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Description

本発明は、紙幣、旅券、有価証券、カード及び貴重印刷物等の偽造防止及び改ざん防止機能が必要とされる画像表示体に関するものである。
近年、カラー複写機の高機能化及び高画質化に伴い、紙幣及び有価証券等の貴重印刷物の偽造品が出回り、深刻な問題となっている。そのため、従来から貴重印刷物には、複写機では再現することが困難な機能性インキや、網点構成から成る画像が用いられている。また、印刷物が真正なものであるか否かを判別する方法として、可視画像とは異なる潜像画像が形成された印刷物が多数存在する。
複製が困難な網点構成から成る印刷物として、本出願人は、一般の商業印刷で使用されているシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(Bk)の基本インキを用いて、通常光下で観察される可視画像と、赤外線光下で観察される潜像画像を同一平面上に網点画像として生成した網点印刷物について出願している(例えば、特許文献1参照)。
この印刷物は、一般の商業印刷で使用されている赤外線吸収特性を有しないシアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)と、これらを重ね合わせた混色ブラックと、紫外線領域から赤外線領域までの全域にわたり吸収を示すカーボンブラックを主体としたブラック(Bk)を用いて可視画像及び潜像画像を形成する網点を配置している。
前述のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(Bk)を用いて所定の配置規則に基づき印刷された網点印刷物は、通常光下で視認することができる可視画像内に、赤外線カメラ等の鑑定装置を用いて観察することができる潜像画像を埋め込むことができる。当該網点印刷物は、特殊なインキを用いる必要がないため、安価に作製することが可能であり、現在の写真製版装置での複製が不可能であることから、偽造防止効果に優れる。
また、本出願人は、潜像画像を形成する機能性材料として、サーモクロミックインキを用い、第1のハーフトーン領域及び第2のハーフトーン領域に形成する背景部をサーモクロミックインキによって形成し、第1のハーフトーン領域の画像部を、サーモクロミックインキが低温状態のときの色と略等色のインキによって形成し、第2のハーフトーン領域の画像部を、サーモクロミックインキが高温状態のときの色と略等色のインキにより形成することで、低温状態では第2のハーフトーン領域の画像部のみが、他の領域の色と異なることで第1の画像として可視化され、高温状態では、第1のハーフトーン領域の画像部のみが他の領域の色と異なることで第2の画像として可視化される画像表示体について出願している(例えば、特許文献2参照)。
特許第3544536号公報 特許第4844891号公報
しかしながら、特許文献1に開示された印刷物は、カラー複写機を用いて複製された偽造品を肉眼で真正品と区別することができず、例えば、銀行及び入国管理審査等の各種窓口業務における検査担当者が、赤外線カメラ等の鑑定装置を用いて当該印刷物を照射した際の、潜像画像の有無又は変色の有無により、初めて偽造品であることを確認することが可能となる。よって、各種窓口業務では、偽造防止技術に併せた鑑定装置を適宜準備する必要がある。
また、特許文献2に開示されている印刷物は、真正品の印刷物に対する偽造抵抗力は極めて高いものの、第1の画像から第2の画像へスイッチさせるために、印刷物を所定の温度にしなければならない。そのため、瞬時に真正品であるか偽造品であるかを判別することができないという課題が残されていた。
本発明は、上記課題の解決を目的とするものであり、磁性粒子と非磁性粒子の二成分を液体中に分散、封入したマイクロカプセルを含む色材を用いて二つの異なる画像が形成された画像表示体に関するものであり、基材の表側又は裏側から外部磁場を印加することにより、マイクロカプセル内に含まれる磁性粒子及び非磁性粒子の両成分における上下位置を移動させ、第1の画像と第2の画像を出現させる、いわゆる、画像のスイッチ効果を有する画像表示体に関する発明である。
