JP5875045B2 - 超伝導単一光子検出システムおよび超伝導単一光子検出方法 - Google Patents

超伝導単一光子検出システムおよび超伝導単一光子検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、超伝導単一光子検出器を用いた超伝導単一光子検出システムおよび超伝導単一光子検出方法に関する。
超伝導単一光子検出器(Superconducting Single Photon Detector、以下SSPDと略する場合がある)は、高感度、低雑音かつ高速動作可能な単一光子検出器として量子情報通信、量子光学など様々な分野への利用が期待されている。特に、閉サイクルの冷凍機内にSSPDを実装した超伝導単一光子検出システムは、安定的に極低温(3K程度)を実現でき、しかも連続動作が可能となるため、実用上有効なシステムであることが確認されている(例えば非特許文献1,2参照)。SSPDにおいて単一光子を検出する検出素子としてはナノワイヤと呼ばれる検出素子が用いられる。ナノワイヤは例えば窒化ニオブ(NbN)からなる窒化ニオブ配線を超伝導状態で使用するものであり、受光部は、ナノワイヤが受光面にメアンダ状(蛇行形状)に形成されることにより構成されている。
このようなSSPDを用いた超伝導単一光子検出システムにおいては、1つの光入力に対し、1つの受光部を用いて1つの出力が得られる単ピクセル素子が一般的に用いられる。このような単ピクセル素子を用いた超伝導単一光子検出システムにおいては、システムによる光子検出効率が10〜20%程度、暗計数100Hz程度、応答速度50MHz程度、ジッタ100ps程度の性能が実現できている。
ここで、入射光子とSSPDの間で高い光結合効率を達成するためには、SSPDに入射する光のスポット直径(約9μm)に対して十分大きな受光面積を確保しなければならず、約15μm角程度の受光面積が要求される。一方で、1つのSSPDについて受光面積を大きくすると、ナノワイヤの長さが長くなるため、ナノワイヤ中の欠陥が多くなってしまい、素子性能が劣化してしまう。また、ナノワイヤの長さを長くすると、ナノワイヤのインダクタンスが増大する。したがって、ナノワイヤのインダクタンスに依存する時定数(インダクタンス/負荷インピーダンス(通常は50Ω))が増大するため、ナノワイヤを伝送する信号の速度が遅くなってしまう。この結果、応答速度が低下してしまう。
このような課題に対する解決策として、所定の受光面積を複数の受光部(複数のピクセル)に分割する構成が知られている(例えば非特許文献3参照)。高光結合効率を達成する為の受光面積を確保しつつ、受光面積を多分割することで1ピクセルあたりのナノワイヤ長を短くすることができる。すなわち、高い光結合効率を達成しつつ、素子性能劣化・応答速度低下を防止することができる。
前述したように、SSPDを超伝導で動作させるために、SSPDは冷凍機内に実装する必要がある。そして、冷凍機内の温度を極低温に維持するために、SSPDの信号読み出し回路として極低温環境で論理演算が可能な超伝導単一磁束量子回路(superconducting Single Flux Quantum circuit、以下、超伝導SFQ回路と略する場合がある)を用いて、システム系(すなわち、SSPD、同軸ケーブルおよび信号読み取り回路)をすべて冷凍機内に実装することが考えられる(例えば特許文献1参照)。
このようにSSPDと超伝導SFQ回路とを信号伝送経路を介して接続した超伝導単一光子検出システムの応用として、SSPDを複数並べてSSPDアレイを構成し、所定の超短パルス光を被測定物に照射して反射光をSSPDアレイで受けることにより、被測定物の距離や形状の特定を行うことが考えられる。例えば、特許文献1には、論理回路である超伝導SFQ回路を用いてSSPDアレイからの検出信号に基づいて当該検出信号が複数のSSPDのうちのいずれで検出されたものかを論理演算により求める構成が提案されている。
特開2009−232311号公報
G. Gol'tsman, O. Okunev, G. Chulkova, A. Lipatov, A. Semenov, K. Smirnov, B. Voronov, A. Dzardanov, C. Williams, and R. Sobolewski, " Picosecond superconducting single photon detector," Appl. Phys. Lett. 79, 705-707 (2001). S. Miki, T. Yamashita, M. Fujiwara, M. Sasaki, and Z. Wang, "Multichannel SNSPD system with high detection efficiency at telecommunication wavelength," Opt. Lett., Vol. 35, No. 13, 2133-2135, 2010 E.A.Dauler, A. J. Kerman, B. S. Robinson, J. K. W. Yang, B. Voronov, G. Gol'tsman, S. A. Hamilton, and K. K. Berggren,"Multi-element superconducting nanowire single photon detectors," IEEE Tran. Appl Super, 17, pp.279, 2007
