孔32aの内表面では、電極32bは露出しており、電極32cは誘電体層32gにより被覆されている。誘電体層32dと誘電体層32eの間には、スイッチ素子36aを通して上部電源34aと接続されている給電線(第1電力線路)32iが設けられ、給電線32iは電極32bと接続されている。誘電体層32gと誘電体層32hの間には、スイッチ素子36bを通して下部電源34bと接続されている給電線(第2電力線路)32jが設けられ、給電線32jは電極32cと接続されている。上部電源34a及び下部電源34bはともに、正負の一組のDC電源からなり、スイッチ素子36a,36bで電圧が切り替えられることで生成される電力信号を電極32b,32cに印加する。
誘電体層32d,32e,32g,32hは、例えば石英板により構成される。導体層32fは接地される。給電線32i.32jは、一定の幅を有する線状導体である。したがって、給電線32i,32jと接地された導体層32fは、誘電体層32e,32gを誘電体基板とするマイクロストリップ線路を構成する。すなわち、電極対それぞれの電極32b,32cは、プラズマ生成プレート32の両側の面に沿って配されたマイクロストリップ線路を通して電源34(上部電源34a,下部電源34b)と接続される。プラズマ生成プレート32は、両側に設けられた誘電体プレート32e,32gと、誘電体プレート32e,32gが挟むように設けられた接地された導体層32fと、を含む。また、導体層32fは、プラズマ生成プレート32の強度を保つ部材として機能する。
このような電極対32b,32cが、複数の貫通孔32a毎に設けられ、図3に示すように、複数の給電線32i,32jが電極対32b、32cの周りに配線されている。
すなわち、給電線32iは、X方向に沿って貫通孔32aが配列された行に沿った線であり、行内の各貫通孔32aに設けられた電極32bを直列に接続している。給電線32iの一端は、スイッチ素子36aを通して上部電源34aと接続され、他方の端は、抵抗体32kを介して接地されている。
給電線32jは、Y方向に沿って貫通孔32aが配列された列に沿った線であり、列内の各貫通孔32aに設けられた電極32cを直列に接続している。給電線32jの一端は、スイッチ素子36bを通して下部電源34bと接続され、他方の端は、抵抗体32lを介して接地されている。抵抗体32k,32lの値は、例えば1MΩ以上である。
すなわち、プラズマ生成プレート32の上側に設けられた電極32bのうち、共通する行それぞれに位置する電極32bは、行毎に、給電線32iで互いに直列に繋がれてスイッチ素子36aを通して上部電源34aと接続されている。プラズマ生成プレート32の下側に設けられた電極32cのうち、共通する列それぞれに位置する電極32cは、列毎に、給電線32jで互いに直列に繋がれてスイッチ素子36bを通して下部電源34bと接続されている、
このような電極32b,32cを有する貫通孔32aの内部空間では、電極32b,32cに電圧が印加されることにより、プラズマが生成され得る。図5は、貫通孔32aの内部空間でプラズマPが発生する状態を説明する図である。
電極32b,32cに電圧を印加することで、電極32b,32c間に成膜用ガスのプラズマPが生成される。このとき、サセプタ22の載置面26から遠い電極32bは貫通孔32aの内部空間の内表面に露出し、載置面26に近い電極32cは貫通孔32aの内部空間において誘電体層32gで被覆されているので、すなわち、プラズマ生成プレート32の内部に設けられているので、生成したプラズマPにより電極32cの方へ引っ張る力が生成される。このようなプラズマPの発生による生じる力は、例えば、“Experimental Investigation of DBD Plasma Actuators Driven by Repetitive High Voltage Nanosecond Pulses with DC or Low-Frequency Sinusoidal Bias”(Dmitry F. Opaits et al., 38th AIAA Plasmadynamics and Lasers Conference<br> in conjunction with the <br> 16th, 25-28 June 2007)において検討されている。したがって、成膜装置10においてもプラズマ生成プレート32は、成膜用ガスを吸引して成膜空間内に供給するアクチュエータとして機能する。
すなわち、成膜用ガスによって貫通孔32a内でプラズマPが生成されると、図5中の下向きに引っ張る力が発生するので、プラズマPによって生成されたイオンや中性分子さらにはラジカルが貫通孔32aの下側開口部に引っ張られ、開口部から下方の空間に拡散するように排出される。
本実施形態では、電極32b,32cはプラズマPを生成させる電極として用いられるほか、アクチュエータとして用いられるが、プラズマPを生成させる電極として用いるが、アクチュエータとして用いられなくてもよい。この場合、電極32bは、貫通孔32aの内表面に露出されず、誘電体層32eによって被覆される。
