JP5852208B2 - 翼部材及び回転機械 - Google Patents
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Description
例えば、下記特許文献1に記載される静翼は、タービン半径方向に延びる翼本体と、この翼本体の先端部に形成され、タービン半径方向に交差するように延びる端壁と、を備えており、翼本体の内部に、それぞれタービン半径方向に延びる複数の冷却流路を蛇行状に接続したサーペンタイン流路が形成されている。そして、このサーペンタイン流路に冷却空気を流通させることで、翼部材の冷却を図っている。
同様の冷却流路を採用した動翼としては、下記特許文献2がある。
しかしながら、上記の翼部材においては、翼本体70の端部71(基部)と端壁72(プラットフォーム)を滑らかに繋ぐフィレット部73が形成されるのが通常である。従って、図14に示すように、フィレット部73の周辺には、サーペンタイン流路74のリターン部75からフィレット部73の外表面までの翼壁肉厚が大きい部位が生じる。これにより、この翼壁肉厚が大きい部位で冷却空気cによる冷却が不十分になる可能性がある。
このようにすれば、リターン流路が、翼型中心線に交差する断面においてフィレット部に沿うようにして形成されているので、リターン流路からフィレット部の外表面までの肉厚がほぼ均一になる。これにより、翼壁肉厚が大きくなる部位が生じることを抑止し、フィレット部を均一的に十分に冷却することが可能になる。
このようにすれば、冷却面を有するので、当該冷却面に背向するフィレット部を、より十分に冷却することができる。
このようにすれば、突出部を有するので、冷却媒体が翼厚方向両側に導かれる。これにより、リターン流路の翼厚方向両側に位置するフィレット部を十分に冷却することができる。
このようにすれば、リターン流路の冷却面近傍を流れる圧縮空気が更新されて、冷却面の冷却性能が一層向上する。
このようにすれば、冷却面のフィレット部の外表面からの距離が、翼本体の外表面からメイン流路の内表面までの距離と略同一に形成されているので、翼本体とフィレット部との間で冷却を均一的にすることができる。
このようにすれば、冷却面が翼型中心線に沿って延びているので、翼型中心線に沿った広い範囲に亘って、フィレット部を均一的に十分に冷却することができる。
このようにすれば、上記の翼部材を具備するので、翼部材の冷却効果を高め、信頼性の高い回転機械を提供することができる。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係るガスタービン(回転機械)GTの概略構成を示す半断面図である。図1に示すように、ガスタービンGTは、圧縮空気(冷却媒体)cを生成する圧縮機Cと、圧縮機Cから供給される圧縮空気cに燃料を供給して燃焼ガスgを生成する複数の燃焼器Bと、燃焼器Bから供給される燃焼ガスgにより回転動力を得るタービン(回転機械)Tとを備えている。
ガスタービンGTにおいては、圧縮機CのロータRCとタービンTのロータRTとは、それぞれの軸端で連結されてタービン軸P上に延びている。
なお、以下の説明においては、ロータRTの延在方向をタービン軸方向と、ロータRTの円周方向をタービン周方向と、ロータRTの半径方向をタービン径方向という。
図2に示すように、タービンTは、タービンケーシング1内においてタービン軸方向に交互に四段に配設されたタービン静翼2及びタービン動翼(翼部材)3を備えている。各段のタービン静翼2は、タービン周方向に間隔をあけて環状の静翼列を構成しており、それぞれタービンケーシング1側に固定されていると共に、ロータRT側に向けて延出している。
同様に、各段のタービン動翼3は、タービン周方向に間隔をあけて環状の動翼列を構成しており、ロータRTのロータディスク4A〜4Dに固定されていると共に、タービンケーシング1側に向けて延出している。
また、ロータディスク4A〜4Dには、それぞれの上流側のマニホールド5から、各タービン動翼3A〜3Dの内部に形成された冷却流路50(図3参照)まで、圧縮空気cを導くラジアルホール7A〜7Dが形成されている。これらラジアルホール7A〜7Dは、それぞれ、ロータディスク4A〜4Dにおいてタービン周方向に間隔を空けて複数形成されている。
図3に示すように、タービン動翼3は、翼本体10と、プラットフォーム(端壁)20と、翼根部30とが、翼本体10の翼幅方向の他方側から一方側に、上記の順に続いて構成されている。
また、翼本体10は、図4に示すように、翼厚方向をタービン周方向に向けており、翼幅方向に交差する翼型断面において前縁11が丸みを帯びて形成されており、後縁12が先鋭状に形成されている。また、図4に示すように、翼本体10には、翼表面13におけるタービン周方向の一方側において背面13aが凸状に形成されており、タービン周方向の他方側において腹面13bが凹状に形成されている。
このプラットフォーム20と翼本体10の基端14とは、フィレット部40で滑らかに接続されている。このフィレット部40は、基端14の翼型断面輪郭に沿って周状に形成されており、翼幅方向に沿って切断した断面輪郭が四半円弧状になっている(図6及び図7参照)。