しかしながら、上述したように、超伝導SFQ回路は、極低温下で作動させる必要があるため、冷凍機内に設置されるが、SSPDアレイを構成するSSPDの数が増大すると、それに伴って超伝導SFQ回路において検出信号が複数のSSPDのうちのいずれで検出されたものかを求めるための論理回路も複雑となり回路構成が大型化してしまう。超伝導SFQ回路の回路構成が大型化すると、素子作製が困難となり、また、消費電力も大きくなるため、小型で安価な冷凍機を使用することができなくなり、コストの上昇を招く。
本発明は、以上のような課題を解決すべくなされたものであり、SSPDアレイを構成するSSPDの数を増やしてもシステムの大型化を抑制しつつ、しかもいずれのSSPDからの検出信号であるかを容易かつ確実に判別することができる超伝導単一光子検出システムおよび超伝導単一光子検出方法を提供することを目的とする。
本発明のある形態に係る超伝導単一光子検出システムは、バイアス電流によって動作する複数の超伝導単一光子検出器で構成される超伝導単一光子検出器アレイと、前記複数の超伝導単一光子検出器からそれぞれ出力される検出信号を単一磁束量子信号に変換し、前記単一磁束量子信号を多重化し、出力信号として出力する超伝導単一磁束量子回路と、前記複数の超伝導単一光子検出器のそれぞれと前記超伝導単一磁束量子回路との間を接続する複数の信号伝送経路と、を備え、前記複数の信号伝送経路は、互いに異なる長さを有している。
上記構成によれば、超伝導単一光子検出器アレイを構成する複数の超伝導単一光子検出器のそれぞれが光子を検出すると、各超伝導単一光子検出器から対応する各信号伝送経路を介して超伝導単一磁束量子回路に検出信号が送られる。ここで、各信号伝送経路は、互いに異なる長さを有しているため、超伝導単一光子検出器アレイに照射された同じ光を検出した検出信号であっても各超伝導単一光子検出器から超伝導単一磁束量子回路に到達する時間がずれることになる。これにより、超伝導単一光子検出器アレイへの光照射時刻と超伝導単一磁束量子回路からの信号出力時刻との時間相関をとることにより、超伝導単一光子検出器ごとに出力信号を時間的に分解することができる。時間的に分解された出力信号の出力値から超伝導単一光子検出器を判定する構成は、極低温下におく必要がなくなるため、超伝導単一磁束量子回路の論理回路を複雑化する必要がない。したがって、超伝導単一光子検出器アレイを構成する超伝導単一光子検出器の数を増やしてもシステムの大型化を抑制しつつ、しかもいずれの超伝導単一光子検出器からの検出信号であるかを容易かつ確実に判別することができる。
前記超伝導単一光子検出システムは、前記超伝導単一光子検出器アレイに所定の光が照射された時刻に基づく基準時刻からの経過時間に応じて前記出力信号の出力値が前記複数の超伝導単一光子検出器のうちのいずれの超伝導単一光子検出器で検出されたかを判別する時間相関型の光子計数器を備えていてもよい。これにより、超伝導単一光子検出器アレイへの光照射時から検出信号が超伝導単一磁束量子回路に到達するまでの時間相関から容易に光子が入射された超伝導単一光子検出器を判別することができる。
前記複数の信号伝送経路の長さは、各超伝導単一光子検出器でそれぞれ検出された単一光子の検出数を示す出力波形が得られた時刻同士の間の時間間隔が、少なくとも各出力波形の半値幅よりも広い時間間隔となるように、設定されていてもよい。これにより、超伝導単一光子検出器ごとに出力信号の出力値を時間的に分解することを確実に行うことができる。
前記超伝導単一光子検出器、前記超伝導単一磁束量子回路、および前記信号伝送経路は、冷凍機内に実装されてもよい。これにより、熱侵入の要因となる室温から導入する信号伝送経路の本数を大幅に減らすことが可能となるため、超伝導単一光子検出器の数によらず安定した極低温を実現することができる。
前記超伝導単一磁束量子回路は、前記複数の超伝導単一光子検出器からそれぞれ出力される検出信号を単一磁束量子信号に変換するための負荷抵抗素子を有する変換器を備え、前記超伝導単一光子検出器に前記バイアス電流を供給するバイアス電流経路は、前記信号伝送経路に高インピーダンス素子を介して接続され、前記高インピーダンス素子は、高周波におけるインピーダンスが前記超伝導単一磁束量子回路の前記負荷抵抗素子のインピーダンスより高いように構成されてもよい。これによれば、超伝導単一光子検出器と超伝導単一磁束量子回路との接続間に高インピーダンス素子を介してバイアス電流経路が接続され、超伝導単一光子検出器を動作させるためのバイアス電流がバイアス電流経路、高インピーダンス素子、および信号伝送経路を介して超伝導単一光子検出器に供給される。ここで、超伝導単一光子検出器は、動作時において超伝導状態となるため、極低抵抗(約0Ω)となり、超伝導単一光子検出器と超伝導単一磁束量子回路との間にキャパシタを設けなくても、バイアス電流は、超伝導単一磁束量子回路の負荷抵抗素子より抵抗値の低い超伝導単一光子検出器側に流れる。また、高インピーダンス素子は、高周波におけるインピーダンスが超伝導単一磁束量子回路の負荷抵抗素子のインピーダンスより高いため、超伝導単一光子検出器からの検出信号がバイアス電流経路に進むのを防止することができる。このように、バイアス電流を供給するために従来用いられていたバイアスティを用いることなく、簡単な抵抗素子のみでバイアス電流経路を超伝導単一光子検出器に接続することができ、複数の超伝導単一光子検出器による多ピクセル化が図れる。したがって、極低温を安定に維持しつつシステムをより小型化し、高い性能(高検出効率および高速応答)を得ることができる。
