JP5856943B2 - 撮像システム - Google Patents
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Description
また、通常の可視領域の照明光の照明のもとで撮像する通常光観察モード又は白色光観察(WLI観察)モードの他に、可視領域の照明光とは異なり、狭帯域の照明光のもとで撮像を行う狭帯域光観察(NBI観察)モード等の特殊光観察を行うことができる撮像システムも実用化されている。
例えばWO2010/131620号公報の第1の従来例には、狭帯域光観察を行うための面順次方式の撮像装置が開示されている。狭帯域光観察では、血管を高いコントラストで観察するために、血液に強く吸収され、かつ粘膜表層で強く反射・散乱される、という特長を併せ持つ光の利用に着目し、青色狭帯域光と緑色狭帯域光とを順次、生体組織に照射し、その反射光を撮像することにより、粘膜表層の毛細血管と深部の太い血管とのコントラストを強調表示する。
また、特開2001−8097号公報の第2の従来例は、光源からの光照射に基づき被観察体内を撮像する撮像素子と、露光量情報を入力し上記光源からの光出力を可変制御する光量制御回路と、上記撮像素子から出力された画像信号のゲインを可変制御するゲイン制御回路と、上記画像信号に対して輪郭強調を行うディテール回路と、上記露光量情報により画像明るさが不足する状態で上記光量制御回路による光出力が上限値にあることを検出したとき、上記ゲイン制御回路により画像信号のゲインを上げると共に、このゲイン値の上昇に比例して上記ディテール回路のディテール量を下げるように制御する制御回路とを設けた内視鏡システムを開示している。
また、第2の従来例は、露光量が不足する場合には、ゲイン可変手段により画像信号のゲインを所定の明るさの画像が得られるようにゲインを増大すると共に、ゲイン値の上昇に比例してディテール回路のディテール量を下げるように制御するが、通常の照明光の場合に適用することを想定しているため、通常の照明光よりも光量がかなり小さい狭帯域光の場合にはノイズが顕著になってしまう欠点がある。
本発明は上述した点に鑑みてなされたもので、照明光を切り替えて観察を行う場合に対応でき、ノイズが目立つことなく、観察し易い画質の画像を生成することができる撮像システムを提供することを目的とする。
(第1の実施形態)
図1に示す本発明の第1の実施形態の撮像システム1は、患者9の体腔内に挿入され、体腔内の患部等を被写体として内視鏡検査を行う内視鏡2と、内視鏡2に複数の狭帯域光からなる照明光と、複数の広帯域光からなる照明光とを選択的に供給する光源装置3と、内視鏡2に搭載された撮像手段に対する信号処理を行う信号処理手段としてのビデオプロセッサ4と、このビデオプロセッサ4から出力される画像信号をカラー表示するカラー表示手段としてのカラーモニタ5とを有する。
内視鏡2は、体腔内に挿入し易いように細長で可撓性を有する挿入部11と、この挿入部11の後端(基端)に設けられた操作部12と、操作部12の側部などから延出されたユニバーサルケーブル13とを有する。挿入部11、操作部12、ユニバーサルケーブル13内には、照明光を伝達するライトガイド14が挿通され、ライトガイド14の端部に設けた光源用コネクタ15は、第1の狭帯域及び第2の狭帯域を備えた第1の照明帯域の照明光と、複数の広帯域を備えた第2の照明帯域の照明光とを切り替えて照明を行う照明手段を構成する光源装置3に着脱自在に接続される。
そして、以下に説明するように光源装置3は、通常光観察モード又は白色光の観察モード(WLI観察モード又はWLIモード)に対応した広帯域R、G、B面順次照明光と、狭帯域光観察モード(NBI観察モード又はNMIモード)に対応した狭帯域G、B面順次照明光との一方の面順次照明光をライトガイド14に供給する。
なお、狭帯域のG、B面順次光は、広帯域R、G、B面順次照明光に比較すると、照明光量が不足しがちになり易く、かつ狭帯域のG面順次光に比較して狭帯域のB面順次光の照明光量がライトガイド14での伝送ロスなどにより小さくなり易いため、本実施形態においては、以下に説明するように狭帯域G面順次光の1回の照明に対して狭帯域B面順次光の照明を2回行う構成にしている。2回の内の一方がB1の照明光、他方がB2の照明光となる。
また、照明光量が不足する場合には、撮像信号レベルを変更する信号レベル可変手段としてのAGC回路47によるゲインにより撮像信号レベルを上げ、明るい画像を生成することができるようにしている。但し、面順次照明のため、動きのある被写体を撮像した場合には、合成画像に輪郭ずれ等が発生する。そのため、後述するように本実施形態においては観察モード、輪郭強調レベル、2つの画像を合成する場合の合成係数(又は合成比率)に応じて、AGC回路47によるゲインの最大値を制限し、ノイズが目立たない画像がえられるようにする。
なお、センサは、絞り駆動回路22Bを介することなく、直接制御回路32に出力しても良い。
回転カラーフィルタ24は、内周側周方向と外周側周方向に沿ってそれぞれ配置された複数の扇形状のフィルタを備え、第1の照明帯域の照明光と、第2の照明帯域の照明光を生成する第1フィルタ群6と第2フィルタ群7を有する。
外周側の円環部分には、赤(R)、緑(G)、青(B)の広帯域の光をそれぞれ透過するR,G,Bフィルタ7R,7G,7Bが配置され、第2フィルた群7を構成する。
図2はGフィルタ6G、Bフィルタ6B1及び6B2の透過特性を示す。具体的には、Gフィルタ6Gは、540nmを中心とした530−550nmの狭帯域のG光を透過し、Bフィルタ6B1及び6B2は、例えば415nmを中心とした400−430nmの狭帯域のB光(B1光、B2光ともいう)を透過する。なお、図2においては、符号フィルタ6G、6B1、6B2を記載しないで、その透過特性をG,B1(B2)で示している。
なお、本明細書においては、図2に示す狭帯域の透過特性を有するGフィルタ6G、Bフィルタ6B1及び6B2の透過特性をG,B1(B2)で示し、図3に示す広帯域の透過特性を有するR,G,Bフィルタ7R,7G,7Bの透過特性、又はそれらの光をRw,Gw,Bwで示す。
回転カラーフィルタ24を回転するモータ23は、ラック28に取り付けてあり、このラック28は移動用モータ29の回転軸に取り付けたピニオンギア29aと噛合している。図1の実線で示す状態においては、回転カラーフィルタ24の外周側のR,G,Bフィルタ7R,7G,7B(Rw,Gw,Bw)が照明光路中に配置されたWLI観察モードに対応した照明を行う状態であり、モータ23により回転されることにより、広帯域のR、G、B面順次照明光がライトガイド14の入射端面に入射される。