図6は、図3中の最も上に位置する行の電極32bを接続する給電線32iに供給する電力信号PR1を生成するスイッチ素子36aの構成の一例を示す図である。他のスイッチ素子36a及びスイッチ素子36bも同様の構成を有するので、その説明は省略する。
スイッチ素子36aは、制御ユニット38から送られる制御信号LR1に従って電圧のON/OFFを、設定された周期単位で切り替えることにより、電力信号PR1を生成する。スイッチ素子36aは、ゲート駆動回路36cと、MOSFET36d,36eと、抵抗体36f,36gと、を有する。なお、抵抗体36f,36gは安全のために設けられているが、原理的には必須のものではなく、抵抗体36f、36gは設けられないほうが好ましい。
ゲート駆動回路36cは、制御ユニット38から送られた制御信号LR1に基いて、2つのゲート信号(2値制御信号a、2値制御信号b)を出力する。2つのゲート信号はそれぞれ、1(high),0(low)からなる2値(1,0)を所定の周期単位で持つ2値制御信号である。
MOSFET36dは、pチャンネルパワーMOSFETであり、MOSFET36eは、nチャンネルパワーMOSFETである。MOSFET36d,36eのそれぞれのゲート端子には、ゲート駆動回路36cが出力した2つのゲート信号(2値制御信号)が入力される。MOSFET36dのソース端子には、上部電源34aと接続されて電圧+Vがかけられ、MOSFET36eのソース端子には、上部電源34aと接続されて電圧−Vがかけられている。したがって、MOSFET36d,36eのゲート端子に与えられるゲート信号(2値制御信号a、2値制御信号b)の信号値に応じて、ドレイン端子に流れる電流はON/OFFに切り替わる。このため、抵抗体36f,36eを通して、電力信号PR1が得られる。電力信号PR1は、制御信号LR1の信号値に応じて正の電圧、0の電圧及び負の電圧に設定された周期で切り替わる。正の電圧をVとし、負の電圧を−Vとする。本実施形態では、スイッチ素子36a,36bにパワーMOSFETを用いるが、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることもできる。
スイッチ素子36aは、pチャンネルのMOSFET36dとnチャンネルのMOSFET36eで構成されているが、図7に示すようなスイッチ素子36aを用いることもできる。図7に示すスイッチ素子36aは、ゲート駆動回路36cと、MOSFET36h,36iと、トランス36jを有する。MOSFET36h,36iはnチャンネルパワーMOSFETである。
ゲート駆動回路36cは、図6に示すゲート駆動回路36aと同様の構成、作用を有するので説明は省略する。
MOSFET36h,36iのそれぞれのゲート端子には、ゲート駆動回路36cが出力したゲート信号(2値制御信号a、2値制御信号b)が入力される。MOSFET36h,36iのソース端子は、抵抗体を通して接地される。2つのドレイン端子は、トランス36jに接続されて電圧Vがかけられている。電圧Vは、上部電源34aから提供される。
このような構成においても、MOSFET36h,36iのゲート端子に与えられるゲート信号の信号値に応じて、トランス36jから出力される電力信号PR1は、制御信号LR1の信号値に応じて正の電圧V、0の電圧、及び負の電圧−Vに切り替わる。
すなわち、プラズマ生成ユニット18は、上部電源34aの電圧を、制御信号LR1〜LRN(Nは2以上の整数で、例えば16〜128の範囲の整数)から作られる既知の2値のゲート信号で切り替えることにより生成された第1電力信号PR1〜PRNを給電線32iに供給する。また、プラズマ生成ユニット18は、下部電源34bの電圧を、制御信号LC1〜LCNから作られる既知の2値のゲート信号で切り替えることにより生成された第2電力信号PC1〜PCNを給電線32jに供給する。このとき、第1電力信号PR1〜PRNと第2電力信号PC1〜PCNの電圧の切り替わりのタイミングが互いに同期するように、ゲート信号を生成するための制御信号がスイッチ素子36a,36bに提供される。なお、第2電力信号PC1〜PCNは、後述するように、第1電力信号PR1〜PRNに対応して生成される。
以上のように生成される電力信号は、第1電力信号PR1のみならず、第1電力信号PR2〜PRN(Nは2以上の整数)についても、列毎の第2電力信号PC1〜PCNについても同様のスイッチ素子36a,36bによって生成される。すなわち、電極32b,32cのそれぞれに印加する電圧を、スイッチ素子36a,36bを用いて、設定された周期単位で切り替えることにより、第1電力信号PR1〜PRN及び第2電力信号PC1〜PCNを電極32b,32cのそれぞれに供給する。
本実施形態では、スイッチ素子36a,36bを用いて電圧を切り替えることにより第1電力信号PR1〜PRN及び第2電力信号PC1〜PCNを生成するが、第1電力信号PR1〜PRN及び第2電力信号PC1〜PCNは直接電源34で生成されてもよい。すなわち、上部電源34a及び下部電源34bは、同じものを用いてもよい。
