JP5853729B2

JP5853729B2 - ゴム組成物

Info

Publication number: JP5853729B2
Application number: JP2012018965A
Authority: JP
Inventors: 慶寛亀田; 健太郎赤木
Original assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Current assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date: 2012-01-31
Filing date: 2012-01-31
Publication date: 2016-02-09
Anticipated expiration: 2032-01-31
Also published as: JP2013155352A

Description

本発明は、ゴム組成物に関し、更に詳しくは耐オゾン性を維持向上しながら製品の外観を従来レベル以上に向上するようにしたゴム組成物に関する。

従来、空気入りタイヤに耐オゾン性能を付与するため、タイヤを構成するゴム組成物にワックスを配合することが行われている。これはワックスをタイヤ表面に移行（ブルーム）させることによりオゾンを遮蔽し耐オゾン性能を改良するものである。しかしワックスの配合量が多すぎるとタイヤ表面が白色化するなど外観不良を引き起こすという問題があった。

特許文献１はタイヤの外観を損なうことなく長期間耐候性を維持するため、ゴム成分と、バイオマス由来の合成ワックスと、バイオマス由来の天然ワックスとを含有するタイヤ用ゴム組成物を提案している。しかしながら、特許文献１に記載されたゴム組成物は、ある程度の効果は認められるものの、耐オゾン性能と製品外観とのバランスが必ずしも十分ではなく、更なる改善の余地があった。

特開２０１１−８００２２号公報

本発明の目的は、耐オゾン性を維持向上しながら製品の外観を従来レベル以上に向上するようにしたゴム組成物を提供することにある。

上記目的を達成する本発明のゴム組成物は、ゴム成分１００重量部にワックスを０．１〜３．０重量部配合すると共に、前記ワックスがフィッシャートロプシュ法により得られたパラフィンワックスであり、該パラフィンワックス中のノルマルパラフィンの重量分率（Ｗｎ）と非ノルマルパラフィンの重量分率（Ｗｉ）の比（Ｗｎ／Ｗｉ）が１２以上２４以下であり、前記ノルマルパラフィンの重量分率（Ｗｎ）が９２．３重量％〜９６．０重量％であることを特徴とする。

本発明のゴム組成物は、ゴム成分１００重量部に対し、フィッシャートロプシュ法により得られたパラフィンワックスからなりノルマルパラフィンの重量分率（Ｗｎ）と非ノルマルパラフィンの重量分率（Ｗｉ）の比（Ｗｎ／Ｗｉ）が１２以上２４以下、前記ノルマルパラフィンの重量分率（Ｗｎ）が９２．３重量％〜９６．０重量％であるワックスを０．１〜３．０重量部配合したので、ゴム組成物の耐オゾン性を維持向上しながら、このゴム組成物により成形した製品の外観を従来レベル以上に改良することができる。

前記パラフィンワックスとしては、天然ガス由来の素原料を出発原料にして得られたものが好ましく、耐オゾン性能と製品外観とのバランスをより優れたものにすることができる。

このゴム組成物を使用した空気入りタイヤは、タイヤ表面に移行するワックスの量を最適化するようにしたので、耐オゾン性能が優れると共に、良好なタイヤ外観を長期間維持することができる。

本発明のゴム組成物において、ゴム成分としては、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等のゴム成分及びこれらを任意の官能基を有する化合物で変性した変性ゴムを例示することができる。好ましくは天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンゴムがよい。これらゴム成分は、単独又は複数のブレンドとして使用することができる。

本発明のゴム組成物は、フィッシャートロプシュ法により得られたパラフィンワックスからなるワックスを必ず含む。フィッシャートロプシュ法は、一酸化炭素及び水素を出発原料として炭化水素を製造する方法である。フィッシャートロプシュ法に使用する出発原料は、天然ガス由来の素原料であることが好ましく、ワックスを製造するときの使用トータルエネルギー量を抑制すると共に、品質安定性を高くすることができる。