また、本発明の他の形態に係る超伝導単一光子検出方法は、バイアス電流経路を通じて複数の超伝導単一光子検出器にバイアス電流を供給することにより、単一光子を検出する検出ステップと、検出された単一光子を前記超伝導単一光子検出器ごとに検出信号として出力するステップと、長さの異なる信号伝送経路を通じて各超伝導単一光子検出器からの検出信号を超伝導単一磁束量子回路に伝達し、前記超伝導単一光子検出器のそれぞれにおける光子の検出数に応じた出力値を示す出力信号を出力する処理を行う処理ステップと、を含んでいる。
上記方法によれば、超伝導単一光子検出器アレイを構成する複数の超伝導単一光子検出器のそれぞれが光子を検出すると、各超伝導単一光子検出器から対応する各信号伝送経路を介して超伝導単一磁束量子回路に検出信号を送る。ここで、各信号伝送経路は、互いに異なる長さを有しているため、超伝導単一光子検出器アレイに照射された同じ光を検出した検出信号であっても各超伝導単一光子検出器から超伝導単一磁束量子回路に到達する時間がずれることになる。このように、超伝導単一光子検出器アレイへの光照射時から検出信号が超伝導単一磁束量子回路に到達するまでの時間相関をとってやることにより、超伝導単一光子検出器ごとに出力信号の出力値を時間的に分解することができる。このため、超伝導単一磁束量子回路の論理回路を複雑化する必要がない。時間的に分解された出力信号の出力値から超伝導単一光子検出器を判定する構成は、極低温下におく必要がなくなるため、超伝導単一光子検出器アレイが冷凍機内に占める面積を増大させることができる。したがって、超伝導単一光子検出器アレイを構成する超伝導単一光子検出器の数を増やしてもシステムの大型化を抑制しつつ、しかもいずれの超伝導単一光子検出器からの検出信号であるかを容易かつ確実に判別することができる。
本発明は以上に説明したように構成され、超伝導単一光子検出器アレイを構成する超伝導単一光子検出器の数を増やしてもシステムの大型化を抑制しつつ、しかもいずれの超伝導単一光子検出器からの検出信号であるかを容易かつ確実に判別することができるという効果を奏する。
図1は本発明の第1実施形態に係る超伝導単一光子検出システムの概略構成例を示す模式図である。 図2は図1に示す超伝導単一光子検出システムにおける出力信号の想定波形図を示すグラフである。 図3は本発明の第2実施形態に係る超伝導単一光子検出システムの概略構成例を示す模式図である。 図4は本実施例における超伝導単一光子検出システムの概略構成例を示す模式図である。 図5は図4に示す超伝導単一光子検出システムにおける出力信号の波形図を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る超伝導単一光子検出システムについて説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る超伝導単一光子検出システムの概略構成例を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態の超伝導単一光子検出システム1は、バイアス電流によって動作する複数の超伝導単一光子検出器(以下、SSPD)21〜24で構成される超伝導単一光子検出器アレイ20と、超伝導単一光子検出器21〜24から出力される検出信号を変換器31〜34により単一磁束量子信号に変換し、当該単一磁束量子信号を多重化する信号多重化回路38によって信号処理を行う超伝導単一磁束量子回路(以下、超伝導SFQ回路)30とを備えている。
各SSPD21〜24と超伝導SFQ回路30の各変換器31〜34との間はSSPDに対応する数の信号伝送経路(交流の高周波信号伝送経路)によって接続されている。具体的には、各SSPD21〜24には、SSPDチップ2に設けられた同軸線路(SSPD同軸線路)241〜244が接続されている。また、超伝導SFQ回路30の各変換器31〜34には、SFQチップ3に設けられた同軸線路(SFQ同軸線路)341〜344が接続されている。同軸線路241〜244,341〜344は、各チップ2,3上に形成されたマイクロストリップラインである。そして、SSPD同軸線路241〜244とSFQ同軸線路341〜344との間には、同軸ケーブル41〜44が接続されている。すなわち、信号伝送経路は、チップ2,3に設けられた同軸線路241〜244,341〜344および同軸ケーブル41〜44を含む概念である。
なお、本実施形態においては、SSPDチップ2とSFQチップ3とを別のチップとし、両者を同軸ケーブル41〜44で繋ぐこととしているが、SSPDチップ2とSFQチップ3とを1つのチップとして構成し、SSPD21〜24と超伝導SFQ回路30の変換器31〜34との間を同軸線路のみで接続することとしてもよい。
各SSPD21〜24には、バイアス電流経路(直流経路)51〜54が接続されている。バイアス電流経路51〜54には、抵抗素子81〜84を介してバイアス電流源71〜74が接続されている。具体的には、バイアス電流源71〜74から抵抗素子81〜84に印加される電圧によって定められるバイアス電流が各SSPD21〜24に供給される。
SSPDチップ2およびSFQチップ3は、冷凍機5内に実装されている。すなわち、SSPDアレイ20、超伝導SFQ回路30、および、同軸ケーブル41〜44は、冷凍機5内に実装されている。冷凍機5は、例えば小型のGM(Gifford-McMahon)冷凍機などが好適に用いられる。
