JP5860715B2 - クレーン装置 - Google Patents
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Description
そして、特許文献3に記載の天井クレーンは、地震発生時に走行レールから脱輪しないように、各車輪(走行部)を走行レールと共に建屋内の天井付近に固定される補助レールで挟み込むことが考えられている。
また、仮に上記従来の免震ユニットを天井クレーンに設置できたとしても、走行レール上の空間は建屋の内面(天井や側壁部)によって制限されているため、特に復元力機構や減衰機構におけるストローク量(例えばバネやダンパが伸縮する長さ)を十分に確保することが難しくなる、すなわち、免震ユニットの機能を十分に発揮できない虞もある。
上記クレーン装置によれば、クレーン本体と走行部とが相対移動する長さに対し、復元機構におけるストローク量を長く確保することができる。言い換えれば、クレーン本体と走行部とが相対移動する長さが短くても、走行部に対して相対移動するクレーン本体に対して大きな復元力を付与することができる。すなわち、免震ユニットの機能をさらに向上させることができる。
すなわち、上記クレーン装置では、弾性部材の伸縮方向(復元機構におけるストローク方向)が、鉛直方向に対して傾斜していることで、復元機構におけるストローク量を長く確保しながらも、クレーン装置の高さ寸法が高くなることを抑制できる。
なお、前記弾性力は、圧縮変形及び伸長変形のいずれか一方の弾性変形の方向に、弾性部材を弾性変形させる力を示している。
このため、走行部をクレーン本体に対して相対移動させようとする外力(例えば地震による力)が初期弾性力以下の場合には、クレーン本体及び走行部の相対位置は弾性部材の初期弾性力によって前記初期状態と同様の位置(初期位置)に保持され、これらは相対移動しない。一方、走行部をクレーン本体に対して相対移動させようとする外力が初期弾性力よりも大きい場合には、弾性部材に付与された一方の弾性変形がさらに進行して、クレーン本体及び走行部が相対移動することになる。
したがって、荷役時や走行時あるいは小さな地震発生時等のように走行部に作用する外力が小さい場合には、クレーン本体及び走行部が相対移動することを防止できる。また、大きな地震発生時のように走行部に作用する外力が大きい場合には、クレーン本体及び走行部を相対移動させて、クレーン本体に作用する荷重を低減することが可能となる。
そして、上記クレーン装置によれば、前述した揺動アームや復元機構の場合と同様に、減衰機構を設けても、走行レール上に配されるクレーン装置の高さ寸法を低く抑えることができる。また、減衰機構が復元機構と同様にクレーン本体や走行部の側端部に設けられることで、減衰機構におけるストローク量(例えばダンパが伸び縮みする長さ)が、走行レール上の空間(特に高さ寸法)の制約を受け難くなるため、このストローク量を十分に確保することも可能となる。
そして、上記クレーン装置によれば、揺動アームの他方の揺動端を走行部に直接連結する必要が無いため、免震ユニットを備えないクレーン装置に対する揺動アームの取り付けを容易に行うことができる。
上記クレーン装置では、揺動アームの他方の揺動端が、ブラケット及び連結部材を介して走行部に連結されることになる。
揺動アームの他方の揺動端がブラケット及び連結部材を介して走行部に連結される場合には、地震発生時に伴う走行部の相対移動や揺動アームの揺動によって、連結部材によるブラケットと走行部との連結部分に応力が発生することがある。そこで、上記クレーン装置のように、揺動アームの他方の揺動端を、一対のガイドローラ及び走行レールも介して走行部に連結すると、前述の応力が、連結部材によるブラケットと走行部との連結部分、及び、一対のガイドローラと走行レールとの連結部分の二箇所に分散されることになる。すなわち、連結部材によるブラケットと走行部との連結部分に生じる応力を軽減することが可能となる。
上記クレーン装置では、地震発生時に伴う走行部の相対移動や揺動アームの揺動によって、連結部材によるブラケットと走行部との連結部分に応力がかかることを確実に防止できる。
