JP5874405B2 - 紫外線硬化型インクジェット用組成物 - Google Patents

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本発明は、紫外線硬化型インクジェット用組成物に関するものである。
従来から、光沢感のある外観を呈する装飾品の製造方法として、金属めっきや、金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写等が用いられてきた。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。
他方、顔料または染料を含む組成物による記録媒体への記録方法として、インクジェット法による記録方法が用いられている。インクジェット法では、微細なパターンの形成や、曲面部への記録にも好適に適用できるという点で優れている。また、近年、インクジェット法において、耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を特に優れたものとするため等に、紫外線を照射すると硬化する組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、紫外線硬化型インクジェット用組成物では、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用しようとした場合、以下のような問題点があった。すなわち、金属粉末を適用しようとする場合、金属材料が本来有している光沢感・高級感を表現するためには、金属粉末の粒径を比較的大きいものとすること、十分な反射率で光を反射するために反射率の大きい材料を用いること、金属粉末の厚みを比較的厚いものとすること、金属粉末を印刷部の表面付近に配置させること等が必要であるが、このような構成にすると、紫外線硬化型インクジェット用組成物を構成する重合性化合物に十分な強度の紫外線が到達せず、十分に硬化しないという問題があった。また、顔料または染料を含む紫外線硬化型インクジェット用組成物においては、重合反応を促進するために、ベンゾイン、ベンジルケタール、α-ヒドロキシアセトフェノン、チタノセン、トリクロロメチルトリアジン、ビスイミダゾール、アルキルアミン等の重合開始剤が用いられることがあるが、金属粉末を含む紫外線硬化型インクジェット用組成物にこのような重合開始剤を用いても上記のような問題を解消することは困難である。また、上記重合開始剤の含有率を極端に多くすることにより硬化性を向上させることも考えられるが、このような場合には、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成される印刷部が黄色に変色する等の問題が発生してしまい、金属材料が本来有している光沢感・高級感を表現することが困難になってしまう。
特開2009−57548号公報
本発明の目的は、硬化性に優れ、光沢感、高級感に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット用組成物を提供すること、また、当該紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成された光沢感、高級感に優れたパターンを有する記録物を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット用組成物であって、
少なくとも表面付近が金属材料で構成された金属粉末と、紫外線の照射により重合する重合性化合物と、下記式(1)で表される化合物Aとを含み、
前記重合性化合物の含有率をX[質量%]、前記化合物Aの含有率をX[質量%]としたとき、0.001≦X/X≦0.060の関係を満足することを特徴とする。
Figure 0005874405
これにより、硬化性に優れ、光沢感、高級感に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット用組成物を提供することができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記金属粉末は、鱗片状をなすものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記金属粉末は、少なくとも表面付近がAlで構成されたものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記金属粉末は、強磁性を有する材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、容易かつ確実に金属粉末を印刷部の外表面付近に配置させることができ、重合性化合物の硬化物等により、印刷部の色調に悪影響が及ぶことをより効果的に防止することができ、印刷部の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記金属粉末の平均粒径が500nm以上2.0μm以下であることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、液滴の吐出安定性を十分に優れたものとしつつ、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレートを含むものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、液滴の吐出安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット用組成物の反応性(硬化性)を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。また、金属粉末を、印刷物の外表面側に好適に配置させることができ、記録物の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記重合性化合物として、前記フェノキシエチルアクリレートに加え、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、および、4−ヒドロキシブチルアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、液滴の吐出安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット用組成物の反応性をさらに優れたものとし、記録物の生産性をさらに優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。また、金属粉末を、印刷物の外表面側に好適に配置させることができ、記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記重合性化合物として、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートおよび/またはアミノアクリレートを含むものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、液滴の吐出安定性をより優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。また、金属粉末を、印刷物の外表面側に好適に配置させることができ、記録物の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。