SSPD21〜24は、それぞれ、単一光子を検出する超伝導ナノワイヤ検出素子(図示せず)を備えている。超伝導ナノワイヤ検出素子は、酸化マグネシウム(MgO)基板の表面に窒化ニオブ(NbN)がメアンダ状(蛇行形状)に積層されて形成されている。例えば、数十〜数百ナノメートルの線幅で所定のピッチに形成され、冷凍機5を用いて冷却され、超伝導状態で使用される。超伝導ナノワイヤ検出素子を含む受光面の受光面積は、SSPD21〜24の使用目的やSSPDアレイ20を構成するSSPDの数によって適宜定められる。
本実施形態において、SSPDアレイ20は、SSPDチップ2上に、複数(4つ)のSSPD21〜24が設けられている。超伝導単一光子検出システム1は、SSPDアレイ20に向けて所定の光(フォトン)を射出する光照射器4を備えている。光照射器4は、例えば1ピコ秒未満のパルス幅を有するパルスレーザで構成される。光照射器4は、直接的または間接的(例えば光ファイバを通じて)にSSPDアレイ20に光(フォトン)を照射する。このように、1つのSSPDチップ2上に形成されたSSPDアレイ20に、光照射器4からのフォトンを受光させることができるため、1つのフォトン入力に対して、多ピクセルの受光素子を形成することができる。したがって、1ピクセルあたりの受光面積を縮小化することができ、検出効率や応答速度を高めることができる。また、多ピクセル配置とすることにより、空間分解能や光子数識別能力(フォトンの擬似的な入力数)を高めることができるため、量子光学実験や量子情報通信等への利用が期待できる。
超伝導SFQ回路30は、SFQチップ3上に設けられている。具体的には、超伝導SFQ回路30は、各SSPD21〜24に対応して設けられ、SSPD21〜24から出力される検出信号をSFQパルス信号(単一磁束量子信号)にそれぞれ変換する変換器(MC−DC/FSQコンバータ:Mutual Coupling-DC/FSQ Converter)31〜34と、変換器31〜34で変換されたSFQパルス信号を多重化する信号多重化回路38と、微弱なSFQパルス信号を観測可能なパルス信号に変換する出力変換回路35と、出力変換回路35から出力される電圧パルスのパルス幅を長くして出力信号を生成するSQUIDドライバ36とを備えている。各変換器31〜34、出力変換回路35およびSQUIDドライバ36には、個別の電流源6から電流が供給され、各回路はこれらの電流によって駆動する。なお、電流源6は共通の電流源を用いてもよい。
変換器31〜34は、SSPD21〜24から出力された検出信号を単一磁束量子に変換して出力するよう構成されている。具体的には、信号伝送経路および負荷抵抗素子(図示せず)に直列接続された一次コイルと、当該一次コイルと相互誘導可能に配置された二次コイルとを備えている(図示せず)。二次コイルには一対のジョセフソン接合が接続されており、一対のジョセフソン接合が超伝導量子干渉光子(SQUID:Superconducting Quantum Interference Device)を構成している。
SSPD21〜24から出力された検出信号は、一次コイルから二次コイルへと相互誘導し、磁束に変換される。SQUIDは、検出信号が伝達されることによりSQUIDに磁束が生じると、SFQが回路内を伝搬し、所定のパルス幅および電圧強度を有するSFQパルスS1〜S4を出力する。変換器31〜34から出力されたSFQパルスS1〜S4は、信号多重化回路38に入力される。
信号多重化回路38は、変換器31〜34の4出力から入力されたSFQパルス信号S1〜S4を多重化し、出力ポート(本実施形態においては1つの出力ポート)から多重化されたSFQパルスを出力する論理回路となっている。多重化回路38から出力されたSFQパルスは、非常に微弱である(短いパルス幅および小さい電圧レベルを有している)ため、後段の構成で利用可能な信号として出力するために、出力変換回路35およびSQUIDドライバ36により、整形(パルス幅および電圧レベルの増幅)される。例えばパルス幅4〜5psおよび電圧レベル0.4〜0.5mV程度(ピーク値)のSFQパルスS1〜S4を1ns程度のパルス幅および2mV程度の電圧レベル(ピーク値)に増幅する。SQUIDドライバ36から出力された出力信号は、同軸ケーブル37を介して冷凍機5外に出力される。
超伝導SFQ回路30は、同軸ケーブル37を介して光子計数器10に接続されており、出力信号を光子計数器10に入力する。光子計数器10は、SSPDアレイ20光照射器4から所定の光が照射された時刻に基づく基準時刻からの経過時間に応じて超伝導SFQ回路30の出力信号の出力値が複数のSSPD21〜24のうちのいずれのSSPDで検出されたかを判別するよう構成されている。光照射器4から光が照射された時刻を把握するために、光子計数器10は、光照射器4と接続されており、光照射器4からの光照射のタイミングに同期した同期信号が入力されるように構成されている。光子計数器10は、同期信号の同期パルスが入力された時刻を基準時刻として基準時刻からの経過時間を内部タイマなどを用いて計測する。なお、基準時刻は、光照射器4から光が照射された時刻に基づく限りどのように決めてもよく、例えば同期信号を用いる代わりに必ず光子が入射される位置に配置された基準の光子検出器からの検出信号が光子計数器10に到達した時刻を基準時刻としてもよい。
ここで、上記複数の信号伝送経路は、互いに異なる長さを有している。本実施形態においては同軸ケーブル41〜44が互いに異なる長さL1〜L4を有している。