上記クレーン装置でも、揺動アームの揺動に伴ってロッドが直線移動し、これによって弾性部材が伸縮するが、例え復元機構の収容ケースがクレーン本体及び走行部の一方に固定され、ロッドの直線移動方向が固定されていても、揺動アームが揺動した際には、突起が長孔の長手方向に摺動することで、揺動アームの揺動がロッドの直線移動方向に変換されることになる。したがって、復元機構のロッドや収容ケースに応力が生じることを確実に防止できる。
以下、図1〜5を参照して本発明の第一実施形態について説明する。なお、本実施形態に係るクレーン装置は、図1に示すように、建屋2内の天井3付近に配される屋内用の天井クレーン1に適用したものである。
すなわち、天井3付近における建屋2の左右両側部(X軸方向の両側部)には、前後方向(Y軸方向)に水平に延在する一対の走行レール4が設けられている。そして、本実施形態に係る天井クレーン(クレーン装置)1は、この一対の走行レール4上を走行可能とされ、荷の吊り込みを行うように構成されている。なお、図1〜5においてZ軸方向は鉛直方向を示している。
天井クレーン1は、図1,2に示すように、荷の吊り込みを行う吊り込み手段7を有するクレーン本体5と、クレーン本体5に取り付けられる走行部6(トラック6)とを備えている。
トロリ11は、後述するクレーンガーダ12の横行レール14上でその延在方向(X軸方向)に転動する車輪13を有しており、これによって、横行レール14上をX軸方向に移動可能となっている。なお、前述した吊り込み手段7は、このトロリ11に設けられており、吊荷用フック15を巻き上げ可能なワイヤ16で吊り下げて構成されている。
各ヨーク18は、ガーダ本体17の左右両側部においてガーダ本体17を下側から支持するように配されており、X軸方向に延びるヨークピン19によってガーダ本体17に対して連結されている。
本体部21は、図3(b)〜図5(b)に示すように、トラックピン23によってヨーク18に対して車輪22の回転軸方向(X軸方向)に相対移動可能に連結されている。なお、ヨーク18の下端にはトラックピン23の軸方向両端を支持する一対の支持部20が形成されており、本体部21は、これら一対の支持部20の間に配されるように、トラックピン23を介してヨーク18に取り付けられている。したがって、ヨーク18に対して本体部21が相対移動できる範囲は、一対の支持部20間の距離によって設定されている。
以上のように構成されていることで、クレーンガーダ12は、走行部6によって一対の走行レール4上に架け渡された状態でY軸方向に移動可能とされている。
ハウジング24は、ヨーク18の側端部18aに一体に固定されており、ヨーク18の下端よりも下側に延びて形成されている。このハウジング24は、後述する揺動アーム31及び復元機構32がなるべく外部に露出しないように揺動アーム31及び復元機構32の一部を覆う役割、及び、揺動アーム31や復元機構32の構成要素をヨーク18に取り付けるための介在部品としての役割を果たす。
この揺動アーム31のうち、アーム用ピン33から上方に延びる第一アーム部34の先端(一方の揺動端)は、後述する復元機構32のロッド39に連結されている。
以上のように構成される揺動アーム31では、アーム用ピン33から第一アーム部34と復元機構32のロッド39との連結部分に至る距離L1(第一アーム部34の長さ寸法L1)が、アーム用ピン33から一対のガイドローラ36と走行レール4との連結部分に至る距離L2(第二アーム部35の長さ寸法L2)よりも長く設定されている。
具体的に説明すれば、復元機構32は、弾性的に伸縮変形可能なコイルばね(弾性部材)37と、コイルばね37を収容する収容ケース38と、コイルばね37を伸縮させるように収容ケース38に対して直線移動するロッド39とを備えている。
収容ケース38は中空の筒状に形成されている。また、収容ケース38の軸線O方向の両端部には、軸線O方向に貫通する貫通孔が形成されており、これら貫通孔にロッド39が挿通されるようになっている。この収容ケース38は、その軸線O方向がX軸方向に延びるように、すなわち、軸線O方向が鉛直方向(Z軸方向)に対して90度傾斜するようにハウジング24に固定されている。
コイルばね37は、収容ケース38及びコイルばね37の軸線O方向が一致するように収容ケース38内に収容され、収容ケース38内において軸線O方向に弾性的に伸縮変形可能となっている。
そして、各押さえ部材40には、収容ケース38の貫通孔と同様に、軸線O方向に貫通してロッド39を挿通させる挿通孔が形成されている。ただし、挿通孔の孔径は貫通孔の孔径よりも小さく設定されている。