本発明の画像表示体は、基材の少なくとも一部に、第1のハーフトーン領域と第2のハーフトーン領域とが隣接するように複数配置されて第1の画像及び第2の画像を有する画像領域が形成された画像表示体であって、第1のハーフトーン領域は、第1の画像の一部のみを形成する第1の網点部又は第1の背景部のいずれか一方と、第1の画像及び第2の画像の一部を形成する第1の網点部又は第1の背景部の他方とを有し、第2のハーフトーン領域は、第2の画像の一部のみを形成する第2の網点部又は第2の背景部のいずれか一方と、第1の画像及び第2の画像の一部を形成する第2の網点部又は第2の背景部の他方とを有し、第1のハーフトーン領域における第1の網点部及び第1の背景部のいずれか一方は、第1の色を有する非磁性粒子と第2の色を有する磁性粒子の二成分が液体中に分散したマイクロカプセルを含む第1の色材により形成され、他方は、マイクロカプセルを含有せず、かつ、第2の色を有する第2の色材により形成され、第2のハーフトーン領域における第2の網点部及び第2の背景部のいずれか一方は、第1の色材により形成され、他方は、マイクロカプセルを含有せず、かつ、第1の色を有する第3の色材により形成され、画像領域を基材の裏側から外部磁場を印加した状態で観察すると、第1のハーフトーン領域における第1の網点部及び第1の背景部のいずれか一方及び第2のハーフトーン領域における第2の網点部及び第2の背景部のいずれか一方を形成した第1の色材に含まれるマイクロカプセル内の非磁性粒子が第1の色材の上部に、磁性粒子が下部に移動することで第1の色として観察され、第3の色材により形成された第2のハーフトーン領域における他方と等色として観察されることで、第2の色材により形成された第1の画像が出現し、画像領域を基材の表側から外部磁場を印加した状態で観察すると、第1のハーフトーン領域における第1の網点部及び第1の背景部のいずれか一方を形成した第1の色材に含まれるマイクロカプセル内の磁性粒子が第1の色材の上部に、非磁性粒子が下部に移動することで第2の色として観察され、第2の色材により形成された第1のハーフトーン領域における他方と等色として観察されることで、第3の色材により形成された第2の画像が出現することを特徴とする画像表示体である。
また、本発明の画像表示体は、第1のハーフトーン領域内に形成された第1の網点部が形成される面積を異ならせることで階調を有する第1の画像が形成され、第2のハーフトーン領域内に形成された第2の網点部が形成される面積を異ならせることで階調を有する第2の画像が形成されたことを特徴とする画像表示体である。
さらに、本発明の画像表示体は、基材上の画像領域以外の少なくとも一部に、画像領域に外部磁場を印加する永久磁石が形成された判別領域を更に有し、判別領域を画像領域の表側又は裏側に重ねることで、第1の画像又は第2の画像が視認されることを特徴とする画像形成体である。
本発明の画像表示体は、基材の表側から外部磁場を印加することにより、第1の色材に含まれるマイクロカプセル内の磁性粒子及び非磁性粒子の上下位置を移動させ、磁性粒子をマイクロカプセルの上部に、非磁性粒子をマイクロカプセルの下部に移動させることで、第1の画像の一部を形成する網点が磁性粒子の色へと変色し、第1の画像が全く異なる第2の画像にスイッチする。さらに、基材の裏側から外部磁場を印加することで、第1の色材に含まれるマイクロカプセル内の磁性粒子及び非磁性粒子の上下位置を移動させ、非磁性粒子をマイクロカプセルの上部に、磁性粒子をマイクロカプセルの下部に移動させることで、第2の画像が消失して第1の画像が出現するという画像のスイッチ効果を有する画像表示体を提供することができる。よって、鑑定装置等の専用の装置を用いることなく、簡易的な判別具を用いることで、目視により瞬時に真偽判別を行うことが可能であるという効果を奏する。
また、本発明の画像表示体は、特殊な網点構成により作製することにより、二つの画像を同一領域内に重なるようなデザインで作製することが可能であり、デザイン上の制約を受けることがなく、更には、偽造品を作製するために、各インキにより作製した領域を解析し、各版面を作製することは極めて困難であることから、格別の偽造防止効果を奏する。
