<第1の実施の形態>
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図3A〜図3D及び図4A〜4Bは、第1の実施の形態に係る微細凹凸パターン付き基材の製造方法の各工程を示す模式断面図である。
<工程(a)>
第1の実施の形態に係る微細凹凸パターン付き基材の製造方法においては、まず、図3Aに示すように、基材301の表面上に第1レジスト層302を形成する。この第1レジスト層302の形成は、まず、第1レジスト層302を構成する第1レジスト材を、例えば、スピンコート、ディスペンサ、凹版印刷、凸版印刷及びスプレーコートにより基材301の表面に塗布することで行うことができる。この場合、基材301の全面に均等な厚さで第1レジスト材を塗布できる点で、スピンコートが好ましい。
<工程(b)>
次に、図3Bに示すように、表面に微細凹凸構造306を有するモールド303を用意する。このモールド303は、複数の凹部304及び凸部305から構成される微細凹凸構造306を有する。このモールド303の凹部に第2レジスト層307を充填する。
工程(b)において、モールド303は、微細凹凸構造306の凸部305の頂部位置(S)と、凹部304内に第2レジスト層307の露出する表面位置(Scc)との距離(lcc)と、頂部位置(S)と凹部305の底部、すなわちモールド303の表面の位置との距離で表せられるモールド303の微細凹凸構造306の高さ(深さ)(h)が、下記式(1)を満たし、且つ、上述の頂部位置(S)と凸部305の上に形成された第2レジスト層307の頂部位置(Scv)との距離(lcv)と、モールド303の微細凹凸構造306の高さ(深さ)(h)が、下記(2)式を満たすことが好ましい。
式(1)
0<lcc<1.0h
式(2)
0≦lcv≦0.05h
このような構成によれば、微細凹凸構造306の凹部304の内部の一部を埋めるように第2レジスト層307が配置され、微細凹凸構造306の凸部305の上には非常に薄い第2レジスト層307が配置されるか、又は、第2レジスト層307が配置されない構成となる。そのため、後述の工程(e)において、第2レジスト層307をマスクとして第1レジスト層302をエッチングしてマスク層308を形成する際に、残膜が無く、アスペクト比が高いマスク層を得ることができる。
第2レジスト層307は、後述する工程(c)において、第1レジスト層302を介して、基材301に転写される。その後、第2レジスト層307をマスクとして第1レジスト層302及び、基材301がエッチングされる。そのため、第2レジスト層307には転写の容易さと耐ドライエッチング性が求められ、耐ドライエッチング性および転写の容易性の観点から、lcc≦0.9hが望ましい。より好ましくは、lcc≦0.7hであり、さらに好ましくは、lcc≦0.6hである。
さらに、面内におけるlccのバラつきは、形成されるマスク層のバラつきに影響を与え、所望基材上に形成される微細パターンのバラつきへとつながる。面内におけるlccのバラつきを小さくするという観点から、lccは、0<lccを満たす範囲にあるのが好ましく、0.02h≦lccがなお好ましい。さらに好ましくは、0.05h≦lccであり、特に0.1h≦lccが好ましい。
以上に理由により、微細凹凸構造306の凸部305の頂部位置(S)と、凹部304内に第2レジスト層307の露出する表面位置(Scc)との距離(lcc)は、下記(3)式を満たすことがより好ましい。
式(3)
0.02h≦lcc≦0.9h
また、図3Bにおけるモールド303の凸部305上に形成された第2レジスト層307は、後工程のドライエッチング工程において、不要であり、除去する必要があるため、少ないことが好ましいい。lcv≦0.02hであれば、ドライエッチングによるlcvの膜厚を持つ第2レジスト層307を除去するのが一層容易であるため好ましく、lcv≦0.01hであるとより好ましい。ドライエッチングによるlcvの膜厚を持つ第2レジスト層307を除去する必要がないことから、lcv=0であることが最も好ましい。
以上に理由により、距離(lcv)は、下記(4)式を満たすことが、より好ましい。
式(4)
0≦lcv≦0.02h
工程(b)において、モールド303の凹部304に第2レジスト層を充填する方法としては、例えば、まず、モールド303とは別に用意した転写用部材の表面に、第2レジスト層を構成する第2レジスト材を塗布する。次いで、この第2レジスト材が塗布された転写用部材の表面(以下、転写面ともいう)に、モールド303の微細凹凸構造を有する表面を対向させた状態で押圧する。
この場合、転写用部材としては、平滑面を有すれば特に限定されるものではなく、例えば、合成成型や溶融石英に代表される石英、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラスに代表されるガラスや、シリコンウェハ、サファイア、ダイヤモンド、SiC基板、マイカ基板などを挙げることができる。
また、転写用部材への第2レジスト材の塗布方法としては、厚みが均等に塗布することが可能であれば、特に制限されるものではなく、例えば、スピンコート、ディスペンサ、凹版印刷、凸版印刷、スプレーコートなどを挙げることができる。
また、転写用部材の形状としては、モールド303を第2レジスト材が塗布された平面部材の転写面へ押圧し、モールド303の凹部304に第2レジスト層が均等に充填されれば特に限定されるものではなく、平面状、ロール状、曲面状などの形状が挙げられる。ロール状、曲面状の場合は、モールド303に対し、十分大きな曲率半径を有することが好ましい。
<工程(c)>
図3Cに示すように、工程(a)で形成された基材301上の第1レジスト層302の表面に対して、工程(b)で凹部304に第2レジスト層307が充填されたモールド303の表面を押圧する。
工程(c)において、第1レジスト層302を介して配置されたモールド303と基材301の表面との距離(ho)は、下記式(5)を満たすことが好ましい。
式(5)
150nm≦ho≦1500nm
150nmを下回ると、モールド303を押圧する際の押圧力と、押圧時間が過大となるために、生産効率の観点から好ましくない。一方、1500nmを上回ると、第2レジスト層307をマスクとして第1レジスト層302をエッチングする際の、エッチング精度が悪化するため好ましくなく、エッチング時間も長大となるため、工業生産上の生産性が低下するため好ましくない。
<工程(d)>
次に、図3Cに示すように、基材301及びモールド303を押圧した状態で、熱エネルギー及び/又は光エネルギーの照射により、第1レジスト層302と第2レジスト層307とを化学的に結合させる。
熱エネルギー照射とは、第1レジスト層302及び第2レジスト層307との化学結合を生じさせるものであれば、特に限定されるものではなく、赤外線加熱方法、マイクロ波加熱方法、レーザー照射加熱方法などが挙げられる。また、室温程度の熱量でも、酸素雰囲気、窒素雰囲気、Ar雰囲気など、周囲のガス雰囲気を変えることで化学結合を生じさせる方法も挙げられる。
