JP5873295B2 - ラベル接着方法及び該方法によりラベルを接着した容器 - Google Patents

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本発明は、剥離容易なラベル接着方法及び該方法によりラベルを接着した容器に関するものである。
商品用包装容器には、商品の内容を表示するラベルが付されることが一般的である。近年、再生可能資源の再利用についての関心が高まってきたことに対応して、商品用包装容器に頻繁に用いられるプラスチック容器の再利用の重要性が増してきている。プラスチック容器の再利用に当たって、容器に付されたラベルを剥がすことができることが好ましい。ラベルの貼り付け方式には、大きく分けて、ヒート糊方式、グルー糊方式、タック糊方式がある。なかでも、グルー糊方式は、貼り付ける直前にラベル裏面に糊を塗布して貼り付ける方法である。
ここで、汎用されるラベルにはフィルム基材からなるものや、紙基材からなるものがある。フィルム基材からなるラベルは、基材の強度が強いため容器との接着強度をある程度強くすることができるため、容器の保存や輸送に当たってラベルが剥がれるおそれが無く、且つ、グルー糊が基材にしみこむことが無いため、接着強度の経時変化も少ない。他方、紙基材からなるラベルの場合、基材の強度がフィルム基材よりも弱いため、容器との接着強度をあまり強くすることはできず、そのため、容器の保存や輸送に当たってラベルが剥がれるおそれがあった。また、紙基材にグルー糊がしみこんでしまい、ラベルを容器に対して接着してから時間が経つにつれて、部分的に接着強度に偏りが生じてしまう。このため、容器からラベルを剥がすに当たって、ラベルが破れて紙基材がプラスチック容器に残ってしまうことがあった。
従来、一部が切り離し自在な切り離し部を有するラベルの基材の背面に第1の剥離層及び第2の剥離層を設けて構成したラベルが提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。このようなラベルは、切り離し部の浮き上がりを防止しながら、切り離し部の切り離しを容易に行うことを可能にする。
特開2002−32022号公報
ここで、特許文献1によるラベルは、剥離の際には第1剥離層と第2剥離層との間で分かれるため、剥離後に商品や容器の側に剥離層が残るように構成されていた。容器の側に残った剥離層を除去するためには、特殊な溶剤を用いた洗浄工程が必要なので、プラスチック容器のリサイクル工程を煩雑化していた。
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、剥離後に紙基材および剥離層が容器に残らないようにする、ラベル接着方法及び該方法によりラベルを接着した容器を提供することにある。
上記目的を達成する本発明に係るラベル接着方法は、紙基材に対して、UV硬化型樹脂を含む少なくとも1つの剥離層が積層されてなるラベルに、前記少なくとも1つの剥離層のうち、前記紙基材側とは反対側に露出した剥離層面に対して、前記容器に接着させる前に粘度が30,000〜59,000mPa・s/20℃の接着剤を塗布して、前記ラベルを前記容器に接着させることを特徴とする。
また、本発明に係るラベル接着方法において、前記ラベルは、少なくとも2つの剥離層を有することが好ましい。
また、本発明に係るラベル接着方法において、前記容器はプラスチック容器であることが好ましい。
また、本発明に係るラベル接着方法において、前記接着剤は、ビニル共重合体を含有する水系接着剤であり、固形分を40〜65質量%で含有することが好ましい。
上記目的を達成する本発明に係るラベルを接着したプラスチック容器は、上記接着方法のいずれか1つの接着方法でラベルを接着されたことを特徴とする。
本発明によれば、ラベルを容器から剥離した際に、紙基材および剥離層が容器に残らないようにすることが可能となる。
本発明の一実施形態によるラベル接着方法にて使用されるラベルの概略構成を示す図である。 図1に示すラベルの剥離後の概略構成を示す図である。 本発明の他の実施形態によるラベル接着方法にて使用されるラベルの概略構成を示す図である。 図3に示すラベルの剥離後の概略構成を示す図である。
