JP5850360B2 - 自動潅水方法及びその装置 - Google Patents
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Description
一般的な日射制御型の拍動自動潅水装置は、ナスやキク等の露地野菜・花栽培に利用され、全国に広く普及しているが、課題として、施設園芸における高設栽培など、培地量が比較的少ない栽培条件において、生育に応じた給水量制御を高精度で行う必要がある。
特許文献1に示される「間欠式自動潅水装置」では、ソーラーパネルで発生した電力でモーターポンプを駆動して、水源の水を汲み上げて貯水タンクに貯水した後、貯水タンク内の水を、排水手段によりチューブ潅水系に連続的に排水する。そして、このようなサイクルを日射量に比例して繰り返すことで、チューブ潅水系を通じて、水源の水を潅水場所へ案内する。
しかしながら、上記自動潅水装置は、ソーラーパネルで駆動される小流量のソーラーポンプで日射量に応じた量で揚水し、貯水タンク内の水位スイッチの満水側がONになると、電磁弁が閉いて点滴チューブに自動的に給水される方式、すなわち、日照量に応じて給水量が調整される方式であるので、培地に十分な水分があるのに追加して給水される、又は培地の水分が不足していても給水がなされない恐れもある。また、高設栽培では、作物に萎れや生育の停滞を生じさせないよう、給水量の10%程度の排液が出るよう余分に給水することが望ましいとされ、作物の生育段階に応じて給水量を段階的に増やしていく必要があるが、上記自動潅水装置では、このような細かい給水制御ができないという問題があった。
すなわち、本発明は、拍動タンク内に貯留した水を、点滴チューブを介して栽培ベッドに供給する自動潅水方法に組み込み、前記栽培ベッドからの排液を貯留する排液タンク内の水量を検出し、その検出結果に基づき、前記拍動タンク内に貯留した水を、点滴チューブを介して栽培ベッドに供給することを特徴とする。
また、前記排液タンク内の水量は、高水位であることを検出する満水側スイッチと、低水位であることを検出する空側スイッチからの信号に基づき検出し、空側スイッチが水位低下を検出したONの場合に前記拍動タンクから栽培ベッドへの水供給を行い、また、満水側スイッチが高水位を検出したONの場合に前記拍動タンクから栽培ベッドへの水供給を停止するようにしたので、これら満水側スイッチ及び空側スイッチを適宜、最適な高さ位置に設けることで、排液を最小限に抑える給水管理も可能となり、この点においても低コスト化を図ることができる。
また、前記拍動タンクへの水供給は、ソーラーパネルからの電力供給により動作する原水給液ポンプにより行うことで、外部からの電力供給も不要な構成も選択でき、配線といった設備面での構造簡素化も可能となる。
また、前記水位検出手段は、前記排液タンク内の水量が高水位であることを検出する満水側スイッチと、低水位であることを検出する空側スイッチとを有し、前記給液手段は、前記水位検出手段からの信号に基づき検出し、前記空側スイッチが水位低下を検出したONの場合に前記拍動タンクから栽培ベッドへの水供給を行い、また、前記満水側スイッチが高水位を検出したONの場合に前記拍動タンクから栽培ベッドへの水供給を停止するように構成したので、これら水位検出手段の満水側スイッチ及び空側スイッチを適宜、最適な高さ位置に設けることで、排液を最小限に抑える給水管理も可能となり、この点においても低コスト化を図ることができる。
また、前記拍動タンクから栽培ベッドへの水供給は、ソーラーパネルからの電力供給により動作する原水給液ポンプにより行うことで、外部からの電力供給も不要な構成も選択でき、配線といった設備面での構造簡素化も可能となる。
また、前記拍動タンク1には、該拍動タンク1内の水位を検出するための拍動タンク水位検出手段10が設けられている。
