JP5853610B2 - 空包 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に記載された従来技術には、発射薬が装填された空包の内部における先端近傍に配置されて、実際の飛しょう体と類似した形状を有するふた栓が開示されている。当該ふた栓は、空包の点火後、空包内部の圧力が所定圧まで上昇するまで破壊されずに維持され、更なる圧力上昇とともに破壊される。ふた栓の破壊後は、燃焼ガスが一気に排出されるとともに衝撃音が発生する。また、ふた栓の底部には、木質繊維板もしくは木質繊維板に類する強度及び密度を有する複数の栓用板が重ねられており、栓用板には、軸方向に貫通する複数の孔が形成されている。
また、特許文献2に記載された従来技術には、発射薬が装填された燃焼容器の頭部を、蓋となる金属性の破裂板にて密閉している空包が開示されている。そして破裂板には、燃焼ガスにて壊れ易くするための切り溝が設けられており、空包の点火後、燃焼容器内部の圧力が所定圧に上昇するまで破裂板は破壊されずに維持され、更なる圧力上昇とともに破裂板は破壊され、衝撃音が発生する。
また、特許文献3に記載された従来技術には、発射薬が装填された燃焼容器の頭部の蓋部に放射状の貫通スリットである排出孔を設けた、衝撃音発生装置が開示されている。衝撃音発生装置(空包に相当)の点火後、燃焼容器内の圧力の上昇に伴い、排出孔の開口面積が増大するように変形し、内部圧力を一定に保ち、使用環境温度が変化しても一定の衝撃音圧を発生させることができる。
また、特許文献4に記載された従来技術には、空包容器の先端の蓋部に、貫通孔の中間部分の径が絞られたノズルが形成されて、このノズルを内側から覆うように緊塞板が配置された空砲弾(空包に相当)が開示されている。ノズルの中間部分の径を絞ることで、噴出される燃焼ガスはこの絞られた部分にて音速に達し、音速に達した燃焼ガスにて空砲(空包)を後方に移動する推力を得て、自動的に装填部から空砲(空包)を排出できるようにしている。
また特許文献2に記載された従来技術では、燃焼ガスの圧力によって破裂板は切り溝に沿って大きく開口するので、特許文献1と同様に、発射薬の未燃物等が砲の前方に飛散する可能性があるので、好ましくない。
また特許文献3に記載された従来技術も、燃焼ガスの圧力によって排出孔の開口面積が増大するので、特許文献2と同様に、発射薬の未燃物等が砲の前方に飛散する可能性があるので、好ましくない。
また特許文献4に記載された従来技術も、燃焼ガスの圧力によって緊塞板が破れて燃焼ガスがノズルから噴出するように構成されており、特許文献1と同様に、緊塞板の破片や発射薬の未燃物等が砲の前方に飛散する可能性があるので、好ましくない。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、破片や発射薬の未燃物等が勢いよく飛散することなく、より安全な空包を提供することを課題とする。
まず、本発明の第1の発明は、軸方向における一方端が開口しており他方端に蓋部を有している筒状の容器である燃焼容器と、前記燃焼容器における前記一方端に取り付けられる底部材とを有し、前記底部材には、前記燃焼容器の外部と内部を連通する連通孔が形成されており、前記燃焼容器の内部には発射薬が装填され、前記連通孔には着火用の火管が装填され、前記火管と前記発射薬との間には点火薬が装填されている、空包である。前記蓋部には、前記燃焼容器の外部と内部を連通するとともに前記燃焼容器の内径よりも小さな径の貫通孔であるオリフィスが設けられている。そして、前記燃焼容器の内部において前記オリフィスと前記発射薬との間には、前記オリフィスの径よりも大きな径を有するとともに複数の貫通部が形成された飛散防止部材が配置されており、前記飛散防止部材は、前記オリフィスの方向に向かって凹状となるように形成されている。
図1は空包1を構成する各部材の斜視図を示しており、図2は空包1を組み付けた状態における断面図を示している。
図1及び図2に示すように、空包1は、火管K1、底部材10、シール部材80、点火薬K2、点火薬スペーサ20、支持補助部材30、発射薬K3、飛散防止部材40、オリフィスクロージャ50、貫通孔であるオリフィス62が蓋部63に形成された燃焼容器60、装填ガイド70等にて構成されている。
なお、底部材10、点火薬スペーサ20、支持補助部材30、飛散防止部材40、燃焼容器60、装填ガイド70の材質には、鉄、ステンレス、アルミニウム、真鍮等の種々の金属を使用することができる。