回転カラーフィルタ24が2点鎖線で示すように上方側に移動すると、内周側のB2、G、B1フィルタ6B2,6G、6B1が照明光路中に配置される状態に切り替わる。この状態においては、モータ23により回転カラーフィルタ24が回転されることにより、狭帯域のB2,G、B1面順次照明光がライトガイド14の入射端面に入射される。
ライトガイド14により伝送された照明光は、挿入部11の先端部33の照明窓に臨むライトガイド先端面から照明光として体腔内に出射され、体腔内の患部等の被写体を照明する。照明された被写体は、照明窓に隣接して設けられた観察窓に取り付けられた対物レンズ系34によってその結像位置に、撮像面が配置された撮像素子としての例えば電荷結像素子(CCDと略記)35に結像される。照明手段により照明された被写体を撮像する撮像手段は、被写体の光学像を結ぶ対物レンズ系34と、その結像位置に配置されたCCD35とにより構成される。
なお、光源装置3が広帯域のR、G、B面順次照明光を生成している場合においては、CCD35は、広帯域のR、G、B面順次照明光のもとでそれぞれ光電変換した信号としての広帯域のR、G、Bの撮像信号を面順次で出力する。
一方、光源装置3が狭帯域のB2、G、B1面順次照明光を生成している場合においては、CCD35は、狭帯域のB2、G、B1面順次照明光のもとでそれぞれ光電変換した信号としての狭帯域のB2、G、B1の撮像信号を面順次で出力する。
CCD35から面順次で出力される撮像信号(具体的には、Rw、Gw、Bwの撮像信号又はB2、G、B1の撮像信号)は、ビデオプロセッサ4内のアナログ処理部42に入力され、アナログ処理部42を構成するプリアンプにより低雑音指数で増幅された後、相関2重サンプリング回路(CDS回路と略記)によりベースバンドの信号成分が抽出される。CDS回路を経たベースバンドの信号は、A/D変換回路43によりデジタルの撮像信号に変換された後、面順次の撮像信号を同時化する同時化制御部44と撮像画像の明るさを算出する明るさ算出部45とに入力される。
一方、B2、G、B1の撮像信号が入力された場合には、同時化制御部44は、R,G,Bメモリ46a,46b,46cにそれぞれB2、G、B1の撮像信号を格納する。
同時化制御部44は、広帯域のRw、Gw、Bwの撮像信号又は狭帯域のB2、G、B1の撮像信号を同時化メモリ46に格納した後、同時に読み出し、各フレームにおける撮像信号のレベルを変更する信号レベル可変手段としての自動利得制御回路(AGC回路と略記)47に出力する。
明るさ算出部45は、WLI観察モードの場合には、広帯域のRw、Gw、Bw面順次照明光でのRw、Gw、Bwの撮像信号に対応した1種類の明るさを算出する。
一方、NBI観察モードの場合には、所定の時間(例えば1フレーム期間、又は2フレーム期間)内において、狭帯域のB2、G、B1面順次照明光におけるB2、G照明光と、B1、G照明光とでそれぞれ撮像した撮像信号から2組の明るさ(第1の明るさと第2の明るさ)を算出する。
なお、本実施形態においては、B1照明光をマスター照明光、B2照明光をマスター照明光に対して補助的(従属的)に使用されるスレーブ照明光とも呼ぶ。また、B1、G照明光をマスター側照明光、B2、G照明光をスレーブ側照明光とも呼ぶ。
NBI観察モードにおいては、AGC回路47の出力信号は、切替スイッチ52を介して(B1照明光の下でCCD35により撮像された)B1撮像画像と(B2照明光の下でCCD35により撮像された)B2撮像画像の合成を行う合成処理部51に入力される。合成処理部51は、合成により生成した画像信号を後段側に出力する。
WLI観察モードにおいては、制御回路32によって切替スイッチ52は接点a、bにおける設定aが選択されるように切替が制御される。この場合には、AGC回路47の出力信号は、合成処理部51をバイパスしてノイズ低減処理を行うノイズリダクション(NRと略記)回路53に入力される。
NR回路53から出力される画像信号は、拡大/縮小回路54に入力され、拡大/縮小回路54は、入力される画像信号の画像サイズを電気的な信号処理により拡大(電子ズーム)又は縮小を行う。拡大/縮小回路54の出力信号は、強調回路55に入力され、強調回路55は、輪郭を強調する輪郭強調処理を行う。
強調回路55から出力される画像信号は、マトリクス処理部56に入力され、マトリクス処理部56は、1フレーム期間単位でマトリクス処理によりカラーモニタ5のRGBチャンネルに出力するR,G,B画像の画像信号Ro,Go,Boを生成する。
このマトリクス処理部56により生成された画像信号Ro,Go,Boは、D/A変換回路57によりアナログの画像信号Rt′,Gt′,Bt′に変換された後、カラーモニタ5のRGBチャンネルに入力される。
カラーモニタ5には、WLI観察モードにおいては、WLI観察画像がカラー表示され、NBI観察モードにおいては、NBI観察画像がカラーないしは擬似カラーで表示される。
術者等のユーザは、合成比率設定部58aから合成比率a′を設定する操作を行うことにより、制御回路32を介して合成比率a′が合成処理部51に入力され、合成処理部51は実際に合成する際に使用する合成比率acとしてこの合成比率a′を用いて2組の撮像信号(B1撮像信号とB2撮像信号)の合成処理を行う。
合成処理部51は、ユーザにより設定される合成比率a′を優先して使用するが、この設定が行われない場合には、明るさ算出部45により算出される後述する合成比率aを合成比率acとして合成処理を行う。
また、明るさ算出部45は、算出した明るさの目標の明るさからの差分を、調光制御部59に出力する。調光制御部59は、入力された差分の信号を調光信号として光源装置3の絞り駆動回路22Bに出力し、絞り駆動回路22Bは調光信号に基づいて絞り22Aを通過する光量を調整する。
また、ビデオプロセッサ4内には、制御回路32がAGC回路47のAGCゲイン(以下、単にゲインと略記)の範囲を制限する制御情報60aを格納した制御情報格納部としての例えばフラッシュメモリ60を有する。
なお、後述するようにNBI観察モードにおいては、2組の明るさの算出値及び目標の明るさとの差分値等に応じてB1の撮像信号とB2の撮像信号とを合成する場合の合成係数としての合成比率aを可変設定する。
本実施形態における明るさ算出部45は、例えば図4に示すような構成によりCCD35により撮像された撮像画像の平均の明るさ(輝度)を算出する。なお、図4においては、所定の時間として例えば2フレーム期間に設定した場合での平均の明るさを算出する場合の例を示しているが、1フレーム期間T1に設定して、1フレーム期間T1での平均の明るさを算出しても良いし、3フレーム期間等、複数のフレーム期間において平均の明るさを算出しても良い。なお、図4における点線に関しては後述する。