光エネルギー照射とは、同様に、第1レジスト層302及び第2レジスト層307との化学結合を生じさせるものであれば、特に限定されるものではなく、可視光照射、赤外線照射、UV照射、X線照射など、所定の化学反応を起こさせる光を照射する方法が挙げられる。酸素阻害により、モールド押圧点以外の反応を抑制できる点から、UV照射方法によって光ラジカル反応に励起させる方法が好ましい。
上記、熱エネルギー照射と光エネルギー照射とは、各々単独、あるいは同時照査、あるいは逐次照射など、両方を用いることもできる。両方を併用することで、第1レジスト層302と第2レジスト層307との化学的な結合が促進されるため好ましい。例えば、光エネルギー照射で第1レジスト層302と第2レジスト層307とを一次反応させたのち、加熱し、より反応率を上げる方法が挙げられる。
<工程(e)>
次いで、図3Cに示す基材301からモールド303を剥離し、図3Dに示すように、基材301上に第1レジスト層302及び第2レジスト層307が順次積層され、且つ、モールド303の微細凹凸構造306の反転形状を有する、第2レジスト層307/第1レジスト層302/基材301から構成される積層体310を得る。
<工程(f)>
図3Dに示す積層体310に対して、第2レジスト層307をマスクとして第1レジスト層302をエッチングし、図4Aに示すように、基材301の表面上に第2レジスト層307/第1レジスト層302から構成されるマスク層401を形成する。
<工程(g)>
さらにマスク層401をマスクとして基材301をエッチングして、図4Bに示すように、その表面上にモールド303の微細凹凸構造306に対応した微細凹凸パターン402が形成された微細凹凸パターン付き基材410を得る。
次に、第1の実施の形態に係る微細凹凸パターン付き基材の製造方法で用いられる材料について、詳細に説明する。
基材301は、その用途により選定すればよく、特に限定されない。例えば、合成石英や溶融石英に代表される石英、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラスに代表されるガラスや、シリコンウェハ、ニッケル板、サファイア、ダイヤモンド、SiC基板、マイカ基板、半導体基板(窒化物半導体基板等)やITO等が挙げられる。
モールド303としては、柔軟性のある材料により構成されているモールド303を選定した場合、曲率を持つ外形を有す基材(例えば、レンズ形状、円筒・円柱形状、球形状等)を選定することもできる。
第1レジスト層302は、後工程におけるドライエッチング工程において、基材301に対するマスク層308となるため、基材301をエッチングする条件における、基材301に対するエッチングレートVbと第1レジスト層302のエッチングレートV1との比率(V1/Vb)は小さいほど好ましい。V1/Vb<1であれば、第1レジスト層302のエッチングレートの方が、基材301のエッチングレートよりも小さいため、基材301を容易に加工できる。第1レジスト層302によるエッチング精度の観点から、V1/Vb≦3.0であることが好ましく、V1/Vb≦2.5であるとより好ましく、V1/Vb≦2であると、第1レジスト層を薄くできるので好ましい。
また、ドライエッチングによる、第2レジスト層307のエッチングレート(V2)と、第1レジスト層302のエッチングレート(V1)との比率(V1/V2)は、第2レジスト層307をマスクとして第1レジスト層302をエッチングする際の加工精度にも影響を与える。V1/V2>1は、第2レジスト層307が第1レジスト層301よりもエッチングされにくいことを意味するため、大きいほど好ましい。第2レジスト層307の塗工性の観点から、V1/V2≦150であることが好ましく、V1/V2≦100がより好ましい。耐エッチング性の観点から、3≦V1/V2であることが好ましく、10≦V1/V2であることがより好ましく、15≦V1/V2であることが、より好ましい。
一方、第1レジスト層302のエッチング時のエッチング異方性(横方向のエッチングレートV1//)と、縦方向のエッチングレート(V1⊥)との比率(V1⊥/V1//)は、大きいほど好ましい。第1レジスト層302のエッチングレートと、基材301のエッチングレートの比率にもよるが、V1⊥/V1//≧2であることが好ましく、V1⊥/V1//≧3.5であることがより好ましく、V1⊥/V1//≧10であることがなお好ましい。なお、横方向とは、第1レジスト層302の膜厚方向を意味し、縦方向とは、第1レジスト層302の面方向を意味する。
基材301と第1レジスト層302との接着性を向上させるため、第1レジスト層302を設ける基材301の一主面上に、第1レジスト層302との化学結合や、浸透などの物理的結合のための易接着コーティング、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、UV/オゾン処理、高エネルギー線照射処理、表面粗化処理、多孔質化処理などを施してもよい。
第1レジスト層302は、前記したエッチングレート比を満たせば、特に限定されない。例えば、光重合可能なラジカル重合性樹脂や、光重合可能なカチオン重合性樹脂、その他公知である市販の光重合性、あるいは熱重合性樹脂や、ドライフィルムレジストに代表される、部分的に架橋し熱圧着が可能な樹脂を使用することができる。これらに、少なくとも、重合開始材を加え構成されている。
光重合可能なラジカル重合性樹脂としては、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマー、ビニル基を有するモノマー、アリル基を有するモノマーが好ましく、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーが好ましい。
また、ドライフィルムレジストとして適用される、部分的に架橋し熱圧着が可能な樹脂としては、前記したモノマーに加え、重合性基を複数具備した多官能性モノマーもまた、好ましく、重合性基の数は、重合性に優れることから1〜4の整数が好ましい。また、2種類以上の重合性モノマーを使用する場合は、重合反応後の架橋点を増やし、硬化物の物理的安定性(強度、耐熱性等)を得るため、重合性基の数が3以上のモノマーであることが好ましい。また、重合性基の数が1または2であるモノマーの場合、重合性数の異なるモノマーと併用して使用することが好ましい。