火管K1は、底部材10の連通孔12に装填される点火具であり、例えば電流が流されると点火し、点火薬K2を着火する。
シール部材80は、例えばゴム等の円環状の弾性部材であり、シール溝13に嵌め込まれて、火砲100の薬室に装填された空包が燃焼した際、火砲100と空包1との隙間を密封する。なお、シール部材80は省略してもよい。
ネジ部11には、燃焼容器60の軸方向の一方端の側に形成されたネジ部61がねじ込まれる。
点火薬K2は、点火薬スペーサ20にて連通孔12の開口部に保持され、火管K1によって着火され、発射薬K3を着火する。
支持補助部材30は、点火薬スペーサ20にて支持され、飛散防止部材40を燃焼容器60のオリフィス62の近傍に保持するように支持するとともに、発射薬K3を燃焼容器60内に均等に配置する収容スペースを形成している。また支持補助部材30は、発射薬K3の燃焼エネルギーを燃焼容器60内に均等に伝搬させるために、複数の貫通孔31が形成されたパンチングメタルや複数の貫通空間部が形成された金網等にて形成されている。なお、点火薬スペーサ20から飛散防止部材40までの空間に発射薬K3がぎっしりと詰められていれば、支持補助部材30を省略してもよい。
また、支持補助部材30を省略して、飛散防止部材40を燃焼容器60の内部に圧入して位置を固定してもよいし、燃焼容器60の内部に飛散防止部材40をろう付けして位置を固定してもよい。
なお、以後、飛散防止部材40の貫通孔と貫通空間部を合わせて「貫通部(41)」という。
また飛散防止部材40は、オリフィス62の方向に向かって凹状となるように形成されているが、図3(D)に示すように、スペーサ部材43を用いた場合は凹状でなくてもよい。
発射薬K3は、燃焼容器60内における点火薬スペーサ20と飛散防止部材40の間の空間に装填され、点火薬K2によって着火され、空包1の衝撃音、または衝撃音と煙及び火炎を発生させる。
なお、オリフィスクロージャ50は封止が目的であり、着火後の燃焼容器60内の内圧を所定圧まで高めるものではないため、材質としては金属箔、プラスチック板、樹脂板、アルミラミネート箔、防水性を有する紙、等を使用することができる。
オリフィスクロージャ50は、封止が目的であるので、燃焼容器60の外側に取り付けられていてもよいし、燃焼容器60の内側に取り付けられていてもよい。
またオリフィスクロージャ50は、発射薬K3の燃焼による燃焼容器60の内部の圧力が上昇することにより容易に破れ、破れた際の破片が、前述した「飛散」状態とならない質量となる必要がある。オリフィスクロージャ50の材質として、金属箔またはプラスチック板または樹脂板を使用する場合、厚さは0.5[mm]以下(より好ましくは0.2[mm]以下)とすると、飛び出した破片は直線状に勢いよく飛行せず、はらはらと舞い落ちてくるので「飛散」しない。またオリフィスクロージャ50の材質として、アルミラミネート箔または紙を使用する場合、厚さは1[mm]以下とすると、飛び出した破片は直線状に勢いよく飛行せず、はらはらと舞い落ちてくるので「飛散」しない。
なお、オリフィスクロージャ50は省略してもよい。
なお、燃焼容器60は、底部材10に、ネジ止め、溶接、ろう付け等にて固定可能であるが、発射薬K3や点火薬K2を内部に装填してから固定されるので、熱や火花や火炎等を用いないネジ止めとすることが好ましい。
蓋部63は、燃焼容器60に、ネジ止め、溶接、ろう付け等にて固定可能であり、また燃焼容器60の円筒面である側壁64と一体的に形成とすることも可能である。剛性の確保と組み立てコストの低減を考慮すれば、一体的に形成とすることが好ましい。
また、燃焼容器60と底部材10との固定方法をネジ止めとする場合には、工具での締め付けが容易となるように蓋部63の一部に凹部または凸部を設けることが好ましい。
なお、オリフィス62の径と、発射薬K3の種類及び量は、所望する衝撃音量(例えば100[dB]〜130[dB])に応じて適宜設定される。
また、装填ガイド70は省略してもよい。
発射薬K3には、シングルベース、ダブルベース、トリプルベース、マルチベースなどを使用することができる。
点火薬K2には、黒色火薬、シングルベース点火薬など一般の弾薬に使用されている点火薬を使用することができる。また点火薬K2は布製の袋に収納されていても良い。
