JP5869511B2 - 銅系摺動部材 - Google Patents

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Description

本発明は、銅合金からなる基体に固体潤滑剤が埋設されている銅系摺動部材に係り、すべり軸受として好適な銅系摺動部材に関する。
従来、高温、かつ乾燥潤滑条件下で使用される摺動部材として、摺動特性に優れた固体潤滑剤埋設型の摺動部材が知られている。例えば、特許文献1に開示される技術においては、銅系あるいは鉄系合金からなる金属基体に複数個の孔または凹部が形成されており、該孔または凹部には黒鉛を主体とする棒状の固体潤滑剤を埋設固定することにより、固体潤滑剤埋設型の摺動部材を作製している。
また、特許文献2に開示される技術においては、摺動部材の材料として、母相がα+β相あるいはβ相組織の高力銅合金が用いられる場合において、母相中に針状に晶出させたMnSi等の珪化マンガン系の金属間化合物(以下、「針状Mn−Si系化合物」という)を分散させることにより、高力銅合金の耐摩耗性が向上するという効果が得られるとしている。
特開平11−166539号公報 特開昭51−41569号公報
しかしながら、特許文献2に開示される技術のように、針状Mn−Si系化合物が分散した銅合金を特許文献1の固体潤滑剤埋設型の摺動部材の基体として用いた場合、耐摩耗性が高められる反面、針状Mn−Si系化合物の粒子の大きさ(長軸方向の長さ)として大きすぎるものが存在すると、摺動中に針状Mn−Si系化合物が摺動面から脱落した際に、摺動面に露出する固体潤滑剤の表面を傷つけ、焼付が起こりやすいという問題がある。一方、針状Mn−Si系化合物の全ての粒子の大きさ(長軸方向の長さ)が小さすぎると、十分な耐摩耗性を確保することができない。
本発明は、上記した事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、針状Mn−Si系化合物が分散した銅合金からなる基体に固体潤滑剤が埋設されている銅系摺動部材において、針状Mn−Si系化合物の分散状態を制御することにより、優れた耐焼付性を有する銅系摺動部材を提供することにある。
上記した目的を達成するために、本発明が採用した構成を図面を参照して説明すると、請求項1に係る発明は、図1乃至図3に示すように、素地2中にMn−Si系化合物3,5を分散させた銅合金からなる基体1と固体潤滑剤6とを用いた銅系摺動部材7であって、前記銅合金は、Siが0.3〜2.0質量%、Mnが1.0〜6.0質量%、残部がCu及び不可避的不純物から構成され、前記基体1には複数の孔または凹部が形成され、該孔または凹部には前記固体潤滑剤6が埋設されている銅系摺動部材7において、前記Mn−Si系化合物3,5は、長軸方向の長さが50μm以上である針状Mn−Si系化合物3の粒子を含み、該針状Mn−Si系化合物3の総数の50%以上が複数の小粒子4から構成されることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の銅系摺動部材7において、図3に示すように、前記銅合金中の前記長軸方向の長さが50μm以上である針状Mn−Si系化合物3の全てが複数の小粒子4から構成されることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2記載の銅系摺動部材7において、前記銅合金中の前記長軸方向の長さが50μm以上である針状Mn−Si系化合物3を構成する前記小粒子4の総数の70%以上で、当該小粒子4の前記長軸方向に対する長さが45μm以下であることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の銅系摺動部材7において、前記銅合金は、前記長軸方向の長さが50μm以上である針状Mn−Si系化合物3を3〜50体積%含有することを特徴とする。
