JP5854910B2 - 研磨パッド - Google Patents

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本発明は研磨パッドに係り、特に、被研磨物を研磨加工するための研磨面を有する研磨層を備えた研磨パッドに関する。
従来ベアシリコン、半導体デバイス、磁気ディスク基板等の被研磨物では、表面を平滑化するために、研削加工や研磨加工が行われている。研磨加工では、通常、研磨パッドが使用され、砥粒(研磨粒子)をアルカリ溶液や酸溶液に分散させた研磨液(スラリ)が供給される。表面平坦性の向上を図るために、一度研磨加工(一次研磨)された後、更に仕上げの研磨加工(仕上げ研磨)が行われている。
仕上げ研磨用の研磨パッドには、通常、湿式成膜法によりウレタン樹脂で作製されたスエード様で軟質のウレタンシートが用いられる(例えば、特許文献1参照)。このような湿式ウレタンシートを用いた研磨パッドでは、その発泡構造によりスラリを保持しつつ研磨加工が行われる。ところが、湿式ウレタンシートでは、成膜時に形成されたスキン層の表面が平坦性に優れるため被研磨物の平坦性向上を図ることができるものの、スラリの保持能力が限られているため研磨レートを上げることが難しくなる。また、スキン層を除去し内部に形成された発泡を開孔させても開孔の大きさが小さいときは、スラリの流出入が容易ではないことから、研磨パッドが目詰まりしやすく、被研磨物に損傷を生じさせてしまう、という問題がある。これらの問題を解決するために、従来よりも開孔した発泡を浅くし、開孔径を大きくすることで、スラリの流出入を容易にし、研磨レートを向上させ研磨性能のバラツキを低減させた研磨パッドの技術が開示されている(特許文献2参照)。
特許第4659338号公報 特開2007−160474号公報
しかしながら、特許文献2の技術では、研磨パッドの表面(研磨面)の開孔径を大きくしたことで、スラリの流出入が容易となり、研磨レート向上を図ることができるものの、研磨面における開孔径が大きいために被研磨物のうねりが大きくなり、面品位が低下してしまう。また、開孔径の大きさにバラツキがある場合は、被研磨物のうねりがさらに大きくなり、面品位を低下させる要因となる。さらには、供給されたスラリを被研磨物の加工面(被研磨面)と研磨パッドの研磨面との間に均一に行きわたらせることが難しくなるため、加工面にスラリが不均一に存在することとなり被研磨物を均一に研磨加工することができなくなる。従って、被研磨物のうねりを低減するためには開孔径を小さく制限することが重要であり、研磨レートの向上を図るためにはスラリの流出入を容易にして循環性を向上させることが重要となる。
本発明は上記事案に鑑み、研磨液の循環性および研磨性能の向上を図ることができる研磨パッドを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、被研磨物を研磨加工するための研磨面を有する研磨層を備えた研磨パッドにおいて、前記研磨層は、厚み方向全体にわたる大きさを有する多数の発泡が形成されるとともに、前記研磨面に前記発泡の開孔が形成されており、かつ、前記発泡の前記厚み方向中央部から前記開孔の形成位置までの発泡形成方向が前記厚み方向に対して一定方向に傾斜した複数の樹脂シートで構成されており、前記複数の樹脂シートは前記発泡形成方向が前記樹脂シートごとに異なるように並置されたことを特徴とする。
この場合において、研磨層を、各樹脂シートにおける発泡形成方向が研磨加工時の回転方向と反対方向に向かうように各樹脂シートを並置し構成することができる。また、研磨層を、各樹脂シートにおける発泡形成方向が研磨面の中心方向に向かうように各樹脂シートを並置し構成することができる。研磨層を、各樹脂シートにおける発泡形成方向が研磨面の外縁方向に向かうように各樹脂シートを並置し構成することができる。また、発泡が、樹脂シートの厚み方向中央部から開孔の形成位置までが研磨面の背面側の底部までより小さい径を有するようにすることができる。発泡が、厚み方向中央部から背面側の底部までの発泡形成方向が厚み方向に沿うように形成されていてもよい。このとき、発泡が、研磨面近傍で該研磨面と平行な断面に形成された孔の中心をとおる垂直線が背面近傍で該背面と平行な断面と交わる位置が背面と平行な断面に同じ発泡で形成された孔の外側に位置するようにすることが好ましい。また、研磨層を4枚〜10枚の樹脂シートで構成することができる。研磨層を構成する樹脂シート間に隙間が形成されていてもよい。また、樹脂シートをウレタン樹脂製とすることができる。
本発明によれば、研磨層を構成する複数の樹脂シートに形成された多数の発泡の発泡形成方向が厚み方向に対して一定方向に傾斜しているため、研磨加工時に研磨圧が発泡の底側に作用し、研磨面の開孔から発泡内に流入した研磨液が発泡の底側に対して偏倚した開孔から流出しやすくなるとともに、発泡形成方向が複数の樹脂シートごとに異なるように並置されたため、流出した研磨液が研磨パッドおよび被研磨物間に均一に供給されるので、研磨液の循環性を向上させ研磨性能の向上を図ることができる、という効果を得ることができる。
本発明を適用した第1実施形態の研磨パッドを模式的に示し、(A)は平面図、(B)は(A)のb−b断面図である。 研磨パッドの製造工程の概略を示す工程図である。 湿式成膜法により作製された成膜樹脂シートにおける発泡の形成状態を模式的に示し、(A)は成膜樹脂シートの厚み方向の断面図であり、(B)は(A)のa−a断面、b−b断面およびc−c断面にそれぞれ形成された孔の中心の位置関係を模式的に示す説明図である。 研磨パッドを構成するウレタンシートに形成された発泡における傾斜の程度を模式的に示す説明図である。 湿式成膜法により作製された成膜樹脂シートからウレタンシートを作製するときの裁断状態を模式的に示す平面図である。 第2実施形態の研磨パッドを模式的に示し、(A)は平面図、(B)は(A)のb−b断面図である。 第3実施形態の研磨パッドを模式的に示し、(A)は平面図、(B)は(A)のb−b断面図である。 研磨パッドを構成するウレタンシート間に隙間を形成した状態を模式的に示す平面図である。 ウレタンシートの頂点を挟む2辺を曲線状に形成し構成した研磨パッドを模式的に示す平面図である。
