JP5858399B2 - 磁気減速機構及び低速ロータ磁気減速回転制御方法 - Google Patents

磁気減速機構及び低速ロータ磁気減速回転制御方法 Download PDF

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本発明は、磁気伝達機構を用いた磁気減速機構及び低速ロータ磁気減速回転制御方法に関する。
特許文献1及び非特許文献1には、磁気歯車を用いた磁気減速機構が開示されている。この磁気減速機構は、外部から回転力が伝達されて回転する入力軸としての高速ロータ、出力軸としての低速ロータ及び両者間に介設された固定部とが同軸上に配置されたものである。高速ロータは周方向に複数の磁極対を有する。固定部は周方向に複数の磁極片を有する。そして、低速ロータは周方向に永久磁石がNS交互に配置されている。かかる構成において、高速ロータの磁極対の数をN1、低速ロータの磁石数の数をN2とし、磁気減速の成立条件である、固定部の磁極片の数をN1±N2(N1+N2、あるいはN1−N2)とするとき、減速比はN2/N1となる。すなわち、外部から伝達された回転力によってある回転速度で回転する高速ロータに対して、低速ロータは前記減速比で減速された回転速度で回転する。これによって、機械的接触を伴わず、低振動・低騒音であり、かつ高伝達効率が可能な減速機構が得られる。また、許容トルクを超える場合には磁気的なスリップが生じることでトルクリミッタとしての作用も備えている。
特開2010−106940号公報
山本優文、平田勝弘、HB型磁気伝達減速機構に関する研究、第20回「電磁力関連のダイナミクス」シンポジウム、P.77-80(2008)
ところで、特許文献1及び非特許文献1に記載の磁気減速機構は、減速比N2/N1であり、固定値である。従って、磁気減速機構が適用される、例えばロボットアームのような対象物によっては、入力側からの回転数を一定比率で減速回転させて出力側に伝達する減速機構には有益である一方、そのような適用対象物であっても、用途や仕様によっては、減速比が変更できることが望ましい場合も充分考えられる。また、磁気減速機構の他の適用対象物に対しても、減速比が適宜変更可能な方が好ましい場合もあり、汎用性が向上する。また、特許文献1及び非特許文献1に記載の磁気減速機構は、トルク比も一定であるため、改良の余地がある。
本発明の目的は、電磁気的な方法で減速比を変更可能にする点にある。
また、本発明の他の目的は、固定部の形状に特徴を持たせることでトルク比を変更可能にする点にある。
請求項1記載の発明に係る磁気減速機構は、周方向に複数の磁極対を有し、外部から回転力が伝達される高速ロータと、前記磁極対の外周と対向し、周方向に複数の磁極片を有する低速ロータと、前記磁極片の外周と対向する固定部とが、それぞれ隙間を置いて同軸上に配置されてなり、前記固定部は、回転磁界の高調波成分を形成するための電磁石からなる磁極が前記磁極片の外周と対向した状態で周方向に複数配置され、かつ前記磁極の内周に周方向に平行に併設された複数の凸条を有するもので、前記固定部の磁極の数Nc及び前記凸条の数Ntは、前記高速ロータの磁極対の極対数をN1とし、前記低速ロータの磁極片の数をN2とし、前記電磁石に供給される交流の相数をn相とするとき、N2−N1=Nt−Nc/n及びN2+N1=Nt+Nc/nのいずれか一方に設定されることを特徴とするものである。
また、請求項記載の発明に係る磁気式低速ロータ減速回転制御方法は、周方向に複数の磁極対を有し、外部から回転力が伝達される高速ロータと、前記磁極対の外周と対向し、周方向に複数の磁極片を有する低速ロータと、前記磁極片の外周と対向する固定部とが、それぞれ隙間を置いて同軸上に配置されてなり、前記固定部は、回転磁界の高調波成分を形成するための電磁石からなる磁極が前記磁極片の外周と対向した状態で周方向に複数配置され、かつ前記磁極の内周に周方向に平行に併設された複数の凸条を有するもので、前記固定部の磁極の数Nc及び前記凸条の数Ntは、前記高速ロータの磁極対の極対数をN1とし、前記低速ロータの磁極片の数をN2とし、前記電磁石に供給される交流の相数をn相とするとき、N2−N1=Nt−Nc/n及びN2+N1=Nt+Nc/nのいずれか一方に設定され、前記電磁石に周波数が変動可能な交流電流を供給するものである。