生成される第1電力信号PR1〜PRNは電極32bに給電され、同様に電極32cには第2電力信号PC1〜PCNが給電される。このとき、電極32b,32c間の電圧は、第1電力信号PR1〜PRNと第2電力信号PC1〜PCNの電圧の差分によって定まる。例えば、第1電力信号PR1と第2電力信号PC1とが全く同じ信号である場合、差分PR1−PC1は常時0になる。一方、第2電力信号PC1が第1電力信号PR1に対して反転している場合、差分PR1−PC1は2V、−2Vで変動する。したがって、電極32b,32c間の電圧は、第1電力信号PR1と第2電力信号PC1の信号に応じて異なる。このとき、差分PR1−PC1が2Vのとき、プラズマが貫通孔32aの内部空間で発生するように電圧Vが調整されていれば、電圧PR1−PC1が2V(=V−(−V))であるときプラズマが生成し、電圧PR1−PC1が0であるときプラズマは生成しない。上記説明は、第1電力信号PR1〜PRN、および第2電力信号PC1〜PCNにおいて、いずれも絶対値が同じ電圧V,−Vが印加される場合を説明したが、電圧Vと電圧−Vの絶対値が異なっていてもよい。例えば、電圧V1と電圧−V2が電極32b,32cに印加される場合、差分の電圧はV1+V2あるいはV1−V2になるので、差分V1+V2でプラズマが生成され、差分V1−V2でプラズマが生成されないように、電圧V1と電圧−V2が設定されるとよい。このように、電極32b,32cに、設定された周期単位で正の一定電圧値と負の一定電圧値とが切り替わるパルス状電圧が印加されることにより、電極対にプラズマ生成電圧が供給される。勿論、第1電力信号PR1〜PRNの電圧V、−Vと第2電力信号PC1〜PCNの電圧V,−Vを異なる値としてもよい。
図8は、圧力Pと電極間距離Dの積P・Dを横軸に、放電開始電圧VBを縦軸にとったグラフを示す。横軸及び縦軸は対数軸で表されている。グラフ中の曲線は、He,Ne,Ar,H2,N2のそれぞれのガス雰囲気における放電開始電圧VBの変化を示す。いずれの曲線も、P・Dの値が4×10-1〜2×100(Torr・cm)の範囲で放電開始電圧VBが最小値を有し、その両側の範囲でVBが高くなっている。
例えば、H2の場合、10(Torr)(1Torr=133.3Pa)、電極32bと電極32c間の間隔Dを0.5cmとしたとき、図8に示すグラフより、放電開始電圧VBが400Vとなる。したがって、第1電力信号PR1及び第2電力信号PC1の電圧を200Vより僅かに大きくすることで、差分PR1−PC1が400Vを越えてプラズマ生成電圧となる。また、H2の場合、40(Torr)、電極32bと電極32c間の間隔Dを0.5cmとしたとき、放電開始電圧VBは800Vである。したがって、この場合、第1電力信号PR1及び第2電力信号PC1の電圧を400Vより僅かに大きくすることで、差分PR1−PC1が800Vを越えてプラズマ生成電圧となる。
また、図6に示すスイッチ素子36aの場合、pチャンネルのMOSFET36dの電圧Vを600V、nチャンネルのMOSFET36iの電圧−Vを−1000Vとすることにより、差分PR1−PC1が1600Vとなる。この場合、図8のH2の曲線に従うと、間隔Dを0.5cmとしたとき、放電開始電圧VB=1600Vを達成する圧力は100(Torr)となる。
さらに、図7に示すスイッチ素子36aの場合、電圧Vを4000Vとし、電圧−Vを−4000Vとすると差分PR1−PC1が8000Vになるので、電極32bと電極32c間の間隔Dを0.5cmとしたとき、図8に示すH2の曲線より、700(Torr)まで圧力を高くしてもプラズマを生成することができる。700(Torr)は、極めて大気圧に近い圧力(0.91気圧)である。
このように、パワーMOSFETをスイッチ素子36a,36bに用い、差分PR1−PC1を利用することで、従来のように減圧の程度を抑えてもプラズマを安定して生成することができる。
このような第1電力信号PR1〜PRN,PC1〜PCNを組み合わせることにより、プラズマを断続的に生成する頻度を自在に調整することができる。
図9は、プラズマの生成頻度とプラズマにより作られるイオン、中性分子、ラジカルの流れを説明する図である。上述した差分PRi−PCj(i,j=1〜Nの整数)が定められた時間内で常時プラズマ生成電圧となる場合、中性分子や電荷したイオン、さらには、中性化したラジカル等が勢い良く貫通孔32aから射出される(図9中の状態A)。一方、差分PRi−PCjが定められた時間の一部分でプラズマ生成電圧となる場合、中性分子や電荷したイオン、さらには、中性化したラジカル等の射出量は状態Aの場合に比べて少なく、その射出速度も状態Aの場合に比べて遅い状態Bとなる。このようにして、成膜装置10の成膜空間内において、中性分子、イオン、ラジカルの密度分布を変更することができる。したがって、成膜空間内の中性分子、イオン、ラジカルの現在の密度分布を知れば、この密度分布に応じて中性分子、イオン、ラジカルの射出量を変えることにより、成膜空間における中性分子、イオン、ラジカルの密度を目標とする所定の分布、例えば均一な分布にすることができる。また、本実施形態は、貫通孔32aのそれぞれにおいて電極対間に印加される電圧を制御できるので、第1ガスから生成されるラジカルの密度と、第2ガスから生成されるラジカルの密度を調整できる。したがって、本実施形態は、第1ガスから生成されるラジカルの密度と、第2ガスから生成されるラジカルの密度との比を、場所に拠らず一定にすることができる。