本発明の記録物は、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたことを特徴とする。
これにより、光沢感、高級感に優れたパターン(印刷部)を有する記録物を提供することができる。
記録物の製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《紫外線硬化型インクジェット用組成物》
まず、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物について説明する。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、インクジェット方式により吐出されるものであり、金属粉末と、重合性化合物とを含むものである。
ところで、従来から、光沢感のある外観を呈する装飾品の製造方法として、金属めっきや、金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写等が用いられてきた。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。また、箔押し印刷では、グラデーションのある金属調の印刷ができないという問題があった。
他方、顔料または染料を含む組成物による記録媒体への記録方法として、インクジェット法による記録方法が用いられている。インクジェット法では、微細なパターンの形成や、曲面部への記録にも好適に適用できるという点で優れている。また、近年、インクジェット法において、耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を特に優れたものとするため等に、紫外線を照射すると硬化する組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)が用いられている。
しかしながら、紫外線硬化型インクジェット用組成物では、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用しようとした場合、以下のような問題点があった。すなわち、金属粉末を適用しようとする場合、金属材料が本来有している光沢感・高級感を表現するためには、金属粉末の粒径を比較的大きいものとすること、十分な反射率で光を反射するために反射率の大きい材料を用いること、金属粉末の厚みを比較的厚いものとすること、金属粉末を印刷部の表面付近に配置させること等が必要であるが、このような構成にすると、紫外線硬化型インクジェット用組成物を構成する重合性化合物に十分な強度の紫外線が到達せず、十分に硬化しないという問題があった。また、顔料または染料を含む紫外線硬化型インクジェット用組成物においては、重合反応を促進するために、ベンゾイン、ベンジルケタール、α-ヒドロキシアセトフェノン、チタノセン、トリクロロメチルトリアジン、ビスイミダゾール、アルキルアミン等の重合開始剤が用いられることがあるが、金属粉末を含む紫外線硬化型インクジェット用組成物にこのような重合開始剤を用いても上記のような問題を解消することは困難である。また、上記重合開始剤の含有率を極端に多くすることにより硬化性を向上させることも考えられるが、このような場合には、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成される印刷部が黄色に変色する等の問題が発生してしまい、金属材料が本来有している光沢感・高級感を表現することが困難になってしまう。
そこで、発明者は、上記のような問題を解決する目的で鋭意研究を行った結果、本発明に至った。すなわち、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、金属粉末および重合性化合物とともに、下記式(1)で表される化合物Aを所定量含むものである。
Figure 0005874405
このように、金属粉末および重合性化合物とともに、所定量の化合物Aを含むことにより、金属粉末を構成する金属材料が本来有している光沢感・高級感を効果的に発揮させつつ、記録媒体に付与された紫外線硬化型インクジェット用組成物を構成する重合性化合物の硬化性を優れたものとすることができる。
<金属粉末>
上述したように、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、少なくとも表面付近が金属材料で構成された金属粉末を含むものである。
本発明では、このような金属粉末を含むことにより、金属材料に特有の光沢感、高級感を呈する印刷部を形成することができる。
金属粉末は、少なくとも表面付近が金属材料で構成されたものであればよく、例えば、全体が金属材料で構成されたものであってもよいし、非金属材料で構成された基部の表面を金属材料で構成された層が被覆してなる構成のものであってもよい。
金属粉末は、球状、紡錘形状、針状等、いかなる形状のものであってもよいが、鱗片形状をなすものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物が付与される記録媒体上で、当該金属粉末の主面が記録媒体の表面形状に沿うように、金属粉末を配置することができ、金属粉末を構成する金属材料が本来有している光沢感等を、得られる記録物においてもより効果的に発揮させることができ、形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。また、後に詳述する化合物Aを含まない構成においては、金属粉末が鱗片状をなすものであると、重合性化合物の硬化が不十分になるという傾向が特に顕著になっていたが、本発明では、金属粉末が鱗片状をなすものであっても、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、金属粉末の形状が鱗片状である場合に、本発明の効果はより顕著に発揮される。
本発明において、鱗片状とは、平板状、湾曲板状等のように、所定の角度から観察した際(平面視した際)の面積が、当該観察方向と直交する角度から観察した際の面積よりも大きい形状のことをいい、特に、投影面積が最大となる方向から観察した際(平面視した際)の面積S[μm]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S[μm]に対する比率(S/S)が、好ましくは2以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは8以上である。この値としては、例えば、任意の10個の粒子について観察を行い、これらの粒子についての算出される値の平均値を採用することができる。
金属粉末を構成する金属材料としては、単体としての金属や各種合金等を用いることができるが、金属粉末は、少なくとも表面付近がAlで構成されたものであるのが好ましい。Alは、各種金属材料の中でも特に優れた光沢感、高級感を呈するものであるため、このような金属粉末を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。