請求項1に係る発明は、素地中に針状Mn−Si系化合物3を分散させた銅合金を銅系摺動部材7の基体として用いているが、この銅系摺動部材7は、円筒状の摺動部材または板状の摺動部材として使用されるものである。また、図1に示すように、銅系摺動部材7の基体1には、複数個の孔または凹部が形成されており、該孔または凹部には、固体潤滑剤6として、例えば、黒鉛を主体とする棒状の固体潤滑剤が埋設固定されている。本発明の銅系摺動部材7は、少なくとも摺動面7aに固体潤滑剤6が露出する形態であればよく、例えば、摺動面7aとなる基体1の表面部分のみに複数個の孔または凹部が形成され、該孔または凹部に固体潤滑剤6が埋設されるように構成してもよい。なお、銅系摺動部材7の摺動面7aに露出する固体潤滑剤6の面積率は、5〜40%の範囲で形成されるものである。また、銅系摺動部材7の摺動面7aに露出する各固体潤滑剤6の大きさは、例えば、円形の場合の直径が3〜20mm程度に形成されるものである。
また、本発明の銅合金は、例えば、Snが2〜15質量%、Niが2〜10質量%、Znが10〜40質量%、Alが2〜15質量%のうち少なくとも1種以上を含有させることができる。また、本発明の固体潤滑剤6は、例えば、黒鉛、MoS、WS、BN、PTFEのうち少なくとも1種以上から選択することができる。
また、請求項1に係る発明は、銅合金の素地2中にMn−Si系化合物として針状Mn−Si系化合物3を分散させているが、この針状Mn−Si系化合物3は、耐摩耗性の向上に寄与する化合物である。特に、針状Mn−Si系化合物3の長軸方向の長さが50μm以上であると、耐摩耗性が向上するという効果が得られる。この針状Mn−Si系化合物3は、鋳造時にMnとSiが針状の粒子の形態として銅合金の素地中に晶出して形成されるものである。なお、針状Mn−Si系化合物3の長軸方向の長さは、最大で400μm程度である。
また、請求項1に係る発明は、針状Mn−Si系化合物3が複数の小粒子4から構成されているが、これらの複数の小粒子4は、針状Mn−Si系化合物3を分散させた銅合金を、制御された加工率で塑性加工することで、針状Mn−Si系化合物3を分断することによって形成されるものである。
そして、請求項1に係る発明は、図2に示すように、素地2中に針状Mn−Si系化合物3を分散させた銅合金において、長軸方向の長さが50μm以上である針状Mn−Si系化合物3の総数の50%以上が複数の小粒子4から構成されることで、この銅合金を銅系摺動部材7の基体1として用いる場合、摺動中に針状Mn−Si系化合物3が脱落するとしても、針状Mn−Si系化合物3を構成する小粒子4が脱落するようになり、摺動面7aに露出する固体潤滑剤6の表面を傷つけるような粗大な針状Mn−Si系化合物3が脱落する頻度が減るため、焼付き難くなる。また、図3に示すように、素地2中に針状Mn−Si系化合物3を分散させた銅合金において、長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物3だけでなく、長軸方向の長さが50μm未満のMn−Si系化合物5を含んだとしても、この銅合金を銅系摺動部材7の基体1として用いる場合、摺動中に脱落した際に有害な異物にはならないため、耐焼付性には影響を及ぼさない。
また、針状Mn−Si系化合物3を構成する小粒子4同士の間の隙間は、5μm以下であることが望ましい。この小粒子4同士の表面間距離が5μm以下であると、摺動中に小粒子4が脱落し易くならず、針状Mn−Si系化合物3の形態を長く維持することができる。また、素地2中に針状Mn−Si系化合物3を分散させた銅合金を塑性加工した際、針状Mn−Si系化合物3は、長軸方向に対して主に垂直方向に分断されるが、長軸方向に対して平行方向に分断される場合も許容される。
また、素地2中に針状Mn−Si系化合物3を分散させた銅合金を銅系摺動部材7の基体1として用いる場合、摺動面7aから少なくとも深さ100μm以内の領域において、本発明の針状Mn−Si系化合物3の形態を成していれば、上記と同様の効果が得られることを実験で確認している。
また、銅合金の素地2中に晶出する針状Mn−Si系化合物3の分散状態の制御方法について説明する。針状Mn−Si系化合物3の大きさは、鋳造時の条件によって長軸方向の長さを50μm以上にすることができる。そして、鋳造後、ビレットを所定形状の棒材に加工率を制御して押出加工をすると、針状Mn−Si系化合物3を複数の小粒子4に分断することができる。これは、図4に示すように、素地2中に針状Mn−Si系化合物3を分散させた銅合金の押出加工をする際、素地2の塑性変形量Aに対し、針状Mn−Si系化合物3の塑性変形量Bが小さいためである。ただし、銅合金の素地2中に分散した長軸長さが50μm未満のMn−Si系化合物5は、分断されてもされなくても良い。