上記構成によれば、光照射器4からの光照射に基づいてSSPDアレイ20を構成する複数のSSPD21〜24のそれぞれが光子を検出すると、各SSPD21〜24から対応する各信号伝送経路(同軸線路241〜244,341〜344および同軸ケーブル41〜44)を介して超伝導SFQ回路30に検出信号が送られる。ここで、各信号伝送経路は、同軸ケーブル41〜44により互いに異なる長さを有しているため、SSPDアレイ20に照射された同じ光を検出した検出信号であっても各SSPD21〜24から超伝導SFQ回路30に到達する時間がずれることになる。
基準時刻から超伝導SFQ回路30に到達する時間Tは、信号伝送経路の長さをL、光速をc、信号伝送経路の比誘電率をεとすると、T=ε1/2・L/cと表せる。したがって、SSPD21に対応する信号伝送経路の長さL1とSSPD22に対応する信号伝送経路の長さL2との差がΔLだけ異なる場合、基準時刻から超伝導SFQ回路30に到達する時間のずれΔTは、ΔT=ε1/2・ΔL/cとなる。
図2は図1に示す超伝導単一光子検出システムにおける出力信号の想定波形図を示すグラフである。横軸は時間であり基準時刻(光照射器同期信号)を0としている。縦軸は出力値(単一光子のカウント数)であり、対数表示により示される。出力波形C1〜C4は、SSPD21〜24のそれぞれで検出された単一光子の数がタイミングジッタにより時間的に広がっていることを示している。図2の例においては、検出された単一光子の数が多いものから順にSSPD22、SSPD23、SSPD21、SSPD24である場合が示されている。
このように、超伝導単一光子検出器アレイ20への光照射時から検出信号が超伝導単一磁束量子回路30に到達するまでの時間相関をとることにより、超伝導単一光子検出器21〜24ごとに出力信号の出力値を時間的に分解することができる。時間的に分解された出力信号の出力値からSSPD21〜24を判定する光子計数器10は、極低温下におく必要がなくなる(冷凍機4の外に設置できる)ため、超伝導SFQ回路30を構成する論理回路を複雑化する必要がない。したがって、SSPDアレイ20を構成するSSPDの数を増やしてもシステムの大型化を抑制しつつ、しかもいずれのSSPD21〜24からの検出信号であるかを容易かつ確実に判別することができる。
光子計数器10は、光子の数を時間相関単一光子計数法(TCSPC法)に基づいて計測するものであり公知のモジュールをそのまま適用可能である。これにより、超伝導単一光子検出器アレイへの光照射時から検出信号が超伝導単一磁束量子回路に到達するまでの時間相関から容易に光子が入射された超伝導単一光子検出器を判別することができる。
複数の信号伝送経路の長さL1〜L4は、各SSPD2i(本実施形態においてはi=1,2,3,4)でそれぞれ検出された単一光子の検出数を示す出力波形Ciが得られた時刻Aci(単一光子の検出数が最大値となる時刻であり、一般的に、出力波形Ciの中心となる時刻)同士の間の時間間隔Ai(上記時間のずれΔT)がそれぞれの出力(出力波形Ci)におけるタイミングジッタよりも十分に広くなる(出力波形Ciの裾の領域が互いに重ならない)ように、設定される。具体的には、複数の信号伝送経路の長さL1〜L4は、時間間隔Aiが、少なくとも各出力波形Ciの半値幅Diよりも広い時間間隔となるように、設定されている。なお、図2においては、時間間隔Aiは、各出力波形Ciの頂点(すなわち、時刻Aci)を中心とする時間幅として設定されているが、時間間隔Aiを一の出力波形Ciの頂点Aciと次の出力波形Ci+1の頂点Aci+1との間の時間間隔として設定してもよい。
時間間隔Aiは、予め複数のSSPD21〜24のうちのいずれか1つにおいて検出される単一光子が最大となったときの出力値の推定値に基づいて、その他すべてのSSPDについても同じように設定することとしてもよい(すべてのSSPD21〜24に設定される時間間隔A1〜A4はすべて同じ間隔として設定してもよい)。
このように、各SSPD21〜24の出力波形Ciの幅に基づいて時間間隔Aiを設定し、これに基づいて信号伝送経路の長さL1〜L4を決定することにより、SSPD21〜24ごとに出力信号の出力値を時間的に分解することを確実に行うことができる。
なお、時間間隔Aiを広くとった場合には、出力波形Ci自体の時間ずれ(時間間隔Ai内における出力波形Ciの時間ずれ)に基づいて光照射器4またはSSPDアレイ20から被測定物までの距離を判定することも可能である。例えば、SSPDアレイ20により光照射器4からの反射光を検出するシステムにおいて、被測定物とSSPD21との距離が既知の所定距離にあるときに時間間隔A1の中央位置(時間間隔A1の開始時刻からA1/2の時間経過後の時刻Ac1)に出力波形C1の頂点が位置する場合に、実際に出力信号として得られた出力波形C1’の頂点の位置が時間間隔A1の中央位置Ac1より時間的に遅い位置Ac1’に位置した(図2において破線で示す)場合、SSPD21と被測定物との距離は既知の所定距離より長い(両者は離れた位置にある)と判定することができる。さらに、既知の所定距離における中央位置Ac1と実際の距離における中央位置Ac1’との時間差の多寡に応じて実際の距離を演算することも可能となる。
このように、信号伝送路をSSPD2iごとに異なる長さLiとすることにより、SSPDアレイ20で検出された単一光子の数をSSPD2iごとに高精度に分解することができる。したがって、SSPD2iを大規模化することにより、生体医療を始めとする微弱光イメージング計測や、微細なサイズの物体を検出するためのライダ(LIDAR)への適用など、様々な分野への利用が考えられる。
