JP5854409B2 - ダイヤフラム、圧力センサ、及びダイヤフラムの製造方法 - Google Patents

ダイヤフラム、圧力センサ、及びダイヤフラムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ダイヤフラム、圧力センサ、及びダイヤフラムの製造方法に関する。
液体や気体等の流体の圧力を測定する圧力センサとして、流体の圧力に応じて変形する受圧部と、その受圧部の変形を検出する感圧素子とを備えたものが、半導体製造装置、医療機器、自動車、その他の産業機器等に広く用いられている。
この圧力センサが、例えば半導体製造ガスライン等、腐食性が高い流体を用いるラインに接続される場合、その測定対象となる流体と接触する受圧部には、高い耐食性が求められる。そのため、腐食性の高い流体を測定対象とする場合には、圧力センサの受圧部に、耐食性の高いオーステナイト系ステンレスや、Co基合金等が用いられている。
しかしながら、オーステナイト系のステンレスやCo基合金等を用いた場合においても、これらの材料に対して腐食性が高い流体を測定対象とする場合には、使用期間が長期間になるにつれ、受圧部が腐食される傾向にある。受圧部が腐食されると該受圧部が薄肉化して、ゼロ点がドリフトするため、正確な圧力が測定できない虞がある。従って、受圧部の耐食性のさらなる向上が求められていた。
圧力センサにおける受圧部の耐食性を向上する方法として、Cr+Mo20〜40%、Ni20〜50%、Co25〜45%を主成分とする合金から受圧部を形成する技術が開示されている(特許文献1参照)。また、耐食性の高い合金として、Cr18〜23%、Mo7〜10%等を含有するNi基合金が開示されている(特許文献2参照)。
特開平5−13782号公報 特開昭60−187652号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果、酸化性(腐食性)の高い流体を測定対象とし、かつ圧力センサと配管にアース機器を取り付けてアース電位を与えるなどして、外部より配管や圧力センサに電流を印加する場合、受圧部の合金の不動態皮膜が破壊され、耐食性が著しく悪化することが判明した。このように受圧部が腐食すると、当該受圧部が薄肉化するので圧力変化に対する感度が変化し、ゼロ点ドリフトを生じると、測定値に狂いが生じてしまい、正確な圧力を検出できくなる虞がある。
また、圧力センサに用いられる受圧部を構成するダイヤフラムは、測定対象流体からの圧力を受けて変形を繰り返し、圧力を検出する。そのため、圧力センサ用のダイヤフラムには、高い耐食性に加えて、優れた機械的強度も求められる。
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、高耐食性と高強度とを備えた圧力センサ、ダイアフラム及びダイヤフラムの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のダイヤフラムは、組成が、Fe:10〜30質量%、Co:25〜50質量%、Cr:5〜27質量%、Mo:3〜11質量%、W:0.5〜5質量%、Ni:10〜20質量%、及び不可避不純物からなる合金より成ることを特徴とする。
前記合金は、Fe:20〜30質量%を含有することが好ましい。
上記課題を解決するため、本発明の圧力センサは、測定対象流体からの圧力を受けるダイヤフラムを備え、当該ダイヤフラムの変形により前記測定対象流体の圧力を検出する圧力センサであって、前記ダイヤフラムが、Fe:10〜30質量%、Co:25〜50質量%、Cr:5〜27質量%、Mo:3〜11質量%、W:0.5〜5質量%、Ni:10〜20質量%、及び不可避不純物からなる合金よりなることを特徴とする。
本発明の圧力センサは、鉄系の材料により形成された配管に付設されることもできる。
上記課題を解決するため、本発明のダイヤフラムの製造方法は、前記合金に加工率20%以上で冷間加工を施した後に、前記ダイヤフラムを成型し、さらに、300〜650℃で熱処理することを特徴とする。
本発明のダイヤフラムは、Fe、Co、Cr、Mo、W、Niを所定量含有させた合金より形成されているため、優れた耐食性及び機械的強度を有することができる。