以下、本発明によるラベル接着方法の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明によるラベル接着方法によりラベルを接着した容器については、本発明による一実施形態のラベル接着方法の説明から明らかになる。
図1は、本実施形態によるラベル接着方法にて用いられるラベルの概略構成を示す図である。ラベル1は、紙基材2に対して第1剥離層3が積層されてなる、容器に接着させるラベルである。ラベル1は、更に、印刷層6及び被覆層7を有する。ラベル1は、プラスチック容器8に接着される前に、紙基材2の側とは反対側に露出した第1剥離層3の面に対して、接着剤5が塗布されて、プラスチック容器8の表面に接着される。接着剤5の塗布は、例えば接着工程の行われる5秒以内、好ましくは2〜0.05秒前のような、接着の直前に実施される。
紙基材2には、例えば、片アート紙、蒸着紙、上質紙、特殊紙、及び和紙等であり、ラベルの専用紙として使用されうるあらゆる紙素材により構成される。
第1剥離層3は、例えば、UV(紫外線)硬化型樹脂を含んで構成される。なお、剥離層は一般的にアンカーコートとも称される。UV硬化型樹脂は、例えば、高粘度のオリゴマー、モノマー、光重合開始剤、及び助剤からなる。これらの各成分の含有率は、オリゴマーが30質量%〜80質量%、モノマーが10質量%〜50質量%、及び光重合開始剤が5質量%〜15質量%であることが好ましい。上記範囲が剥離層を塗布する際の粘度が適当であり好ましい。
ここで、オリゴマーは、モノマーの繰り返しが2〜20程度の重合体であり、反応基(2重結合)を末端に有する。なお、オリゴマーはプレポリマーとも称される。モノマーは、低粘度であり、UV硬化型樹脂の粘度の調整を行うと共に、その硬化性及び接着性に影響する。UV硬化型樹脂は、例えば、アクリレート系のオリゴマー及びモノマーを含有する。光重合開始剤は、紫外線(UV)エネルギーによりラジカル(活性種)を発生し、発生したラジカルがモノマーやオリゴマーの反応基に反応し重合を開始させるものである。光重合開始剤には、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系などがある。
接着剤5は、いわゆるグルー糊であり、粘度が30,000〜59,000mPa・s/20℃の接着剤である。そのような接着剤は、ビニル共重合体を含有する水系接着剤で、固形分を40〜65質量%で含有することが好ましい。特に好ましくは、固形分を55〜60質量%で含有し、粘度が38,000〜58,000mPa・s/20℃である。このような接着剤として、常盤化学(株)製のトキワノールZ−97などを用いることができる。なお、ビニル共重合体は、ビニル基を有するモノマー(塩化ビニル、酢酸ビニル、エチレン)等の2種以上の重合によって得られる共重合体である。例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体の場合、酢酸ビニルモノマー100質量%に対して、5〜35質量%のエチレンモノマーを混合し、高圧下で乳化重合させて得られたエマルジョン等をビニル共重合体として用いることができる。これらビニル共重合体は接着剤の固形分の25質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上である。
印刷層6は、例えば、オフセット印刷機、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、凸輪印刷機、スクリーン印刷機等、目的に応じた種々の印刷方式により転写されたインキを含む。
被覆層7は、例えば、ニスを含む。ニスは、例えば、OP(Over Print)ニスやUVニスであり、この他、目的に応じた種々のニスであり得る。OPニスには様々な種類があるが、例えば、ワックス成分を含有する透明樹脂層である。同様に、UVニスにも様々な種類があるが、例えば、UV硬化型樹脂にシリコン系ワックスが添加されてなる。UV硬化型樹脂は、例えば光開始剤、プレポリマー、及びモノマーを含み、UV光の照射により硬化する。
プラスチック容器8は、例えば、ポリエチレンボトル、ポリプロピレンボトル、及びポリエチレンテレフタレートボトルである。
