JP5857380B2 - 潜像画像を有する印刷物 - Google Patents

潜像画像を有する印刷物 Download PDF

Info

Publication number
JP5857380B2
JP5857380B2 JP2011285692A JP2011285692A JP5857380B2 JP 5857380 B2 JP5857380 B2 JP 5857380B2 JP 2011285692 A JP2011285692 A JP 2011285692A JP 2011285692 A JP2011285692 A JP 2011285692A JP 5857380 B2 JP5857380 B2 JP 5857380B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
halftone
latent image
color
halftone dot
region
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011285692A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013132862A (ja
Inventor
寿人 長島
寿人 長島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Printing Bureau
Original Assignee
National Printing Bureau
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Printing Bureau filed Critical National Printing Bureau
Priority to JP2011285692A priority Critical patent/JP5857380B2/ja
Publication of JP2013132862A publication Critical patent/JP2013132862A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5857380B2 publication Critical patent/JP5857380B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、紙幣、旅券、有価証券及び各種証明書等の貴重印刷物の偽造防止及び改ざん防止機能が必要とされる潜像画像を有する印刷物に関するものである。
近年、カラー複写機の高機能化及び高画質化に伴い、紙幣及び有価証券等の貴重印刷物の偽造品が出回り、深刻な問題となっている。そのため、従来から貴重印刷物には、複写機では再現することが困難な機能性インキや、網点構成から成る画像が多く用いられている。また、これらの貴重印刷物に印字された文字、消印、割印等を有機溶剤等により消去し、改ざんする行為も多発している。
複写機等による偽造を防止する方法として、複写機では再現することができない機能性インキ等を用いて印刷物を作成する技術があり、機能性インキとしては、赤外線透過吸収ペアインキ、メタメリックペアインキ、蛍光インキ、パールインキ及びパールインキ等がある。しかしながら、前述した機能性インキを用いた印刷物は、真正物と同じ材料が入手された場合、真正物と同様の偽造品が作製されるという問題がある。
そこで、本出願人は、複製が困難な印刷物として、二つの異なる画像を同一平面上に網点画像として均等に配置する場合において、一般の商業印刷で使用されているシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(Bk)の基本インキを用いて、通常光下で観察される可視画像と、赤外線光下で観察される潜像画像を生成した網点印刷物について出願している(例えば、特許文献1参照)。
この印刷物は、一般の商業印刷で使用されているシアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)が赤外線吸収特性を有しないため、これらを重ね合わせた混色ブラックと、紫外線領域から赤外線領域までの全域にわたり吸収を示すカーボンブラックを主体としたブラック(Bk)を用いて可視画像及び潜像画像を形成する網点を配置している。
前述のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(Bk)を用いて所定の配置規則に基づき印刷された網点印刷物は、通常光下で視認することができる可視画像内に、赤外線カメラ等の鑑定装置を用いて観察することができる潜像画像を埋め込むことができる。当該網点印刷物は、特殊なインキを用いる必要がないため、安価に作製することが可能であり、現在の写真製版装置での複製が不可能であることから、偽造防止効果に優れる。
また、各種証明書等に印字されている個人情報等を有機溶剤により消去する改ざん行為に対する対策として、用紙やインキ等に変色効果等を有する材料を改ざん防止のために配合し、当該印刷物が有機溶剤等に接触した場合には、印刷物に使用した用紙やインキ等が変色することによって、改ざんを防止する印刷物がある。
これらの印刷物は、有機溶剤を使用した改ざん行為に対し、インキ及び印刷物を変色させようとすると、印刷インキに含まれる油溶性染料が溶出することで、油溶性染料の色が滲むか、又は印刷画線の色が退色する効果を得るものであるが、一般的な改ざん防止インキでは、大幅な色変化は見込めないため、改ざんの痕跡を顕著に確認することができるものではなかった。
そこで、本出願人は、水不溶性有機溶剤可溶型の油溶性染料と着色顔料を含むインキを作製し、油溶性染料が有する色と補色の関係にある着色顔料を混合し、油溶性染料が有する色と大幅に異なる色の印刷画線を形成することで、有機溶剤と接触させた場合における変色時の色差を、JIS表色系に基づくΔE20以上の色差となる変色効果インキを用いた印刷物を提案している(例えば、特許文献2参照)。
前述の特許文献2の印刷物は、例えば、橙色の油溶性染料を用い、油溶性染料と補色の関係にある青色及び黄色の着色顔料と混合することで、灰色のインキを作製し、このインキにより料額又は個人情報等が印刷される領域の下に地紋模様を形成する。この印刷物に対して、偽造者が料額又は個人情報等を有機溶剤への浸漬又は有機溶剤の滴下により改ざんを試みた場合、有機溶剤に触れた地紋模様部分の油溶性染料が溶出することで、灰色から緑色へと変色するため、その大幅な変色効果により印刷物が改ざんされた痕跡が一目でわかるものである。
特許第3544536号公報 特開2009−149789号公報
しかしながら、特許文献1において開示された技術を用いて作製した印刷物は、カラー複写機を用いて作製した偽造品を、肉眼で真正品と区別することができず、例えば、銀行及び入国管理審査等の各種窓口業務における検査担当者が、赤外線カメラ等の鑑定装置を用いて当該印刷物を照射した際の潜像画像の有無又は変色の有無により、初めて偽造品であることを確認することが可能となる。よって、各種窓口業務では、偽造防止技術に併せた鑑定装置を適宜準備する必要がある。