図4に示す構成例では、1フレーム目のRw又はB2の撮像信号が入力された場合には、制御回路32は切替スイッチSW1とSW2aとを切り替え、フレームメモリ61RにRw又はB2の撮像信号を格納する。フレームメモリ61Rに格納されたRw又はB2の撮像信号をRw−1(B2−1)で示す。次の1フレーム目のGw又はGの撮像信号が入力された場合には、制御回路32は切替スイッチSW1とSW2bとを切り替え、フレームメモリ61GにGw又はGの撮像信号を格納する。フレームメモリ61Gに格納されたGw又はGの撮像信号をGw−1(G−1)で示す。
次の2フレーム目のRw又はB1の撮像信号が入力された場合には、制御回路32は切替スイッチSW1とSW2aとを切り替え、フレームメモリ61R′にRw又はB2の撮像信号を格納する。フレームメモリ61R′に格納されたRw又はB2の撮像信号をRw−2(B2−2)で示す。同様に、フレームメモリ61G′にはGw−2(G−2)で示す撮像信号が格納され、フレームメモリ61B′にはBw−2(B1−2)で示す撮像信号が格納される。
例えば、1回目のRw(又はB2)照明光の下でCCD35により撮像され、プリアンプで増幅された後、CDS回路により抽出されたベースバインドの撮像信号成分を、A/D変換回路43によりデジタル信号に変換した撮像信号Rw−1(B2−1)における2次元の画素位置(i,j)の信号レベルをRw―1(i,j)(B2―1(i,j))で表した場合、/Rw=(Rw―1(i,j)+Rw―2(i,j))/2となり、/B2=(B2―1(i,j)+B2―2(i,j))/2となる。なお、2フレーム分の撮像信号から平均値を算出する例を示したが、3フレーム以上の複数フレームで平均値を算出しても良い。
また、同様にフレームメモリ61Bに格納されたBw―1(B1―1)の撮像信号とフレームメモリ61B′に格納されたBw―2(B1―2)の撮像信号とは加算器63cにより加算されて平均値となる/Bw(/B1)が算出される。
平均値算出部62を構成する加算器63a,63b,63cは、それぞれ算出した/Rw(/B2)、/Gw(/G)、/Bw(/B1)の撮像信号をそれぞれR画像、G画像、B画像明るさ算出部64a,64b,64cに出力する。
R画像、G画像、B画像明るさ算出部64a,64b,64cは、例えば/Rw(/B2)、/Gw(/G)、/Bw(/B1)の撮像信号を、有効画素領域の画素単位で積算して、(積算に用いた有効画素領域の)画素数で除算して各成分画像の明るさ<Rwf>,<Gwf>,<Bwf>(<B2f>、<Gf>,<B1f>)を算出する。
つまり、入力される各成分画像の明るさ<Rwf>,<Gwf>,<Bwf>をRm,Gm,Bmの信号として出力する。一方、NBI観察モードの場合においては、マトリクス処理部65は、下記の(1)式に示すマトリクス処理してRm,Gm,Bmの信号を算出する。算出したRm,Gm,Bmの信号を輝度算出部66に出力する。
[数式1]
なお、(1)式におけるα、β、γは、マトリクス係数である。α、β、γは、上述したマトリクス処理部56におけるNBI観察モード時におけるカラーモニタ5においてカラー表示する場合の色調を希望する色調に変更したものに対応している。
(1)式の右辺のRf,Gf,Bfは、NBI観察モードにおけるマスター側照明光の場合とスレーブ側照明光の場合とにそれぞれ対応する<R1f>,<Gf>,<B1f>と、<R2f>,<Gf>,<B2f>となる。ここでは、マスター側照明光の場合とスレーブ側照明光の場合とにおいて、Gfを共通に使用しているが、共通に使用する場合に限定されない。Gfを共用した場合には、画像のずれを低減できる利点を有する。
NBI観察モードにおいては、(1)式は2組のRm,Gm,Bmの信号を算出する。輝度算出部66は、WLI観察モードでは下記の(2)式により輝度Yを算出する。
一方、NBI観察モードにおいては、輝度算出部66は、マスター側照明光の場合に対して下記の(3)式により輝度Y1を算出する。
Y1=0.3Rm+0.59Gm+0.11Bm
=0.3・α<G>+0.59・β<B1>+0.11・γ<B1> (3)
また、NBI観察モードにおいては、輝度算出部66は、スレーブ側照明光の場合に対して下記の(4)式により輝度Y2を算出する。
Y2=0.3Rm+0.59Gm+0.11Bm
=0.3・α<G>+0.59・β<B2>+0.11・γ<B2> (4)
また、輝度算出部66は、WLI観察モードの場合においては、目標の明るさ(輝度)Ywsと輝度Yとの差分ΔYw(=Yws−Y)と、NBI観察モードの場合においては、目標の明るさ(輝度)Ysと輝度Y1との差分ΔY1(=Ys−Y1)を算出する差分算出部66aを有する。
WLI観察モードの場合又はNBI観察モードの場合においては、明るさ算出部45(の輝度算出部66)は、差分ΔYw又はΔY1を調光制御部59に出力し、調光制御部59は差分ΔYw又はΔY1に応じて絞り駆動回路22Bを介して絞り22Aの開口量を調整する。
例えば、調光制御部59は、差分ΔYwが正の場合(算出された輝度Yが目標の明るさ(輝度)Ywsより小さい場合)には、絞り22Aを開くように制御する調光信号を出力し、差分ΔYwが負の場合には、絞り22Aを閉じるように制御する調光信号を出力する。
また、明るさ算出部45により算出される差分ΔYw、ΔY1に応じて制御回路32を介してAGC回路47のAGCゲインが制御される。なお、本実施形態においては、WLI観察モードの場合とNBI観察モードの場合とでは、後述するようにAGC回路47のAGCゲインの制御範囲(ゲイン最大値)を異なるように設定している(図7A,図7B参照)。
また、明るさ算出部45の輝度算出部66は、NBI観察モードの場合においては、差分ΔY1がΔY1>0の場合には下記の(5)式により、合成係数を構成する合成比率aを算出する演算手段を構成する合成比率算出部66bを有する。
合成比率算出部66bは、差分ΔY1と輝度Y2の比(ΔY1/Y2)とから合成比率aを算出する演算手段を構成する。
合成比率算出部66bは、算出した合成比率aを例えば制御回路32を介して合成処理部49に出力する。合成処理部51は、(合成比率設定部58aによる合成比率a′の設定がされない場合には)算出された合成比率aを合成処理部51において実際に合成する合成比率acに設定してマスター照明によるB1の撮像画像と、スレーブ照明によるB2の撮像画像とを合成する。