また、金属粉末は、強磁性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、後に詳述するような方法により、容易かつ確実に、金属粉末を印刷部の外表面付近に配置させることができ、重合性化合物の硬化物等により、印刷部の色調に悪影響が及ぶことをより効果的に防止することができ、印刷部の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。特に、後に詳述する化合物Aを含まない紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いた場合、金属粉末を印刷部の表面付近に配置させようとした場合、重合性化合物の重合・硬化が十分に進行しないという問題があったが、本発明では、金属粉末を印刷部の表面付近に配置させた場合(偏在させた場合)であっても、重合性化合物の重合・硬化を十分に進行させることができる。すなわち、このような構成とすることにより、本発明の効果をより顕著に発揮させることができる。
上記のような条件を満足する金属粉末としては、強磁性材料で構成された基部を、Alで構成された被膜が被覆するような構成を有するものが挙げられる。
金属粉末の平均粒径は、500nm以上2.0μm以下であるのが好ましく、800nm以上1.8μm以下であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、液滴の吐出安定性を十分に優れたものとしつつ、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。なお、本発明において、平均粒径とは、個数基準の平均粒径のことを指し、投影面積が最大となる方向から観察した際の面積Sと同一の面積を有する真円の直径の平均値のことを指す。
<重合性化合物>
重合性化合物は、紫外線の照射により重合し、硬化する成分である。このような成分を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。
重合性化合物は、液状をなすものであり、紫外線硬化型インクジェット用組成物において、金属粉末を分散する分散媒として機能するものであるのが好ましい。これにより、別途、記録物の製造過程において除去される(蒸発する)分散媒を用いる必要がなく、記録物の製造においても、分散媒を除去する工程を設ける必要がないため、記録物の生産性を特に優れたものとすることができる。また、分散媒として一般に有機溶媒として用いられているものを使用する必要がないため、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を防止することができる。また、重合性化合物を含むことにより、様々な記録媒体(基材)に対する、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成される印刷部の密着性を優れたものとすることができる。すなわち、重合性化合物を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、メディア対応性に優れたものとなる。
重合性化合物としては、紫外線の照射により重合する成分であればよく、例えば、各種モノマー、各種オリゴマー(ダイマー、トリマー等を含む)等を用いることができるが、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物として、少なくともモノマー成分を含むものであるのが好ましい。モノマーは、オリゴマー成分等に比べて、一般に、低粘度の成分であるため、紫外線硬化型インクジェット用組成物の吐出安定性を特に優れたものとする上で有利である。
重合性化合物としてのモノマーとしては、例えば、イソボニルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、PO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性2エチルヘキシルアクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、EO変性クレゾールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1.9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、ポリエチレングリコール300ジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピパレートジアクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、ポリエチレングリコール600ジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1.9−ノナンジオールジアクリレート、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、PO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル等が挙げられる。中でも、4−ヒドロキシブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルが好ましい。
特に、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレートを含むものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、液滴の吐出安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット用組成物の反応性(硬化性)を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。また、金属粉末を、印刷物の外表面側に好適に配置させることができ、記録物の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。
また、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレートに加え、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、および、4−ヒドロキシブチルアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、液滴の吐出安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット用組成物の反応性をさらに優れたものとし、記録物の生産性をさらに優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。また、金属粉末を、印刷物の外表面側に好適に配置させることができ、記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。