本発明の画像表示体における網点構成の一例を示す図 第1の画像を形成する網点構成及び第1の画像を示す図 第2の画像を形成する網点構成及び第2の画像を示す図 第1の網点部及び第2の網点部の形状の一例を示す図 第1の実施の形態における画像表示体の作製に用いられる装置の構成を示すブロック図 第1の実施の形態における画像表示体を作製する方法における手順を示すフローチャート マスクデータを示す模式図 マスク処理を示す模式図 第2の実施の形態における画像表示体の第1の画像を形成する網点構成及び第1の画像を示す図 第2の実施の形態における画像表示体の第2の画像を形成する網点構成及び第2の画像を示す図
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
(第1の実施の形態)
本発明の画像表示体は、二つの画像を形成するための独立した二つのハーフトーン領域を重なり合うことなく均等に複数規則的に配置することで、二つの異なる画像が形成された画像表示体であり、基材の裏側から外部磁場を印加した状態で観察される画像(以下「第1の画像」という。)と、基材の表側から外部磁場を印加した状態で観察される画像(以下「第2の画像」という。)が形成された画像表示体である。
二つの画像が観察される原理については、第1の画像及び第2の画像を形成する第1のハーフトーン領域及び第2のハーフトーン領域内に形成された網点を基材の表側か、又は裏側から外部磁場を印加すると網点が変色し、第1のハーフトーン領域及び第2のハーフトーン領域におけるいずれか一方の網点がそれぞれのハーフトーン領域内の背景領域と等色となることで、第1の画像が全く異なる第2の画像にスイッチするというものである。
前述の網点の形成に用いる材料は、可視光領域において吸収特性に優れた色(以下「第2の色」という。)で、かつ、磁気特性を有する磁性粒子と、可視光領域において光反射性に優れた色(以下「第1の色」という)で、かつ、磁気特性を有しない非磁性粒子を液体中に分散、封入したマイクロカプセルを含む色材を用いればよく、例えば、特許第2873825号公報に記載の材料等を用いることができる。
なお、第2の色は基材と異なる色であり、第1の色は基材と同じ色か、基材及び第2の色と異なる色である。
前述したマイクロカプセルを含む色材は、基材上に形成された状態で、基材の裏側から外部磁場を印加すると、マイクロカプセル内に含まれる磁性粒子がマイクロカプセル内の下側に移動し、光反射性に優れる非磁性粒子がマイクロカプセル内の上側に移動して、基材の表側に非磁性粒子が集まることから、光反射性に優れた第1の色として観察される。一方、基材の表側から外部磁場を印加すると、基材の裏側から外部磁場を印加したときにマイクロカプセル内の下側に移動した磁性粒子が、マイクロカプセル内の上側に移動するため、可視光領域で吸収性に優れる第2の色に変色して観察される。さらに、基材の裏側から外部磁場を印加することで、非磁性粒子をマイクロカプセル内の上側に移動させることができ、これらの変色効果は繰り返し利用可能である。
磁性粒子としては、平均粒径0.3〜0.5μm程度の黒色酸化鉄粉を例示することができ、磁性粒子の大きさ及び形状は、マイクロカプセルの大きさによって適宜設定する必要があるが、これらは、特に限定されない。
外部磁場を印加する判別具については、多極着磁した永久磁石であればよく、永久磁石を独立した判別具として用いる方法や、基材上における第1の画像及び第2の画像が形成された領域(以下「画像領域」という。)と異なる少なくとも一部の領域に判別領域を形成することができる。
なお、画像表示体上に判別領域を形成した場合、画像表示体を折りたたむ等で画像領域と判別領域を接触又は接近させ、画像領域内に形成されたマイクロカプセル内の磁性粒子及び非磁性粒子の両成分の上下位置を移動させることで、画像のスイッチ効果により真偽判別を可能とする構成とすることができる。
本発明の画像表示体1は、基材2上の少なくとも一部の領域(以下「画像領域」という。)に、二つのハーフトーン領域を隣接して複数配置することにより、二つの画像が形成されたものである。以下、それぞれのハーフトーン領域の構成から説明する。