例えば、合成処理部51に入力される動画を構成する各フレームの撮像画像成分となるB2,G,B1の撮像画像をRin,Gin,Binとし、合成処理部51から出力される合成された合成画像をRt,Gt,Btとすると、合成処理部51は以下の(6)式のような合成画像の信号を生成して後段側に出力する。
(6)式によれば、合成処理部51は、Rt,Gt,BtとしてB2,(1+ac)G,ac・B2+B1の画像を生成する。
このように、合成処理部51は、出力画像成分としてのBtの合成画像としてac・B2+B1画像を生成する。また、合成処理部51は、Btの合成画像の生成に対応して、Gtの画像成分として(1+ac)・Gの画像を生成する。
合成処理部51の後段側における画像処理部50を構成するNR回路53、拡大/縮小回路54、強調回路55等においては、合成処理部51により生成された合成画像の画像信号に対して、それぞれノイズ低減、拡大/縮小処理、輪郭強調処理等を行う。
なお、本明細書においては、合成処理部51により生成される主要な合成画像成分Btを生成するB1の撮像画像とB2の撮像画像とそれぞれ乗算する係数の比1:acを合成比率とも言う。
乗算器71aにおける他方の入力端には、制御回路32から乗算される係数として、1+acが入力され、乗算器71aは、Gの撮像画像に1+acの係数を乗算して、(1+ac)Gの合成画像を出力する。
また、加算器71bの他方の入力端には、B2の撮像画像を乗算器71cにより係数acを乗算したac・B2の撮像画像が入力され、加算器71bは、両撮像画像を加算してac・B2+B1の合成画像を出力する。この係数acは制御回路32が出力する。
また、より簡略化して合成処理部51が、Rt,Gt,Btとして0,(1+ac)G,ac・B2+B1画像を生成するようにしても良い。
また、本実施形態においては、制御回路32は、NR回路53によるノイズ低減する強度を合成比率ac又は合成率に応じて変化させる。本実施形態においては、図6A又は図6Bに示すように合成率の値に応じてノイズ低減する強度を大きくするように制御する。なお、図6A又は図6Bにおいては、合成比率acが0の場合を0%の合成率、合成比率acが1の場合を100%の合成率として表している。
また、図6Aにおいては、0%の合成率ではノイズ低減の強度をNRminに設定し、合成率の増大と共にステップ状にノイズ低減の強度を大きくし、100%の合成率ではノイズ低減の強度をNRmaxに設定している。図6Bでは0%の合成率ではノイズ低減の強度を0に設定し、合成率の増大と共に連続的にノイズ低減の強度を大きくし、100%の合成率ではノイズ低減の強度をNRmaxに設定している。
また、マトリクス処理部56は、NBI観察モードにおいては入力される画像をRt′,Gt′,Bt′とした場合、(7)式のようなRo,G,Boの画像を生成してD/A変換回路57を介してカラーモニタ5のR,G,Bチャンネルに出力する。
[数式7]
なお、Rt′として0に設定しても良い。
図7Aは、NBI観察モード時におけるAGC回路47のゲインの範囲を、強調レベルLと、合成比率acとに応じて制限する内容を示す。このようにAGC回路47のゲインを制限することにより、本実施形態は、カラーモニタ5に表示される画像におけるノイズが目立たつことなく、観察し易い画像が得られるようにする。
また、合成比率が設定されていない場合(換言すると合成比率acが0)に比較して、合成比率が設定された場合(つまり合成比率acが0より大きく1以下の場合)には、AGC回路47のゲイン最大値がより小さい値となるように制御(制限)される。図7Aの具体例では、合成比率acが0の場合のゲイン最大値に対して、合成比率acが0より大きい場合には、その1/2のゲイン最大値に制限する。
図7Aに示すゲイン制御内容は、輪郭の強調レベルLが大きい程ノイズが目立つようになる(ノイジーになる)ので、ゲイン最大値が小さくなるように制限する。また、合成比率acが0より大きく設定されると、合成比率acが0の場合よりもノイジーになるため、合成比率acが0の場合よりもゲイン最大値が小さくなるように制限する。
図7Aの点線で示すようにゲイン最大値を制限する場合、合成画像における主要な画像成分(B1+ac・B2)を生成する場合の合成割合に相当する値を(B1+ac・B2)≒(1+ac)B1と近似して、(1+ac)を合成割合の大きさと見なすことができる。そして、(1+ac)が大きい程、ゲイン最大値が小さくなるように制御回路32のゲイン制御部32aが抑制するようにする。その理由として、B1とB2の撮像画像は、時間的に異なるタイミングで撮像された画像であるため、カラーモニタ5において動きのある動画で表示する場合、(1+ac)が小さい方が輪郭、構造のずれが少ない良好な画質の画像と考えられる。
一方、WLI観察モードにおいては、合成処理部51は動作しないため、AGC回路47のゲイン最大値は強調レベルLのみで決定される。図7BはWLI観察モードでの強調レベルLに対応して設定されるゲイン最大値を示す。WLI観察モードの場合においても、輪郭強調のレベルが大きい程ノイズが目立つようになる(ノイジーになる)ので、ゲイン最大値が小さくなるように制限する。
従って、図7Bに示す具体例では、NBI観察モードの場合に比較して、強調レベルLを大きくする程、ゲイン最大値を小さくするように制限するが、NBI観察モードの場合よりは緩和したゲイン最大値となるように制限している。このように本実施形態は、照明光を切り替えて異なる観察モードで観察を行う場合に対応でき、ノイズが目立つことなく、観察し易い画質の画像を生成することができる撮像システムを提供する目的を達成する。特に、照明光が不足しがちとなる第1の狭帯域(具体的にはG)及び第2の狭帯域(具体的にはB1,B2)を備えた第1の照明帯域の照明光のもとで撮像したNBI観察モードの場合において、ノイズが目立つことなく、観察し易い画質の画像を生成するようにゲイン最大値を制限又は抑制する。
例えば、構造強調Aにおいては、周波数fa以下の周波数帯域での輝度レベルを強調し、構造強調Bにおいては、周波数faよりも高い周波数fb(fb>fa)以下の周波数帯域での輝度レベルを強調する構造強調と、これらの構造強調における強調レベルとほぼ同じ強調レベルL(例えばL=2)の輪郭強調とにおいて、図8に示すようにゲイン最大値を制限するようにしても良い。