図2は、図1に示すラベルの剥離後の概略構成を示す図である。商品流通後にプラスチック容器8を再利用する場合に、ラベル1をプラスチック容器8から手で剥離すると、第1剥離層3と接着剤5との境界、接着剤5の層内、接着剤5とプラスチック容器8との境界などで剥離が生じ、剥離後に被覆層7、印刷層6、紙基材2、及び第1剥離層3はプラスチック容器8の表面には残らない。この紙基材2、第1剥離層3、接着剤5との組合せにより、接着剤5の層の上下及び層内で剥離が生じるように、接着剤5とプラスチック容器8の表面との接着強度は、紙基材2の強度、及び紙基材2と第1剥離層3との間の接着強度よりも弱くなる。さらに、本実施形態で紙基材2に対して塗布される第1剥離層3は、紙基材2の強度を強くする役割も果たす。
このように、本発明によるラベル接着方法によれば、第1剥離層3を設けて紙基材2を強化し、且つ接着剤5が紙基材2に浸透しないようにして、ラベル1の剥離後に紙基材2及び第1剥離層3がプラスチック容器8に残らないようにすることができる。これにより、リサイクルにあたって紙基材2及び第1剥離層3の除去のため処理を行う必要がないため、リサイクル時の処理工程を簡便にすることができる。
図3は、2つの剥離層を有するラベルの概略構成を示す図である。ラベル9は、第1剥離層3に加えて、さらに、第2剥離層4が積層されてなるプラスチック容器用のラベルである。ラベル9のその他の構成は、上述したラベル1と同様である。第1剥離層3と同様に、第2剥離層4は、例えば、UV硬化型樹脂を含んで構成される。
図4は、図3に示すラベルの剥離後の概略構成を示す図である。ラベル1と同様に、ラベル9をプラスチック容器8から手で剥離する場合にも、接着剤5の層内で剥離が生じる。このため、被覆層7、印刷層6、紙基材2、第1剥離層3、及び第2剥離層4はプラスチック容器8の表面には残らない。この紙基材2、第1剥離層3、及び第2剥離層4、接着剤5との組合せにより、第2剥離層4と接着剤5との境界、接着剤5の層内、接着剤5とプラスチック容器8との境界などで剥離が生じるように、接着剤5とプラスチック容器8の表面との接着強度は、紙基材2の強度、及び第1剥離層3と第2剥離層4との間の接着強度よりも弱くなる。さらに、ラベル9において、第1剥離層3に加えて第2剥離層4も備えることで、紙基材2の強度を、剥離層が一層の場合よりもさらに強くすることができる。
さらに、2つの剥離層によって強化されることで、ラベル9は、プラスチック容器8に対して接着した際にしわになりにくくなる。このことは、商品製造時にラベルを貼り付ける工程におけるラベル貼り付け不良の発生率を低減することに寄与する。
なお、本発明は上記実施形態により制限されるべきものではなく、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。従って、本発明は、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
紙基材2(王子製紙株式会社製ラベル用アート紙)、印刷層6、被覆層7を有するラベル基材印刷物には、日清オイリオグループ株式会社植物油用紙ラベル(寿精版印刷株式会社製)を用いた。
接着剤5としては、グルー型接着剤を用いた。具体的には、ビニル共重合体を主成分とする水溶性の接着剤である、常磐化学(株)製トキワノールZ−97、トキワノールZ−84HT、及びトキワノールZ−22Hを用いた。表1に各接着剤の特性を示す。トキワノールZ−97の塗布量は、27.4g/mであった。トキワノールZ−84HTの塗布量は、27.4g/mであった。さらに、トキワノールZ−22Hの塗布量は、27.4g/mであった。なお、塗布量は、当業界において塗布層の表面の滑らかさが担保可能な程度の塗布量であればよく、上述の限りではない。
Figure 0005873295
本願発明の発明例として、1層又は2層のUV硬化型樹脂からなる剥離層を有するラベルに対して、プラスチックボトルに接着する直前、すなわち、1.5秒前に表1に示す特性を有する接着剤を塗布して、プラスチックボトルに対して接着した。本例で剥離層の形成に使用したUV硬化型樹脂は、アクリレート系オリゴマーを65質量部、アクリレート系のモノマー20質量部、及びベンゾフェノン系の光重合開始剤を3質量部、及びその他助剤等9質量部を含有した。また、本例では、UV硬化型樹脂を1.5g/mで塗布することにより剥離層を形成した。比較例としては、水性エマルジョン系の熱風乾燥型樹脂からなる剥離層を一層のみ有するラベルに対して、表1に示す特性を有する接着剤を接着する1.5秒前に塗布して、プラスチックボトルに対して接着したものを用いた。
