JP7105203B2 - 重金属類の不溶化方法 - Google Patents

重金属類の不溶化方法 Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 開催日 平成30年7月26日 集会名 第53回地盤工学研究発表会 開催場所 サンポートホール高松(香川県高松市) 〔刊行物等〕 発行日 平成30年7月 刊行物 第53回地盤工学研究発表会 要旨集 公益社団法人 地盤工学会 〔刊行物等〕 開催日 平成30年8月31日 集会名 土木学会第73回年次学術講演会 開催場所 北海道大学(札幌市) 〔刊行物等〕 発行日 平成30年8月 刊行物 土木学会第73回年次学術講演会 要旨集 公益社団法人 土木学会 〔刊行物等〕 開催日 平成30年8月31日 集会名 土木学会第73回年次学術講演会 開催場所 北海道大学(札幌市) 〔刊行物等〕 発行日 平成30年8月 刊行物 土木学会第73回年次学術講演会 要旨集 公益社団法人 土木学会 〔刊行物等〕 開催日 平成30年10月31日 集会名 第24回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会 開催場所 とうほう・みんなの文化センター(福島市) 〔刊行物等〕 発行日 平成30年10月 刊行物 第24回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会 要旨集 公益社団法人日本水環境学会、一般社団法人廃棄物資源循環学会、公益社団法人地盤工学会、公益社団法人日本地下水学会、一般社団法人土壌環境センター
本発明は、重金属類の不溶化方法に関する。
従来、重金属を含有している土壌や廃棄物(石炭灰、焼却灰等)を堤防等の構造物や埋め立ての材料等として再利用する際に、その後の長期間にわたる環境変化によって重金属類が溶出しないよう対処することが求められている。重金属類の不溶化処理の一つとして、鉄酸化物を含有する浄化材を用いることが知られている(例えば特許文献1)。この浄化材は、用いる鉄酸化物の比表面積が広いため重金属類の吸着能力に優れ、且つ、一旦吸着した重金属類を再溶出させないというものである。また、特にヒ素に着目し、希土類金属の水和酸化物とヒ素とを不可逆的に反応させることで、一旦固定化したヒ素の再溶出を防止するという技術が知られている(特許文献2)。
特開2004-255376号公報 特許第3536003号公報
重金属類の溶出挙動は被処理物の性状、例えばpHや酸化還元電位によって異なることが知られているが、不溶化処理後に重金属類の溶出の有無を確認する試験は、被処理物から採取した一つの試験体の試験結果が溶出基準に適合するか否かで判断されている現状がある。こうした状況では、一旦は溶出基準に適合したとしても、被処理物の性状が変化した場合に当該不溶化処理の効果が持続するかどうかの保証はない。
そこで本発明は、被処理物を対象とした重金属類の不溶化方法であって、環境変化に伴う被処理物の性状変化にも適応することができる不溶化方法を提供することを目的とする。
本発明は、重金属類を含有する被処理物に第1の不溶化材を混合する第1の混合工程と、第1の混合工程を経た被処理物から採取して調製した複数の試験体を対象として、pH及び酸化還元電位の少なくとも一方が試験体間で互いに異なるものとなるように試験体のそれぞれの性状を調整する調整工程と、調整工程を経た複数の試験体を対象として重金属類の溶出試験を行う溶出試験工程と、溶出試験の結果、重金属類の溶出基準に不適合と判定された試験体があった場合に、当該試験体の性状に応じて、重金属類の不溶化に有効なpHの範囲及び酸化還元電位の範囲があらかじめ判明している複数種の不溶化材のうち少なくとも一種の有効な不溶化材を含む第2の不溶化材を、第1の混合工程を経た被処理物に添加混合する第2の混合工程と、を有する重金属類の不溶化方法を提供する。
この不溶化方法によれば、複数のpH及び酸化還元電位の条件での溶出試験によって、少なくとも一つの条件下において第1の不溶化材による不溶化効果が不十分であることが判明した場合に、効果が不十分な点を補うための第2の不溶化材を追加混合することで重金属類の不溶化を確実なものとすることができる。すなわち、この不溶化方法によれば、環境変化に伴う被処理物の性状変化にも適応することができる。