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明を適用した研磨パッドの第1の実施の形態について説明する。
(構成)
図1(A)、(B)に示すように、本実施形態の研磨パッド10は、被研磨物を研磨加工するための研磨面Spを有する研磨層3を備えている。研磨層3は、4枚の四半円状の樹脂シートとしてのウレタンシート2が円形状に並置され構成されている。ウレタンシート2は、湿式成膜法によりポリウレタン樹脂で作製されている。
ウレタンシート2は、研磨面Spより内側(内部)に、多数の発泡4が略均等に分散した状態で形成されている。発泡4は、ウレタンシート2の厚み方向に縦長状で丸みを帯びており、厚みのほぼ全体にわたる大きさを有している。また、ウレタンシート2では、湿式成膜時に表面近傍の数μm程度の厚みで形成されたスキン層がバフ処理により除去されている。このため、研磨面Spでは、発泡4が開孔し開孔5が形成されている。発泡4同士の間のポリウレタン樹脂中には、発泡4より小さい多数の小発泡(不図示)が形成されている。ウレタンシート2では、発泡4および小発泡が網目状に連通しており、発泡が連続状に形成された連続発泡構造を有している。
発泡4は、ウレタンシート2の厚み方向中央部から研磨面Sp側の上部層と、厚み方向中央部から研磨面Spの背面(以下、裏面Srという。)側の下部層とで形成状態が異なっている。すなわち、発泡4は、上部層での孔径が下部層での孔径より小さく形成されている。換言すると、発泡4は、下部層における容積が上部層における容積より大きく形成されている。また、発泡4は、上部層における厚み方向中央部から開孔5の形成位置までの発泡形成方向が厚み方向に対して一定方向に一様に傾斜するように形成されており、下部層における厚み方向中央部から裏面Sr側の発泡端部(底部)までの発泡形成方向が厚み方向に沿うように形成されている。換言すれば、発泡4の発泡形成方向は、上部層では厚み方向に対して傾斜する方向(図1(B)の矢印UD方向)に沿っており、下部層では厚み方向(矢印BD方向)に沿っている。
研磨層3を構成する4枚のウレタンシート2では、発泡4の傾斜方向が異なるように並置されている。すなわち、図1(A)に示すように、各ウレタンシート2では、厚み方向中央部から開孔5に向かう方向(矢印SD方向、以下、傾斜方向SDと略記する。)が隣り合うウレタンシート2で90度ずつずれるように並置されている。換言すれば、研磨層3は、各ウレタンシート2における発泡4の傾斜方向SDが、いずれも、研磨加工時の研磨パッド10の回転方向(矢印RD方向、以下、回転方向RDと略記する。)と反対の方向に向かうように、4枚のウレタンシート2が並置され構成されている。
また、研磨パッド10は、ウレタンシート2の裏面Sr側に、基材7が図示を省略した接着剤を介して貼り合わされている。基材7には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルム等の可撓性フィルムが用いられている。接着剤としては、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系等の接着剤を用いることができるが、本例では、アクリル系接着剤が用いられている。基材7の一面側が接着剤を介してウレタンシート2と貼り合わされており、基材7の他面側(ウレタンシート2と反対側)には、研磨機に研磨パッド10を装着するための両面テープ8の一面側が貼り合わされている。両面テープ8は、図示しない基材を有しており、基材の両面にアクリル系粘着剤等の感圧型粘着剤層(不図示)がそれぞれ形成されている。基材7の他面側に貼り合わされた両面テープ8の他面側は、粘着剤層の表面が剥離紙(不図示)で覆われている。
(製造)
研磨パッド10は、湿式成膜法により作製され裁断されたウレタンシート2と両面テープ8とを貼り合わせることで製造される。すなわち、図2に示すように、ポリウレタン樹脂を溶解させた樹脂溶液を準備する準備工程、成膜基材に樹脂溶液を塗布し、凝固液中で樹脂溶液を凝固させてシート状のポリウレタン樹脂を形成するシート形成工程、シート状のポリウレタン樹脂を洗浄し乾燥させる洗浄・乾燥工程、スキン層側にバフ処理を施し厚みの均一化を図るバフ処理工程、四半円状に裁断しウレタンシート2を作製する裁断工程、得られたウレタンシート2と両面テープ8とを貼り合わせる貼り合わせ工程を経て研磨パッド10が製造される。以下、工程順に説明する。
準備工程では、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂を溶解可能な水混和性の有機溶媒および添加剤を混合してポリウレタン樹脂を溶解させる。有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)やN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等を挙げることができるが、本例では、DMFを用いる。ポリウレタン樹脂は、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等の樹脂から選択して用いることができる。上述した発泡構造を形成することを考慮すれば、DMFにポリウレタン樹脂を20重量%で溶解させた樹脂溶液について、B型回転粘度計を使用し25℃で測定した粘度が3〜10Pa・sの範囲、好ましくは3〜6Pa・sの範囲の樹脂を選定し用いることが望ましい。このポリウレタン樹脂を10〜30重量%の範囲、好ましくは15〜25重量%の範囲となるようにDMFに溶解させる。樹脂溶液の粘性は、用いるポリウレタン樹脂の濃度や分子量に加えて、分子構造にも依存するため、これらを総合的に考慮し、ポリウレタン樹脂の選定や濃度設定等を行うことが重要である。
