JP5862948B2 - アンテナ装置 - Google Patents
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例えば、誘電体ブロックによる従来技術としては、特許文献1では、放射電極を樹脂成型体に形成し、さらに誘電体ブロックを接着剤で一体化することで高効率を得る複合アンテナが提案されている。また、特許文献2では、誘電体材料等で形成された矩形状の基体と、基体の上面に形成されたアンテナ電極とを備え、基体の側面にインダクタンス成分や容量成分を有する電極を形成したアンテナ装置が提案されている。
すなわち、特許文献1及び2に記載のような誘電体ブロックによる技術では、放射電極を励振する誘電体ブロックを使用しており、機器毎に誘電体ブロック、放射電極パターン等の設計が必要になり、その設計条件によってアンテナ性能が劣化したり、不安定要素が増加する不都合がある。また、特許文献1では放射電極が樹脂成型体の表面に形成されているため、樹脂成型体上に放射電極パターンを設計する必要があり、実装する通信機器やその用途に応じて、アンテナ設計、金型設計が必要になり、大幅なコストの増大を招いてしまう。さらに、誘電体ブロックと樹脂成型体とを接着剤で一体化するので、接着剤のQ値以外にも接着条件(接着剤の厚み、接着面積等)により、アンテナ性能が劣化したり、不安定要素が増加する不都合がある。
また、特許文献3に記載のようなスイッチ,制御電圧源を用いたアンテナ装置の場合、スイッチで共振周波数の切り替えを行うために、制御電圧源の構成やリアクタンス回路等が必要であり、アンテナ構成が機器毎に複雑化し、設計の自由度が無く、容易なアンテナ調整が困難であるという問題があった。
さらに、第2延在部が、グランド面との間の浮遊容量を発生可能にグランド面に対して間隔を空けて延在していると共に、グランド誘起パターンが第2延在部との間の浮遊容量を発生可能に第2延在部に対して間隔を空けて延在しているので、所望の共振周波数に自己共振しないローディング素子のアンテナ素子と各浮遊容量とを効果的に利用することで、複共振化させることができる。また、アンテナ素子および受動素子の選択(定数変更等)によって、各共振周波数をフレキシブルに調整可能であり、設計条件に応じた共振化が可能なアンテナ装置を得ることができる。このように、アンテナ構成上、一つのアンテナ装置で各共振周波数をフレキシブルに調整できるため、共振周波数の入れ替えが可能になり、用途や機器に応じて受動素子等による調整箇所を変更可能になっている。
さらに、基板本体の平面内で設計が可能であり、従来の誘電体ブロックや樹脂成型体等を使用する場合に比べて薄型化が可能であると共に、誘電体アンテナであるアンテナ素子の選択によっても、小型化および高性能化が可能になる。また、金型、設計変更等によるコストが必要なく、低コストを実現することができる。
すなわち、このアンテナ装置では、第2エレメントが、グランド面との間の浮遊容量を発生可能にグランド面に対して間隔を空けて延在しているので、第2受動素子と各浮遊容量とを効果的に利用することで、さらに別の周波数で複共振化させることができる。
また、グランド誘起パターンが、第2エレメントの近傍に配されて該第2エレメントにも沿って延在しているので、グランド誘起パターンと第2エレメントとの間にも浮遊容量が発生し、該浮遊容量により共振周波数の調整を行うことができる。
すなわち、このアンテナ装置では、基板本体が、アンテナ側基板とグランド側基板とで構成されて接続配線部で電気的に接続されているので、1枚の基板本体の場合に比べて設置自由度が高くなる。また、グランド誘起パターンが、アンテナ側基板とグランド側基板との間に設置されているので、グランド誘起パターンと第2延在部等との間の浮遊容量を効果的に発生させることができると共に、省スペース化に対応することができる。
すなわち、このアンテナ装置では、アンテナ側基板とグランド側基板との間に絶縁性のスペーサが配置されているので、スペーサによりアンテナ側基板とグランド側基板との間隔を安定に保持できると共に高誘電材料のスペーサを採用することで第1エレメント等を小型化することができる。また、ゴム製等の弾性材料のスペーサを採用することで、基板本体への衝撃や振動を吸収することができる。
すなわち、このアンテナ装置では、全体が筐体の内部に収納されており、グランド誘起パターンが、該筐体の内面に形成されているので、筐体を利用してグランド誘起パターンを設置でき、グランド誘起パターンを支持する部材を別途設ける必要が無いため、部材コストの低減が可能であると共に省スペース化に対応することができる。
すなわち、このアンテナ装置では、基板本体に金属箔でパターン形成され第2延在部の基端側に第3受動素子を介して接続され第2延在部に沿って延在した第3エレメントを備えているので、さらに別の周波数でも共振可能になり、4つの共振周波数による4共振化が可能になる。
すなわち、このアンテナ装置では、グランド接続部に、インピーダンス調整用受動素子が接続されているので、インピーダンス調整用受動素子の設定により、各周波数帯のインピーダンス調整を行うことができる。特に、第1延在部の受動素子と2つのインピーダンス調整用受動素子との組み合わせによりπ型の整合回路を構成することにより、3共振化や4共振化の際にも調整がしやすくなる。