また、燃焼容器60内に火炎を抑制するためにアルカリ金属塩からなる消炎剤を配置しても良い。また消炎剤は布製の袋に収納されていても良い。
図3(A)は飛散防止部材40の外観を示す斜視図であり、図3(B)は燃焼容器60の内側から見たオリフィス62と、オリフィス62の近傍の面であるオリフィス近傍面62Mを示す図である。
なお、燃焼容器60の内側から見たオリフィス62の周囲の面において、縁部となる面(図3(B)中の符号62N)は、オリフィス近傍面62Mには含まない。
また図3(C)は、図3(A)に示す飛散防止部材40を燃焼容器60内に配置した場合において、発射薬K3による燃焼ガスの流れを説明する図である。
また図3(D)は、平板状の飛散防止部材40Aとスペーサ部材43を燃焼容器60内に配置した場合において、発射薬K3による燃焼ガスの流れを説明する図である。
また図3(E)は、平板状の飛散防止部材40Aを、スペーサ部材を用いることなく燃焼容器60内に配置した場合において、発射薬K3による燃焼ガスの流れを説明する図である。
なお、図3(C)〜(E)ではオリフィスクロージャ50の記載を省略している。
例えば図3(E)に示すように、平板状の飛散防止部材40Aをオリフィス近傍面62Mに接触するように配置すると、図3(E)中に点線にて示すように一部の燃焼ガスは、オリフィス近傍面62Mに行く手を阻まれてオリフィス62に到達することができない。この場合、所望する衝撃音量を確保できなくなったり、燃焼容器60内の圧力が高くなりすぎたりする可能性がある。
また、平板状の飛散防止部材40Aであっても、図3(D)に示すように、飛散防止部材40Aと燃焼容器60の蓋部63の内側との間にスペーサ部材43を配置して、オリフィス近傍面62Mに飛散防止部材40Aが接触しないように配置すると、図3(D)中に点線にて示すように燃焼ガスは、飛散防止部材40Aの貫通部41を通り、滞りなくオリフィス62に到達して燃焼容器60の外部にスムーズに排出されるので、好ましい。
図4は、空包1を火砲100の薬室(火砲鎖栓102と火砲筒部101にて形成された空間)に装填した状態を示す断面図である。
図4に示すように、底部材10における外周面であって火砲100の内周面(火砲筒部101の内周面)と対向する面には、底部材10の外周面と火砲100の内周面との隙間を密封する円環状のシール部材80が設けられている。
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
10 底部材
11 ネジ部
12 連通孔
13 シール溝
20 点火薬スペーサ
30 支持補助部材
40、40A 飛散防止部材
41 貫通部
43 スペーサ部材
50 オリフィスクロージャ
60 燃焼容器
61 ネジ部
62 オリフィス
62M オリフィス近傍面
63 蓋部
64 側壁
70 装填ガイド
71 テーパ部
72 開口孔
80 シール部材
100 火砲
K1 火管
K2 点火薬
K3 発射薬
Claims (3)
- 軸方向における一方端が開口しており他方端に蓋部を有している筒状の容器である燃焼容器と、
前記燃焼容器における前記一方端に取り付けられる底部材とを有し、
前記底部材には、前記燃焼容器の外部と内部を連通する連通孔が形成されており、
前記燃焼容器の内部には発射薬が装填され、前記連通孔には着火用の火管が装填され、前記火管と前記発射薬との間には点火薬が装填されている、空包において、
前記蓋部には、前記燃焼容器の外部と内部を連通するとともに前記燃焼容器の内径よりも小さな径の貫通孔であるオリフィスが設けられており、
前記燃焼容器の内部において前記オリフィスと前記発射薬との間には、前記オリフィスの径よりも大きな径を有するとともに複数の貫通部が形成された飛散防止部材が配置されており、
前記飛散防止部材は、前記オリフィスの方向に向かって凹状となるように形成されている空包。 - 請求項1に記載の空包であって、
前記燃焼容器における前記蓋部が、当該燃焼容器の円筒面である側壁と一体的に形成されている空包。 - 請求項1または2に記載の空包であって、
更に、軸方向における両端が開口している筒状形状を有しているとともに前記燃焼容器の外径よりも大きな内径を有する容器である装填ガイドが、前記燃焼容器の周囲を覆うように前記燃焼容器と同軸状に、前記底部材に取り付けられている空包。
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