また、鑑定装置を用いているが、いずれも検査担当者が目視検査により確認することから、偽造品であることを見落とす可能性があるという問題がある。そこで、各種窓口業務では、検査担当者が鑑定装置を用いることなく、目視により瞬時にカラー複写機を用いて複製した偽造品であることを判別することが可能な偽造防止印刷物が求められている。
また、特許文献2に開示されている印刷物は、有機溶剤等を用いた改ざん行為には効果を発揮するものの、複写機等を用いた偽造品に対する効果は全くないため、複製物に印字された情報を改ざんする行為については、防止することができないため、改善が求められている。
さらに、特許文献2の印刷物は、油溶性染料を含む色材により形成した印刷領域が変色することで、印刷物の色自体は変化するものの、印刷画像が変化するものではないため、印刷物を観察する光源等の条件や視感度の差によっては、色変化効果が低減し、改ざんの痕跡を発見することができない可能性があるため、課題が残されていた。
本発明は、上記課題の解決を目的とするものであり、有機溶剤等による改ざんの痕跡が一目でわかるように、有機溶剤への浸漬等による改ざん行為が行われた場合に、地紋模様の色変化にとどまらず、新たな潜像画像が顕像化する潜像画像を有する印刷物を提供することにある。
本発明の潜像画像を有する印刷物は、基材に、少なくとも第1のハーフトーン領域と第2のハーフトーン領域とが隣接するように複数配置されて可視画像と少なくとも一つの潜像画像が形成された印刷物であって、第1のハーフトーン領域は、第1の色材により可視画像を形成する第1の網点部を有し、第2のハーフトーン領域は、油溶性染料を含む第2の色材により第一の潜像画像を形成する第2の網点部と、第2の網点部と隣接する位置に、第2の色材と等色で、かつ、油溶性染料を含有しない第3の色材により、第2の網点部をカムフラージュするための第1の背景部を有し、印刷物を通常光下で観察すると、可視画像が視認され、印刷物を有機溶剤に浸漬するか、又は有機溶剤を滴下すると、第2の色材に含まれる油溶性染料が溶出して色変化することによって、可視画像が形成された領域と少なくとも一部が重複する位置に第一の潜像画像が出現することを特徴とする潜像画像を有する印刷物である。
また、本発明の潜像画像を有する印刷物は、第1のハーフトーン領域に形成された第1の網点部の面積が異なることで階調を有する可視画像が形成され、第2のハーフトーン領域に形成された第2の網点部の面積が異なることで階調を有する第一の潜像画像が形成されたことを特徴とする潜像画像を有する印刷物である。
また、本発明の潜像画像を有する印刷物における第3の色材は、更に特定の条件下において異なる色に変化する機能性材料を含み、印刷物を特定の条件下により観察すると、第2のハーフトーン領域における第1の背景部により形成された第一の潜像画像が視認されることを特徴とする潜像画像を有する印刷物である。
また、本発明の潜像画像を有する印刷物は、第1のハーフトーン領域内に、第3の網点部及び前記第3の網点部と隣接する位置に形成された第2の背景部から成る第3のハーフトーン領域が形成され、第3の網点部は、特定の条件下において異なる色に変化する第2の機能性材料を有する第4の色材により形成されたことで第二の潜像画像を形成し、第2の背景部は、可視光源下において第3の網点部と等色で、かつ、第4の色材が有する第2の機能性材料を有しない第5の色材により形成され、第1の網点部、第2の網点部及び第1の背景部が第4の色材が有する第2の機能性材料を含まないことで、第2の機能性材料を可視化する特定の条件下で観察すると、第3の網点部により形成された第二の潜像画像が更に視認されることを特徴とする潜像画像を有する印刷物である。
また、本発明の潜像画像を有する印刷物は、第3のハーフトーン領域に形成された第3の網点部の面積が異なることで、階調を有する第二の潜像画像が形成されたことを特徴とする潜像画像を有する印刷物である。
また、本発明の潜像画像を有する印刷物における第3の網点部は、特定の条件下において異なる色に変化する第1の機能性材料とは異なる第2の機能性材料を有する第4の色材により形成されたことで第二の潜像画像を形成し、第2の背景部は、可視光源下において第3の網点部と等色で、かつ、第1の機能性材料及び第2の機能性材料を有しない第5の色材により形成され、第1の機能性材料を可視化する特定の条件下で観察すると、第1の背景部により形成された第一の潜像画像が視認され、第2の機能性材料を可視化する特定の条件下で観察すると、第3の網点部で形成された第二の潜像画像が視認されることを特徴とする潜像画像を有する印刷物である。
さらに、本発明の潜像画像を有する印刷物における第3の色材に含まれる第1の機能性材料及び/又は第4の色材に含まれる第2の機能性材料は、赤外線吸収材料、メタメリックペア材料、サーモクロミック材料、発光材料又は光輝性材料から選択されるいずれか1つ又は複数の組み合わせであることを特徴とする潜像画像を有する印刷物である。
本発明の潜像画像を有する印刷物は、有機溶剤への浸漬又は有機溶剤の滴下により、可視画像の一部を形成する領域の網点が変色し、可視画像内に新たな潜像画像が顕像化するため、改ざんの痕跡を瞬時に判別することができることから、改ざん防止機能が向上した印刷物となる。
また、本発明の潜像画像を有する印刷物は、特殊な網点構成により作製しているため、改ざん行為により顕像化された潜像画像を分解することが極めて困難であるため、潜像画像が顕像化した印刷物の再利用を確実に防ぐことができる。
本発明の潜像画像を有する印刷物における網点構成の一例を示す図 可視画像を形成する網点構成及び可視画像を示す図 第一の潜像画像を形成する網点構成及び可視画像上に第一の潜像画像が出現した状態を示す図 第1のハーフトーン領域3に形成する第1の網点部3a及び第2のハーフトーン領域4に形成する第2の網点部4aの形状の一例を示す図 本発明の印刷物の作製に用いられる装置の構成を示すブロック図 本発明の印刷物を作製する方法における手順を示すフローチャート マスクデータを示す模式図 マスク処理を示す模式図 第2の実施形態における印刷物の可視画像を形成する網点構成及び可視画像を示す図 第2の実施形態における第一の潜像画像を形成する網点構成及び可視画像上に第一の潜像画像が出現した状態を示す図 第2の実施形態における印刷物を赤外光下で観察した場合に視認される網点構成及び第一の潜像画像を示す図 第3の実施形態の印刷物における網点構成を示す図 第3の実施形態における可視画像を形成する網点構成及び可視画像を示す図 第3の実施形態における第一の潜像画像を形成する網点構成及び可視画像上に第一の潜像画像が出現した状態を示す図 第3の実施形態における印刷物を赤外光下で観察した場合に視認される網点構成及び第二の潜像画像を示す図
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
(第1の実施形態)
本発明の潜像画像を有する印刷物(以下「印刷物」という。)は、通常光下で観察される画像(以下「可視画像」という。)と、印刷物を有機溶剤等に浸漬するか、又は有機溶剤等を滴下することで、印刷物に印字された情報を消去して新たな情報に書き換えるといった、いわゆる、改ざんを試みた印刷物(以下「改ざん物」という。)に出現する画像(以下「第一の潜像画像」という。)が形成された印刷物であり、可視画像6を形成する第1のハーフトーン領域3と第一の潜像画像7を形成する第2のハーフトーン領域4を重なり合うことなく均等に複数規則的に配置することで、二つの独立した画像を形成する画像要素が同一の領域内に形成されたものである。