これらの発明によれば、高速ロータがある速度で回転することで、対向する低速ロータの磁極片の外周に生じる起磁力の内、減速回転に関する高調波成分の回転磁束を、最外周の固定部の電磁石で形成している。その結果、低速ロータは固定部で生成された高調波によって減速回転することとなる。そして、高調波成分の主成分に対する回転速度が変われば、すなわち電磁石に供給される、高調波成分の回転のための交流電流の周波数を変更すれば、主成分による回転速度に対する高調波成分による回転速度の比率は変更されることになる。また、電磁石の磁極の内周に周方向に平行に併設された複数の凸条を有する構成によって、各凸条によって形成されるパーミアンス分布と電磁石による起磁力によって発生する高調波磁束を利用することができる。これにより、電磁石と低速ロータによって発生する高調波と同期させることで、各電磁石の部分を個々に作製する場合に比して磁極数が低減され、構造が簡易となる。従って、高速ロータの極対数と低速ロータの磁極片数の比率で決まるトルク比を、固定部の磁極部分の構造を簡素した元で変更することが可能となる。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の磁気減速機構において、前記回転磁界の内の高調波成分は、回転周期が主成分に対して変更可能であることを特徴とする。この構成によれば、主成分による回転速度に対する高調波成分による回転速度の比率が変更されることになる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の磁気減速機構において、前記電磁石は、前記磁極に3相交流が供給されコイルが巻回されたものであることを特徴とする。この構成によれば、回転磁界の生成が容易に行える。
本発明によれば、固定部の磁極に電磁石を採用することで減速比を変更することができる。また、本発明によれば、固定部の磁極外周の形状に特徴を持たせることで複雑な構造を採用することなくトルク比を変更することができる。
従来の磁気減速機構を示し、(A)は平面図、(B)は斜視図である。 高速ロータと固定部に対する磁気作用を説明する図で、(A)は高速ロータの永久磁石からなる磁極対の平面図、(B)は高速ロータの永久磁石による起磁力分布を示す図、(C)は固定部の平面図、(D)は磁極片によるパーミアンス分布を示す図である。 固定部を回転させた場合の回転速度の変更と低速ロータの回転速度との関係を示す特性図である。 本発明の一実施形態を示す磁気減速機構の構成図で、(A)は平面図、(B)は上方から見た斜視図である。 高速ロータをαだけ回転させる間に、起磁力分布をβだけ回転させる場合の説明図である。 3相交流の周波数変更に対する低速ロータの回転数の解析結果を示す図である。 高速ロータの起動開始における低速ロータの減速回転移動状態を示す図である。 高速ロータ及び低速ロータのトルクの経時状況を示す図である。 固定部の磁極に高調波磁束を形成可能な磁気減速機構を示す平面図である。 凸条を有する磁気減速構造と、磁束の主成分及び第1、第2高調波成分との作用を説明するための図である。
図1〜図3は、従来の磁気減速機構の構造及び減速原理を説明するための図である。まず、これらの図を参照して減速原理について説明する。図1は、従来の磁気減速機構を示し、(A)は平面図、(B)は斜視図である。図2は、高速ロータと固定部に対する磁気作用を説明する図で、(A)は高速ロータの永久磁石からなる磁極対の平面図、(B)は高速ロータの永久磁石による起磁力分布を示す図、(C)は固定部の平面図、(D)は磁極片によるパーミアンス分布を示す図である。図3は、固定部の回転速度の変更と低速ロータの回転速度との関係を示す特性図である。
