JP5868188B2 - 高塩分含有セメント組成物用添加剤及び高塩分含有セメント組成物 - Google Patents

高塩分含有セメント組成物用添加剤及び高塩分含有セメント組成物 Download PDF

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本発明は、高塩分含有セメント組成物用添加剤及び高塩分含有セメント組成物に関する。
近年、海洋開発の発展とともに海中や海上構築物、海水処理設備等に多量のコンクリートを使用する要望が高まってきており、水や骨材等の材料調達のための輸送コストや便宜上等の点から、練混ぜ水として海水を使用したり、脱塩されていない海砂を使用することの需要が高まってきている。
しかし、一般に、塩分を含有するセメント組成物の場合、塩分の影響によりセメント添加剤の減水性が著しく低下したり、練混ぜ水を大幅に増加させなければならない場合があることが知られている。このため、スランプ18cm以上の流動性のあるコンクリートを得るためには、セメント添加剤の添加量を大幅に増加させて流動性を確保する必要があり、コストが高くなるという問題が挙げられる。
これまで、海水練りコンクリートのスランプを淡水練りコンクリートのスランプと同一にするために、単位水量として淡水練りコンクリートの約2.5%増とすることにより、セメントの種類、AE剤の使用有無に関係なく、海水練りの純水分を、淡水練りの単位水量と等しくすることで、同一スランプが得られることが報告されている(非特許文献1)。しかし、この方法は、流動性の比較的低いコンクリートに関するものであり、流動性の高いコンクリートについては言及されていない。
また、最近では、人工漁礁に有効な水硬性硬化体を製造するために、石炭灰、汚泥焼却灰、一般焼却灰等の微粉体と、セメント、石膏等の硬化材と、真水、海水等の水とを最適配合比で混合して、加振・振動により流動化を行い、締固めをした後、硬化させる微粉体硬化体の製造方法が提案されている(特許文献1)。しかし、この方法は、振動させることによりコンクリートに流動性を付与するものであり、型枠への充填性の最適化を図るための製造方法を提案しているものにしかすぎない。
また、海水を使用したコンクリートとして、アルミナセメントと海水と骨材とを練り混ぜた後に硬化させる方法(特許文献2)等が報告されている。しかし、この方法では、スランプ値が5〜7cmである流動性の低いコンクリートに対して、減水剤としてAE減水剤を使用することが記載されているのみである。
一般に、高い流動性を得ることを目的として、塩分を高濃度に含有するコンクリートにAE減水剤を使用しても、充分な流動性を確保することが難しいことが知られており、また、充分な流動性を確保するために添加量が多くなると、得られるコンクリートの凝結が遅延するといった問題が知られている。このため、これまで、少ない添加量で、かつ、高い流動性を得ることのできる塩分を高濃度に含有するセメント組成物用の添加剤は得られていない。
特開2004−160909号 特開2005−281112号
「第29回年次学術講演会講演概要集 第5部、 p97」
本発明は、塩分の影響を受けることなく、減水性能が良好で、高い流動性を有する高塩分含有セメント組成物を製造することのできる高塩分含有セメント組成物用添加剤を提供することにある。
本発明は、下記一般式(1)で表される化合物1種以上の単量体A及び/又は下記一般式(2)で表される化合物1種以上の単量体Bと、
アクリル酸及び/又はその塩である単量体Cとを構成単位として含み、
前記単量体A及び/又は前記単量体Bと、前記単量体Cとの質量比が、(単量体A及び/又は単量体B):(単量体C)=70〜90:10〜30であり、
前記単量体Aと、前記単量体Bとの質量比が、(単量体A):(単量体B)=0〜100:100〜0であり、かつ、オキシアルキレン基の平均付加モル数が10〜35である1種以上の共重合体A及び/又は、
下記一般式(3)で表される化合物1種以上の単量体Fと、
メタクリル酸及び/又はその塩、あるいは、マレイン酸及び/又はその塩である単量体Gとを構成単位として含み、
前記単量体Fと、前記単量体Gとの質量比が、(単量体F):(単量体G)=70〜90:10〜30であり、かつ、オキシアルキレン基の平均付加モル数が50〜150である1種以上の共重合体Bを含有する高塩分含有セメント組成物用添加剤である。
(式中、Rは炭素数2〜5のアルケニル基、Rは水素又は炭素数1〜4のアルキル基、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、mは0〜30の整数、nは10〜150の整数である。)
(式中、R、Rは水素又はメチル基、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Xは水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、aは0〜2の整数、oは0〜30の整数、pは10〜150の整数である。)
(式中、R、Rは水素又はメチル基、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Xは水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、bは0〜2の整数、qは0〜30の整数、rは10〜150の整数である。)
本発明の高塩分含有セメント添加剤を使用することにより、経済的で、塩分の影響を受けることなく、減水性能が良好で、高い流動性を有する高塩分含有セメント組成物を得ることができ、海水や海砂中の塩分の影響を受けることがなく、耐久性に優れた、コンクリートを得ることができる。
本発明は、一般式(1)で表される化合物1種以上の単量体A及び/又は一般式(2)で表される化合物1種以上の単量体Bと、アクリル酸及び/又はその塩である単量体Cとを構成単位として含有する1種以上の共重合体A及び/又は、
一般式(3)で表される化合物1種以上の単量体Fと、メタクリル酸及び/又はその塩、あるいは、マレイン酸及び/又はその塩である単量体Gとを構成単位として含有する1種以上の共重合体Bを含有する高塩分含有セメント組成物用添加剤(以下、本添加剤という。)である。