図1は、第1の実施の形態における画像表示体1の網点構成の一部を拡大した図であり、第1のハーフトーン領域3と第2のハーフトーン領域4により、第1の画像と第2の画像が形成された画像表示体1である。第1のハーフトーン領域3は、第1の画像のみを形成する第1の網点部3a又は第1の背景部3bのいずれか一方と、第1の画像及び第2の画像の一部を形成する第1の網点部3a又は第1の背景部3bの他方とが形成される。第1の網点部3a又は第1の背景部3bのいずれか一方は、前述した非磁性粒子と磁性粒子を分散して封入したマイクロカプセルを含む色材(以下「第1の色材」という。)により形成され、他方は、マイクロカプセルを含まず、かつ、第2の色を有する色材(以下「第2の色材」という。)で形成されている。
なお、以下、第1の実施の形態においては、一例として、第1のハーフトーン領域3は、第1の画像の一部及び第2の画像を形成する第1の網点部3aと、第1の網点部3aと隣接する位置に第1の画像のみを形成する第1の背景部3bとが形成され、第1の網点部3aは、第2の色材により形成され、第1の背景部3bは、第1の色材により形成されている場合について説明する。
第2のハーフトーン領域4には、第2の画像の一部のみを形成する第2の網点部4a又は第2の背景部4bのいずれか一方と、第1の画像を形成する際に、前述した第2の画像の一部のみを形成した第2の網点部4a又は第2の背景部4bのいずれか一方をカムフラージュする第2の網点部4a又は第2の背景部4bの他方とが形成されている。第2の網点部4a又は第2の背景部4bのいずれか一方は、第1の色材により形成されている。また、他方は、マイクロカプセルは含まず、かつ、第1の色を有する色材(以下「第3の色材」という。)で形成されているか、又は、本発明の画像表示体1に用いる基材2の色が第1の色と等色の場合、基材2上に形成した他方の第2の網点部4a又は第2の背景部4bは、基材2の表面の色によりカムフラージュされた状態であるため、第3の色材により形成しなくても同様の効果を得る。なお、以下、第1の実施の形態においては、一例として、第2のハーフトーン領域4は、第2の画像の一部のみを形成する第2の網点部4aと、第2の網点部4aと隣接する位置に、第2の網点部4aをカムフラージュする第2の背景部4bが形成され、第2の網点部4aは、第1の色材により形成され、第2の背景部4bは、第3の色材により形成されている場合について説明する。
なお、第1のハーフトーン領域3及び第2のハーフトーン領域4に形成する網点については、本発明の特徴点の一つであるマイクロカプセルを含んだ第1の色材を形成可能な方法であれば、公知の印刷方法等を用いて形成することが可能であり、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式、インクジェットプリンタ及びレーザプリンタ等、特に限定されるものではない。
第1のハーフトーン領域3における第1の背景部3bは、前述したマイクロカプセルを含む第1の色材によって形成されており、図1は、第1の色材内に含まれる非磁性粒子がマイクロカプセルの上部に集まった状態であるため、非磁性粒子の色である第1の色で観察される。
次に、本発明の画像表示体1において観察される第1の画像5と第2の画像6について、図2及び図3を用いて説明する。図2(a)は、第1の色材に含まれるマイクロカプセル内の非磁性粒子がマイクロカプセルの上部に集まった状態で画像表示体1を観察した際の網点構成を拡大したものであり、第1のハーフトーン領域3に形成された第1の背景部3bは、第1の色材によって形成されており、移動した非磁性粒子の色である第1の色で観察される。また、第1の網点部3aは、第2の色を有する第2の色材により形成されているため、第1のハーフトーン領域3内において異なる色として観察される。