また、本発明のダイヤフラムは、所定の組成の合金により形成されていることにより、圧力センサに外部から電圧が加わり、かつ測定対象流体の腐食性が高い場合においても、ダイヤフラムの耐食性が著しく低下することを抑制することができる。
本発明のダイヤフラムは、上記のように、高い耐食性に加えて、高い機械的強度を有することができる。従って、本発明のダイヤフラムを備える圧力センサも、高い耐食性と機械的強度を有するので、短期における劣化や、ダイヤフラムが腐食されて薄肉化し、0点ドリフトなどの問題が発生することを抑制することができる。
また、本発明のダイヤフラムの製造方法は、冷間加工の加工率を20%以上に設定することにより、合金自体の硬度を高めることができ、良好な強度及び剛性のダイヤフラム用合金とすることができる。従って、より強度および耐圧性が高いダイヤフラムを製造することができる。さらに、本発明のダイヤフラムの製造方法は、冷間加工を施した後に、300〜650℃で熱処理することにより、合金自体の弾性を高めることができるので、より機械的強度が高いダイヤフラムを製造することができる。
本発明の圧力センサの一例を示す概略断面図である。 実施例の耐食性試験の装置を示す概略模式図である。 合金中のFeの含有量と問題(0点ドリフト)発生時期の関係を示すグラフである。 時効処理温度と引張強さとの関係を、冷間加工率毎に示したグラフである。
まず、本発明の圧力センサ及びダイヤフラムについて、図1を参照して説明する。
図1は、本発明に係る圧力センサの一実施形態を示す概略断面図である。
圧力センサ10は測定対象流体を導入する導入路を備えたキャップ部材4と、キャップ部材4と接合一体化されたダイヤフラム1とを備えている。キャップ部材4は、開口部4aを有した有底筒状で、開口部4aの外周にはフランジ部4bを有し、かつ、開口部4a内周においてダイヤフラム1の周縁部と接合されている。キャップ部材4は、例えば、金属、合金、及び合金と樹脂モールドの複合材などにより形成されている。キャップ部材4の内部には、キャップ部材4とダイヤフラム1とで仕切られることにより、基準圧力室8が形成されている。キャップ部材4は基準ガスを流入させる流入口(図示略)を備えており、この基準ガスが基準圧力室8に導入され、基準圧力内の圧力が制御される。
ダイヤフラム1は、肉厚の筒状の支持部1bと、この筒状の支持部1bの上部開口を塞ぐように設けられた薄肉の受圧部1aとを備えている。また、ダイヤフラム1は、その下面側に、測定対象流体を導入するための凹形状の圧力室7を備えている。
圧力センサ10を、図1に示す如く、測定対象流体の流路6を形成する配管5の周壁に形成した開口部5aのまわりにキャップ部材4の開口部側を流路に対向させて取り付けると、圧力室7と流路6が連通されて、圧力室7には流路6から導入された流体が満たされる。従って、受圧部1aは、測定対象流体が直に接触することとなる。
また、受圧部1aのうち、圧力室7に対して反対側の側面、即ちダイヤフラム1の上面側には、シリコン酸化膜などの絶縁膜2を介してブリッジ回路3が設けられている。ブリッジ回路3は4つの歪ゲージ(不図示)により構成されており、各歪ゲージには配線9a、9b、9c、9dなどのコネクタ配線9が接続されている。
基準圧力室8に対して基準ガス等を導入するとともに、圧力室7に配管5内を流れる測定対象流体を導入すると、基準圧力室8及び圧力室7の圧力差により、受圧部1aが変形する。例えば、基準圧力室8に対して圧力室7の相対圧力が高い場合には、受圧部1aは基準圧力室8側に撓む。また、基準圧力室8の相対圧力が圧力室7に対して高い場合には、受圧部1aは圧力室7側に撓む。従って、受圧部1aの変形によるブリッジ回路3の4つの歪ゲージの抵抗変化を測定回路により計測し、この抵抗変化に基づき圧力室7の圧力を演算する。
本実施形態において、ダイヤフラム1は、組成が、Fe:10〜55質量%、Co:25〜50質量%、Cr:5〜27質量%、Mo:3〜11質量%、W:0.5〜5質量%、Ni:10〜20質量%、及び不可避不純物からなる合金によって構成されている。
以下、これらを規定した理由について詳述する。
本発明者らは、Co−Ni基合金において、Feの含有量を高めると、耐食性が向上することを見出した。後述する実施例に示す如く、Feの添加量は多いほど耐食性が向上し、少ないと耐食性が低下する。Feの含有量が10%未満では、耐食性が低く、該合金を用いたダイヤフラムは腐食による薄肉化が進行しやすく、2年以内に基準点がずれる0点ドリフトの問題が発生する虞がある。Feの含有量が20%以上では、0点ドリフトが4年以上発生しないのでより好ましい。