また、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物として、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートおよび/またはアミノアクリレートを含むのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、液滴の吐出安定性をより優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。また、金属粉末を、印刷物の外表面側に好適に配置させることができ、記録物の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。
また、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物として、モノマー以外に、オリゴマーを含むものとしてもよい。特に多官能のオリゴマーを含むものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性を優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。なお、本発明では、重合性化合物の中でも、分子の骨格中に繰り返し構造を有し、分子量が600以上のものをオリゴマーと呼ぶ。オリゴマーとしては、繰り返し構造がウレタンであるウレタンオリゴマー、繰り返し構造がエポキシであるエポキシオリゴマー等が好ましく用いられる。
<化合物A>
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、上述したような金属粉末、重合性化合物に加え、上記式(1)で示される化合物Aを所定量だけ含むものである。
このような化合物Aを所定量含むことにより、金属粉末を構成する金属材料が本来有している光沢感・高級感を十分に発揮させつつ、金属粉末の存在により重合性化合物に照射される紫外線量が比較的少なくなった場合であっても、重合性化合物の重合反応を十分に進行させることができ、紫外線硬化型インクジェット用組成物全体としての硬化性(反応性)を十分に優れたものとすることができる。
本発明に係る紫外線硬化型インクジェット用組成物は、当該紫外線硬化型インクジェット用組成物中における重合性化合物の含有率をX[質量%]、化合物Aの含有率をX[質量%]としたとき、0.001≦X/X≦0.060の関係を満足するものである。このような含有率で、化合物Aを含むことにより、上述したような効果が確実に発揮される。これに対して、X/Xの値が前記下限値未満であると、化合物Aを含むことによる効果が十分に発揮されない。また、X/Xの値が前記上限値を超えると、インクジェット方式による紫外線硬化型インクジェット用組成物の吐出安定性が著しく低下する。
上記のように、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、0.001≦X/X≦0.060の関係を満足するものであるが、特に、0.005≦X/X≦0.040の関係を満足するものであるのが好ましく、0.006≦X/X≦0.030の関係を満足するものであるのがより好ましい。これにより、上述したような本発明の効果がより顕著に発揮される。
式(1)中のR、Rは、それぞれ、独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜6の炭化水素基であればよいが、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数2〜3の炭化水素基であるのが好ましい。これにより、上述したような本発明の効果がより顕著に発揮される。
紫外線硬化型インクジェット用組成物中における化合物Aの含有率は、0.1質量%以上5.0質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%以上3.0質量%以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような本発明の効果がより顕著に発揮される。
<その他の成分>
本実施の形態に係る紫外線硬化型インクジェット用組成物は、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、光重合開始剤、スリップ剤(レベリング剤)、分散剤、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、着色剤、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
紫外線硬化型インクジェット用組成物がスリップ剤を含むものであると、レベリング作用により記録物の表面が平滑になり、耐擦性が向上する。
スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤を用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
紫外線硬化型インクジェット用組成物が分散剤を含むものであると、金属粉末の分散性を優れたものとすることができ、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、記録物の製造工程において除去される(蒸発する)有機溶剤を含まないものであるのが好ましい。これにより、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を効果的に防止することができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物の室温(20℃)での粘度は、20mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上15mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による液滴吐出を好適に行うことができる。
《記録物の製造方法》
次に、本発明の記録物の製造方法の一例、特に、強磁性材料で構成された金属粉末(好ましくは、強磁性材料で構成された基部を、Alで構成された被膜が被覆した金属粉末)を含む紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いた記録物の製造方法の一例について説明する。
図1は、記録物の製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。
本実施形態の記録物の製造方法は、上述したような本発明に係る紫外線硬化型インクジェット用組成物を、インクジェット方式により記録媒体に付与する組成物付与工程(1a)と、磁力により記録媒体に付与された紫外線硬化型インクジェット用組成物を構成する金属粉末を配列させる配列工程(1b)と、紫外線を照射することにより、重合性化合物を重合させる重合工程(1c)とを有する。これにより、光沢感、高級感に優れたパターン(印刷部)を備えた記録物を効率よく製造することができる製造方法を提供することができる。
<組成物付与工程>
まず、上述したような紫外線硬化型インクジェット用組成物2を、インクジェット方式により記録媒体11に付与する(1a)。
インクジェット法の方式(液滴吐出方式)としては、例えば、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができるが、紫外線硬化型インクジェット用組成物2の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