本発明の第一の潜像画像7は、水不溶性有機溶剤可溶型の油溶性染料を含有する第2の色材により形成されたものである。本発明に用いる第2の色材に含有する油溶性染料は、水不溶性で、かつ、有機溶剤可溶性であれば公知のものを使用することができるが、好ましくは、ケトン類及びエステル類等の有機溶剤に対して溶解性を示すものである。また、使用する油溶性染料は、一種類でも可能であるが、二種類以上使用することが好ましい。油溶性染料の中には、特定の有機溶剤に溶解しないものがあるため、一種類では公知の有機溶剤の全てに反応させることが困難な場合もあるからである。
油溶性染料は、主として有機溶剤、合成樹脂及び油脂等の着色に用いられる染料であって、多くの場合、単なる溶解現象により目的物を着色する点に特徴がある。また、ここでいう油溶とは、油脂類に溶解するという狭義の意味だけではなく、水以外の多くの有機溶剤に溶解性をもつ意味も含んでいる。すなわち、水溶性基がなく、油脂類や炭化水素類に可溶な染料であり、油脂、ガソリン、セッケン、バター、クツ墨及びプラスチック等の着色に用いられるものである。
また、一般的な油溶性染料は、化学構造により種類が分類されており、黄、オレンジ、褐色及び赤系には、アゾ系の染料が多く、紫、青及び緑系には、アントラキノン系及びフタロシアニン系が多く、黒系には、ニグロシン等アジン系に属するものも含まれている。本発明で用いられている油溶性染料は、どの有機溶剤に溶解するか「染料便覧」(有機合成化学協会編「染料便覧」:丸善、1970年発行)に記載されており、カラーインデックス(C.I.番号)によりその種類を特定できる。一例として、C.I.12715の赤色染料は、アセトン、エタノール及びセロソルブ系等の有機溶剤に溶解するものである。また、C.I.12195の黒色染料は、低級脂肪族アルコール、グリコール、エーテル、エステル及びケトン類の有機溶剤に溶解するものである。
なお、有機溶剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール及びブチルアルコール等といったアルコール類のような極性溶剤、ベンゼン、トルエン及びキシレン等といった芳香族炭化水素類のような非極性溶剤、ガソリン、石油、ベンジン及びミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類、トリクロロエチレン、パークロロエチレン及びクロロホルム等といったハロゲン化炭化水素類、アセトン、アセトニトリル、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン及びジプロピルケトン等といったケトン類、酢酸エチル及び酢酸ブチル等の酢酸エステル類等の公知の有機溶剤が挙げられる。
また、第一の潜像画像を形成する第2の色材は、前述した油溶性染料の他に、有機溶剤に不溶で、かつ、油溶性染料と異なる色の色材を含むことが可能であり、好ましくは、油溶性染料と補色の関係にある色材を添加することで、有機溶剤等により油溶性染料が溶出する一方、有機溶剤に不溶な色材による色変化が明確になる。また、有機溶剤に溶解しなければ特に限定されず、粉末又は水性スラリーやプレスケーキといった水に分散した状態の顔料であってもよく、有機顔料及び無機顔料等は、公知の顔料を色材として使用することができる。例えば、グラビアインキであれば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、パーマネントレッド、ジオキサジン系、キナクリドン系、アゾ系金属錯体及びスレンブルー等の顔料を使用することができる。なお、後述する実施形態においては、第2の網点部4aを形成する第2の色材に油溶性染料と、当該油溶性染料と異なる色で、かつ、有機溶剤に不溶な色材を含む構成により説明する。
また、本発明の網点構成を形成する色材としては、公知のグラビアインキ、スクリーンインキ、プロセスインキ及びインクジェットプリンタ用インク等を使用することができる。また、基材2にそれぞれの領域を形成する方法としては、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式、インクジェットプリンタ及びレーザプリンタ等、特に限定されるものではない。
図1は、本発明の印刷物における基本的な網点構成の拡大図を示したものであり、第1のハーフトーン領域3に形成された第1の網点部3aと、改ざん物9において第一の潜像画像7を形成する第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4aと、第2の網点部4aを形成する色材と等色で、かつ、油溶性染料を含まない第3の色材によって形成された第1の背景部4bを少なくとも備えている。
本発明の印刷物1において観察される可視画像と第一の潜像画像7について、図2及び図3を用いて説明する。図2(a)は、印刷物1を通常光下で観察した場合に観察される網点構成を拡大したものであり、第1のハーフトーン領域3に形成された第1の網点部3aは、可視画像6を形成する網点として観察される。一方、第2のハーフトーン領域4は、油溶性染料を含む第2の色材により形成された第2の網点部4aと、第2の網点部4aと等色で、かつ、油溶性染料を含まない第3の色材により第1の背景部4bが形成されているため、印刷物1を通常光下で観察した場合に、第2のハーフトーン領域4内において第2の網点部4aと第1の背景部4bに色差が生じないことから、第一の潜像画像7を形成する第2の網点部4aが観察されない状態である。よって、印刷物1を通常光下で観察した場合、図2(b)に示すように、第1のハーフトーン領域3の第1の網点部3aにより形成された可視画像6が観察される。
図3(a)は、印刷物を有機溶剤等に浸漬するか、又は有機溶剤等を滴下した改ざん物9における網点構成の拡大図を示すものであり、第1のハーフトーン領域3に形成された第1の網点部3aは、油溶性染料を含まない、いわゆる、一般的な色材である第1の色材によって形成されているため、図2(a)に示した印刷物1を通常光下で観察した際と同様に、有機溶剤等に浸漬するか、又は有機溶剤等を滴下しても、第1の網点部3aは色変化しないことから、可視画像6を形成する第1の網点部3aとして観察されるが、第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4aは、有機溶剤等に浸漬するか、又は有機溶剤等を滴下した場合に、第2の網点部4aを形成する第2の色材に含まれる油溶性染料が溶出し、第2の網点部4aの色が第2の色材に含まれる有機溶剤に不溶な色材の色に変化するため、第2のハーフトーン領域4における第1の背景部4bと異なる色へと変化することで、第2の網点部4aと第1の背景部4bに色差が発生する。
