JP5856231B2 - 環境負荷評価装置および環境負荷評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、環境負荷評価装置、および環境負荷評価方法に関し、例えば、ICT(Information and Communication Technology)機器の環境負荷量を算出するための環境負荷評価装置に関する。
近年、地球温暖化をはじめとする環境問題への社会的関心の高まりから、サーバやパーソナルコンピュータ、コピー機等のICT機器に対して環境負荷の情報の開示が求められている。また、所謂環境配慮型の製品やサービスを選択する消費者行動も顕著になってきている。環境負荷を数値化した指標(以下、「環境負荷量」と称する。)としては、二酸化炭素排出量が良く知られている。
従来から、製品やサービスが環境に与える影響を定量的に分析・評価する手法として、ライフサイクルアセスメント(以下、「LCA:Life Cycle Assessment」とも称する。)が知られている。LCAによって環境負荷を算出することにより、例えば製品の製造段階から使用段階、廃棄段階に至る各段階における環境負荷を定量的且つ客観的に評価することが可能となる。例えば、下記非特許文献1には、固定電話サービスの提供による環境負荷をLCAにより評価する技術が開示されている。
前田利之、折口荘志、高橋和枝他、「固定電話サービスのライフサイクルアセスメント評価」、EcoDesign 2002 Japan Symposium、A−2−2.
LCAにより、ICT機器の二酸化炭素排出量を算出し、評価するためには、評価対象のICT機器の製造段階、使用段階、および廃棄段階の各段階における環境負荷に関する情報が必要となる。例えば、製造段階における二酸化炭素排出量を算出するためには、原材料の調達手順(リサイクルも含む)の情報や、原材料の加工から部品の製造、部品の組み立てに至る製造手順の情報等が必要となる。また、廃棄段階における二酸化炭素排出量を算出するためには、製品の廃棄方法等の情報が必要となる。
しかしながら、部品の製造段階における環境情報に関する情報や製品の廃棄段階における環境負荷に関する情報は、部品の製造元の企業や廃棄業者等において機密情報として扱われ、非公開である場合が多く、製品等の環境への影響を評価する評価者がこれらの情報を入手することは容易ではなく、手間やコストが掛かるという問題がある。そのため、評価者がICT機器の二酸化炭素排出量を算出し、評価することは容易ではなかった。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、製品の環境負荷量を容易に算出できるようにすることにある。
本発明に係る環境負荷評価装置(1,2)は、環境負荷の評価対象の製品と同一カテゴリーに属する複数の評価済みの製品の仕様値(Xk(i))および環境負荷量(Yk(i))に基づいて回帰分析を行うことにより、製品の仕様値を説明変数(X)とし、製品の環境負荷量を目的変数(Y)とするモデル関数を設定する関数設定部(101)と、前記関数設定部によって設定されたモデル関数(Y=f(X))と、前記評価対象の製品の仕様値(Xu)とに基づいて、前記評価対象の製品の環境負荷量(Yu)を算出する環境負荷量算出部(102)と、評価済みの製品の仕様値と環境負荷量との相関係数を算出する相関係数算出部(203)と、相関係数算出部によって算出された相関係数と所定の閾値との大小関係を判定する判定部(204)とを有し、環境負荷量算出部は、前記相関係数が前記所定の閾値よりも大きいと判定された場合に、関数設定部によって設定されたモデル関数を用いて前記評価対象の製品の仕様値から前記評価対象の製品の環境負荷量を算出し、前記相関係数が前記所定の閾値よりも小さいと判定された場合に、関数設定部によって設定されたモデル関数を用いずに前記評価対象の製品の環境負荷量を算出することを特徴とする。
上記環境負荷評価装置において、前記環境負荷算出部は、前記相関係数が前記所定の閾値よりも小さいと判定された場合に、前記同一カテゴリーに属する複数の評価済みの製品の環境負荷量の平均値を前記評価対象の製品の環境負荷量として算出するようにしてもよい。
上記環境負荷評価装置において、前記製品の仕様値は、製品の消費電力または重量であってもよい。
本発明に係る別の環境負荷評価装置(3)は、環境負荷の評価対象の製品と同一カテゴリーに属する複数の評価済みの製品の仕様値および環境負荷量に基づいて回帰分析を行うことにより、製品の仕様値を説明変数とし、製品の環境負荷量を目的変数とする第1モデル関数(700、Y=f(X))を設定する第1関数設定部(301)と、前記第1関数設定部によって設定された前記第1モデル関数の出力値と前記評価済みの製品の環境負荷量とのずれの度合を示すずれ度(σ)を算出するずれ度算出部(305)と、製品の仕様値を割り当てたX軸と環境負荷量を割り当てたY軸とから成る二次元平面において、前記第1モデル関数を前記ずれ度に応じてY軸の正方向に平行移動させた第2モデル関数(701、Y=f(X)+σ)と、前記第1モデル関数を前記ずれ度に応じてY軸の負方向に平行移動させた第3モデル関数(702、Y=f(X)−σ)とに挟まれる領域内において、前記製品の仕様値の区間毎に前記製品の環境負荷量が離散的に変化する階段状のモデル関数を設定する第2関数設定部(306)と、前記第2関数設定部によって設定された前記階段状のモデル関数(Y=f(Wx_p))に基づいて、指定された仕様値の区間に対応する環境負荷量を算出する環境負荷量算出部(302)とを有することを特徴とする。
上記別の環境負荷評価装置において、前記評価済みの製品の仕様値と環境負荷量の相関係数を算出する相関係数算出部(203)と、前記相関係数算出部によって算出された前記相関係数と所定の閾値との大小関係を判定する判定部(204)と、を更に有し、前記環境負荷算出部は、前記判定部によって前記相関係数が前記所定の閾値よりも大きいと判定された場合に、前記階段状のモデル関数を用いて、指定された前記製品の仕様値の区間に対応する環境負荷量を算出し、前記判定部によって前記相関係数が前記所定の閾値よりも小さいと判定された場合に、前記同一カテゴリーに属する複数の評価済みの製品の環境負荷量の平均値を評価対象の製品の環境負荷量として算出してもよい。