(式中、Rは炭素数2〜5のアルケニル基、Rは水素又は炭素数1〜4のアルキル基、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、mは0〜30の整数、nは10〜150の整数である。)
(式中、R、Rは水素又はメチル基、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Xは水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、aは0〜2の整数、oは0〜30の整数、pは10〜150の整数である。)
(式中、R、Rは水素又はメチル基、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Xは水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、bは0〜2の整数、qは0〜30の整数、rは10〜150の整数である。)
これにより、本発明は、塩分の影響を受けることなく、減水性能が良好で、流動保持性に優れ、かつ、高い流動性を有する高塩分含有セメント組成物(以下、本セメント組成物という。)を得ることができるため好ましい。
本添加剤では、共重合体Aを1種以上及び/又は共重合体Bを1種以上含有する。本発明では、共重合体Aを1種以上及び/又は共重合体Bを1種以上含有することにより、得られる本セメント組成物の分散性が良好となるので好ましい。本添加剤では、共重合体Aが、単量体A及び/又は単量体Bを構成単位として有することにより、セメントの分散性が良好となるので好ましく、単量体Cを構成単位とすることによりセメントへの吸着性が良好となるので好ましい。また、本添加剤では、共重合体Bが、単量体Fを構成単位として有することにより、得られる本セメント組成物の分散性が良好となるので好ましく、単量体Gを構成単位とすることにより、本添加剤のセメントへの吸着性が良好となるので好ましい。
本添加剤は、共重合体A及び/又は共重合体Bを合計で1〜60質量%含有することが好ましい。共重合体A及び/又は共重合体Bの合計の含有量が1質量%未満であると、本セメント組成物へ本添加剤を大幅に添加しなければならず、手間がかかるおそれがあるため、便宜上好ましくなく、含有量が60質量%超であると、セメント添加剤の溶液粘度が大きくなり、ポンプ等による取り扱いが困難となるおそれがあるため好ましくない。共重合体A及び/又は共重合体Bの合計の含有量は5〜50質量%であることが特に好ましい。
本添加剤は、適宜必要に応じて固体の状態でも溶液の状態でも使用できるが、共重合体A及び/又は共重合体Bを含有する水溶液の状態で使用することが好ましい。これにより本添加剤を生コンプラント等で添加することが容易となるので好ましい。
本添加剤では、共重合体Aが、単量体Aとして、一般式(1)で表される化合物1種以上を構成単位として含有する。
本発明の一般式(1)で表される化合物において、Rは炭素数2〜5のアルケニル基である。アルケニル基の炭素数が2〜5でないと、得られる本セメント組成物の分散性が低下するおそれがあるので好ましくない。アルケニル基の炭素数は、3,4又は5が好ましく、5が特に好ましい。
本発明の一般式(1)で表される化合物において、Rは水素又は炭素数1〜4のアルキル基である。Rはアルキル基の炭素数が5以上であると、得られる本セメント組成物中に過大な空気を連行するおそれがあるので好ましくない。アルキル基の炭素数は、1〜3が好ましい。本発明では、Rは、具体的には、空気連行性が良好な点から、水素、メチル基、エチル基、プロピル基が、好ましく、水素又はメチル基が特に好ましい。
本発明の一般式(1)で表される化合物において、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基である。アルキレンイミン基の炭素数が2〜4がでないと、得られる本セメント組成物の分散性が低下するおそれがあるので好ましくない。アルキレンイミン基の炭素数は、2又は3が好ましい。本発明では、アルキレンイミン基は、具体的には、得られる本セメント組成物の分散性が良好であることから、エチレンイミン基やプロピレンイミン基が好ましく、エチレンイミン基が特に好ましい。
本発明の一般式(1)で表される化合物において、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。オキシアルキレン基の炭素数が2〜4でないと、得られる本セメント組成物の分散性が低下するおそれがあるので好ましくない。オキシアルキレン基の炭素数は、2又は3が好ましい。本発明では、オキシアルキレン基は、具体的には、得られる本セメント組成物の分散性が良好であることから、プロピレンオキシド基やエチレンオキシド基が好ましく、エチレンオキシド基が特に好ましい。なお、本発明では、AOは、同一でも異なっていてもよく、異なる場合は、−(AO)n−はランダム付加、ブロック付加又は交互付加のいずれの付加形式でもよい。
本発明の一般式(1)で表される化合物において、mは0〜30の整数である。mが31以上であると、得られる本セメント組成物中に過大な空気が連行されるおそれがあるので好ましくない。mは、5〜25の整数が好ましく、10〜20の整数が特に好ましい。
本発明の一般式(1)で表される化合物において、nは10〜150の整数である。nが10〜150の整数でないと、得られる本セメント組成物の分散性が低下するおそれがあるので好ましくない。nは、20〜120の整数が好ましく、25〜90の整数が特に好ましい。
本発明の一般式(1)で表される化合物は、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル(25EO)、メトキシポリエチレングリコール(25EO)−ポリエチレンイミン(10)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール(50EO)−ポリエチレンイミン(10)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール(100EO)−ポリエチレンイミン(25)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール(135EO)−ポリエチレンイミン(10)ビニルエーテル等が挙げられる。