図10は、第i番目(i=1〜Nの整数)の行で、第j番目(j=1〜Nの整数)の列に位置する電極対に給電される第1電力信号PRi及び第2電力信号PCjの一例を示す図である。第1電力信号PRiと第2電力信号PCjの電圧の切り替えのタイミングは同期している。
図10に示す例では、0〜T1(秒)において、第1電力信号PRiと第2電力信号PCjは互いに反転信号(逆位相の関係)となっているので、電極32b,32c間には、プラズマ生成電圧500Vが常時印加されることになり、その結果、貫通孔32aの内部空間でプラズマが生成される。一方、T1〜T2(秒)において、第1電力信号PRiと第2電力信号PCjは同じ信号(同位相の関係)となっているので、電極32b,32c間で電圧が生じずプラズマが生成されない。
このように、電極32b,32cに供給される第1電力信号PRi,PCjの信号波形を適宜組み合わせることにより、プラズマの生成頻度を自在に調整することができる。さらにいうと、第1電力信号PRi,PCjは、制御信号LRi,LCjによって定まるので、制御信号LRi,LCjを種々変更することにより、貫通孔32a内の内部空間に発生するプラズマの生成頻度を制御することができる。
図11は、N2個の電極対(電極32b,32c)がN行×N列(Nは2以上の整数)で格子状に並んだプラズマ生成プレート32の電極対ij(i,j=1〜Nの整数)と第1電力信号PR1〜PRN,第2電力信号PC1〜PCNの関係を示す図である。電極対i1、電極対i2,・・・電極対iN(i=1〜Nの整数)のそれぞれの電極32bには、第1電力信号PRiが供給される。一方、電極対1j、電極対2j,・・・,電極対Nj(j=1〜Nの整数)のそれぞれの電極32cには、第2電力信号PCjが供給される。
したがって、電極対ijにおけるプラズマ生成頻度のみを調整しようとする場合、第1電力信号PRi,第2電力信号PCjを調整するが、この場合、調整しようとする電極対ijと同じ列あるいは同じ行に位置する他の電極対におけるプラズマの生成頻度が変化しないように調整しなければならない。
下記電力信号の生成方法は、複数の貫通孔32aにおけるプラズマ生成頻度分布が、定めた目標プラズマ生成頻度分布になるように、第1電力信号PRi,第2電力信号PCjを生成する方法である。この方法は、具体的には、制御ユニット38において、予め定めた第1電力信号PRiに対して、プラズマ生成頻度分布が目標プラズマ生成頻度分布になるように第2電力信号PCjを定め、この第2電力信号PCjを生成するように制御信号LCjが生成される。このとき、予め定めた第1電力信号PRiを生成するための制御信号LRiと第2電力信号PCjを生成するための制御信号LCjがスイッチング素子36a,36bに送られる。上記目標プラズマ生成頻度分布は、プラズマCVD装置を用いた成膜中基板上の膜質が均一になるように設定し、制御ユニット38内のメモリに制御信号LR1〜LRNと制御信号LC1〜LCNの時系列信号を記憶させておく。
(電力信号の生成方法)
図12は、第1電力信号PRiに用いられる基本信号φ(t)と、基本信号φ(t)の信号値を反転した反転信号ψ(t)の一例を示している。第1電力信号PRiは、基本信号φ(t)と反転信号ψ(t)とを、行の数分(N個)、時系列に並べて組み合わせて得られた信号である。勿論、第1電力信号PRiは、制御信号LRiによって生成された信号であるので、制御信号LRiは、第1電力信号PRiが基本信号φ(t)と反転信号ψ(t)とを時系列に並べた信号になるように、制御ユニット38で作成される。
図13(a)は、図11に示されるプラズマ生成プレート32においてN=4とした場合における第1電力信号PR1〜4を表形式で表している。図13(a)におけるkは、基本信号φ(t)及び反転信号ψ(t)を組み合わせて並べるときのサイクル数を示す。このサイクル数kは、上記Nの数と等しい。図13(a)に従ってk=1〜4の順番で、基本信号φ(t)及び反転信号ψ(t)が時系列に並べられる。図13(b)には、図13(a)に示される内容に従ってつくられる第1電力信号PR1〜4を記載している。第1電力信号PR1では、k=1〜4においてすべて基本信号φ(t)が用いられる。第1電力信号PR2では、k=1において基本信号φ(t)が用いられ、k=2において反転信号ψ(t)が用いられ、k=3において基本信号φ(t)が用いられ、k=4において反転信号ψ(t)が用いられる。図13(c)は、第1電力信号PR2の波形を示している。
このように、第1電力信号PR1〜4は、基本信号φ(t)及び反転信号ψ(t)が時系列に並べられて構成される。なお、第1電力信号PR1〜PR4において基本信号φ(t)及び反転信号ψ(t)が図13(a),(b)に示すように並べられるのは、後述するように、定められている第1電力信号PR1〜4に対して、第2電力信号PC1〜4を容易に定めることができるからである。この点については後述する。