また、引抜加工、鍛造加工など鋳物内部に塑性変形を起こさせる加工法であれば、その加工率を制御することで、本発明の針状Mn−Si系化合物3の形態を形成することが可能であるため、押出加工に限定されない。
請求項2に係る発明は、図5に示すように、素地2中に針状Mn−Si系化合物3を分散させた銅合金において、長軸方向の長さが50μm以上である針状Mn−Si系化合物3の全てが複数の小粒子4から構成されることで、この銅合金を銅系摺動部材7の基体1として用いる場合、摺動中に針状Mn−Si系化合物3が脱落するとしても、複数の小粒子4から構成されない長軸方向の長さが50μm以上である針状Mn−Si系化合物3が含まれておらず、摺動面7aに露出する固体潤滑剤6の表面を傷つけるような粗大な針状Mn−Si系化合物3が脱落する頻度がより減るため、より焼付き難くなる。
請求項3に係る発明は、素地2中に針状Mn−Si系化合物3を分散させた銅合金において、長軸方向の長さが50μm以上である針状Mn−Si系化合物3を構成する小粒子4の総数の70%以上で、当該小粒子4の長軸方向に対する長さが45μm以下であることで、この銅合金を銅系摺動部材7の基体1として用いる場合、摺動中に針状Mn−Si系化合物3が脱落するとしても、針状Mn−Si系化合物3の長軸方向に対する長さが45μm以下の小粒子4が脱落するようになり、摺動面7aに露出する固体潤滑剤6の表面を傷つけるような粗大な針状Mn−Si系化合物3が脱落する頻度がより減るため、より焼付き難くなる。
請求項4に係る発明は、素地2中に針状Mn−Si系化合物3を分散させた銅合金において、長軸方向の長さが50μm以上である針状Mn−Si系化合物3を3〜50体積%含有することで、耐摩耗性に好適である。長軸方向の長さが50μm以上である針状Mn−Si系化合物3が50体積%を超えると、銅合金の素地2中に針状Mn−Si系化合物3が過剰に晶出した状態であり、銅合金が硬くなりすぎる。一方、長軸方向の長さが50μm以上である針状Mn−Si系化合物3が3体積%未満であると、耐摩耗性の向上の効果が十分でない。
なお、請求項に係る発明のように、銅合金は、Siが0.3〜2.0質量%、Mnが1.0〜6.0質量%、残部がCu及び不可避的不純物から構成されている。Siは、Mnと反応し、摺動特性の向上に寄与するMn−Si系化合物を形成する元素であり、0.3〜2.0質量%含有させている。Siが0.3質量%未満では、Mn−Si系化合物の形成量が少ないため、摺動特性の向上の効果が不十分となり、2.0質量%を超えると、銅合金が硬くなりすぎる。より好ましくは、Siの含有量が0.6〜1.2質量%の範囲である。
Mnは、Siと反応し、摺動特性の向上に寄与するMn−Si系化合物を形成する元素であり、1.0〜6.0質量%含有させている。Mnが1.0質量%未満では、Mn−Si系化合物の形成量が少ないため、摺動特性の向上の効果が不十分となり、6.0質量%を超えると、銅合金が硬くなりすぎる。より好ましくは、Mnの含有量が2.0〜4.0質量%の範囲である。
また、銅合金は、さらにZn、Fe、Al、Ni、Sn、Cr、Ti、Mo、Co、Zr、Sb、Pb、Biより選択される少なくとも1種以上を総量で0.1〜40質量%含有させてもよい。Znは、耐腐食性に寄与する元素であり、20〜40質量%含有させることが好ましい。Znが20質量%未満では、高温環境下での耐腐食性が十分でなく、40質量%を超えると、銅合金が硬くなりすぎる。より好ましくは、Znの含有量が28〜40質量%の範囲である。
また、Fe、Al、Ni、Sn、Cr、Ti、Mo、Co、Zr、Sbは、銅合金のマトリクスの強化に寄与する元素であり、0.1〜5質量%含有させることが好ましい。これらの元素が0.1質量%未満では、銅合金の強度向上の効果が不十分であり、5質量%を超えると、銅合金が硬くなりすぎる。また、これらの元素は、MnやSiと結合し、化合物を形成することもある。本発明における針状Mn−Si系化合物3は、上記の元素との化合物であってもよい。
また、Pb、Biは、潤滑性の向上に寄与する元素であり、0.1〜5質量%含有させることが好ましい。これらの元素が0.1質量%未満では、潤滑性の向上の効果が不十分であり、5質量%を超えると、銅合金が硬くなりすぎる。