満水側スイッチ10Aは拍動タンク1が満水となる位置の他、高水位となる位置で設置しても良く、また、空側スイッチ10Bは、拍動タンク1が空となる位置の他、低水位となる位置で設置しても良い。また、前記拍動タンク1の上部には、該拍動タンク1から溢れた水を前記原水タンク2に戻すためのオーバーフロー管6が設けられている。
この点滴チューブ20には給液管21が接続されている。この給液管21は、拍動タンク1と点滴チューブ20との間に配置されるものであって、その途中には、給液ポンプ22と給液バルブ23とが設けられている。
これら給液ポンプ22は、原水供給制御装置C1からの制御信号により動作され、給液バルブ23は、給液制御装置C2からの制御信号により動作される(後述する)。
これによって高設栽培ベッドBで消費されず排液タンク30に貯留された排水量が、常に一定量を維持するように水供給量を制御する、換言すれば、高設栽培ベッドBでの植物の水消費量に応じた点滴チューブ20への水供給が可能となる。
なお、排液タンク水位検出手段31の満水側スイッチ31A及び空側スイッチ31Bは、排液タンク30の容量等に応じて適宜、その設置高さが設定される。また、
このとき、満水側スイッチ31Aは排液タンク30が満水となる位置の他、高水位となる位置で設置しても良く、また、空側スイッチ31Bは、排液タンク30が空となる位置の他、低水位となる位置で設置しても良い。また排液タンク30には排液ポンプ32が設けられていて、所定の条件で排液タンク30内の排水を外部へ、あるいは、原水タンク2へ排出する。なお前記原水供給ポンプ4は、ソーラーパネルSから供給される電力によって、日照量に応じた量の水を原水タンク2から拍動タンク1へ供給するが、これ以外の機器、すなわち、給液バルブ5,給液ポンプ22、給液バルブ23、排液ポンプ32、および各種のスイッチ、センサ、制御機器(10、31、C1、C2等)は、バッテリーや商用電源から電源の供給を受け、制御装置C1あるいはC2からの制御信号を受けて動作するようになっている。
ソーラーパネルSに太陽エネルギーが供給されると、ソーラーパネルSから供給される電力によって原水供給ポンプ4が動作し、受光された太陽エネルギーの量に応じた量の原水が原水タンク2から拍動タンク1へ水が供給される。なお、オーバーフロー管6の位置を越えて原水が供給されると、オーバーフローした原水はオーバーフロー管6を経由して原水タンク2へ戻される。原水供給ポンプ4が継続的に動作して拍動タンク1内の水位が上昇し、満水側スイッチ10Aがこれを検出すると、給液ポンプ22が動作し、また、バルブ23が開放されて拍動タンク1内の水が点滴チューブ20へ供給される。拍動タンク1内の水が点滴チューブ20に供給されることで減少しても、晴天日には日射量に応じてソーラーパネルからの電力で駆動される原水供給ポンプ4が駆動されていることから、拍動タンク推移検出手段10の空側スイッチ10Bが低水位を検出してONになるまで(図1参照)、給水ポンプ22により水供給は継続される。空側スイッチ10BがONになって低水位が検出されると給水ポンプ22が停止し、原水供給ポンプ4からの水供給で拍動タンク1内の水位が上昇し、満水側スイッチ10Aが高水位を検出してONになると、再び給水ポンプ22が駆動して拍動タンク1から点滴チューブ20への水供給が行われる。
排液タンク水位検出手段31の空側スイッチ31Bが低水位を検出したONの場合(図1参照)に、給液バルブ23を開放して拍動タンク1から点滴チューブ20への水供給を行い、また、満水側スイッチ31Aが高水位を検出したONの場合(図2参照)に、給液バルブ23を閉鎖して拍動タンク1から点滴チューブ20への水供給を停止する。なお、給水ポンプ22として、所定以上の吐出圧力を検出する圧力スイッチを内蔵したポンプを利用することで、給液バルブが閉鎖されると同時にポンプは自動的に停止する。