本発明では、第2の混合工程を経た後、次に処理すべき同類の被処理物に対して、第1の混合工程において第1の不溶化材と第2の不溶化材との両方を混合してもよい。始めの混合工程である第1の混合工程で両不溶化材を次の被処理物に添加混合することにより、当該被処理物について最初となる溶出試験において、良好な結果が得られることを期待できる。
第2の不溶化材は、三価の鉄化合物と、水と接触して二価の鉄イオンを生じる物質とを含むことが好ましい。また、第2の不溶化材は、水と接触してカルシウムイオンを生じる物質を含むことが好ましい。これらの物質は、重金属類の不溶化効果が高いpH及び酸化還元電位の範囲が互いに異なっているので、これらのうちから第2の不溶化材を選定することで、様々なpH及び酸化還元電位を示す被処理物に対して不溶化効果を補うことができる。
調整工程では、複数の試験体のpHが3~9、酸化還元電位が-400mV~+400mvとなるように調整することが好ましい。現実の被処理物としてはpH及び酸化還元電位が概ねこれらの範囲内にあるので、複数の試験体の性状をこれらの範囲内において調整することで、環境変化に伴う被処理物の性状変化の想定に適した溶出試験を行うことができる。
調整工程において、複数の試験体の酸化還元電位の調整は、複数の試験体を水素又は酸素に接触させることにより行うことが好ましい。これらの方法によれば、酸化還元電位を所望の値に調整しやすい。
本発明によれば、被処理物を対象とした重金属類の不溶化方法であって、環境変化に伴う被処理物の性状変化にも適応することができる不溶化方法を提供することができる。
不溶化材を構成する物質が効果を発揮するpHと酸化還元電位の領域を示す図である。 pHと酸化還元電位の調整目標の例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。本実施形態の重金属類の不溶化方法は、重金属類を含有する被処理物から重金属類が溶出することを抑制するためのものである。本明細書において「重金属類」とは、ヒ素、鉛、セレン、カドミウム、水銀、六価クロム、シアン、フッ素及びホウ素を指す。また、本明細書において「被処理物」とは、土壌や廃棄物を指し、廃棄物には、例えば火力発電所で発生する石炭灰や、災害廃棄物などを焼却して発生する焼却灰等が含まれる。
<不溶化材>
本実施形態の不溶化方法では、不溶化材として、第1の不溶化材と第2の不溶化材とを用いる。ここで「第1の不溶化材」とは、後述する第1の混合工程において混合される不溶化材の全てを指しており、一種又は複数種の物質(成分)を指している。また、「第2の不溶化材」とは、後述する溶出試験工程を経た後に混合される不溶化材の全てを指しており、一種又は複数種の物質を指している。以下では、両不溶化材に共通する物質について説明する。
本実施形態の不溶化材(第1の不溶化材及び第2の不溶化材)として、三価の鉄化合物と、水と接触して二価の鉄イオンを生じる物質と、水と接触してカルシウムイオンを生じる物質が挙げられる。これらの三種の物質のうち、「三価の鉄化合物」は専らpH4~10且つ酸化雰囲気下(図1のA領域)で不溶化効果を発現し、「水と接触して二価の鉄イオンを生じる物質」は専らpH4~10且つ還元雰囲気下(図1のB領域)で不溶化効果を発現し、「水と接触してカルシウムイオンを生じる物質」は専らpH10~14且つ酸化雰囲気下(図1のC領域)で不溶化効果を発現する。従って、第1の不溶化材は、被処理物の様々な性状に対応して重金属類を不溶化し溶出を抑制することができる観点から、これら三種の物質を含むことが好ましい。また、第2の不溶化材は、後述するとおり、これら三種の物質から少なくとも一つを選定して構成することが好ましい。
三価の鉄化合物は、酸化数が3となっている鉄を含む化合物である。三価の鉄化合物としては、酸化鉄(III)、水酸化鉄(III)、酸化水酸化鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)等が挙げられる。重金属類を捕捉して不溶化する観点から、水溶性の低いものが好ましい。三価の鉄化合物は、被処理物との混合性の観点から粉末状であることが好ましい。