このように構成される復元機構32では、ロッド39が収容ケース38に対して軸線O方向の一方側(X軸負方向、図4(a)参照)及び他方側(X軸正方向、図5(a)参照)のいずれの方向に移動したとしても、一対の大径部42のいずれか一方が押さえ部材40を外側から押さえつけて、一対の押さえ部材40の間隔が小さくなるため、コイルばね37が圧縮変形することになる。
したがって、図4(a),5(a)に示すように、揺動アーム31が揺動した際には、ロッド39が収容ケース38に対して軸線O方向に移動すると共にコイルばね37が圧縮変形(弾性変形)するため、揺動アーム31に、コイルばね37の圧縮変形に伴う復元力(コイルばね37が元の形状に戻ろうとする力)が作用することになる。
なお、本実施形態では、ロッド39が収容ケース38に対して軸線O方向に移動する際にコイルばね37の弾性変形を必ず伴うように、一対の大径部42の間隔は、図3(a)に示すように、各々収容ケース38の軸線O方向の端部に配された一対の押さえ部材40同士の間隔と等しくなるように設定されている。
そして、この復元機構32では、前述したように、ロッド39が収容ケース38に対して軸線O方向の一方側及び他方側のいずれに移動したとしても、コイルばね37が圧縮変形するため、前述した初期状態においてロッド39を収容ケース38に対して軸線O方向に移動させようとする外力が初期圧縮力以下である場合には、ロッド39は軸線O方向に移動しない。一方、ロッド39を軸線O方向に移動させようとする外力が初期圧縮力よりも大きい場合には、コイルばね37の圧縮変形がさらに進行して、ロッド39が収容ケース38に対して軸線O方向に移動することになる。
以上説明したハウジング24、揺動アーム31、復元機構32及び減衰機構は、後述するように、地震時にヨーク18に作用する過大な荷重を低減し、ヨーク18と走行部6との過度の相対移動を効果的に減衰させる免震ユニット30を構成している。なお、本実施形態では、同一のヨーク18に対して二つの走行部6に取り付けられているため、上記免震ユニット30は、同一のヨーク18及び各走行部6に対して一つずつ設けられている(図2参照)。
図3に示すように、天井クレーン1が走行レール4上に配されると共に走行部6に外力が作用していない初期状態において地震が発生すると、地震によって走行部6にX軸方向の外力が作用して、走行部6が走行レール4と共にクレーン本体5に対してX軸方向に相対移動しようとする。ここで、地震による上記外力が、コイルばね37に予め付与されている初期圧縮力以下である場合、すなわち小さい地震の場合には、クレーン本体5及び走行部6の相対位置は、上記初期状態と同様の位置(初期位置)に保持され、クレーン本体5及び走行部6は相対移動しない。
そして、このコイルばね37のさらなる圧縮変形によって、揺動アーム31には、前述した揺動アーム31の揺動方向とは逆向きの復元力が作用することになる。
以上のように、揺動アーム31にコイルばね37の復元力が作用することで、走行部6に対するクレーン本体5の過度の相対移動(揺れ)によって過大な荷重がクレーン本体5に作用することを防止できる。
さらに、上記天井クレーン1によれば、免震ユニット30を構成する揺動アーム31、復元機構32及び減衰機構のいずれもヨーク18の側端部18aに取り付けられているため、上記効果を奏する免震ユニット30を天井クレーン1に設けても、天井クレーン1の高さ寸法を低く抑えることができる。すなわち、本実施形態の免震ユニット30は、本実施形態のように走行レール4上の空間(特に走行レール4から天井3までの高さ寸法)に制限のある天井クレーン1に対して容易に適用することが可能となる。
特に、本実施形態の天井クレーン1では、揺動アーム31をなす第一アーム部34の長さ寸法L1が、第二アーム部35の長さ寸法L2よりも長く設定されているため、クレーン本体5と走行部6とが相対移動する長さが短くても、復元機構32や減衰機構におけるストローク量を長く確保することができる。すなわち、免震ユニット30のさらなる機能向上を図ることが可能となる。
さらに、走行部6に外力が作用していない初期状態において、コイルばね37には初期圧縮力が付与されているため、荷役時や走行時あるいは小さな地震発生時等のように走行部6に作用する外力が小さい場合には、クレーン本体5及び走行部6が相対移動することを防止できる。また、大きな地震発生時のように走行部6に作用する外力が大きい場合には、クレーン本体5及び走行部6を相対移動させ、前述したように、クレーン本体5に作用する荷重を低減することが可能となる。