以下の説明では、紫外線硬化型インクジェット用組成物の吐出は、図1に示すような液滴吐出装置を用いて行うものとして説明する。
図1に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、紫外線硬化型インクジェット用組成物2を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101から紫外線硬化型インクジェット用組成物2が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)をキャリッジに搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御装置(移動手段)104と、記録媒体(基材)11を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置(移動手段)108と、制御手段112とを備えている。タンク101と、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッドとは、チューブ110で連結されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッドのそれぞれに紫外線硬化型インクジェット用組成物2が圧縮空気によって供給される。
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有する。
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、紫外線硬化型インクジェット用組成物2を付与すべき記録媒体11をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対する液滴吐出ヘッドの相対位置が変わる(ステージ106に保持された記録媒体11と、液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
制御手段112は、紫外線硬化型インクジェット用組成物2を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
上記のような液滴吐出装置100を用いて、紫外線硬化型インクジェット用組成物2を記録媒体11に付与する。上記のような装置を用いることにより、記録媒体11の所望の部位に、効率よくかつ選択的に紫外線硬化型インクジェット用組成物2を付与することができる。なお、図示の構成では、液滴吐出装置100は、タンク101、チューブ110等を、1種の紫外線硬化型インクジェット用組成物2に対応する1組分しか有していないが、これらの部材を、複数種の紫外線硬化型インクジェット用組成物2の分だけ有するものであってもよい。また、記録物の製造においては、複数種の紫外線硬化型インクジェット用組成物2に対応する複数の液滴吐出装置100を用いてもよい。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッドは、駆動素子として、ピエゾ素子を用いるものであっても、静電アクチュエータを用いるものであってもよい。また、液滴吐出ヘッドは、駆動素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用して紫外線硬化型インクジェット用組成物を吐出する構成であってもよい。
<配列工程>
次に、磁力により、記録媒体11に付与された紫外線硬化型インクジェット用組成物2を構成する金属粉末を、記録媒体11上に付与された紫外線硬化型インクジェット用組成物2の外表面側に、配列させる(1b)。
本工程では、例えば、磁石を用いて、金属粉末を配列させることができる。磁石としては、永久磁石を用いてもよいし、電磁石を用いてもよい。
また、金属粉末が磁石材料(磁化した材料)で構成されたものである場合には、磁化していない強磁性材料(例えば、鉄)で構成された部材を用いて、金属粉末を配列させてもよい。
本工程において金属粉末に作用させる磁力の方向は、一定のものであってもよいし、経時的に変化するもの(例えば、交番磁場)であってもよい。
また、本工程において金属粉末に作用させる磁力の方向(磁力線の方向)は、いかなる方向のものであってもよいが、記録媒体11の法線方向と略平行であるのが好ましい。具体的には、本工程において金属粉末に作用させる磁力の方向(磁力線の方向)と、記録媒体11の紫外線硬化型インクジェット用組成物2が付与される部位の法線方向とのなす角が、10°以下であるのが好ましく、5°以下であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物2を構成する金属粉末を、より好適に配列させることができ、最終的に得られる記録物の光沢感を特に優れたものとすることができる。
以下の説明では、磁場発生装置(例えば、永久磁石や電磁石)を用いて、金属粉末に磁場を付与する場合について中心的に説明する。
記録媒体11に付与された紫外線硬化型インクジェット用組成物2に磁場を付与する磁場発生装置(例えば、永久磁石や電磁石)が発生する磁場の最大強度(絶対値)は、特に限定されないが、例えば、1〜10000Gsであるのが好ましく、1000〜5000Gsであるのがより好ましい。これにより、記録物の生産性を特に優れたものとしつつ、金属粉末をより好適に配列されることができ、最終的に得られる記録物の光沢感を特に優れたものとすることができる。
また、磁場発生装置と記録媒体11の紫外線硬化型インクジェット用組成物2が付与された面との距離(最短距離)は、特に限定されないが、例えば、1cm以上100cm以下であるのが好ましく、2cm以上50cm以下であるのがより好ましい。これにより、記録物の生産性を特に優れたものとしつつ、金属粉末をより好適に配列されることができ、最終的に得られる記録物の光沢感を特に優れたものとすることができる。
磁力による金属粉末の配向は、紫外線硬化型インクジェット用組成物2を記録媒体11に付与した後に、行うものであってもよいが、液滴吐出装置100から吐出された紫外線硬化型インクジェット用組成物2の液滴が記録媒体11の表面に着弾する前に行うものであってもよい。これにより、液滴中における金属粉末の配向を制御することができ、その結果として、液滴の記録媒体11への着弾後の金属粉末の配列をより好適なものとすることができる。
<重合工程>
その後、紫外線を照射することにより、記録媒体11に付与された紫外線硬化型インクジェット用組成物2を構成する重合性化合物を硬化させる(1c)。これにより、記録物が得られる。
記録媒体11に付与された紫外線硬化型インクジェット用組成物2は、所定量の化合物Aを含むものであるため、本工程において、重合性化合物の重合反応は速やかに進行する。その結果、得られる記録物において、効果が不十分であることによる問題の発生が確実に防止される。
特に、本実施形態においては、重合性化合物が硬化する前に、紫外線硬化型インクジェット用組成物2を構成する金属粉末が、磁力により配列した状態となっているため、本工程において、粉末が所定の方向に配列した状態で、重合性化合物が硬化することとなり、当該方向で粉末が固定される。その結果、記録物は、優れた光沢感を有するものとなる。