そのようにして準備した各プラスチックボトルについて保存試験、輸送相当試験、及び剥離性評価を実施した。各試験の条件及び評価方法を以下に説明する。
保存試験にあたって、ボトルを1ヶ月間室温にて保管し、その後、40℃、相対湿度90%で保管した。そして、ラベルの状態を確認した。輸送相当試験にあたって、16本のボトルをダンボールに詰め、JISZ0232に準拠した振動試験を行い、さらにJISZ0202に準拠した落下試験を行って、ラベルの状態を確認した。保存試験及び輸送相当試験の評価は、A〜Cの3段階(A:良好;B:一部ラベル浮き有;C:全てラベルが剥がれた)で行った。
剥離性評価にあたって、複数の検査者を任意で選出し、ラベルを貼って6ヶ月経過したボトル10本についてラベルを手で剥離させ、A〜Dの4段階(A:10本とも紙がボトルに残らなかった;B:1〜2本、紙が一部ボトルに残った;C:8〜9本、紙がボトルに残った;D:全て、紙がボトルに残った)で評価した。
発明例及び比較例について得られた試験及び評価結果を表2に示す。なお、図中「−」と表記したところは、評価を実施しなかったことを示す。
Figure 0005873295
表2より明らかな通り、No.5およびNo.6に示す発明例で、良好な結果が得られた。さらに、UV硬化型樹脂からなる剥離層を1層のみ備える場合よりも、UV硬化型樹脂からなる剥離層を2層備える場合に、剥離試験においてより良好な結果が得られた。さらに、接着剤のなかでも、Z−97を用いた場合に、保存試験、輸送相当試験、及び剥離評価の全てにおいて良好な結果を示した。
一方、熱風乾燥型樹脂からなる1つの剥離層のみを有するNo.1〜4に示す比較例では、いずれも、剥離性強化の結果が発明例に比べて劣る。このことから、当業界で通常用いられる程度の厚さを有する熱風乾燥型樹脂からなる剥離層を一層備えただけでは、接着剤の紙基材への浸透を十分に防ぐことができないことがわかる。
No.1及びNo.3に示す比較例の両方で剥離性評価が同様に低いことから、トキワノールZ−97は本実施例で用いたラベルに対する接着性が非常に強いことがわかる。このようなトキワノールZ−97を用いた場合であっても、No.5およびNo.6に示す発明例のように、UV硬化型樹脂からなる剥離層を1層又は2層備えることで、剥離性が大幅に改善された。
1,9 ラベル
2 紙基材
3 第1剥離層
4 第2剥離層
5 接着剤
6 印刷層
7 被覆層
8 プラスチック容器

Claims (6)

  1. 容器に接着させるラベルであって、紙基材に対して、UV硬化型樹脂を含む少なくとも1つの剥離層が積層されてなるラベルに、前記少なくとも1つの剥離層のうち、前記紙基材側とは反対側に露出した剥離層面に対して、前記容器に接着させる前に粘度が30,000〜59,000mPa・s/20℃の接着剤を塗布して、前記ラベルを前記容器に接着させることを特徴とする、ラベル接着方法。
  2. 前記ラベルは、少なくとも2つの剥離層を有する、請求項1に記載のラベル接着方法。
  3. 前記容器はプラスチック容器であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のラベル接着方法。
  4. 前記接着剤は、ビニル共重合体を含有する水系接着剤であり、固形分を40〜65質量%で含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のラベル接着方法。
  5. ラベルが接着されているプラスチック容器であって、前記ラベルが紙基材に対して、UV硬化型樹脂を含む少なくとも1つの剥離層が積層されてなるラベルに、前記少なくとも1つの剥離層のうち、前記紙基材側とは反対側に露出した剥離層面とプラスチック容器が接着剤で接着されており、前記接着剤の接着前の粘度が30,000〜59,000mPa・s/20℃であることを特徴とする、プラスチック容器。
  6. 前記ラベルは、少なくとも2つの剥離層を有し、
    前記接着剤は、ビニル共重合体を含有する水系接着剤であり、固形分を接着前に40〜65質量%で含有する、
    請求項5に記載のプラスチック容器。
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