図14(a),(b)は、2つの電力信号f1(t),f2(t)に対する演算「*」の定義を説明する図である。
すなわち、電力信号f1(t)と電力信号f2(t)が互いに反転信号の関係にあるとき反転信号の関係にある時間長さを、電力信号f1(t),f2(t)の全時間における占有比率として定める。この占有比率が、電極32b,32cに電力信号が与えられたときのプラズマ生成頻度データとなる。電力信号は、図14(a),(b)に示すように、正のパルス及び負のパルスが一定周期で繰り返される。したがって、電力信号f1(t),f2(t)が互いに反転信号の関係にある期間中プラズマが断続的に生成されプラズマ生成頻度が定まる。
図14(a)に示すように、電力信号f1(t),f2(t)の全時間の半分の範囲(図中の←→で示される範囲)において、電力信号f1(t)と電力信号f2(t)が互いに反転信号の関係(逆位相の関係)にあるとき、f1(t)*f2(t)=0.5となる。同様に、図14(b)に示すように、電力信号f1(t),f2(t)の全時間の範囲(図中の←→で示される範囲)において、電力信号f1(t)と電力信号f2(t)が互いに反転信号の関係(逆位相の関係)にあるとき、f1(t)*f2(t)=1.0となる。このように、「*」を定める。
以上のように、電極32bに印加する第1電力信号PRiを基本信号φ(t)及び反転信号ψ(t)を用いて生成したとき、制御目標のプラズマ生成頻度データになるように、電極32cに印加する第2電力信号PCjを生成する。このとき、第2電力信号PCjを生成するために、後述するように方程式を用いるが、方程式を解いて算出すべき第2電力信号PCjを第1電力信号PRiと同様にサイクル数k=1〜4に分けて図15に示すように表す。ここで、n1(j,t),n2(j,t),・・・,n4(j,t)(j=1〜Nの整数)が求めるべき信号になる。
ここで、制御目標のプラズマ生成頻度分布として定められるプラズマ生成頻度データをρ(i,j)としたとき、第1電力信号PRi,第2電力信号PCjに、上記「*」の演算を施したとき、j=1におけるプラズマ生成頻度データρ(1,1)〜ρ(4,1)は、図16(a)に示すように表される。一般的には、プラズマ生成頻度データρ(i,j)は、図16(b)に示すように表される。
ここで、任意のnk(j,t)に対して、図17に示す式のような関係式が成立するので、この関係式を用いて、図16(a)に示す式を変形して、図18(a)に示す式のように表される。図18(a)に示す式は、j=1における式であるが、j=2〜4においても同様に表すことができる。
図18(a)に示す式を整理することにより、図18(b)に示すように行列を用いて表すことができる。したがって、図18(b)に示す式の左辺の行列の逆行列を用いて、図18(c)に示すような式で表すことができる。ここで、図18(b)に示す行列は、アダマール行列であるので、逆行列を容易に求めることができ、図18(c)に示す式に容易に到達できる。図18(c)に示す式は、j=1の場合であるが、j=2〜4においても同様な式が成り立つ。図18(d)は、j=1〜4における一般的な式を示している。
こうして、図18(d)に示す左辺のベクトルの各要素の値が得られると、基本信号φ(t)は既知であるので、φ(t)*nk(j,t)(k=1〜4の整数)の値からnk(j,t)を算出することができる。
このように、本実施形態では、基本信号φ(t)の一方を1、反転信号ψ(t)を−1の符号とし、基本信号φ(t)及び反転信号ψ(t)の並びの順番に上記1、−1の符号を行列要素として順次定めて列方向に書き下し、かつ、複数の行のそれぞれの給電線(第1電力線路)32iに供給する第1電力信号PRiを、複数の行毎に行方向に書き下して行列で表したとき、この行列は、アダマール行列となる。
本実施形態では、N=2m(mは自然数)とし、第2電力信号PCjを算出する方程式において形成される行列(図18(b)の右辺の行列)がアダマール行列になるように、第1電力信号PRiの基本信号φ(t)と反転信号ψ(t)を並べたが、図18(b)に示す方程式において形成される行列はアダマール行列でなくてもよく、少なくとも行列の逆行列が得られるような行列であればよい。例えば、本実施形態では、基本信号φ(t)及び反転信号ψ(t)を用いて上記行列がアダマール行列となるようにして、得られる方程式が解かれるが、基本信号φ(t)及び反転信号ψ(t)を用いて、周知のPN符号により形成されるPN符号化信号を用い、サイクル数kが変わる毎にPN符号化信号を巡回的に1ビットずつずらした信号を用いることもできる。
制御ユニット38は、図18(d)に示す式を解き、nk(j,t)を算出することで、図15に示す式に従った第2電力信号PC1〜PC4を定め、この第2電力信号PC1〜PC4を生成するような制御信号LC1〜LC4を生成する。制御ユニット38は、この制御信号LC1〜LC4をスイッチ素子36bに送る。これにより、プラズマ生成ユニット18は、第2電力信号PC1〜PC4を電極32cに印加する。このとき、制御ユニット38は、同時に、図13(b)に示す第1電力信号PR1〜PR4を生成するように生成された制御信号LR1〜LR4をスイッチ素子36aに送る。これにより、プラズマ生成ユニット18は、第1電力信号PR1〜PR4を電極32cに印加する。