本工程で照射する紫外線の波長は、350nm以上450nm以下であるのが好ましい。
また、本工程で照射する紫外線の照射強度は、10mW/cm以上2000mW/cm以下であるのが好ましい。
また、本工程での紫外線の照射エネルギーは、5mJ/cm以上1000mJ/cm以下であるのが好ましい。
紫外線源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、紫外線レーザダイオード(UV−LD)等を用いることができる。中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV−LED)および紫外線レーザダイオード(UV−LD)が好ましい。
なお、本工程は、磁力を作用させつつ行ってもよい。これにより、前記配列工程で配列させた金属粉末の配列状態を乱すことなく、紫外線硬化型インクジェット用組成物2を硬化させることができ、より確実に記録物の光沢感を特に優れたものとすることができる。
《記録物》
次に、本発明の記録物について説明する。
本発明の記録物は、上述したような紫外線硬化型インクジェット用組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたものである。このような記録物は、光沢感、高級感に優れたパターン(印刷部)を有するものである。
上述したように、本発明に係る紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物を含むものであり、記録媒体に対する密着性に優れるものである。このように、本発明に係る紫外線硬化型インクジェット用組成物は記録媒体に対する密着性に優れるものであるため、記録媒体は、いかなるものであってもよく、吸収性または非吸収性のいずれを用いてもよく、例えば、紙(普通紙、インクジェット用専用紙等)、プラスチック材料、金属、セラミックス、木材、貝殻、綿、ポリエステル、ウール等の天然繊維・合成繊維、不織布等を用いることができる。
本発明の記録物は、いかなる用途のものであってもよく、例えば、装飾品やそれ以外に適用されるものであってもよい。本発明の記録物の具体例としては、コンソールリッド、スイッチベース、センタークラスタ、インテリアパネル、エンブレム、センターコンソール、メーター銘板等の車両用内装品、各種電子機器の操作部(キースイッチ類)、装飾性を発揮する装飾部、指標、ロゴ等の表示物等が挙げられる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の製造
(実施例1)
まず、表面が平滑なポリエチレンテレフタレート製のフィルム(表面粗さRaが0.1μm以下)を用意した。
次に、このフィルムの一方の面の全体にシリコーンオイルを塗布した。
次に、シリコーンオイルを塗布した面側に、蒸着法により、Alで構成された第1のAl層、Ni−Fe合金で構成された強磁性層と、Alで構成された第2のAl層を順次形成し、積層体を得た。第1のAl層および第2のAl層は、いずれも、平均厚さが、4nmであった。また、強磁性層の平均厚さは、5nmであった。また、強磁性層は、Ni:50.4質量%、Fe:49.6質量%の組成を有するものであった。
次に、積層体が形成されたポリエチレンテレフタレート製のフィルム(基材)を、ジエチレングリコールジエチルエーテルで構成された液体中に入れ、超音波振動を付与した。これにより、第1のAl層と強磁性層と第2のAl層とからなる、鱗片状の金属粉末が得られた。金属粉末の平均粒径は0.8μmであった。
次に、金属粉末を上記液体から分離し、その後、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、下記式(2)で表される化合物A、レベリング剤としてのUV−3500(ビックケミー社製)、および、重合禁止剤としてのp−メトキシフェノールと混合することにより、インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を得た。
Figure 0005874405
(実施例2〜10)
インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の調製に用いる金属粉末の構成、原料の種類・比率を変更することにより、表1に示すような組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(比較例1)
化合物Aを用いず、インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の調製に用いる、原料の種類・比率を変更することにより、表1に示すような組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(実施例2、3)
インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の調製に用いる原料の比率を変更することにより、表1に示すような組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(比較例4、5)
化合物Aを用いず、インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の調製に用いる、原料の種類・比率を変更することにより、表1に示すような組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(比較例6)
金属粉末として、Agで構成されたものを用いた以外は、前記比較例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(比較例7)
金属粉末として、ガスアトマイズ法を用いて製造された球形状のAl粉末を用いた以外は、前記比較例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(比較例8)
前記実施例1と同様にして得られた鱗片状の金属粉末と、1,2−ヘキサンジオールと、トリメチロールプロパンと、サーフィノール465(日信化学工業社製)と、トリエタノールアミンと、グリセリンと、ポリフロー401(日信化学工業社製)と、イオン交換水とを混合することにより、インクジェット組成物を製造した。すなわち、本比較例のインクジェット組成物は、紫外線の照射により硬化する重合性化合物を含まないものである。