既存の天井クレーン(不図示)を改修する場合には、はじめに、ヨーク18に対して走行部6を車輪22の回転軸方向(X軸方向)に相対移動可能に取り付ける。なお、本実施形態では、クレーン本体5をジャッキアップした上でクレーン本体5を走行部6の上方に離間させる。そして、この状態において、図3(b)に示すように、走行部6がトラックピン23に対してその軸方向に移動可能となるようにトラックピン23を走行部6(本体部21)に挿通すると共に、トラックピン23の軸方向の両端をヨーク18の一対の支持部に固定する。
その後、ヨーク18と揺動アーム31の一方の揺動端との間に、揺動アーム31に対して復元力を作用させる復元機構32を設ける。なお、本実施形態では、復元機構32の収容ケース38をハウジング24に固定すると共に、ロッド39の一方の大径部42Aをロッドピン43によって揺動アーム31の第一アーム部34の先端に連結する。このため、ハウジング24に対する収容ケース38の固定及びロッド39と揺動アーム31との連結は、例えば、ハウジング24をヨーク18の側端部18aに固定する前に、前述したハウジング24に対する揺動アーム31の取り付けと同時に実施されてもよい。
さらに、この改修方法によれば、トラックピン23でヨーク18と走行部6とを連結する際にクレーン本体5をジャッキアップするものの、ジャッキアップする高さは僅かでよい。また、免震ユニット30をなす揺動アーム31や復元機構32を取り付ける際にはクレーン本体5をジャッキアップする必要が無い。さらに、第二アーム部35を走行部6に直接連結しないため、既存の天井クレーン1に対して揺動アーム31や復元機構32を容易に取り付けることができると共に、これら揺動アーム31や復元機構32を設置するための施工コストも低く抑えることが可能である。
したがって、復元機構32の軸線O方向は、例えば図6に示すように、ロッド39が揺動アーム31の第一アーム部34との連結部分から上方に延びるように斜めに傾斜していてもよいし、例えばロッド39が下方に延びるように斜めに傾斜してもよい。この場合、免震ユニット30の幅寸法を小さく抑えることが可能となる。ただし、復元機構32と揺動アーム31との干渉を防ぐためには、図6に示すように復元機構32の軸線O方向を設定する方が好ましい。
この場合には、第一アーム部34の長さ寸法L1を長く確保しながらも、アーム用ピン33に対する第一アーム部34とロッド39との連結部分(ロッドピン43)の高さ位置を低く設定することが可能となる。また、この場合には、アーム用ピン33の上方に復元機構32の収容ケース38を配することができるため、免震ユニット30の幅寸法をさらに小さく抑えることが可能となる。
次に、図7,8を参照して本発明の第二実施形態について説明する。なお、この実施形態に係る天井クレーンは、第一実施形態の天井クレーン1と比較して、主に、走行部6と揺動アームとの連結構造、及び、ヨーク18に対する復元機構32及び減衰機構の取付構造のみが異なっている。このため、本実施形態において、第一実施形態の天井クレーン1の構成要素と同一の部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
そして、揺動アーム51は、第一実施形態と同様に、Y軸方向に延びるアーム用ピン(揺動軸)53によってハウジング24に取り付けられて、ヨーク18及びハウジング24に対してアーム用ピン53の軸回り(走行レール4の延在方向に平行な軸回り、Y軸回り)に揺動可能に支持されている。なお、アーム用ピン53はヨーク18の下端よりも下側に位置している。また、この揺動アーム51のうちアーム用ピン53から上方に延びる第一アーム部54の先端(一方の揺動端)は、第一実施形態と同様に、ロッドピン43によって復元機構32のロッド39に連結されている。
そして、第二アーム部55の延在方向の先端(他方の揺動端)は、Y軸方向に延びるブラケット用ピン57によって走行レール4上に配されるブラケット56に連結されている。すなわち、ブラケット56は、第二アーム部55の先端に対してブラケット用ピン57の軸回り(Y軸回り)に回動可能に支持されている。そして、このブラケット56は、連結部材58によって走行部6の本体部21に固定され、走行部6と共にヨーク18に対してX軸方向に移動可能となっている。
