JP5857447B2 - 有機水銀汚染土の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機水銀汚染土の処理方法に関する。
重金属によって汚染された土壌では、有害物質である重金属の溶出を防止する必要がある。そこで、例えばセメント系固化材に硫化物等の添加材を混合した処理材によって、重金属の溶出量を所定の基準量以下とし、土壌中の重金属を不溶化することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−79536号公報
しかしながら、農薬製造工場の跡地等では、農薬の成分として用いられていた有機水銀が土壌に含有されている虞がある。この有機水銀は、特に人体への毒性も強く溶出を防止する必要があるが、前述した処理材によって不溶化することは困難であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、有機水銀について十分な不溶化効果が得られる有機水銀汚染土の処理方法を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明の有機水銀汚染土の処理方法は、マグネシウム系アルカリ剤を含有する溶出処理材を、有機水銀で汚染された土壌に混合する溶出処理材混合工程と、前記溶出処理材混合工程によって前記土壌中に水銀が溶出したことを確認する溶出確認工程と、硫化物を含有する不溶化処理材を、前記水銀の溶出量が所定量に達していることが確認された土壌に混合する不溶化処理材混合工程とを行い、前記所定量は、予め、溶出処理材を添加し攪拌混合した処理対象の土壌について水銀溶出量を測定し、その測定量の増加が停止した時点の水銀溶出量に基づいて定められた量であることを特徴とする。この有機水銀汚染土の処理方法によっても、マグネシウム系アルカリ剤によって、有機水銀について、硫化物との不溶化反応を促進することができ、十分な不溶化効果を得ることができる。
この有機水銀汚染土の処理方法によれば、溶出処理材混合工程において有機水銀汚染土に水銀が溶出されたことを、確認工程において確認してから、不溶化処理材混合工程を行う。尚、水銀は、有機水銀、無機水銀、金属水銀を含んだ総称であり、以下の説明においても同様とする。よって、この有機水銀汚染土の処理方法では、先ず、土壌の水銀溶出量を溶出処理材によって増加させると共に、有機水銀を不溶化処理材と反応しやすい無機水銀や金属水銀の形で溶出させる。そして、この溶出された水銀に対して不溶化処理材を反応させることで、有機水銀をより確実に不溶化できる。
また、上記の有機水銀汚染土の処理方法は、前記不溶化処理材混合工程を行った前記土壌における前記水銀の溶出量が基準量以下になったことを確認する不溶化確認工程と、セメントを含有する固化処理材を、前記水銀の溶出量が基準量以下になったことが確認された土壌に混合する固化処理材混合工程とを行うことが好ましい。
この有機水銀汚染土の処理方法によれば、不溶化確認工程において、不溶化処理材混合工程後の土壌における水銀溶出量が基準量(土壌汚染対策法に基づく汚染基準である第二溶出量基準0.005mg/L)以下となり、有機水銀が不溶化されたことを確認した後に固化処理材混合工程を行う。このため、より確実に有機水銀を不溶化してから、土壌中で固化処理材に含まれるセメントを硬化させて土壌の強度を増加できる。また、このセメントの硬化によって、水と混合した溶出処理材及び不溶化処理材を土壌に添加する場合であっても、土壌の緩みを防止できる。
また、本発明の有機水銀汚染土の処理方法は、粉末状又は粒状の活性炭を含有する吸着処理材を、有機水銀で汚染された土壌に混合する吸着処理材混合工程と、マグネシウム系アルカリ剤及び硫化物を少なくとも含有する不溶化処理材を、前記吸着処理材が混合された土壌に更に混合する不溶化処理材混合工程とを行うことを特徴とする。
この有機水銀汚染土の処理方法では、吸着処理材混合工程において活性炭に有機水銀を吸着させることで、土壌に含まれる有機水銀の量を低減させた後に、不溶化処理材混合工程を行うことができる。これによって、硫化物及びマグネシウム系アルカリ剤と有機水銀とを効率よく反応させることができるため、例えば、有機水銀が多硫化物となって再溶出すること防止でき、有機水銀をより確実に不溶化できる。
また、上記の有機水銀汚染土の処理方法において、前記不溶化処理材は、セメントを更に含有することが好ましい。これによって、有機水銀をより確実に不溶化しつつ、セメントが硬化することで土壌の強度を容易に増加させることができる。また、水と混合した不溶化処理材や吸着処理材を土壌に添加する場合であっても、土壌の緩みを防止できる。
本発明によれば、有機水銀について十分な不溶化効果が得られる有機水銀汚染土の処理方法を提供できる。
比較例の処理材について作用効果を確認するための確認試験の結果を示す図である。 第1実施形態にかかる有機水銀汚染土の処理材について作用効果を確認するための確認試験の結果を示す図である。 第2実施形態にかかる有機水銀汚染土の処理材について作用効果を確認するための確認試験の結果を示す図である。 土壌に対する活性炭の添加量と水銀溶出量との関係を示すグラフである。 第4実施形態にかかる有機水銀汚染土の処理材について作用効果を確認するための確認試験の結果を示す図である。 有機水銀汚染土に対する第1の処理方法を説明するためのフローチャートである。 有機水銀汚染土に対する第2の処理方法を説明するためのフローチャートである。 有機水銀汚染土に対する第3の処理方法を説明するためのフローチャートである。