図1において、従来の磁気減速機構は、中央の高速ロータ100と、中間の固定部200と、最外周の低速ロータ300とが所要の隙間を置いて同軸上に配置して構成されている。各部は軸方向に所定長を有する。高速ロータ100は、図略の回転力、例えばモータ等の出力軸に連結されて回転力が入力されるもので、磁性材料からなる、例えば軸状(あるいは円筒状でもよい)の鉄心101と、鉄心101の外周に周方向に均等にN,Sが交互に配置された永久磁石からなる磁極対102とで構成されている。図1の例では極対数は2個である。固定部200は、磁極対102の外周に対向して円周上に所定ピッチを置いて複数配置される、磁性材料からなる軸方向に伸びる棒状の磁極片201を有する。磁極片201は、縦断面が略矩形で径方向に平面部分が向いている。低速ロータ300は、磁性材料からなる環状体301と、環状体301の内周に周方向にN,S交互に複数配置された永久磁石からなる磁極302とから構成されている。
次に、図2において、今、高速ロータ100の回転方向θに対する永久磁石(図2(A)参照)による起磁力分布F(θ)を、図2(B)に示すように、正弦波と仮定すると、F(θ)=AsinNhθ(但し、Nhは高速ロータ100の極対数。Aは係数。)と置くことができる。また、図2(C)に示す固定部200の磁極片201の径方向外周での(磁束の通り易さを示す)パーミアンス分布R(θ)も、図2(D)のような正弦波と仮定すると、R(θ)=Ro+RasinNsθ(但し、Nsは固定部200の磁極片の数。Ro,Raはそれぞれ係数。)と置くことができる。
そうすると、固定部200の磁極片201の外周での磁束φ(θ)は、磁気回路のオームの法則による起磁力=磁束×磁気抵抗の関係を適用して、F(θ)とR(θ)との積で決定される。すなわち、数1のように展開される。
数1において、第1項中のNhは、高速ロータ100の極対数Nhと同一成分である。第2項中の、Ns−NhとNs+Nhとは、高調波成分である。すなわち、固定部200の磁極片201の外周に発生する磁束φ(θ)は、Nhの基本成分(主成分)の他に、Ns−NhとNs+Nhとの2種類の高調波成分があることが判る。
次に、固定部200を固定したまま、高速ロータ100をΔθだけ回転させた場合を考えると、この時の起磁力分布はF(θ+Δθ)となり、一方、パーミアンス分布は固定部200が回転しないため、R(θ)である。そして、高速ロータ100がΔθ回転した時点の固定部200の磁極片201の外周の磁束φ(θ+Δθ)は、数2で表される。
数2において、磁束φ(θ+Δθ)の第1項中のNhは、(θ+Δθ)とあるとおり、+Δθとあることから、高速ロータ100と同一速度で回転している成分であることが判る。一方、第2項中の、Ns−NhとNs+Nhとは、どちらも高速ロータ100とは異なる速度の高調波であり、すなわち、Ns−Nhについては、高速ロータ100のΔθの回転に対して、−NhΔθ/(Ns−Nh)だけ回転するものであり、また、Ns+Nhについては、高速ロータ100のΔθの回転に対して、NhΔθ/(Ns+Nh)だけ回転するものであるから、いずれも回転速度が基本成分とは異なることが判る。そして、上記低速ロータ300の数を、Ns−NhかNs+Nhの一方に設定すると、設定された側について、前記異なる回転速度で低速ロータ300は回転することになる。
そのためには、低速ロータ300の磁極の数をNlとするとき、Nl=Ns−Nh、あるいはNl=Ns+Nhに設定、すなわち、これを書き替えると、Ns=Nl+Nh、あるいはNs=Nl−Nh(すなわち、Ns=Nl±Nh)となる。これが磁気減速機構の成立条件となる。
また、減速比Grは、Gr =±Nl/Nhとなる。なお、減速比Grが正の場合は、高速ロータ100と低速ロータ300とが同一方向に回転することを示しており、減速比Grが負の場合は、高速ロータ100と低速ロータ300とが逆方向に回転することを示している。