アクリレートモノマーの具体例としては、下記の化合物が挙げられる。アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、芳香族系の(メタ)アクリレート[フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート等。]、炭化水素系の(メタ)アクリレート[ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタアエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等。]、エーテル性酸素原子を含む炭化水素系の(メタ)アクリレート[エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリオキシエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等。]、官能基を含む炭化水素系の(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、ジメチルアミノエチルメタクリレート等。]、シリコーン系のアクリレート等。他には、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコールアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ECH変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(ジ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー、ベンジル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ECH変性フェノキシアクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリドデシル(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート、ε―カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。アリル基を有するモノマーとしては、p−イソプロペニルフェノール、ビニル基を有するモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール等が挙げられる。なお、EO変性とはエチレンオキシド変性をECH変性とはエピクロロヒドリン変性を、PO変性とはプロピレンオキシド変性を意味する。
光重合開始剤は、光によりラジカル反応またはイオン反応を引き起こすものであり、ラジカル反応を引き起こす光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、下記の光重合開始剤が挙げられる。
アセトフェノン系の光重合開始剤:アセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、クロロアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2’−フェニルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、ジアルキルアミノアセトフェノン等。ベンゾイン系の光重合開始剤:ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等。ベンゾフェノン系の光重合開始剤:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシプロピルベンゾフェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ペルフルオロベンゾフェノン等。チオキサントン系の光重合開始剤:チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジメチルチオキサントン等。アントラキノン系の光重合開始剤:2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン。ケタール系の光重合開始剤:アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール。その他の光重合開始剤:α−アシルオキシムエステル、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート等。フッ素原子を有する光重合開始剤:ペルフルオロtert−ブチルペルオキシド、ペルフルオロベンゾイルペルオキシド等、の公知慣用の光重合開始剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合性混合物は、光増感剤を含んでいてもよい。光増感剤の具体例としては、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチオ尿素、s−ベンジスイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレンテトラミン、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類のような公知慣用の光増感剤の1種あるいは2種以上と組み合わせて用いることができる。
市販されている開始剤の例としては、Ciba社製の「IRGACURE」(例えば、IRGACURE651、184、500、2959、127、754、907、369、379、379EG、819、1800、784、OXE01、OXE02)や「DAROCUR」(例えば、DAROCUR1173、MBF、TPO、4265)等が挙げられる。
光重合開始剤は、1種のみを単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。2種類以上併用する場合には、使用するアクリレートの分散性、及び光重合性混合物の微細凹凸構造表面部及び内部の硬化性の観点から選択するとよい。例えば、αヒドロキシケトン系光重合開始剤とαアミノケトン系光重合開始剤とを併用することが挙げられる。
また、2種類併用する場合の組み合わせとしては、例えば、Ciba社製の「Irgacure」同士、「Irgacure」と「Darocure」の組み合わせとして、Darocure1173とIrgacure819、Irgacure379とIrgacure127、Irgacure819とIrgacure127、Irgacure250とIrgacure127、Irgacure184とIrgacure369、Irgacure184とIrgacure379EG、Irgacure184とIrgacure907、Irgacure127とIrgacure379EG、Irgacure819とIrgacure184、DarocureTPOとIrgacure184などが挙げられる。
第2レジスト層307を構成する第2レジスト材の組成については、特に限定されず、溶剤に希釈可能な種々の公知樹脂(有機物)、無機前駆体、無機縮合体、メッキ液(クロムメッキ液など)まで使用できる。第2レジスト層307は、第1レジスト層302と化学的に結合し、第2レジスト層307/第1レジスト層302/基材301から構成される積層体を形成し、転写形成された第2レジスト層307/第1レジスト層302をマスクとして基材301をドライエッチングするため、転写する際の転写精度の観点から、光重合可能な光重合性基と熱重合可能な重合性基の両方、またはいずれか一方を含むと特に好ましい。また、第2レジスト材は、耐ドライエッチング性の観点から、金属元素を含むことが好ましい。