水と接触して二価の鉄イオンを生じる物質は、水と接触したときに電離又はイオン化して二価の鉄イオンを生じる物質であればよく、水溶性の程度は問わない。当該物質としては、塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、硫酸鉄(II)、金属鉄等が挙げられる。中でも塩化鉄(II)及び金属鉄が好ましい。当該物質は、被処理物との混合性の観点から粉末状であることが好ましく、特に、金属鉄の場合は比表面積が高く反応性が高い還元鉄粉(海綿鉄粉)であることが好ましい。還元鉄粉に表面処理をした特殊鉄粉であることがより好ましい。
水と接触して二価の鉄イオンを生じる物質は、不溶化処理の対象である被処理物に添加して混合したとき、被処理物に含まれている水に対して溶解し、鉄イオン(II)を生じる。このとき、添加した物質の全てが鉄イオン(II)になる必要はなく、不溶化材としての効果が生じる程度の鉄イオン(II)が生じるように、溶解度を考慮してあらかじめ添加量を決定しておく。例えば、塩化鉄(II)のように水への溶解度が高い物質はそのほぼ全量が電離しているとみなすことができ、他方、金属鉄のように溶解度の低い物質は、事前にイオン化の程度を調べたうえで用いることが好ましい。
水と接触して二価の鉄イオンを生じる物質が金属鉄である場合は、金属鉄の還元作用によって六価クロムや六価セレンが還元されることで不溶化作用を発現することもできる。このため、被処理物に六価クロムや六価セレンが多く含まれていることが事前に分かっている場合は、鉄粉の含有比を高く設定することが好ましい。
水と接触してカルシウムイオンを生じる物質としては、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。当該物質は、被処理物との混合性の観点から粉末状であることが好ましい。
第1の不溶化材は、複数の物質を含む場合は、その取扱いの容易さからあらかじめ混合された組成物であることが好ましい。組成物とした場合、被処理物に添加混合する前に物質同士が互いに反応しないように、乾燥した状態で保存することが好ましい。
これに対し、第2の不溶化材は、後述するとおり、第1の不溶化材による不溶化効果が不十分であった場合に、不十分であった性状に応じた追加効果を狙うものであるので、上記各物質を混合しない状態で用意しておくことが好ましい。両不溶化材は、互いに同種の物質から構成されていてもよく、別種の物質から構成されていてもよい。
第1の不溶化材における三価の鉄化合物と二価の鉄イオンを生じる物質との含有比は、本実施形態の不溶化材を被処理物と混合したときに三価の鉄化合物中の三価の鉄1molに対して二価の鉄イオンが1.00×10-4~3.00×10-2mol生じる含有比であることが好ましく、このほか、1.30×10-4~2.50×10-2mol生じる含有比であることが好ましく、3.00×10-4~1.50×10-2mol生じる含有比であることがより好ましく、7.00×10-4~8.00×10-3mol生じる含有比であることが更に好ましく、1.00×10-3~3.00×10-3mol生じる含有比であることが特に好ましい。ここで、「不溶化材を被処理物と混合したとき」とは、不溶化材の混合直後から1時間までの間をいう。
二価の鉄イオンを生じる物質が金属鉄である場合は、金属鉄の含有比は、三価の鉄化合物中の三価の鉄1molに対して1.00×10-4~1.50×10-0molであることが好ましく、5.00×10-4~1.00×10-0molであることがより好ましく、1.00×10-3~7.00×10-1molであることが更に好ましく、1.00×10-2~3.00×10-1molであることが特に好ましい。金属鉄を用いた場合、上記「不溶化材を被処理物と混合したとき」とは、不溶化材の混合直後から6時間までの間をいう。