本発明に係る環境負荷評価方法は、関数設定部と、環境負荷量算出部と、相関係数算出部と、判定部とを有する情報処理装置を用いて評価対象の製品の環境負荷を評価する環境負荷評価方法であって、関数設定部が、環境負荷の評価対象の製品と同一カテゴリーに属する評価済みの製品の仕様値と前記評価済みの製品の環境負荷量とに基づいて回帰分析を行うことにより、前記評価済みの製品の仕様値と環境負荷量との関係を表すモデル関数を設定する第1ステップ(S102)と、相関係数算出部が、前記評価済みの製品の仕様値と環境負荷量との相関係数を算出する第2ステップ(S203)と、判定部が、相関係数算出部によって算出された相関係数と所定の閾値との大小関係を判定する第3ステップ(S204)と環境負荷量算出部が、第1ステップにおいて設定したモデル関数と、前記評価対象の製品の仕様値とに基づいて、前記評価対象の製品の環境負荷量を算出する第ステップ(S104)と、を含み、前記第4ステップは、環境負荷量算出部が、前記第3ステップにおいて前記相関係数が前記所定の閾値よりも大きいと判定された場合に、関数設定部によって設定されたモデル関数を用いて前記評価対象の製品の仕様値から前記評価対象の製品の環境負荷量を算出し、前記第3ステップにおいて前記相関係数が前記所定の閾値よりも小さいと判定された場合に、関数設定部によって設定されたモデル関数を用いずに前記評価対象の製品の環境負荷量を算出するステップ(S207,S209)を含むことを特徴とする。
本発明に係る別の環境負荷評価方法は、第1関数設定部と、ずれ度算出部と、第2関数設定部と、環境負荷量算出部とを有する情報処理装置を用いて評価対象の製品の環境負荷を評価する環境負荷評価方法であって、第1関数設定部が、環境負荷の評価対象の製品と同一カテゴリーに属する評価済みの製品の仕様値と前記評価済みの製品の環境負荷量とに基づいて回帰分析を行うことにより、前記評価済みの製品の仕様値と環境負荷量との関係を表す第1モデル関数を設定する第1ステップ(S102)と、ずれ度算出部が、前記第1ステップにおいて設定された前記第1モデル関数の出力値と前記評価済みの製品の環境負荷量とのずれの度合を示すずれ度を算出する第2ステップ(S307)と、第2関数設定部が、製品の仕様値を割り当てたX軸と環境負荷量を割り当てたY軸とから成る二次元平面における、前記第1モデル関数を前記ずれ度に応じてY軸の正方向に平行移動させた第2モデル関数と、前記第1モデル関数を前記ずれ度に応じてY軸の負方向に平行移動させた第3モデル関数とに挟まれる領域において、前記製品の仕様値の区間毎に前記製品の環境負荷量が離散的に変化する階段状のモデル関数を設定する第3ステップ(S308)と、環境負荷量算出部が、前記第3ステップにおいて設定された前記階段状のモデル関数に基づいて、指定された仕様値の区間に対応する環境負荷量を算出する第4ステップ(S311)と、を含むことを特徴とする。
なお、上記説明において括弧を付した参照符号は、図面において当該参照符号が付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
本発明によれば、製品の環境負荷を容易に算出することができる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る環境負荷評価装置の構成を示す図である。 図2は、同一カテゴリーに属する複数の製品の製造段階における二酸化炭素排出量と製品の重量との関係の一例を示す図である。 図3は、同一カテゴリーに属する複数の製品の廃棄段階における二酸化炭素排出量と製品の重量との関係の一例を示す図である。 図4は、実施の形態1に係る環境負荷評価装置による処理手順の一例を示す図である。 図5は、本発明の実施の形態2に係る環境負荷評価装置の構成を示す図である。 図6は、実施の形態2に係る環境負荷評価装置による処理手順の一例を示す図である。 図7は、本発明の実施の形態3に係る環境負荷評価装置の構成を示す図である。 図8は、実施の形態3に係る環境負荷評価装置によって設定される階段状のモデル関数の一例を示す図である。 図9は、実施の形態3に係る環境負荷評価装置による処理手順の一例を示す図である。 図10は、実施の形態3に係る環境負荷評価装置の表示部に表示された、製品の仕様値の範囲の選択画面の一例を示す図である。 図11は、階段状のモデル関数Y=f(Wx_p)の設定方法を説明するための図である。 図12は、階段状のモデル関数Y=f(Wx_p)の設定するための処理の処理手順の一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
≪実施の形態1≫
図1は、本発明の実施の形態1に係る環境負荷評価装置の構成を示す図である。
環境負荷評価装置1は、例えば、製品の製造段階から使用段階、廃棄段階に至る各段階における環境負荷量を算出することにより、製品の環境に対する影響を評価するための装置である。
以下の説明では、一例として、環境負荷量が二酸化炭素排出量である場合を説明する。また、環境負荷評価装置1による環境負荷の評価対象とする製品が、サーバやパーソナルコンピュータ、コピー機等のICT機器であるものとして説明するが、これに限定されるものではない。
具体的に、環境負荷評価装置1は、図1に示されるように、データ処理制御部10、通信I/F部11、操作入力部12、表示部13、および記憶部14を備える。
通信I/F部11は、通信ネットワークを介して外部装置とデータ通信を行うことにより、各種データの送受信を行う。操作入力部12は、例えばキーボード、マウス、およびタッチパネル等から構成された外部入力装置である。操作入力部12は、ユーザからの入力を検出して電気信号に変換し、入力データとして後述するデータ処理制御部10に供給する。
表示部13は、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)等の画像表示装置から構成されている。表示部13は、データ処理制御部10によって制御され、例えば、評価者(ユーザ)が環境負荷評価装置1を操作するためのメニュー画面やデータ入力画面を表示するとともに、データ処理制御部10による二酸化炭素排出量の計算結果等の各種情報を表示する。