しかし、Feの含有量が多くなると耐食性が向上するが、一方で、機械的強度が低下する傾向がある。機械的強度を高める観点では、Feの含有量は、55%以下とすることが好ましい。したがって、耐食性と高強度を兼ね備えるためには、Feの含有量は質量%で10〜55%が好ましく、20〜50%がより好ましく、20%〜30%がさらに好ましい。
Coはそれ自体加工硬化能が大きく、切り欠け脆さを減じ、疲労強度を高め、高温強度を高める効果があるが、25%未満では疲労強度を高める効果が弱くなり、本組成では50%を越えるとマトリクスが硬くなり過ぎて加工困難となると共に面心立方格子相が最密六方格子相に対して不安定になるため、25〜50%とした。
Crは耐食性を確保するのに不可欠な成分であり、またマトリクスを強化する効果があるが、5%未満では優れた耐食性を得る効果が弱く、27%を越えるとσ相を析出して加工性及び靱性が急激に低下することから、5〜27%とした。
Moはマトリクスに固溶してこれを強化する効果、加工硬化能を増大させる効果、及びハロゲンイオンを含む腐食環境に対して耐食性を高める効果があるが、3%未満では加工硬化能を増大させ、耐食性を高める効果が得られず、11%を越えるとσ相が析出して、加工性が急激に低下することから、3〜11%とした。
Wは、マトリクスに固溶してこれを強化し、加工硬化能を著しく増大させる効果があるが、0.5%未満では加工硬化能を増大させる効果が弱く、5.0%を越えるとσ相を析出して靭性が低下することから、0.5〜5.0%以下とした。
NiはベースメタルとしてCr,Moを十分に固溶し、耐食性を高める効果と当該合金を強化する効果があるが、Niが10%未満では耐食性が低下し、20%を越えると機械的強度が低下することから、10〜20%とした。
また、本発明のダイヤフラム1を構成する合金においては、CはCrと結合してCr炭化物を形成し耐食性を劣化させるので、極力減少させることが好ましく、例えば、0.03%以下とすることができる。
なお、本発明のダイヤフラム1を構成する合金は、上記元素の他に、Si、Mn、P、S、Ti、Al等、合金の製造工程で混入する微量元素を含んでいても良い。なお、ダイヤフラム1を構成する合金がこれらの微量元素を含有する場合、Feの一部と置き換えることができる。
次に、ダイヤフラム1の製造方法について説明する。
まず上記組成からなる合金を真空溶解炉で真空溶解し、熱間鍛造する。そして、一般的な方法により熱間棒鋼圧延を行う。その後、加工率(加工前と加工後とでの断面積の割合)が少なくとも20%以上の冷間加工を施した後に、一般的な加工により所望の形状のダイヤフラムを成型加工する。次に、300〜650℃の温度で熱処理(時効処理)することにより、ダイヤフラム1を製造することができる。
このように、冷間加工の加工率を20%以上に設定することにより、合金自体の硬度を高めることができ、良好な強度及び剛性のダイヤフラム用合金とすることができる。したがって、より強度および耐圧性が高いダイヤフラム1を製造することができる。
さらに、上記のように、冷間加工を施して成型加工した後に、300〜650℃で熱処理(時効処理)することにより、合金自体の弾性を高めることができるので、より機械的強度が高いダイヤフラム1を製造することができる。熱処理温度は、十分な時効硬化と機械的強度を得るために、400〜650℃とすることがより好ましい。
本発明に係るダイヤフラム1及び圧力センサ10の使用形態の一例として、図1に示す如く、圧力センサ10を測定対象流体の流路6を形成する配管5に付設すると、圧力室7と流路6が連通されて、圧力室7に測定対象流体が満たされるようになる。一般的に、配管5は、腐食性の高い流体にも適用できるように、鉄系の材料、より詳しくは、耐食性の高い材料であるSUS316Lなどのオーステナイト系ステンレス鋼より形成されている場合が多い。同様の理由により、本発明の圧力センサ10のキャップ部材4もSUS316Lなどのオーステナイト系ステンレス鋼より形成されている。