一方、第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4aは、第1の色材によって形成され、第2の背景部4bは、磁性粒子を含まず、かつ、第1の色を有する第3の色材によって形成されているため、第2のハーフトーン領域4内において等色として観察される。よって、第1のハーフトーン領域3における第1の背景部3bと第2のハーフトーン領域4は、第1の色として観察され、第1の網点部3aは、第2の色として観察されることから、図2(b)に示すように、第1の網点部3aにより形成された第1の画像5が観察される。なお、図2においては、第1の網点部3aの面積が同一であることから、形成される第1の画像5は階調を有しない画像であるが、複数の第1の網点部3aの面積を各々異ならせることにより階調を有する第1の画像5を形成することも可能である。
図3(a)は、第1の色材に含まれるマイクロカプセル内の磁性粒子がマイクロカプセルの上部に集まった状態で画像表示体1を観察した際の網点構成を拡大したものであり、第1のハーフトーン領域3における第1の背景部3bは、第1の色材に含まれるマイクロカプセル内の磁性粒子と非磁性粒子の上下位置が入れ替わることで第1の色から第2の色へと変化し、第1の網点部3aと等色として観察されるため、第1のハーフトーン領域3内において等色として観察される。
一方、第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4aは、前述した第1の色材により形成されているため、第1のハーフトーン領域3における第1の背景部3bと同様に、第1の色から第2の色へと変色し、第2の背景部4bは、磁性粒子を含まず、かつ、第1の色を有する第3の色材により形成されているため、図2(a)に示した状態と同様に、第1の色で観察される。よって、第2の網点部4aと第1の背景部3bが第2の色へと変化することで、画像領域7内で色の変化が生じ、図3(b)に示すように、第1の画像5と全く異なる第2の画像6を観察することができる。なお、第1の画像5と同様に、複数の第2の網点部4aの面積を各々異ならせることにより階調を有する第2の画像6を形成することも可能である。
本発明における等色とは、色差ΔEが6未満のことを指し、色差とは、CIE1976L表色系のΔEで定義するものとする。CIE1976L表色系とは、CIE(国際照明委員会)が1976年に推奨した色空間のことであり、日本工業規格では、JIS Z 8729に規定されている。色差は、ある二色の色空間中における距離のことであり、CIE1976L表色系での色差は、二色のLの差、aの差、及びbの差をそれぞれ二乗して加え、その平方根をとることで求めることができる。
一般的に、色差ΔEが6前後の場合においては、異なった色として視認される可能性がある。ただし、前述のとおり、本発明においては、第1のハーフトーン領域3及び第2のハーフトーン領域4は、肉眼ではそれぞれの領域を区別して視認することができない微細な網点により構成している。そのことから、前述のとおり、色差ΔEが6未満であれば、基材2の裏側から外部磁場を印加した画像表示体1に形成された第1のハーフトーン領域3における第1の背景部3bと、第2のハーフトーン領域4に形成された第2の網点部4a及び第2の背景部4bを区別することができず、等色として視認される。また、基材の表側から外部磁場を印加した画像表示体1に形成された第2の網点部4aと、第1のハーフトーン領域3における第1の網点部3a及び第1の背景部3bについても、ΔEが6未満であれば、等色として視認される。
一方、第1の色材によって形成された網点を基材2の表裏側から外部磁場を印加することによって、磁性粒子及び非磁性粒子の両成分の上下位置を移動させることで網点の色が第1の色から第2の色へ、或いは第2の色から第1の色へ変色する第1の色及び第2の色の関係は、異なる色の関係であり、本発明において異なる色とは、色差ΔEが6以上のことを指している。
また、本発明の画像表示体1における第1の網点部3a及び第2の網点部4aは、図4(a)のように、各々のハーフトーン領域の中心に形成された例で説明しているが、図4(b)のように、各々のハーフトーン領域の中心を除く外側に形成することや、図4(c)のように、各々のハーフトーン領域を二つ以上に分割して形成することも可能であり、これらの配置としても同様の効果が得られる。また、第1のハーフトーン領域3と第2のハーフトーン領域4の網点部と背景部の配置は異なってもよく、例えば、第1のハーフトーン領域3は、図4(a)に示す構成で、第2のハーフトーン領域4は、図4(b)に示す構成としてもよい。