本発明で使用するフィッシャートロプシュ法により得られたパラフィンワックスは、ノルマルパラフィン及び非ノルマルパラフィンからなる。非ノルマルパラフィンは、ノルマルパラフィン（直鎖状飽和炭化水素）以外のパラフィンワックスであり、イソパラフィン（分岐状飽和炭化水素）からなる。

このパラフィンワックスは、ノルマルパラフィンの重量分率（Ｗｎ）と非ノルマルパラフィンの重量分率（Ｗｉ）の比（Ｗｎ／Ｗｉ）が１２以上２４以下、好ましくは１５以上２１以下である。比（Ｗｎ／Ｗｉ）が１２未満であると耐オゾン性能と製品外観とのバランスを改良することができない。また比（Ｗｎ／Ｗｉ）が２４を超えるとワックスの製造コストが過大になり経済的に不利になる。

本発明で使用するワックスは、ノルマルパラフィンの重量分率（Ｗｎ）が９２．３重量％〜９６．０重量％、好ましくは９３．５重量％〜９５．５重量％である。また非ノルマルパラフィンの重量分率（Ｗｉ）が４．０重量％〜７．７重量％、好ましくは４．５重量％〜６．２重量％である。ノルマルパラフィンの重量分率（Ｗｎ）及び非ノルマルパラフィンの重量分率（Ｗｉ）を上述した範囲内にすることにより、比（Ｗｎ／Ｗｉ）を適正化し、耐オゾン性能と製品外観とのバランスを改良することができる。このようなパラフィンワックスは、フィッシャートロプシュ法による製造条件を適宜調節することにより得られる。

上述したワックスの配合量は、ゴム成分１００重量部に対し０．１〜３．０重量部、好ましくは０．５重量部〜２．５重量部である。ワックスの配合量が０．１重量部未満であると、ゴム組成物の耐オゾン性を改良する効果が十分に得られない。またワックスの配合量が３．０重量部を超えるとゴム製品の外観が悪化する。

本発明のゴム組成物は、ゴム成分に充填剤を配合することができる。充填剤としては、例えばカーボンブラック、シリカ、クレー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等を例示することができる。これら充填剤は単一又は複数を配合することができ、ゴム組成物の強度を高くすることができる。

ゴム組成物には、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、液状ポリマー、熱硬化性樹脂などのゴム組成物に一般的に使用される各種配合剤を配合することができる。このような配合剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの配合剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。ゴム組成物は、公知のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。

本発明のゴム組成物は、空気入りタイヤ、ベルトコンベア、ホースなどの工業用ゴム製品に広く使用することができ、とりわけ空気入りタイヤに好適に使用することができる。なかでも空気入りタイヤのトレッドゴム、サイドゴム、リムクッションを構成するのに好適である。このゴム組成物を使用した空気入りタイヤは、耐オゾン性能が優れると共に、良好なタイヤ外観を長期間維持することができる。

以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。

表２に示す配合剤を共通配合とし、表１に示す配合からなる９種類のゴム組成物（実施例１〜５、従来例、比較例１〜３）を、硫黄、加硫促進剤を除く成分を１.８Ｌの密閉型ミキサーで１６０℃、５分間混練し放出した。この放出したマスターバッチに、硫黄、加硫促進剤を加えてオープンロールで混練することにより調製した。なお表２の配合剤の配合量は、表１に記載したゴム成分１００重量部に対する配合量（重量部）を意味する。

得られた９種類のゴム組成物を所定形状の金型中で、１６０℃、２０分間プレス加硫して加硫ゴムサンプルを作製した。この加硫ゴムサンプルの耐オゾン性及び外観を以下の試験方法により評価した。

耐オゾン性
加硫ゴムサンプルの耐オゾン性をＪＩＳＫ６２５９に準拠し温度４０℃、オゾン濃度１ｐｐｍ（１００ｐｐｈｍ）、伸長ひずみ４０％の条件で９６時間劣化させた後、ゴム表面の外観を観察し評価（数値化）した。