記憶部14は、RAM、ROM、およびフラッシュメモリ等の半導体メモリやハードディスク等の各種の記憶装置から構成されている。記憶部14には、例えば、データ処理制御部10を動作させるための各種のプログラム141や、データ処理制御部10による計算結果142等が記憶される。なお、プログラム141は、例えば通信I/F部11を介して外部装置や記録媒体から読み出されて、予め記憶部14に格納されている。また、データ処理制御部10による計算結果142は、例えば外部装置が通信I/F部11を介して読み出すことも可能である。
データ処理制御部10は、CPUやDSP(digital signal processor)等のプロセッサから成るプログラム処理装置によって実現される。データ処理制御部10は、環境負荷評価装置1内の各機能部(通信I/F部11や表示部13等)を制御することにより環境負荷評価装置1全体の統括的な制御を行う。また、データ処理制御部10は、環境負荷の評価対象とされる製品の環境負荷量を算出するとともに、算出した環境負荷量に基づいて環境負荷の評価に必要な各種データ処理を行う。
以下、上述したデータ処理制御部10の機能のうち、本願発明に係る環境負荷量の算出機能について詳細に説明する。
データ処理制御部10は、環境負荷量を算出するための機能部として、例えば関数設定部101と、環境負荷量算出部102とを備える。ここで、関数設定部101および環境負荷量算出部102は、例えばCPUやDSP等のプロセッサが記憶部14に格納されたプログラム141に従って各種のデータ処理を実行することによって実現されるものである。
関数設定部101は、環境負荷の評価対象の製品と同一カテゴリーに属する複数の製品の仕様値と上記複数の製品の環境負荷量とに基づいて回帰分析を行うことにより、モデル関数を設定する。
ここで、同一カテゴリーに属する複数の製品とは、パーソナルコンピュータ、サーバ、プリンタ、およびコピー機等のように、機能毎に製品を分類したときに、同一の製品群に属する複数の製品である。例えば、二酸化炭素排出量の評価対象が特定のコピー機である場合、そのコピー機とは別の種類のコピー機である。また、製品の仕様値とは、例えば、その製品のカタログや仕様書等に記載されている各種の仕様のうち、二酸化炭素排量に影響を与える可能性のある仕様値であり、例えば製品の消費電力や重量等であり、例えば製品のカタログ等に記載されているものである。
具体的に、関数設定部101は、環境負荷量が評価済みの製品の仕様値Xk(i)を入力データとし、その製品の環境負荷量Yk(i)を出力データとした入出力データ対(Xk(i)、Yk(i))から回帰分析を行うことにより、製品の仕様値を説明変数Yとし、製品の環境負荷量を目的変数Xとするモデル関数Y=f(X)を設定する。ここで、iは同一カテゴリーに属するその他の製品を表し、i=1、2、…、nである。
例えば、4台のコピー機A〜Dの仕様値(例えば重量)と二酸化炭素排出量が既知である場合、関数設定部101は、コピー機Aの重量Xk(A)および二酸化炭素排出量Yk(A)から成る入出力データ対(Xk(A)、Yk(A))と、コピー機Bの重量Xk(B)および二酸化炭素排出量Yk(A)から成る入出力データ対(Xk(B)、Yk(B))と、コピー機Cの重量Xk(C)および二酸化炭素排出量Yk(C)から成る入出力データ対(Xk(C)、Yk(C))と、コピー機Dの重量Xk(D)および二酸化炭素排出量Yk(D)から成る入出力データ対(Xk(D)、Yk(D))とに基づいて回帰分析を行うことにより、コピー機の重量Xと二酸化炭素排出力量Yとの関係を表すモデル関数Y=f(X)を設定する。なお、上記回帰分析は、例えば、単回帰分析であって、線形なモデル関数を設定するものであるとする。
図2および図3に、関数設定部101によって設定されるモデル関数の一例を示す。
図2は、同一カテゴリーの製品の製造段階における二酸化炭素排出量と製品の重量との関係の一例を示す図である。また、図3は、同一カテゴリーの製品の廃棄段階における二酸化炭素排出量と製品の重量との関係の一例を示す図である。図2および図3において、横軸(X軸)は製品の重量〔kg〕を表し、縦軸(Y軸)は二酸化炭素排出量〔kg−CO2〕を表す。また、参照符号501、601は、製品の重量に対する二酸化炭素排出量の実測値(入出力データ対)を表す。
図2に示すように、関数設定部101によって複数の入出力データ対501を用いて回帰分析を行うことにより、同一カテゴリーに属する製品の製造段階における二酸化炭素排出量と重量との関係を表すモデル関数502が設定される。同様に、図3に示すように、関数設定部101によって複数の入出力データ対601を用いて回帰分析を行うことにより、同一カテゴリーに属する製品の廃棄段階における二酸化炭素排出量と重量との関係を表すモデル関数602が設定される。
環境負荷量算出部102は、関数設定部101によって設定されたモデル関数と、評価対象の製品の仕様値とに基づいて、評価対象の製品の環境負荷量を算出する。具体的に、環境負荷量算出部102は、関数設定部101によって設定されたモデル関数Y=f(X)に評価対象の製品の仕様値“Xu”を代入することにより、評価対象の製品の環境負荷量Yu=f(Xu)を計算する。
次に、環境負荷評価装置1による処理手順について説明する。
図4は、環境負荷評価装置1による処理手順の一例を示す図である。
先ず、評価対象の製品と同一カテゴリーに属する評価済みの製品に関する仕様値Xk(i)および環境負荷量Yk(i)が、入出力データ対(Xk(i),Yk(i))として、環境負荷評価装置1に入力される(S101)。例えば、あるプリンタの二酸化炭素排出力量を算出したい場合、評価済みの別の複数のプリンタに関する仕様値(消費電力または重量)Xk(i)とその二酸化炭素排出力量Yk(i)が、入出力データ対(Xk(i),Yk(i))として入力される。なお、環境負荷評価装置1に対する入出力データ対(Xk(i),Yk(i))の入力は、例えば、評価者(ユーザ)が操作入力部12を介して行っても良いし、通信I/F部11を介した無線または有線によるデータの受信や、記録媒体からのデータの読出し、記憶部14からのデータの読出し等によって行っても良く、特に限定されるものではない。
次に、環境負荷評価装置1は、関数設定部101により、ステップS101で入力された入出力データ対(Xk(i),Yk(i))に基づいて回帰分析を行い、モデル関数Y=f(X)を設定する(S102)。関数設定部101によるモデル関数の設定方法は、上述のとおりである。