上記の構造と高調波磁束との関係から、高速ロータ100の回転させつつ固定部200も同時に回転させた場合における低速ロータ300の回転速度の挙動をシミュレーションから導出した。すなわち、固定部200を機械的に回転させた場合を想定すると、高速ロータ100との間の相対速度が変化することとなる。その結果、固定部200の磁極辺201の外周に生じる高調波磁束の回転速度も変化すると考えられる。
図3は、固定部を回転させた場合の回転速度の変更と低速ロータの回転速度との関係を示す特性図である。図3から、高速ロータ100を定速回転状態で、固定部200の回転速度を増減させると、この増減分に比例して低速ロータ300の回転速度が増減することが判る。換言すれば、固定部200を回転することで、減速比Grを変更することが可能となる。しかしながら、固定子200を機械的に回転させる駆動源、典型的にはモータを付加する等が必要となり、機構が複雑になり、かつ大型化し、高価になるという新たな問題が生じる。
そこで、本発明は、図1に示す従来の磁気減速機構に対して、
(i)図1の低速ロータ300と固定部200とを入れ替える。
(ii)固定部200の永久磁石を、例えば3相巻線が巻回された電磁石に置き換える。
(iii)電磁石に供給する、例えば3相交流の周波数を変化可能にする。
との構成を採用し、図4の構成を実現する。
図4は、本発明の一実施形態を示す磁気減速機構の構成図で、(A)は平面図、(B)は上方から見た斜視図である。図4において、磁気減速機構10は、中央の円筒状の高速ロータ1と、中間の環状の低速ロータ3と、最外周の環状の固定部2とが互いに所要の隙間を置いて同軸上に配置して構成されている。各部1,2,3は軸方向に所定長を有する。
高速ロータ1は、図略の回転力、例えばモータ等の出力軸に連結されて回転力が入力されるもので、磁性材料からなる円筒状等の鉄心11と、鉄心11の外周に周方向に均等にN,Sが交互に配置された永久磁石からなる磁極対12とで構成されている。図1の例では磁極対12の極対数は4個である。
低速ロータ3は、磁極対12の外周に対向し、円周上に所定ピッチを置いて複数放射状に配置される、磁性材料からなる軸方向に伸びる棒状の磁極片31を有する。低速ロータ3の各磁極片31は、縦断面が略矩形乃至は径方向に扇状で、径方向に平面部分が向いている。低速ロータ3の磁極片31の支持構造については、図4では示していないが、例えば、環状かつ非磁性材料の基部を有し、その上面側に各磁極片31が円周状に植設された構造、又は非磁性材料、例えば円筒状の樹脂体の周方向に穿設された孔に嵌入され、あるいは樹脂でモールドして固化される等して一体に構成されていてもよい。なお、低速ロータ3は、出力軸として機能するものであることから、適用対象物(例えばロボットアーム)側と連結可能な構造部分、例えば、下方に所定寸法だけ延設された連結用の軸部(筒部)を備える等して構成されている。
固定部2は、磁性材料からなる最外周の円筒体21と、円筒体21の内面側に立直し、周方向に所定ピッチを置いて径方向に立設された磁性材料からなる複数の磁極22と、各磁極22に巻回されたコイル22とから構成されている。すなわち、磁極22とコイル23とで電磁石が構成されている。図4(B)に一部見えるように、磁極22は、突極形状を有している。そして、コイル23が、かかる突極形状の磁極22に所要ターン数だけ巻回されて、所要の起磁力が発生可能に構成されている。磁極22に巻回されたコイル23は、本実施形態では、回転磁界を発生させるための3相巻線(U,V,W)が施されている。なお、3相交流は公知のように、1個の電源から3本に分岐された配線に対して半導体スイッチング素子等で構成されるドライバによって電流を120°毎の位相と極性とに対してスイッチング制御することでU,V,W相が得られる。そして、スイッチング周期を変えることで3相交流の出力周波数が変更可能になっている。電磁石の部分を固定部2に設けたことで、スリップリング等の静止系と回転系とを電気的に接続する構成を不要とすることができる。