前記各実施例および比較例について、インクジェット組成物の組成を、表1にまとめて示した。なお、表中、上記式(2)で示される化合物Aを(2)、下記式(3)で示される化合物Aを(3)、下記式(4)で示される化合物Aを(4)、下記式(5)で示される化合物Aを(5)、下記式(6)で示される化合物Aを(6)、下記式(7)で示される化合物Aを(7)、下記式(8)で示される化合物Aを(8)、下記式(9)で示される化合物Aを(9)、フェノキシエチルアクリレートを「PEA」、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルを「VEEA」、トリプロピレングリコールジアクリレートを「TPGDA」、ジプロピレングリコールジアクリレートを「DPGDA」、N−ビニルカプロラクタムを「VC」、ベンジルメタクリレートを「BM」、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートを「DMTCDDA」、アミノアクリレートを「AA」、ウレタンアクリレートを「UA」、UV−3500(ビックケミー社製)を「UV3500」、p−メトキシフェノールを「pMP」、4−ヒドロキシブチルアクリレートを「HBA」、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1を「BDMB」、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オンを「DMMB」、1,2−ヘキサンジオールを「1,2HD」、トリメチロールプロパンを「TMP」、サーフィノール465(日信化学工業社製)を「S465」、トリエタノールアミンを「TEA」、グリセリンを「GL」、ポリフロー401(日信化学工業社製)を「PF401」で示した。また、表1中、金属粉末の組成のうち合金組成については、各成分の重量比を示した。また、各インクジェット組成物中に含まれるそれぞれ任意の10個の金属粒子について観察を行い、投影面積が最大となる方向から観察した際(平面視した際)の面積S[μm]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S[μm]に対する比率(S/S)を求め、これらの平均値を、表1にあわせて示した。また、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の20℃における粘度は、いずれも、3mPa・s以上15mPa・s以下の範囲内の値であった。また、前記各実施例および比較例のインクジェット組成物を構成する金属粉末の各層において、表1に示す成分以外の含有率は、いずれも0.1質量%以下であった。
Figure 0005874405
Figure 0005874405
Figure 0005874405
Figure 0005874405
Figure 0005874405
Figure 0005874405
Figure 0005874405
Figure 0005874405
[2]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
前記各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
まず、チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置および前記実施例および比較例のインクジェット組成物を用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各色のインクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、2000000発(2000000滴)の液滴の連続吐出を行った。その後、液滴吐出装置の運転を停止し、液滴吐出装置の流路に各インクが充填された状態で、25℃、55%RHの環境下に、120時間放置した。
その後、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、25℃、55%RHの環境下で、4000000発(4000000滴)の液滴の連続吐出を行った。上記72時間放置した後の、液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された4000000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
A:ズレ量dの平均値が0.10μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.10μm以上0.15μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.17μm以上0.27μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.27μm以上0.33μm未満。
E:ズレ量dの平均値が0.33μm以上。
[3]インクジェット組成物の保存安定性評価(長期安定性評価)
前記各実施例および比較例のインクジェット組成物について、30℃の環境下に、14日間放置した後、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のインクジェット組成物の20℃における粘度を測定し、製造直後からの粘度の上昇率を求め、以下の基準に従い、評価した。
A:粘度の上昇率が5%未満。
B:粘度の上昇率が5%以上10%未満。
C:粘度の上昇率が10%以上20%未満。
D:粘度の上昇率が20%以上30%未満。
E:粘度の上昇率が30%以上。
[4]硬化性
前記各実施例および比較例のインクジェット組成物について、エプソン製インクジェットプリンター;PM800Cへ導入し、記録媒体として三菱樹脂(株)製、ダイアホイル G440E(厚さ38μm)を用いて、インク量wet 9g/mにて、ベタ印刷を行い、印刷後、ただちにLED−UVランプ;フォセオン社製 RX firefly(ギャップ6mm ピーク波長395nm 1000mW/cm)を用いて紫外線の照射を行い、インクジェット組成物が硬化したか否かを確認し、以下の5段階の基準に従い、評価した。硬化したか否かは、FT−IR(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、製品名「MAGNA−IR 860 Nicolet」)を用いて、活性放射線の照射前後の各放射線硬化型インク組成物おけるビニル基の吸収スペクトルのピーク(810cm−1)によって判断した。具体的には、まず、照射前の810cm−1のピーク高さAと、照射後の810cm−1のピーク高さAと、をIRスペクトルから求め、下記式(X)を用いて硬化率を計算した。
硬化率(%)=100×(1−A/A) ・・・(X)
これにより、放射線硬化型インク組成物が硬化率90%以上となるとき、「硬化」と判断した。
なお、下記A〜Eの照射量に該当するかどうかは、ランプを何秒照射したかによって算出できる。
A:100mJ/cm未満の紫外線照射量にて硬化した。
B:100mJ/cm以上200mJ/cm未満の紫外線照射量にて硬化した。
C:200mJ/cm以上500mJ/cm未満の紫外線照射量にて硬化した。
D:500mJ/cm以上1000mJ/cm未満の紫外線照射量にて硬化した。
E:1000mJ/cm以上の紫外線照射量にて硬化する。もしくはまったく硬化
しない。
[5]記録物の製造
各実施例について製造直後のインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を用いて、それぞれ、以下のようにして、記録物としてのインテリアパネルを製造した。
まず、製造直後のインクジェット組成物をインクジェット装置に投入した。
その後、ポリカーボネート(旭硝子社製、カーボグラス ポリッシュ 2mm厚)を用いて成形した曲面部を有する記録媒体上に、所定のパターンで、インクジェット組成物を吐出した(組成物付与工程)。