カルシウムイオンを生じる物質の含有比は、被処理物と混合したときに三価の鉄化合物中の三価の鉄1molに対してカルシウムイオンが1.0×10-2~1.5×10-0mol生じる含有比であることが好ましく、5.0×10-2~1.2×10-0mol生じる含有比であることがより好ましく、1.0×10-1~1.0×10-0mol生じる含有比であることが更に好ましく、1.5×10-1~8.0×10-1mol生じる含有比であることが特に好ましい。また、当該数値範囲は2.0×10-1~7.0×10-1molであってもよい。
<不溶化方法>
被処理物は、外的又は内的な要因によってpHや酸化還元電位が変動し、これに伴って重金属類の溶出挙動が変化する。例えば、不溶化処理の直後には重金属類が溶出しにくい性状であったとしても、時間の経過とともに被処理物が空気酸化されたり、酸性雨に晒されたり、セメント改良を施したり、盛土の内部が嫌気性還元されたりすることで、重金属類が溶出しやすい性状に変化し得る。すなわち、たとえ不溶化材で処理した場合であっても、その後の長期間にわたる環境変化に伴って被処理物の性状が変化し、重金属類が溶出しやすくなる場合がある。本実施形態の不溶化方法は、こうした様々な性状変化にも適応できるものである。
重金属類を含有する被処理物に対し、第1の不溶化材を添加混合する(第1の混合工程)。ここでは一つの実施形態として、第1の不溶化材は、三価の鉄化合物と、水と接触して二価の鉄イオンを生じる物質と、水と接触してカルシウムイオンを生じる物質とを含んでいるものとする。添加量としては、被処理物の質量を100%としたとき、第1の不溶化材全体としての添加量は0.5~5%であることが好ましく(すなわち、被処理物100kgに対して0.5~5kgを添加する)、1~3%であることが好ましい。
第1の不溶化材は、含まれている各物質を同時に添加してもよく、それぞれ別々に添加してもよい。同時に添加する場合は、上記のとおりあらかじめ混合した組成物を調製したうえで添加してもよい。
被処理物と第1の不溶化材との混合方法は、被処理物の容積や性状、施工条件に応じて適宜選択すればよく、例えば、バックホウ、ミキシングバケット付バックホウ、土壌改良機、ロードスタビライザー等を用いることができる。
三価の鉄化合物、及び、水と接触して二価の鉄イオンを生じる物質は、被処理物と混合されると、被処理物中の水によって二価の鉄イオンが生じ、これから生じる水酸化鉄が三価の鉄化合物の表面に吸着して不溶物を形成する。その際に、被処理物中の重金属類が同時に取り込まれて不溶化し、その結果、被処理物から重金属類が溶出しにくくなると考えられる。本実施形態の不溶化方法によれば、酸化雰囲気で不溶化効果を発現する三価の鉄化合物と、還元雰囲気で不溶化効果を発現する二価の鉄イオンを生じる物質とを併用することで、任意のpHのみならず任意の酸化還元電位を呈する様々な被処理物に適用することができる。また、カルシウムイオンはアルカリ性雰囲気で重金属類を不溶化する効果があるので、被処理物のpHがアルカリ性であるとき、又は被処理物のpHがアルカリ性側に移行した場合に、カルシウムイオンが被処理物に存在することで重金属類を一層不溶化することができる。
本実施形態の不溶化方法は、不溶化対象である重金属類の中でも、ヒ素、鉛、セレン、カドミウム、水銀及び六価クロムに対して特に有効である。これらは三価の鉄化合物又は鉄イオンへの吸着度合いが高く、不溶物を形成しやすい傾向がある。
次に、第1の混合工程を経た被処理物から少量を採取し、これを複数の容器に入れて蒸留水に懸濁し(例えば液固比=10)て振とうし、試験体とする。振とうする時間は1時間~24時間とする。次に、各試験体のpH及び酸化還元電位を調整する(調整工程)。pHの調整方法としては、例えば酸性側への調整には希硫酸を用いることができ、アルカリ性側への調整には水酸化ナトリウム水溶液を用いることができる。酸化還元電位の調整方法としては、酸化雰囲気側への調整には懸濁液を空気(酸素)に接触させることができ、還元雰囲気側への調整には懸濁液を濃度10%の水素に接触させることができる。空気(酸素)又は水素との接触時間は、少なくとも5分間とし、上限は1時間としてもよく、3時間としてもよく、6時間としてもよい。