本発明の一般式(1)で表される化合物を得る方法は、適宜必要に応じて、市販品を使用したり、合成して得たものを使用することができ、例えば、撹拌装置がついた反応装置において、メチルビニルエーテルとメトキシポリエチレングリコールとを、弱酸の水銀塩触媒の存在下にエーテル交換させて、得られた反応液を中和処理及び水洗処理をした後に単量体を得る方法が挙げられる。
本添加剤では、共重合体Aが、単量体Bとして、一般式(2)で表される化合物1種以上を構成単位として含有する。
本発明の一般式(2)で表される化合物において、R、Rは水素又はメチル基である。
本発明の一般式(2)で表される化合物において、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基である。アルキレンイミン基の炭素数が2〜4でないと、得られる本セメント組成物の分散性が低下するおそれがあるので好ましくない。アルキレンイミン基の炭素数は、2又は3が好ましい。本発明では、アルキレンイミン基は、具体的には、得られる本セメント組成物の分散性が良好であることから、エチレンイミン基やプロピレンイミン基が好ましく、エチレンイミン基が特に好ましい。なお、本発明では、AOは、同一でも異なっていてもよく、異なる場合は、−(AO)p−はランダム付加、ブロック付加又は交互付加のいずれの付加形式でもよい。
本発明の一般式(2)で表される化合物において、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。オキシアルキレン基の炭素数が2〜4でないと、得られる本セメント組成物の分散性が低下するおそれがあるので好ましくない。本発明では、オキシアルキレン基は、具体的には、得られる本セメント組成物の分散性が良好であることから、エチレンオキシド基やプロピレンオキシド基が好ましく、エチレンオキシド基が特に好ましい。
本発明の一般式(2)で表される化合物において、Xは水素又は炭素数1〜3のアルキル基である。アルキル基の炭素数が4以上であると、得られる本セメント組成物中に過大な空気が連行されるおそれがあるので好ましくない。本発明では、Xは、具体的には、空気連行性の良好な点から、水素、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、水素又はメチル基が特に好ましい。
本発明の一般式(2)で表される化合物において、aは0〜2の整数である。得られる本セメント組成物の分散性が良好であることから、aは2が特に好ましい。
本発明の一般式(2)で表される化合物において、oは0〜30の整数である。oが30超であると、得られる本セメント組成物中に過大な空気が連行されるおそれがあるので好ましくない。oは5〜25の整数が好ましく、10〜20の整数が特に好ましい。
本発明の一般式(2)で表される化合物において、pは10〜150の整数である。pが、10〜150の整数でないと、得られる本セメント組成物の分散性が低下するおそれがあるので好ましくない。pは、20〜120の整数が好ましく、25〜90の整数が特に好ましい。
本発明の一般式(2)で表される化合物は、oが0で、pが10〜150の整数の化合物として、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(11EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(11EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(25EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(50EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(100EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(135EO)、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールメタクリレート(11EO3PO)、メトキシポリエチレングリコール−メタリルカルボン酸エステル(25EO)が挙げられる。
本発明の一般式(2)で表される化合物は、oが1〜30の整数で、pが10〜150の整数の化合物として、具体的には、メトキシポリエチレングリコール(11EO)−ポリエチレンイミン(10)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(11EO)−ポリエチレンイミン(10)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(25EO)−ポリエチレンイミン(15)メタクリレート 、メトキシポリエチレングリコール(50EO)−ポリエチレンイミン(10)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(100EO)−ポリエチレンイミン(15)メタクリレート 、メトキシポリエチレングリコール(135EO)−ポリエチレンイミン(10)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(11EO)ポリプロピレングリコール(3PO)−ポリエチレンイミン(10)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(25EO)−メタリルカルボン酸エステルが挙げられる。
本発明の一般式(2)で表される化合物を得る方法は、適宜必要に応じて、市販品を使用するか、又は、合成して得たものを使用することができ、例えば、撹拌装置がついた反応装置において、メタクリル酸とメトキシポリエチレングリコールを硫酸触媒の存在下に脱水エステル化反応させ、得られた反応液を中和処理及び水洗処理を経た後に単量体を得る方法が挙げられる。
本添加剤では、共重合体Aが、単量体Cとして、アクリル酸及び/又はその塩を構成単位として含有する。本発明において、アクリル酸及び/又はその塩は、適宜必要に応じて、市販の製品を使用することができる。本発明では、アクリル酸の塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及びアルキルアンモニウム塩からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
