JP5850386B2 - 光学ガラス - Google Patents

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Description

本発明は光学ガラスに関するものである。
近年、デジタルカメラ、ビデオカメラ、カメラ付き携帯電話機等の撮像用レンズに使用される光学レンズにおいては、高屈折率かつ低分散の特性と同時に、部分分散比(θg,F)が小さい(異常分散性を有する)ことが要求されるようになってきている。つまり、高屈折率かつ低分散の特性を付与することで光学レンズの薄型化、さらには当該光学レンズを使用した機器の薄型化を可能にし、かつ、部分分散比を小さくすることで光学系の色収差を低減し、高画質のカメラレンズを得ることが可能となる。具体的には、屈折率(nd)が1.85以上、アッベ数(νd)が15以上で、かつ、部分分散比(θg,F)が0.65以下のガラスが求められている。
この種のレンズとしては非球面形状のレンズが広く用いられている。その作製方法として、例えば以下のような方法が知られている。
まず、溶融ガラスをノズルの先端から滴下して、液滴状ガラスを作製し(液滴成形)、必要に応じて研削、研磨、洗浄してプリフォームガラスを作製する。または、溶融ガラスを急冷鋳造して、一旦ガラスインゴットを作製し、研削、研磨、洗浄してプリフォームガラスを作製する。続いて、プリフォームガラスを加熱して軟化し、高精度な成形表面を持つ金型によって加圧成形し、金型の表面形状をガラスに転写してレンズを作製する。このような成形方法は一般にモールドプレス成形法と呼ばれており、大量生産に適した方法として近年広く採用されている。
ところで、上記の光学定数を容易に達成できるガラスとして、テルライト系ガラスが知られている。例えば、特許文献1にはTeO−B−La系でガラス転移点が560℃以上のガラスが開示されている。特許文献2にはTeO−WO−B系のガラス組成が開示されている。特許文献3にはTeO−B−ZnO系でTeOを50%以上含有するガラスが開示されている。特許文献4にはTeOを主成分とし、GeO、La、Nb、ZnO、HfO、PbO等を任意成分として含有するガラスが開示されている。
特開2008−254953号公報 特開2008−273750号公報 特開2010−260738号公報 特開昭61−197443号公報
モールドプレス成形法では、高温で軟化変形したガラスと金型が一定時間接触しているため、金型自身が酸化されたり、ガラスからの揮発物により汚染されるおそれがある。特にTeOを多量に含有するテルライト系ガラスをモールドプレス成形する場合、金型表面にガラス成分が付着して、金型の寿命に大きく影響を与えやすい。従って、一般にテルライト系ガラスは、モールドプレス成形による成形が困難であり、従って大量生産し難いとされている。
例えば、特許文献1に開示されているガラスはガラス転移点が560℃以上と比較的高いため、プレス温度が高くなり、モールドプレス成形時にガラス成分が揮発しやすく、金型の寿命に影響を与えやすい。一部、ガラス転移点が560℃未満のガラスも開示されているが、これらのガラスは揮発しやすいBi等を多く含んでいるため、やはり金型を劣化させるおそれがありモールドプレス成形には不向きである。
特許文献2に開示されているガラスは、その多くが屈折率が1.85未満と低く、光学系を薄型化することが困難である。一部、屈折率が1.85以上のガラスも開示されているが、これらのガラスは揮発しやすいBi等を多く含有するため、既述の理由により、モールドプレス成形には不向きである。
特許文献3に開示されているガラスは、TeOを50%以上と多量に含有しているため、既述のように、モールドプレス成形時に金型が劣化しやすく、モールドプレス成形には不向きである。一部、TeOが50%未満のガラスも開示されているが、これらのガラスはモールドプレス成形時に揮発しやすいBやZnO等を多く含有しているため、やはりモールドプレス成形は不向きである。
なお、特許文献4には、TeOの含有量が比較的少なく、しかも高屈折率であるガラスが開示されているが、同文献では高屈折率特性を達成するために、環境負荷物質であるPbO等を含有しているため、好ましくない。
以上の点に鑑み、本発明は、モールドプレス成形に好適な高屈折率かつ低分散の光学特性を有し、部分分散比が小さく、かつ、モールドプレス成形時における金型の劣化が少なく、量産性に優れた光学ガラスを提供することを目的とする。