銅系摺動部材の摺動面に露出する固体潤滑剤を示す模式図である。 銅合金の素地中に晶出した長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物が複数の小粒子から構成される銅系摺動部材の基体を示す模式図である。 銅合金の素地中に長軸方向の長さが50μm未満のMn−Si系化合物が含まれる銅系摺動部材の基体を示す模式図である。 銅合金の押出加工時における針状Mn−Si系化合物の分断による複数の小粒子の形成を説明するための図である。 銅合金の素地中に晶出した針状Mn−Si系化合物の全てが複数の小粒子から構成される銅系摺動部材の基体を示す模式図である。 銅系摺動部材の摺動面に露出する固体潤滑剤の摩耗形態を示す断面図である。
本実施形態に係る素地2中に針状Mn−Si系化合物3を分散させた銅合金からなる基体1と固体潤滑剤6とを用いた銅系摺動部材7について、図1乃至図6を参照して説明する。実施例A〜Fおよび比較例A〜Eの作製方法として、まず、所定の化学組成で鋳造し、銅合金の素地2中に針状Mn−Si系化合物3を晶出させた。この銅合金鋳物は、その後押出加工(図4参照)、引抜加工または鍛造加工が施される。また、鋳造時の冷却温度、熱間加工時の加工率を制御することにより、針状Mn−Si系化合物の分散状態を制御した。特に、実施例A〜Fは、多くの針状Mn−Si系化合物3の長軸方向の長さが50μm以上に成長するよう、鋳物を徐冷して凝固させ、熱間加工時の加工率を従来よりも高くすることで、長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物3が複数の小粒子4に分断している円筒形状の基体1を作製した。また、比較例A〜Eは、実施例A〜Fと同様に多くの針状Mn−Si系化合物3の長軸方向の長さが50μm以上に成長するよう、鋳物を徐冷して凝固させ、熱間加工時の加工率を従来のように低くし、長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物3が複数の小粒子4に分断していない円筒形状の基体1を作製した。
上記した針状Mn−Si系化合物3の分散状態は、銅系摺動部材7の基体1において、押出方向、引抜方向、鍛造方向に対して垂直な方向から見た断面の組成像を500倍で撮影し、得られた組成像から一般的な画像解析手法(解析ソフト:Image−ProPlus(Version4.5);(株)プラネトロン製)等を用いて測定した。
また、上記のように作製した円筒形状の基体1において、図1に示すように、外径面から内周面に貫通する複数の孔(直径5mm)を形成し、該孔に別に準備した円柱状の固体潤滑剤6として黒鉛を埋設し、摺動面7aに固体潤滑剤6が露出する実施例A〜Fおよび比較例A〜Eの銅系摺動部材7を作製した。なお、実施例A〜Fおよび比較例A〜Eは、摺動面7a(円筒形状の基体1の内径面)において、固体潤滑剤6の面積率が20%となるように作製した。
まず、実施例A,Bおよび比較例Aの銅系摺動部材7について、軸受試験機を用いた摩耗試験を行った。表1に摩耗試験条件を示す。表2には、実施例A,Bおよび比較例Aの化学組成、針状Mn−Si系化合物3の分散状態に関わるパラメータおよび摩耗量を示す。表2に示す「針状粒子の長径の平均」とは、長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物3の最大フェレ径の平均値を示している。また、「針状粒子の体積%」とは、銅系摺動部材7の基体1の表面および内部が同等の分散状態になるため、長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物3の観察視野に対する面積%を測定し、その測定結果を示している。また、「分断された針状粒子の個数割合」とは、観察視野内にある長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物3の総数のうち、複数の小粒子4に分断されている針状Mn−Si系化合物3の割合を測定し、その測定結果を示している。また、「摩耗量」とは、摩耗試験の前後における試験片の肉厚を測定し、摩耗試験の前後の差から算出した値を示している。
Figure 0005869511