よって、図3(b)に示すように、第1のハーフトーン領域3における第1の網点部3aにより形成された可視画像6と、第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4aにより形成された第一の潜像画像7が観察された状態である。なお、本発明の潜像画像を有する印刷物の特徴として、印刷物1の印刷領域内において可視画像6を形成する第1のハーフトーン領域3と、第一の潜像画像7を形成する第2のハーフトーン領域4を重なり合うことなく均等に配置したことで、同一の領域内に形成された可視画像6上に第一の潜像画像7が出現するものである。
本発明における等色とは、色差ΔEが6未満のことを指し、色差とは、CIE1976L表色系のΔEで定義するものとする。CIE1976L表色系とは、CIE(国際照明委員会)が1976年に推奨した色空間のことであり、日本工業規格では、JIS Z 8729に規定されている。色差は、ある二色の色空間中における距離のことであり、CIE1976L表色系での色差は、二色のLの差、aの差、及びbの差をそれぞれ二乗して加え、その平方根をとることで求めることができる。
一般的に、色差ΔEが6前後の場合においては、異なった色として視認される可能性がある。ただし、前述のとおり、本発明においては、第1のハーフトーン領域3及び第2のハーフトーン領域4は、肉眼ではそれぞれの領域を区別して視認することができない微細な網点により構成している。そのことから、前述のとおり、色差ΔEが6未満であれば、通常光下において、肉眼で第2の網点部4aを視認することができず、かつ、第2の網点部4a及び第1の背景部4bは、等色として視認される。
一方、油溶性染料を含む第2の色材によって形成された第2の網点部4aは、有機溶剤等に浸漬するか、又は有機溶剤等を滴下した際に第1の背景部4bと異なる色へと変化した状態として視認される。なお、本発明における異なる色とは、色差ΔEが6以上のことを指し、色差ΔEが6未満の場合においては、前述のとおり等色として視認される。
また、本発明の印刷物1における第1の網点部3a及び第2の網点部4aは、図4(a)のように、各々のハーフトーン領域の中心に形成された例で説明しているが、図4(b)のように、各々のハーフトーン領域の中心を除く外側に形成することや、各々のハーフトーン領域を二つ以上に分割して形成することも可能であり、これらの配置としても同様の効果を得る。
なお、前述した第1の実施形態では、第1のハーフトーン領域3よりも第2のハーフトーン領域4が小さい状態の例で説明したが、第1のハーフトーン領域3と第2のハーフトーン領域4の大きさが同一であってもよく、第1のハーフトーン領域3よりも第2のハーフトーン領域4が大きい状態であっても同様の効果を得る。ただし、第2のハーフトーン領域4が第1のハーフトーン領域3よりも大きい場合は、可視画像6内に等色の第2の網点部4a及び第1の背景部4bにより形成された第2のハーフトーン領域4が強調され、可視画像6のノイズとなるため、好ましくは、第1のハーフトーン領域3>第2のハーフトーン領域4である。
次に、本実施の形態による印刷物1の作製に用いられる装置について、その構成を示した図5を用いて説明する。この作製装置は、入力部401、処理部402、記憶部403及び出力部404を備えている。入力部401は、本実施の形態の印刷物1の作製に必要なデータを入力し、処理部402に与える。処理部402は、与えられたデータを記憶部403に格納するとともに、印刷物1の作製に必要な演算処理及び画像処理等を行い、得られた結果を出力部404に与える。出力部404は、処理部402から与えられたデータを外部の印刷機等(図示せず)により出力する。
このような作製装置を用いて、本実施の形態による印刷物1を作製する方法について、その手順を示した図6を用いて説明する。図6におけるステップS11として、第1のハーフトーン領域3が形成する可視画像に対応する原画像として、第1の画像データである可視画像データ処理部402が作製するか、又は外部から可視画像データとして入力部401より入力し、処理部402を介して網点化された可視画像を記憶部403に格納する。次に、ステップS12として、記憶部403に格納された可視画像を基に、第1のハーフトーン領域3内に形成する第1の網点部3aの位置、形状及び寸法を、処理部402を介して記憶部に格納する。
次に、ステップS13として、第2のハーフトーン領域4が形成する第一の潜像画像に対応する原画像として、第2の画像データである潜像画像データを処理部402が作製するか、又は外部から潜像画像データとして入力部401より入力し、処理部402を介して網点化された第一の潜像画像を記憶部403に格納する。ステップS14として第2のハーフトーン領域4のみをマスク処理したマスクデータを処理部402によって作製するか、又は外部からマスクデータとして入力部401より入力し、処理部402を介して記憶部403に格納する。
次に、ステップS15として、記憶部403に格納された網点化された第一の潜像画像データ及びマスクデータを基に、第2のハーフトーン領域4内に形成する第2の網点部4a及び第1の背景部4bの位置、形状及び寸法を、処理部402を介して記憶部に格納する。
次に、ステップS16として、前述までのステップで記憶部403に格納された第1のハーフトーン領域3のデータと、第2のハーフトーン領域4のデータを合成し、ステップS17により、外部の印刷機等の出力部404から出力して網点印刷物が完成する。前述のステップS16により、二つのデータを合成する方法としては、二つのデータに共通する位置として、少なくとも任意の三つの点を各々のハーフトーン領域データにおけるそれぞれの基準点に設定することで、二つのデータを合成する方法を用いる。なお、基準点の設定方法については、特開2011−140217号において記載されている方法を用いることで設定することができる。
図7は、マスクデータを示す模式図である。マスクデータは、複数の第2のハーフトーン領域4へ第一の潜像画像7を配置する際に用いる画像である。マスクデータは、あらかじめ作製しておいたフォーマットデータを用いて生成される。なお、フォーマットデータとは、本発明における印刷物1を構成している複数の第1のハーフトーン領域3及び複数のハーフトーン領域4を、どのように配置するかを設定することで、フォーマットデータが生成される。フォーマットデータは、複数の画素によって構成される。このフォーマットデータにおける複数の第1のハーフトーン領域3の配置箇所の画素を白画素とし、複数の第2のハーフトーン領域4の配置箇所の画素のみを黒画素とすることで、マスクデータが生成される。マスクデータは、各原画像データの基準点と対応する基準点(P1、P2及びP3)を有する。
マスク処理とは、潜像画像データに対して、マスクデータの白画素に対応する部分を全て白画素に置き換える処理を施すことであり、第2の画像データのうち、複数の第1のハーフトーン領域に相当する部分を全て白色に置き換えるものである。それにより、第2の画像データは、複数の第2のハーフトーン領域4内に配置された第2の網点部4aのみから成る画像へと変換され、第1の画像データ及び第2の画像データを形成する複数の各網点を、重なり合うことなく印刷領域内へ均等配置することが可能となる。