本発明は、ガラス組成として、モル%で、TeO 1〜47.5%、B 0.1〜31%、ZnO 0.1〜29.5%、Nb 0〜10%、WO 0〜2%、La 0〜11.5%、GeO 0〜3%、Ga 0〜3%を含有し、PbOを実質的に含有しないことを特徴とする光学ガラスに関する。
本発明の光学ガラスは、必須成分としてTeO、B、ZnOを含有することにより、所望の光学定数およびガラス転移点を達成している。また、これらの成分の含有量の上限を厳しく規制することにより、モールドプレス成形時のガラス成分の揮発による金型の劣化を抑制している。従って、モールドプレス成形法を用いて、プリフォームガラスを大量生産することが可能である。
また、部分分散比に影響を与えるNb、WO、Laの含有量を上記範囲に規制することにより、部分分散比を容易に低減することができる。
さらに、本発明の光学ガラスはPbOを実質的に含有しないため、環境上好ましいガラスである。なお、本発明において「実質的に含有しない」とは、該当する成分を意図的に添加しないことを意味し、不可避的不純物まで排除するものではない。客観的には、該当する成分の含有量がモル%で0.1%未満であることを意味する。
第二に、本発明の光学ガラスは、さらに、モル%で、Bi 0〜7%、Gd 0〜20%を含有することが好ましい。
第三に、本発明の光学ガラスは、アッベ数(νd)をx軸、部分分散比(θg,F)をy軸とするx−y直交座標図において、A1点(νd=33、θg,F=0.600)、B1点(νd=15、θg,F=0.650)、C1点(νd=15、θg,F=0.610)およびD1点(νd=30、θg,F=0.590)で囲まれる範囲内のアッベ数および部分分散比を有することが好ましい。
上記特性を有する光学ガラスであれば、光学機器を容易に小型化、高機能化することが可能となる。
第四に、本発明の光学ガラスは、ガラス転移点(Tg)が580℃以下であることが好ましい。
第五に、本発明の光学ガラスは、屈折率(nd)が1.85以上であることが好ましい。
第六に、本発明の光学ガラスは、モールドプレス成形用であることが好ましい。
第七に、本発明は、前記いずれかの光学ガラスからなることを特徴とする光学レンズに関する。
本発明の光学ガラスについて、アッベ数(νd)および部分分散比(θg,F)の好ましい範囲を示すグラフである。 本発明の光学ガラスについて、アッベ数(νd)および部分分散比(θg,F)のより好ましい範囲を示すグラフである。 本発明の光学ガラスについて、アッベ数(νd)および部分分散比(θg,F)のさらに好ましい範囲を示すグラフである。
本発明の光学ガラスにおいて、各成分の含有量を上記のように限定した理由を以下に説明する。なお、特に断りがない限り、以下の説明において「%」は「モル%」を意味する。
TeOは高屈折率および低分散であり、かつ、部分分散比の小さいガラスを得るために有効な成分である。また、ガラス転移点を低下させるとともに、ガラス安定化の効果も有する。TeOの含有量は1〜47.5%、10〜47%、15〜46%、20〜45%、特に20〜40%であることが好ましい。TeOの含有量が少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。また、ガラス化が困難になる傾向がある。一方、TeOの含有量が多すぎると、モールドプレス成形時に金型が劣化しやすくなる。
はガラスの骨格を形成する成分であり、ガラス安定化に有効な成分である。また低ガラス転移点化、低分散化の効果もある。Bの含有量が少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。一方、Bの含有量が多すぎると、モールドプレス成形時のガラス成分揮発量が増大し、金型が劣化しやすくなる。また、部分分散比が大きくなる傾向がある。従って、Bの含有量は0.1〜31%、0.1〜30%、5〜29%、10〜28%、特に15〜27%であることが好ましい。
ZnOは低ガラス転移点化、低分散化に有効な成分である。ZnOの含有量が少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。一方、ZnOの含有量が多すぎると、モールドプレス成形時のガラス成分揮発量が増大し、金型が劣化しやすくなる。また、ガラス化を顕著に妨げる傾向がある。従って、ZnOの含有量は0.1〜29.5%、0.1〜29%、1〜28%、特に10〜28%であることが好ましい。