なお、SSPDチップ2とSFQチップ3とを1つのチップとして構成し、SSPD21〜24と超伝導SFQ回路30の変換器31〜34との間を同軸線路のみで接続する場合には、当該同軸線路の長さをSSPD21〜24ごとに互いに異ならせるように形成すればよい。また、SSPDチップ2とSFQチップ3との間を同軸ケーブル41〜44で繋ぐ場合であっても、同軸ケーブル41〜44の長さを変えずに、SSPD同軸線路241〜244および/またはSFQ同軸線路341〜344の長さを互いに異ならせることとしてもよい。この場合には、さらに同軸ケーブル41〜44の長さを異ならせてもよい。要するに、信号伝送経路の長さがSSPD21〜24に応じて互いに異なるように構成する限り、長さを異ならせる箇所をいずれに設定してもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る超伝導単一光子検出システムについて説明する。図3は本発明の第2実施形態に係る超伝導単一光子検出システムの概略構成例を示す模式図である。本実施形態において第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し説明を省略する。本実施形態の超伝導単一光子検出システム1Bが第1実施形態の超伝導単一光子検出システム1と異なる点は、SSPD21〜24にバイアス電流を供給するバイアス電流経路51B〜54Bが、信号伝送経路に高インピーダンス素子61〜64を介して接続され、高インピーダンス素子61〜64の高周波におけるインピーダンスが超伝導SFQ回路30の各変換器31〜34に設けられている負荷抵抗素子(図示せず)のインピーダンスより高いことである。
高インピーダンス素子61〜64は、超伝導ナノワイヤ検出素子より線幅の細いナノワイヤで構成されていてもよい。例えば、高インピーダンス素子61〜64の線幅を、SSPD21〜24の超伝導ナノワイヤ検出素子の線幅より細くすることにより、当該高インピーダンス素子61〜64で用いられるナノワイヤの臨界電流値は当該高インピーダンス素子61〜64を介してSSPD21〜24の超伝導ナノワイヤ検出素子に流れるバイアス電流より小さくなる。すなわち、バイアス電流を流すことにより高インピーダンス素子61〜64におけるナノワイヤは常に臨界電流を超える電流が流れるため、極低温下にあっても常伝導状態となる。したがって、ナノワイヤを比較的高いシート抵抗を有する抵抗素子として利用することができる。例えば、SSPD21〜24の超伝導ナノワイヤ検出素子の線幅を100nmとした場合、高インピーダンス素子61〜64のナノワイヤの線幅は50nm程度とすればよい。このようなナノワイヤのシート抵抗が500Ω(例えば膜厚4mmのNbN薄膜)であるとき、長さ10μmのナノワイヤを形成することにより、100kΩの抵抗素子として利用することができる。ナノワイヤをメアンダ状に作製する場合、2μm×0.45μm(2μmの長さを5回折り返す)の面積内に、100kΩの高インピーダンス素子を実現できる。このように、非常に小さい面積で高い抵抗成分を有する高インピーダンス素子61〜64をSSPDチップ2B上に作製することが可能である。
本実施形態においては、SSPD同軸線路241〜244に、それぞれ、SSPD21〜24にバイアス電流を供給するバイアス電流経路(直流経路)51B〜54Bが高インピーダンス素子61〜64を介して接続されている。すなわち、高インピーダンス素子61〜64の一端がSSPD同軸線路241〜244に接続され、高インピーダンス素子61〜64の他端がバイアス経路51B〜54Bに接続されている。高インピーダンス素子61〜64は、それぞれ、高周波におけるインピーダンスが超伝導SFQ回路30の各変換器31〜34に設けられている負荷抵抗素子のインピーダンスより高いよう構成されている。なお、高周波におけるインピーダンスとは具体的には抵抗素子における抵抗値またはインダクタにおけるインダクタンスを意味する。高インピーダンス素子61〜64は、SSPDチップ2上に設けられている。バイアス電流経路51B〜54Bには、抵抗素子81〜84を介してバイアス電流源71〜74が接続されている。具体的には、バイアス電流源71〜74から抵抗素子81〜84に印加される電圧によって定められるバイアス電流が各SSPD21〜24に供給される。
上記構成によれば、SSPD21〜24と超伝導SFQ回路30との間の信号伝送経路のそれぞれに高インピーダンス素子61〜64を介してバイアス電流経路51B〜54Bが接続され、各SSPD21〜24を動作させるためのバイアス電流がバイアス電流経路51B〜54B、高インピーダンス素子61〜64およびSSPD同軸線路241〜244を介してSSPD21〜24に供給される。ここで、SSPD21〜24は、動作時において超伝導状態となるため、極低抵抗(約0Ω)となる。このため、SSPD21〜24と超伝導SFQ回路30との間にキャパシタを設けなくても、バイアス電流は、超伝導SFQ回路30の負荷抵抗素子より抵抗値の低いSSPD21〜24側に流れる。また、高インピーダンス素子61〜64は、高周波におけるインピーダンスが超伝導SFQ回路30の負荷抵抗素子のインピーダンスより高いため、SSPD21〜24からの検出信号がバイアス電流経路51B〜54Bに進むのを防止し、超伝導SFQ回路30に効率よく検出信号を伝達することができる。このように、従来構成のようにバイアスティを用いることなく、簡単な抵抗素子61〜64をSSPDチップ2B内に作製することでバイアス電流をSSPD21〜24に流すことができ、複数のSSPD21〜24による多ピクセル化が図れる。