ここで、各試験体のpH及び酸化還元電位としては、実際上の被処理物の性状変化を考慮して、pHは3~9とすることが好ましく、酸化還元電位は-400mV~+400mvとすることが好ましい。各試験体間では、pH及び酸化還元電位のうち少なくとも一方が互いに異なるように調整する。ここでは、図2に示されているとおり、三つの試験体に対して、それぞれのpH及び酸化還元電位が点P、点Q、点Rの位置となるように調整したとする。
なお、上記酸化還元電位の値、及び、図面に示している酸化還元電位の値(mV)は、例えば銀・塩化銀電極を用いて測定した読み値を、水素標準電極で測定した場合に換算した値(Eh)を示している。pHの測定は、例えばガラス電極、比較電極、温度補償電極を一体化したpH電極を用いることができ、酸化還元電位の測定は、例えば銀・塩化銀電極を用いることができる。
pH及び酸化還元電位が所望の値となるように調整した後、溶出試験を行う。溶出試験とは、試験体を振とうして重金属類を液中に溶出させ、その濃度を測定する操作である。振とうする時間は1時間~12時間であってもよく、3時間~9時間であってもよい。その後、試験体の上澄み液を対象として、各種の重金属類の濃度を測定する(溶出試験工程)。各種の重金属類の濃度の測定は、例えば誘導結合プラズマ質量分析装置(Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometry:ICP-MS)を用いて行うことができる。
溶出試験の結果、いずれの試験体(図2の点P、点Q、点R)についても、環境基準値を下回っていた場合は、第1の混合工程を終えた被処理物は、全ての試験体における性状(pH及び酸化還元電位)において重金属類の溶出が抑制されたことを意味している。従って、当該被処理物は所望の用途に供することができるものと判断され、不溶化処理を終える。
一方、溶出試験の結果、重金属類の溶出基準に不適合と判定された試験体があった場合には、当該試験体の性状に応じて、第2の不溶化材を被処理物に添加混合する(第2の混合工程)。このとき、第2の不溶化材として用いる物質としては、重金属類の不溶化について有効性を示すpH及び酸化還元電位が図1に示されているようにあらかじめ判明しているものを用いる。例えば、図2の点Q及び点Rにおける試験体が環境基準値を下回り、点Pにおける試験体が環境基準値を上回っていた場合は、点Pが属しているA領域に対して不溶化効果を発揮する「三価の鉄化合物」を第2の不溶化材として選定する。同様に、図2の点R及び点Pにおける試験体が環境基準値を下回り、点Qにおける試験体が環境基準値を上回っていた場合は、点Qが属しているB領域に対して不溶化効果を発揮する「水と接触して二価の鉄イオンを生じる物質」を第2の不溶化材として選定する。同様に、図2の点P及び点Qにおける試験体が環境基準値を下回り、点Rにおける試験体が環境基準値を上回っていた場合は、点Rが属しているC領域に対して不溶化効果を発揮する「水と接触してカルシウムイオンを生じる物質」を第2の不溶化材として選定する。また、図2の点Rにおける試験体が環境基準値を下回り、点P及び点Qにおける試験体が環境基準値を上回っていた場合は、点Pが属しているA領域に対して不溶化効果を発揮する「三価の鉄化合物」と、点Qが属しているB領域に対して不溶化効果を発揮する「水と接触して二価の鉄イオンを生じる物質」の両方を第2の不溶化材として選定する。
そして、第2の混合工程を経た被処理物から少量を採取し、上記と同様の調整工程及び溶出試験工程を行う。再度の溶出試験の結果、いずれの試験体についても環境基準値を下回っていた場合は、当該被処理物は所望の用途に供することができると判断し、不溶化処理を終える。一方、重金属類の溶出基準に不適合と判定された試験体があった場合には、上記の第2の混合工程を繰り返す。