次に、評価対象の製品の仕様値Xuが、入力データとして環境負荷評価装置1に入力される(S103)。環境負荷評価装置1への入力データXuの入力は、上記の入出力データ対(Xk(i)、Yk(i))と同様に、操作入力部12や通信I/F部11等を介して行われる。
次に、環境負荷評価装置1は、環境負荷量算出部102により、ステップS102において設定したモデル関数Y=f(X)と、ステップS103において入力した仕様値Xuとに基づいて、評価対象の製品の環境負荷量Yu(=f(Xu))を算出する(S104)。具体的な算出方法は、上述したとおりである。これにより、ユーザは、評価対象の製品の仕様値Xuから、その製品の環境負荷量Yuを推定することができる。
以上、本発明に係る環境負荷評価装置1によれば、環境負荷量を評価したい製品と同一カテゴリーに属する評価済みの他の製品の仕様値および環境負荷量からモデル関数を推定し、推定したモデル関数を用いて評価対象の製品の仕様値から環境負荷量を算出するので、従来よりも容易に環境負荷量を推定することが可能となる。これにより、例えば従来のように評価対象の製品の製造段階や廃棄段階における環境負荷に関する情報を調査しなくても、評価対象の製品のカタログや仕様書等からその製品の消費電力や重量等の仕様値を調べれば足りるので、従来よりも情報の入手に係る手間やコストを削減することができる。したがって、本発明に係る環境負荷評価装置1によれば、従来に比べてより簡便且つ低コストに、製品の環境負荷の評価を行うことが可能となる。
≪実施の形態2≫
図5は、実施の形態2に係る環境負荷評価装置2の構成を示す図である。
同図に示される環境負荷評価装置2は、モデル関数Y=f(X)の説明変数として採用した製品の仕様値と環境負荷量との間の相関が高い場合にのみ、評価済みの製品の仕様値および環境負荷量から推定したモデル関数を用いて環境負荷量を算出する点において実施の形態1に係る環境負荷評価装置1と相違し、その他の点は環境負荷評価装置1と同様である。なお、実施の形態1に係る環境負荷評価装置1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
具体的に、環境負荷評価装置2は、データ処理制御部20における環境負荷量を算出するための機能部として、関数設定部101、相関係数算出部203、判定部204、および環境負荷量算出部202を備える。ここで、相関係数算出部203、判定部204、および環境負荷量算出部202は、関数設定部101と同様に、プロセッサがプログラム141に従って各種のデータ処理を実行することによって実現されるものである。
相関係数算出部203は、製品の仕様値と環境負荷量との相関係数を算出する。具体的には、上述した評価済みの製品の仕様値Xk(i)と環境負荷量Yk(i)とから成る入出力データ対(Xk(i)、Yk(i))に基づいて、製品の仕様値と環境負荷量との相関係数R2を算出する。例えば、相関係数R2は、下記式(1)に基づいて算出される。
Figure 0005856231
ここで、Vxyは、Xk(i)およびXk(i)の共分散であり、VxはXk(i)の分散、VyはYk(i)の分散を表す。また、分散Vx、Vyおよび共分散Vxyは、下記式(2)、(3)で表されるXk(i)の平均値XaveおよびYk(i)の平均値Yaveを用いて、下記式(4)乃至(6)で表すことができる。
Figure 0005856231
Figure 0005856231
Figure 0005856231
Figure 0005856231
Figure 0005856231
判定部204は、相関係数算出部203によって算出された相関係数R2と所定の閾値との大小関係を判定する。具体的には、相関係数R2が閾値Rthよりも大きい場合に、製品の仕様値と環境負荷量との相関が高いと判定し、相関係数R2が閾値Rthよりも小さい場合に、製品の仕様値と環境負荷量との相関が低いと判定する。一般的に、相関係数が0.5以上である場合、回帰分析による近似式の近似精度が高いとみなされることから、閾値Rthは、例えば“0.5”以上の値に設定することが望ましい。
環境負荷量算出部202は、相関係数R2が閾値Rthよりも大きいと判定された場合に、関数設定部101によって設定されたモデル関数Y=f(X)を用いて、評価対象の製品の仕様値Xuから当該製品の環境負荷量Yuを算出する。具体的には、前述の環境負荷量算出部102と同様に、モデル関数Y=f(X)の“X”に評価対象の製品の仕様値“Xu”を代入することにより、評価対象の製品の環境負荷量Yu(=f(Xu))を計算する。
一方、相関係数R2が閾値Rthよりも小さいと判定された場合には、環境負荷量算出部202は、関数設定部101によって設定されたモデル関数Y=f(X)を用いずに、評価対象の製品の環境負荷量を算出する。例えば、環境負荷量算出部202は、同一カテゴリーに属する複数の製品の環境負荷量の平均値を評価対象の製品の環境負荷量とする。具体的には、前述のモデル関数を設定する際に用いた複数の環境負荷量Yk(i)から、それら環境負荷量Yk(i)の平均値(例えば式(3)で表される加算平均等)を算出し、算出した平均値を評価対象の製品の環境負荷量Yuとして出力する。
次に、環境負荷評価装置2による処理手順について説明する。
図6は、環境負荷評価装置2による処理手順の一例を示す図である。
先ず、実施の形態1に係る環境負荷評価装置1と同様に、評価対象と同一カテゴリーに属する他の製品の仕様値Xk(i)および環境負荷量Yk(i)が環境負荷評価装置2に入力され(S101)、環境負荷評価装置2は、入力された入出力データ対(Xk(i)、Yk(i))に基づいてモデル関数Y=f(X)を設定する(S102)。
次に、環境負荷評価装置2は、相関係数算出部203によって、ステップS101において入力された仕様値Xk(i)および環境負荷量Yk(i)に基づいて、仕様値と環境負荷量との相関係数R2を算出する(S203)。相関係数R2の算出方法は、上述したとおりである。
