JP5866813B2 - 内燃機関 - Google Patents
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Description
また、混合気を圧縮自着火させるため、燃焼時の燃焼室の容積は従来までの高セタン価燃料の内燃機関と略同じとなる。これにより、燃焼時の圧力が内燃機関の制限圧力を超えることを防止するために、過給を行うことができない。したがって、特許文献1に記載の内燃機関の場合、スモークが発生しないようにするには、低負荷に限定して運転せざるを得なくなる。
さらに、特許文献1に記載の内燃機関は、機械式の追加圧縮により予混合気を着火させるため、内燃機関の高回転による運転には向かない。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、着火遅れおよび着火時期のばらつきを抑制可能な内燃機関を提供することにある。
制御装置は、通常運転を行う条件である通常運転条件を満たす場合、燃料噴射装置により第1所定量の燃料を噴射する通常噴射を行い、通常噴射により噴射された燃料と空気との混合気がピストンの移動によって圧縮されることで得られた熱量により、混合気を自着火させる。また、制御装置は、通常運転条件とは異なる条件である特定運転条件を満たす場合、燃料噴射装置により、通常噴射の後、第2所定量の燃料を噴射する追加噴射を行い、点火装置により追加噴射された燃料を着火させて得られた熱量により、混合気を自着火させる。また、特定運転条件は、燃焼室の圧縮比が通常運転条件での燃焼室の圧縮比と同じであり、ピストンの往復移動速度が所定値を超えることを前提条件として含む。
これにより、燃焼中心をピストンの上死点に近付けることができる。したがって、熱効率の悪化を抑制することができる。
これにより、特定運転時には、圧縮比を小さくすることで、燃焼時の最大圧力を低減することができる。このため、過給が可能になり、高負荷でPMを低減することができ、すす等の抑制効果を高めることができる。したがって、低PM燃焼の運転範囲を拡大することができる。
また、圧縮比の低下により熱効率が低下するが、予混合化によりエミッションに余裕ができるため、EGR(排気再循環)により還流する排気の量を低減することができる。よって、比熱比を増加することができる。
これにより、追加噴射された第2所定量の燃料の燃焼により、NOxおよびPMの発生を抑制することができる。
所定量の燃料を一度に噴射すると噴霧が飛散し壁面に付着しやすくなる。これに対し、所定量の燃料を複数回分けて噴射すると、燃料がシリンダの壁面に付着することを低減することができる。
また、請求項7に係る発明によると、点火装置は、点火源を生じる端部が燃料噴射装置の噴孔近傍に位置するよう設けられている。
これにより、追加噴射された燃料を着火させる着火性を高めることができる。
(一実施形態)
本発明の一実施形態による内燃機関は、高セタン価燃料を燃料として使用する。ここで、高セタン価燃料というのは、例えば、軽油、DME等のセタン価が40以上の燃料を言う。本発明の一実施形態による内燃機関を適用したエンジンシステムを図1に示す。エンジンシステム1は、車両に搭載されている。
コモンレール41は、燃料の圧力を維持したまま、すなわち蓄圧状態で燃料を蓄える。そして、コモンレール41における燃料の圧力を上昇させるのが、高圧ポンプ43である。コモンレール41に蓄えられた燃料は、燃料噴射装置14から噴射される。本実施形態では、燃料噴射装置14内部の燃料通路の開放期間が通電期間として制御されることで、目標とする量の燃料がシリンダ11内へ噴射されることになる。
ECU50の入力ポートには、コモンレール41における燃料の圧力を検出する油圧センサ54、アクセルペダル71の踏み込み量を検出するアクセルセンサ55、エンジン10の回転数を検出する回転数センサ56、シリンダ11内に吸入される吸気の温度および圧力を検出する温度センサ52および圧力センサ51、ならびに、ピストン13の往復移動とともに回転するクランクシャフトの回転角を検出するクランク角センサ53が電気的に接続されている。一方、ECU50の出力ポートには、上述した燃料噴射装置14、高圧ポンプ43、及び、点火装置15などが電気的に接続されている。
S110では、燃料の目標噴射量を算出する。燃料の目標噴射量は、アクセルセンサ55からの信号に基づくアクセルペダル71の踏み込み量に基づいて算出される。
特定運転モードの制御を説明する前に、まず、特定運転モードの前提条件について説明する。本実施形態では、ピストン13が上死点まで移動するとき、シリンダ11内の燃料と空気との混合気が圧縮により自着火しないという特定運転モードの前提条件は、エンジン10の圧縮比が11.5〜12.5に設定されているということである。ここで、図4〜図7に基づいて、エンジン10の圧縮比を11.5〜12.5に設定する根拠について説明する。
S161では、目標噴射量、過給圧、吸気温度、および現在回転数により、予め行う通常噴射の毎回の噴射量を算出する。