また、添加剤としては、発泡4の大きさや量(個数)および上部層における傾斜状の発泡形成を制御するために、カーボンブラック等の顔料、親水性添加剤、疎水性添加剤等を用いることができる。これらの添加剤には、通常用いられる各種の材料を用いることができる。得られた溶液を減圧下で脱泡して樹脂溶液を得る。
シート形成工程では、準備工程で得られた樹脂溶液を常温下でナイフコータ等の塗布装置により帯状の成膜基材にシート状に略均一に塗布する。このとき、ナイフコータ等と成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、樹脂溶液の塗布厚み(塗布量)を調整する。本例では、塗布厚みが0.8〜1.2mmの範囲となるようにクリアランスを調整する。成膜基材としては、樹脂製フィルム、布帛、不織布等を用いることができるが、本例では、PET製フィルムを用いる。
成膜基材に塗布された樹脂溶液を、ポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液(水系凝固液)中に連続的に案内する。凝固液には、ポリウレタン樹脂の再生速度を調整するために、DMFやDMF以外の極性溶媒等の有機溶媒を添加してもよいが、本例では、水を使用する。また、本例では、凝固液の温度を15〜20℃に設定する。凝固液中では、まず、樹脂溶液と凝固液との界面に皮膜が形成され、皮膜の直近のポリウレタン樹脂中にスキン層が形成される。その後、樹脂溶液中のDMFの凝固液中への拡散と、ポリウレタン樹脂中への水の浸入との協調現象により連続発泡構造を有するポリウレタン樹脂の再生が進行する。このとき、成膜基材のPET製フィルムが凝固液を浸透させないため、DMFと水との置換がスキン層側で生じ、成膜基材側がスキン層側より大きい発泡4が形成され、成膜樹脂シートが作製される。
ここで、ポリウレタン樹脂の再生に伴う発泡形成について説明する。ポリウレタン樹脂では凝集力が大きくなるために皮膜の直近のポリウレタン樹脂中で急速に再生が進行し、スキン層が形成される。本例では、凝固液に水のみが使用されており、かつ、凝固液の温度が比較的低温の15〜20℃に設定されている。このため、水と接触する部分で樹脂溶液が急速に凝固し表面に緻密なスキン層が形成されることから、水とDMFとの相互拡散が抑制される。一方、ポリウレタン樹脂の濃度が10〜30重量%の範囲に調整されているため、凝固スピードが緩やかとなる。従って、樹脂溶液内への水の浸透量が少なくなり、ポリウレタン樹脂の再生が緩慢に進行する。また、樹脂溶液の粘度が3〜10Pa・sの範囲に調整されている。このため、凝固液中で先に再生するスキン層側と、不完全な再生状態の成膜基材側とで粘性の差が大きくなることで、上部層での発泡4が傾斜するように形成される。さらに、DMFの樹脂溶液からの脱溶媒、すなわち、DMFと水との置換により、発泡4および小発泡の形成が進行し、発泡4および小発泡が網目状に連通する。
また、成膜基材に塗布された樹脂溶液が連続的に凝固液中に案内される。このとき、凝固液中における樹脂溶液(成膜基材)の搬送スピードを1〜10m/minに設定する。この搬送スピードの調整により、上部層側では、発泡4が成膜基材の進行方向に対して前方側に傾斜するように形成されやすくなる。換言すれば、上部層における発泡4は、スキン層側の発泡端部までの発泡形成方向が厚み方向に対して成膜基材の長手方向、すなわち、成膜基材上に再生するポリウレタン樹脂の長手方向に傾斜するように形成される。また、発泡4は、ポリウレタン樹脂の長手方向と交差する幅方向の断面から見たときは、垂直方向、すなわち、厚み方向に沿うように形成される。換言すれば、発泡4は、上部層では厚み方向に対して一定方向に一様に傾斜するように形成され、下部層では厚み方向に沿うように形成される。なお、ポリウレタン樹脂が成膜基材上で再生されることから、成膜基材の表面に接触して形成された裏面Srでは、発泡4の開孔は形成されていない。
図3(A)、(B)に示すように、作製された成膜樹脂シート20では、上部層で発泡4が傾斜するように形成されているため、スキン層側の表面近傍で該表面と平行な断面に発泡4により形成された孔の中心をとおる垂直線がスキン層と反対の裏面Sr近傍で該裏面Srと平行な断面と交わる位置が裏面Srと平行な断面に同じ発泡4で形成された孔の外側に位置する。すなわち、図3(A)に示すように、表面近傍である表面から50〜100μm程度内側の位置(矢印aの位置)、成膜樹脂シート20の厚み方向中央部の位置(矢印bの位置)、裏面Sr近傍である裏面Srから50〜100μm程度内側の位置(矢印cの位置)とする。この場合、図3(B)に示すように、表面近傍のa−a断面では、発泡4により、中心Maの孔Haが形成される。同様に、成膜樹脂シート20の厚み方向中央部のb−b断面では同じ発泡4により中心Mbの孔Hbが形成され、裏面Sr近傍のc−c断面では同じ発泡4により中心Mcの孔Hcが形成される。孔Haの中心Ma、孔Hbの中心Mb、孔Hcの中心Mcは、厚み方向に揃うことなく、ズレた位置に位置している。つまり、孔Haの中心Maをとおる垂直線Lがc−c断面と交点Qで交わる。このため、交点Qは孔Hcの外側に位置することとなる。また、孔Hcの半径をRcとし、孔Hcの中心Mcと交点Qとの距離をLcとしたときに、距離Lcが半径Rcの2〜5倍の大きさを有している。