次に、環境負荷評価装置2は、判定部204によって、ステップS203において算出した相関係数R2と閾値Rthとを比較する(S204)。比較の結果、相関係数R2が閾値Rthよりも高いと判定されたら、環境負荷評価装置2は、モデル関数Y=f(X)を用いて環境負荷量を算出する処理を開始する(S205)。その後の処理(S206〜S207)は、実施の形態1に係るステップS103〜S104と同様である。具体的には、環境負荷評価装置2は、入力した評価対象の製品の仕様値Xuをモデル関数Y=f(X)に代入することにより、評価対象の製品の環境負荷量Yu(=f(Xu))を算出する(S103〜S104)。これにより、ユーザは、評価対象の製品の仕様値Xuから、その製品の環境負荷量Yuを得ることが可能となる。
一方、S204における比較の結果、相関係数R2が閾値Rthよりも小さいと判定されたら、環境負荷評価装置2は、モデル関数Y=f(X)を用いずに環境負荷量の算出する処理を開始する(S208)。具体的には、前述したように、ステップS101において入力された複数の環境負荷量Yk(i)から、それらの平均値を算出し、算出した環境負荷量Yk(i)の平均値を評価対象の製品の環境負荷量Yuとして算出する(S209)。ステップS209で算出された環境負荷量Yuは、例えば、評価対象の製品の環境負荷量の参考値として、表示部13等を介してユーザに提示される。
以上、本発明に係る環境負荷評価装置2によれば、実施の形態1に係る環境負荷評価装置1と同様に、従来よりも容易に環境負荷量を推定することができるので、従来に比べてより簡便且つ低コストに、製品の環境負荷の評価を行うことが可能となる。
また、環境負荷評価装置2によれば、製品の仕様値と環境負荷量との相関が高く、推定したモデル関数(近似式)の近似精度が高いと判定した場合のみ、推定したモデル関数に基づいて環境負荷量を算出するので、算出精度の高い環境負荷量を評価者に提示することが可能となる。
≪実施の形態3≫
図7は、実施の形態3に係る環境負荷評価装置3の構成を示す図である。
同図に示される環境負荷評価装置3は、評価済みの製品の仕様値および環境負荷量から推定したモデル関数に基づいて階段状の関数を更に設定し、その階段状の関数に基づいて、所定の仕様値の範囲に属する未知の製品の環境負荷量を算出する点において、実施の形態2に係る環境負荷評価装置2と相違し、その他の点は環境負荷評価装置2と同様である。なお、実施の形態2に係る環境負荷評価装置2と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
具体的に、環境負荷評価装置3は、データ処理制御部30における環境負荷量を算出するための機能部として、第1関数設定部301、ずれ度算出部305、第2関数設定部306、相関係数算出部203、判定部204、および環境負荷量算出部302を備える。ここで、第1関数設定部301、ずれ度算出部305、第2関数設定部306、および環境負荷量算出部302は、相関係数算出部203等と同様に、プロセッサがプログラム141に従って各種のデータ処理を実行することによって実現されるものである。
第1関数設定部301は、実施の形態1に係る関数設定部101と同様に、評価済みの製品の仕様値Xk(i)および環境負荷量Yk(i)から成る入出力データ対(Xk(i)、Yk(i))に基づいて回帰分析を行うことにより、製品の仕様値を説明変数Yとし、製品の環境負荷量を目的変数Xとする第1モデル関数Y=f(X)を推定する。
ずれ度算出部305は、第1関数設定部301によって設定された第1モデル関数Y=f(X)の出力値と、評価済みの製品の環境負荷量Yk(i)とのずれの度合を示すずれ度σを算出する。具体的に、ずれ度算出部305は、下記式(7)を計算することによって、ずれ度σを算出する。ここで、Xk(i)は評価済みの製品の仕様値、Yk(i)は評価済みの環境負荷量、i(i=1、2、・・・n)は評価済みの製品を表す。また、f(Xk(i))は、X=Xk(i)のときのモデル関数Y=f(X)の出力値を表す。
Figure 0005856231
第2関数設定部306は、ずれ度算出部305によって算出したずれ度σと、第1関数設定部301によって設定した第1モデル関数Y=f(X)とに基づいて、階段状のモデル関数を設定する。具体的に、第2関数設定部306は、先ず、製品の仕様値を割り当てたX軸と環境負荷量を割り当てたY軸とから成る二次元平面において、第1モデル関数をずれ度σに応じてY軸の正方向に平行移動させた第2モデル関数Y=f(X)+σと、第1モデル関数をずれ度σに応じてY軸の負方向に平行移動させた第3モデル関数Y=f(X)−σとを定義する。次に、第2関数設定部306は、定義した第2モデル関数Y=f(X)+σと第3モデル関数Y=f(X)−σとに挟まれる領域において、仕様値Xの区間Wx_p(p=1、2、…m)毎に環境負荷量Yが離散的に変化する階段状のモデル関数Y=f(Wx_p)を設定する。
図8に、第2関数設定部306によって設定される階段状のモデル関数Y=f(Wx_p)の一例を示す。
同図において、参照符号700は、第1関数設定部301によって推定された第1モデル関数Y=f(X)し、参照符号701は、第2関数設定部306によって推定された第2モデル関数Y=f(X)+σを表し、参照符号702は、第2関数設定部306によって推定された第3モデル関数Y=f(X)−σを表す。また、参照符号703は、第2関数設定部302によって推定された階段状のモデル関数Y=f(Wx_p)を表す。
同図に示されるように、階段状のモデル関数703は、第2モデル関数701(Y=f(X)+σ)と第3モデル関数702(Y=f(X)−σ)とで挟まれる範囲において、仕様値Xの区間Wx_1、Wx_2、…、Wx_m毎に環境負荷量Yが一定値となるように設定される。なお、階段状のモデル関数803における夫々の区間Wx_1、…、Wx_mの幅は、ユーザ等によって予め所望の値に設定することができる。
環境負荷量算出部302は、判定部204による判定結果毎に異なる演算方法を採用して、評価対象の環境負荷量Yuを算出する。すなわち、相関係数R2が閾値Rthよりも小さいと判定された場合には、環境負荷量算出部302は、第2関数設定部306によって設定された階段状のモデル関数Y=f(Wx_p)を用いずに、評価対象の製品の環境負荷量を算出する。例えば、実施の形態2に係る環境負荷量算出部202と同様に、前述のモデル関数を設定する際に用いた複数の環境負荷量Yk(i)の平均値を、評価対象の製品の環境負荷量Yuとして算出する。