===第1実施形態===
<<有機水銀汚染土の処理材について>>
本実施形態にかかる有機水銀汚染土の処理材について説明する。この処理材は、硫化物とマグネシウム系アルカリ剤を主成分とし、これらの成分が混合されている。硫化物は、例えば、チオ尿素、チオフェニル尿素、硫化ナトリウム等であり、水銀と反応して硫化水銀等の難溶性塩を形成する。マグネシウム系アルカリ剤は、例えば、酸化マグネシウムを主成分とし、酸化カルシウムや四酸化硫黄等を含むもの(市販品)や、水酸化マグネシウムである。
また、本実施形態の処理材では、マグネシウム系アルカリ剤25kgに対して、硫化物2.5kg〜10kgとなる割合で、硫化物及びマグネシウム系アルカリ剤が混合されている。
この処理材を有機水銀汚染土に添加し攪拌混合すると、マグネシウム系アルカリ剤によって土壌がアルカリ性となり、水銀溶出量を増加させることができる。また、有機水銀を硫化物と反応しやすい無機水銀や金属水銀のかたちで土壌に溶出させることができる。これによって、有機水銀についても硫化物との不溶化反応を促進でき、不溶化処理後における土壌の水銀溶出量を基準量(第二溶出量基準である0.005mg/L)以下にできる。つまり、有機水銀についても十分な不溶化効果を得ることができる。
<<処理材の確認試験について>>
本実施形態にかかる処理材の作用効果を確認するため、確認試験を行った。この確認試験では、農薬製造工場跡地から採取され、有機水銀として酢酸フェニル水銀を含有した土壌を試料土壌とした。尚、この試料土壌について、環境省告示46号法(以下、環告46号と称する)に基づき、水銀溶出量を測定したところ、図1に示すように、基準量の約580倍の2.9mg/Lであった。この試料土壌に対して、本実施形態にかかる処理材や比較例の処理材をそれぞれ添加して攪拌混合し、一晩養生した。そして、各処理材を混合した混合土壌について、pH、水銀溶出量、一軸圧縮強さをそれぞれ測定した。尚、混合土壌の水銀溶出量及びpHは環告46号に基づいて測定し、一軸圧縮強さは「土の一軸圧縮試験方法」(JIS A 1216)に基づいて測定した。
先ず、図1を参照しつつ、比較例の処理材として、硫化ナトリウム、チオ尿素、高炉B種セメント、酸化マグネシウム(前述の市販品)をそれぞれ単独で試料土壌に添加して攪拌混合した混合土壌についての確認試験について説明する。尚、処理材を混合していない試料土壌におけるpHは7.6であり、一軸圧縮強さは200kN/m以下であった。また、本確認試験では、運搬や掘削等の土壌の取り扱い性を考慮し、土壌の一軸圧縮強さが200kN/m以上となったときに、十分な強度が得られたと判断した。
硫化ナトリウムの混合土壌における確認試験では、試料土壌1tに対して、硫化ナトリウムを12.5kg、25kg、50kgのそれぞれの割合となるように添加し攪拌混合して3種類の混合土壌を作製した。この結果、硫化ナトリウムを混合した各混合土壌の水銀溶出量は、試料土壌の水銀溶出量よりも増加した。つまり、水銀溶出量を基準量(0.005mg/L)以下とはできず、酢酸フェニル水銀は不溶化されていないことがわかる。また、各混合土壌のpHは試料土壌のpHよりも上昇してアルカリ性を呈した。また、各混合土壌の一軸圧縮強さは200kN/m未満のままであった。
チオ尿素の混合土壌における確認試験では、試料土壌1tに対して、チオ尿素を2.5kg、5kg、10kgのそれぞれの割合となるように添加し攪拌混合して3種類の混合土壌を作製した。この結果、チオ尿素を混合した各混合土壌の水銀溶出量は、試料土壌の水銀溶出量よりも低減した。しかし、何れの混合土壌においても水銀溶出量を基準量以下とはできず、酢酸フェニル水銀は不溶化されていないことがわかる。また、各混合土壌のpHは試料土壌のpHよりも上昇してアルカリ性を呈した。また、各混合土壌の一軸圧縮強さは200kN/m未満のままであった。
高炉B種セメントの混合土壌における確認試験では、試料土壌1tに対して、高炉B種セメントを25kg、50kg、100kgのそれぞれの割合となるように添加し攪拌混合して3種類の混合土壌を作製した。この結果、高炉B種セメントを混合した各混合土壌の水銀溶出量は、試料土壌の水銀溶出量よりも増加した。つまり、水銀溶出量を基準量以下とはできず、酢酸フェニル水銀は不溶化されていないことがわかる。また、各混合土壌のpHは試料土壌よりも上昇してアルカリ性を呈した。また、高炉B種セメントが25kg及び50kg混合された混合土壌の一軸圧縮強さは200kN/m未満のままであったが、高炉B種セメントが100kg混合された混合土壌では、一軸圧縮強さが338kN/mとなり、十分な強度が得られた。
酸化マグネシウムの混合土壌における確認試験では、試料土壌1tに対して、酸化マグネシウムを12.5kg、25kg、50kgのそれぞれの割合となるように添加し攪拌混合して3種類の混合土壌を作製した。この結果、酸化マグネシウムを混合した各混合土壌の水銀溶出量は、試料土壌の水銀溶出量よりも増加した。つまり、水銀溶出量を基準量以下とはできず、酢酸フェニル水銀は不溶化されていないことがわかる。
