JP2022158897A - 銅合金及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Ni:5~25重量%、Sn:5~10重量%、Zr、Ti、Fe及びSiからなる群から選択される少なくとも1種の元素M:合計で0.01~0.30重量%、Mn、Zn、Mg、Ca、Al及びPからなる群から選択される少なくとも1種の元素A:合計で0.01~1.00重量%、並びに残部Cu及び不可避不純物からなる、銅合金であって、上記銅合金に、Ni-M金属間化合物を含むNi基金属間化合物粒子が生成しており、上記銅合金の単位面積1mm2当たりに存在するNi基金属間化合物粒子の個数が、1.0×103~1.0×106個である、銅合金。
【選択図】図1
Description
Ni:5~25重量%、
Sn:5~10重量%、
Zr、Ti、Fe及びSiからなる群から選択される少なくとも1種の元素M:合計で0.01~0.30重量%、
Mn、Zn、Mg、Ca、Al及びPからなる群から選択される少なくとも1種の元素A:合計で0.01~1.00重量%、並びに
残部Cu及び不可避不純物
からなる、銅合金であって、前記銅合金に、Ni-M金属間化合物を含むNi基金属間化合物粒子が生成しており、前記銅合金の単位面積1mm2当たりに存在する前記Ni基金属間化合物粒子の個数が、1.0×103~1.0×106個である、銅合金が提供される。
Ni:5~25重量%、
Sn:5~10重量%、
Zr、Ti、Fe及びSiからなる群から選択される少なくとも1種の元素M:合計で0.01~0.30重量%、
Mn、Zn、Mg、Ca、Al及びPからなる群から選択される少なくとも1種の元素A:合計で0.01~1.00重量%、並びに
残部Cu及び不可避不純物
からなる、原料合金を溶解及び鋳造して、鋳塊とする工程と、
前記鋳塊を熱間加工又は冷間加工して、中間品とする工程と、
前記中間品に対して、i)熱処理、ii)熱間加工又は冷間加工、及びiii)溶体化をこの順に施すことにより、加工熱処理を行う工程と、
前記加工熱処理後の中間品を時効処理して、前記銅合金を得る工程と、
を含む、銅合金の製造方法が提供される。
本発明による銅合金は、Ni:5~25重量%、Sn:5~10重量%、Zr、Ti、Fe及びSiからなる群から選択される少なくとも1種の元素M:合計で0.01~0.30重量%、Mn、Zn、Mg、Ca、Al及びPからなる群から選択される少なくとも1種の元素A:合計で0.01~1.00重量%、並びに残部Cu及び不可避不純物からなる。また、この銅合金にはNi-M金属間化合物を含むNi基金属間化合物粒子が生成している。さらに、銅合金の単位面積1mm2当たりに存在するNi基金属間化合物粒子の個数が、1.0×103~1.0×106個である。このような銅合金は耐摩耗性に優れる。前述したとおり、従来より、Cu-Ni-Sn合金製の耐摩耗性材料が研究されてはいるものの、耐摩耗性のさらなる向上が求められている。これに対し、本発明によれば耐摩耗性に優れる銅合金を提供することができる。
本発明による銅合金の製造方法は、好ましくは、(a)Ni:5~25重量%、Sn:5~10重量%、Zr、Ti、Fe及びSiからなる群から選択される少なくとも1種の元素M:合計で0.01~0.30重量%、Mn、Zn、Mg、Ca、Al及びPからなる群から選択される少なくとも1種の元素A:合計で0.01~1.00重量%、並びに残部Cu及び不可避不純物からなる、原料合金を溶解及び鋳造して、鋳塊とする工程と、(b)鋳塊を熱間加工又は冷間加工して、中間品とする工程と、(c)中間品に対して、i)熱処理、ii)熱間加工又は冷間加工、及びiii)溶体化をこの順に施すことにより、加工熱処理を行う工程と、(d)加工熱処理後の中間品を時効処理して、銅合金を得る工程とを含む。これにより、上述したような耐摩耗性に優れた銅合金を製造することができる。銅合金の好ましい態様については上述したとおりであるので、ここでの説明は省略する。
まず、原料合金を用意する。原料合金はNi:5~25重量%、Sn:5~10重量%、Zr、Ti、Fe及びSiからなる群から選択される少なくとも1種の元素M:合計で0.01~0.30重量%、Mn、Zn、Mg、Ca、Al及びPからなる群から選択される少なくとも1種の元素A:合計で0.01~1.00重量%、並びに残部Cu及び不可避不純物で構成されるものであるのが好ましい。この原料合金はより好ましくは、Ni:8.5~9.5重量%、Sn:5.5~6.5重量%、Zr:0.0~0.2重量%、Ti:0.0~0.2重量%、Fe:0.0~0.2重量%、Si:0.0~0.2重量%、Mn:0.2~0.9重量%、Zn:0.0~0.2重量%、並びに残部Cu及び不可避不純物(ただし、Zr、Ti、Fe及びSiの少なくとも1種を合計で0.01~0.30重量%となる範囲内で含む)で構成されるものであるか、Ni:20.0~22.0重量%、Sn:4.5~5.7重量%、Zr:0.0~0.2重量%、Ti:0.0~0.2重量%、Fe:0.0~0.2重量%、Si:0.0~0.2重量%、Mn:0.2~0.9重量%、Zn:0.0~0.2重量%、並びに残部Cu及び不可避不純物(ただし、Zr、Ti、Fe及びSiの少なくとも1種を合計で0.01~0.30重量%となる範囲内で含む)で構成されるものである。元素Mは、少なくともZrを含むのが好ましく、より好ましくはZrである。元素Aは、少なくともMnを含むのが好ましく、より好ましくはMnである。元素M及び元素Aの好ましい含有量は上述の銅合金について記載した説明と同様である。