また、強調レベルLが同じとした場合、輪郭強調の方が構造強調の場合よりもノイジーの画像となるため、構造強調Bの場合よりも輪郭強調の場合の方でのゲイン最大値が小さくなるように制限する。このようにすることにより、ノイズが目立たない画像を表示できる。なお、図8においては、1つの強調レベルの場合に対して示しており、強調レベルLを可変した場合には、図7Aのようにゲイン最大値も変更すれば良い。また、図8をWLI観察モードの場合にも適用することができる。
また、ステップS3に示すように制御回路32は、広帯域照明光で照明された被写体をCCD35で撮像し、ビデオプロセッサ4は広帯域の撮像信号又は画像信号を生成する。
その場合、ステップS4において制御回路32のゲイン制御部32aは、強調レベルLの値に応じてAGC回路47によるゲイン最大値を抑制する。つまり、強調レベルLが大きい程、AGC回路47によるゲイン最大値を抑制する。
ステップS6に示すように制御回路32は、観察モードスイッチ31による観察モードの切替操作をモニタしている。術者は、被写体としての患部組織の血管の走行状態をより鮮明に観察したいと望むような場合には、観察モードスイッチ31を操作してNBI観察モードに切り替える。
制御回路32は、観察モードの切替操作を検出しない場合には、ステップS3の処理に戻り、観察モードの切替操作を検出した場合にはステップS7に示すように制御回路32は、WLI観察モードからNBI観察モードへ切り替える設定を行う。
また、ステップS9に示すように制御回路32は、狭帯域照明光で照明された被写体をCCD35で撮像し、ビデオプロセッサ4の同時化制御部44は狭帯域のB1,G,B2の撮像信号又は画像信号を生成する。
また、ステップS10に示すように明るさ算出部45の輝度算出部66は、明るさを算出すると共に、輝度算出部66における合成比率算出部66bは、合成比率aを算出する。算出された合成比率aは制御回路32に入力される。
ステップS11に示すように制御回路32は、ユーザによる合成比率設定部58aからの設定入力により合成比率a′が設定されているか否かを判定する。
一方、合成比率a′が設定されている判定結果の場合には、ステップS13に示すように制御回路32は、合成処理部51が合成する場合の合成比率acとして(合成比率aに優先して)合成比率a′を採用するように決定する(ac=a′)。
ステップS12又はS13の後のステップS14において制御回路32は、強調レベルLの設定を判定する。制御回路32は、輪郭強調レベル設定部58b等により強調レベルLが設定されている場合、その強調レベルLを確認する。なお、強調レベルLが設定されている場合、その強調レベルLを図示しないメモリ又はフラッシュメモリ60等に格納しても良い。
AGC回路47を経た信号は、合成処理部51において合成比率ac等を用いて合成画像の画像信号が生成され、NR回路53、拡大/縮小回路54、強調回路55、マトリクス処理部56等を経た後、カラーモニタ5に出力される。そしてステップS16に示すように、カラーモニタ5にはNBI観察画像が表示される。
このように制御することにより、このような制御を行わない場合のカラーモニタ5に表示されるNBI画像がノイジーになることを防止してノイズが目立たない観察し易い画像を得ることができる。
このように動作する本実施形態によれば、強調回路55による輪郭強調処理内容と、観察モード(観察モードに対応した狭帯域フィルタ群6による照明光の組み合わせと、広帯域フィルタ群7による照明光の組み合わせ)の情報に応じて、信号レベル可変手段を構成するAGC回路47による前記撮像信号レベルを増幅するゲインの最大値を抑制(制限)することにより、ノイズが目立つことなく、観察し易い画質の画像を生成することができる。
そして、合成処理部51において実際に合成処理に使用される合成比率に応じて、強調回路55における輪郭強調処理する強調レベルLがユーザにより設定された場合においても、ノイズが目立たないようにAGC回路47によるゲインの最大値を抑制し、良好な画質の画像が得られるようにしている。従って、術者は、NBI観察モードにおいても、ノイズが目立たない画像を観察でき、円滑な診断を行い易くなる。
これに対して、本実施形態においては、NBI観察モードにおいては、Gの撮像画像に対して光量がより不足しがちとなるBの撮像画像としてB1及びB2の2つの撮像画像で取得し、1:acの合成比率で合成する(具体的にはB1+ac・B2で合成する)ことによって、1つの場合よりも明るい撮像画像を得られるようにすると共に、合成比率、強調レベルLに応じて、AGC回路47のゲイン最大値を抑制することによって、ノイズが目立たない画像を得られるようにする。本実施形態においては、図7Aの点線で示すように画像合成した場合の合成割合が大きい場合には、合成割合が小さい場合よりも、ゲイン最大値を抑制することにより、画質の良い画像が得られるようにすることもできる。
アクチュエータ81における移動部81aに可動レンズ34a(のレンズ枠)が取り付けられている。従って、アクチュエータ81によって移動部81aを移動させると、移動部81aと共に可動レンズ34aも光軸方向に移動し、対物レンズ系34がCCD35の撮像面に被写体像をフォーカス状態で結像するフォーカス距離が変化する。
また、内視鏡2Bにおける例えば操作部12には、対物レンズ系34のフォーカス位置を中遠距離の被写体にフォーカスする第1のフォーカス距離の状態と、近距離の被写体にフォーカスする第2のフォーカス距離の状態とに切り替える指示操作を行う操作スイッチとしてのフォーカス切替スイッチ31bが設けてある。ユーザがフォーカス切替スイッチ31bを操作した際に出力されるフォーカス切替信号は、制御回路32に入力され、制御回路32は、フォーカス切替信号に対応した制御信号をアクチュエータ駆動回路82に出力する。
例えば、図10の実線で示す状態においては、対物レンズ系34は、中遠距離の被写体にフォーカスする第1のフォーカス距離の状態(以下、「NORMAL」のフォーカス状態、又は単にNORMALの状態)である。
NEARの状態においては、対物レンズ系34の被写界深度は、例えば2〜5mm程度となり、被写体に接近した近距離において患部等を詳細に拡大観察することができる状態となる。なお、制御回路32は、フォーカス切替スイッチ31bの操作情報をメモリなどに経時的に記憶して、任意の使用状態において、対物レンズ系34がNEAR或いはNORMALのいずれの状態に設定されているかを把握する。なお、本変形例においては可動レンズ34aを2つの位置に駆動する例で説明するが、3つ以上の複数の位置に選択的に設定できるようにしても良い。
図11は、本変形例におけるNBI観察モード時でのゲイン最大値を制限する内容を示す。図11に示す制御情報は、第1の実施形態と同様に、フラッシュメモリ60に格納されている。