次に、成膜樹脂シート20、すなわち、バフ処理、裁断後に得られるウレタンシート2に形成された発泡4の傾斜の程度について説明する。図4に示すように、成膜樹脂シート20の長手方向に沿う厚み方向の断面では、厚み方向中央でスキン層表面と平行な断面(図3(B)のb−b断面参照。)に発泡4により中心M1の孔が形成されることとなる。この中心M1をとおり厚み方向(図4の上下方向)と直交する方向(図4の左右方向)の直線と、発泡4のスキン層側の頂点M2をとおり成膜樹脂シート20の厚み方向の直線との交点をPとすると、中心M1と頂点M2とを結ぶ線分を斜辺とする直角三角形が形成される。この直角三角形では、中心M1から頂点M2を見たときに仰角θが形成される。成膜樹脂シート20の上部層では、この仰角θが10〜80度の範囲となるように発泡4が形成されている。この場合、中心M1と交点Pとを結ぶ線分の長さをxとし、頂点M2と交点Pとを結ぶ線分の長さをyとしたときに、tanθ=y/xが0.18〜5.67の範囲となる。ここで、仰角θは、三次元計測X線CTを使用して成膜樹脂シート20の内部断面写真を非破壊で撮影し、画像解析装置にて中心M1と頂点M2とを位置決めすることにより得られた値である。簡易的には、湿式成膜時の長手方向に沿う厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡にて撮影し、中心M1と頂点M2とを決定することで仰角θを算出することも可能である。
図2に示すように、洗浄・乾燥工程では、シート形成工程で得られた成膜樹脂シート20を水等の洗浄液中で洗浄してポリウレタン樹脂中に残留するDMFを除去した後、乾燥させる。成膜樹脂シート20の乾燥には、本例では、内部に熱源を有するシリンダを備えたシリンダ乾燥機を用いる。成膜樹脂シート20がシリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。乾燥後の成膜樹脂シート20をロール状に巻き取る。
バフ処理工程では、乾燥後の成膜樹脂シート20におけるスキン層の表面側にバフ処理を施す。ロール状に巻き取られた成膜樹脂シート20では、成膜時に厚みバラツキが生じている。スキン層と反対の裏面Srに、平坦な表面を有する圧接ローラの表面を圧接することで、スキン層表面側に凹凸が出現する。このスキン層表面側に出現した凹凸がバフ処理で除去される。本例では、連続的に作製された成膜樹脂シート20が帯状のため、裏面Srに圧接ローラを圧接しながら、スキン層側が連続的にバフ処理される。これにより、バフ処理されて平坦な研磨面Spが形成された成膜樹脂シート20は、厚みバラツキが解消され、研磨面Spに開孔5が形成される。なお、成膜樹脂シート20の単体では両面共に成膜樹脂シート20の厚みが一様となる凹凸を呈しており、後述するように、基材7を貼り合わせることや研磨機に装着することで研磨面Spが平坦となる。
裁断工程では、まず、バフ処理後の成膜樹脂シート20に接着剤を介して基材7を貼り合わせる。次に、図5に示すように、基材7を貼り合わせた成膜樹脂シート20から、四半円状、つまり、中心角90度の扇状のウレタンシート2を裁断する。上述したように、成膜樹脂シート20では、シート形成工程における進行方向(矢印CD方向、以下、進行方向CDと略記する。)前方側に傾斜した発泡4が形成されている。すなわち、進行方向CDが発泡4の傾斜方向SDとなる。傾斜方向SDと交差する方向、つまり、成膜樹脂シート20の幅方向一側に扇型の頂点部分、他側に扇型の円弧部分がそれぞれ位置するように裁断することでウレタンシート2が得られる。なお、図5では、説明をわかりやすくするためにウレタンシート2の間隔を大きく示しているが、製造歩留まりの向上を図るうえでは、間隔を極力小さくすることが好ましい。
図2に示すように、貼り合わせ工程では、裁断工程で基材7と貼り合わせ裁断したウレタンシート2と、両面テープ8とを貼り合わせる。すなわち、4枚のウレタンシート2が円形状に並置されるように、ウレタンシート2の裏面Srに貼り合わされた基材7と両面テープ8とを貼り合わせる。このとき、隣り合うウレタンシート2間に隙間が形成されないように各ウレタンシート2を1枚の両面テープ8上に並置し、円形状となった研磨層3の外周に合わせて両面テープ8を切り抜く。上述したように、発泡4の傾斜方向SDが成膜樹脂シート20の進行方向CDと同じであり、成膜樹脂シート20の幅方向一側にウレタンシート2の頂点部分が位置するように裁断したため、ウレタンシート2を円形状に並置することで傾斜方向SDがウレタンシート2ごとに異なることとなる。そして、キズや汚れ、異物等の付着がないことを確認する等の検査を行い、研磨パッド10を完成させる。
得られた研磨パッド10を用いて被研磨物の研磨加工を行うときは、例えば、両面研磨機の対向配置された2つの定盤にそれぞれ研磨パッド10を装着する。研磨パッド10の装着時には、剥離紙を取り除き露出した両面テープ8の粘着剤層で貼付する。2つの定盤に貼付された研磨パッド10では、いずれも研磨面Spが略平坦となる。2つの定盤間に被研磨物を挟み、少なくとも一方の定盤を回転させることで、2枚の研磨パッド10の間に挟まれた被研磨物の両面を同時に研磨加工する。このとき、被研磨物に研磨圧をかけ、研磨粒子を含む研磨液(スラリ)を供給する。
次に、本実施形態の研磨パッド10の作用等について説明するが、説明をわかりやすくするために、まず、従来湿式成膜法により作製されたウレタンシートを用いた研磨パッドについて説明する。従来の研磨パッドを構成するウレタンシートでは、湿式成膜時にウレタンシートの厚み全体にわたる多数の発泡が形成されるものの、発泡が厚み方向に沿う垂直方向に形成されている。このため、従来のウレタンシートでは、研磨面近傍で研磨面と平行な断面に発泡により形成された孔の中心をとおる垂直線が裏面近傍で裏面と平行な断面と交わる位置が裏面と平行な断面に同じ発泡で形成された孔の内部に位置する(図3も参照)。このようなウレタンシートを用いた従来の研磨パッドでは、発泡構造によりスラリを保持しつつ研磨加工が行われるが、研磨レートを上げることが難しく、また、発泡内へのスラリの流出入が容易ではないことから、研磨パッドが目詰まりしやすく、被研磨物に損傷を生じさせることがある。すなわち、研磨加工時には、被研磨物が研磨面の開孔を塞ぐように位置するため、スラリが開孔から発泡内に流入しにくく、また、研磨圧により発泡の底部が押圧されても、流入したスラリが開孔から流出しにくくなる。開孔した発泡を浅くし、開孔径を大きくすることで、スラリの流出入を向上させ、研磨レートの向上を図ることができるものの、開孔径が大きくなると被研磨物のうねりも大きくなり、面品位が低下してしまう。また、開孔径の大きさにバラツキがあると、被研磨物のうねりがさらに大きくなる。さらに、供給されたスラリを被研磨物と研磨パッドとの間に均一に行きわたらせることが難しくなるため、被研磨物の加工面にスラリが不均一に存在することとなり被研磨物を均一に研磨することができなくなる。本実施形態は、これらの問題を解決することができる研磨パッド10である。