得られた鋳塊を熱間加工又は冷間加工して、中間品とする。加工方法としては、鍛造、圧延、押出し、引き抜き等が挙げられる。この工程では、好ましくは鋳塊を熱間加工又は冷間加工することで粗圧延し、圧延材(中間品)を得る。
得られた中間品に対して、i)熱処理、ii)熱間加工又は冷間加工、及びiii)溶体化をこの順に施すことにより、加工熱処理を行う。
加工熱処理後の中間品を時効処理して、銅合金を得る。時効処理により、得られる銅合金の強度を高くすることができる。時効処理の温度は好ましくは300~500℃、より好ましくは350~450℃である。上記温度での保持時間は好ましくは1~24時間、より好ましくは2~12時間である。
銅合金を以下の手順により作製し、評価した。
原料合金(Ni:8.5~9.5重量%、Sn:5.5~6.5重量%、Zr:0.14重量%、Mn:0.35重量%、残部Cu及び不可避不純物)を用意した。この原料合金を高周波溶解炉で溶解し、縦型鋳造法により鋳造して、直径320mmの丸状の鋳塊を得た。
得られた鋳塊に均熱処理をして、熱間加工及び冷間加工を行うことで、中間品を得た。
得られた中間品に対して熱処理を行った。具体的には、中間品を730℃で6時間保持して、中間品にNi基金属間化合物粒子を生成させた。次いで、この中間品に加工率が50%となるように冷間加工することで圧延し、中間品を板状に成形した。さらに、この中間品を820℃で60秒加熱することで溶体化し、その直後に水冷により20℃/sの降温速度で急冷した。このようにして、中間品を加工熱処理した。
加工熱処理した中間品を冷間圧延(仕上圧延)することで、中間品の厚さを1.5mmとした。
仕上圧延した中間品を375℃で2時間保持することで、中間品を時効処理し、銅合金を得た。
得られた銅合金に対して、以下の評価を行った。
上記(5)で得られた銅合金の断面を研磨した後エッチングを施し、当該断面を1000倍の倍率で電子顕微鏡により観察した。結果を図1に示す。図1において、黒色の点がNi基金属間化合物粒子を表しており、多くのNi基金属間化合物粒子が分散して生成していることが分かった。
上記(5)で得られた銅合金を以下のように試験することで、銅合金の耐摩耗性を評価した。この銅合金を、一辺が30mm及び厚さが1.0~5.0mmの形状の試験片(角板)に機械加工した。また、図2A及び2Bに示されるような形状の鋼材(リング)を銅合金に対する相手材に用いた(図2B中の数値の単位はmmである)。図3に示されるように、試験片と相手材を用いて、摩擦摩耗試験機EFM-3-H(株式会社エー・アンド・デイ製)により、リングonディスク試験を室温(25℃)で行った。この試験により得られた試験片の摩耗量と摩擦係数から、耐摩耗性を評価した。このときの試験条件及び試験方法の詳細を以下に示す。
‐ 荷重:40N
‐ 滑り速度:3m/s
‐ 試験片寸法:30mm×30mm
‐ 試験片及び相手材の表面粗さ:Ra0.4μm以下
‐ 相手材材質:軸受鋼(JIS G 4805:SUJ2)、HRC60以上
図3に示すように、試験片と相手材とをすべり面で接触させた状態で、固定した相手材に荷重40Nで加圧し、30分間試験片を回転させた。設定した荷重及び滑り速度で回転摺動させ、剪断力を摩擦力として検出し、摩擦係数を算出した。また、試験前と試験後の試験片の質量をそれぞれ測定し、摩耗量(mg)を算出した。摩擦係数が小さく摩耗量が少ない方が、耐摩耗性が良好であるといえる。
上記(3)の加工熱処理を行う工程において、熱処理により中間品を565℃で6時間保持して、中間品にNi基金属間化合物粒子を生成させたこと以外は、例1と同様にして銅合金の作製及び評価を行った。
上記(1)の原料合金として、Ni:10.6重量%、Sn:5.5重量%、Si:0.45重量%、Mn:0.37重量%、残部Cu及び不可避不純物の組成のもの(すなわち元素MとしてSiのみを添加したもの)を用いたこと以外は、例1と同様にして銅合金の作製及び評価を行った。
上記(1)の原料合金として、Ni:10.5重量%、Sn:5.4重量%、Fe:1.38重量%、Si:0.02重量%、Mn:0.18重量%、残部Cu及び不可避不純物の組成のもの(すなわち元素MとしてFeとSiを添加したもの)を用いたこと以外は、例1と同様にして銅合金の作製及び評価を行った。