次に、本実施の形態による画像表示体1の作製に用いられる装置について、その構成を示した図5を用いて説明する。この作製装置は、入力部401、処理部402、記憶部403及び出力部404を備えている。入力部401は、本実施の形態の画像表示体1の作製に必要なデータを入力し、処理部402に与える。処理部402は、与えられたデータを記憶部403に格納するとともに、画像表示体1の作製に必要な演算処理及び画像処理等を行い、得られた結果を出力部404に与える。出力部404は、処理部402から与えられたデータを、外部の、例えば、図示されてない印刷機等に出力する。
このような作製装置を用いて、本実施の形態による画像表示体1を作製する方法について、その手順を示した図6を用いて説明する。図6におけるステップS11として、第1のハーフトーン領域3が形成する第1の画像に対応する原画として、第1の画像データを処理部402が作製するか、又は外部から第1の画像データとして入力部401より入力し、処理部402を介して網点化された第1の画像を記憶部403に格納する。次に、ステップS12として、記憶部403に格納された第1の画像データを基に、第1のハーフトーン領域3内に形成する第1の網点部3aの位置、形状及び寸法を、処理部402を介して記憶部に格納する。
次に、ステップS13として、第2のハーフトーン領域4が形成する第2の画像に対応する第2の画像データを処理部402が作製するか、又は外部から第2の画像データとして入力部401より入力し、処理部402を介して網点化された第2の画像を記憶部403に格納する。ステップS14として第2のハーフトーン領域4のみをマスク処理したマスクデータを処理部402によって作製し、記憶部403に格納する。ステップS15として、記憶部403に格納された第2の画像データ及びマスク画像を基に、第2のハーフトーン領域4内に形成する第2の網点部4aの位置、形状及び寸法を、処理部402を介して記憶部に格納する。
次に、ステップS16として、前述までのステップで記憶部403に格納された第1のハーフトーン領域3のデータと、第2のハーフトーン領域4のデータを処理部402が合成し、ステップS17により、出力部404から外部の印刷機等に出力して画像表示体1が完成する。前述のステップS16により、二つのデータを合成する方法としては、二つのデータに共通する位置として、少なくとも任意の三つの点を、各々のハーフトーン領域データにおけるそれぞれの基準点に設定することで、二つのデータを合成する方法を用いる。なお、基準点の設定方法についての詳細は、特開2011−140217号において記載されていることから、省略する。
図7は、マスクデータを示す模式図である。マスクデータは、複数の第2のハーフトーン領域4へ、第1の画像5を配置する際に用いる画像である。マスクデータは、あらかじめ作製しておいた、フォーマットデータを用いて生成される。フォーマットデータとは、本発明における画像表示体1を生成する、複数の第1のハーフトーン領域3及び複数の第2のハーフトーン領域4を、どのように配置するかを設計することで、フォーマットデータが生成される。フォーマットデータは、複数の画素によって構成される。フォーマットデータにおける、複数の第1のハーフトーン領域3の配置箇所の画素を白画素とし、複数の第2のハーフトーン領域4の配置箇所の画素のみを黒画素とすることで、マスクデータが生成される。マスクデータは、各原画像データの基準点と対応する基準点(P1、P2及びP3)を有する。
マスク処理とは、第1の画像データに対して、マスクデータの白画素に対応する部分を全て白画素に置き換える処理を施すことで、第2の画像データのうち、複数の第1のハーフトーン領域3に相当する部分を全て白色に置き換えるものである。それにより、第2の画像データは、複数の第2のハーフトーン領域4内に配置された第2の網点部4aのみから成る画像へと変換され、第1の画像データ及び第2の画像データを形成する複数の各網点を、重なり合うことなく画像領域7内へ均等配置することが可能となる。