本実施形態の研磨パッド10では、発泡層3を構成する4枚のウレタンシート2が円形状に並置されており、各ウレタンシート2における発泡4の形成方向が厚み方向に対して一定方向に傾斜している。この研磨層3では、各ウレタンシート2が、発泡4の厚み方向中央部から開孔5までの傾斜方向SDが研磨加工時における研磨パッド10の回転方向RDと反対の方向となるように並置されている(図1(A)参照)。すなわち、研磨面Spに形成された開孔5の位置が発泡4の底側の位置に対して偏倚している。このため、研磨加工時には、スラリが開孔5から発泡4内に流入しやすくなり、研磨圧がかけられると、発泡4内のスラリが発泡4の底側の位置に対して偏倚した位置の開孔5から流出しやすくなる。これにより、被研磨物および研磨パッド間に効果的にスラリが供給されるので、スラリの循環性を向上させることができ、研磨レートの向上を図ることができる。
また、本実施形態では、発泡4における中心M1と頂点M2とを結ぶ線分を斜辺とする直角三角形で中心M1から頂点M2を見たときの仰角θが10〜80度の範囲、すなわち、tanθが0.18〜5.67の範囲となるように発泡4が形成されている(図4参照)。このため、研磨圧がかけられたときに、研磨面Spに対する局所的な応力が下部層側で近接して形成された複数の発泡4で緩和されるので、被研磨物に対する応力ムラを低減することができる。これにより、被研磨物に対する押圧力が均等化されるので、平坦性精度を向上させることができる。被研磨物の面内均一性を向上させることを考慮すれば、仰角θが30〜60度の範囲、すなわち、tanθが0.58〜1.73の範囲の範囲となるように、発泡4が形成されていることが好ましい。
更に、本実施形態では、発泡4は、下部層における容積が上部層における容積より大きく形成されている。このため、研磨加工時に、スラリを貯留しやすくなり、研磨圧がかけられると、下部層側の発泡底部に押圧力がかかりやすく、開孔5に向けて効率よくスラリを押し出すことができる。これにより、スラリの循環性を向上させることができる。また、下部層での孔径が大きく形成されたため、研磨加工時の研磨圧により、クッション性を発揮することができる。さらに、発泡4が上部層で傾斜するように形成されているため、被研磨物に対する押圧力が均等化される。従って、スラリの循環性が向上し、被研磨物に対する押圧力が均等化するため、研磨面Spの平坦性を確保しつつ被研磨物の平坦性向上を図ることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。なお、本実施形態以下の実施形態において第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる箇所のみ説明する。本実施形態では、各ウレタンシート2における発泡4の傾斜方向SDが研磨面Spの中心方向に向かうように各ウレタンシート2を並置し、研磨層3を構成するものであるが、詳細は次のとおりである。
図6(A)、(B)に示すように、本実施形態の研磨パッド10では、研磨層3が、4枚のウレタンシート2における発泡4の傾斜方向SDが研磨面Spの中心方向に向かうように構成されている。このような研磨パッド10の製造時には、裁断工程において、成膜樹脂シート20から4枚の四半円状のウレタンシート2を裁断するが、シート形成工程での成膜樹脂シート20の進行方向CDの前方側に頂点部分、後方側に円弧部分がそれぞれ位置するように裁断する(図5も参照)。
本実施形態の研磨パッド10では、発泡層3を構成する各ウレタンシート2が、発泡4の傾斜方向SDが研磨面Spの中心方向に向かうように並置されている(図6(A)参照)。通常、研磨加工時に研磨パッド10が回転すると、スラリに遠心力が作用することで、スラリが研磨パッド10の外周方向へ流出しやすくなるため、被研磨物の外周部と中心部とで研磨量に差が生じ、平坦性精度を低下させることがある。本実施形態の研磨パッド10では、研磨加工時に遠心力が作用するとスラリが開孔5から発泡4内に流入しやすくなり、研磨圧がかけられることで発泡4内のスラリが発泡4の底部の位置に対して偏倚した位置の開孔5から流出しやすくなる。発泡4内のスラリは、研磨面Spの中心側に流出するため、被研磨物および研磨パッド10間にスラリを滞留させやすくすることができる。これにより、スラリの循環性が向上するので、被研磨物の外周部と中心部との研磨量に差が生じることを低減することができるうえ、研磨パッド10の外側へのスラリの流出量が低減するので、スラリの使用効率を向上させることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。本実施形態では、各ウレタンシート2における発泡4の傾斜方向SDが研磨面Spの外周(外縁)方向に向かうように各ウレタンシート2を並置し、研磨層3を構成するものであるが、詳細は次のとおりである。
図7(A)、(B)に示すように、本実施形態の研磨パッド10では、研磨層3が、4枚のウレタンシート2における発泡4の傾斜方向SDが研磨面Spの外周方向に向かうように構成されている。このような研磨パッド10の製造時には、裁断工程において、成膜樹脂シート20から4枚の四半円状のウレタンシート2を裁断するが、シート形成工程での成膜樹脂シート20の進行方向CDの前方側に円弧部分、後方側に頂点部分がそれぞれ位置するように裁断する(図5も参照)。