上記(1)の原料合金として、Ni:10.6重量%、Sn:5.4重量%、Ti:0.75重量%、Si:0.07重量%、Mn:0.41重量%、残部Cu及び不可避不純物の組成のもの(すなわち元素MとしてTiとSiを添加したもの)を用いたこと以外は、例1と同様にして銅合金の作製及び評価を行った。
上記(1)の原料合金として、Ni:20.0~22.0重量%、Sn:4.5~5.7重量%、Zr:0.21重量%、Mn:0.34重量%、残部Cu及び不可避不純物の組成のものを用いたこと以外は、例1と同様にして銅合金の作製及び評価を行った。
上記(1)の原料合金として、Ni:9.14重量%、Sn:6.18重量%、Zr:0.10重量%、Mn:0.33重量%、残部Cu及び不可避不純物の組成のものを用いたこと、並びに上記(2)~(5)を行わず以下のように溶体化処理及び時効処理を行ったこと以外は、例1と同様にして銅合金の作製及び評価を行った。
上記(1)で得られた鋳塊に対し、溶体化熱処理(800~900℃で2~8時間保持後、水冷する処理)と時効熱処理(300~400℃で0.5~4保持後、空冷する処理)を行ない、銅合金を得た。すなわち、上記(2)における鋳塊を熱間加工又は冷間加工して中間品とする工程、上記(3)における溶体化以外の工程、及び上記(4)の仕上圧延を行う工程を行わなかった。
上記(1)の原料合金として、Ni:8.5~9.5重量%、Sn:5.5~6.5重量%、Mn:0.35重量%、残部Cu及び不可避不純物の組成のもの(すなわち元素Mを添加していないもの)を用いたこと、並びに上記(3)の加工熱処理を行わなかったこと以外は、例1と同様にして銅合金の作製及び評価を行った。
上記(1)の原料合金として、Ni:20.0~22.0重量%、Sn:4.5~5.5重量%、Zr:0.16重量%、Mn:0.35重量%、残部Cu及び不可避不純物の組成のものを用いたこと以外は、例1と同様にして銅合金の作製及び評価を行った。
Claims (11)
- Ni:5~25重量%、
Sn:5~10重量%、
Zr、Ti、Fe及びSiからなる群から選択される少なくとも1種の元素M:合計で0.01~0.30重量%、
Mn、Zn、Mg、Ca、Al及びPからなる群から選択される少なくとも1種の元素A:合計で0.01~1.00重量%、並びに
残部Cu及び不可避不純物
からなる、銅合金であって、前記銅合金に、Ni-M金属間化合物を含むNi基金属間化合物粒子が生成しており、前記銅合金の単位面積1mm2当たりに存在する前記Ni基金属間化合物粒子の個数が、1.0×103~1.0×106個である、銅合金。 - 前記銅合金が0.4以下の摩擦係数を有する、請求項1に記載の銅合金。
- 前記元素MがZrである、請求項1又は2に記載の銅合金。
- 前記元素AがMnである、請求項1~3のいずれか一項に記載の銅合金。
- 前記元素Aの合計含有量が0.10~0.40重量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の銅合金。
- 前記Ni基金属間化合物粒子が、0.1~100μmの粒径を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の銅合金。
- 0.1μm以上の粒径を有する前記Ni基金属間化合物粒子の個数全体に占める、0.1μm以上の粒径を有する前記Ni-M金属間化合物粒子の個数の割合が、1.0~30%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の銅合金。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載の銅合金の製造方法であって、
Ni:5~25重量%、
Sn:5~10重量%、
Zr、Ti、Fe及びSiからなる群から選択される少なくとも1種の元素M:合計で0.01~0.30重量%、
Mn、Zn、Mg、Ca、Al及びPからなる群から選択される少なくとも1種の元素A:合計で0.01~1.00重量%、並びに
残部Cu及び不可避不純物
からなる、原料合金を溶解及び鋳造して、鋳塊とする工程と、
前記鋳塊を熱間加工又は冷間加工して、中間品とする工程と、
前記中間品に対して、i)熱処理、ii)熱間加工又は冷間加工、及びiii)溶体化をこの順に施すことにより、加工熱処理を行う工程と、
前記加工熱処理後の中間品を時効処理して、前記銅合金を得る工程と、
を含む、銅合金の製造方法。 - 前記熱処理が、前記中間品を500~950℃で2~24時間保持することにより行われる、請求項8に記載の銅合金の製造方法。
- 前記溶体化が、前記中間品を700~1000℃で5秒~24時間保持することにより行われる、請求項8又は9に記載の銅合金の製造方法。
- 前記加工熱処理後であって、前記時効処理前に、前記中間品を仕上げ熱間加工又は仕上げ冷間加工する工程をさらに含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の銅合金の製造方法。
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