酸化マグネシウムの混合土壌では、前述した他の比較例の処理材の混合土壌に比べて、水銀溶出量が増えているといえる。例えば、酸化マグネシウムを50kg/tの割合で添加した場合の水銀溶出量は15mg/Lであった。これに対し、硫化ナトリウムを50kg/tの割合で添加した場合の水銀溶出量は6.6mg/Lであり、チオ尿素を2.5kg/tの割合で添加した場合の水銀溶出量は1.4mg/Lであり、高炉B種セメントを25kg/tの割合で添加した場合の水銀溶出量は4.0mg/Lであった。このことから、酸化マグネシウムを混合することで、土壌から酢酸フェニル水銀をより多く溶出させられることが判る。なお、各混合土壌のpHは試料土壌よりも上昇してアルカリ性を呈した。また、各混合土壌の一軸圧縮強さは200kN/m未満のままであった。
次に、図2を参照しつつ、本実施形態にかかる処理材を試料土壌に添加して攪拌混合した混合土壌における確認試験の結果について説明する。この確認試験では、試料土壌1tに対して、酸化マグネシウムが25kgとなり、チオ尿素が2.5kg、5kg、10kgのそれぞれの割合となるように、水溶液状のチオ尿素及び粉体状の酸化マグネシウムを混合した処理材を試料土壌に添加し攪拌混合して3種類の混合土壌を作製した。この結果、各混合土壌の水銀溶出量は、何れも基準量以下となり、酢酸フェニル水銀を不溶化できることがわかった。また、各混合土壌のpHは試料土壌のpHよりも上昇してアルカリ性を呈した。また、各混合土壌の一軸圧縮強さは200kN/m未満のままであった。
以上より、酢酸フェニル水銀によって汚染された有機水銀汚染土壌に、比較例の処理材を単体で攪拌混合しても酢酸フェニル水銀を不溶化することは困難であると考えられる。しかし、図1より、酸化マグネシウムは、土壌に酢酸フェニル水銀を溶出させる効果が他の処理材に比べて大きく、チオ尿素は土壌の水銀溶出量を減少させることができる。このため、チオ尿素と酸化マグネシウムが混合されてなる本実施形態の処理材を有機水銀汚染土に混合することで、酸化マグネシウムによって土壌に酢酸フェニル水銀を溶出させ、この溶出させた酢酸フェニル水銀とチオ尿素とから難溶性塩が形成されると考えられる。また、酸化マグネシウムによってpH11付近のアルカリ性となった土壌において、酢酸フェニル水銀は、チオ尿素と反応しやすい無機水銀や金属水銀のかたちで溶出することが考えられる。よって、本実施形態にかかる処理材では、効果的に土壌中の酢酸フェニル水銀を不溶化することができ、有機水銀である酢酸フェニル水銀についても十分な不溶化効果を得ることができる。
===第2実施形態===
<<有機水銀汚染土の処理材について>>
次に、第2実施形態にかかる有機水銀汚染土の処理材について説明する。第2実施形態の処理材は、前述した第1実施形態にかかる処理材に対し、更にセメントが混合されている点で相違する。セメントは、水や液剤等によって硬化する一般的なセメントであればよく、例えば高炉B種セメントが挙げられる。尚、本実施形態の処理材は、チオ尿素が2kg〜4kg、酸化マグネシウムが5kg〜15kg、高炉B種セメントが25kg〜50kgの割合となるように、それぞれの成分が混合されている。
この処理材を有機水銀汚染土と混合することで、マグネシウム系アルカリ剤によって、有機水銀と硫化物との不溶化反応を促進でき、有機水銀についても十分な不溶化効果を得ることができる。また、土壌中でセメントが硬化するため、土壌の強度を増加させることができる。例えば、本実施形態にかかる処理材は、処理対象となる有機水銀汚染土全体に効率よく行き渡るように、所定量の水と混合された状態で土壌に添加される。このように、処理材を水分と共に土壌に添加しても、処理材中のセメントが硬化するため、土壌の強度が低下することを防止できる。よって、本実施形態にかかる処理材は、有機水銀を不溶化しつつ土壌の強度を容易に増加させることができる。
<<処理材の確認試験について>>
本実施形態にかかる処理材についても、作用効果を確認するための確認実験を行った。この確認試験では、前述した第1実施形態にかかる処理材と同様に、試料土壌に本実施形態にかかる処理材を添加して攪拌混合し、一晩養生を行った。そして処理材を混合した混合土壌のpH、水銀溶出量、一軸圧縮強さを測定した。
この確認試験では、所定量の水と混合して水溶液の状態としたチオ尿素と、所定量の水と混合して懸濁液(ミルク)の状態とした酸化マグネシウム及び高炉B種セメントとを混合したものを、処理材として試料土壌に添加し攪拌混合した。この際、処理材のチオ尿素、酸化マグネシウム、高炉B種セメントの混合比をかえて、8種類の混合土壌を作製した。尚、チオ尿素や酸化マグネシウム及び高炉B種セメントと混合する水の量は、処理対象となる有機水銀汚染土に処理材を行き渡らせることができるように、当該土壌の性質や現場での施工性に応じてそれぞれ決定されればよい。
図3に示すように、本確認試験では、試料土壌1tに対して、チオ尿素が2kgとなり、高炉B種セメントが50kgとなり、酸化マグネシウムが5kg、10kgのそれぞれの割合となる混合比の混合土壌と、試料土壌1tに対して、チオ尿素が4kgとなり、高炉B種セメントが50kgとなり、酸化マグネシウムが5kg、10kgのそれぞれの割合となる混合比の混合土壌と、試料土壌1tに対して、チオ尿素が2kgとなり、高炉B種セメントが25kgとなり、酸化マグネシウムが12.5kg、15kgのそれぞれの割合となる混合比の混合土壌と、試料土壌1に対して、チオ尿素が4kgとなり、高炉B種セメントが25kgとなり、酸化マグネシウムが12.5kg、15kgのそれぞれの割合となる混合比の混合土壌とを作製した。