冷却流路50は、図3及び図4に示すように、前縁11から後縁12に向けて順に配置された前縁側流路51と、サーペンタイン流路52,53とを備えている。
前縁側流路51は、ラジアルホール7から翼本体10の先端15まで流れる圧縮空気cによって前縁11を冷却し、冷却孔51hから圧縮空気cを流出させて前縁11をシャワーヘッドフィルム冷却する。
三つのメイン流路52a〜52cは、それぞれ翼本体10の先端15から翼本体10の基端14まで延びており、上記の順に後縁12側から前縁11側に向けて並設されている。そして、メイン流路52aの外周端とメイン流路52bの外周端とがリターン流路52dで接続されており、メイン流路52bの内周端とメイン流路52cの内周端とがリターン流路52eで接続されている。また、メイン流路52aの上流端は、ラジアルホール7(図2参照)と連通した導入流路52iに接続されている。さらに、メイン流路52cは、翼表面13とメイン流路52cの流路内壁とをそれぞれ貫通する複数の冷却孔52hに連通している。
サーペンタイン流路52において、圧縮空気cは、導入流路52iからメイン流路52aに流入した後に、このメイン流路52aを通り、リターン流路52dにおいて180°転回してメイン流路52bに流入し、メイン流路52bを通り、リターン流路52eにおいて180°転回してメイン流路52cに流入する。この過程において、メイン流路52c内を流れる圧縮空気cの一部は、図4に示すように、冷却孔52hより斜めに流出し、翼表面13をフィルム冷却する。
三つのメイン流路53a〜53cは、それぞれ翼本体10の先端15から翼本体10の基端14まで延びており、上記の順に前縁11側から後縁12側に向けて並設されている。そして、メイン流路53aの外周端とメイン流路53bの外周端とがリターン流路53dで接続されており、メイン流路53bの内周端とメイン流路53cの内周端とがリターン流路53eで接続されている。また、メイン流路53aの上流端は、ラジアルホール7と連通した導入流路53i,53jに接続されている。さらに、メイン流路53cは、図4に示すように、翼表面13とメイン流路53cとをそれぞれ貫通する複数の冷却孔53hに連通している。
サーペンタイン流路53において、圧縮空気cは、導入流路53i,53jからメイン流路53aに流入した後に、このメイン流路53aを通り、リターン流路53dにおいて180°転回してメイン流路53bに流入し、メイン流路53bを通り、リターン流路53eにおいて180°転回してメイン流路53cに流入する。この過程において、メイン流路53c内を流れる圧縮空気cの一部は、冷却孔53hより表面に流出してフィルム冷却を行い、残りの圧縮空気cが後縁12より流出する際、後縁端部のピンフィン冷却を行う。
なお、圧縮空気cは、サーペンタイン流路53において導入流路53i,53jからメイン流路53a,53b,53c、リターン流路53d,53eを経て、最終的に燃焼ガス中に排出されるが、流路内をリターン流路53d,53eで折り返しながら流れる過程で圧力損失により、徐々に圧力が低下する。
なお、リターン流路52e,53eは同様の構成となっているので、以下の説明においては、リターン流路53eについて説明することとし、リターン流路52eの説明を省略する。
図6及び図7に示すように、リターン流路53eは、翼型中心線Qに直交する断面(以下、単に翼型中心線Qの交差断面と称する)において、メイン流路53b及びメイン流路53cに比べて翼厚方向寸法Lが大きく形成されている(L1>L2)。また、リターン流路53eは、図6に示すように、翼型中心線Qの交差断面において翼厚方向寸法L1よりも翼幅方向寸法が短い扁平状に形成されている。
図5に示すように、リターン流路53eにおける流路内壁面(内表面)の翼厚方向両側には、フィレット部40の外表面40aに沿って形成された冷却面55が形成されている。
また、冷却面55とフィレット部40との間の翼壁肉厚d1は、メイン流路53b及びメイン流路53cにおける翼壁肉厚d2と略同一に形成されている。
この突出部56は、以下に説明する圧縮空気cのガイド機能の他、リターン流路53eの流路断面の調整機能を有している。本実施形態においては、リターン流路53eの流路幅(L1)を上述のように翼厚方向に拡幅することにより、圧縮空気cがリターン流路53eの中央を流れ、中間部53e1の流路内壁60近傍は、流れのよどみが生ずるのを避け、流路断面の均一な流れを確保するために設けている。
上述したように、圧縮空気cが導入流路53i,53jを介してサーペンタイン流路53に流入すると、メイン流路53aを通り、リターン流路53dにおいて180°転回してメイン流路53bに流入し、メイン流路53bを通り、リターン流路53eにおいて180°転回してメイン流路53cに流入する。
すなわち、図5に示すように、翼型中心線Qの延在方向に亘ってフィレット部40の各部位を均一的に冷却する。また、翼型中心線Qの各交差断面において(図6及び図7参照)、流路幅(L1)をフィレット部40の外縁近傍まで拡幅するので、フィレット部40の翼幅方向及び翼厚方向に亘って各部位を均一的に冷却する。