Nbはガラス安定化に効果がある成分である。また少量であれば、Te原子の電子構造または電子のエネルギー準位に影響を与え、部分分散比を小さくする成分でもある。しかしながら、その含有量が多くなると、逆に部分分散比を上昇させる傾向がある。従って、Nbの含有量は0〜10%、0〜5%、0〜2%、0〜1.8%、特に0〜1.5%であることが好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
WOは部分分散比を低下させる成分であり、低ガラス転移点化にも効果がある。またガラス安定化にも有効な成分である。ただし、少量の添加でガラスが著しく着色しやすくなる。従って、その含有量は0〜2%、0〜1.8%、特に0〜1.5%であることが好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
Laはガラスの骨格を形成する成分であり、高屈折率かつ低分散の光学特性を達成するために有効である。また部分分散比を低下させる効果もある。ただし、その含有量が多すぎると、ガラス化が不安定になる傾向がある。また、原料コストが高くなりやすい。従って、Laの含有量は0〜11.5%、0〜10%、特に0.1〜9%であることが好ましい。
GeOはガラス安定化や屈折率を上昇させる効果を有する成分である。ただし、その含有量が多すぎると、分散が上昇したり、プレス成型時に揮発して金型が劣化しやすくなる。また、稀少原料であるため原料コストが高くなりやすい。従って、GeOの含有量は0〜3%、特に0〜1%であることが好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
Ga は屈折率を向上させる成分である。ただし、その含有量が多すぎると、ガラス化が不安定になる傾向がある。また、原料コストが高くなりやすい。従って、Ga の含有量は0〜3%、特に0〜1%であることが好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
Biはガラス安定化、低ガラス転移点化の効果を有する成分である。ただし、モールドプレス成形時にBi成分が揮発する傾向があるため、金型が劣化しやすい。従って、Biの含有量は0〜7%、0〜5%、特に0〜1%が好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
GdはLaと同様に、ガラスの骨格を形成する成分であり、高屈折率かつ低分散の光学特性を達成するために有効である。また部分分散比を低下させる効果もある。ただし、その含有量が多すぎると、ガラス化が不安定になる傾向がある。また、原料コストが高くなりやすい。従って、Gdの含有量は0〜20%、特に0.1〜10%であることが好ましい。
本発明の光学ガラスは、上記成分に加えてさらにAl、SiO、Ta、TiO、ZrOを含有することができる。これらの成分は、ガラス化を安定にする効果がある。以下、各成分について説明する。
Alはガラス化を安定にするとともに、分散を低下させる成分である。ただし、Alの含有量の増加に伴ってガラス転移点が上昇し、モールドプレス成形温度が高くなる傾向がある。結果として、モールドプレス成形時にガラス成分が揮発して金型が劣化しやすくなる。従って、Alの含有量は0〜5%、特に0.1〜2%であることが好ましい。
SiOもAlと同様にガラス化を安定にするとともに、分散を低下させる成分である。ただし、SiOの含有量の増加に伴ってガラス転移点が上昇し、モールドプレス成形温度が高くなる傾向がある。結果として、モールドプレス成形時にガラス成分が揮発して金型が劣化しやすくなる。従って、SiOの含有量は0〜5%、特に0.1〜2%であることが好ましい。
Taはガラス化を安定にするとともに、屈折率を微調整するための成分である。ただし、その含有量が多すぎるとガラス化が顕著に不安定になる傾向がある。従って、Taの含有量は0〜5%、特に0.1〜3%であることが好ましい。
TiOおよびZrOはガラス化を安定にするとともに、屈折率を顕著に高める成分である。ただし、その含有量が多すぎると、ガラス化を顕著に妨げる傾向がある。従って、その含有量は各々0〜10%、特に0〜5%であることが好ましい。
本発明の光学ガラスは、上記成分に加えてさらにCaO、SrO、BaO、LiO、NaO、KOを含有することができる。これらの成分は、屈折率を微調整するための成分である。ただし、これらの成分は少量の添加でガラス化が不安定になる傾向がある。従って、これらの成分の含有量は各々0〜5%、特に0〜3%であることが好ましい。