その後、記録媒体の表面(インクジェット組成物が付与された面)側に、記録媒体の表面(インクジェット組成物が付与された面)と同一の表面形状を有する永久磁石(磁束密度:2000Gs)を設置し、磁力線の方向が記録媒体の法線方向と平行となるようにした(配列工程)。このとき、永久磁石の表面と記録媒体の表面との距離が、10cmとなるようにした。
その後、永久磁石を設置した状態で、365nm、380nm、395nmの波長に極大値を有するスペクトルの紫外線を照射を、照射強度180mW/cmを20秒間照射し、記録媒体上のインクジェット組成物を硬化させ、記録物としてのインテリアパネルを得た。
上記のような方法を用いて、10個のインテリアパネル(記録物)を製造した。
また、記録媒体として、ポリエチレンテレフタレート(三菱樹脂社製 ダイヤホイル G440E 38μm厚)を用いて成形したもの、低密度ポリエチレン(三井化学東セロ社製 T.U.X(L−LDPE) HC−E #80)を用いて成形したもの、2軸延伸ポリプロピレン(三井化学東セロ社製 OP U−1 #60)を用いて成形したもの、硬質塩化ビニル(アクリサンデー社製 サンデーシート(透明)0.5mm厚)を用いて成形したものを用いた以外は、上記と同様にして、それぞれ、10個ずつのインテリアパネル(記録物)を製造した。
また、各比較例についても、上記と同様にして、製造直後のインクジェット組成物を用いて、インテリアパネル(記録物)を製造した。
[6]記録物の評価
上記のようにして得られた各記録物について、以下のような評価を行った。
[6.1]記録物の外観評価
前記各実施例および比較例で製造した各記録物を目視により観察し、以下の7段階の基準に従い、評価した。
A:高級感に溢れる光沢感を有し、極めて優れた外観を有している。
B:高級感に溢れる光沢感を有し、非常に優れた外観を有している。
C:高級感のある光沢感を有し、優れた外観を有している。
D:高級感のある光沢感を有し、良好な外観を有している。
E:光沢感に劣り、外観がやや不良。
F:光沢感に劣り、外観が不良。
G:光沢感に劣り、外観が極めて不良。
[6.2]光沢度
前記各実施例および比較例で製造した各記録物のパターン形成部について、光沢度計(MINOLTA MULTI GLOSS 268)を用い、煽り角度60°での光沢度を測定し、以下の基準に従い評価した。
A:光沢度が320以上。
B:光沢度が210以上320未満。
C:光沢度が100以上210未満。
D:光沢度が100未満。
[6.3]耐擦性
前記各実施例および比較例に係る記録物について、記録物の製造から72時間経過した時点で、サウザーランドラブテスターを用い、JIS K5701に準じて耐擦性試験を行い、上記[6.2]で述べたのと同様の方法により、耐擦性試験後の記録物についても光沢度(煽り角度60°)を測定し、耐擦性試験前後での光沢度の低下率を求め、以下の基準に従い評価した。
A:光沢度の低下率が6%未満。
B:光沢度の低下率が6%以上14%未満。
C:光沢度の低下率が14%以上24%未満。
D:光沢度の低下率が24%以上28%未満。
E:光沢度の低下率が28%以上。
これらの結果を表2に示す。なお、表2中、ポリカーボネート製の記録媒体を用いて製造された記録物を「M1」、ポリエチレンテレフタレート製の記録媒体を用いて製造された記録物を「M2」、低密度ポリエチレン製の記録媒体を用いて製造された記録物を「M3」、2軸延伸ポリプロピレン製の記録媒体を用いて製造された記録物を「M4」、硬質塩化ビニル製の記録媒体を用いて製造された記録物を「M5」で示した。
Figure 0005874405
表2から明らかなように、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、硬化性に優れるとともに、液滴の吐出安定性および保存安定性にも優れていた。また、本発明の記録物は、優れた光沢感、高級感を有しており、パターン形成部の耐擦性にも優れていた。これに対して、比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、磁石を用いなかった以外は、前記と同様にして各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて記録物を製造したところ、上記と同様の傾向があることが認められ、本発明では優れた結果が得られるのに対し、比較例では満足な結果が得られなかった。
11…記録媒体(基材) 2…紫外線硬化型インクジェット用組成物 100…液滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴吐出手段 104…第1位置制御装置(移動手段) 106…ステージ 108…第2位置制御装置(移動手段) 110…チューブ 112…制御手段

Claims (7)

  1. インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット用組成物であって、
    金属粉末と、紫外線の照射により重合する重合性化合物と、下記式(1)で表される化合物Aとを含み、
    前記重合性化合物の含有率をX0[質量%]、前記化合物Aの含有率をX1[質量%]としたとき、0.001≦X1/X0≦0.060の関係を満足し、
    前記金属粉末は、強磁性を有する材料で構成されたものであることを特徴とする紫外線硬化型インクジェット用組成物。
    Figure 0005874405
  2. 前記金属粉末は、鱗片状をなすものである請求項1に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
  3. 前記金属粉末は、少なくとも表面がアルミニウムで構成されたものである請求項1または2に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
  4. 前記金属粉末の平均粒径が500nm以上2.0μm以下である請求項1ないしのいずれか一項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
  5. 前記重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレートを含むものである請求項1ないしのいずれか一項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
  6. 前記重合性化合物として、前記フェノキシエチルアクリレートに加え、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、および、4−ヒドロキシブチルアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものである請求項1ないしのいずれか一項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
  7. 前記重合性化合物として、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートおよび/またはアミノアクリレートを含むものである請求項1ないしのいずれか一項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
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