図8は、一例として第一の潜像画像7を生成するためのマスク処理を示す模式図である。マスク処理においては、処理部402へ入力した図8(a)に示すマスクデータの基準点(P1、P2及びP3)と、図8(b)に示すマスクデータと対応する潜像画像データの基準点(P1´、P2´及びP3´)とを合わせる。二つの画像を合わせた際に、同じ位置となる二つの画素のうち、マスクデータを構成する画素が黒画素ならば、潜像画像データを構成する画素を残す。また、マスクデータを構成する画素が白画素ならば、潜像画像データを白画素とする。マスク処理を行うことで、潜像画像データのうち、第2のハーフトーン領域4に相当しない部分である、第1のハーフトーン領域3を形成する画素は、白画素となる。よって、図8(c)に示す複数の第2のハーフトーン領域4から成る潜像画像データが生成される。
(第2の実施形態)
第2の実施形態における印刷物について説明する。なお、第2の実施形態における印刷物については、第1の実施形態の変形例であるため、同一な構成は省略し、異なる構成のみ説明する。第2の実施形態における印刷物は、第1のハーフトーン領域3及び第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4aの構成は第1の実施形態と同様であるが、第2のハーフトーン領域4における第1の背景部4bを形成する色材に、特定の観察条件のみにより観察される第1の機能性材料を含有させることで、印刷物に改ざん行為を行った改ざん物9でなくとも、印刷物1を特定の観察条件で観察することで、第一の潜像画像7を観察するものである。なお、第2の実施形態で用いる第1の機能性材料については、赤外領域で吸収特性を有する機能性材料を用いた。
赤外領域で吸収特性を有する機能性材料としては、インジウム系化合物、ジルコニウム系化合物、アントラキノン系化合物、ニッケル酸化チタン焼成物、金属錯体、ITO及びカーボンブラック等があげられる。
図9(a)は、第2の実施形態における印刷物1を通常光下で観察した場合に観察される網点構成を拡大したものであり、第1のハーフトーン領域3に形成された第1の網点部3aは、赤外領域において吸収特性を有しない一般的な色材である第1の色材によって形成されているため、可視画像6を形成する網点として観察される。一方、第2のハーフトーン領域4は、第2の網点部4aに形成される第2の色材と等色で、かつ、赤外領域において吸収特性を有する色材により、第1の背景部4bを形成しているため、第2のハーフトーン領域4内において第2の網点部4aと第1の背景部4bに色差が生じないことから、第一の潜像画像7を形成する第2の網点部4aが観察されない状態である。よって、印刷物1を通常光下で観察した場合、図9(b)に示すように、第1のハーフトーン領域3の第1の網点部3aにより形成された可視画像6が観察される。
図10(a)は、印刷物1を有機溶剤等に浸漬するか、又は有機溶剤等を滴下した改ざん物9における網点構成の拡大図を示すものであり、第1のハーフトーン領域3に形成された第1の網点部3aは、有機溶剤等に浸漬するか、又は有機溶剤等を滴下しても色変化しないため、図9(a)に示した印刷物1を通常光下で観察した際と同様に、可視画像6を形成する網点として観察されるが、第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4aは、有機溶剤等に浸漬するか、又は有機溶剤等を滴下した場合に第2の網点部4aを形成する第2の色材に含まれる油溶性染料が溶出することで、第2の網点部4aの色が第2の色材に含まれる有機溶剤に不溶な色材の色に変化するため、第2のハーフトーン領域4における第1の背景部4bと異なる色へと変化することから、第2の網点部4aと第1の背景部4bに色差が発生する。よって、図10(b)に示すように、第1のハーフトーン領域3における第1の網点部3aと、第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4aを重なり合うことなく均等に配置したことで、同一の領域内に形成された可視画像6上に第一の潜像画像7が出現する。
図11(a)は、印刷物1を赤外線カメラ等の判別具を介して観察(以下「赤外光下」という。)した場合に観察される網点構成を拡大したものであり、第1のハーフトーン領域3に形成された第1の網点部3aは、赤外領域において吸収特性を有さない一般的な色材によって形成されているため、赤外光下において観察されない。また、第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4aについては、油溶性染料は含むものの、赤外領域で吸収特性を有さない色材で構成されていることから、第1の網点部3aと同様に赤外光下において観察されない。一方、第2のハーフトーン領域4における第1の背景部4bは、赤外領域において吸収特性を有する第1の機能性材料を含む第3の色材によって形成されているため、赤外領域において吸収特性を有する色材によって形成された第1の背景部4bにより、第一の潜像画像7のみが観察される。なお、第2の実施形態における赤外光下で観察される第一の潜像画像7については、印刷物1を観察した場合として説明したが、有機溶剤等へ浸漬するか、又は有機溶剤等の滴下を行った改ざん物9を赤外光下で観察した場合であっても、第1の背景部4bに含まれる赤外領域において吸収する色材は溶出しないため、同様の第一の潜像画像7を観察することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態における印刷物1について説明する。なお、第3の実施形態における印刷物1については、第1の実施形態の変形例であるため、同一な構成は省略し、異なる構成のみ説明する。第1の実施形態においては、第1のハーフトーン領域3と第2のハーフトーン領域4により、可視画像6と第一の潜像画像7が形成されたものであるが、第3の実施形態では、更に第3のハーフトーン領域5を設けることで、第1の実施形態における改ざん物9に出現する第1の潜像画像7と異なる第二の潜像画像8が形成されたものである。
図12は、第3の実施形態における網点構成の一例を拡大したものであり、第1のハーフトーン領域3に形成された第1の網点部3aと、改ざん物9において第一の潜像画像7を形成する第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4a及び第1の背景部4bに加え、第3のハーフトーン領域5における第3の網点部5a及び第2の背景部5bが形成されたものである。第3のハーフトーン領域5における第3の網点部5aについては、第2の実施形態における第1の背景部4bを形成した赤外領域で吸収特性を有する第1の機能性材料を含有する色材により形成し、第2の背景部5bは、赤外領域で吸収特性を有さず、かつ、第3の網点部5aと等色の色材により形成している。なお、前述した第2の実施形態では、第1の背景部4bが赤外領域で吸収特性を有する第1の機能性材料を含んだ第3の色材により形成された例で説明したが、本第3の実施形態においては、第1の背景部4bを形成する第3の色材には第1の機能性材料を含んではいない。
図13(a)は、第3の実施形態における印刷物1を通常光下で観察した場合に観察される網点構成を拡大したものであり、第1のハーフトーン領域3に形成された第1の網点部3aは、赤外領域で吸収特性を有しない、いわゆる、一般的な色材によって形成されているため、可視画像6を形成する第1の網点部3aとして観察される。一方、第2のハーフトーン領域4は、油溶性染料を含み、かつ、赤外領域において吸収特性を有しない第2の色材により形成された第2の網点部4aと、第2の網点部4aと等色で、油溶性染料を含まず、かつ、赤外領域で吸収特性を有しない色材により形成された第1の背景部4bを有しているため、第2のハーフトーン領域4内において第2の網点部4aと第1の背景部4bに色差が生じないことから、第一の潜像画像7を形成する第2の網点部4aが観察されない状態である。