以上のように、本実施形態では、揺動アーム51の第二アーム部55の先端が、ブラケット56及び連結部材58を介して走行部6に連結されている。
一方、復元機構32及び減衰機構を構成する収容ケース38は、Y軸方向に延びるケース用ピン61によってハウジング24に連結されている。これにより、収容ケース38及びロッド39は、ヨーク18及びハウジング24に対してケース用ピン61の軸回り(Y軸回り)に回転可能に取り付けられている。このため、収容ケース38及びロッド39が回転した際には、収容ケース38及びロッド39の軸線O方向が変化することになる。
図8に示すように、天井クレーンが走行レール4上に配されると共に走行部6に外力が作用していない初期状態において、地震等によって走行部6に作用するX軸方向の外力が、復元機構32に備えるコイルばね37(図3等参照)に予め付与されている初期圧縮力以下である場合には、第一実施形態と同様に、クレーン本体5及び走行部6は相対移動しない。
一方、地震等による上記外力がコイルばね37の初期圧縮力よりも大きい場合には、一対のガイドローラ59が走行レール4を挟み込んだ状態を保持しながら、走行部6及びブラケット56がクレーン本体5に対してX軸方向に相対移動(平行移動)する。また、この相対移動に伴って、ブラケット56に連結された揺動アーム51が揺動する。
なお、上述のように揺動アーム51が揺動する際には、その第一アーム部54の先端が微小に鉛直方向(Z軸方向)に上下することになるが、本実施形態では、復元機構32及び減衰機構の収容ケース38及びロッド39がケース用ピン61によって回転可能とされているため、揺動アーム51の揺動に追従して、収容ケース38及びロッド39も揺動することになる。
さらに、本実施形態の天井クレーンでは、揺動アーム51の第二アーム部55の先端がブラケット56及び連結部材58を介して走行部6に連結されていることで、クレーン本体5と走行部6との相対移動や揺動アーム51の揺動によって、連結部材58によるブラケット56と走行部6との連結部分に応力が発生することがある。ここで、本実施形態では、第二アーム部55の先端が、一対のガイドローラ59及び走行レール4も介して走行部6に連結されているため、前述の応力が、連結部材58によるブラケット56と走行部6との連結部分、及び、一対のガイドローラ59と走行レール4との連結部分の二箇所に分散されることになる。すなわち、連結部材58によるブラケット56と走行部6との連結部分に生じる応力を軽減することが可能となる。
そして、上述した第二実施形態の構成のうち、ヨーク18に対する復元機構32及び減衰機構の取付構造(収容ケース38をケース用ピン61でヨーク18に取り付ける構造)、は、図3〜5に示す第一実施形態の構成、及び、図6に示す第一実施形態の変形例の構成のいずれにも適用することが可能である。
次に、図9を参照して本発明の第三実施形態について説明する。なお、この実施形態に係る天井クレーンは、第二実施形態の天井クレーンと比較して、ヨーク18に対する復元機構32及び減衰機構の取付構造、揺動アーム51とブラケット56との連結構造、及び、揺動アーム51と復元機構32及び減衰機構のロッド39との連結構造のみが異なっている。このため、本実施形態において、第二実施形態の天井クレーンの構成要素と同一の部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
そして、ロッドピン(突起)43によって復元機構32及び減衰機構を構成するロッド39に連結される揺動アーム51の第一アーム部54の先端には、第一アーム部54の延在方向に延びる長孔71が形成されている。一方、ロッドピン43は、ロッド39の軸線O方向の一端部に一体に形成されて、上記長孔71に挿入されると共に、長孔71の長手方向に摺動可能となっている。
以上のように、揺動アーム51とロッド39とが連結されていることで、揺動アーム51が揺動した際には、ロッドピン43が長孔71の長手方向に摺動することでロッド39が軸線O方向に移動することになる。すなわち、この構成では、上記ロッドピン43及び長孔71によって揺動アーム51の揺動がロッド39の軸線O方向への移動に変換されることになる。