本確認試験の結果から、各混合土壌の水銀溶出量は、何れも基準量以下となり、酢酸フェニル水銀を不溶化できることがわかる。また、各混合土壌のpHは試料土壌のpHよりも上昇してアルカリ性を呈した。また、各混合土壌の一軸圧縮強さは、何れも試料土壌の一軸圧縮強度よりも高い値を示し、十分な強度が得られていることがわかった。
以上より、本実施形態にかかる処理材では、有機水銀である酢酸フェニル水銀についても十分な不溶化効果を得ることができると共に、処理材を混合した土壌の強度を高めることができる。これによって、例えば、水分を含んだ処理材を混合することで土壌が軟弱になることを防止できる。また、図3より、処理材におけるセメントの混合比の増加により、一軸圧縮強さも増加する傾向があることを確認できた。よって、運搬や掘削等、現場での土壌の取り扱いに応じて、処理材におけるセメントの混合比を調整することで、有機水銀が不溶化された土壌の強度を調整でき、土壌の取り扱いを容易にできる。
===第3実施形態===
<<有機水銀汚染土の処理材について>>
次に、第3実施形態にかかる有機水銀汚染土の処理材について説明する。第3実施形態の処理材は、前述した第1実施形態にかかる処理材に対し、更に活性炭が混合されている点で相違する。活性炭は、一般的な活性炭であればよく、竹やヤシ殻等の植物質や、石炭質等を原料として生成された多孔質体であり、細孔に物質を吸着させる性質を有している。そして、活性炭の形状は、粉末状であってもよく、粒状であってもよい。
尚、本実施形態の処理材は、チオ尿素が2kg、酸化マグネシウムが12.5kg、粉末状の活性炭が5kg〜20kgの割合となるように、それぞれの成分が混合されている。ここで、活性炭の割合は特にこれに限定されるものではなく、有機水銀汚染土に含まれる有機水銀量や、活性炭の吸着能力等に応じて適宜調整されればよい。
<<活性炭の確認試験について>>
ここで、活性炭における有機水銀の吸着作用を確認するための確認試験について説明する。図4は、土壌に対する活性炭の添加量と、水銀溶出量との関係を示すグラフである。この確認試験では、農薬製造工場跡地から採取され、有機水銀として酢酸フェニル水銀を含有した土壌を試料土壌とした。尚、この試料土壌について、環告46号に基づき、水銀溶出量を測定したところ、1.6mg/Lであった。この試料土壌1tに対して、粉末状の活性炭をそれぞれ2kg、4kg、8kg、16kg添加して攪拌混合した。そして、活性炭を混合したそれぞれの土壌について環告46号に基づき水銀溶出量を測定した。
図4に示すように、この確認試験の測定結果から、添加する活性炭の量が2kg〜8kgまでは、土壌の水銀溶出量は次第に減少することがわかる。しかし、添加する活性炭の量が8kgを超えると、土壌の水銀溶出量が減少する割合は小さくなっていることがわかる。以上の結果より、添加する活性炭の量には適正量があることがわかる。尚、この確認試験では、土壌に含まれる有機水銀を対象にしたが、活性炭は、不溶化された水銀についても吸着能力を有している。
本実施形態の処理材を有機水銀汚染土と混合することで、第1実施形態の処理材と同様の作用効果を奏する。また、確認試験の結果から明らかなように、この処理材では、活性炭によって、土壌中に存在する不溶化前の有機水銀を吸着することができる。さらに、マグネシウム系アルカリ剤及び硫化物によって不溶化された後の有機水銀も吸着させることができる。
そして、不溶化される前の有機水銀を活性炭が吸着することで、土壌に含まれていた有機水銀の量が低減される。これにより、活性炭を含まない処理材を用いた場合よりも、硫化物及びマグネシウム系アルカリ剤の使用量を少なくすることができる。また、多量の有機水銀に対して過剰の硫化物を反応させた場合に生じる有機水銀の再溶出、すなわち有機水銀が多硫化物となって溶出してしまう不具合を防止することもできる。
また、不溶化後の有機水銀を活性炭が吸着することで、例えば、酸性雨に曝されることによって土壌のpHが低下した場合や、構築されたコンクリート構造物からアルカリ成分が溶出して土壌のpHが上昇した場合であっても、その影響を受け難くなる。すなわち、不溶化した有機水銀は活性炭に吸着されているので、土壌のpHが変化したとしても、吸着状態が維持される。加えて、不溶化されていない有機水銀やpHの変化によって土壌中に再溶出した有機水銀についても、活性炭で吸着できる。
なお、粉末状の活性炭を用いた場合の確認試験について説明したが、粒状の活性炭を用いた場合であっても同様の結果が得られると考えられる。
===第4実施形態===
<<有機水銀汚染土の処理材について>>
次に、第4実施形態にかかる有機水銀汚染土の処理材について説明する。第4実施形態の処理材は、前述した第3実施形態にかかる処理材に対し、更にセメントが混合されている点で相違する。前述したように、セメントは、一般的なセメントであればよく、例えば高炉B種セメントが挙げられる。尚、本実施形態の処理材は、チオ尿素が2kg、酸化マグネシウムが12.5kg、高炉B種セメントが25kg、粉末状の活性炭が5kg〜20kgの割合となるように、それぞれの成分が混合されている。
この処理材を有機水銀汚染土と混合することで、前述した第3実施形態の処理剤と同様の作用効果を奏する。更に、この処理材では、土壌中でセメントが硬化するため、土壌の強度を増加することができる。また、処理材を水分と共に土壌に添加しても、処理材中のセメントが硬化するため、土壌の強度が低下することを防止できる。
<<処理材の確認試験について>>