希釈溶剤としては特に限定されないが、単一溶剤の沸点が40℃〜200℃の溶剤が好ましく、60℃〜180℃がより好ましく、60℃〜160℃がさらに好ましい。希釈剤は2種類以上を使用してもよい。
また、溶剤希釈した第2レジスト材の濃度は、単位面積上に充填された塗膜の固形分量が、単位面積上(下)に存在する微細凹凸構造の空隙(凹)の体積以下となる濃度であれば、特に限定されない。
第2レジスト材に含まれる光重合性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、メタクリル基、ビニル基、エポキシ基、アリル基、オキセタニル基などが挙げられる。
また、第2レジスト材に含まれる金属元素としては、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ホウ素(B)、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)からなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。特に、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、シリコン(Si)であることが好ましい。
第2レジスト材は、ゾルゲル材料を含むことが好ましい。ゾルゲル材料を含むことで、耐ドライエッチング性の良好な第2レジスト層307をモールド303の微細凹凸構造306内部に充填しやすくなる。ゾルゲル材料としては、単一の金属種を持つ金属アルコキシドのみを用いても、異なる金属種を持つ金属アルコキシドを併用してもよいが、金属種M1(ただし、M1は、Ti,Zr,Zn,Sn,B,In,Alからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素)を持つ金属アルコキシドと、金属種Siを持つ金属アルコキシドとの、少なくとも2種類の金属アルコキシドを含有することが好ましい。または、第2レジスト材は、これらのゾルゲル材料と、公知の光重合性樹脂とのハイブリッドも使用できる。
第2レジスト材は、ドライエッチング時の物理的破壊を抑制する観点から、縮合と光重合の両方、あるいはいずれか一方による硬化後の相分離が小さいことが好ましい。ここで、相分離とは、透過型電子顕微鏡(TEM)のコントラストで確認することが可能である。第2レジスト層307の転写性の観点から、TEMのコントラストより、相分離サイズが20nm以下であることが好ましい。物理的耐久性および、耐ドライエッチング性の観点から、相分離サイズは15nm以下であることが好ましく、10nm以下であると、より好ましい。なお、相分離を抑制する観点から、ゾルゲル材料中に、光重合性基を具備するシランカップリング剤を含むことが好ましい。
また、第2レジスト層307としての耐ドライエッチング性の観点から、ゾルゲル材料は、金属種の異なる、少なくとも2種類の金属アルコキシドを含むことが好ましい。金属種の異なる2種類の金属アルコキシドの、金属種の組み合わせとしては、例えば、SiとTi,SiとZr,SiとTa等が挙げられる。耐ドライエッチング性の観点から、Siを金属種に持つ金属アルコキシドのモル濃度(CSi)と、Si以外の金属種M1を持つ金属アルコキシド(CM1)との比率CM1/CSiは、0.2〜15であることが好ましい。塗工乾燥時の安定性の観点から、CM1/CSiは0.5〜15であることが好ましい。物理的強度の観点から、CM1/CSiは5〜8であることがより好ましい。
第2レジスト材は、第2レジスト層307の転写精度と耐ドライエッチング性の観点から、無機のセグメントと有機のセグメントを含むハイブリッドであることが好ましい。ハイブリッドとしては、例えば、無機微粒子と、光重合(あるいは熱重合)可能な樹脂の組み合わせや、無機前駆体と光重合(あるいは熱重合)可能な樹脂、や、有機ポリマーと無機セグメントが共有結合にて結合した分子、等が挙げられる。無機前駆体としてゾルゲル材料を使用する場合は、シランカップリング剤を含むゾルゲル材料の他に、光重合可能な樹脂を含むことを意味する。ハイブリッドの場合、例えば、金属アルコキシド、光重合性基を具備したシランカップリング材、ラジカル重合系樹脂などを混合することができる。より転写精度を高めるために、これらにシリコーンを添加してもよい。また、ドライエッチング耐性を向上させるために、ゾルゲル材料部分は、予め予備縮合を行ってもよい。シランカップリング剤を含む金属アルコキシドと、光重合性樹脂の混合比率は、耐ドライエッチング性と転写精度の観点から、3:7〜7:3の範囲が好ましい。より好ましくは、3.5:6.5〜6.5:3.5の範囲である。ハイブリッドに使用する樹脂は、光重合可能であれば、ラジカル重合系でも、カチオン重合系でも特に限定されない。
第2レジスト層307を構成する光重合可能なラジカル重合系の樹脂としては、上述の第1レジスト層302を構成する光重合可能なラジカル重合系の樹脂を用いることが好ましい。
第2レジスト層307を構成する光重合可能なカチオン重合系の樹脂は、少なくともカチオン硬化性モノマーと、光酸発生剤とを含む組成物を意味する。カチオン硬化性樹脂組成物におけるカチオン硬化性モノマーとは、カチオン重合開始剤の存在下で、例えば、UV照射や加熱などの硬化処理を行うことにより硬化物が得られる化合物である。カチオン硬化性モノマーとしては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物が挙げられ、エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物、およびグリシジルエーテルが挙げられる。これらの中でも脂環式エポキシ化合物は、重合開始速度が向上し、オキセタン化合物は重合率の向上効果があるので、使用することが好ましく、グリシジルエーテルはカチオン硬化性樹脂組成物の粘度を低下させ、モールド303の凹部への充填性に効果があるので使用することが好ましい。より好ましくは、脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物とを併用することであり、さらに好ましくは脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物との重量比率が99:1〜51:49の範囲で併用することである。
カチオン硬化性モノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。脂環式エポキシ化合物としては、例えば、3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシ−6’−シクロヘキシルメチル、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。
グリシジルエーテルとしては、例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテル、ビスフェノールFグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