また、突出部56の突出量を調整することにより、リターン流路53eの流路断面での圧縮空気cの不均一流れが改善できる。
以下、本発明の第二実施形態について図を用いて説明する。なお、以下の説明及びその説明に用いる図面において、既に説明を終えた構成要素と同様の構成要素については、同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
上述した第一実施形態がタービン動翼3に本発明を適用していたのに対して、本実施形態においては、タービンTのタービン静翼2(図2参照)に本発明を適用している。
翼本体2aの基端58と外側シュラウド2bとはフィレット部41で滑らかに繋がっており、翼本体2aの先端59と内側シュラウド2cとはフィレット部42で滑らかに繋がっている。
このタービン静翼2の内部には、サーペンタイン流路(冷却流路)57が形成されている。
より具体的には、リターン流路57d(57dA,57dB),57e(57eA,57eB)のそれぞれにおいて、フィレット部41,42の外表面に沿って冷却面55が形成されている。さらに、リターン流路57dに、翼厚方向中央側において流路内壁面の法線方向に突出した突出部57d1が形成され、リターン流路57eに、翼厚方向中央側において流路内壁面の法線方向に突出した突出部57e1が形成されている。
例えば、上述した第一実施形態においては、翼型中心線Qの交差断面において冷却面55を円弧状の断面輪郭に形成してフィレット部40の外表面に沿わしたが、フィレット部40の外表面の接線方向に斜めに延びる直線状の断面輪郭に形成してフィレット部40の外表面に沿わしてもよい。第二実施形態においても同様である。
以下、本発明の第三実施形態について図を用いて説明する。なお、以下の説明及びその説明に用いる図面において、既に説明を終えた構成要素と同様の構成要素については、同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
2a…翼本体
2b…外側シュラウド(端壁)
2c…内側シュラウド(端壁)
3(3A〜3D)…タービン動翼(翼部材)
10…翼本体
14…基端(端部)
20…プラットフォーム(端壁)
40…フィレット部
41…フィレット部
42…フィレット部
40a…外表面
50…冷却流路
52b,52c…メイン流路
52e…リターン流路
52k、53k 冷却孔
53b,53c…メイン流路
53e…リターン流路
55…冷却面
56…突出部
57…サーペンタイン流路(冷却流路)
57a〜57c,57f,57g…メイン流路
57d(57dA,57dB),57e(57eA,57eB)…リターン流路
58…基端(端部)
59…先端(端部)
60 流路内壁
61 拡張部
C…圧縮機(回転機械)
GT…ガスタービン(回転機械)
Q…翼型中心線
T…タービン(回転機械)
c…圧縮空気(冷却媒体)
Claims (8)
- 翼本体と、
前記翼本体のタービン径方向である翼幅方向におけるタービン径方向外側又はタービン径方向内側の少なくともいずれか一方の端部に設けられ、前記翼幅方向に交差するように延びる端壁と、
前記翼本体の端部と前記端壁とを滑らかに繋ぐフィレット部と、
前記翼本体と前記端壁との内部において冷却媒体を流通させると共に、前記翼幅方向に沿って延びる二つのメイン流路が前記端壁側に形成されたリターン流路で折れ曲がるようにして接続された冷却流路と、を備える翼部材であって、
前記リターン流路は、前記翼本体の翼型中心線に交差する断面において、前記フィレット部に沿うように形成されていると共に、
前記リターン流路は、翼厚方向幅が前記メイン流路における翼厚方向の流路幅より大きく形成されて、流路内壁が前記翼厚方向の背側および腹側に膨張して拡幅された拡張部を備えている翼部材。 - 前記リターン流路は、前記リターン流路の内表面において前記フィレット部の外表面に沿って形成された冷却面を有する請求項1に記載の翼部材。
- 前記拡張部は、前記フィレット部の外縁近傍まで拡幅されている請求項1又は請求項2に記載の翼部材。
- 前記リターン流路は、前記翼本体の翼厚方向の中央側に形成され、前記冷却媒体の流れ方向を前記翼厚方向両側に案内する突出部を有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の翼部材。
- 前記リターン流路は、前記リターン流路の上流側に位置する前記メイン流路における上流側流路との仕切壁に冷却孔を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の翼部材。
- 前記冷却面は、前記フィレット部の外表面からの距離が、前記翼本体の外表面から前記メイン流路の内表面までの距離と略同一となるように形成されている請求項2に記載の翼部材。
- 前記冷却面は、前記翼型中心線に沿って延びている請求項2に記載の翼部材。
- 請求項1に記載の翼部材を具備する回転機械。
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