得られた結果は、従来例の結果を１００とする指数として、表１の「耐オゾン性」の欄に示した。この指数が大きいほど耐オゾン性が優れることを意味する。

外観
加硫ゴムサンプルの外観を４０℃下に１週間放置後、ゴムサンプル表面に析出するワックス成分の量により評価（数値化）した。

得られた結果は、従来例の結果を１００とする指数として、表１の「外観」の欄に示した。この指数が大きいほど外観が優れることを意味する。

なお、表１において使用した原材料の種類を下記に示す。
・ＮＲ：天然ゴム、インドネシア産ＴＳＲ
・ＢＲ：ブタジエンゴム、日本ゼオン社製ＮｉｐｏｌＢＲ１２２０
・ＳＢＲ：スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製Ｎｉｐｏｌ１７２３
・カーボンブラック、新日化カーボン社製ニテロン＃２００ＩＮ
・ワックス１：天然ガス由来の素原料を出発材料にしてフィッシャートロプシュ法により製造されたワックス、日本精蝋社製ＦＴ５５、Ｗｎ＝９５．１重量％、Ｗｉ＝４．９重量％、Ｗｎ／Ｗｉ＝１９．４
・ワックス２：天然ガス由来の素原料を出発材料にしてフィッシャートロプシュ法により製造されたワックス、日本精蝋社製ＦＴワックスＡ、Ｗｎ＝９４．１重量％、Ｗｉ＝５．９重量％、Ｗｎ／Ｗｉ＝１５．９
・ワックス３：石油由来のワックス、日本精蝋社製ＯＺＯＡＣＥ−０３５５、Ｗｎ＝９１．３重量％、Ｗｉ＝８．７重量％、Ｗｎ／Ｗｉ＝１０．５
・ワックス４：石油由来のワックス、日本精蝋社製ＯＺＯＡＣＥ−００１５、Ｗｎ＝９０．６重量％、Ｗｉ＝９．４重量％、Ｗｎ／Ｗｉ＝９．６

表２において使用した原材料の種類を下記に示す。
・酸化亜鉛：正同化学工業社製酸化亜鉛３種
・ステアリン酸：千葉脂肪酸社製ビーズステアリン酸
・老化防止剤：フレキシス社製ＳＡＮＴＯＦＬＥＸ６ＰＰＤ
・アロマオイル：昭和シェル石油社製エキストラクト４号Ｓ
・硫黄：アクゾノーベル社製クリステックスＨＳＯＴ２０
・加硫促進剤：大内新興化学工業社製ノクセラーＮＳ

表１から明らかなように実施例１〜５のゴム組成物は、耐オゾン性及び外観が従来例に比べ向上することが確認された。

これに対し、比較例１のゴム組成物は、使用したワックスが、フィッシャートロプシュ法で製造されたものでなく、比（Ｗｎ／Ｗｉ）が１２未満であるので、耐オゾン性及び外観のバランスを従来レベル以上に改良することができない。

比較例２のゴム組成物は、ワックスの配合量が３．０重量部を超えるので、耐オゾン性は改良することはできるが、加硫ゴムの外観が悪化する。

比較例３のゴム組成物は、ワックスを添加していないので耐オゾン性が劣る。

Claims

ゴム成分１００重量部にワックスを０．１〜３．０重量部配合すると共に、前記ワックスがフィッシャートロプシュ法により得られたパラフィンワックスであり、該パラフィンワックス中のノルマルパラフィンの重量分率（Ｗｎ）と非ノルマルパラフィンの重量分率（Ｗｉ）の比（Ｗｎ／Ｗｉ）が１２以上２４以下であり、前記ノルマルパラフィンの重量分率（Ｗｎ）が９２．３重量％〜９６．０重量％であることを特徴とするゴム組成物。
前記パラフィンワックスが、天然ガス由来の素原料により得られたことを特徴とする請求項１に記載のゴム組成物。
請求項１又は２に記載のゴム組成物を使用した空気入りタイヤ。