本添加剤では、共重合体Bが、単量体Fとして、一般式(3)で表される化合物1種以上を構成単位として含有する。
本発明の一般式(3)で表される化合物において、R、Rは水素又はメチル基である。
本発明の一般式(3)で表される化合物において、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基である。アルキレンイミン基の炭素数が2〜4でないと、得られる本セメント組成物の分散性が低下するおそれがあるので好ましくない。アルキレンイミン基の炭素数は、2又は3が好ましい。本発明では、アルキレンイミン基は、具体的には、得られる本セメント組成物の分散性が良好であることから、エチレンイミン基やプロピレンイミン基が好ましく、エチレンイミン基が特に好ましい。
本発明の一般式(3)で表される化合物において、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。オキシアルキレン基の炭素数が2〜4でないと、得られる本セメント組成物の分散性が低下するおそれがあるので好ましくない。本発明では、オキシアルキレン基は、具体的には、得られる本セメント組成物の分散性が良好であることから、エチレンオキシド基やプロピレンオキシド基が好ましく、エチレンオキシド基が特に好ましい。なお、本発明では、AOは、同一でも異なっていてもよく、異なる場合は、−(AO)r−はランダム付加、ブロック付加又は交互付加のいずれの付加形式でもよい。
本発明の一般式(3)で表される化合物において、Xは水素又は炭素数1〜3のアルキル基である。アルキル基の炭素数が4以上であると、得られる本セメント組成物中に過大な空気が連行されるおそれがあるので好ましくない。本発明では、Xは、具体的には、空気連行性の良好な点から、水素、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、水素又はメチル基が特に好ましい。
本発明の一般式(3)で表される化合物において、bは0〜2の整数である。得られる本セメント組成物の分散性が良好であることから、bは2が特に好ましい。
本発明の一般式(3)で表される化合物において、qは0〜30の整数である。qが30超であると、得られる本セメント組成物中に過大な空気が連行されるおそれがあるので好ましくない。qは5〜25の整数が好ましく、10〜20の整数が特に好ましい。
本発明の一般式(3)で表される化合物において、rは10〜150の整数である。rが、10〜150の整数でないと、得られる本セメント組成物の分散性が低下するおそれがあるので好ましくない。rは、50〜150の整数が好ましく、70〜130の整数が特に好ましい。
本発明の一般式(3)で表される化合物は、qが0で、rが10〜150の整数の化合物としては、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(11EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(11EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(25EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(50EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(100EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(135EO)、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールメタクリレート(11EO3PO)、メトキシポリエチレングリコール−メタリルカルボン酸エステル(25EO)が挙げられる。
本発明の一般式(3)で表される化合物は、qが1〜30の整数で、rが10〜150の整数の化合物としては、具体的には、メトキシポリエチレングリコール(11EO)−ポリエチレンイミン(10)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(11EO)−ポリエチレンイミン(10)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(25EO)−ポリエチレンイミン(15)メタクリレート 、メトキシポリエチレングリコール(50EO)−ポリエチレンイミン(10)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(100EO)−ポリエチレンイミン(15)メタクリレート 、メトキシポリエチレングリコール(135EO)−ポリエチレンイミン(10)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(11EO)ポリプロピレングリコール(3PO)−ポリエチレンイミン(10)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(25EO)−メタリルカルボン酸エステルが挙げられる。
本発明の一般式(3)で表される化合物を得る方法は、適宜必要に応じて、市販品を使用するか、又は、合成して得たものを使用することができ、例えば、撹拌装置がついた反応装置において、メタクリル酸とメトキシポリエチレングリコールを硫酸触媒の存在下に脱水エステル化反応させ、得られた反応液を中和処理及び水洗処理を経た後に単量体を得る方法が挙げられる。
本添加剤では、共重合体Bが、単量体Gとして、メタクリル酸及び/又はその塩、あるいは、マレイン酸及び/又はその塩を構成単位として含有する。本発明において、メタクリル酸及び/又はその塩、あるいは、マレイン酸及び/又はその塩は、適宜必要に応じて、市販の製品を使用することができる。本発明では、メタクリル酸、マレイン酸の塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及びアルキルアンモニウム塩からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明の共重合体Aでは、単量体A及び/又は単量体Bと、単量体Cとの質量比が、(単量体A及び/又は単量体B):(単量体C)=70〜90:10〜30である。質量比が、(単量体A及び/又は単量体B):(単量体C)=70〜90:10〜30の範囲外であると、得られる本添加剤の減水性が低下したり、得られる本セメント組成物の流動性が低下するおそれがあるので好ましくない。本発明では、質量比が、(単量体A及び/又は単量体B):(単量体C)=75〜85:15〜25であることが好ましい。