さらに、前述したとおり、SSPD21〜24と超伝導SFQ回路30との接続を信号伝送経路により冷凍機5内で行うことができる。これにより、室温から導入する同軸ケーブルの本数を減らすことが可能となり、室温側からの熱流入を劇的に減らすことができる。なお、バイアス電流経路51B〜54Bは冷凍機5外に延出されているが、同軸ケーブル41〜44に比較すれば、直流経路であるバイアス電流経路51B〜54Bにおけるリード線を介しての冷凍機5内への熱の侵入は十分小さい。
すなわち、室温側からの熱流入源となる同軸ケーブルは、SQUIDドライバ36の出力信号を伝送する同軸ケーブル37のみとなる。同軸ケーブル37の数(1本)は、SSPD21〜24の数(ピクセル数)に関係しない。例えば、従来の構成において1万ピクセルのSSPDアレイを実現しようとすると、1万本の同軸ケーブルが冷凍機外へ延びることとなるが、本実施形態によれば1本の同軸ケーブル37のみが冷凍機5外へ延びることとなる。したがって、多ピクセル化を行っても、冷凍機5内への熱の侵入量が増大するのを有効に防止することができる。したがって、SSPD21〜24の数によらず安定した極低温を実現することができる。以上より、極低温を安定に維持しつつシステムを小型化し、しかも高い光子検出精度を得ることができる。
なお、本実施形態における高インピーダンス素子61〜64は、従来のプロセスで作製可能な金属薄膜による抵抗素子で形成されている。しかし、本発明は負荷抵抗素子よりSSPD21〜24から出力される検出信号に対するインピーダンスが高い素子であればこれに限られず、例えばインダクタで構成してもよい。
超伝導SFQ回路30の負荷抵抗素子のインピーダンスを50Ωした場合、高インピーダンス素子61〜64のインピーダンスは、例えば、5kΩ程度あればよい。抵抗素子81〜84のインピーダンスは、例えば100kΩ程度である。
なお、本実施形態においては、バイアス電流経路51B〜54BをSSPD同軸線路241〜244に接続することとしているが、本発明はこれに限られず、例えばSFQ同軸線路341〜344に接続してもよい。また、SSPDチップ2とSFQチップ3とを1つのチップとして構成する場合には、SSPD21〜24と超伝導SFQ回路30の各変換器31〜34とを繋ぐ同軸線路にバイアス電流経路51B〜54Bを接続することとしてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。例えば、上記実施形態においては、4つのSSPD21〜24が1つのチップに形成されたSSPDアレイ20に基づいて説明したが、SSPDが2つ以上設けられる構成である限り、本発明はこれに限られない。また、SSPDアレイ20を構成する複数のSSPDは、1つの受光面をどのように区画したものであってもよい。例えば、上記実施形態のように、正方形状のSSPDを縦および横に(マトリクス状に)配置してもよいし、長方形状のSSPDを縦または横方向にのみ配置してもよいし、その他の形状(三角形など)を有するSSPDを幾何学的に配置することとしてもよい。また、SSPDアレイ20を構成する複数のSSPDは、複数のチップ上に形成されてもよい。超伝導SFQ回路30の構成は、上記実施形態において説明した構成に限定されず、本発明の超伝導単一光子検出システムが適用される装置またはシステム等に応じて種々の改良、変更、修正が行われた構成が適用可能である。
本発明に係る超伝導単一光子検出システムを作製し、このシステムにおいて出力される出力信号の波形を調べた。図4は本実施例における超伝導単一光子検出システムの概略構成例を示す模式図である。図4に示すように、本実施例では基本的に図1に示す超伝導単一光子検出システム1と同様の構成を有しているが、本実施例の超伝導単一光子検出システム1Cは、SSPD21C〜24Cが縦に並んだSSPDアレイ20Cを有している。
本実施例における信号伝送経路は、各チップ2C,3における同軸線路241〜244,341〜344は同じ長さとし、同軸ケーブル41〜44の長さを異ならせた。想定されるSSPD21C〜24Cの1つあたりの出力信号の半値幅が40〜50psであることから、各SSPD21C〜24Cからの出力信号の到達時間のずれΔTが当該半値幅より十分に大きい約300psとなるように、SSPD21Cに対応する同軸ケーブル41を10cm、SSPD22Cに対応する同軸ケーブル42を15cm、SSPD23Cに対応する同軸ケーブル43を20cm、SSPD24Cに対応する同軸ケーブル44を25cmとした。
図5は図4に示す超伝導単一光子検出システムにおける出力信号の波形図を示すグラフである。図5は図2と同様に、横軸は時間であり基準時刻(光照射器同期信号)を0としている。縦軸は出力値(単一光子のカウント数)であり、対数表示により示される。図5に示すように、本実施例においても、図2に示す想定波形C1〜C4と同様に、出力波形E1〜E4が波形の裾部分まではっきり区別できるようなグラフが得られた。これにより各出力波形E1〜E4からSSPD21C〜24Cごとに検出された単一光子の数を計数することができる。図5の例においては、各出力値の波形E1〜E4から検出された単一光子の数が多いものから順にSSPD23C、SSPD22C、SSPD21C、SSPD24Cということが分かる。このように、信号伝送経路の長さを調整して各SSPD21C〜24Cからの出力信号の到達時間のずれΔTを各SSPD21C〜24Cからの出力信号の波形E1〜E4のタイミングジッタ(波形幅)よりも十分広くとった上で、単一光子のSSPD21C〜24Cへの入射時に基づいた時間相関をとることにより、SSPDアレイ20に照射された単一光子の数(出力信号の出力値)をSSPD21C〜24Cの領域(ピクセル)ごとに読み出すことができることが示された。