通常、ダイヤフラムを構成する材料としては、特許文献1に記載の材料や、Co基合金、Ni基合金などが用いられ、これらの材料は高い耐食性を有する。しかしながら、図1に示す如く、圧力センサ10にアース機器などの機器11の陽極側が接続され、配管5にアース機器などの機器11の陰極側(又はアース側)が接続されるような場合、圧力センサ10及びダイヤフラム1と、配管5とに電位差が生じると、ダイヤフラムの耐食性が著しく低下することが本発明者らの検討の結果明らかとなった。
本発明のダイヤフラム1は、前述した所定の組成の合金により形成されていることにより、圧力センサ10及びダイヤフラム1と、配管5との間に、電位差が生じるような場合においても、高い耐食性を示すことができる。従って、本発明のダイヤフラム1及びそれを備える圧力センサ10は、測定対象流体の腐食性が高く、かつ、配管5が鉄系の材料より形成されている場合においても、アース機器等の接続の影響により電流が流れる腐食環境であっても、ダイヤフラム1の耐食性が著しく低下することを抑制することができる。
また、本発明のダイヤフラム1は、前述した所定の合金により形成されていることにより、高い耐食性に加えて、高い機械的強度を有することができる。従って、本発明のダイヤフラム1を備える圧力センサ10も、高い耐食性と機械的強度を有するので、短期における劣化や、ダイヤフラム1が腐食されて薄肉化し、0点ドリフトなどの問題が発生することを抑制することができる。
以上、本発明に係る圧力センサ、ダイヤフラム、及びダイヤフラムの製造方法の一実施形態について説明したが、前記した圧力センサ10及びダイヤフラム1を構成する各部は一例であって、本発明の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
「製造例」
(ダイヤフラム用合金の作製)
<実施例1、比較例1及び2>
表1に示す組成からなる合金を真空溶解し、通常の方法で熱間鍛造、熱間棒鋼圧延を順次行った。次いで、室温にて、表1に示す加工率で冷間加工を施して、ダイヤフラム用合金を作製した。
(ダイヤフラムの作製)
前記ダイヤフラム用合金を一般的な方法で成型加工し、さらに、525℃、2時間の熱処理(時効処理)をすることにより図1に示す構造のダイヤフラム1を作製した。
Figure 0005854409
「評価」
1.耐食性試験
図2に示す試験装置を用いて耐食性試験を行った。図2に示すように、腐食性の高い酸化性溶液(電解液)24を満たした水槽25中に、SUS316Lよりなる試験片をカソード23とアノード22に設置し、アノード21に上記製造例で作製した実施例1、比較例1及び2のダイヤフラム用合金の試験片をそれぞれ交換しながら設置し、分けて試験した。それぞれの試験片を図2に示すように銅線で結び、アノード21、22の電流を測定できるように電流計1及び電流計2を設置した。続いて、表2に示す各溶液(電解液)に対して、直流0.1mAの定電流を流して、電流計1及び電流系2の電流量を測定した。
アノード21とアノード22に流れる総電流値に対するアノード21に流れる電流値の割合(すなわち、電流計1/(電流計1+電流計2))を算出した結果を表2に示す。この時、アノード21に流れる電流の割合が低い程、アノード21の試験片の合金が電解液に溶出せず、腐食が発生しにくいことを示す。換言すれば、表2に示す割合が小さいほど、耐食性が高いことを示す。
Figure 0005854409
表2の結果より、実施例1のダイヤフラム用合金は、比較例1及び2の合金と比較して、いずれの電解液の場合においても合金に流れる電流の割合が低く、耐食性が高いことが明らかである。
2.強度試験
上記製造例で作製した実施例1のダイヤフラム用合金とSUS316Lとを、JIS
Z2201 14A号試験片のサイズに加工した各試験片に対して、JIS Z2201に準拠して強度試験を行った。なお、SUS316Lの組成を表1に併記した。
その結果、SUS316Lの0.2%耐力は254N/mm、引張強さは560N/mmであった。これに対し、実施例1ダイヤフラム用合金の0.2%耐力は1400〜1550N/mm、引張強さは1200〜2200N/mmであり、SUS316Lよりも高い強度が得られた。
強度試験の結果から、SUS316Lは耐食性に優れる材料として知られているが、ダイヤフラム用として他の合金に比較すると機械的強度が低いことが確認された。これに対し、実施例1のダイヤフラム用合金は、高い耐食性を備え、さらに、優れた機械的特性を有していることが確認された。