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実施例A,Bおよび比較例Aは、いずれも、針状Mn−Si系化合物3の長軸方向の長さが50μm以上であり、且つ銅系摺動部材7の基体1中に長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物3を3〜50体積%含有している。そして、実施例A,Bは、図2又は図3に示すように、長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物3の総数の50%以上が複数の小粒子4に分断されているのに対し、比較例Aは、従来品のように針状Mn−Si系化合物3が分断されていないが、摩耗試験において、表2に示すように、実施例A,Bは、比較例Aと同等の耐摩耗性を有している。
次に、実施例A〜Fおよび比較例A〜Eの銅系摺動部材7について、軸受試験機を用いた焼付試験を行った。表3に焼付試験条件を示す。なお、実施例A,Bは、摩耗試験に供した実施例A,Bと同じものであり、比較例Cは、摩耗試験に供した比較例Aと同じものである。表4には、実施例A〜Fおよび比較例A〜Eの化学組成、針状Mn−Si系化合物3の分散状態に関わるパラメータおよび焼付限界面圧を示す。表4に示す「針状粒子の長径の平均」、「針状粒子の体積%」、「分断された針状粒子の個数割合」とは、摩耗試験で説明したものと同じである。また、「45μm以下の小粒子の個数割合」とは、測定視野内にある長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物3を構成する小粒子4の総数に対する長軸方向の長さが45μm以下の小粒子4の割合を測定し、その測定結果を示している。また、「焼付限界面圧」とは、焼き付かなかった最大の面圧の平均値を示している。
Figure 0005869511
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実施例A〜Fおよび比較例A〜Eは、いずれも、針状Mn−Si系化合物3の長軸方向の長さが50μm以上であり、且つ比較例Dを除いては銅系摺動部材7の基体1中に長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物3を3〜50体積%含有している。そして、実施例A〜Fは、図2又は図3に示すように、長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物3の総数の50%以上が複数の小粒子4に分断されているのに対し、比較例A〜Eは、従来品のように針状Mn−Si系化合物3が分断されておらず、焼付試験において、表4に示すように、実施例A〜Fは、比較例A〜Eと比べて耐焼付性が優れている。
また、実施例A〜Fは、「分断された針状粒子の個数割合」および「45μm以下の小粒子の個数割合」が高いほど、耐焼付性が優れている。すなわち、図5に示すように、長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物3の全てが複数の小粒子4に分断されている実施例C〜Fは、複数の小粒子4に分断されていない針状Mn−Si系化合物3が含まれる実施例A,Bと比べて耐焼付性が優れている。また、長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物3を構成する小粒子4の総数の70%以上が、長軸方向の長さが45μm以下の小粒子4に分断されている実施例B〜Fは、長軸方向の長さが45μm以下の小粒子4の個数割合が少ない実施例Aと比べて耐焼付性が優れている。特に、実施例B〜Fのうち、長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物3を構成する小粒子4の総数の全てが、長軸方向の長さが45μm以下の小粒子4に分断されている実施例D〜Fは、長軸方向の長さが45μm以下に分断されていない小粒子4が含まれる実施例B,Cと比べてさらに耐焼付性が優れている。