このように第2の不溶化材を選定して第1の混合工程を経た被処理物に添加混合することによって、第1の不溶化材では不十分であった不溶化効果が補われることとなる。すなわち、被処理物の初期のpH及び酸化還元電位において重金属類の不溶化処理がなされたとしても、別のpH及び酸化還元電位においては重金属類が溶出しうるが、本実施形態の不溶化方法によれば、複数のpH及び酸化還元電位における溶出試験を行い、溶出抑制効果が不十分であった場合に第2の不溶化材の添加混合によって不溶化効果が補われる。従って、本実施形態の不溶化方法によれば、第1の不溶化材を添加混合して不溶化処理を行った後に外的又は内的な要因によって被処理物のpH及び酸化還元電位が変化した場合にも、不溶化効果が維持されるので、重金属類の不溶化を確実なものとすることができる。
なお、第2の混合工程を繰り返す必要が生じた場合には、第2の混合工程を経た後、次に処理すべき同類の被処理物に対して、第1の混合工程において第1の不溶化材と第2の不溶化材との両方を混合してもよい。ここで「次に処理すべき」とは、不溶化処理を行うべき被処理物を所定の量に分割してバッチ処理している際の、次のバッチを意味している。また、「同類の」とは、所定の量に分割して処理する必要がある分量の被処理物を処理している際の、前後のバッチの関係性を指している。このように先の被処理物の処理で得られた知見を活かすことによって、第1の混合工程において第1の不溶化材と第2の不溶化材との両方を混合することができれば、その被処理物については一度の混合処理で重金属類の不溶化処理を達成することができる可能性が高くなるので好ましい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、第1の不溶化材及び第2の不溶化材としていずれも「三価の鉄化合物」、「水と接触して二価の鉄イオンを生じる物質」、「水と接触してカルシウムイオンを生じる物質」を用いる例を示したが、用いる物質はこれらに限定されないし、第1の不溶化材と第2の不溶化材とは互いに異なる物質を含んでいてもよい。
本発明は、土壌や廃棄物(石炭灰、焼却灰等)を堤防等の構造物や埋め立ての材料等として再利用するときに利用することができる。
A…三価の鉄化合物が有効な領域、B…水と接触して二価の鉄イオンを生じる物質が有効な領域、C…水と接触してカルシウムイオンを生じる物質が有効な領域、P,Q,R…pHと酸化還元電位の調整目標の例。

Claims (6)

  1. 重金属類を含有する被処理物に第1の不溶化材を混合する第1の混合工程と、
    前記第1の混合工程を経た前記被処理物から採取して調製した複数の試験体を対象として、pH及び酸化還元電位の少なくとも一方が前記試験体間で互いに異なるものとなるように前記試験体のそれぞれの性状を調整する調整工程と、
    前記調整工程を経た前記複数の試験体を対象として前記重金属類の溶出試験を行う溶出試験工程と、
    前記溶出試験の結果、前記重金属類の溶出基準に不適合と判定された試験体があった場合に、当該試験体の性状に応じて、前記重金属類の不溶化に有効なpHの範囲及び酸化還元電位の範囲があらかじめ判明している複数種の不溶化材のうち少なくとも一種の有効な不溶化材を含む第2の不溶化材を、前記第1の混合工程を経た前記被処理物に添加混合する第2の混合工程と、を有する重金属類の不溶化方法。
  2. 前記第2の混合工程を経た後、次に処理すべき同類の被処理物に対して、前記第1の混合工程において前記第1の不溶化材と前記第2の不溶化材との両方を混合する、請求項1記載の重金属類の不溶化方法。
  3. 前記第2の不溶化材は、三価の鉄化合物と、水と接触して二価の鉄イオンを生じる物質とを含む、請求項1又は2記載の重金属類の不溶化方法。
  4. 前記第2の不溶化材は、水と接触してカルシウムイオンを生じる物質を含む、請求項1~3のいずれか一項記載の重金属類の不溶化方法。
  5. 前記調整工程では、前記複数の試験体のpHが3~9、酸化還元電位が-400mV~+400mvとなるように調整する、請求項1~4のいずれか一項記載の重金属類の不溶化方法。
  6. 前記調整工程において、前記複数の試験体の酸化還元電位の調整は、前記複数の試験体を水素又は酸素に接触させることにより行う、請求項1~5のいずれか一項記載の重金属類の不溶化方法。

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