本実施形態の研磨パッド10では、発泡層3を構成する各ウレタンシート2が、発泡4の傾斜方向SDが研磨面Spの外周方向に向かうように並置されている(図7(A)参照)。上述したように、研磨加工時に研磨パッド10が回転するとスラリに遠心力が作用するため、スラリが研磨パッド10の外周方向へ流出しやすくなる。本実施形態の研磨パッド10では、発泡4の傾斜方向SDが外周方向に向いているため、研磨加工時に遠心力が作用することでスラリを一層流出させやすくすることができる。これにより、スラリの循環性が向上し、流出量が高められることで、研磨加工中の摩擦熱や研磨荷重による砥粒の凝集、固化が低減するので、研磨面Spにおける開孔5の目詰まりを生じにくくし、被研磨物に対するスクラッチ等の欠点の発生を抑制することができる。
なお、上記実施形態の研磨パッド10では、隣り合うウレタンシート2間に隙間が形成されないように各ウレタンシート2を並置し、研磨層3を構成する例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、図8に示すように、隣り合うウレタンシート2間に隙間9が形成されるようにしてもよい。このようにすれば、隙間9が溝の役割を果たすため、スラリの流出性が高まり研磨性能、とりわけ研磨レートの向上を図ることができる。ウレタンシート2間に隙間9を形成するか否かは、被研磨物の種類や要求される研磨性能にあわせて選択することができる。例えば、仕上げ研磨加工に用いる研磨パッドとしては、溝の形成に伴う研磨面での凹凸形状が被研磨物に転写され平坦性を低下させる場合があることから、ウレタンシート2間に隙間9を形成せずに研磨層3を構成することが好ましい。
また、研磨パッド10の製造上、裁断工程でウレタンシート2を作製するときにウレタンシート2の側面(研磨面Spおよび裏面Srと交差する面)に発泡4の底部側の開口が形成されることがある。このため、隣り合うウレタンシート2間に隙間9を形成したときは、形成された溝の内側面に開口が形成されるため、上述した効果を得ることが難しくなる。さらには、溝縁部からの損傷が生じやすくなり、研磨パッドの寿命が低下することがある。これらを回避するためには、例えば、裁断した側面を加熱圧着処理し、開口を閉塞するようにしてもよい。また、ウレタンシート2間に隙間9を形成せずに研磨層3を構成した後に、エンボス加工を施すことも可能である。このようにすれば、裁断した側面に形成された開口による影響を回避することができるうえに、溝を形成したときと同様の効果を得ることができる。
更に、上記実施形態の研磨パッド10では、研磨層3を4枚のウレタンシート2で構成する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、4〜10枚の範囲で選定することができる。この範囲のウレタンシート2で研磨層3を構成することにより、研磨面Spにスラリを均一に循環供給することができる。研磨層3を構成するウレタンシート2の枚数が少なすぎる場合は、スラリの循環供給性が不十分となり、研磨性能の低下を招くことがある。また、発泡4の傾斜方向SDを効果的に制御することが難しくなることがあり、好ましくない。反対に、ウレタンシート2の枚数が多すぎる場合は、ウレタンシート2の隣り合う部分が増えるため、研磨面Spの平坦性の点で不十分となる。
また更に、上記実施形態の研磨パッド10では、四半円状に裁断した4枚のウレタンシート2を並置し円形状の研磨層3を構成する例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。研磨層3の形状としては、円形状以外に、矩形状等の多角形状としてもよい。また、ウレタンシート2では、頂点を挟む2辺を直線状とする例を示したが、曲線状とすることもできる。例えば、図9に示すように、研磨層3の中心を頂点とし頂点から外周に向かう2つの円弧状の曲線で挟まれるウレタンシート2を並置するようにしてもよい。曲線の形状としては、特に制限はないが、連続した滑らかな曲線状であればよい。このように曲線状に形成したウレタンシート2を隙間が形成されるように並置してもよいことはもちろんである。このようにすれば、隣り合うウレタンシート2間に形成した隙間が、曲線状の溝を形成することとなる。これにより、溝の長さが直線状の溝と比較して長くなるため、研磨面Sp内におけるスラリの循環性を向上させることができる。換言すれば、スラリの循環性向上を目的とした曲線状の溝が形成されるように、ウレタンシート2の2辺を曲線状に裁断すればよい。
更にまた、上記実施形態では、裁断工程で基材7を貼り合わせ、貼り合わせ工程で両面テープ8を更に貼り合わせる例を示したが、本発明は裁断工程で基材7を貼り合わせることなくウレタンシート2を裁断し、貼り合わせ工程で両面テープ8とウレタンシート2とを貼り合わせるようにしてもよい。この場合、両面テープ8の基材が研磨パッドの基材を兼ねることとなる。また、PET製フィルムの基材を有し、基材の両面に粘着剤層が形成された両面テープ8を例示したが、本発明は基材や粘着剤の材質に制限されるものではない。基材を有していない粘着剤のみで構成されるノンサポート型のテープを用いることもできる。このようにすれば、両面テープ8を構成する基材の材質によらず、所望の基材と貼り合わせることができる。基材7としても、PET製フィルム以外の材質を用いてもよいことはもちろんである。また、裁断工程で基材7を貼り合わせずに、貼り合わせ工程でウレタン樹脂製のフィルムを基材7として用い、当該フィルムとウレタンシート2とをウレタン樹脂を介して接合するようにしてもよい。この場合は、ウレタン樹脂をDMF等に溶解させた溶液とし、フィルムとウレタンシート2との間に介在させればよい。DMFを揮発除去することにより、フィルムとウレタンシート2とがウレタン樹脂を介して一体化するため、研磨加工時等の剥離を抑制することができる。更に、上記実施形態では、貼り合わせ工程で両面テープ8と貼り合わせることで円形状の研磨パッド10を構成する例を示したが、裁断工程で成膜樹脂シート20、両面テープ8、基材7、両面テープ8をこの順に貼り合わせた後、裁断したウレタンシート2を研磨機の定盤に直接装着するようにすることも可能である。