また、低速ロータ3の磁極片31及び固定部2の磁極22は、周方向の寸法が隣接の間隙の寸法と1対1の関係にある。
ここで、固定部2を静止した状態で、図5に示すように、高速ロータ100をαだけ回転させる間に、起磁力分布をβだけ回転、すなわち低速ロータ3を角度βだけ回転させる場合を考える。図5は、この状態を説明するための図である。この場合の低速ロータ3の磁極片の外周の磁束φ(θ+α)は、数3で表される。
但し、Nhを高速ロータ1の極対数とする一方、説明の便宜上、及び数1、数2との関係で、Nsを低速ロータ3の磁極片数とし、Nlを固定部2の磁極数とする。
数3において、磁束φ(θ+α)の第1項中のNhは、(θ+α)、すなわち、+αであるから、高速ロータ1と同一速度で回転していることが判る。一方、第2項中の、Ns−NhとNs+Nhは、どちらも高速ロータ1とは異なる速度の高調波である。すなわち、Ns−Nhについては、高速ロータ1の角度αの回転に対して、起磁力分布の角度βの回転が反映されて、−(NhΔθ−Nsβ)/(Ns−Nh)だけ回転することとなり、また、Ns+Nhについては、(NhΔθ+Nsβ)/(Ns+Nh)だけ回転するから、いずれも回転速度は基本成分(主成分)の速度とは異なることが判る。しかも、この第2項には、起磁力分布F(θ)の回転に依存した、−Nsβ、+Nsβの成分が含まれているため、βの値、すなわち起磁力F(θ)の回転速度が磁束φ(θ)の回転速度の変化に影響することが判る。
ここで、上記固定部2の磁極数Nlを、Ns−NhかNs+Nhの一方に設定した場合を考える。上記において、数3では、低速ロータ3に回転力(前記角度βに相当する回転を与える外力)を付与した状態で、その低速ロータ3の磁極片の外周に生じる磁束φ(θ+α)を計算したが、逆に、低速ロータ3に回転力を与えず、これに代えて、固定部2側で数3の第2項の高調波成分と等しい回転速度を有する磁界を作成すると、低速ロータ3の磁極片31に対して、数3の高調波成分の磁束に同期されることとなり、低速ロータ3は数3の磁束を受けて減速回転する。
今、固定部2の磁極数Nlを、Ns−Nhに設定する場合を考えると、固定部2の磁極22は、−(NhΔθ−Nsβ)/(Ns−Nh)で回転する。これを、磁極22及びコイル23からなる電磁石に供給する交流電流の周波数に置換すると、−(Nhωh−Nsωβ)=60fから、周波数fが求まる。但し、ωhは角度αに対応する角速度、ωsは角度βに対応する角速度で、単位はrpmである。
以上より、固定子2の磁極数Nlとして、Ns±Nhを採用し、回転磁界を発生させる交流電流として3相交流を採用した態様では、電磁石の個数をNcとしたとき、Nc=3(Ns±Nh)となる。一般には、Nc=n(Ns±Nh)、但し、nは相数を示す。また、トルク比は、Ns/Nhである。
次に、かかる原理に基づいて磁気減速構造モデルを作成し、効果試験をシミュレーションした。なお、磁気減速機構モデルは、下記の諸要素で作成されている。
高速ロータ1の極対数:4
低速ロータ3の磁極片数:17
固定部3の電磁石数:39
最外径:170mm
軸方向長さ:100mm
コイルのターン数:600
永久磁石の磁化:1.2T
各部の磁性材料:50JN400
トルク比:4.2(=17/4)
そして、かかる磁気減速機構モデルについて、
高速ロータ1を60rpmで回転
低速ロータ3に30Nmの負荷設定
交流電源として1アンペア(A)の3相交流
の動作条件を設定した。
図6は、3相交流の周波数変更に対する低速ロータの回転数の解析結果を示す図である。図6に示すように、3相交流の周波数を、数3に示すβ=0の状態を中心にして、±30Hzの範囲で変更し(図6のドット位置:解析点)、これに対して、低速ロータ3の回転速度が、約120rpm〜−100rpmの範囲で変動していることが判る。なお、周波数が負とは、回転磁界が逆方向に回転する意味であり、回転方向が負とは、低速ロータ3が高速ロータ1に対して逆回転する意味である。