図11の制御情報は、図7Aに示した場合のゲイン最大値を規制する項目として、フォーカス距離(フォーカス状態)の項目が追加されている。
そして、強調レベルLと、合成比率が同じ条件の場合においては、NEARの場合の方がNORMALの場合よりも、ゲイン最大値が大きくなるように(ゲイン最大値を)設定している。その場合の理由は以下のようになる。
また、観点を変えて述べると、NEARのフォーカス距離の状態の場合においては、NORMALの場合よりも、(例えば合成比率が同じ値の条件等で比較した場合)強調レベルLをより大きくし易い設定にしている。
NBI観察モードに設定された場合には、毛細血管等を良好に観察したい状態であるので、強調レベルLを上げて、最適な観察を実現し易くする。
これに対して、NORMALのフォーカス状態の場合においては、NEARのフォーカス状態の場合に比較すると、暗部が発生し易く、またノイズが目立ち易い状態となるため、強調レベルLをより下げた値となるように設定している。その他の構成は、図1等で示した構成と同様である。
また、本変形例において以下に説明するように、カラーモニタ5に表示される画像を複数の領域に分け、NORMALのフォーカス距離の状態の場合において明るさ算出部45が、各領域での明るさ(平均輝度)を算出し、明るさが低い(小さい)暗領域での強調レベルLを下げることにより、ノイズが目立たないようにしても良い。
以下、複数の広帯域の照明光としてのRw,Gw,Bw照明光のもとで撮像した場合について説明するが、狭帯域の照明光のもとで撮像した場合にも同様に適用できる。
図4に示した明るさ算出部45において、加算器63a,63b,63cが撮像信号Rw−1とRw−2、Gw−1とGw−2、Bw−1とBw−2をそれぞれ加算して平均の明るさ(平均輝度)を算出する場合、加算器63a,63b,63cは、図12に示した各領域Aiにおける平均の明るさを算出する領域明るさ算出手段としての領域明るさ算出回路を形成する。そして、算出した各領域Aiにおける平均の明るさを点線で示すように制御回路32に出力すると共に、R画像、G画像、B画像明るさ算出回路64a,64b,64cにも出力する。
このように制御することにより、暗領域においては、強調レベルLを低減するため、強調レベルLを低減しない場合の画像におけるノイズが目立つようになることを防止でき、また明るい明領域においては輪郭等がより鮮明となる診断し易い画像を生成できる。また、明領域、暗領域に応じて強調レベルLを制御する場合、ユーザにより設定された強調レベルLに対して行うようにしても良いし、予め指定された強調レベルL(例えば、閾値となる強調レベルVL以上となる強調レベルL)に対して行うようにしても良い。
なお、WLI観察モードの場合とNBI観察モードの場合とに応じて、上記閾値Vtの値をそれぞれ設定し、観察モードに応じてそれぞれノイズが目立たないようにしても良い。
図13Aは、この場合の内容を示している。明領域に対しては、構造強調を行う場合、高周波側では構造強調を行う強度を大きく(強調レベルLを大きく)し、かつ低周波側では構造強調を行う強度を小さく(強調レベルLを小さく)する。
これに対して、暗領域に対しては、構造強調を行う場合、高周波側及び低周波側とも構造強調を行う強度を小さく(弱く)する。
このようにユーザが見たい部分(画像領域)となる明領域に対しては、高周波側での構造強調の強調レベルLを大きくすることにより、明るい明領域の構造を詳細に観察することができ、かつ暗い暗領域におけるノイズを目立たないように低減できる。
図13Bは、この場合の内容を示している。電子ズーム無しの場合には、明領域に対しては、構造強調を行う強度を大きく(強調レベルLを大きく)し、かつ暗領域に対しては構造強調を行う強度を小さく(強調レベルLを小さく)する。換言すると、明領域に対しては、暗領域の場合よりも構造強調を行う強度を大きくする。
これに対して、電子ズーム有りの場合には、明領域及び暗領域に対して、構造強調を行う強度を小さく(強調レベルLを小さく)する。
電子ズーム(電子拡大)を行うと、ノイズの粒又は塊が大きくなるため、構造強調を行う強度を小さくし、ノイズが目立たないようにする。なお、電子ズームの倍率に応じて、構造強調する場合の周波数特性を調整するようにしても良い。例えば、電子ズームの倍率を大きくするに従って、構造強調する周波数帯における最大周波数を下げるようにしても良い。
なお、上述した変形例を含む実施形態において、部分的に異なる構成を組み合わせた実施形態又は変形例も本発明に属する。
しかし、画素欠陥は、製造時のみではなく、長期間使用する中で生じることもあった。その為、画素欠陥を検出する方法が課題であった。対象画素と周辺画素の信号レベルを比較することで、対象画素が非常に明るければ、白い傷、非常に暗ければ、黒い傷と考えられた。そのような判定基準で対象画素が欠陥画素であるかを判定すると良い。
また、撮像素子が高画素化、微細化された際に、撮像素子に欠陥を持つ画素或いはノイズを発生する画素を皆無に製造することは不可能に近い。
このため、画像処理によって、撮像素子の通常画素とは異なるが画素信号を発生する欠陥画素や固定パターンのノイズを補正する技術が多数提案されている。
欠陥画素としては、光電変換された後の信号の電位が所望とならず、あるオフセットの電位を含めた信号となることが知られている。オフセットの電位が正の値であれば、白傷と呼ばれる白いドットとして観察画面に現れ、オフセットの電位が負の値であれば、黒傷と呼ばれる黒いドットとして観察画面に現れる。この欠陥画素を補正する画像処理は、オフセットの電位を推定して除去することができる。また、欠陥画素の位置情報を内視鏡に記憶し、その位置情報に関して、オフセットの電位を推定するように動作させる。
そして、AチャンネルとBチャンネルは撮像素子から信号を伝送するチャンネルが別々であることを示しており、そのような場合に、チャンネル毎のバラツキによって、感度が変ってくることがある。つまり、同じ量の光がAチャンネルとBチャンネルに入射したとしても、得られる信号が異なってしまう。先に述べた画像処理では、チャンネル毎のバラツキをキャンセルできるように、必要な係数を求めて乗算する方法がある。具体的にはホワイトバランスを取得することで実現する。もしくは、内視鏡に設けられたメモリ(スコープID)に、あらかじめ必要な係数を記憶しておいてもよい。
従って、補正する画像処理は、チャンネル毎のバラツキをキャンセルした後で実施するのが望ましい。もし、チャンネル毎のバラツキをキャンセルするよりも前に、補正する画像処理を適用する場合、次のようなことが望ましい。