また、本添加剤では、単量体Aと、単量体Bとの質量比が(単量体A):(単量体B)=0〜100:100〜0である。本発明では、単量体Aと、単量体Bとの質量比が(単量体A):(単量体B)=0〜100:100〜0であることにより、得られる本セメント組成物の分散性が良好であるので好ましい。本発明では、単量体Aと、単量体Bとの質量比が(単量体A):(単量体B)=30〜70:70〜30であることが好ましい。
また、本添加剤では、共重合体A中のオキシアルキレン基の平均付加モル数が10〜35である。共重合体Aのオキシアルキレン基の平均付加モル数が10〜35であることにより、様々なセメント組成物に対して、安定した減水性を示すことができるため好ましい。共重合体A中のオキシアルキレン基の平均付加モル数は15〜30であることが好ましい。
本発明の共重合体Bでは、単量体Fと、単量体Gとの質量比が、(単量体F):(単量体G)=70〜90:10〜30である。質量比が、(単量体F):(単量体G)=70〜90:10〜30の範囲外であると、得られる本添加剤の減水性が低下したり、得られる本セメント組成物の流動性が低下するおそれがあるので好ましくない。本発明では、質量比が、(単量体F):(単量体G)=75〜85:15〜25であることが好ましい。
また、本添加剤では、共重合体B中のオキシアルキレン基の平均付加モル数が50〜150である。共重合体Bのオキシアルキレン基の平均付加モル数が50〜150であることにより、本セメント組成物に対して、安定した減水性を示すことができるため好ましましい。共重合体B中のオキシアルキレン基の平均付加モル数は75〜125であることが好ましい。
本発明では、共重合体Aが、構成単位として、さらに、一般式(4)で表される化合物1種以上の単量体D及び/又は、スチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アクリルアミドアルカンスルホン酸及びアクリルアミドアルカンスルホン酸塩からなる群から選ばれる1種以上の単量体Eを含有することが好ましい。
(式中、Rは水素又はメチル基、Zは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを表す。)
本発明では、共重合体Aが、単量体D及び/又は単量体Eを含有することにより、得られる本セメント組成物中において、共重合体Aのセメントに対する吸着特性が良好となり、本セメント組成物の分散性が良好となるため好ましい。
本発明の一般式(4)で表される化合物において、Rは水素又はメチル基であり、Zは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムである。
また、本発明の単量体Eにおいて、スチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アクリルアミドアルカンスルホン酸及びアクリルアミドアルカンスルホン酸塩からなる群から選ばれる1種以上は、適宜必要に応じて、市販の製品を使用することができる。本発明では、スチレンスルホン酸塩、アクリルアミドアルカンスルホン酸塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及びアルキルアンモニウム塩からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明の共重合体Aにおいて、単量体A及び/又は単量体Bと、単量体Cと、単量体Dと、単量体Eとの質量比が、(単量体A及び/又は単量体B):(単量体C):(単量体D):(単量体E)=70〜90:10〜30:0〜10:0〜10の割合で含むことが好ましい。
本発明の共重合体Aでは、質量比が、(単量体A及び/又は単量体B):(単量体C):(単量体D):(単量体E)=70〜90:10〜30:0〜10:0〜10であることにより、得られる本セメント組成物中において、共重合体のセメントに対する吸着特性が良好となり、本セメント組成物の分散性が良好となるため好ましい。質量比は、(単量体A及び/又は単量体B):(単量体C):(単量体D):(単量体E)=75〜85:15〜25:1〜10:1〜10であることが好ましい。
本発明では、共重合体Bが、構成単位として、さらに、一般式(5)で表される化合物1種以上の単量体H及び/又は、スチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アクリルアミドアルカンスルホン酸及びアクリルアミドアルカンスルホン酸塩からなる群から選ばれる1種以上の単量体Iを含有することが好ましい。
(式中、Rは水素又はメチル基、Zは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを表す。)
本発明では、単量体H及び/又は単量体Iを含有することにより、得られる本セメント組成物中において、共重合体のセメントに対する吸着特性が良好となり、本セメント組成物の分散性が良好となるため好ましい。
本発明の一般式(5)で表される化合物において、Rは水素又はメチル基であり、Zは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムである。
また、本発明において、スチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アクリルアミドアルカンスルホン酸及びアクリルアミドアルカンスルホン酸塩からなる群から選ばれる1種以上は、適宜必要に応じて、市販の製品を使用することができる。本発明では、スチレンスルホン酸塩、アクリルアミドアルカンスルホン酸塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及びアルキルアンモニウム塩からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明の共重合体Bにおいて、単量体Fと、単量体Gと、単量体Hと、単量体Iとの質量比が、(単量体F):(単量体G):(単量体H):(単量体I)=70〜90:10〜30:0〜10:0〜10の割合で含むことが好ましい。