解析点に対して、例えば最小二乗法を利用して回帰直線が得られており、これによれば、低速ロータの回転数は3相交流の周波数の変化に比例しているということができる。従って、周波数を変更する制御を行うことで、低速ロータ3の減速比Grをリニアに大小変更でき、さらには回転方向の切替も可能となる。
図7は、高速ロータの起動開始における低速ロータの減速回転起動状態を示す図である。直線側は、高速ロータ1の起動に伴う回転速度の上昇過程を示しており、この直線に対して、コギングを含む低速ロータが所定の速度差(減速比)で追従していることが判る。
図8は、高速ロータ及び低速ロータのトルクの経時状況を示す図である。図8に示すように、高速ロータ1及び低速ロータ3のトルクはコギングの影響はあるものの、略一定であり、高速ロータは−7.1Nm、低速ロータは29.9Nmである。従って、トルク比は−4.2(=29.9/−7.1)となり、これは理論値4.25(=17/4)とほぼ一致している。
前述したように、磁気減速機構10は、減速比Grを変動させ得る一方、現在の構造では、トルク比TrはNs/Nh(Nsは低速ロータ3の磁極片数)で一定である。トルク比Trは、Ns/Nh(Nsは低速ロータの磁極片数)の関係から、低速ロータ3の磁極片数Nsを大きくするか、逆に高速ロータ1の極対数Nhを小さくするか、あるいは両方を変える方法が考えられる。一方、3相交流の場合、電磁石の個数=3(Ns±Nh)であるから、Nsを大きくし、Nhを小さくすることは、例えば(Ns−Nh)について検討すると(Ns−Nh)が大きくなり、その結果、Ncを大きくすることになる。Ncは固定部3の電磁石の個数であるから、この数値が大きくなると、構造の複雑化を招来し、製造精度、生産性からも好ましくない。そこで、今、固定部3の電磁石に所定の複数相の交流、例えば3相交流を供給する態様で、トルク比を変更、好ましくはより増大するように変更可能な磁気減速機構を考える。
図9は、固定部の磁極(突極)で形成されるパーミアンスと電磁石の起磁力によって発生する高調波磁束を利用した磁気減速機構を示す平面図である。この磁気減速機構10’は、固定部2’の磁極22’の内周、すなわち磁極端面に周方向に平行に併設された複数の凸条221’が形成されている(あるいは溝が形成されたとしてもよい)。立直状の磁極22’の基部側は単体で、この部分にコイル23が巻回されている。すなわち、コイル巻回位置よりも内周先端側に、凸条221’が形成されている。凸条221’は断面矩形を有し、全体として歯形に形成されている。凸条221’の突極数は、後述する成立条件を満たすように決定する。
ところで、図9において、凸条221’が、単純に、全て独立した電磁石で構成されていると想定した場合、高速ロータ1及び低速ロータ3については、高速ロータ1の極対数Nhが5個、低速ロータ3の磁極片Nsが29個であるから、トルク比Trの増大を考えなければ、固定部2の電磁石の個数Ncは、3(Ns−Nh)から求まり、72個必要となって製造は極めて困難となる。
また、前記効果試験で採用した構造の場合では、高速ロータの極対数を4個、低速ロータの磁極片数を17個、固定部の電磁石数を39個としたが、この場合も、Nc=3(Ns−Nh)に代入すると、3×(17−4)=39となり、やはりかなりの個数の電磁石の配列が必要となってしまう。
そこで、トルク増大を図るための構造として、図9のように、各磁極22’に複数の凸条221’を設ける(あるいは溝を形成する)ことで、磁極22’及びコイル23の個数を低減すると共に、高調波成分に対応する必要数の磁極を凸条221’で形成した。図9では、磁極22’の数をNc、凸条221’の数をNt、交流の相数を3相とするとき、
成立条件:Ns±Nh=Nt±Nc/3
となる。なお、±は、低速ロータ3の高速ロータ1に対する回転方向を示している。