また、第3のハーフトーン領域5は、赤外領域において吸収特性を有し、かつ、油溶性染料を含まない第4の色材により形成された第3の網点部5aと、第3の網点部5aと等色で、油溶性染料を含まず、かつ、赤外領域において吸収特性を有しない色材によって形成された第2の背景部5bを有していることから、赤外光下においては、異なる色として観察されるものの、可視光下では、等色として観察されるため、第3のハーフトーン領域5内において第3の網点部5a及び第2の背景部5bに色差が生じない。よって、第二の潜像画像8を形成する第3の網点部5aが観察されず、図13(b)に示すように、第1のハーフトーン領域3の第1の網点部3aにより形成された可視画像6が観察される。
図14(a)は、印刷物1を有機溶剤等に浸漬するか、又は有機溶剤等を滴下した改ざん物9における網点構成の拡大図を示すものであり、第1のハーフトーン領域3に形成された第1の網点部3aは、有機溶剤等に浸漬するか、又は有機溶剤等を滴下しても色変化しないため、図13(a)に示した印刷物1を通常光下で観察した際と同様に、可視画像6を形成する網点として観察されるが、第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4aは、有機溶剤等に浸漬するか、又は有機溶剤等を滴下した場合に、第2の網点部4aを形成する色材に含まれる油溶性染料が溶出することで、第2の網点部4aの色が変化するため、第2のハーフトーン領域4における第1の背景部4bと異なる色へと変化することから、第2の網点部4aと第1の背景部4bに色差が発生する。
また、第3のハーフトーン領域5の第3の網点部5a及び第2の背景部5bを形成している色材は、有機溶剤等へ浸漬するか、又は有機溶剤等を滴下した際に色変化する色材ではないため、第3のハーフトーン領域5内において第3の網点部5a及び第2の背景部5bに色差が生じないことから、第二の潜像画像8を形成する第3の網点部5aが観察されない状態である。よって、図14(b)に示すように、第1のハーフトーン領域3における第1の網点部3aによって形成された可視画像6と、第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4aによって形成された第一の潜像画像7が観察された状態であり、これら二つの画像は、印刷領域内に形成する第1のハーフトーン領域3と第2のハーフトーン領域4を重なり合うことなく均等に配置したことで、同一の領域内に形成された可視画像6上に第一の潜像画像7が出現する。
図15(a)は、印刷物1を赤外光下で観察した場合の網点構成の拡大図を示すものであり、第1のハーフトーン領域3及び第2のハーフトーン領域4に形成された第1の網点部3a、第2の網点部4a及び第1の背景部4bは、赤外領域において吸収特性を有する機能性材料を含まない色材により形成されているため、赤外光下において観察されない。
また、第3のハーフトーン領域5に形成された第3の網点部5aは、赤外領域において吸収特性を有する第1の機能性材料を含む色材により形成されているため、赤外光下において暗い色(黒色)として観察されるが、第2の背景部5bは、赤外領域において吸収特性を有しない色材により形成されているため、観察されない状態である。よって、図14(b)に示す第一の潜像画像7と全く異なる第二の潜像画像8が出現する。
第3の実施形態では、第3のハーフトーン領域5における第3の網点部5a及び第2の背景部5bを形成する色材を赤外線透過、吸収ペアの色材により形成したが、二つの領域を形成する色材として、メタメリックペアの色材、サーモクロミック、蛍光等の発光特性を有する色材及び光輝性材料を含む色材を用い、これらの材料が有する変色効果が出現する各々の観察条件により観察することで、第二の潜像画像8を出現させることも可能である。また、第3の網点部5aについては、第3のハーフトーン領域5の中心に形成された例で説明したが、図4に示す第1の網点部3a及び第2の網点部4aの変形例と同様に、第3のハーフトーン領域5の中心を除く外側に形成することや、各々の第3のハーフトーン領域5を二つ以上に分割して形成することも可能であり、これらの配置としても同様の効果を得る。
第2の実施形態では、第2のハーフトーン領域4における第1の背景部4bを形成する第3の色材に第1の機能性材料を含んだ形態として説明し、また、第3の実施形態では、第3の色材には、機能性材料は含まず、新たに形成した第3のハーフトーン領域5における第3の網点部5aを形成する第4の色材に第1の機能性材料を含んだ形態として説明したところであるが、それぞれが単独で異なる機能性材料を用いても良いが、第3の色材及び第4の色材両方に機能性材料を含ませても良い。
第3の色材と第4の色材両方に機能性材料を含有させる場合には、第3の色材に含有する第1の機能性材料と第4の色材に含有する第2の機能性材料は異なる機能性材料とする必要がある。異なる機能性材料を用いないと、機能性材料を可視化する特定の条件下で観察しても、第一の潜像画像7と第二の潜像画像8の両方が重複して視認されてしまい、それぞれの潜像画像を明確に視認することができないからである。
このように、第3の色材に第1の機能性材料を含有して第1の背景部4bを形成し、第4の色材に、第1の機能性材料とは異なる第2の機能性材料を含有して第3の網点部5aを形成することで、印刷物1は、通常光下で観察すると可視画像6が視認され、有機溶剤に浸漬するか、又は有機溶剤を滴下すると、第2の網点部4aで形成された第一の潜像画像7が、可視画像6が形成された領域と少なくとも一部が重複する位置に出現し、また、第1の機能性材料を可視化する特定の条件下で観察すると、第1の背景部4bで形成された第一の潜像画像7が視認され、さらに、第2の機能性材料を可視化する特定の条件下で観察すると、第3の網点部5aで形成された第二の潜像画像8を視認することができることとなる。
また、第3の実施形態では、第1のハーフトーン領域3内に第3のハーフトーン領域5を形成した例で説明したが、第1のハーフトーン領域3と第2のハーフトーン領域4に跨る位置や、独立した領域として第1のハーフトーン領域3及び第2のハーフトーン領域4と隣接する位置に形成することも可能である。
また、第3の実施形態では、第3のハーフトーン領域5を追加することで、第一の潜像画像7と異なる第二の潜像画像8を出現させる例を説明したが、更に、第4のハーフトーン領域、第nのハーフトーン領域(nは、5以上の整数)・・・と、印刷物上に新たなハーフトーン領域を形成することができる可能な範囲内で新たな潜像画像を追加することができる。
1 印刷物
2 基材
3 第1のハーフトーン領域
3a 第1の網点部
4 第2のハーフトーン領域
4a 第2の網点部
4b 第1の背景部
5 第3のハーフトーン領域
5a 第3の網点部
5b 第2の背景部
6 可視画像
7 第一の潜像画像
8 第二の潜像画像
9 改ざん物