本発明の共重合体Bでは、質量比が、(単量体F):(単量体G):(単量体H):(単量体I)=70〜90:10〜30:0〜10:0〜10であることにより、得られる本セメント組成物中において、共重合体Bのセメントに対する吸着特性が良好となり、本セメント組成物の分散性が良好となるため好ましい。質量比は、(単量体F):(単量体G):(単量体H):(単量体I)=75〜85:15〜25:1〜10:1〜10であることが特に好ましい。
本添加剤における共重合体Aの質量平均分子量は10,000〜100,000であり、共重合体Bの質量平均分子量は10,000〜100,000であることが好ましい。これにより、本添加剤は、海水や海砂を使用した場合に、塩分の影響を受けることがなく、良好な流動性を有する本セメント組成物を得ることができるので好ましい。共重合体A及び共重合体Bの質量平均分子量が10,000未満であると、得られる本セメント組成物の分散性が低下するおそれがあるので好ましくなく、質量平均分子量が100,000超であると、本セメント組成物中のセメントが凝集性しやすくなるおそれがあるので好ましくない。共重合体A及び共重合体Bの質量平均分子量は、20,000〜70,000であることが特に好ましい。なお、本願明細書において、質量平均分子量は、ゲルパミュエーションクロマトグラフィによるポリエチレングリコールを基準とする方法で測定することが好ましい。
本発明の共重合体A及び共重合体Bは、特開平5−306152号公報、特開平6−211949号公報、特開平9−286647号公報、特開平10−236858号公報、特開2004−307590公報、特開2011−102221公報に示されるような周知の重合方法により製造することができる。
本添加剤は、本発明の共重合体A及び/又は共重合体Bの他に、他の共重合体を含有することができる。他の共重合体としては、特に限定されないが、高い塩分を含有する本セメント組成物においても減水性能が高いなどの本発明の効果を損なわない程度の配合比率に留めることが望ましく、他の共重合体が、全共重合体の合計質量に対して30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であることが最も好ましい。
本セメント組成物中の塩分濃度は、本セメント組成物1mあたり、2〜40kgであることが好ましい。本セメント組成物1mあたりの塩分の含有量が2kg未満であると、本添加剤を添加する効果が出ないおそれがあるので好ましくなく、含有量が40kg超であると、得られる本セメント組成物の分散性や、スランプフローの流動保持性が低下するおそれがあるので好ましくない。塩分の含有量は、本セメント組成物1mあたり、2〜20kgであることが特に好ましく、2〜10kgであることが最も好ましい。
なお、本願明細書において、塩分とは、JIS A 6205「鉄筋コンクリート用防錆剤」に規定されている塩分を示す。
本添加剤は、単位水量が195kg/m以下の本セメント組成物、又は、目標スランプが18cm以上の本セメント組成物に使用することが好ましい。これにより、本セメント添加剤は、本セメント組成物に対して充分な分散性と流動保持性を発揮する効果が得られるので好ましい。
本添加剤は、単位水量が160〜190kg/mの本セメント組成物に使用することが特に好ましく、また、目標スランプが18〜24cmの本セメント組成物に使用することが特に好ましい。
本添加剤は、さらに、増粘剤を含有することが好ましい。これにより、得られる本セメント組成物の分離抵抗性を向上させることができ、また、高流動コンクリートや水中コンクリートへの適用が容易になるので好ましい。増粘剤は、本添加剤に対して、1〜20質量%含有することが好ましく、3〜10質量%含有することが特に好ましい。
本添加剤は、適宜必要に応じて、得られる本セメント組成物の凝結特性ならびにスランプフローの流動保持性を調整するために、オキシカルボン酸及び/又はその塩、糖類、糖アルコール類等の遅延効果を有する化合物を含有することができる。オキシカルボン酸としては、クエン酸、グルコン酸、フマル酸等が好ましく、またその塩としては、アルカリ金属塩が好ましい。また、糖類としてはマルトース、ラクトース、キシロース、サッカロース等が好ましく、糖アルコール類としては、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール等が好ましい。これらの遅延効果を有する化合物の含有量は、本添加剤中の共重合体の総質量に対して、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。
本添加剤は、適宜必要に応じて、他の添加剤を含有することができる。他の添加剤としては、従来より慣用されているAE剤、ポリサッカライド誘導体、リグニン誘導体、乾燥収縮低減剤、促進剤、起泡剤、消泡剤、防錆剤、急結剤、水溶性高分子物質等が挙げられる。他の添加剤は、本添加剤に対して、1〜20質量%含有することが好ましい。
本発明では、本添加剤、セメント、骨材、及び、淡水、汽水及び海水の中から選択される1種以上を含有する本セメント組成物が好ましい。
本セメント組成物では、セメントは、市販のセメントを使用することができる。なかでも、汎用性の点で、普通ポルトランドセメント及び/又は高炉セメントを使用することが好ましい。本発明では、得られる本セメント組成物の耐久性が良好であることや、セメント添加剤の添加量が少なくすむことによるコストの点等から、高炉セメントが特に好ましい。
本発明では、骨材としては、海砂、陸砂、山砂、砕砂等を使用することが好ましい。なかでも、骨材としては、便宜性がよいこと、コストの点等から、除塩前の海砂が特に好ましい。
本発明では、混練水として、淡水、汽水及び海水からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。なかでも、混練水としては、本発明のセメント添加剤が従来の技術と比較して効果が発揮される条件としては、塩分を含有するという点で、汽水又は海水が好ましい。