すなわち、本発明のアンテナ装置によれば、グランド誘起パターンが、第2延在部の近傍に配されて該第2延在部に沿って延在しているので、グランド誘起パターンと少なくとも第2延在部との間に浮遊容量が発生し、グランド面に効率的に高周波電流を流すことができる。また、グランド誘起パターンを基板本体とは別に外部の空いたスペースに独立して設置可能であると共に外部のグランドに接続可能であり、省スペースに対応して良好なアンテナ特性を得ることができる。
また、グランド側基板2Bは、例えば一般的なプリント基板であって、本実施形態では、長方形状のガラスエポキシ樹脂等からなるプリント基板の本体を採用している。また、このグランド側基板2Bは、グランド面GND1に高周波回路が設けられると共に、搭載される携帯機器等における他の回路等が設けられているメイン基板と兼用されている。
上記アンテナ側基板2Aとグランド側基板2Bとの間には、絶縁性のスペーサ11が配置されている。
上記接続配線部8は、例えばFPCで形成されている。
上記第3エレメント6は、基端から幅広に延在する第5延在部E5と、該第5延在部E5から第2延在部E2に沿って第5延在部E5よりも細い幅で延在する第6延在部E6とを備えている。
例えば、給電手段として同軸ケーブルを採用する場合、第1延在部E1(基端部E1a)のグランド面GND1基端側に同軸ケーブルのグランド線が接続されると共に、同軸ケーブルの芯線が給電点FPに接続される。
なお、本実施形態のアンテナ素子ATの寸法は、横幅:10.5mm、奥行き:3.0mm、高さ:0.8mmである。
上記各受動素子P1〜P5は、例えばインダクタ、コンデンサ又は抵抗又はジャンパ線が採用される。
上記第1の共振周波数f1は、3つの共振周波数のうち低い周波数帯(例えば、900MHz帯)のものであり、アンテナ素子ATと、第1エレメント3の長さと、第1受動素子P1と、第5受動素子P5と、各浮遊容量Ca〜Cfとで決定及び調整される。
また、第1の共振周波数f1におけるインピーダンスは、インピーダンス調整用受動素子P4a,P4bと、各浮遊容量Ca〜Cdとで決定される。
したがって、第1の共振周波数f1は、主に図2中の一点鎖線A1で囲まれた部分で調整される。
このように、第1の共振周波数f1については、アンテナ素子ATと、第1エレメント3の長さと、第1受動素子P1及び第5受動素子P5と、インピーダンス調整用受動素子P4a,P4bと、上記各浮遊容量との設定により、共振周波数及びインピーダンスをフレキシブルに調整可能である。
また、第2の共振周波数f2におけるインピーダンスは、インピーダンス調整用受動素子P4a,P4bと、浮遊容量Cd、Ce,Cf,Cg,Chとで決定される。
さらに、第2の共振周波数f2の最終的な調整は、第3受動素子P3を用いてフレキシブルに調整可能である。
このように、第2の共振周波数f2については、第1エレメント3及び第3エレメント6の長さと、第3受動素子P3及び第5受動素子P5と、インピーダンス調整用受動素子P4a,P4bと、上記浮遊容量Cd、Ce,Cf,Cg,Chとの設定により、共振周波数及びインピーダンスをフレキシブルに調整可能である。
また、第3の共振周波数f3におけるインピーダンスは、第1受動素子P1と、インピーダンス調整用受動素子P4a,P4bと、各浮遊容量Cb,Cc,Cd,Cfで決定される。
さらに、第3の共振周波数f3の最終的な調整は、第5受動素子P5を用いてフレキシブルに調整可能である。
このように、第3の共振周波数f3については、第1エレメント3の長さと、第1受動素子P1と、第5受動素子P5と、インピーダンス調整用受動素子P4a,P4bと、上記浮遊容量Cb,Cc,Cd,Cfとの設定により、共振周波数及びインピーダンスをフレキシブルに調整可能である。
また、第4の共振周波数f4におけるインピーダンスは、インピーダンス調整用受動素子P4a,P4bと、各浮遊容量Cf、Ci,Cjで決定される。
さらに、第4の共振周波数f4の最終的な調整は、第2受動素子P2を用いてフレキシブルに調整可能である。
このように、第4の共振周波数f4については、第2エレメント5の長さと、第2受動素子P2及び第5受動素子P5と、インピーダンス調整用受動素子P4a,P4bと、上記浮遊容量Cf、Ci,Cjとの設定により、共振周波数及びインピーダンスをフレキシブルに調整可能である。
なお、第1〜第4の共振周波数f1〜f4の最終的なインピーダンス調整は、2つのインピーダンス調整用受動素子P4a,P4bを用いてフレキシブルに調整可能である。
近年の携帯機器の薄型化に伴い、種々の回路が設けられるメイン基板のグランド面GND1のサイズは小さくなっており、小さいグランド面GND1を有効に利用する必要がある。その際、開放端があるアンテナエレメントの場合、小さいグランド面GND1に高周波電流を流してしまうと、アンテナ性能が劣化するおそれがある。
なお、第1エレメント3の長さ、各エレメント間との浮遊容量等により、フレキシブルに対応が可能なため、波長の4分の1以下の長さにおいても高周波電流を効率的に流すことが可能である。