一方、相関係数R2が閾値Rthよりも大きいと判定された場合には、環境負荷量算出部302は、第2関数設定部306によって設定された階段状のモデル関数Y=f(Wx_p)を用いて、仕様値の区間(範囲)Wx_m毎に環境負荷量を算出する。例えば、評価対象の製品の消費電力が、例えば図8における仕様値の範囲Wx_2内に収まっていると推定される場合には、範囲Wx_2に対応する値Y2を評価対象の製品の環境負荷量として算出する。
次に、環境負荷評価装置3による処理手順について説明する。
図9は、環境負荷評価装置3による処理手順の一例を示す図である。
先ず、環境負荷評価装置3は、実施の形態2に係る環境負荷評価装置2と同様に、評価対象と同一カテゴリーに属する他の製品の仕様値Xk(i)および環境負荷量Yk(i)を入力し(S101)、入力した入出力データ対(Xk(i)、Yk(i))に基づいてモデル関数Y=f(X)を設定し(S102)、仕様値Xk(i)環境負荷量Yk(i)の相関係数R2を算出する(S203)。
次に、環境負荷評価装置3は、判定部204によって、ステップS203において算出した相関係数R2と閾値Rthとを比較する(S204)。比較の結果、相関係数R2が閾値Rthよりも小さいと判定されたら、環境負荷評価装置3は、ステップS102で設定したモデル関数Y=f(X)を用いずに環境負荷量の算出する処理を開始する(S305)。具体的には、前述したように、環境負荷量算出部302によって、ステップS101において入力された複数の環境負荷量Yk(i)から、それらの平均値を算出し、算出した環境負荷量Yk(i)の平均値を評価対象の製品の環境負荷量Yuとして算出する(S306)。この場合の環境負荷量Yuは、例えば評価対象の製品の環境負荷量の参考値として、表示部13等を介してユーザに提示される。
一方、ステップS204における比較の結果、相関係数R2が閾値Rthよりも高いと判定されたら、環境負荷評価装置3は、ステップS102に設定したモデル関数Y=f(X)を用いた環境負荷量の算出処理を開始する。
具体的には、先ず、環境負荷評価装置3は、ずれ度算出部305によって、第1モデル関数Y=f(X)の出力値と、評価済みの製品の環境負荷量Yk(i)とのずれ度σを算出する(S307)。ずれ度σの具体的な算出方法は、上述したとおりである。次に、環境負荷評価装置3は、第2関数設定部306によって、ずれ度σと第1モデル関数Y=f(X)とに基づいて、階段状のモデル関数Y=f(Wx_p)を設定する(S308)。
次に、環境負荷評価装置3は、環境負荷量算出部302によって、階段状のモデル関数Y=f(Wx_p)を用いた環境負荷量の算出処理を行う。
具体的には、先ず、環境負荷評価装置3は、階段状のモデル関数Y=f(Wx_p)によって定まる夫々の環境負荷量Yに対応する仕様値の範囲Wx_1、Wx_2、・・・、Wx_mを選択可能な仕様値の範囲としてユーザに提示する(S309)。例えば、“X”が製品の消費電力である場合、図10のように、仕様値の範囲Wx_1、Wx_2、・・・、Wx_mを、評価対象製品の消費電力の範囲としてリスト化し、表示部13に表示する。
次に、環境負荷評価装置3は、ユーザに提示した仕様値の範囲Wx_1、Wx_2、・・・、Wx_nのうち何れか一つの範囲を選択する(S310)。具体的には、環境負荷評価装置3は、上記のリスト化して提示した仕様値の範囲Wx_1、Wx_2、・・・、Wx_mの中から何れか一つの範囲の選択を促す画面を表示部13に表示し、その表示画面に従ってユーザが入力した指示に応じた仕様値の範囲Wx_uを選択する。例えば、図10には、評価対象製品の仕様値の範囲として提示したWx_1、Wx_2、・・・、Wx_mの中から、ユーザによって仕様値Wx_3が選択された場合が示されている。
次に、環境負荷評価装置3は、環境負荷量算出部302によって、選択した仕様値帯Wx_uを階段状のモデル関数Y=f(Wx_p)に代入することにより、評価対象の製品の環境負荷量Yu(=f(Wx_u))を算出する(S311)。これにより、ユーザは、所定の仕様値の範囲Wx_uに属する未知の製品の環境負荷量Yuを算出することが可能となる。
ここで、上記ステップS308における階段状のモデル関数Y=f(Wx_p)の設定方法について、図を用いて更に詳細に説明する。
図11は、階段状のモデル関数Y=f(Wx_p)の設定方法を説明するための図である。
図12は、階段状のモデル関数Y=f(Wx_p)の設定するための処理の処理手順の一例を示す図である。
図12に示されるように、先ず、環境負荷評価装置3における第2関数設定部306は、想定される環境負荷量の最大値Ymaxを設定する(S401)。想定される環境負荷量の最大値Ymaxとは、評価対象の製品の環境負荷量Yuとして想定される値の最大値であり、ゼロ以上の任意の値である。例えば、評価者(ユーザ)がキーボード等の外部入力装置を介して具体的な数値(データ)を入力し、入力された数値が最大値Ymaxとして設定される。
次に、第2関数設定部306は、階段状のモデル関数の規定するための各種パラメータを定義する(S402)。具体的には、連続する区間Wxの番号を示す区間番号m(mは1以上の整数。)と、区間Wx_mの始点を示す区間始点Xs_mと、区間Wx_mの終点を示す区間終点Xe_mと、区間Wx_mの環境負荷量を示す区間環境負荷量Yw_mを定義する。
次に、第2関数設定部306は、ステップS402で定義した各種パラメータの初期値を設定する(S403)。具体的には、先ず、“m=0”とし、区間始点Xs_0、区間終点Xe_0、区間環境負荷量Yw_0を設定する。次に、区間始点Xs_0と区間環境負荷量Yw_0の値を設定する。例えば、図11に示されるように、階段状のモデル関数Y=f(Wx_p)がX軸およびY軸の原点(0、0)を始点とする関数であるとした場合、区間始点Xs_0=0、区間環境負荷量Yw_0=0とする。
次に、第2関数設定部306は、区間環境負荷量Yw_mが想定される環境負荷量の最大値Ymax以上であるか否かを判定する(S404)。ステップS404において、区間環境負荷量Yw_mが想定される環境負荷量の最大値Ymax以上であれば、第2関数設定部306は、階段状のモデル関数を設定するための処理を終了する。