本セメント組成物は、適宜必要に応じて、他の構成材料を含有することができる。例えば、鉄筋を使用するセメント組成物においては、必要に応じて塩分による防錆性を確保した防錆被覆された鉄筋を使用したり、ステンレス筋を用いたりすることができる。
本セメント組成物は、従来より公知の方法により製造することができ、例えば日本土木学会制定のコンクリート標準示方書や建築学会制定の日本建築学会が作成した建築工事標準仕様書に準じた公知の設備及び公知の手法で作製することができる。具体的には、本セメント組成物は、予め混練水に本添加剤を混和した後、セメント、骨材等の他の原材料をミキサーに投入して製造する方法や、本セメント組成物の全ての原料をまとめて、ミキサーに投入して製造する方法が好ましい。本セメント組成物は、JIS A 5308に準じた生コンプラントで製造することが好ましい。
本セメント組成物は、単位水量195kg/m以下であることが好ましい。本セメント組成物は、単位水量195kg/m超であると、高塩分条件下での高分散性の効果が従来技術と変わらなくなるおそれがあるので好ましくない。本セメント組成物は、単位水量160〜190kg/mであることが特に好ましい。
また、本セメント組成物は、目標スランプが18cm以上であることが好ましい。本セメント組成物の目標スランプが18cm未満であると、高塩分濃度下での本添加剤特有の高い分散性の効果が得られなくなるおそれがあるので好ましくない。本セメント組成物は、目標スランプが18〜24cmであることが特に好ましい。
本セメント組成物は、従来より公知の方法により施工できる。また、硬化、養生方法としては、特に限定されるものではないが現場養生法や促進養生法等が挙げられる。
以下に、本発明の実施例(実施例1〜27)、比較例(1〜18)を示す。
[共重合体の製造]
(共重合体1)
撹拌機、pH装置、温度計及び滴下ロートを備えた反応容器中に、単量体として、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(25EO)80質量部及びアクリル酸ナトリウム20質量部、水122質量部、3−メルカプトプロピオン酸1.0質量部、30質量%過酸化水素水1.9質量部及び硫酸第一鉄七水和物0.03質量部を投入した後、撹拌を行いながら、温度30℃以下、pH6.0以下に保った状態で反応を行った。反応中は、温度30℃以下、pH6.0以下になるように調整しながら撹拌を継続し、還元剤としてロンガリット3.0質量部を添加して30分反応させた。反応終了後、固形分濃度45質量%の共重合体1を含有する水溶液227gを得た。
(共重合体2〜24)
表1、表2に記載の質量比に基づいて、単量体の合計を100質量部にすること以外は、共重合体1と同様にして操作を行い、固形分濃度45質量%の共重合体2〜24を含有する水溶液を得た。
共重合体の質量平均分子量、オキシアルキレン基の平均付加モル数を、使用した単量体と併せて表1、2に示す。
なお、質量平均分子量の測定は、GPC分析により、ポリエチレングリコール換算で算出した。質量平均分子量の測定において、カラムはshodex OHパック SB−804x2、移動相は0.1mol NaSO、メタノール/水=20wt%/80wt%、温度:60℃、送液速度:0.8ml/minの測定条件で行った。
[セメント組成物用添加剤の製造]
表3に示す配合比に従い、得られた共重合体1〜24を含有する水溶液に、水や所要の成分を加えて、共重合体1〜24の濃度20質量%の水溶液に調整して、添加剤1〜31を得た。得られた添加剤1〜31を表3に示す。
[セメント組成物(コンクリート)の調製]
表6に示す配合比及び表4に示す仕様(配合I、II)に従い、下記材料を使用して、JIS A 1101の規定に準じて、目標スランプ18cm±0.5cm、且つ、JIS A 1128の規定に準じて、目標空気量4.5±0.5%のコンクリート(実施例1〜23、比較例1〜14)を調製した。また、表6に示す配合比及び表4に示す仕様(配合III)に従い、JIS A 1150に準じて目標スランプフロー45cm±5cm、且つ、JIS A 1128の規定に準じて、目標空気量4.5±0.5%のコンクリート(実施例24〜27、比較例15〜18)を調製した。コンクリートの練混ぜは、練混ぜ量が80リットルとなるようにそれぞれ材料を計量した後、100リットルパン型強制練りミキサーに全材料を投入後、120秒間練混ぜてコンクリ−トを調製した。得られたコンクリートの評価結果(実施例1〜27、比較例1〜18)を表6にまとめて示す。
(使用材料)
・セメント:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、密度3.16)
高炉セメントB種(太平洋セメント社製、密度3.04)
・細骨材 :大井川水系産陸砂(密度2.60、FM=2.66)
・粗骨材 :青梅産砕石(密度2.66、MS=20mm、FM=6.71)
・練混ぜ水:水道水と高塩分水の2水準とし、また、高塩分水は、練混ぜ水の一部を人工海水100kg/mとし、残りを水道水として混合して製造した。この練混ぜ水を使用することで、セメント組成物中の塩分濃度は約4.1kg/mになった。
なお、人工海水は、JIS A 6205「鉄筋コンクリート用防錆剤」の附属書I・表1及び2に記載の塩分溶液に則り、調製した。得られた、塩分溶液の1リットル当たりの各組成物の含有量は、塩化ナトリウムが24.5g、塩化マグネシウムが11.1g、硫酸ナトリウムが4.1g、塩化カルシウムが1.2g及び塩化カリウムが0.7gであった。
・増粘剤 :信越化学工業社製hiメトローズ90SH−30000を使用した。
[評価方法]
表5の評価基準にしたがい、得られたコンクリートの高塩分濃度における減水性の判定を行った。
表5の減水性の評価は、淡水使用時のセメント添加剤の添加量に対する高塩分水使用時のセメント添加剤の添加量の質量比を百分率で表したものである。すなわち、セメント添加量の質量比が、小さいほど、塩分の影響を受けにくく、得られるセメント組成物の分散性が優れるという判断ができる。
[評価結果]
実施例1〜27及び比較例1〜18について、評価を行った。試験結果及び判定結果を表6に示す。なお、表6中の「添加量(C×質量%)」とは、目標とするスランプ又はスランプフローを得るために必要とするセメント添加剤のセメント質量に対する質量比を百分率で表したものである。また、「水道水使用」とは、練混ぜ水に水道水を使用した場合を表したものであり、同様に「高塩分水使用」とは、練混ぜ水に高塩分水を使用した場合を表したものである。