また、上記実施形態では特に言及していないが、基材7には、厚みが100〜200μm程度のものを用いることが好ましい。このようにすれば、裁断するときに基材7のバリ等が発生することを抑制することができる。また、両面テープ8として、基材の両面に粘着剤層が形成されたものを使用する場合は、基材の厚みが60〜200μm程度のものを用いることが好ましい。このようにすれば、研磨加工時に研磨パッド10が研磨機の定盤から剥がれることを抑制することができる。
更にまた、上記実施形態では、研磨パッド10を構成するウレタンシート2がポリウレタン樹脂製の例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。研磨パッド10としては、研磨層3が複数の樹脂製のシートで構成されていればよい。樹脂製シートとしては、ポリウレタン樹脂に代えて、ポリエステルやポリエチレン等を用いるようにしてもよい。さらに、本実施形態では、湿式成膜法により作製したウレタンシート2を例示したが、本発明はこれに制限されるものではない。研磨層3を構成するウレタンシートとしては、内部に形成された発泡が厚み方向に対して一定方向に傾斜していればよく、例えば、乾式法で作製することも可能である。このことは、例えば、次のようにすることで実現することができる。すなわち、発泡ポリウレタン樹脂を硬化成型する際に、注型された原料混合液を型枠の上下方向と、対向する2辺間との2方向から圧力を加えながら型枠内で反応、硬化させることで、同じ方向に長尺な楕円体状の発泡を形成させる。得られた発泡体ブロックを、10〜80度の範囲で傾斜した方向にスライスすることにより、発泡の形成方向が厚み方向に対して一定方向に傾斜したポリウレタンシートを作製することができる。得られたポリウレタンシートを裁断し、発泡の形成方向がシートごとに異なるように並置すればよい。スラリの循環性やクッション性等を考慮すれば、湿式成膜法により形成される連続状の発泡構造を有する樹脂シートが好ましい。
また、上記実施形態では、湿式成膜法における条件、例えば、樹脂溶液の濃度や温度、凝固液中での搬送速度等を変えることで、上部層と下部層との厚み割合を変えることができる。すなわち、ウレタンシート2の厚み方向中央部としては、ウレタンシート2の全体の厚みに対して厚み方向の中心から±10%の範囲で変えることができる。研磨液の循環性やクッション性の確保、被研磨物に対する応力ムラの低減を考慮すれば、ウレタンシート2の厚み方向のほぼ中央に上部層と下部層との境界が位置していることが好ましい。また、上記実施形態では、樹脂溶液の溶媒、成膜基材、凝固液等の具体例を示したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、通常用いられる材料を用いてもよいことはもちろんである。
更に、上記実施形態では、成膜樹脂シート20のスキン層の表面側をバフ処理する例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。湿式成膜法により作製された成膜樹脂シート20の厚みバラツキが大きくなったときは、表面側に加えて、裏面Sr側にもバフ処理を施すようにしてもよい。このようにすれば、研磨面Spの平坦性を一層向上させることができる。
次に、上記実施形態に従い製造した研磨パッド10の実施例について説明する。なお、以下の実施例において、実施例1は第1実施形態、実施例2は第2実施形態、実施例3は第3実施形態に従い製造したものである。また、比較のために製造した比較例についても併記する。
(実施例1)
実施例1では、樹脂溶液として、ポリエステル系ポリウレタン樹脂を30質量%となるようにDMFに溶解させたDMF溶液の100質量部に対し、粘度調整用DMFの69質量部、水の7質量部、ポリエーテル系ポリオールの1質量部、アニオン系界面活性剤の2質量部、および、カーボンブラックの3質量部を混合し調製した。得られた樹脂溶液の25℃における粘度をB型回転粘度計(東機産業株式会社製、商品名「TVB−10型」)を用いて測定した結果、6.4Pa・sであった。この樹脂溶液を、成膜基材のPET製フィルムにナイフコータを用いて塗布し、厚さ1.0mmの塗膜とした。得られた塗膜を成膜基材ともに、凝固液である水からなる室温の凝固浴に導入し、搬送スピード1.9m/minで搬送しながら、樹脂を凝固再生させ成膜樹脂シート20を作製した。次に、成膜樹脂シート20を凝固浴から取り出し、水からなる室温の洗浄液(脱溶剤浴)に浸漬することで成膜樹脂シート20から溶媒のDMFを除去した。成膜樹脂シート20を乾燥させつつ巻き取り、スキン層側の表面に対して連続的にバフ処理を施した。バフ処理後の成膜樹脂シート20に基材7であるPET製フィルム(厚さ:188μm)を接着剤で貼り合わせた後、図1に示すような4枚のウレタンシート2を裁断した。そして、発泡4の傾斜方向SDが研磨パッドの回転方向RDと反対方向に向かうように円形状に並置して両面テープ8と貼り合わせ研磨パッド10を製造した。
(実施例2、実施例3)
実施例2、実施例3では、発泡4の傾斜方向SDの向きを変えたこと以外は実施例1と同様にして研磨パッド10を製造した。実施例2では傾斜方向SDが研磨面Spの中心に向かうようにウレタンシート2を並置し(図6も参照)、実施例3では傾斜方向SDが研磨面Spの外周方向に向かうようにウレタンシート2を並置した(図7も参照)。
(比較例1)
実施例1と同様に作製した成膜樹脂シート20を円形状に裁断し、両面テープ8と貼り合わせて研磨パッドを製造した。すなわち、比較例1の研磨パッドでは、発泡4の傾斜方向SDが一方向に揃っている。
(研磨性能評価)