また本発明の光学ガラスは、上記成分以外にもさらに種々の成分を添加することが可能である。例えばP、Sbを添加できる。
はガラス転移点や粘度を調整するための成分である。ただし、その含有量が多すぎると、耐候性が低下したり、失透しやすくなる。従って、Pの含有量は0〜10%、特に0〜5%であることが好ましい。
Sbは清澄剤としての役割や、着色度の調整の目的で添加される成分である。ただし、その含有量が多すぎると、モールドプレス成形時に金型が劣化しやすくなる。従って、Sbの含有量は0〜1%、特に0〜0.1%であることが好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
PbOは環境負荷物質であるため、本発明では実質的に含有しない。その他の環境負荷物質であるHfOやTlO等についても実質的に含有しないことが好ましい。
また、ErおよびCeOは着色の原因となる成分であるため、実質的に含有しないことが好ましい。
以上の組成を有する光学ガラスは、屈折率(nd)が1.85以上(特に1.86以上)、アッベ数(νd)が15〜35(特に18〜30)、部分分散比(θg,F)が0.58〜0.65(特に0.58〜0.62)の光学定数を容易に達成することができる。
特に、本発明の光学ガラスは、アッベ数と部分分散比が以下の範囲内にあることが好ましい。
すなわち、本発明の光学ガラスは、アッベ数(νd)をx軸、部分分散比(θg,F)をy軸とするx−y直交座標図において、A1点(νd=33、θg,F=0.600)、B1点(νd=15、θg,F=0.650)、C1点(νd=15、θg,F=0.610)およびD1点(νd=30、θg,F=0.590)で囲まれる範囲内(ただし境界線上を含む)のアッベ数および部分分散比(図1参照)を有することが好ましい。
アッベ数および部分分散比は、A2点(νd=32、θg,F=0.600)、B2点(νd=18、θg,F=0.640)、C2点(νd=18、θg,F=0.610)、およびD2点(νd=29、θg,F=0.593)で囲まれる範囲内(図2参照)であることがより好ましい。
アッベ数および部分分散比は、A3点(νd=30、θg,F=0.603)、B3点(νd=21、θg,F=0.630)、C3点(νd=21、θg,F=0.607)およびD3点(νd=29、θg,F=0.593)で囲まれる範囲内(図3参照)であることがさらに好ましい。
アッベ数および部分分散比が上記範囲を満たす光学ガラスであれば、光学機器を小型化、高機能化することが容易となる。
本発明の光学ガラスのガラス転移点(Tg)は580℃以下、特に560℃以下であることが好ましい。ガラス転移点が高すぎると、モールドプレス成形時においてガラス成分が揮発して金型が劣化しやすくなる。結果として、モールドプレス成形法を用いて、プリフォームガラスを大量生産することが困難になる傾向がある。また、本発明の光学ガラスの液相温度(TL)が800℃以下、特に790℃以下であると、量産性が向上するため好ましい。
次に、本発明の光学ガラスを用いた光ピックアップレンズや撮影用レンズ等を製造する方法を述べる。
まず、所望の組成になるようにガラス原料を調合した後、ガラス溶融炉で溶融する。
次に、溶融ガラスをノズルの先端から滴下して、一旦液滴状ガラスを作製し、プリフォームガラスを得る。または溶融ガラスを急冷鋳造して、一旦ガラスブロックを作製し、研削、研磨、洗浄してプリフォームガラスを得る。
続いて、精密加工を施した金型中にプリフォームガラスを投入して、軟化状態となるまで加熱しながら加圧成形し、金型の表面形状をガラスに転写させる(モールドプレス成形)。このようにして光ピックアップレンズや撮影用レンズを得ることができる。
以下、本発明の光学ガラスを実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1および2は本発明の実施例(No.1〜10)および比較例(No.11〜14)を示す。
各試料は、以下のようにして作製した。
まず、各表に記載の組成となるように調合したガラス原料を白金ルツボに投入し、850℃でそれぞれ2時間溶融した。次に、溶融ガラスをカーボン板上に流し出し、冷却固化した後、アニールを行って試料を作製した。このようにして得られた試料について、屈折率(nd)、アッベ数(νd)、部分分散比(θg、F)、ガラス転移点(Tg)、プレス性を評価した。結果を表1および2に示す。
なお、各特性の評価は以下のようにして行った。