表6より、実施例1〜20の減水性の判定はA又はBであるのに対し、比較例1〜11はD又はEであった。実施例21〜23の減水性の判定はAであるのに対して、比較例12〜14はC、D又はEであった。実施例24〜27の減水性の判定はAであるのに対して、比較例15〜18はEであり、本発明のセメント添加剤が配合I、II及びIIIの各同一配合条件で比較すると、どちらの条件でも減水性が従来のセメント添加剤と比較して優れていることが分かる。
本添加剤は、海水や海砂由来の塩分を含有する本セメント組成物に最適である。また、本セメント組成物は、現場や、打設の合理化・省力化から十分な振動締めを行うことが困難な場合に、比較的高い流動性を持つセメント組成物を製造する場合に最適である。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物1種以上の単量体A及び/又は下記一般式(2)で表される化合物1種以上の単量体Bと、
    アクリル酸及び/又はその塩である単量体Cとを構成単位として含み、
    前記単量体A及び/又は前記単量体Bと、前記単量体Cとの質量比が、(単量体A及び/又は単量体B):(単量体C)=70〜90:10〜30であり、
    前記単量体Aと、前記単量体Bとの質量比が、(単量体A):(単量体B)=0〜100:100〜0であり、かつ、オキシアルキレン基の平均付加モル数が10〜35である1種以上の共重合体A及び/又は、
    下記一般式(3)で表される化合物1種以上の単量体Fと、
    メタクリル酸及び/又はその塩、あるいは、マレイン酸及び/又はその塩である単量体Gとを構成単位として含み、
    前記単量体Fと、前記単量体Gとの質量比が、(単量体F):(単量体G)=70〜90:10〜30であり、かつ、オキシアルキレン基の平均付加モル数が50〜150である1種以上の共重合体Bを含有する高塩分含有セメント組成物用添加剤であって、
    前記高塩分含有セメント組成物中の塩分濃度が、セメント組成物1m あたり、2〜40kgである、高塩分含有セメント組成物用添加剤。
    (式中、Rは炭素数2〜5のアルケニル基、Rは水素又は炭素数1〜4のアルキル基、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、mは0〜30の整数、nは10〜150の整数である。)
    (式中、R、Rは水素又はメチル基、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Xは水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、aは0〜2の整数、oは0〜30の整数、pは10〜150の整数である。)
    (式中、R、Rは水素又はメチル基、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Xは水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、bは0〜2の整数、qは0〜30の整数、rは10〜150の整数である。)
  2. 前記共重合体Aが、構成単位として、さらに、下記一般式(4)で表される化合物1種以上の単量体D及び/又は、
    スチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アクリルアミドアルカンスルホン酸及びアクリルアミドアルカンスルホン酸塩からなる群から選ばれる1種以上の単量体Eを、
    前記単量体A及び/又は前記単量体Bと、前記単量体Cと、前記単量体Dと、前記単量体Eとの質量比が、(単量体A及び/又は単量体B):(単量体C):(単量体D):(単量体E)=70〜90:10〜30:0〜10:0〜10の割合で含む請求項1に記載の高塩分含有セメント組成物用添加剤。
    (式中、Rは水素又はメチル基、Zは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを表す。)
  3. 前記共重合体Bが、構成単位として、さらに、下記一般式(5)で表される化合物1種以上の単量体H及び/又は、
    スチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アクリルアミドアルカンスルホン酸及びアクリルアミドアルカンスルホン酸塩からなる群から選ばれる1種以上の単量体Iを、
    前記単量体Fと、前記単量体Gと、前記単量体Hと、前記単量体Iとの質量比が、(単量体F):(単量体G):(単量体H):(単量体I)=70〜90:10〜30:0〜10:0〜10の割合で含む請求項1又は2に記載の高塩分含有セメント組成物用添加剤。
    (式中、Rは水素又はメチル基、Zは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを表す。)
  4. 前記共重合体Aの質量平均分子量が10,000〜100,000であり、前記共重合体Bの質量平均分子量が10,000〜100,000である請求項1〜3のいずれかに記載の高塩分含有セメント組成物用添加剤。
  5. 単位水量が195kg/m以下の高塩分含有セメント組成物、又は、目標スランプが18cm以上の高塩分含有セメント組成物に使用するための請求項1〜のいずれかに記載の高塩分含有セメント組成物用添加剤。
  6. さらに、増粘剤を含有する請求項1〜のいずれかに記載の高塩分含有セメント組成物用添加剤。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の高塩分含有セメント組成物用添加剤、セメント、骨材及び、淡水、汽水及び海水からなる群より選ばれる1種以上を含有する高塩分含有セメント組成物であって、
    前記高塩分含有セメント組成物中の塩分濃度が、セメント組成物1m あたり、2〜40kgである、高塩分含有セメント組成物
  8. 前記セメントが、普通ポルトランドセメント及び/又は高炉セメントである請求項に記載の高塩分含有セメント組成物。
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