本実施形態にかかる処理材についても、作用効果を確認するための確認実験を行った。この確認試験では、農薬製造工場跡地から採取され、有機水銀として酢酸フェニル水銀を含有した土壌を試料土壌とした。尚、この試料土壌について、環告46号に基づき、水銀溶出量を測定したところ、図5に示すように、基準量の約60倍の0.3mg/Lであった。この試料土壌に対して、本実施形態にかかる処理材や、比較例として第2実施形態にかかる処理材(チオ尿素と酸化マグネシウムと高炉B種セメントが混合されている処理材)をそれぞれ添加して攪拌混合し、一晩養生した。そして、各処理材を混合した混合土壌について、環告46号に基づきpH及び水銀用出量をそれぞれ測定した。
更に、この確認試験では、各処理材を混合した混合土壌について、土壌環境センターにより提唱された酸・アルカリ添加試験を行った。この酸・アルカリ添加試験では、酸性雨やコンクリート構造物等の影響によって、混合土壌のpHが変化することを想定し、先ず、硫酸及び消石灰によって混合土壌のpHを調整した。そして、このpH調整土壌について、環告46号に基づいて水銀溶出量及びpHを測定した。尚、硫酸によって混合土壌のpHを酸性に調整する場合、混合土壌と硫酸水溶液(0.769mmol/L)とを1:10(重量:体積)の割合で混合した。また、消石灰によって混合土壌のpHをアルカリ性に調整する場合、混合土壌と消石灰(水酸化カルシウム水溶液3.85mmol/L)とを1:10(重量:体積)の割合で混合した。
この確認試験では、先ず、所定量の水と混合してチオ尿素を水溶液の状態とするとともに、所定量の水と混合して酸化マグネシウムと高炉B種セメントと活性炭とをミルクの状態とした。そして、水溶液としたチオ尿素と、ミルクとした酸化マグネシウム、高炉B種セメント、活性炭とを混合したものを、処理材として試料土壌に添加し攪拌混合した。この際、処理材における活性炭の混合比をかえて、3種類の混合土壌を作製した。また、比較例の処理材についても同様に、水溶液としたチオ尿素と、ミルクとした酸化マグネシウム及び高炉B種セメントとを混合したものを、試料土壌に添加し攪拌混合して、混合土壌を作製した。尚、チオ尿素、酸化マグネシウム、高炉B種セメント、活性炭と混合する水の量は、処理対象となる有機水銀汚染土に処理材を行き渡らせることができるように、当該土壌の性質や現場での施工性に応じてそれぞれ決定されればよい。
また、本実施形態の処理材は、図5に示すように、試料土壌1tに対して、チオ尿素が2kgとなり、酸化マグネシウムが12.5kgとなり、高炉B種セメントが25kgとなり、活性炭が5kg、10kg、20kgのそれぞれの割合となるように混合した。比較例の処理材は、試料土壌1tに対して、チオ尿素が2kgとなり、酸化マグネシウムが12.5kgとなり、高炉B種セメントが25kgとなる割合で混合した。
以下、本確認試験の測定結果について説明する。比較例の処理材を混合した混合土壌の水銀溶出量は0.0038mg/Lであった。また、本実施形態にかかる処理材を混合した混合土壌の水銀溶出量は、活性炭を5kg、10kg、20kgの何れの割合で混合した混合土壌においても、検出限界である0.0005mg/L以下であった。よって、何れの処理材の混合土壌においても水銀の溶出量は基準量以下となり、酢酸フェニル水銀を不溶化できることがわかる。また、本実施形態にかかる処理材を混合した混合土壌では、比較例の処理材を混合した混合土壌に比べて、より効率的に酢酸フェニル水銀を不溶化できることがわかる。
また、比較例の処理材の混合土壌を硫酸によって酸性としたpH調整土壌では、水銀溶出量は0.0067mg/Lであった。比較例の処理材の混合土壌を消石灰によってアルカリ性としたpH調整土壌では、水銀溶出量は0.0072mg/Lであった。活性炭を5kg、10kg、20kgの割合で夫々混合した本実施形態にかかる処理材の混合土壌を硫酸によって酸性としたpH調整土壌では、水銀溶出量は夫々0.0009mg/L、0.0006mg/L、0.0005mg/Lであった。活性炭を5kg、10kg、20kgの割合で夫々混合した本実施形態にかかる処理材の混合土壌を消石灰によってアルカリ性としたpH調整土壌では、水銀溶出量は夫々0.0006mg/L、0.0015mg/L、0.0007mg/Lであった。
これらの測定結果より、比較例の処理材を混合した混合土壌では、酸やアルカリによってpHが変化することで、例えば不溶化した有機水銀が再溶出し、水銀溶出量が基準量を超える場合があることがわかる。一方、本実施形態にかかる処理材を混合した混合土壌では、酸やアルカリによってpHが変化した場合であっても、水銀溶出量が基準量を超えることはなく、酢酸フェニル水銀をより確実に不溶化できることがわかる。
以上より、本実施形態にかかる処理材では、有機水銀である酢酸フェニル水銀についても十分な不溶化効果を得ることができる。更に、土壌のpHが変化した場合であっても、活性炭によって、有機水銀の再溶出を抑制することや、再溶出した有機水銀を吸着することができるため、有機水銀をより確実に不溶化できる。
<<有機水銀汚染土に対する第1の処理方法について>>
図6を参照して、有機水銀汚染土に対する第1の処理方法について説明する。第1の処理方法では、溶出処理材によって土壌へ水銀を溶出させ、水銀の溶出量を確認する。そして、不溶化処理材によって溶出させた水銀を不溶化し、水銀の溶出量を確認する。さらに、固化処理材によって土壌の強度を増加させている。以下、詳細に説明する。