一方、区間環境負荷量Yw_mが想定される環境負荷量の最大値Ymaxよりも小さい場合には、第2関数設定部306は、次の区間Wx_m+1の区間環境負荷量Yw_m+1を算出する(S405)。具体的には、“(Yw_m+1−Yw_m)<2σ”となるようにYw_m+1を決定する。例えば、m=0の場合、Y0(=0)が想定される環境負荷量の最大値Ymaxよりも大きいので、第2関数設定部306は、(Yw_1−Yw_0)<2σとなるようにYw_1を決定する。なお、区間環境負荷量Yw_mは、すべての区間において同一の値であっても良いし、区間毎に値を変えても良い。
次に、第2関数設定部306は、モデル関数Y=f(X)の逆関数X=f-1(Y)に基づいて、環境負荷量が“Yw_m”となるときの“Xk”と、環境負荷量が“Yw_m+1”となるときの“Xk+1”を算出する(S406)。具体的には、Xk=f-1(Ym)およびXk+1=f-1(Ym+1)を解くことによってXk、Xk+1を算出する。例えば、図11において参照符号700で示されるモデル関数Y=f(X)が“Y=AX”であるときに、環境負荷量が“Yw_0”となるときのXkと、環境負荷量が“Yw_1”となるときのXk+1を算出する場合には、“Xk=(Yw_0)/A (=0)”および“Xk+1=Yw_1/A”を解くことによって、XkおよびXk+1を算出する。
次に、第2関数設定部306は、区間Wx_mの区間終点Xe_mを決定する(S407)。具体的には、ステップS406で算出した“Xk”と“Xk+1”の中間の値を区間終点Xe_mとする。すなわち、“Xe_m=(Xk+Xk+1)/2”を解くことによって、区間終点Xe_mを決定する。第2関数設定部306は、ステップS407で決定した区間終点Xe_mを、次の区間の区間始点Xs_m+1とする(S408)。以上の処理により、一つの区間における区間始点Xs_m、区間終点Xe_m、および区間環境負荷量Yw_mが決定される。
次に、第2関数設定部306は、区間番号mを“+1”だけインクリメントする(S409)。その後、その後、再びステップS404に戻り、上記の処理(S404〜S408)を繰り返し行うことにより、区間毎に、区間始点Xs_m、区間終点Xe_m、および区間環境負荷量Yw_mが夫々算出される。その後、ステップS404において区間環境負荷量Yw_mが想定される環境負荷量の最大値Ymax以上になったら、第2関数設定部306は、それまでの処理で算出した区間毎の各種パラメータで規定される関数を、階段状のモデル関数Y=f(Wx_m)として設定し、処理を終了する。
以上、本発明に係る環境負荷評価装置3によれば、実施の形態2に係る環境負荷評価装置2と同様に、従来よりも容易に環境負荷量を推定することができるので、従来に比べてより簡便且つ低コストに、製品の環境負荷の評価を行うことが可能となる。
また、環境負荷評価装置3によれば、製品の仕様値の範囲毎に環境負荷量を算出することができるので、ユーザは評価対象の製品の厳密な仕様値を調べる必要がない。すなわち、評価対象の製品の厳密な仕様値が不明であっても、その製品の大まかな仕様の範囲がわかっていれば、その仕様値の範囲を用いて環境負荷量を推定することができるので、評価対象の製品の調査等の手間を省くことでき、環境負荷の評価における更なる簡便化且つ低コスト化を図ることができる。
また、環境負荷評価装置3によれば、ずれ度σに基づいて階段状のモデル関数を定義するので、算出される環境負荷量の誤差をY=f(X)の偏差(2σ)の範囲に収めることができる。すなわち、環境負荷評価装置3によれば、計算精度を保ちつつ、環境負荷量を容易に算出することができる。
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、実施の形態1乃至3において、単回帰分析により、線形なモデル関数Y=f(X)を推定する場合を例示したが、これに限られない。例えば、製品の消費電力や重量等の夫々を説明変数として重回帰分析を行うことも、非線形なモデル関数を推定することも可能である。
また、環境負荷量の計算に用いるパラメータとして、製品の重量および消費電力を例示したが、これに限られない。例えば、製品の環境負荷量と相関がある仕様値であれば、その他の仕様値もパラメータとして用いることが可能である。例えば、製品の価格と環境負荷量に相関がある場合には、製品の価格をパラメータとして用いてもよい。また、環境負荷評価装置1乃至3によって算出される環境負荷量は、前述した二酸化炭素排出量に限られず、製品の仕様値と相関があるのであれば、メタン等のその他の温室効果ガス排出量や、消費エネルギー(例えば燃料消費量)であってもよい。
また、実施の形態3に係る環境負荷評価装置3において、評価済みの製品の仕様値と環境負荷量との間の相関が高い場合にのみ、階段状のモデル関数に基づいて環境負荷量を算出する場合を例示したが、これに限られない。例えば、実施の形態1に係る環境負荷評価装置1と同様に、相関係数R2の算出・判定を行うことなく、階段状のモデル関数を用いて環境負荷量を算出してもよい。
また、図10において、リスト化された仕様値の範囲の中から一つの範囲Wx_2を選択する場合を例示したが、これに限られず、複数の範囲を選択してもよい。この場合、選択された複数の範囲毎に環境負荷量を算出すればよい。
1、2、3…環境負荷評価装置、11…通信I/F部、12…操作入力部、13…表示部、10、20、30…データ処理制御部、14…記憶部、141…プログラム、142…計算結果、101…関数設定部、102、202、302…環境負荷量算出部、203…相関係数算出部、104、204…判定部、301…第1関数設定部、305…ずれ度算出部、306…第2関数設定部、501,601…モデル関数、502、602…実測データ、800…第1モデル関数、801…第2モデル関数、803…第3モデル関数、Wx_1〜Wx_m…仕様値の範囲(区間)。

Claims (7)

  1. 環境負荷の評価対象の製品と同一カテゴリーに属する複数の評価済みの製品の仕様値および環境負荷量に基づいて回帰分析を行うことにより、製品の仕様値を説明変数とし、製品の環境負荷量を目的変数とするモデル関数を設定する関数設定部と、
    前記関数設定部によって設定されたモデル関数と、前記評価対象の製品の仕様値とに基づいて、前記評価対象の製品の環境負荷量を算出する環境負荷量算出部と、