図19(a),(b)、図20(a),(b)、及び図21(a),(b)は、図2(a)に示すプラズマ生成プレート32において貫通孔32aが27個×27個設けられた場合の各X方向(図3参照)に沿った貫通孔32aのそれぞれに与える電力(中央で規格化)とそのとき成膜用基板24の上方におけるラジカル密度(シミュレーション計算)の分布を示す図である。ラジカル密度は、成膜用ガスとして、シランガスと水素ガスを用いた。図19(a),(b)及び図20(a),(b)に示す例は、すべての貫通孔32aにシランガスと水素ガスの混合ガスを供給してプラズマを作り、SiH3ラジカルとHラジカルを生成した例である。図21(a),(b)に示す例は、図1及び図2(a),(b)に示すように、貫通孔32aに供給するシランガス及び水素ガスを別々に分けて千鳥配列状にシランガスおよび水素ガスを供給した例である。貫通孔32aの番号14の位置が、プラズマ生成プレート32の中央部である。
図19(a)に示すように、貫通孔32aに均一な電力を与えた場合、SiH3ラジカルとHラジカルの密度分布は、凹状の分布を示し、しかも、中央部から外れた側部では、SiH3ラジカルの密度に対するHラジカルの密度の比が中央部に比べて低くなる場合がある。したがって、この場合、成膜用基板24の中央部に比べて側部における微結晶シリコンの結晶性は低下し、膜質が均一でなくなる。
このため、図20(a)に示すように、貫通孔32aの中央部が高くなるように貫通孔32aに与える電力の分布を凸状にする。しかし、この場合、SiH3ラジカルの密度分布は均一になるが、Hラジカルの密度分布は依然として凸形状である場合がある。したがって、この場合、成膜用基板24の中央部に比べて側部における微結晶シリコンの結晶性は低下し、膜質は依然として均一でない。
一方、図21(a),(b)に示す例では、貫通孔32aに供給する成膜用ガスを隣接する貫通孔32aとの間で分けて貫通孔32aに供給する。このため、図21(a)に示すように、電力の分布を隣り合う貫通孔間でジグザグに変動させることにより、図21(b)に示すように、SiH3ラジカルの密度分布とHラジカルの密度分布を均一にすることができる。したがって、貫通孔32aの位置に拠らず、SiH3ラジカルの密度に対するHラジカルの密度の比が常に一定になる。その結果、成膜される微結晶シリコンの結晶性は場所に拠らず一定になり、均一な膜質を有する微結晶シリコンを形成することができる。
以上のように、本実施形態では、成膜容器内に導入された少なくとも2種類の成膜用ガスを用いて成膜するとき、ガス供給機構44を用いて、貫通孔32aのそれぞれに、成膜用ガスのいずれか1種類のガスを供給することにより、それぞれの成膜用ガスを用いたプラズマを貫通孔の内部空間で生成して、ラジカルを生成することができるので、ラジカルの密度を個別に調整することができる。したがって、成膜用基板に形成される膜の膜質(例えば結晶性)を場所に拠らず一定にすることができる。勿論、貫通孔32aに供給する電力を調整して成膜空間におけるラジカルの密度を調整することができるので、成膜速度も場所に拠らず一定にすることができ、成膜用基板に形成される膜は均一な膜厚を有する。
また、本実施形態では、成膜用ガスは2種類であるとき、貫通孔32aは、プラズマ生成プレート32に2次元的に配列され、貫通孔32aに供給される成膜用ガスの種類は、隣接する貫通孔に供給される成膜用ガスの種類と異なるようにできるので、ラジカルの密度の比を場所に拠らず効率よく一定に維持することができる。この結果、成膜用基板に形成される膜の膜質(例えば結晶性)をより効率よく一定にすることができる。
ガス供給機構44は、プラズマ生成ユニットの上方に成膜用ガスそれぞれの第1ガス供給室40及び第2ガス供給室42が成膜用ガス毎に設けられ、第1ガス供給室40は、貫通孔32aとガス管44aを通して接続される。このため、2種類の成膜用ガスが混合されること無く、貫通孔32aに供給される。したがって、成膜用ガスから生成されるラジカルの密度の比を、場所に拠らず一定に維持することができ、成膜用基板に形成される膜の膜質(例えば結晶性)をより効率よく一定にすることができる。
(変形例1)
本実施形態では、第1電力信号PRi,PCjの波形を図22(a)に示すように、プラスの電圧とマイナスの電圧との間で電圧がシフトする際、急激に変化する波形を用いて説明したが、より詳細には、図22(b)に示すように、プラスの電圧とマイナスの電圧との間で電圧がシフトする際、一端電圧が0になった後、マイナスの電圧あるいはプラスの電圧にシフトすることが実用上好ましい。図22(b)に示すような波形を用いた場合、図6に示すMOSFETを用いたスイッチ素子では、上部電源34aと下部電源34bの電圧V及び電圧−Vの間に大電流が流れてスイッチ素子36a,36bを破損する可能性が少ない。
(変形例2)