また、実施例1のダイヤフラム用合金は、20%以上の冷間加工が施された合金である。このため、合金材自体の硬度を高めることができるので、良好な強度及び剛性を有することができる。さらに、実施例1のダイヤフラム用合金は、300〜650℃で熱処理した合金である。そのため、合金材自体の弾性を高めることができるので、良好な弾性特性を有する。
次に、上記実施例1の組成である本発明に係る合金について、冷間加工率を0〜90%まで変化させて、各冷間加工率毎に、時効処理温度(熱処理温度)と引張強さとの関係を調べた。結果を図4に示す。
図4に示すように、本発明に係る合金においては、時効処理を施さない場合(時効処理温度0〜50℃付近)であっても、合金を冷間加工することで、合金が加工硬化し、引張強さが向上している。この結果より、少なくとも20%の加工率で冷間加工を行うことで引張強さが効果的に高まるので好ましいことが明らかである。
また、図4に示すように、本発明に係る合金においては、時効処理を施すことで引張強さが向上している。300〜650℃の温度で時効処理を行うことにより、引張強さを高めることができることが確認できた。特に、400〜650℃の温度で時効処理を行うことで、引張強さが増大している。また、時効処理温度が700℃を超えると、引張強さが低下している。これは、時効処理温度が700℃を超えると、合金の再結晶に起因する軟化が起こるためであると考えられる。
3.長期使用試験
上記製造例で作製した実施例1、比較例1、2のダイヤフラム1を用いて、図1に示す構造の圧力センサ10を作製した。この圧力センサ10を図1に示すように、SUS316L製の配管5にリン酸1%溶液を流路6に流し、ダイヤフラム1の受圧部1aがリン酸1%溶液に腐食されて薄肉化し、0点ドリフトが発生するまでの期間を調べた。その結果、比較例1のダイヤフラム(Fe含有量1.9%)では、約半年で0点ドリフトが発生し、比較例2のダイヤフラム(Fe含有量4.9%)では約1年で0点ドリフトが発生した。これに対し、実施例1のダイヤフラム1(Fe含有量22.8%)では、0点ドリフト発生が約4.25年であり、比較例1のダイヤフラムの約8倍の長期使用が可能であった。さらに、これらの結果より、ダイヤフラムのFe含有量と0点ドリフトの問題が発生する時期との関係をプロットしたところ良好な直線関係があることが明らかとなったため、予想値も合わせてプロットしたグラフを図3に示す。
耐食性試験および長期使用試験の結果より、ダイヤフラムを構成する合金では、Feの含有量が多くなるほど耐食性が向上することが確認された。さらに、強度試験の結果より、SUS316LのようにFe含有量が70%となると、機械的強度が低下することが確認された。以上の結果より、ダイヤフラムを構成する合金のFe含有量は、耐食性と高強度を兼ね備えるためには、10〜55%とすることが好ましいといえる。
1…ダイヤフラム、1a…受圧部、1b…支持部、2…絶縁膜、3…ブリッジ回路、4…キャップ部材、5…配管、6…流路、7…圧力室、8…基準圧力室、9…コネクタ電線、10…圧力センサ。

Claims (5)

  1. 組成が、Fe:10〜30質量%、Co:25〜50質量%、Cr:5〜27質量%、Mo:3〜11質量%、W:0.5〜5質量%、Ni:10〜20質量%、及び不可避不純物からなる合金より成ることを特徴とするダイヤフラム。
  2. 前記合金が、Fe:20〜30質量%を含有することを特徴とする請求項1に記載のダイヤフラム。
  3. 測定対象流体からの圧力を受けるダイヤフラムを備え、当該ダイヤフラムの変形により前記測定対象流体の圧力を検出する圧力センサであって、前記ダイヤフラムが、Fe:10〜30質量%、Co:25〜50質量%、Cr:5〜27質量%、Mo:3〜11質量%、W:0.5〜5質量%、Ni:10〜20質量%、及び不可避不純物からなる合金よりなることを特徴とする圧力センサ。
  4. 鉄系の材料により形成された配管に付設されることを特徴とする請求項3に記載の圧力センサ。
  5. 請求項1または2に記載のダイヤフラムの製造方法であって、
    前記合金に加工率20%以上で冷間加工を施した後に、前記ダイヤフラムを成型し、さらに、300〜650℃で熱処理することを特徴とするダイヤフラムの製造方法。
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