以上のように、揺動アーム51とブラケット56とが連結されていることで、ブラケット56が走行部6と共にヨーク18に対してX軸方向に移動した際には、ブラケット用ピン57が長孔72の長手方向に摺動することで揺動アーム51が揺動することになる。すなわち、この構成では、上記ブラケット用ピン57及び長孔72によってブラケット56のX軸方向への移動が揺動アーム51の揺動に変換されることになる。
さらに、本実施形態の天井クレーンによれば、揺動アーム51に固定されたブラケット用ピン57及びブラケット56の長孔72によってブラケット56のX軸方向への移動が揺動アーム51の揺動に変換されるため、ブラケット56と走行部6との連結部分に応力がかかることを確実に防止できる。
また、ロッド39に固定されたロッドピン43及び揺動アーム51の長孔71によって揺動アーム51の揺動がロッド39の軸線O方向への移動に変換されるため、収容ケース38がクレーン本体5に固定されてロッド39の直線移動方向が固定されていても、復元機構32のロッド39や収容ケース38に応力が生じることを確実に防止できる。
また、ブラケット用ピン57が揺動アーム51の第二アーム部55の先端に一体に形成されると共に、ブラケット56に長孔72が形成されるとしたが、例えば、ブラケット56のX軸方向への移動が揺動アーム51の揺動に変換されるように、ブラケット用ピン57がブラケット56に一体に形成されると共に、揺動アーム51の第二アーム部55の先端にブラケット用ピン57を挿入して摺動可能とする長孔が形成されてもよい。
そして、上述した第三実施形態の構成は、図3〜5に示す第一実施形態の構成、図6に示す第一実施形態の変形例の構成、図7,8に示す第二実施形態の構成のいずれにも適用することが可能である。
例えば、上記第二、第三実施形態では、揺動アーム51の第二アーム部55の先端が、ブラケット56及び連結部材58を介して走行部6に連結されているが、これに限ることはなく、例えば走行部6に直接連結されてもよい。また、第二、第三実施形態の構成では、例えば一対のガイドローラ59が設けられていなくても構わない。
さらに、走行部6の本体部21と揺動アーム31,51の第二アーム部35,55の先端とは、上述した全ての実施形態のように連結されることに限らず、少なくともヨーク18と本体部21とのX軸方向への相対移動を揺動アーム31の揺動に変換するように連結されればよい。
そして、揺動アーム31,51に作用する復元機構32の復元力が、コイルばね37の圧縮変形及び伸長変形の両方によって発生する場合、復元機構32が例えばコイルばね37のみによって構成されてもよい。この場合には、コイルばね37の両端をそれぞれハウジング24(あるいはヨーク18)と、揺動アーム31の第一アーム部34の先端とにそれぞれ連結すればよい。
さらに、揺動アーム31,51がアーム用ピン33,53によってヨーク18(クレーン本体5)取り付けられると共に、復元機構32がヨーク18と揺動アーム31の第一アーム部34の先端との間に設けられるとしたが、例えば、揺動アーム31,51がアーム用ピン33,53によって走行部6の本体部21に取り付けられると共に、復元機構32が本体部21と揺動アーム31,51との間に設けられてもよい。この場合には、上記実施形態と比較して復元機構32が下方に配されるため、天井クレーン1の重心を低く設定することができる。また、クレーン本体5が軽量化されるため、地震発生時などにおいてクレーン本体5と走行部6とがX軸方向に相対移動しても、この相対移動の大きさを小さく抑えることができる。
さらに、クレーン本体5を構成するガーダ本体17及びヨーク18は、ヨークピン19によって連結されているが、例えば一体に固定されてもよい。
また、クレーン本体5及び走行部6は、トラックピン23によって連結されていなくてもよく、少なくともX軸方向に相対移動可能に互いに連結されればよい。
Claims (8)
- 走行レール上を走行可能で、荷の吊り込みを行うクレーン装置において、
荷の吊り込みを行う吊り込み手段を有するクレーン本体と、
前記走行レール上を転動するように回転可能とされた車輪を有し、前記クレーン本体に対して前記車輪の回転軸方向に相対移動可能に取り付けられた走行部と、
前記クレーン本体の前記走行レールの延在方向の側端部に、前記延在方向に平行な軸回りに揺動可能に支持された揺動アームと、
前記クレーン本体と前記揺動アームの一方の揺動端との間に設けられて、前記揺動アームの揺動に対して復元力を作用させる復元機構とを備え、