各実施例および比較例の研磨パッドを用いて、以下の研磨条件でアルミニウム基板の研磨加工を行い、研磨レート、ダブオフ(DubOff)、うねり(waviness)の3点を測定し研磨性能を評価した。研磨量は、研磨加工前後のアルミニウム基板の重量減少を測定して求めた。研磨レートは、1分間当たりの研磨量を厚さで表したものであり、研磨量の測定値、アルミニウム基板の研磨面積および比重から算出した。ダブオフは、被研磨物の中心から半径方向に位置する任意の点をR1とし、中心から半径方向でR1より外周側に位置する点をR2としたときに、R1における主表面(記録領域)と、R2における主表面とを結んだ直線と、この間におけるアルミニウム基板表面との最大乖離距離を示す数値である。ダブオフの数値が小さいほどアルミニウム基板の端部形状が良好であることを意味している。評価は、中心からの距離R32.5mm〜R34.0mm(端部から中心に向かって1.0mm〜2.5mm)の範囲を測定したダブオフ値(ダブオフ1)、中心からの距離R33.0mm〜R34.5mm(端部から中心に向かって0.5mm〜2.0mm)の範囲を測定したダブオフ値(ダブオフ2)について行った。うねりは、表面精度(平坦性)を評価するための測定項目の1つであり、光学式非接触表面粗さ計で観察した単位面積当たりの表面像のうねり量(Wa)を、オングストローム(Å)単位で表したものである。ダブオフ、うねりの測定には、表面粗さ測定機(Zygo社製、型番New View 5022)を使用した。
(研磨条件)
使用研磨機:スピードファム社製、9B−5Pポリッシングマシン
研磨速度(回転数):30rpm
加工圧力:100g/cm
スラリ:アルミナスラリ
スラリ供給量:100cc/min
被研磨物:ハードディスク用アルミニウム基板
(外径70mmφ、内径25mm、厚さ1.6mm、メッキ上がり)
目標研磨量:1.5μm/片面(研磨量が同じとなるように研磨時間を調整した)
円形状に裁断したウレタンシートを使用した比較例1の研磨パッドでは、傾斜方向SDが一方向に揃っているため、研磨レートが0.467μm/分を示し、端部形状を表すダブオフ1、ダブオフ2がそれぞれ50.0nm、66.2nm、うねりが24.28Åであった。これは、研磨パッド面内でのスラリ流れが一方向であるために研磨パッド面内でスラリ分布にムラが生じ、平坦性が悪化したためと考えられる。
これに対し、傾斜方向SDが裁断したウレタンシート2ごとに異なるように貼り合わせた実施例1、実施例2、実施例3の研磨パッド10では、スラリの流れを任意の方向にコントロールできるため、研磨レートがそれぞれ0.529μm/分、0.509μm/分、0.499μm/分となり比較例1と比べて改善が見られた。また、ダブオフ1がそれぞれ10.4nm、13.2nm、10.6nm、ダブオフ2がそれぞれ35.5nm、36.8nm、26.8nmとなった。さらに、うねりがそれぞれ9.90Å、10.38Å、10.90Åとなり、いずれも比較例1と比べて改善が見られた。これは、研磨パッド面内でのスラリ分布が均一化したためと考えられる。
本発明は研磨液の循環性および研磨性能の向上を図ることができる研磨パッドを提供するものであるため、研磨パッドの製造および販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
2 ウレタンシート(樹脂シート)
3 研磨層
4 発泡(縦型発泡)
5 開孔
10 研磨パッド
Sp 研磨面

Claims (10)

  1. 被研磨物を研磨加工するための研磨面を有する研磨層を備えた研磨パッドにおいて、前記研磨層は、厚み方向全体にわたる大きさを有する多数の発泡が形成されるとともに、前記研磨面に前記発泡の開孔が形成されており、かつ、前記発泡の前記厚み方向中央部から前記開孔の形成位置までの発泡形成方向が前記厚み方向に対して一定方向に傾斜した複数の樹脂シートで構成されており、前記複数の樹脂シートは前記発泡形成方向が前記樹脂シートごとに異なるように並置されたことを特徴とする研磨パッド。
  2. 前記研磨層は、前記発泡形成方向が研磨加工時の回転方向と反対方向に向かうように前記各樹脂シートが並置され構成されたことを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 前記研磨層は、前記発泡形成方向が前記研磨面の中心方向に向かうように前記各樹脂シートが並置され構成されたことを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  4. 前記研磨層は、前記発泡形成方向が前記研磨面の外縁方向に向かうように前記各樹脂シートが並置され構成されたことを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  5. 前記発泡は、前記樹脂シートの厚み方向中央部から前記開孔の形成位置までが前記研磨面の背面側の底部までより小さい径を有することを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  6. 前記発泡は、前記厚み方向中央部から前記背面側の底部までの発泡形成方向が前記厚み方向に沿うように形成されたことを特徴とする請求項5に記載の研磨パッド。
  7. 前記発泡は、前記研磨面近傍で該研磨面と平行な断面に形成された孔の中心をとおる垂直線が前記背面近傍で該背面と平行な断面と交わる位置が前記背面と平行な断面に同じ発泡で形成された孔の外側に位置することを特徴とする請求項6に記載の研磨パッド。
  8. 前記研磨層は、4枚〜10枚の樹脂シートで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  9. 前記研磨層は、前記樹脂シート間に隙間が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  10. 前記樹脂シートは、ウレタン樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
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