この欠陥画素が白いドットである場合、正の値であるオフセットの電位を算出し、減算することで、欠陥画素が白いドットにならず、適正なものと改善できる。しかし、チャンネル毎に感度の差があるため、オフセットの電位が大きめに見積もられ、欠陥画素は適正に補正されないで、黒いドットになってしまう。なぜなら、Aチャンネルの感度がBチャンネルの感度よりも小さく、欠陥画素の周辺8画素の平均値が小さくなってしまうからである。同様に欠陥画素が黒いドットである場合、負の値であるオフセットの電位を算出し、減算することで、欠陥画素が黒いドットにならないよう補正したいのだが、チャンネル毎の感度の差によって、欠陥画素は黒いドットとなる。
欠陥画素が白いドット、黒いドットのいづれの場合でも、Aチャンネルの感度がBチャンネルの感度よりも大きいとき、補正が適正にならず、白いドットとなる。
欠陥画素の位置情報が内視鏡にあらかじめ記憶していない場合や、あらかじめ記憶していても、新たな欠陥画素が生じた際に、その位置情報については記憶されていない場合についての対処法は、次の通りである。
1つの案として、内視鏡から得られる画像信号から欠陥画素を検出することが挙げられる。具体的な方法については、これまでに提案されている。このように、欠陥画素を検出できれば、位置情報が得られ、上記と同様に、白や黒のドットとして視認されないように処理すればよいこととなる。また、上記では、閾値分だけ加算、減算するとしたが、左右の2つの画素の平均値に置き換えてもよい。例えば、内視鏡に記憶された位置情報から処理する場合には、閾値を加算、減算し、検出した位置情報から処理する場合には、左右の2つの画素の平均値に置き換えることが挙げられる。
検出した際には、画素の位置情報を内視鏡に記憶することで、この内視鏡を使用するときには白のドットが改善されることとなる。しかし、意図しない条件に配慮しなければならない。例えば、暗幕で覆うことができていない場合、正しい動作ではなくなる。そのため、エラー判定が重要となる。エラー判定の例であるが、位置情報が所定数を超えるような場合、エラーとして報知しつつ、確認してほしい条件を報知してもよい。なぜなら、本法で検出させたい白のドットは多くても20個程度と想定できるのは、CCDに欠陥画素が起こる理由について、多数の文献に掲載があるからである。本法については、白黒のCCDを用いる面順次式でもカラーチップのCCDを用いる同時式にも適用できる。ここで記載の方法は、面順次式によるものなので、同時式に適用するには、白のドットを青等のドットとする様に、カラーチップと画素の関係に配慮すればよい。
同時化メモリは静止画像を得る為のプリフリーズ機能を有することもある。図15に示したように、65変換を行うために画像メモリを用いて、画像メモリに入力される60コマの画像を50コマにレート変換して出力している。例えば画像メモリには図15の上段側に示すように60コマ/秒(60Field/sec)でRO,GO,BO,R1,G1,B1,…の面順次のRGB信号が入力信号としてC65I_R_VALA,C65I_G_VALA,C65I_B_VALA で示すタイミングで順次入力され、書き込まる(以下にも記載のように一部は書き込みが不必要)。一方、画像メモリに書き込みがされたRO,GO,BO,R1,G1,B1,…の面順次のRGB画像は、図15の下段側に示すように50コマ/秒(50Field/sec)で読み出され(但し、RO,R2等の画像は60コマ/秒と50コマ/秒とが同期したタイミングでのスルー出力)、65変換される。
また、図16に示す同時化メモリは例えばRGB用に3つ分のメモリ構成になっており、先のレート変換後のG0画像をG用の同時化メモリに書き込み、60コマ/秒のR0画像をR用の同時化メモリに書き込むように制御する。このとき、R0画像はG0画像と水平・垂直方向の周波数として、画像フォーマットが異なる為、ラインメモリやFPGAの内部メモリを用い、安価に対応することが望ましい。このような方法で、65変換と同時化を安価に実現できる。同時化メモリはプリフリーズ機能を有するので、色ずれの少ない静止画像を提供できる。
付記1.
2つの観察モードにおける切替を行う観察モード切替手段と、
前記観察モード切替手段の切替に応じて、各フレーム期間において、第1の狭帯域及び第2の狭帯域を備えた第1の照明帯域の照明光又は、複数の広帯域を備えた第2の照明帯域の照明光で照明を行う照明手段と、
前記照明手段により照明された被写体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により出力される撮像信号の撮像信号レベルを変更する信号レベル可変手段と、
前記信号レベル可変手段から出力される信号から画像信号を生成し、生成した画像信号に対して輪郭強調処理を行う画像処理手段と、
前記第1の照明帯域の照明光で照明を行う場合において、前記第1の狭帯域の照明光に前後するタイミングで前記第2の狭帯域の照明光のもとで撮像した2つの撮像画像を合成する処理を行う合成処理手段と、
前記画像処理手段が行う輪郭強調処理内容と、前記照明手段における前記第1の照明帯域を形成する前記第1の狭帯域及び前記第2の狭帯域の組み合わせと、前記第2の照明帯域を形成する前記複数の広帯域の組み合わせの情報と、前記合成処理手段による2つの撮像画像を合成する際の合成係数(合成比率)に応じて、前記信号レベル可変手段における前記撮像信号レベルに対するゲインを制御する信号レベル可変制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像システム。
更に、前記第1回の回数のうちの第1の所定回の照明に基づく前記撮像手段による第1の撮像信号と、前記第2回の回数のうちの前記第1の所定回と同じ第2の所定回の照明に基づく前記撮像手段による第2の撮像信号とを用いた色変換マトリクス処理によって第1の明るさを算出し、
前記第1回の回数のうちの前記第1の所定回と同じ第3の所定回の照明に基づく第3の撮像信号と、前記第2回の回数のうちの前記第2の所定回と同じ第4の所定回の照明に基づく第3の撮像信号とを用いた色変換マトリクス処理によって第2の明るさを算出する明るさ算出手段と、
前記第1の明るさと所定の目標明るさとの差分と、前記第2の明るさとの比に基づいて、各1フレーム期間において前記第1及び第2の撮像信号に対して前記第1及び第3の撮像信号を合成する場合の合成係数を算出する演算手段と、
を備え、
前記画像処理手段は、前記演算手段による合成係数、又は合成係数設定手段により設定される合成係数に基づき、各1フレーム期間内における前記第1及び第2の撮像信号に対して前記第1及び第3の撮像信号を合成し、生成した画像信号に対して輪郭強調処理内容を行い、