この処理方法では、先ず、マグネシウム系アルカリ剤を含有する溶出処理材(アルカリ化処理材)を、有機水銀汚染土に混合する溶出処理材混合工程を行う(S1)。溶出処理材に含有されるマグネシウム系アルカリ剤としては、酸化マグネシウムや、水酸化マグネシウムが挙げられる。この溶出処理材は、例えば土壌をアルカリ性として、水銀溶出量を増加させること及び有機水銀を無機水銀や金属水銀のかたちで溶出させることができる。尚、溶出処理材はミルクの状態で土壌に混合される。これによって、土壌に略均一に溶出処理材を混合して、効果的に有機水銀汚染土の水銀溶出量を増加させることができる。
次に、前記溶出処理材混合工程によって前記土壌中に水銀が溶出したことを確認する溶出確認工程を行う(S2)。この溶出確認工程では、例えば、環告46号に基づいて溶出処理材混合工程後、所定時間養生した土壌の水銀溶出量を測定する。そして、測定した水銀溶出量が所定量に達している場合に土壌中に水銀が溶出したと判断し、不要化処理材混合工程を行う。尚、溶出処理材混合工程後、水銀溶出量を測定するまでの所定時間と、土壌中に水銀が溶出したことを判断するための所定量は、処理対象となる土壌に応じてそれぞれ決定されればよい。
例えば、予め、処理対象となる土壌を用いて試験を行うことで所定時間及び所定量を決定することができる。すなわち、溶出処理材を添加し攪拌混合した処理対象の土壌について所定間隔で水銀溶出量を測定し、この測定量の増加が停止した時点の水銀溶出量に基づいて所定量を定めることができる。また、溶出処理材を混合してから水銀溶出量が所定量に達するまでの時間に基づいて所定時間を定めることができる。
不溶化処理材混合工程では、硫化物を含有する不溶化処理材(不溶化反応材)を、溶出確認工程後の土壌に混合する(S3)。不溶化処理材に含有される硫化物としては、チオ尿素、チオフェニル尿素、硫化ナトリウム等が挙げられる。溶出処理材混合工程において土壌の水銀溶出量が増加し、有機水銀が無機水銀や金属水銀のかたちで溶出している。このため、不溶化処理材混合工程では、有機水銀と不溶化処理材との不溶化反応が促進され、有機水銀についても十分な不溶化効果を得ることができる。尚、不溶化処理材は、例えば水溶液の状態で土壌に混合される。これによって、土壌に略均一に不溶化処理材を混合して、効果的に有機水銀を不溶化することができる。
次に、不溶化処理材混合工程を行った有機水銀汚染土の水銀溶出量が基準量以下になったことを確認する不溶化確認工程を行う(S4)。この不溶化確認工程では、例えば、環告46号に基づいて不溶化処理材混合工程後、所定時間養生した土壌の水銀溶出量を測定する。そして、測定した水銀溶出量が基準量以下となったとき、有機水銀汚染土の有機水銀が不溶化されたと判断し、固化処理材混合工程を行う。尚、不溶化処理材混合工程後、水銀溶出量を測定するまでの所定時間は、処理対象となる土壌に応じてそれぞれ決定されればよい。例えば、溶出確認工程後の土壌に不溶化処理材を添加し攪拌混合してから、当該土壌について所定間隔で水銀溶出量を測定する。そして、この測定量の減少が停止するまでの時間に基づいて所定時間を定めることができる。
固化処理材混合工程では、セメントを含有する固化処理材を、不溶化確認工程後の土壌に混合する(S5)。固化処理材に含有されるセメントとしては、高炉B種セメント等が挙げられる。尚、セメントは、水や液剤等によって硬化する一般的なセメントであればよい。また、固化処理材は、例えばミルクの状態で土壌に混合される。これによって、土壌に略均一にセメントを混合して硬化させることができ、効果的に土壌の強度を増加させることができる。
尚、この処理方法において、有機水銀汚染土に混合される溶出処理材、不溶化処理材、固化処理材の割合は、例えば、溶出処理材が5kg〜15kg、不溶化処理材が2kg〜4kg、固化処理材が25kg〜50kgとなっている。
以上より、本実施形態にかかる有機水銀汚染土の処理方法では、溶出処理材によって水銀が溶出したことを、溶出確認工程において確認した後に、溶出した水銀に対して不溶化処理材を反応させる。これによって、有機水銀を土壌により確実に溶出させた後に、不溶化処理材と反応させて不溶化できるため、有機水銀汚染土中の有機水銀をより確実に不溶化できる。また、不溶化処理材混合工程において有機水銀が不溶化されたことを不溶化確認工程において確認した後に、セメントを混合して硬化させる。これによって、有機水銀をより確実に不溶化したうえで、土壌の強度を増加させることができる。
<<有機水銀汚染土に対する第2の処理方法について>>
図7を参照して、有機水銀汚染土に対する第2の処理方法について説明する。第2の処理方法では、有機水銀の溶出成分(マグネシウム系アルカリ剤)と不溶化成分(硫化物)とを含有する不溶化処理材を土壌に混合することで土壌中の有機水銀を不溶化する。その後、吸着処理材(粉末状又は粒状の活性炭)を土壌に混合することで、不溶化された水銀やまだ不溶化されていない水銀を活性炭に吸着させる。以下、詳細に説明する。
この処理方法では、先ず、マグネシウム系アルカリ剤及び硫化物を少なくとも含有する不溶化処理材を、有機水銀汚染土に混合する不溶化処理材混合工程を行う(S6)。この不溶化処理材混合工程では、マグネシウム系アルカリ剤によって、有機水銀の溶出量を増加させるとともに、有機水銀を硫化物と反応しやすい無機水銀や金属水銀の形で溶出させることができる。このため、有機水銀についても硫化物との不溶化反応を促進でき、十分に不溶化することができる。尚、不溶化処理材は所定量の水と混合した状態で土壌に混合される。これによって、土壌に略均一に不溶化処理材を混合して、効果的に有機水銀を不溶化することができる