図8は、一例として第1の画像5を生成する、マスク処理を示す模式図である。マスク処理においては、処理部402へ入力した図8(a)に示すマスクデータの基準点(P1、P2及びP3)と、図8(b)に示す、マスクデータと対応する第1の画像データの基準点(P1´、P2´及びP3´)とを合わせる。二つの画像を合わせた際に、同じ位置となる二つの画素のうち、マスクデータを構成する画素が黒画素ならば、第1の画像データを構成する画素を残す。また、マスクデータを構成する画素が白画素ならば、第1の画像データを白画素とする。マスク処理を行うことで、第1の画像データのうち、第2のハーフトーン領域4に相当しない部分、すなわち、第1のハーフトーン領域3を形成する画素は白画素となる。よって、図8(c)に示す、複数の第2のハーフトーン領域4から成る第1の画像データが生成される。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態における画像表示体1は、前述した第1の実施の形態と同様に、基材2上に第1の画像5と第2の画像6を有する画像領域7が形成されており、さらに、第1の実施の形態と異なる構成として、画像領域7に外部磁場を印加する判別領域8を少なくとも有する自己認証型の画像表示体1である。
図9(a)は、第2の実施の形態における画像表示体1を示すものであり、基材2の一部に第1の画像5と第2の画像6を有する画像領域7と、基材2を折り曲げるか、又は他の券種と接触させることで画像領域7に磁界を与える判別領域8が形成されたものである。
判別領域8は、基材2の少なくとも1部の領域に多極着磁した永久磁石を塗布することで形成されている。なお、一つの画像表示体1における判別領域8により画像領域7に形成された第1の画像5を第2の画像6にスイッチさせるため、画像領域7と判別領域8は所定の距離をもって配置されることが好ましい。なお、ここでいう「所定の距離」とは、画像表示体1を折り曲げて、画像領域7と判別領域8が重なり合うことができる程度であればよく、5mm以上であれば問題はない。また、判別領域8の配置については、微粉末の永久磁石を基材2内部に含ませる方法、印刷により施す方法及びゴム製等の永久磁石シートを貼付する等、公知の方法を用いることができる。
第2の実施の形態における画像領域7は、第1のハーフトーン領域3における第1の背景部3bを第1の実施の形態と同様に、マイクロカプセルを含む第1の色材によって形成し、第1の網点部3aは、マイクロカプセルを含まず、かつ、第2の色を有する第2の色材によって形成している。
同様に、第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4aは、第1の色材により形成され、第2の背景部4bは、マイクロカプセルを含まず、かつ、第1の色を有する第3の色材によって形成されたものである。
この画像表示体1を基材の裏側から外部磁場を印加した状態として観察した際の網点構成を示すのが図9(b)であり、第1のハーフトーン領域3に形成された第1の背景部3bは、第1の色として観察される。一方、第1の網点部3aは、磁性粒子を含まず、かつ、第2の色を有する第2の色材によって形成されているため、第1のハーフトーン領域3において第1の網点部3a及び第1の背景部3bに高いΔEが発生し、第1の網点部3aが、第1の画像5を形成する網点として観察される。
また、第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4aは、第1の色材により形成され、第2の背景部4bは、磁性粒子を含まず、かつ、第1の色を有する第3の色材によって形成されているため、第2のハーフトーン領域4内における第2の網点部4aと第2の背景部4bに色差ΔEが発生しないため、等色として観察される。よって、第1のハーフトーン領域3における第1の網点部3aによって形成された第1の画像5が観察される。