また、第2エレメント5が、グランド面GND1との間の浮遊容量を発生可能にグランド面GND1に対して間隔を空けて延在しているので、第2受動素子P2と各浮遊容量とを効果的に利用することで、さらに別の共振周波数で複共振化させることができる。
また、基板本体2が、アンテナ側基板2Aとグランド側基板2Bとで構成されて接続配線部8で電気的に接続されているので、1枚の基板本体2の場合に比べて設置自由度が高くなる。また、グランド誘起パターン4が、アンテナ側基板2Aとグランド側基板2Bとの間であって第2延在部E2の近傍に設置されているので、グランド誘起パターン4と第2延在部E2等との間の浮遊容量を効果的に発生させることができると共に、省スペース化に対応することができる。
また、グランド接続部7に、インピーダンス調整用受動素子P4a,P4bが接続されているので、インピーダンス調整用受動素子P4a,P4bの設定により、各周波数帯のインピーダンス調整を行うことができる。特に、第1延在部E1の第5受動素子P5と2つのインピーダンス調整用受動素子P4a,P4bとの組み合わせによりπ型の整合回路を構成することにより、3共振化や4共振化の際にも調整がしやすくなる。
この結果、本発明の実施例では、第1の共振周波数f1から第4の共振周波数f4までの各共振周波数で、図6に示すように、良好なVSWR特性が得られている。
図7は、900MHz帯域の第1の共振周波数f1と、1700MHz帯域の第2の共振周波数f2と、1800MHz帯域の第3の共振周波数f3と、2100MHz帯域の第4の共振周波数f4とにおける放射パターン(YZ面)である。
さらに、上記実施形態においては、4共振化を実現しているが、3共振化や2共振化としても構わない。例えば、第3エレメントを設けずに、又は第3受動素子を接続せずに、第1エレメント及び第2エレメントだけによる3共振化としても構わない。
Claims (7)
- 絶縁性の基板本体と、
該基板本体にそれぞれ金属箔でパターン形成されたグランド面と第1受動素子が途中に接続された第1エレメントと、
前記基板本体の近傍に配置され金属箔又は金属板で形成されグランドと接続されたグランド誘起パターンとを備え、
前記第1エレメントが、前記グランド面近傍の基端に給電点が設けられていると共に前記給電点から前記グランド面から離間する方向に少なくとも先端側が延在した第1延在部と、
該第1延在部の先端に基端が接続され前記グランド面に沿った方向に延在していると共に前記第1受動素子より先端側に誘電体アンテナのアンテナ素子が接続された第2延在部とを有し、
前記グランド誘起パターンが、前記第2延在部の近傍に配されて該第2延在部に沿って延在していると共に前記基板本体とは別に前記基板本体の外部に設置されていることを特徴とするアンテナ装置。 - 請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記基板本体に金属箔でパターン形成され前記第1延在部に第2受動素子を介して基端が接続されていると共に前記第2延在部と反対方向に延在している第2エレメントを備え、
前記グランド誘起パターンが、前記第2エレメントの近傍に配されて該第2エレメントにも沿って延在していることを特徴とするアンテナ装置。 - 請求項1又は2に記載のアンテナ装置において、
前記基板本体が、少なくとも前記第1延在部の先端側と前記第2延在部とが形成されたアンテナ側基板と、
該アンテナ側基板の下方に離間して設置され少なくとも前記第1延在部の基端側と前記グランド面とが形成されたグランド側基板とで構成され、
前記第1延在部が、前記アンテナ側基板側の基端と前記グランド側基板側の先端とを接続する接続配線部を備え、
前記グランド誘起パターンが、前記アンテナ側基板と前記グランド側基板との間に設置されていることを特徴とするアンテナ装置。 - 請求項3に記載のアンテナ装置において、
前記アンテナ側基板と前記グランド側基板との間に絶縁性のスペーサが配置されていることを特徴とするアンテナ装置。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
全体が筐体の内部に収納されており、
前記グランド誘起パターンが、該筐体の内面に形成されていることを特徴とするアンテナ装置。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記基板本体に金属箔でパターン形成され前記第2延在部の基端側に第3受動素子を介して接続され前記第2延在部に沿って延在した第3エレメントを備えていることを特徴とするアンテナ装置。 - 請求項1から6のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記基板本体に金属箔でパターン形成され前記第1延在部の途中に先端が接続されていると共に基端が前記給電点から離間した位置で前記グランド面に接続されているグランド接続部を備え、
該グランド接続部に、インピーダンス調整用受動素子が接続されていることを特徴とするアンテナ装置。
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