Claims (7)

  1. 基材に、少なくとも第1のハーフトーン領域と第2のハーフトーン領域とが隣接するように複数配置されて可視画像と少なくとも一つの潜像画像が形成された印刷物であって、
    前記第1のハーフトーン領域は、第1の色材により前記可視画像を形成する第1の網点部を有し、
    前記第2のハーフトーン領域は、油溶性染料を含む第2の色材により第一の潜像画像を形成する第2の網点部と、前記第2の網点部と隣接する位置に、前記第2の色材と等色で、かつ、前記油溶性染料を含有しない第3の色材により、前記第2の網点部をカムフラージュするための第1の背景部を有し、
    前記第2のハーフトーン領域に形成された前記第2の網点部の面積が異なることで階調を有する前記第一の潜像画像が形成され、
    前記印刷物を通常光下で観察すると、前記可視画像が視認され、
    前記印刷物を有機溶剤に浸漬するか、又は有機溶剤を滴下すると、前記第2の色材に含まれる前記油溶性染料が溶出して色変化することによって、前記可視画像が形成された領域と少なくとも一部が重複する位置に前記階調を有する前記第一の潜像画像が出現することを特徴とする潜像画像を有する印刷物。
  2. 前記第1のハーフトーン領域に形成された前記第1の網点部の面積が異なることで階調を有する前記可視画像が形成されたことを特徴とする請求項1記載の潜像画像を有する印刷物。
  3. 前記第3の色材は、更に特定の条件下おいて異なる色に変化する第1の機能性材料を含み、
    前記印刷物を前記特定の条件下により観察すると、前記第2のハーフトーン領域における前記第1の背景部により形成された前記第一の潜像画像が視認されることを特徴とする請求項1又は2記載の潜像画像を有する印刷物。
  4. 前記第1のハーフトーン領域内に、第3の網点部及び前記第3の網点部と隣接する位置に形成された第2の背景部から成る第3のハーフトーン領域が形成され、
    前記第3の網点部は、特定の条件下において異なる色に変化する第2の機能性材料を有する第4の色材により形成されたことで第二の潜像画像を形成し、
    前記第2の背景部は、可視光源下において前記第3の網点部と等色で、かつ、前記第4の色材が有する第2の機能性材料を有しない第5の色材により形成され、
    前記第1の網点部、前記第2の網点部及び前記第1の背景部が前記第4の色材が有する第2の機能性材料を含まないことで、前記第2の機能性材料を可視化する特定の条件下で観察すると、前記第3の網点部により形成された前記第二の潜像画像が更に視認されることを特徴とする請求項1又は2記載の潜像画像を有する印刷物。
  5. 前記第3のハーフトーン領域に形成された前記第3の網点部の面積が異なることで、階調を有する前記第二の潜像画像が形成されたことを特徴とする請求項4記載の潜像画像を有する印刷物。
  6. 前記第3の色材は、更に特定の条件下おいて異なる色に変化する第1の機能性材料を含み、
    前記第3の網点部は、特定の条件下において異なる色に変化する前記第1の機能性材料とは異なる第2の機能性材料を有する第4の色材により形成されたことで第二の潜像画像を形成し、
    前記第2の背景部は、可視光源下において前記第3の網点部と等色で、かつ、前記第1の機能性材料及び前記第2の機能性材料を有しない第5の色材により形成され、
    前記第1の機能性材料を可視化する特定の条件下で観察すると、前記第1の背景部により形成された前記第一の潜像画像が視認され、前記第2の機能性材料を可視化する特定の条件下で観察すると、前記第3の網点部で形成された前記第二の潜像画像が視認されることを特徴とする請求項4又は5記載の潜像画像を有する印刷物。
  7. 前記第3の色材に含まれる前記第1の機能性材料及び/又は前記第4の色材に含まれる前記第2の機能性材料は、赤外線吸収材料、メタメリックペア材料、サーモクロミック材料、発光材料又は光輝性材料から選択されるいずれか一つ又は複数の組み合わせであることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の潜像画像を有する印刷物。
JP2011285692A 2011-12-27 2011-12-27 潜像画像を有する印刷物 Expired - Fee Related JP5857380B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011285692A JP5857380B2 (ja) 2011-12-27 2011-12-27 潜像画像を有する印刷物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011285692A JP5857380B2 (ja) 2011-12-27 2011-12-27 潜像画像を有する印刷物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013132862A JP2013132862A (ja) 2013-07-08
JP5857380B2 true JP5857380B2 (ja) 2016-02-10