図10(b)は、第2の実施の形態における画像表示体1に形成された判別領域8により、基材の表側から画像領域7を印加した画像表示体1における網点構成を示すものであり、第1のハーフトーン領域3における第1の背景部3b及び第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4aは、第1の色材により形成されているため、第1の色材に含まれる磁性粒子と非磁性粒子の上下位置が入れ替わることで、第1の色から第2の色へと変色した状態である。よって、第1のハーフトーン領域3における第1の網点部3a及び第1の背景部3bと、第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4aは、第2の色として観察されることから、第1のハーフトーン領域3内において等色として観察される。
一方、第2のハーフトーン領域4における第2の背景部4bは、磁性粒子を含まず、かつ、第1の色を有する第3の色材によって形成されているため、外部磁場を印加しても色変化することなく、第1の色として観察されることから、第1のハーフトーン領域3における第1の網点部3a、第1の背景部3b及び第2のハーフトーン領域4における第2の網点部4aとの間に、高いΔEが発生し、図10(a)に示すような第1の画像5と全く異なる第2の画像6を観察することができる。
よって、第2の実施の形態における画像表示体1は、基材2上に形成された判別領域8を基材2の表側又は裏側から画像領域7に接触又は接近させることによって、第1の色材に含まれる磁性粒子及び非磁性粒子の両成分の上下位置が移動することで、白色から黒色へ、或いは黒色から白色へ変色させることができることから、特別な判別具を用いることなく、画像表示体1の真偽判別を行うことができる。
1 画像表示体
2 基材
3 第1のハーフトーン領域
3a 第1の網点部
3b 第1の背景部
4 第2のハーフトーン領域
4a 第2の網点部
4b 第2の背景部
5 第1の画像
6 第2の画像
7 画像領域
8 判別領域

Claims (3)

  1. 基材の少なくとも一部に、第1のハーフトーン領域と第2のハーフトーン領域とが隣接するように複数配置されて第1の画像及び第2の画像を有する画像領域が形成された画像表示体であって、
    前記第1のハーフトーン領域は、前記第1の画像の一部のみを形成する第1の網点部又は第1の背景部のいずれか一方と、前記第1の画像及び前記第2の画像の一部を形成する前記第1の網点部又は前記第1の背景部の他方とを有し、
    前記第2のハーフトーン領域は、前記第2の画像の一部のみを形成する第2の網点部又は第2の背景部のいずれか一方と、前記第1の画像及び前記第2の画像の一部を形成する前記第2の網点部又は前記第2の背景部の他方とを有し、
    前記第1のハーフトーン領域における前記第1の網点部及び前記第1の背景部のいずれか一方は、第1の色を有する非磁性粒子と第2の色を有する磁性粒子が液体中に分散したマイクロカプセルを含む第1の色材により形成され、他方は、前記マイクロカプセルを含有せず、かつ、前記第2の色を有する第2の色材により形成され、
    前記第2のハーフトーン領域における前記第2の網点部及び前記第2の背景部のいずれか一方は、前記第1の色材により形成され、他方は、前記マイクロカプセルを含有せず、かつ、前記第1の色を有する第3の色材により形成され、
    前記基材に対して磁場を表側又は裏側から印加した状態で前記画像領域を観察すると、前記マイクロカプセル内の非磁性粒子と磁性粒子が上下移動をすることにより、各粒子に伴う色で表現された前記第1の画像及び前記第2の画像がスイッチして視認できることを特徴とする画像表示体。
  2. 前記第1のハーフトーン領域内において、前記第1の網点部が形成される面積を異ならせることで階調を有する前記第1の画像が形成され、前記第2のハーフトーン領域内において、前記第2の網点部が形成される面積を異ならせることで階調を有する前記第2の画像が形成されたことを特徴とする請求項1記載の画像表示体。
  3. 前記画像表示体は、前記基材上の画像領域以外の少なくとも一部に、前記画像領域に外部磁場を印加する永久磁石が形成された判別領域を更に有し、
    前記判別領域を前記画像領域の表側又は裏側に重ねることで、前記第1の画像又は前記第2の画像が視認されることを特徴とする請求項1又は2記載の画像表示体。
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