本実施形態では、電極32b,32cは、プラズマ生成プレート32の両側の面に沿って配されたマイクロストリップ線路を通して、電源34と接続されている。さらに、プラズマ生成プレート32は、図4(a)に示すように、両側に設けられた誘電体プレート32e,32gと、誘電体プレート32e,32gが挟むように設けられた接地された導体層32fと、を有する形態である。しかし、図23に示すように、マイクロストリップ線路からなる給電線32i,32jに代えて、セミリジッド同軸ケーブルからなる給電線32i,32jを用いることもできる。例えば、貫通孔32aが設けられた2つの絶縁体基板の表面近傍に、表面に沿ってN本平行に給電線32i,32jをそれぞれ設け、この後、2つの絶縁体基板を、給電線32iと給電線32jの向きが互いに直交し、給電線32iと給電線32jの位置が外側を向くように、貼り付けることで、プラズマ生成プレート32を作製することができる。給電線32i,32jは、給電線32i,32jに合わせて形成された溝を有する誘電体板で表面が覆われることで、給電線32i,32jは、プラズマ生成プレート32内部に設けられる。
この場合、給電線32i,32jと電極32b,32cとの接続のために、セミリジッド同軸ケーブルの外部導体の一部を剥がして接続させる。また、外部導体は接地導体になるので、プラズマ生成プレート32に、図4(a)に示すような接地された導体層32fを設けなくてよい。このため、プラズマ生成プレート32の構造が簡素化される。
(変形例3)
図7に示すスイッチ素子36aの構成の他に、MOSFET36hのゲート端子とソース端子との間の電圧を0〜30Vで制御するように構成し、ソース端子にかかる電圧に上記0〜30Vの電圧を加算してゲート端子へ出力するブースト回路が用いられる。この場合、MOSFET36iのゲート端子の制御信号と、MOSFET36hのゲート端子の制御信号との間にブースト回路の処理遅延に起因して位相差が生じないように調整される。
以上、本発明の成膜装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態および変形例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
10 成膜装置
12 成膜本体部
14 第1ガス源
15 第2ガス源
16 排気ユニット
18 プラズマ生成ユニット
20 成膜容器
22 サセプタ
24 成膜用基板
26 載置面
28,29 供給口
30 排気口
32 プラズマ生成プレート
32a 貫通孔
32b,32c 電極
32d,32e,32g,32h 誘電体層
32f 導体層
32i.32j 給電線
32k,32l 抵抗体
32m 誘電体
34 電源
34a 上部電源
34b 下部電源
36,36a,36bスイッチ素子
36c ゲート駆動回路
36d,36e,36h,36i MOSFET
36f、36g 抵抗体
36j トランス
38 制御ユニット
40 第1ガス供給室
42 第2ガス供給室
44 ガス供給機構
44a ガス管

Claims (11)

  1. プラズマを用いた成膜装置であって、
    成膜用基板が配置される成膜空間を備える成膜容器と、
    プレートであって、前記プレートの厚さ方向に貫通する複数の貫通孔と、前記貫通孔それぞれの両側の開口に設けられた電極対と、を備えたプラズマ生成プレートを含み、前記成膜容器内に導入された少なくとも2種類の成膜用ガスを用いてプラズマを生成するプラズマ生成ユニットと、
    前記成膜容器内に設けられ、前記少なくとも2種類の成膜用ガスを前記プラズマ生成プレートに供給するガス供給機構と、を有し、
    前記プラズマ生成ユニットは、プラズマ生成プレートの他に、前記貫通孔それぞれの内部空間でプラズマを生成するために、前記電極対にプラズマ生成電圧を供給する電源と、前記プラズマ生成電圧の供給を前記電極対毎に制御する制御ユニットと、を有し、
    前記ガス供給機構は、前記貫通孔のそれぞれに、前記成膜用ガスのいずれか1種類のガスを供給する機構であり、
    前記電極対の2つの電極には、設定された周期の単位で正の電圧値と負の電圧値とが切り替わるパルス状の電圧が印加され、前記電極対に印加されるパルス状の電圧を、互いに逆位相にすることにより前記プラズマ生成電圧が供給され、互いに同位相にすることにより前記プラズマ生成電圧の供給を停止する、ことを特徴とする成膜装置。
  2. プラズマを用いた成膜装置であって、
    成膜用基板が配置される成膜空間を備える成膜容器と、
    プレートであって、前記プレートの厚さ方向に貫通する複数の貫通孔と、前記貫通孔それぞれの両側の開口に設けられた電極対と、を備えたプラズマ生成プレートを含み、前記成膜容器内に導入された少なくとも2種類の成膜用ガスを用いてプラズマを生成するプラズマ生成ユニットと、
    前記成膜容器内に設けられ、前記少なくとも2種類の成膜用ガスを前記プラズマ生成プレートに供給するガス供給機構と、を有し、
    前記プラズマ生成ユニットは、プラズマ生成プレートの他に、前記貫通孔それぞれの内部空間でプラズマを生成するために、前記電極対にプラズマ生成電圧を供給する電源と、前記プラズマ生成電圧の供給を前記電極対毎に制御する制御ユニットと、を有し、