オキセタン化合物としては、例えば、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3アリルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタンなどが挙げられる。
ビニルエーテルとしては、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテルなどが挙げられる。
光酸発生剤は、光照射により光酸を発生すれば、特に限定されるものではない。例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩といった芳香族オニウム塩が挙げられる。光酸発生剤としては、例えば、スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイントシレート、アデカオプトマーsp−170(ADEKA社製)、アデカオプトマーsp−172(ADEKA社製)、WPAG−145(和光純薬工業社製)、WPAG−170(和光純薬工業社製)、WPAG−199(和光純薬工業社製)、WPAG−281(和光純薬工業社製)、WPAG−336(和光純薬工業社製)、WPAG−367(和光純薬工業社製)、CPI−100P(サンアプロ社製)、CPI−101A(サンアプロ社製)、CPI−200K(サンアプロ社製)、CPI−210S(サンアプロ社製)、DTS−102(みどり化学社製)、TPS−TF(東洋合成工業社製)、DTBPI−PFBS(東洋合成工業社製)等が挙げられる。
第2レジスト層307を、モールド303の微細凹凸構造面上に充填する際の充填性が悪い場合は、界面活性剤やレベリング材を添加してもよい。これらは、公知市販のものを使用することができるが、同一分子内に光重合性基を具備していることが好ましい。添加濃度は、充填の観点から、マスク材料100重量部に対して、40重量部以上が好ましく、60重量部以上が、より好ましい。一方で、耐ドライエッチング耐性の観点から、500重量部以下であることが好ましく、300重量部以下であると、より好ましく、150重量部以下であると、なお好ましい。特に、カルボキシル基、ウレタン基、イソシアヌル酸誘導体を有する官能基の、少なくとも1つの官能基を含むことが、相溶性の観点から好ましい。なお、イソシアヌル酸誘導体には、イソシアヌル酸骨格を有するもので、窒素原子に結合する少なくとも1つの水素原子が他の基で置換されている構造のものが包含される。これらを満たすものとして、例えば、ダイキン工業社製のオプツールDACが挙げられる。添加剤は、溶剤に溶かした状態で、第2レジスト材と混合することが好ましい。
第1レジスト層302と第2レジスト層307とは、その成分中に、互いに化学的に結合できる組成を有する必要がある。そのため、第2レジスト層307が光重合性基を含む場合は、第1レジスト層302も光重合性基を含み、第2レジスト層307が熱重合性基を含む場合は、第1レジスト層302も熱重合性基を含むことが好ましい。また、第2レジスト層307中の、ゾルゲル材料との縮合により、化学結合を生成するために、第1レジスト層302がゾルゲル材料を含んでもよい。光重合方式としては、ラジカル系とカチオン系が存在するが、硬化速度とドライエッチング耐性の観点から、ラジカル系のみ、あるいは、ラジカル系とカチオン系のハイブリッド系が好ましい。ハイブリッドの場合、ラジカル重合系樹脂とカチオン系重合系樹脂を、重量比率で、3:7〜7:3で混合することが好ましく、3.5:6.5〜6.5:3.5であると好ましい。
ドライエッチング時の、第1レジスト層302の物理安定性と、ハンドリングの観点から、硬化後の第1レジスト層302のTg(ガラス転移温度)は、30℃〜300℃であることが好ましく、60℃〜250℃であるとより好ましい。
第1レジスト層302と基材301、並びに、第1レジスト層302と第2レジスト層307との密着性の観点から、第1レジスト層302の比重による収縮率は、5%以下であると好ましい。
第1の実施の形態におけるドライエッチング条件は、材料により種々設計できるが、例えば、つぎのようなエッチング方法が挙げられる。
第1レジスト層を化学反応的にエッチングする観点から、O2ガスおよびH2ガスを選択することができる。イオン入射成分の増加による縦方向エッチングレート向上という観点から、ArガスおよびXeガスを選択することができる。エッチングに用いるガスは、O2ガス、H2ガス、およびArガスの少なくとも1種を含む混合ガスを使用する。
エッチング時の圧力は、反応性エッチングに寄与するイオン入射エネルギーを高め、エッチング異方性をより向上させることが出来るため、0.1〜5Paであることが好ましく、0.1〜1Paであると、より好ましい。
また、O2ガスあるいはH2ガスと、ArガスあるいはXeガスの、混合ガス比率は、化学反応性のエッチング成分と、イオン入射成分が適量である時に、異方性が向上するため、ガス流量の比率は99sccm:1sccm〜50sccm:50sccmが好ましく、95sccm:5sccm〜60sccm:40sccmがより好ましく、90sccm:10sccm〜70sccm:30sccmがなお好ましい。
プラズマエッチングは容量結合型RIE、誘導結合型RIE、あるいはイオン引き込みバイアスを用いるRIEを用いて行う。例えば、酸素ガスのみ、あるいは酸素ガスとアルゴンガスを90sccm:10sccm〜70sccm:30sccmの間で混合したガスを用い、処理圧力を0.1〜1Paの範囲に設定し、かつ容量結合型RIEあるいは、イオン引き込み電圧を用いるRIEを用いるエッチング方法等が挙げられる。
第1の実施の形態においては、第2レジスト層307中に含まれる蒸気圧の低い成分(例えば、Ti,Zr,Ta等を金属元素として有するゾルゲル材料)が、第1レジスト層302をエッチングする際に、第1レジスト層302の側壁を保護する役割を果たし、その結果、厚みのある第1レジスト層302を容易にエッチング可能になると推定される。
つぎに第2レジスト層307/第1レジスト層302をマスクとし基材301をドライエッチングする。ドライエッチングする条件は、材料に種々設計できるが、例えば、つぎのようなドライエッチング条件が挙げられる。
基材301と第1レジスト層302のエッチングレートの比率(V1/Vb)を小さくするという観点から、塩素系ガスやフッ素系ガスを用いたエッチングを行うことができる。基材301を反応性エッチングすることが容易なフロン系ガス(CxHzFy:x=1〜4、y=1〜8、z=0〜3の範囲の整数)のうち、少なくとも1種を含む混合ガスを使用する。フロン系ガスとしては例えば、CF4、CHF3、C2F6、C3F8、C4F6、C4F8、CH2F2、CH3F等が挙げられる。さらに、基材301のエッチングレートを向上させるため、フロン系ガスにArガス、O2ガス、およびXeガスを、ガス流量全体の50%以下混合したガスを使用する。
エッチング時の圧力は反応性エッチングに寄与するイオン入射エネルギーが大きくなり、基材301のエッチングレートが向上するため、0.1〜5Paであることが好ましく、0.1〜1Paであることがより好ましい。