屈折率(nd)は、ヘリウムランプのd線(587.6nm)に対する測定値で示した。なお、測定は屈折率計(カルニュー製 KPR−200)を用いて行った。以下の測定についても同様である。
アッベ数(νd)は、上記屈折率nd、水素ランプのF線(486.13nm)の屈折率nF、同じく水素ランプのC線(656.27nm)の屈折率nCの値を用い、アッベ数(νd)=(nd−1)/(nF−nC)の式から算出した。
部分分散比(θg、F)は、上記屈折率nC、屈折率nFおよびHgランプのg線(波長435.835nm)における屈折率ngの値を用い、部分分散比(θg、F)=(ng−nF)/(nF−nC)の式により算出した。
ガラス転移点(Tg)は熱膨張測定装置(dilato meter)にて得られた熱膨張曲線において、低温度域の直線と高温度域の直線の交点より求めた。
液相温度(TL)は、粒径300〜500μmとなるように粉砕した試料を白金ボート中に投入し、温度勾配炉で12時間熱処理した後、ガラス中に失透(結晶異物)の観察された温度により示した。
プレス性は次のようにして評価した。まず溶融ガラスをカーボン台上に流し出してアニールし、直径5mm、高さ5mmの円柱状の試料に加工後、両端面をポリッシュ研磨仕上げした。次に、2ヘッド成型機(綱中製作所製)を用いて、複数個の同じ試料に対して順にプレスを行い、ガラスからの揮発成分が金型表面に付着(目視にて確認)するまでに要したプレス回数を計測した。なお、プレス温度はガラスの軟化点、プレス圧は20Kgf、プレス時間は1分半の条件とした。また、金型には表面にPt−Ir膜を形成したWC板を使用した。
表から明らかなように、実施例であるNo.1〜10の試料は屈折率が1.850以上と高く、アッベ数および部分分散比が図1に示す範囲内にあり、所望の光学特性を有していた。また、ガラス転移点が510℃以下と低く、プレス性の評価でも5000回以上と良好であった。
これに対し、比較例であるNo.11および12の試料はプレス性が100回以下と劣っていた。また、No.12の試料は屈折率が1.819と低かった。No.13の試料はアッベ数および部分分散比が図1に示す所望の範囲を満たしていなかった。No.14の試料はガラス化しなかったため、各特性の評価は行わなかった。
本発明の光学ガラスは、CD、MD、DVD、その他各種光ディスクシステムの光ピックアップレンズ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、カメラ付き携帯電話機等の撮像用レンズ、光通信に使用される送受信用レンズ等といった光学レンズの硝材用ガラスとして好適である。特にモールドプレス成形用として好適であるが、モールドプレス成形以外の方法により成形されるガラス硝材として使用することも可能である。

Claims (6)

  1. ガラス組成として、モル%で、TeO 10〜47.5%、B 10〜28%、ZnO 10〜29.5%、Nb 0〜10%、WO 0〜2%、La 0〜11.5%、GeO 0〜3%、Ga 0〜3%、Bi 0〜1%を含有し、PbOを実質的に含有しない光学ガラスであって、
    アッベ数(νd)をx軸、部分分散比(θg,F)をy軸とするx−y直交座標図において、A1点(νd=33、θg,F=0.600)、B1点(νd=15、θg,F=0.650)、C1点(νd=15、θg,F=0.610)およびD1点(νd=30、θg,F=0.590)で囲まれる範囲内のアッベ数および部分分散比を有することを特徴とする光学ガラス。
  2. さらに、モル%で、Gd 0〜20%を含有することを特徴とする請求項1に記載の光学ガラス。
  3. ガラス転移点(Tg)が580℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学ガラス。
  4. 屈折率(nd)が1.85以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学ガラス。
  5. モールドプレス成形用であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学ガラス。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光学ガラスからなることを特徴とする光学レンズ。
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