    前記ガス供給機構は、前記貫通孔のそれぞれに、前記成膜用ガスのいずれか1種類のガスを供給する機構であり、
    前記貫通孔は、前記プラズマ生成プレートの面上の2方向に沿って複数の列及び行を成すように格子状に並べられ、
    前記電極対のうち前記プラズマ生成プレートの一方の面の側に設けられた第1電極のうち、共通する行それぞれに位置する電極は、前記行毎に、第1電力線路で互いに直列に繋がれて前記電源と接続され、
    前記電極対のうち前記プラズマ生成プレートの他方の面の側に設けられた第2電極のうち、共通する列それぞれに位置する電極は、前記列毎に、第2電力線路で互いに直列に繋がれて前記電源と接続されている、ことを特徴とする成膜装置。
  3. プラズマを用いた成膜装置であって、
    成膜用基板が配置される成膜空間を備える成膜容器と、
    プレートであって、前記プレートの厚さ方向に貫通する複数の貫通孔と、前記貫通孔それぞれの両側の開口に設けられた電極対と、を備えたプラズマ生成プレートを含み、前記成膜容器内に導入された少なくとも2種類の成膜用ガスを用いてプラズマを生成するプラズマ生成ユニットと、
    前記成膜容器内に設けられ、前記少なくとも2種類の成膜用ガスを前記プラズマ生成プレートに供給するガス供給機構と、を有し、
    前記プラズマ生成ユニットは、プラズマ生成プレートの他に、前記貫通孔それぞれの内部空間でプラズマを生成するために、前記電極対にプラズマ生成電圧を供給する電源と、前記プラズマ生成電圧の供給を前記電極対毎に制御する制御ユニットと、を有し、
    前記ガス供給機構は、前記貫通孔のそれぞれに、前記成膜用ガスのいずれか1種類のガスを供給する機構であり、
    前記電極対のうち前記成膜用基板が載せられる載置面に近い電極は、絶縁体で被覆されて前記プラズマ生成プレートの内部に設けられ、前記電極対のうち前記載置面から遠い電極は、前記プラズマ生成プレートの前記貫通孔の内表面に露出している、ことを特徴とする成膜装置。
  4. 前記成膜用ガスは2種類であり、
    前記貫通孔は、前記プレートに2次元的に配列され、前記貫通孔に供給される成膜用ガスの種類は、隣接する貫通孔に供給される成膜用ガスの種類と異なる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の成膜装置。
  5. 前記プラズマ生成ユニットの前記プラズマ生成プレートの上方に前記成膜用ガスそれぞれのガス供給室が前記成膜用ガス毎に設けられ、
    前記ガス供給機構は、前記ガス供給室の少なくとも1つと前記貫通孔とを結ぶガス管である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の成膜装置。
  6. 前記プラズマ生成ユニットは、前記電極対それぞれの電極それぞれに印加する電圧を、設定された周期の単位で切り替えることにより、電力信号を生成するスイッチ素子を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の成膜装置。
  7. 前記プラズマ生成ユニットは、前記電源の電圧を、既知の2値制御信号で切り替えることにより生成された第1電力信号を前記第1電力線路に供給し、前記電源の電圧を、前記第1電力信号に応じて定まる第2電力信号が生成されるように、2値制御信号で切り替える、請求項に記載の成膜装置。
  8. 前記第1電力信号は、基本信号と、前記基本信号の信号値を反転した反転信号とを、前記行の数分、時系列に並べて組み合わせた信号であり、
    前記プラズマ生成ユニットは、前記基本信号と前記反転信号の並びの組み合わせを変えた、前記行の数分の信号それぞれを前記第1電力信号として用いる、請求項7に記載の成膜装置。
  9. 前記第2電力信号は、前記基本信号及び前記反転信号の信号長さに対応した複数の対応信号を組み合わせた信号であり、
    前記プラズマ生成ユニットは、前記制御ユニットにおいて前記第1電力信号に応じて求めた前記対応信号を用いて、前記第2電力信号を生成する、請求項8に記載の成膜装置。
  10. 前記列の数と前記行の数は同じであり、
    前記第1電力信号を構成する前記基本信号及び前記反転信号の一方を1、他方を−1の符号とし、前記基本信号及び前記反転信号の並びの順番に前記符号を行列要素として順次定めて列方向に書き下し、かつ、前記複数の行のそれぞれの前記第1電力線路に供給する前記第1電力信号を、前記複数の行毎に行方向に前記符号を用いて書き下して行列で表したとき、前記行列は、アダマール行列である、請求項8または9に記載の成膜装置。
  11. 前記プラズマ生成プレートは、成膜用ガスが導入される前記成膜空間のガス供給口の位置と、前記成膜用基板が前記成膜空間内に載置されるサセプタの位置との間に、前記プラズマ生成プレートの一方の面が、前記サセプタの載置面に対して対向するように、前記成膜空間内に設けられている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の成膜装置。
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