前記信号レベル可変手段は、前記照明手段が前記第1の狭帯域及び第2の狭帯域の組み合わせからなる前記第1の照明帯域の照明光のもとで撮像された撮像信号である場合、前記画像処理手段が行う前記輪郭強調処理内容と前記合成係数とに基づき、前記第1、第2及び第3の撮像信号を処理する前記信号レベル可変手段を制御する。
前記第1の撮像信号と前記第3の撮像信号は、共通の撮像信号である。
付記4.付記2又は付記3において、
前記撮像手段は、被写体の光学像を結像する対物レンズ系と、
前記光学像が結像される位置に撮像面が配置され、光学像を光電変換する撮像素子と、
前記対物レンズ系を構成する可動レンズを前記対物レンズ系の光軸方向における少なくとも第1の位置と第2の位置との2つの位置に駆動するアクチュエータと、
を備え、
さらに、前記撮像システムは、前記アクチュエータにより前記可動レンズを前記第1の位置に設定することにより、前記対物レンズ系が近距離の被写体にフォーカスした第1のフォーカス距離の状態と、前記アクチュエータにより前記可動レンズを前記第2の位置に設定することにより、前記対物レンズ系が中遠距離の被写体にフォーカスした第2のフォーカス距離の状態とを切り替える指示操作を行う操作スイッチを備え、
前記信号レベル可変手段は、前記対物レンズ系を前記第2のフォーカス距離に設定した場合には、前記第1のフォーカス距離に設定した場合よりも前記撮像信号レベルに対するゲインを抑制する。
Claims (5)
- 第1の狭帯域及び第2の狭帯域を備えた第1の照明帯域の照明光と、複数の広帯域を備えた第2の照明帯域の照明光とを切り替えて照明を行う照明手段と、
前記照明手段により照明された被写体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により出力される撮像信号の撮像信号レベルを変更する信号レベル可変手段と、
前記信号レベル可変手段から出力される信号から画像信号を生成し、生成した画像信号に対して輪郭強調処理を行う画像処理手段と、
前記第1の照明帯域の照明光で照明を行う場合において、前記第1の狭帯域の照明光に前後するタイミングで前記第2の狭帯域の照明光のもとで撮像した2つの撮像画像を合成する処理を行う合成処理手段と、
前記画像処理手段が行う輪郭強調処理内容と、前記照明手段における前記第1の照明帯域を形成する前記第1の狭帯域及び前記第2の狭帯域の組み合わせと、前記第2の照明帯域を形成する前記複数の広帯域の組み合わせの情報と、前記合成処理手段による2つの撮像画像を合成する際の合成係数に応じて、前記信号レベル可変手段における前記撮像信号レベルに対するゲインを制御する信号レベル可変制御手段と、
を備え、
前記第1の照明帯域の照明は、1フレーム期間の整数倍となる所定の時間内に、前記第1の狭帯域の照明光による第1回の照明と、前記第2の狭帯域を有する照明光による前記第1回の2倍となる第2回の照明との組み合わせからなり、
更に、前記第1回の回数のうちの第1の所定回の照明に基づく前記撮像手段による第1の撮像信号と、前記第2回の回数のうちの第2の所定回の照明に基づく前記撮像手段による第2の撮像信号とを用いた色変換マトリクス処理によって第1の明るさを算出し、
前記第1回の回数のうちの第3の所定回の照明に基づく第1の撮像信号と、前記第2回の回数のうちの第4の所定回の照明に基づく第3の撮像信号とを用いた色変換マトリクス処理によって第2の明るさを算出する明るさ算出手段と、
前記第1の明るさと所定の目標明るさとの差分と、前記第2の明るさとの比に基づいて、各1フレーム期間において前記第1及び第2の撮像信号に対して前記第1及び第3の撮像信号を合成する場合の合成係数を算出する演算手段と、
を備え、
前記画像処理手段は、前記演算手段による合成係数、又は合成係数設定手段により設定される合成係数に基づき、各1フレーム期間内における前記第1及び第2の撮像信号に対して前記第1及び第3の撮像信号を合成し、生成した画像信号に対して輪郭強調処理を行い、
前記信号レベル可変手段は、前記照明手段が前記第1の狭帯域及び第2の狭帯域の組み合わせからなる前記第1の照明帯域の照明光のもとで撮像された撮像信号である場合、前記画像処理手段が行う前記輪郭強調処理内容と前記合成係数とに基づき、前記第1、第2及び第3の撮像信号を処理する前記信号レベル可変手段を制御することを特徴とする撮像システム。 - 前記信号レベル可変手段は、前記輪郭強調処理の強調レベルが大きい程、又は前記合成係数による合成の割合が大きい程、前記撮像信号レベルに対するゲインを抑制することを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
- 前記撮像手段は、被写体の光学像を結像する対物レンズ系と、
前記光学像が結像される位置に撮像面が配置され、光学像を光電変換する撮像素子と、
前記対物レンズ系を構成する可動レンズを前記対物レンズ系の光軸方向における少なくとも第1の位置と第2の位置との2つの位置に駆動するアクチュエータと、
を備え、
さらに、前記撮像システムは、前記アクチュエータにより前記可動レンズを前記第1の位置に設定することにより、前記対物レンズ系が近距離の被写体にフォーカスした第1のフォーカス距離の状態と、前記アクチュエータにより前記可動レンズを前記第2の位置に設定することにより、前記対物レンズ系が中遠距離の被写体にフォーカスした第2のフォーカス距離の状態とを切り替える指示操作を行う操作スイッチを備え、
前記信号レベル可変手段は、前記対物レンズ系を前記第2のフォーカス距離に設定した場合には、前記第1のフォーカス距離に設定した場合よりも前記撮像信号レベルに対するゲインを抑制することを特徴とする請求項2に記載の撮像システム。 - さらに、前記第1の撮像信号と前記第2の撮像信号から生成した撮像画像を分割した複数の各領域における平均の明るさを算出する領域明るさ算出手段と、
前記領域明るさ算出手段により算出された前記平均の明るさが閾値以上となる明領域と、前記閾値未満となる暗領域とを判定する判定手段と、
前記判定手段により判定された明領域においては、暗領域の場合よりも前記輪郭強調処理の強調レベルを大きくするように制御することを特徴とする請求項2に記載の撮像システム。 - 前記第1の狭帯域は、緑の波長帯域における狭帯域であり、前記第2の狭帯域は、青の波長帯域における狭帯域であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の撮像システム。
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