また、フロン系ガス(CxHzFy:x=1〜4、y=1〜8、z=0〜3の範囲の整数)のCとFの比率(y/x)の異なるフロン系ガス2種を混合し、基材301のエッチング側壁を保護するフロロカーボン膜の堆積量を増減させることで、テーパー形状の角度を作り分けることができる。基材301のマスク形状を、ドライエッチングにより、より精密に制御する場合、F/C≧3のフロンガスと、F/C<3のフロンガスの流量の比率を、95sccm:5sccm〜60sccm:40sccmとすることが好ましく、70sccm:30sccm〜60sccm:40sccmであると、より好ましい。
また、フロン系ガスとArガスの混合ガスと、O2ガスあるいはXeガス、の混合ガスは、反応性エッチング成分とイオン入射成分が適量である場合に、無機基材301のエッチングレートが向上するという観点から、ガス流量の比率99sccm:1sccm〜50sccm:50sccmが好ましく、より好ましくは、95sccm:5sccm〜60sccm:40sccm、さらに好ましくは、90sccm:10sccm〜70sccm:30sccmである。
プラズマエッチングは容量結合型RIE、誘導結合型RIE、あるいはイオン引き込み電圧を用いるRIEを用いて行う。例えば、CHF3ガスのみ、あるいはCF4とC4F8をガス流量の比率90sccm:10sccm〜60sccm:40sccmの間で混合したガスを用い、処理圧力を0.1〜5Paの範囲で設定し、かつ、容量結合型RIEあるいは、イオン引き込み電圧を用いるRIEを用いるエッチング方法等が挙げられる。
モールド303の材質は、微細凹凸構造306を形成でき、凹部304に充填した第2レジスト層307を第1レジスト層302に転写できれば、特に限定されるものではなく、石英、ガラス、アルミナなどの透明金属酸化物、Ni、Cr、Al、Siなどの金属、あるいは、樹脂などの有機材料を適宜使用することができる。
モールド303の微細凹凸構造306の形状は、特に限定されないが、円錐形状、角錐形状、または楕円錘形状の凸部を複数含むピラー形状や、ラインアンドスペース構造であることが好ましく、円錐形状、円柱形状、角錐形状、または楕円錘形状の凸部を複数含むピラー形状であることがより好ましい。ピラー形状においては、ピラーが滑らかな凹部304を通じ隣接していてもよい。あるいは、微細凹凸構造306の形状は、円錐形状、円柱形状、角錐形状、または楕円錘形状の凹部を複数含むホール形状であることが好ましい。ここで、「ピラー形状」とは、「柱状体(錐状態)が複数配置された形状」である。「ホール形状」とは、「柱状(錐状)の穴が複数形成された形状」である。
モールド303の凹部304に第2レジスト層307を充填し、第1レジスト層302に押圧した後、第2レジスト層307/第1レジスト層302からなるマスクパターンを形成し、このマスクパターンを利用してエッチングを行うことを考慮すると、モールド303の微細凹凸構造306は、ホール形状であることが好ましい。また、ホール形状であることは、第2レジスト層307を構成する材料をモールド303の微細凹凸構造306の凹部304に充填する際の充填性や、微細凹凸構造306の耐久性(物理的破壊に対する耐性)の観点からも、好ましい。
また、微細凹凸構造306において、凸部305同士の距離が50nm以上5000nm以下であり、凸部305の高さが10nm以上2000nm以下であることが好ましい。用途にもよるが、凸部305同士の隣接距離(凸部305の頂点同士の間隔)が小さく、凸部305の高さ(凹部304の底から凸部305の頂点までの高さ)が大きいことが好ましい。ここで、凸部305の高さとは、微細凹凸構造306の平均高さより高い部位をいい、凹部304とは、微細凹凸構造306の平均高さより低い部位をいうものとする。
図5は、第1の実施の形態に係る微細凹凸パターン付き基材の製造方法におけるモールドの微細凹凸構造を示す平面模式図である。図5に示すように、微細凹凸構造306においては、面内において直交する第1方向と第2方向に対し、第1方向にピッチPで凹部304が配列し、かつ、第2方向にピッチSで凹部304が配列し、さらに、第2方向に列をなす凹部304の第1方向の位相差αの規則性が低い、周期性と非周期性を併せ持つ配列であってもよい。ピッチPおよびピッチSは、想定する用途に応じて適宜設計することができるため、ピッチPとピッチSが等しく、かつ、位相差αの規則性が高くてもよい。
また、図5においては、凹部304が重なりを持たず独立した状態で描かれているが、第1方向あるいは/および第2方向に配列する凹部304が重なっていてもよい。なお、位相差αとは、隣り合う列(第1方向)において最も近接する凹部304の中心を通る線分(第2方向)の距離をいう。より具体的には、例えば、図5に示すように、第1方向に列をなす、第(N)列のある凹部304中心を通る第2方向の線分と、凹部304から最も近い距離にある、第(N+1)列のある凹部304の中心を通る第2方向の線分との距離を意味する。
例えば、基材301が、LED用のサファイア基材である場合、その表面の加工を行うためのマスク層308では、その微細凹凸パターンは、ピッチが300nm〜500nm、高さが100nm〜1000nmである、ナノスケールで正規配列をなし、かつ、マイクロスケールの大きな周期性を有するホール形状であることが好ましい。
また、上述のように、第2レジスト層307をモールド303の凹部304に充填する方法として、次に示す構造を用いることが好ましい。図6A及び図6Bは、第1の実施の形態に係る微細凹凸パターン付き基材の製造方法におけるモールドの微細凹凸構造を示す断面模式図である。図6A及び図6Bに示すように、モールド302の微細凹凸構造306がピラー形状の場合、1つの凸部601の凸部頂部602を形成する面における、最長の線分の長さ(lx)がサブミクロンスケールであると、モールド303の表面に塗工された第2レジスト材が、系のエネルギーを減少させるように、効率的に凹部603の内部へと充填される結果、上述の距離(lcv)を小さくできるため好ましい。特に、最長の線分の長さ(lx)が、500nm以下であると、上記効果をより一層発揮できるため好ましく、より好ましくは、300nm以下、最も好ましくは、150nm以下である。なお、1つの凸部601の凸部頂部602を形成する面とは、面内の各凸部の頂部位置を通る面と、1つの凸部601の凸部頂部602との交差面を意味する。
図6Aに示すように、凸部602は、凸部底部604の面積の方が凸部頂部602の面積より小さい構造、すなわち、凸部602が、傾斜部605を持つ構造であると、上記効果をより発揮できるため好ましい。さらに、図6Bに示すように、凸部頂部602と傾斜部605とは、連続的に滑らかにつながっていると、上記効果をより一層発揮できるため好ましい。
図7は、第1の実施の形態に係る微細凹凸パターン付き基材の製造方法におけるモールドの微細凹凸構造を示す上面模式図である。図7に示すように、モールド303の微細凹凸構造306がホール形状の場合、1つのホール(A)と、ホール(A)に最近接するホール(B)において、ホール(A)の開口淵部と、ホール(B)の開口淵部をつなぐ、最短の線分(ly)の長さがサブミクロンスケールであると、モールド303の表面に希釈塗工された第2レジスト材が、系のエネルギーを減少させるように、効率的に凹部304の内部へと充填される結果、上述の距離(lcv)を小さくできるため好ましい。特に、最短の線分の長さ(ly)が、500nm以下であると、上記効果をより一層発揮できるため好ましく、より好ましくは、400nm以下、最も好ましくは、300nm以下である。さらに、ピッチPおよびピッチSはともに800nm以下であると上記効果をより発揮するため好ましく、500nm以下であるとより好ましい。
また、ホールの開口部の面積が、ホールの底部の面積よりも大きいと、上記効果をより発揮できるため好ましい。さらに、開口淵と凹部側面とは、連続的に滑らかにつながっていると、上記効果をより一層発揮できるため好ましい。
第2レジスト層307を構成する第2レジスト材中に、希釈塗工後の溶剤揮発過程において様態が変化する材料を含むと、材料自体の面積を小さくするというドライビングフォースも同時に働くと推定されるため、より効果的に第2レジスト材がモールド303の凹部304の内部へと充填される結果、上述の距離(lcv)を小さくできるため好ましい。様態の変化とは、例えば、発熱反応や、粘度の大きくなる変化が挙げられる。例えば、ゾルゲル材料を含むと、溶剤揮発過程で、空気中の水蒸気と反応し、ゾルゲル材料が重縮合する。これにより、ゾルゲル材料のエネルギーが不安定化するため、溶剤乾燥に伴い低下する溶剤液面(溶剤と空気界面)から遠ざかろうとするドライビングフォースが働き、結果、ゾルゲル材料が良好に凹部304の内部へと充填され、距離(lcv)が小さくなると推定される。
以上のように第1の実施の形態に係る微細凹凸パターン付き基材の製造方法によれば、工程(b)において、表面に微細凹凸構造306を有するモールド303の凹部304に第2レジスト層307を充填し、これを、工程(c)及び工程(d)において、基材301上の第1レジスト層302の表面上に転写することで、基材301の表面上に微細構造層が形成される。その後、工程(f)において、第2レジスト層307からなる微細構造層をマスクとして第1レジスト層302をエッチングして基材301の表面の一部を露出させ、第2レジスト層/第1レジスト層から構成されるマスク層308を形成する。
このマスク層308は、モールド303の微細凹凸構造306に対応した微細凹凸パターンを有している。次いで、工程(g)において、このマスク層308を用いて基材301のエッチングを行うことにより、基材301の表面に微細凹凸構造パターンが形成される。ここで、第2レジスト層307/第1レジスト層302から構成されるマスク層308の厚さは、工程(a)において第1レジスト層302の厚さを調整することで決定できるので、第2レジスト層307の厚さ、すなわち、モールド303の微細凹凸構造306の高さ(深さ)hに関わらずに、マスク層308の厚さを制御できる。これにより、第2レジスト層307の厚さは、第1レジスト層302のエッチングのためのマスクとして機能し得る程度にあれば足りるので、モールド303の微細凹凸構造306の高さ(深さ)hを、最終的な微細凹凸パターン402の凹凸の高さ(深さ)よりも浅くしても何ら支障はない。
また、工程(b)において、モールド303の凸部305の上の第2レジスト層の厚さに相当する距離(lcv)を非常に小さくし、かつ、実質的にモールド303の微細凹凸構造306における凹部304の内部にのみ第2レジスト層307がある構成(lcc>0)とし、第2レジスト層307により形成される微細マスクパターンの幅に影響を与える残膜処理過程が必要ないか、あるいは、非常に容易となる。これにより、精度の高い微細マスクパターンを形成することができる。
このように、工程(b)において、第2レジスト層307がモールド303の凸部305の上に配置されないか、配置されたとしても非常に薄くなるように制御したとしても、後に行われる基材301のエッチングで支障は生じない。そこで、工程(f)を経て得られる表面にマスク層308が形成された基材301の露出部分には、第2レジスト層307の残膜がないか、又は、あったとしても非常に薄くなる。これにより、工程(g)で基材307をエッチングする前の残膜除去が不要になるか、又は、残膜除去による微細凹凸パターン402の目減りが低減される。この結果、所望の微細凹凸パターン402を有する微細凹凸パターン付き基材410を容易に製造することが可能となる。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図8は、第2の実施の形態に係る微細凹凸パターン付き基材の製造方法を示す概略図である。第2の実施の形態では、第1の実施の形態の工程(b)〜(e)をこの順番で繰り返すステップアンドリピート方式を採用している。
まず、第1の実施の形態と同様に、基材301に第1レジスト層302を形成する。
次に、図8に示すように、基材301とは別途用意した転写用部材801上に、第2レジスト層を構成する第2レジスト材802を塗布する。
転写用部材801としては、平滑面を有すれば特に限定されるものではなく、例えば、合成成型や溶融石英に代表される石英、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラスに代表されるガラスや、シリコンウェハ、サファイア、ダイヤモンド、SiC基板、マイカ基板などを挙げることができる。
転写用部材801上への第2レジスト材の塗布方法としては、所望厚みで均等に塗布できれば、特に制限されるものではなく、例えば、スピンコート、ディスペンサ、凹版印刷、凸版印刷、スプレーコートなどを挙げることができる。
転写用部材801の形状としては、後述のモールド803の凹部に第2レジスト層が均等に充填されれば特に限定されるものではなく、平面状、ロール状、曲面状などの形状が挙げられる。ロール状、曲面状の場合は、モールド803に対し、十分大きな曲率半径を有することが好ましい。
次に、第2レジスト材802が塗布された転写用部材801に、モールド803を押圧する。これにより、第1の実施の形態の工程(b)と同様に、モールド803の凹部の内部に、第2レジスト層が充填される。このとき、上述の式(1)および(2)を満たすように、第2レジスト層がモールド803の凹部内部に優先的に充填されるために、第2レジスト層の表面エネルギーが、凹部内部に充填されると減少されるように、モールド803の微細凹凸構造を設計する必要がある。具体的には、ナノオーダーのピッチを有し、凹凸構造を有すると好ましい。さらに、第2レジスト層の組成調整により、モールド803との接触界面エネルギーを、凹部内部に充填され、エネルギーが減少するように調整することが好ましい。具体的には、第2レジスト層とモールド803を構成する部材との接触角が110度以下であると好ましく、100度以下であると、モールド803の微細凹凸構造が容易となるためさらに好ましい。
次に、第2レジスト層が微細凹凸構造の凹部の内部に充填されたモールド803を、第1レジスト層が形成された基材301へ押圧する。次いで、熱エネルギー照射又は光エネルギー照射により、第1レジスト層と第2レジスト層とを化学的に結合させる。この後、モールド803を剥離すると、基材301の表面には、第2レジスト層307が残される。モールド803は、再び転写用基材801への押圧工程に移行する。この結果、基材301の表面上には、第1の実施の形態と同様に、図3Dに示すように、基材301上に第1レジスト層302及び第2レジスト層307が順次積層され、且つ、モールド303の微細凹凸構造306の反転形状を有する、第2レジスト層/第1レジスト層/基材から構成される積層体310が得られる。
以上のように、第2の実施の形態に係る微細凹凸パターン付き基材の製造方法によれば、ステップアンドリピート方式を採用することにより、工業的な生産性が非常に高くなる。また、ステップアンドリピート方式を採用した場合においても、従来のようにレジストの残膜を薄くする必要がないため、生産タクトを飛躍的に高めることができ、工業生産上、非常に有用である。なんとなれば、第1レジスト層302のパターン形成は、第2レジスト層307をマスクとして行うので、第1レジスト層302を薄くする必要がないためである。第1レジスト層302のパターン形成工程が必要となるが、対象ウェハにつき、1回で済むため、ステップアンドリピートの押圧毎のタクト遅れが積算として、生産タクトを大きく減少させることに対し、有用である。
すなわち、従来はレジスト残膜を薄くしないとエッチング後のパターン高さを確保できない。一方、本件では、第2レジスト層をマスクとして第1レジスト層をエッチング後、第1レジスト/第2レジスト層をマスクとして基材をエッチングするため、残膜制御の概念がなくなる。
<実施例>
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する。
実施例においては、以下の材料および測定方法を用いた。
・TTB…チタンテトラブトキシド
・DEDFS…ヂエトキシヂフェニルシラン
・X21−5841…末端OH変性シリコーン(信越シリコーン社製)
・SH710…フェニル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製)
・PGME…プロピレングリコールモノメチルエーテル
・MIBK…メチルイソブチルケトン
(1)石英モールドの作製
20mm×20mm×t5mmの石英ガラス上にフォトレジストを塗布し、電子線ビーム描画法を用いて、微細凹凸形状をその表面に形成した。その後、フォトレジストをマスクとして、ドライエッチングにより微細凹凸形状を石英表面に形成した。この表面と断面を電解放出型走査電子顕微鏡(STEM)で観察したところ、ピッチが460nm、径430nm、深さが500nmの円錐状凹部が、六方格子で配列された形状であった。
(2)第1レジスト材
第1レジスト層を構成する第1レジスト材としては、光硬化性樹脂MUR−XR02(丸善石油化学社製)を用意した。
(3)第2レジスト材の調合
第2レジスト層を構成する第2レジスト材として、下記の材料を、下記の割合で調合し、十分に混合した。
TTB;DEDFS;TEOS;X21−5841;SH710
=65.25:21.75:4.35:4.35:4.35[g]
続いて、3.25%の水を含むエタノール2.3mlを、攪拌下で、徐々に滴下した。その後、80度の環境で4時間熟成し、真空引きを行い、第2レジスト材を得た。
(4)基材の加工
基材には、サファイア基材を使用した。2インチφのサファイア基材表面を、オゾンにより親水処理した。続いて、第1レジスト材を、溶剤(PGME、MIBKあるいは、シクロヘキサン)で希釈し、2000rpmの速度のスピンコート法により、サファイア基材のオゾン処理面上に薄膜を形成した。続いて、80℃のホットプレート上に2分間静置し、その後、120℃のホットプレート上に2分間静置し、溶剤を除去した。
別途、転写用部材として、石英基材を用意した。2インチφの石英基材表面を、オゾンにより親水処理した。続いて、第2レジスト材を、溶剤(PGME、MIBKあるいは、シクロヘキサン)で希釈し、2000rpmの速度のスピンコート法により、石英基材上に薄膜を形成した。
前記の方法で得られたモールドを、微細凹凸面を下に第2レジスト材の薄膜が形成された石英基材に押し当て、モールド微細凹凸面の凹部に第2レジスト層を充填させた後、前記した第1レジスト材の薄膜が形成されたサファイア基材へ押圧し、押圧した状態で、石英モールド裏面からUV光を照査し、モールドが押し当てられた部分のみ、第1レジスト層と第2レジスト層を硬化させた。その後、モールドを離型し、サファイア基材上に第2レジスト層/第1レジスト層/サファイア基材から構成される積層体を得た。
さらに、モールドを再度、第2レジスト層薄膜が形成された石英基材に押し当て、第2レジスト層を凹部に充填させた。モールドを押し当てる位置は、1回目の位置より20mm石英モールドの大きさだけずらした位置とした。その後、第1レジスト層薄膜が形成されているサファイア基材上に、1回目の位置より20mmずらし、押圧、UV照射後、モールドを剥離した。
以上の工程を石英基材、サファイア基材、各々、モールドの大きさだけずらして繰り返し、サファイア基材全面に、第2レジスト層/第1レジスト層/サファイア基材から構成される積層体を得た。
得られたサファイア基材の断面をSTEMで観察したところ、サファイア基材上に第2レジスト層/第1レジスト層の順で積層されたマスク層が形成されており、かつ、凸部頂部のみに第2レジスト層が形成されていた。
次に、得られたサファイア基材をドライエッチングした。第2レジスト層面側から、O2によるエッチングを行い、第2レジスト層をマスクとして、第1レジスト層を微細構造化した。この状態のサファイア基材を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図9が得られた。図9から、第1レジスト層の残膜がなくなり、サファイアが露出しており、残膜のない微細パターンを得ることができていることがわかった。
さらに、サファイア基材を、上記第2レジスト層/第1レジスト層の積層体をマスクとして、BCl3でドライエッチングした。エッチング後のサファイアをSEMで観察したところ、図10が得られた。図10から、アスペクトの高いナノオーダーの微細凹凸構造がサファイア基材上に得られていた。
以上の実施例から、本発明によれば、第2レジスト層の形態として、上述の距離(lcv)が非常に小さく、モールドの微細凹凸構造における凹部内部にのみ第2レジスト層がある構成となるため(lcv>0)、第2レジスト層により形成される微細マスクパターンの幅に影響を与える残膜処理過程が必要ないか、あるいは、非常に容易となり。これにより、精度の高い微細マスクパターンを形成することができる。また、微細マスクパターンをステップアンドリピート方式で形成できるために、工業的に生産性が非常に高くなることがわかった。また、微細マスク形成用積層体を使用することで、合計面積が大きく、残膜のない(あるいは、非常に薄い)マスク層を容易に形成できることがわかった。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。