ここで、前記成立条件のうち、Ns−Nh=Nt−Nc/3の方について検証すると、磁極22’の数Ncは9個、凸条221’の数Ntは27個となり、図9と一致している。トルク比Trは5.8(=29/5)となる。このように、同じトルク比Trを得る場合に、個別の電磁石を採用する場合(前述したように72個)に比して、固定部2の構造を大幅に簡素化できる。すなわち固定部2の磁極22の数を、採用する交流の相数に応じて低減しつつ、トルク比の増大が図れることにもなる。
図10は、凸条を有する磁気減速構造と、磁束の主成分及び2種類の高調波成分#1,#2との作用を説明するための図で、(A)は固定部の一部を軸芯方向から見た図、(B)は低速ロータ側の一部を軸芯方向から見た図である。低速ロータ3の外周に生じる回転磁界は、図10(B)に示すような主成分と、高調波成分#1,#2とがある。従って、この高調波成分#1,#2の一方に相当する回転磁界を固定部2の電磁石で生成すれば、低速ロータ3の磁極片31に磁気的な回転力を伝達できる。図10の図(A)において、3相交流を適用し、さらに高調波成分#1,#2の一方側を固定部2に適用する場合に、適用する高調波成分に対応した磁極を個々に設けるのではなく、適用する相数分ずつ1つにまとめている。すなわち、適用する高調波成分に応じた成立条件から、磁極22’の内周先端に、1対1の隙間寸法比で3個の凸条221’を設けている。隣接の磁極22’との隙間も同一寸法として、各凸条221’が空隙を挟んで連続して配置された構造となっている。これにより、電磁石に主成分の交流電流が供給されると、各凸条221’の端面に、適用される一方の高調波成分に対応する高調波回転磁界が生成される。
10,10’ 磁気減速機構
1 高速ロータ
12 磁極対
2,2’ 固定部
22,22’ 磁極
221’ 凸条
23 コイル
3 低速ロータ
31 磁極片

Claims (4)

  1. 周方向に複数の磁極対を有し、外部から回転力が伝達される高速ロータと、前記磁極対の外周と対向し、周方向に複数の磁極片を有する低速ロータと、前記磁極片の外周と対向する固定部とが、それぞれ隙間を置いて同軸上に配置されてなり、前記固定部は、回転磁界の高調波成分を形成するための電磁石からなる磁極が前記磁極片の外周と対向した状態で周方向に複数配置され、かつ前記磁極の内周に周方向に平行に併設された複数の凸条を有するもので、前記固定部の磁極の数Nc及び前記凸条の数Ntは、前記高速ロータの磁極対の極対数をN1とし、前記低速ロータの磁極片の数をN2とし、前記電磁石に供給される交流の相数をn相とするとき、N2−N1=Nt−Nc/n及びN2+N1=Nt+Nc/nのいずれか一方に設定されることを特徴とする磁気減速機構。
  2. 前記回転磁界の内の高調波成分は、回転周期が主成分に対して変更可能であることを特徴とする請求項1に記載の磁気減速機構。
  3. 前記電磁石は、前記磁極に3相交流が供給されコイルが巻回されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気減速機構。
  4. 周方向に複数の磁極対を有し、外部から回転力が伝達される高速ロータと、前記磁極対の外周と対向し、周方向に複数の磁極片を有する低速ロータと、前記磁極片の外周と対向する固定部とが、それぞれ隙間を置いて同軸上に配置されてなり、前記固定部は、回転磁界の高調波成分を形成するための電磁石からなる磁極が前記磁極片の外周と対向した状態で周方向に複数配置され、かつ前記磁極の内周に周方向に平行に併設された複数の凸条を有するもので、前記固定部の磁極の数Nc及び前記凸条の数Ntは、前記高速ロータの磁極対の極対数をN1とし、前記低速ロータの磁極片の数をN2とし、前記電磁石に供給される交流の相数をn相とするとき、N2−N1=Nt−Nc/n及びN2+N1=Nt+Nc/nのいずれか一方に設定され、前記電磁石に周波数が変動可能な交流電流を供給する低速ロータ磁気減速回転制御方法。
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