次に、粉末状又は粒状の活性炭を含有する吸着処理材を、不溶化処理材が混合された土壌に更に混合する吸着処理材混合工程を行う(S7)。この吸着処理材混合工程では、不溶化処理材混合工程において不溶化された有機水銀を主に活性炭に吸着させることができる。これによって、例えば、不溶化された有機水銀は、活性炭の内部に吸着されており、土壌のpHの変化の影響を受けにくいため、有機水銀が再溶出することを抑制できる。また、例えば、土壌中に不溶化されていない有機水銀や、再溶出した有機水銀が存在する場合であっても、当該有機水銀を活性炭に吸着させることができる。
以上より、第2の処理方法では、不溶化処理材混合工程において、有機水銀を不溶化した後に、吸着処理材混合工程を行う。これによって、土壌のpHの変化の影響等によって、不溶化した有機水銀が再溶出することを効率よく抑制できる。また、不溶化処理材混合工程において不溶化しきれなかった有機水銀が存在する場合であっても、当該有機水銀を活性炭が吸着するため、有機水銀をより確実に不溶化できる。
ここで、活性炭の確認試験(図4)で説明したように、土壌に添加する活性炭の量と、水銀溶出量の減少量とは比例関係になく、活性炭によって吸着できる有機水銀の量には限りがある。このため、土壌のpHの変化による有機水銀の再溶出をより確実に抑制したい場合には、第2の処理方法のように、不溶化処理材混合工程の後に吸着処理材混合工程を行うことが効果的である。これによって、不溶化後に有機水銀が再溶出した場合であっても、当該有機水銀を活性炭に吸着させることができる。また、主に不溶化した有機水銀を活性炭の内部に吸着させることができるため、不溶化した有機水銀が土壌のpHの変化の影響を受けにくくなり、再溶出を効果的に抑制できる。
<<有機水銀汚染土に対する第3の処理方法について>>
図8を参照して、有機水銀汚染土に対する第3の処理方法について説明する。第3の処理方法では、第2の処理方法とは逆に、吸着処理材を土壌に混合することで、土壌中の有機水銀を活性炭に吸着させる。その後、不溶化処理材を土壌に混合することで土壌中の有機水銀を不溶化する。
すなわち、第3の処理方法では、先ず、粉末状又は粒状の活性炭を含有する吸着処理材を、有機水銀汚染土に混合する吸着処理材混合工程を行う(S8)。この吸着処理材混合工程では、有機水銀汚染土に含まれる有機水銀を主に活性炭に吸着させることができる。次に、マグネシウム系アルカリ剤及び硫化物を少なくとも含有する不溶化処理材を、吸着処理材が混合された土壌に更に混合する不溶化処理材混合工程を行う(S9)。
以上より、第3の処理方法では、吸着処理材混合工程において土壌に含まれる有機水銀を活性炭に吸着させて、土壌に含まれる有機水銀の量を低減させた後、不溶化処理材混合工程において有機水銀と不溶化処理材とを反応させている。このため、不溶化処理材の使用量を低減することができる。また、過剰な有機水銀と硫化物とによる多硫化物の生成(再溶出)を防止することができる。
なお、前述したように、活性炭によって吸着できる有機水銀の量には限りがある。このため、有機水銀が比較的多く含まれる土壌について有機水銀をより確実に不溶化したい場合には、第3の処理方法のように、吸着処理材混合工程の後に不溶化処理材混合工程を行うことが効果的である。これによって、主として土壌に含まれる有機水銀を活性炭に吸着させてから、残りの有機水銀と硫化物とを反応させることができる。このため、有機水銀が多硫化物となって再溶出することを防止でき、土壌に含まれる有機水銀の量に関わらず、有機水銀をより確実に不溶化できる。
===その他の実施形態について===
前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
例えば、第1の処理方法では、不溶化処理材混合工程の後に不溶化確認工程及び固化処理材混合工程を行うこととしたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、処理対象となる有機水銀汚染土の強度を増加させる必要がない場合は、不溶化確認工程及び固化処理材混合工程を行わないこととしてもよい。
また、第2、第3の処理方法において、不溶化処理材として、更にセメントを含有することとしてもよい。これによって、有機水銀をより確実に不溶化しつつ土壌の強度を容易に増加させることができる。
更に、第2の処理方法では、不溶化処理材混合工程として、マグネシウム系アルカリ剤及び硫化物を少なくとも含有する不溶化処理材を土壌に混合することとした。しかし、特にこれに限定されるものではない。例えば、第2の処理方法では、前述した不溶化処理材混合工程にかえて、第1の処理方法と同様に、溶出処理材混合工程と、溶出確認工程と、不溶化処理材混合工程と、不溶化確認工程とを行うこととしてもよい。例えば、不溶化確認工程において測定した水銀溶出量に基づいて、水銀溶出量を基準量以下とするために添加するべき吸着処理材の量を算出できるため、吸着処理材混合工程において過不足なく吸着処理材を添加することができる。