前記揺動アームの他方の搖動端が前記走行レールをその幅方向から挟み込む一対のガイドローラによって構成されており、前記クレーン本体と前記走行部とが前記相対移動した際に、前記一対のガイドローラが走行レールを挟み込んだ状態を保持しながら前記揺動アームが揺動することを特徴とするクレーン装置。 - 走行レール上を走行可能で、荷の吊り込みを行うクレーン装置において、
荷の吊り込みを行う吊り込み手段を有するクレーン本体と、
前記走行レール上を転動するように回転可能とされた車輪を有し、前記クレーン本体に対して前記車輪の回転軸方向に相対移動可能に取り付けられた走行部と、
前記クレーン本体の前記走行レールの延在方向の側端部に、前記延在方向に平行な軸回りに揺動可能に支持された揺動アームと、
前記クレーン本体と前記揺動アームの一方の揺動端との間に設けられて、前記揺動アームの揺動に対して復元力を作用させる復元機構とを備え、
前記揺動アームの他方の揺動端が、前記走行レール上に配されるブラケットに連結され、
該ブラケットが、連結部材によって前記走行部に固定されており、
該ブラケットに前記走行レールをその幅方向から挟み込む一対のガイドローラが設けられており、
前記クレーン本体と前記走行部とが前記相対移動した際に、前記一対のガイドローラが該ガイドローラの回転軸を鉛直方向に対して平行に保持しながら前記揺動アームが揺動することを特徴とするクレーン装置。 - 前記復元機構が、弾性的に伸縮変形可能な弾性部材と、当該弾性部材を収容する収容ケースと、前記弾性部材を伸縮させるように前記収容ケースに対して直線移動するロッドと、を備え、
前記ロッド及び前記揺動アームの前記一方の揺動端のいずれか一方に突起が形成されると共に、前記他方の揺動端及び前記ブラケットの他方に前記突起を挿入する長孔が形成され、前記突起が前記長孔に挿入された状態では、前記ロッドの前記伸縮方向への移動を前記揺動アームの揺動に変換するように、前記突起が前記長孔の長手方向に摺動可能となっており、
前記他方の揺動端及び前記ブラケットの一方に突起が形成されると共に、前記他方の揺動端及び前記ブラケットの他方に前記突起を挿入する長孔が形成され、前記突起が前記長孔に挿入された状態では、前記ブラケットの前記回転軸方向への移動を前記揺動アームの揺動に変換するように、前記突起が前記長孔の長手方向に摺動可能となっていることを特徴とする請求項2に記載のクレーン装置。 - 前記揺動アームの揺動軸から前記一方の揺動端までの距離が、前記揺動アームの揺動軸から前記他方の揺動端までの距離よりも長く設定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のクレーン装置。
- 前記復元機構が、弾性的に伸縮変形可能な弾性部材を備え、
前記弾性部材の伸縮方向が、鉛直方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のクレーン装置。 - 前記復元機構が、弾性的に伸縮変形可能な弾性部材を備え、
前記揺動アームに作用する前記復元力が、前記弾性部材の圧縮変形及び伸長変形のいずれか一方の弾性変形のみによって発生するものであり、
前記走行部に外力が作用していない初期状態において、前記弾性部材に前記一方の弾性変形による弾性力が付与されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のクレーン装置。 - 前記クレーン本体及び前記走行部の一方と前記揺動アームの一方の揺動端との間に設けられて、前記揺動アームに対して減衰力を作用させる減衰機構を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のクレーン装置。
- 前記復元機構が、弾性的に伸縮変形可能な弾性部材と、当該弾性部材を収容する収容ケースと、前記弾性部材を伸縮させるように前記収容ケースに対して直線移動するロッドと、を備え、
前記ロッドが、前記揺動アームの前記一方の揺動端に連結され、
前記収容ケースが、前記クレーン本体及び前記走行部の一方に対して、前記延在方向に平行な軸周りに回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のクレーン装置。
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