また、実施例A〜Fは、「分断された針状粒子の個数割合」および「45μm以下の小粒子の個数割合」が高いほど、耐焼付性が優れるだけでなく、焼付試験後の摺動面7aに露出する固体潤滑剤6が多く存在する傾向にあった。これは、銅系摺動部材7の摺動中に基体1から針状Mn−Si系化合物3が脱落するとしても、長軸方向の長さが45μm以下の小粒子4が脱落するようになり、粗大な針状Mn−Si系化合物3が脱落する頻度が減るため、摺動面7aに露出する固体潤滑剤6を傷つけるといった固体潤滑剤6に対する影響が少なくなる。このため、粗大な針状Mn−Si系化合物3が脱落する頻度が減るほど、耐焼付性が優れていると推測する。
また、実施例B〜Fは、銅系摺動部材7の基体1の銅合金にZnが30質量%前後添加されており、この元素を添加していない実施例Aよりも耐焼付性が優れている。また、実施例Fは、銅系摺動部材7の基体1の銅合金にAlが2.4質量%、Feが0.1質量%、Biが0.5質量%添加されており、これらの元素を添加していない実施例A〜Dよりも耐焼付性が優れている。なお、実施例Fに添加されている元素以外に、Ni、Sn、Cr、Ti、Mo、Co、Zr、Sb、Pb等の元素を添加しても、同様の効果が得られることを実験で確認している。
一方、比較例A〜Eは、「分断された針状粒子の個数割合」および「45μm以下の小粒子の個数割合」が低いほど、耐焼付性が劣っており、焼付試験後の摺動面7aに露出する固体潤滑剤6が減少する傾向にあった。これは、銅系摺動部材7の摺動中に基体1から粗大な針状Mn−Si系化合物3の粒子が脱落すると、摺動面7aと相手軸との表面間を転動するため、摺動面7aに露出する固体潤滑剤6は、図6に示すように、脱落した粗大な針状Mn−Si系化合物3の粒子により削り取られた状態となり、固体潤滑剤6として機能しなくなる。このため、粗大な針状Mn−Si系化合物3が脱落する頻度が増えるほど、耐焼付性が低下したと推定する。
また、比較例A〜Eは、実施例B〜Fと同じく、銅系摺動部材7の基体1の銅合金にZnが30質量%前後添加されているが、耐焼付性が向上することがなかった。また、比較例Eは、実施例Fと同じく、銅系摺動部材7の基体1の銅合金にAlが2.4質量%、Feが0.1質量%、Biが0.5質量%添加されているが、耐焼付性が向上することがなかった。なお、比較例Eに添加されている元素以外に、Ni、Sn、Cr、Ti、Mo、Co、Zr、Sb、Pb等の元素を添加しても、耐焼付性が向上しないことを実験で確認している。
上記の結果から、長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物3の総数の50%以上が複数の小粒子4から構成されている等、針状Mn−Si系化合物3の分散状態が適正であると、耐焼付性が優れることを確認することができた。
1 基体
2 素地
3 針状Mn−Si系化合物(長軸方向の長さが50μm以上の針状Mn−Si系化合物)
4 小粒子
5 Mn−Si系化合物(長軸方向の長さが50μm未満のMn−Si系化合物)
6 固体潤滑剤
7 銅系摺動部材
7a 摺動面

Claims (4)

  1. 素地中にMn−Si系化合物を分散させた銅合金からなる基体と固体潤滑剤とを用いた銅系摺動部材であって、
    前記銅合金は、Siが0.3〜2.0質量%、Mnが1.0〜6.0質量%、残部がCu及び不可避的不純物から構成され、
    前記基体には複数の孔または凹部が形成され、該孔または凹部には前記固体潤滑剤が埋設されている銅系摺動部材において、
    前記Mn−Si系化合物は、長軸方向の長さが50μm以上である針状Mn−Si系化合物の粒子を含み、該針状Mn−Si系化合物の総数の50%以上が複数の小粒子から構成されることを特徴とする銅系摺動部材
  2. 前記銅合金中の前記長軸方向の長さが50μm以上である針状Mn−Si系化合物の全てが複数の小粒子から構成されることを特徴とする請求項1記載の銅系摺動部材。
  3. 前記銅合金中の前記長軸方向の長さが50μm以上である針状Mn−Si系化合物を構成する前記小粒子の総数の70%以上で、当該小粒子の前記長軸方向に対する長さが45μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の銅系摺動部材。
  4. 前記銅合金は、前記長軸方向の長さが50μm以上である針状Mn−Si系化合物を3〜50体積%含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の銅系摺動部材。
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