Family

ID=48909899

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011285692A Expired - Fee Related JP5857380B2 (ja) 2011-12-27 2011-12-27 潜像画像を有する印刷物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5857380B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6300092B2 (ja) * 2014-06-13 2018-03-28 独立行政法人 国立印刷局 偽造防止形成体
CN104260570A (zh) * 2014-08-29 2015-01-07 深圳市冠为印务有限公司 一种新型可视化的防伪印刷方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009149788A (ja) * 2007-12-21 2009-07-09 National Printing Bureau 色彩可変インキ及びその印刷物
JP5190623B2 (ja) * 2009-03-25 2013-04-24 独立行政法人 国立印刷局 潜像画像を有する印刷物
JP5732693B2 (ja) * 2009-12-08 2015-06-10 独立行政法人 国立印刷局 網点印刷物の作製方法及び網点印刷物の作製用ソフトウェアを格納した記録媒体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013132862A (ja) 2013-07-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1997642B1 (en) Methodology for substrate fluorescent non-overlapping dot design patterns for embedding information in printed documents
EP1997644B1 (en) Substrate fluorescent non-overlapping dot patterns for embedding information in printed documents
KR101527987B1 (ko) 보안 장치 및 방법
EP1961577B1 (en) Substrate fluorescende mask and creation method
WO2003037643A1 (en) Network point printed matter and printing method
JP5315580B2 (ja) 潜像印刷物
EP2277712B1 (en) Method for including a double layer security mark in digital document data and document to be printed
JP5206920B2 (ja) 潜像印刷物
JP2008035296A (ja) 網点印刷物並びにその作製方法及び印刷方法
JP4863118B2 (ja) 画像形成体
JP5857380B2 (ja) 潜像画像を有する印刷物
JP6369812B2 (ja) 透過模様印刷物
JP5721101B2 (ja) 網点印刷物及びその作製方法
JP5589162B2 (ja) 複写防止インキ及び複写防止印刷物
JP5062553B2 (ja) 網点印刷物
JP6120084B2 (ja) 透過模様印刷物
JP5707595B2 (ja) 潜像画像を有する印刷物及びその作製方法
JP5533484B2 (ja) 潜像画像を有する印刷物
JP5750699B2 (ja) 潜像画像を有する印刷物
HRP20080466A2 (hr) Infracrveni tisak sa procesnim bojama
JP6263810B2 (ja) 透過模様印刷物
JP5971717B2 (ja) 画像形成体
JP5652785B2 (ja) 偽造防止印刷物
JP2008143117A (ja) 複写防止印刷物
JP5835708B2 (ja) 画像表示体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140527

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150327

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150421

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150601

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151126

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151126

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5857380

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees