JP5871318B2 - 冷菓製造装置 - Google Patents
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Description
そして、ブライン槽内に貯留されたブラインに、ブライン槽に配設されたブライン供給管から、このブライン供給管に形成した多数の丸孔からなるブライン噴出口を介して冷却したブラインを供給するようにした冷菓製造装置が提案され、実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
Q=h・A・(Tw−Ta)
h=Nu・k/L
Nu=0.664・Re1/2・Pr1/3
ここで、h:比例定数(熱伝導係数)(W/(m2・K))
A:表面積(m2)
Tw:モールドの表面温度(K)
Ta:ブライン温度(K)
Nu:ヌセルト数
k:流体の熱伝導率(W/(m・K))
L:流れ方向の板長(m)
Re:レイノルズ数(=U・L/ν)(U:流速、ν:動粘性係数)
Pr:プラントル数(=η・Cp/k)(η:粘性係数、Cp:比熱)
である。
上記の式より、熱移動量Qを向上させるためには、固定値である表面積A並びに温度Tw及びTa以外の熱伝導係数hを大きくする必要がある。
そして、熱伝導係数hを決定するパラメータのうち、使用するブラインを変更しない(動粘性係数νや粘性係数ηが変わらない)場合には、変動させることができるパラメータは流速Uとなる。
したがって、ブラインからモールド内の冷菓原料に熱が伝わる速度(熱移動量Q)を上げるためには、モールドに当たるブラインの流速Uを上げる必要がある。
しかしながら、単に、ブラインの流量を増やす方法では、本件出願人が行った実験では、例えば、ブラインの流量が100L/minの場合に、常温で供給されたモールド内の冷菓原料の温度を−16℃に到達させるために必要となる凍結時間が、約550秒であるブライン噴出口を備えたブライン槽の場合、この凍結時間を約400秒にまで短縮するためにはブラインの流量を5倍以上にする必要があり、設備が大型化するとともに、エネルギ消費が大きくなるという問題があった。
また、この場合、ブラインの流量が大幅に増大することで、ブライン供給管の隣接するブライン噴出口を介して供給されたブライン同士が干渉し合うことによって、ブラインの流れが阻害され、幅方向に並ぶ複数の袋部を備えたモールドの冷却温度に温度ムラが発生しやすくなるという問題があった。
そして、ブライン噴出口を、ブラインの噴出方向が、ブライン槽のモールドの入側と出側とで異なる方向の斜め上向きとなるように形成することにより、モールドの前面及び背面に対して、ブラインを均一に当てることができ、ブライン槽の幅方向に並ぶ複数の袋部を備えたモールドの冷却温度に温度ムラが発生することを防止することができるとともに、冷却効率を向上させることができる。
この冷菓製造装置1は、ブライン槽2内に貯留されたブラインに、ブライン冷却手段5によって冷却されたブラインを供給するブライン噴出口3を備えたブライン槽2と、板状部材40に冷菓の形状をした複数の袋部41を設けた冷菓原料を充填するモールド4(図5参照。)と、このモールド4を架け渡すようにして取り付けた無端状の搬送手段6と、ブライン槽2の手前でモールド4の袋部41に冷菓原料を充填する原料充填手段7と、モールド4がブライン槽2から出たところでモールド4の袋部41から凍結した冷菓を取り出す冷菓取出手段8とを備えるようにしている。
また、冷菓製造装置1には、ブライン槽2を移動する途中で部分的に凍結した冷菓原料にスティックを挿入するスティックインサータ(図示省略)を配備することができる。
そして、ブライン冷却手段5に環流したブラインは、冷却され、再びブライン噴出口3からブライン槽2に供給、噴出されるように構成されている。
これにより、ブライン槽2内のブラインは、常に所定温度(例えば、−35℃)を保ち、モールド4の袋部41内の冷菓原料を冷却、凍結することができるようにしている。
この場合、スリット状のブライン噴出口3は、ブライン槽2の幅方向の寸法(対向する堰20間の寸法)の、好ましくは、80%以上、より好ましくは、90%以上をカバーするように形成する。
これにより、ブライン噴出口3から噴出されるブラインは、スリット状のブライン噴出口3から面状に噴出されることとなるため、ブライン噴出口をブライン供給管に形成した多数の丸孔で構成した従来の冷菓製造装置のようにブライン供給管の隣接するブライン噴出口を介して供給されたブライン同士が干渉し合うことがなく、また、ブライン槽2内に貯留されたブラインから受ける抵抗が小さいため、ブライン噴出口3での初速度をモールド4の近傍まで維持しやすく、さらに、ブラインの流れに偏りが生じにくいことと相俟って、ブライン槽2の幅方向に並ぶ複数の袋部41を備えたモールド4の冷却温度に温度ムラが発生することを防止することができるとともに、冷却効率を向上させることができる。
これにより、ブライン噴出口3を簡易に形成することができるとともに、各ブライン噴出口3への冷却されたブラインの供給量の調整を簡易に行うことができる。
この場合、ブライン供給管30を配設する長手方向の間隔Pは、等間隔に、例えば、100mm〜400mmの間隔、好ましくは200mm〜300mmの間隔(本実施例においては、約250mmの間隔)で配設するようにしている。
このように、ブライン供給管30を長手方向に間隔Pをあけて配設することにより、隣接するブライン噴出口3を介して供給されたブライン同士が干渉し合うことがなく、移動方向に対して50〜70mm(本実施例においては、63.5mm)の等間隔に並ぶモールド4に対して、ブラインを均一に当てることができ、ブライン槽2の幅方向に並ぶ複数の袋部41を備えたモールド4の冷却温度に温度ムラが発生することを防止することができるとともに、冷却効率を向上させることができる。
なお、ブライン供給管30を配設する長手方向の間隔P、すなわち、ブライン噴出口3の間隔は、ブライン槽2の長手方向の全長に亘って等間隔とするほか、例えば、ブライン槽2のモールド4の入側では狭く、出側では広く設定したり、その逆に設定することで、モールド4の袋部41に充填した冷菓原料の冷却状態を調整するようにすることができる。
また、スリット長さbは、ブライン供給管30の略全長に亘る1本の連続したスリットとすることも可能であるが、本実施例においては、強度を保持するために、部分的に接続部を設けた断続的な形状に形成するようにしている。
より具体的には、ブライン槽2の長手方向の略全長に亘って配設した2本のブライン供給母管31に形成したブライン供給口31aと連結する連結口30aをブライン供給管30に形成し、ブライン供給管30を2本のブライン供給母管31に架け渡すように水平に配設するようにしている。
なお、ブライン供給管30は、水平に配設するほか、例えば、中央部を高くした山形となるように配設することもできる。
これにより、ブライン噴出口3からモールド4までの最短距離で噴出されたブラインがモールド4に当たり、ブラインの噴出速度の低下を最小限に抑え、冷却効率を向上させることができる。
斜め上向きに形成する場合の角度α(図3に示す鉛直上向きを0度としたときの時計回り及び反時計回りの角度α)は、ブライン噴出口3からモールド4までの距離、ブラインの粘性等の諸条件に応じて任意に設定することができるが、ブライン噴出口3から噴出されたブラインがモールド4に到達するまでの距離を考慮して、通常、45度以下、好ましくは、30度以下、より好ましくは、5〜15度程度の角度に設定するようにする。
これにより、モールド4の前面又は背面に対して、ブラインを均一に当てることができ、ブライン槽2の幅方向に並ぶ複数の袋部41を備えたモールド4の冷却温度に温度ムラが発生することを防止することができるとともに、冷却効率を向上させることができる。
ここで、ブラインの噴出方向は、ブライン槽2の全長に亘って同じ方向とする(参考例)ほか、ブライン槽2のモールド4の入側(図1における右側)と出側(図1における左側)とで異なるようにすることができる。例えば、ブライン槽2の入側では、モールド4の移動方向に向け、モールド4の背面側にブラインが当たるようにし、ブライン槽2の中央部近傍で鉛直上向きとなるようにするとともに、ブライン槽2の出側では、モールド4の移動方向と逆方向に向け、モールド4の前面側にブラインが当たるようにすることができる。
この間隔Lは、ブラインが、スリット状に形成したブライン噴出口3から面状に噴出されるため、モールド4に可及的に近付けることもでき、好ましくは、10mm〜70mm、さらに好ましくは、10mm〜50mmとすることにより、ブラインの速度の低下を最小限に抑え、冷却効率を向上させることができる。
また、冷菓の形状に合わせて変更するモールド4に合わせて、間隔Lを変更することができるように、ブライン噴出口3を上下に移動させる駆動機構(図示省略)を設けることができる。
そして、駆動機構を備えることで、間隔Lを、冷菓製造装置1の運転中に作業者が最適と思われる値に設定することもできる。
また、実験に使用したブライン槽2は、長手方向の寸法が1850mm、幅方向の寸法が490mm(表面積約1m2)のものを使用した。
なお、ブライン槽2の長手方向の寸法の関係から、モールド4を、ブライン槽2の長手方向を往復移動させて凍結時間を計測した。
冷菓製造装置1の場合、ブラインの流量100L/minの場合には、従来の冷菓製造装置と比べて凍結時間に大きな違いはないものの、ブラインの流量を増加させたときに、冷却効率の向上(凍結時間の短縮)の効果が顕著に表れる結果が得られた。
2 ブライン槽
20 堰
3 ブライン噴出口
30 ブライン供給管
31 ブライン供給母管
4 モールド
a スリット幅
b スリット長さ
P ブライン供給管の間隔
Claims (5)
- ブライン槽内に貯留されたブラインに、冷却されたブラインを供給するブライン噴出口を備えたブライン槽の槽内を、該ブライン槽の長手方向に冷菓用原料を充填したモールドを移動させることによって前記冷菓用原料を凍結させるようにした冷菓製造装置において、モールドの移動方向に対して直交するブライン槽の幅方向に亘って開口したスリット状のブライン噴出口を、ブライン槽の長手方向に間隔をあけて複数、かつ、ブラインの噴出方向が、ブライン槽のモールドの入側と出側とで異なる方向の斜め上向きとなるように形成し、モールドの前面及び背面にブラインが当たるようにしたことを特徴とする冷菓製造装置。
- 前記ブライン噴出口を、ブラインの噴出方向が、ブライン槽の中央部で、鉛直上向きとなるように形成したことを特徴とする請求項1記載の冷菓製造装置。
- 前記ブライン噴出口を、モールドの下端から10mm〜100mmの間隔をあけて形成するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の冷菓製造装置。
- 前記ブライン噴出口を、モールドの移動方向に対して直交するブライン槽の幅方向に亘って、かつ、ブライン槽の長手方向に間隔をあけて複数配設したブライン供給管にそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の冷菓製造装置。
- ブライン槽の面積1m2当たりのブライン噴出口から供給するブラインの流量を150L/min〜350L/min、ブラインの噴出速度を0.4m/sec〜1.5m/secとしたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の冷菓製造装置。
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