本発明の超伝導単一光子検出システムおよび超伝導単一光子検出方法は、SSPDアレイを構成するSSPDの数を増やしてもシステムの大型化を抑制しつつ、しかもいずれのSSPDからの検出信号であるかを容易かつ確実に判別するために有用である。特に、SSPDを大規模化することにより、生体医療を始めとする微弱光イメージング計測や、微細なサイズの物体を検出するためのライダ(LIDAR)への適用など、様々な分野への利用のために有用である。
1,1B,1C 超伝導単一光子検出システム
2,2B SSPDチップ
3 SFQチップ
4 光照射器
5 冷凍機
6,70〜74 電流源
10 光子計数器
20,20C SSPDアレイ
21〜24,21C〜24C SSPD(超伝導単一光子検出器)
30 超伝導SFQ回路(超伝導単一磁束量子回路)
31〜34 変換器
35 出力変換回路
36 SQUIDドライバ
37,41〜44 同軸ケーブル(信号伝送経路)
38 信号多重化回路
50〜54 バイアス電流経路
61〜64 高インピーダンス素子
81〜84 抵抗素子
241〜244 SSPD同軸線路(信号伝送経路)
341〜344 SFQ同軸線路(信号伝送経路)

Claims (5)

  1. バイアス電流によって動作する複数の超伝導単一光子検出器と、
    前記複数の超伝導単一光子検出器からそれぞれ出力される検出信号を単一磁束量子信号に変換し、前記単一磁束量子信号を多重化し、出力信号として出力する超伝導単一磁束量子回路と、
    前記複数の超伝導単一光子検出器のそれぞれと前記超伝導単一磁束量子回路との間を接続する複数の信号伝送経路と、
    前記複数の超伝導単一光子検出器で構成される超伝導単一光子検出器アレイに所定の光が照射された時刻に基づく基準時刻からの経過時間に応じて前記出力信号の出力値が前記複数の超伝導単一光子検出器のうちのいずれの超伝導単一光子検出器で検出されたかを判別する時間相関型の光子計数器と、を備え、
    前記複数の信号伝送経路は、前記超伝導単一光子検出器アレイに照射された同じ光を検出した検出信号であっても前記複数の超伝導単一光子検出器のそれぞれから前記超伝導単一磁束量子回路に到達する時間が異なるように、互いに異なる長さを有し
    前記光子計数器は、前記超伝導単一光子検出器アレイへの光照射時刻と前記超伝導単一磁束量子回路からの信号出力時刻との時間相関をとることにより、前記超伝導単一光子検出器ごとに前記出力信号を時間的に分解するように構成された、超伝導単一光子検出システム。
  2. 前記複数の信号伝送経路の長さは、各超伝導単一光子検出器でそれぞれ検出された単一光子の検出数を示す出力波形が得られた時刻同士の間の時間間隔が、少なくとも各出力波形の半値幅よりも広い時間間隔となるように、設定されている、請求項1に記載の超伝導単一光子検出システム。
  3. 前記超伝導単一光子検出器、前記超伝導単一磁束量子回路、および前記信号伝送経路は、冷凍機内に実装される、請求項1に記載の超伝導単一光子検出システム。
  4. 前記超伝導単一磁束量子回路は、前記複数の超伝導単一光子検出器からそれぞれ出力される検出信号を単一磁束量子信号に変換するための負荷抵抗素子を有する変換器を備え、
    前記超伝導単一光子検出器に前記バイアス電流を供給するバイアス電流経路は、前記信号伝送経路に高インピーダンス素子を介して接続され、
    前記高インピーダンス素子は、高周波におけるインピーダンスが前記超伝導単一磁束量子回路の前記負荷抵抗素子のインピーダンスより高い、請求項1に記載の超伝導単一光子検出システム。
  5. バイアス電流経路を通じて複数の超伝導単一光子検出器にバイアス電流を供給することにより、単一光子を検出する検出ステップと、
    検出された単一光子を前記超伝導単一光子検出器ごとに検出信号として出力するステップと、
    前記複数の超伝導単一光子検出器で構成される超伝導単一光子検出器アレイに照射された同じ光を検出した検出信号であっても前記複数の超伝導単一光子検出器のそれぞれから前記超伝導単一磁束量子回路に到達する時間が異なるように、互いに長さの異なる信号伝送経路を通じて各超伝導単一光子検出器からの検出信号を超伝導単一磁束量子回路に伝達し、前記検出信号を単一磁束量子信号に変換し、前記単一磁束量子信号を多重化し、出力信号として出力する処理を行う処理ステップと、
    前記超伝導単一光子検出器アレイへの光照射時刻と前記超伝導単一磁束量子回路からの信号出力時刻との時間相関をとることにより、前記超伝導単一光子検出器ごとに前記出力信号を時間的に分解し、前記超伝導単一光子検出器アレイに所定の光が照射された時刻に基づく基準時刻からの経過時間に応じて前記出力信号の出力値が前記複数の超伝導単一光子検出器のうちのいずれの超伝導単一光子検出器で検出されたかを判別する判別ステップと、を含む、超伝導単一光子検出方法。
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