    前記評価済みの製品の仕様値と環境負荷量との相関係数を算出する相関係数算出部と、
    前記相関係数算出部によって算出された相関係数と所定の閾値との大小関係を判定する判定部とを有し、
    前記環境負荷量算出部は、前記相関係数が前記所定の閾値よりも大きいと判定された場合に、前記関数設定部によって設定されたモデル関数を用いて前記評価対象の製品の仕様値から前記評価対象の製品の環境負荷量を算出し、前記相関係数が前記所定の閾値よりも小さいと判定された場合に、前記関数設定部によって設定されたモデル関数を用いずに前記評価対象の製品の環境負荷量を算出する
    ことを特徴とする環境負荷評価装置。
  2. 請求項1に記載の環境負荷評価装置において、
    前記環境負荷量算出部は、前記相関係数が前記所定の閾値よりも小さいと判定された場合に、前記同一カテゴリーに属する複数の評価済みの製品の環境負荷量の平均値を前記評価対象の製品の環境負荷量として算出する
    ことを特徴とする環境負荷評価装置。
  3. 請求項1または2に記載の環境負荷評価装置において、
    前記製品の仕様値は、製品の消費電力または重量である
    ことを特徴とする環境負荷評価装置。
  4. 環境負荷の評価対象の製品と同一カテゴリーに属する複数の評価済みの製品の仕様値および環境負荷量に基づいて回帰分析を行うことにより、製品の仕様値を説明変数とし、製品の環境負荷量を目的変数とする第1モデル関数を設定する第1関数設定部と、
    前記第1関数設定部によって設定された前記第1モデル関数の出力値と前記評価済みの製品の環境負荷量とのずれの度合を示すずれ度を算出するずれ度算出部と、
    製品の仕様値を割り当てたX軸と環境負荷量を割り当てたY軸とから成る二次元平面において、前記第1モデル関数を前記ずれ度に応じてY軸の正方向に平行移動させた第2モデル関数と、前記第1モデル関数を前記ずれ度に応じてY軸の負方向に平行移動させた第3モデル関数とに挟まれる領域内において、前記製品の仕様値の区間毎に前記製品の環境負荷量が離散的に変化する階段状のモデル関数を設定する第2関数設定部と、
    前記第2関数設定部によって設定された前記階段状のモデル関数に基づいて、指定された仕様値の区間に対応する環境負荷量を算出する環境負荷量算出部と、を有する
    ことを特徴とする環境負荷評価装置。
  5. 請求項4に記載の環境負荷評価装置において、
    前記評価済みの製品の仕様値と環境負荷量の相関係数を算出する相関係数算出部と、
    前記相関係数算出部によって算出された前記相関係数と所定の閾値との大小関係を判定する判定部と、を更に有し、
    前記環境負荷量算出部は、前記判定部によって前記相関係数が前記所定の閾値よりも大きいと判定された場合に、前記階段状のモデル関数を用いて、指定された前記製品の仕様値の区間に対応する環境負荷量を算出し、前記判定部によって前記相関係数が前記所定の閾値よりも小さいと判定された場合に、前記同一カテゴリーに属する複数の評価済みの製品の環境負荷量の平均値を評価対象の製品の環境負荷量として算出する
    ことを特徴とする環境負荷評価装置。
  6. 関数設定部と、環境負荷量算出部と、相関係数算出部と、判定部とを有する情報処理装置を用いて評価対象の製品の環境負荷を評価する環境負荷評価方法であって、
    前記関数設定部が、環境負荷の評価対象の製品と同一カテゴリーに属する評価済みの製品の仕様値と前記評価済みの製品の環境負荷量とに基づいて回帰分析を行うことにより、前記評価済みの製品の仕様値と環境負荷量との関係を表すモデル関数を設定する第1ステップと、
    前記相関係数算出部が、前記評価済みの製品の仕様値と環境負荷量との相関係数を算出する第2ステップと、
    前記判定部が、前記相関係数算出部によって算出された相関係数と所定の閾値との大小関係を判定する第3ステップと、
    前記環境負荷量算出部が、前記第1ステップにおいて設定したモデル関数と、前記評価対象の製品の仕様値とに基づいて、前記評価対象の製品の環境負荷量を算出する第4ステップと、を含み、
    前記第4ステップは、
    前記環境負荷量算出部が、前記第3ステップにおいて前記相関係数が前記所定の閾値よりも大きいと判定された場合に、前記関数設定部によって設定されたモデル関数を用いて前記評価対象の製品の仕様値から前記評価対象の製品の環境負荷量を算出し、前記第3ステップにおいて前記相関係数が前記所定の閾値よりも小さいと判定された場合に、前記関数設定部によって設定されたモデル関数を用いずに前記評価対象の製品の環境負荷量を算出するステップを含む
    ことを特徴とする環境負荷評価方法
  7. 第1関数設定部と、ずれ度算出部と、第2関数設定部と、環境負荷量算出部とを有する情報処理装置を用いて評価対象の製品の環境負荷を評価する環境負荷評価方法であって、
    前記第1関数設定部が、環境負荷の評価対象の製品と同一カテゴリーに属する評価済みの製品の仕様値と前記評価済みの製品の環境負荷量とに基づいて回帰分析を行うことにより、前記評価済みの製品の仕様値と環境負荷量との関係を表す第1モデル関数を設定する第1ステップと、
    前記ずれ度算出部が、前記第1ステップにおいて設定された前記第1モデル関数の出力値と前記評価済みの製品の環境負荷量とのずれの度合を示すずれ度を算出する第2ステップと、
    前記第2関数設定部が、製品の仕様値を割り当てたX軸と環境負荷量を割り当てたY軸とから成る二次元平面における、前記第1モデル関数を前記ずれ度に応じてY軸の正方向に平行移動させた第2モデル関数と、前記第1モデル関数を前記ずれ度に応じてY軸の負方向に平行移動させた第3モデル関数とに挟まれる領域において、前記製品の仕様値の区間毎に前記製品の環境負荷量が離散的に変化する階段状のモデル関数を設定する第3ステップと、
    前記環境負荷量算出部が、前記第3ステップにおいて設定された前記階段状のモデル関数に基づいて、指定された仕様値の区間に対応する環境負荷量を算出する第4ステップと、を含む
    ことを特徴とする環境負荷評価方法。
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