また、前述した各実施形態にかかる処理材及び各処理方法では、硫化物の例としてチオ尿素、チオフェニル尿素、硫化ナトリウムを挙げたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、その他の硫化物として、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸カルシウム、チオ硫酸銀、チオ硫酸ストロンチウム、チオ硫酸鉄(II)、チオ硫酸鉄(III)、チオ硫酸銅(I)チオ硫酸銅(II)、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸バリウム、チオ硫酸マグネシウム等のチオ硫酸化合物や、硫化亜鉛、硫化アンチモン、硫化アンモニウム、ポリ硫化アンモニウム、硫化オスミウム、硫化カリウム、硫化カルシウム、硫化金(I)、硫化金(III)、硫化銀、一硫化珪素、二硫化珪素、硫化ジルコニウム、硫化水素亜鉛、硫化水素アンモニウム、硫化水素カリウム、硫化水素カルシウム、硫化水素ストロンチウム、硫化水素セシウム、硫化水素ナトリウム、硫化水素バリウム、硫化水素ホウ素、硫化水素マグネシウム、硫化水素リチウム、硫化錫(II)、硫化錫(IV)、硫化ストロンチウム、硫化セシウム、硫化チタン、硫化鉄(II)、硫化鉄(III)、二硫化鉄、硫化銅(I)、硫化銅(II)、硫化ナトリウム、硫化ニッケル、硫化白金、硫化パラジウム、硫化バリウム、硫化マグネシウム、硫化マンガン(II)、硫化マンガン(IV)、硫化リチウム等が挙げられる。尚、図1より、硫化物としてチオ尿素を採用する場合の方が、硫化ナトリウムを採用する場合に比べてより効果的に有機水銀を不溶化することができる。
また、前述した各処理材における各成分の混合比及び各処理方法における溶出処理材、不溶化処理材、固化処理材の土壌への混合比は、処理対象となる有機水銀汚染土の状態に応じて定められればよい。例えば、有機水銀の含有量が多い土壌では硫化物の混合量を増やし、酸性度の強い土壌ではマグネシウム系アルカリ剤の混合量を増やすことで、有機水銀について効果的に不溶化できる。また、第2及び第4実施形態にかかる処理材及び第1の処理方法では、セメントの混合量を調整することで、有機水銀を不溶化した後の土壌を、作業上必要な強度とすることができる
また、前述した第2及び第4実施形態にかかる有機水銀汚染土の処理材は、水溶液の状態の硫化物と、ミルクの状態のマグネシウム系アルカリ剤及びセメントとが混合されていることとした。また、前述した第1の処理方法では、不溶化処理材を水溶液の状態とし、溶出処理材及び固化処理材をミルクの状態として土壌に添加し攪拌混合することとした。しかし、特にこれらに限定されるものではなく、例えば、前述した実施形態にかかる処理材は、硫化物、マグネシウム系アルカリ剤、及びセメントが、それぞれ粉末の状態又は所定量の水と混合された状態で互いに混合されていてもよい。また、前述した実施形態にかかる処理方法では、溶出処理材、不溶化処理材、及び固化処理材が、それぞれ粉末の状態又は水と混合された状態で土壌に添加され攪拌混合されてもよい。
また、前述した第1乃至第4実施形態にかかる処理材の作用効果を確認するための確認試験では、有機水銀として酢酸フェニル水銀を不溶化することとした。しかし、前述した実施形態にかかる処理材及び処理方法によって、不溶化できる有機水銀は酢酸フェニル水銀に限られない。例えば、塩化メチル水銀、塩化エチル水銀、塩化フェニル水銀、ヨウ化フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀等のその他の有機水銀についても同様に十分な不溶化効果を得ることができる。
また、前述した実施形態にかかる処理材及び処理方法では、土壌の水銀溶出量を環告46号に基づき測定することとしたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、環境省告示第18号に基づいて水銀溶出量を測定してもよい。

Claims (4)

  1. マグネシウム系アルカリ剤を含有する溶出処理材を、有機水銀で汚染された土壌に混合する溶出処理材混合工程と、
    前記溶出処理材混合工程によって前記土壌中へ溶出した水銀の量が所定量に達していることを確認する溶出確認工程と、
    硫化物を含有する不溶化処理材を、前記溶出した水銀の量が前記所定量に達していることが確認された土壌に混合する不溶化処理材混合工程と
    を行い、
    前記所定量は、予め、溶出処理材を添加し攪拌混合した処理対象の土壌について水銀溶出量を測定し、その測定量の増加が停止した時点の水銀溶出量に基づいて定められた量であることを特徴とする有機水銀汚染土の処理方法。
  2. 前記不溶化処理材混合工程を行った前記土壌における前記水銀の溶出量が基準量以下になったことを確認する不溶化確認工程と、
    セメントを含有する固化処理材を、前記水銀の溶出量が基準量以下になったことが確認された土壌に混合する固化処理材混合工程と
    を行うことを特徴とする請求項に記載の有機水銀汚染土の処理方法。
  3. 粉末状又は粒状の活性炭を含有する吸着処理材を、有機水銀で汚染された土壌に混合する吸着処理材混合工程と、
    マグネシウム系アルカリ剤及び硫化物を少なくとも含有する不溶化処理材を、前記吸着処理材が混合された土壌に更に混合する不溶化処理材混合工程と
    を行うことを特徴とする有機水銀汚染土の処理方法。
  4. 前記不溶化処理材は、セメントを更に含有することを特徴とする請求項に記載の有機水銀汚染土の処理方法。
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