S162では、クランク角センサ53によりクランク角を検出する。
図10および図11を比較すると、時刻t1から時刻t3までの時間は、時刻t4からt6までの時間より短いということが分かる。つまり、点火装置を用いることは、追加圧縮を用いることより熱の発生速度が速い。
(1)本実施形態では、シリンダ11内に予め形成されている混合気は、追加噴射された燃料を燃焼させて得られた熱量により着火する。これにより、従来のエンジンに比べ、熱の発生速度が速いため、着火遅れを抑制することができ、着火時期のばらつきを抑制することができる(図10および図11参照)。また、熱発生量は燃料の噴射量(第2所定量)により制御可能であるため着火時期の制御性を高めることができる。さらに、本実施形態の場合、混合気を自着火可能な温度まで昇温させるのに必要な熱量を発生する燃料の量(第2所定量)は、第1所定量に比べて極めて少ない。このため、追加噴射する燃料の量を低減することによりNOx(窒素酸化物)およびPMの発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、圧縮比の低下により熱効率が低下するが、予混合化によりエミッションに余裕ができるため、EGR(排気再循環)により還流する排気の量を低減することができる。よって、比熱比を増加することができる。
上記実施形態では、通常運転および特定運転を選択的に行う例を示した。これに対し、他の実施形態では、特定運転のみ行うこととしても良い。
以上、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない限度において種々の形態で実施できる。
10 ・・・エンジン(内燃機関)
11 ・・・シリンダ
13 ・・・ピストン
14 ・・・燃料噴射装置
15 ・・・点火装置
110・・・燃焼室
141・・・噴孔
151・・・火花発生端部(点火源を生じる端部)
161・・・吸気弁
171・・・排気弁
Claims (7)
- 往復移動可能なピストンと、
前記ピストンを収容し、前記ピストンの往復移動により容積が可変する燃焼室を有する筒状のシリンダと、
噴孔を有し、当該噴孔から前記燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置と、
点火源を生じることにより、前記燃焼室に噴射された燃料を着火させる点火装置と、
前記燃料噴射装置の燃料噴射、および、前記点火装置の点火を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
通常運転を行う条件である通常運転条件を満たす場合、前記燃料噴射装置により第1所定量の燃料を噴射する通常噴射を行い、前記通常噴射により噴射された燃料と空気との混合気が前記ピストンの移動によって圧縮されることで得られた熱量により、前記混合気を自着火させ、
前記通常運転条件とは異なる条件である特定運転条件を満たす場合、前記燃料噴射装置により、前記通常噴射の後、第2所定量の燃料を噴射する追加噴射を行い、前記点火装置により前記追加噴射された燃料を着火させて得られた熱量により、前記混合気を自着火させ、
前記特定運転条件は、前記燃焼室の圧縮比が前記通常運転条件での前記燃焼室の圧縮比と同じであり、前記ピストンの往復移動速度が所定値を超えることを前提条件として含むことを特徴とする内燃機関。 - 前記制御装置は、前記特定運転条件を満たす場合、前記ピストンが上死点近傍に位置するとき、
前記燃料噴射装置により、前記追加噴射を行い、前記点火装置により、前記追加噴射された燃料を着火させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。 - 前記特定運転条件は、前記燃焼室の圧縮比が前記燃焼室内に噴射された燃料を常に自着火させる圧縮比より小さいことを前提条件として含むことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関。
- 前記第2所定量は、前記第1所定量より少ないことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の内燃機関。
- 前記制御装置は、前記燃料噴射装置により前記通常噴射を行うとき、前記第1所定量の燃料を複数回に分けて噴射することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関。
- 前記燃料噴射装置は、前記点火装置の前記点火源を生じる端部近傍に燃料を噴射することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の内燃機関。
- 前記点火装置は、前記点火源を生じる端部が前記燃料噴射装置の前記噴孔近傍に位置するよう設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の内燃機関。
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