なお、晴天日には原水供給ポンプ4から拍動タンク1への水供給は継続されるが、拍動タンク1にはオーバーフロー管6が設けられているため、拍動タンク1から溢れた水は原水タンク2に速やかに戻される。
これによって高設栽培ベッドBで消費されず排液タンク30に貯留された排水量が、常に一定量を維持するように水供給量を制御する、すなわち、高設栽培ベッドBにおける植物の水消費量に応じた点滴チューブ20への水供給が可能となる。
なお、給液ポンプ22を通じて高設栽培ベッドBに常に適正量の水が供給されるように、排液タンク30内の排液は、排水ポンプ32により、例えば点滴チューブ20への水供給の回数、又は設定した一定時間毎等の条件で外部に排水すると良い。また、このとき、排水ポンプ32を通じて排出した排液タンク30内の排液は、別途設けた管路及び点滴チューブ(図示略)により、高設栽培ベッドBに供給して再利用しても良い。
すなわち、上記自動潅水方法及びその装置では、排液タンク30、排液タンク水位検出手段31、給液ポンプ22及び給液バルブ23という簡易な構成により、日照量に対応しながらも、高設栽培での作物の生育状況に応じた高設栽培ベッドBからの排液量の検出に基づき、該高設栽培ベッドBへの最適な給水を行うことが可能となる。
また、前記拍動タンク1から高設栽培ベッドBへの水供給は、商用電源またはバッテリーを電源として開閉動作する給液バルブ23で制御されており、拍動タンクを1.5〜2mの高い位置に設置することで、水の移送を水位差だけで行え給液ポンプ22を省略することができ、外部からの電力供給が不要で配線といった設備面での構造簡素化も可能な仕組みが構成できる。
実際に高設栽培ベッド(長さ12m)でのトマト栽培に適用した事例では、約10L貯水されると満水側の水位スイッチがONとなるよう設定された排液タンク(30)を用いて実験を行った。給液は、小型の給液ポンプ(22)により点滴チューブ(20)を介して行ったが、このとき、空側の水位スイッチ(31B)が入り次第、給液ポンプ(22)により給液が再開されることを確認した。なお、トマト定植後の約2ケ月間(トマト草丈は約1m)で、ソーラーポンプのバルブ調節を行う必要はなかった。また、トマト栽培は培地にあらかじめ肥効調節型肥料を供給し、自動潅水装置からは水のみを給液するようにしたが、排液タンク(30)内の排液を再給液する方式でもトマトの生育に問題はなかった。
また、排液タンク水位検出手段31として満水側スイッチ31A及び空側スイッチ31Bを用いることなく、水位センサを用いて満水又は空を検出しても良い。
2 原水タンク
20 点滴チューブ
21 給液管
22 給液ポンプ(給液手段)
23 給液バルブ(給液手段)
30 排液タンク
31 排液タンク水位検出手段
31A 満水側スイッチ
31B 空側スイッチ
C2 給液制御手段(給液手段)
B 高設栽培ベッド(栽培ベッド)
S ソーラーパネル
Claims (4)
- 原水タンクと拍動タンクとの間に、該拍動タンクの容量を越えた水を前記原水タンクへ戻す管が設けられ、ソーラーパネルから電力の供給を受けて動作する原水供給ポンプを備える自動潅水装置において、前記拍動タンク内に貯留した水を、点滴チューブを介して栽培ベッドに供給する自動潅水方法であって、
前記栽培ベッドからの排液を貯留する排液タンク内の水量を検出し、その検出結果に基づき、前記拍動タンクから点滴チューブへの給液を制御して栽培ベッドに供給し、
前記原水タンクから前記拍動タンクへの水の供給を、前記原水供給ポンプにより行うことを特徴とする自動潅水方法。 - 前記排液タンク内の水量は、高水位であることを検出する満水側スイッチと、低水位であることを検出する空側スイッチからの信号に基づき検出し、前記空側スイッチが水位低下を検出した場合に前記拍動タンクから栽培ベッドへの水供給を行い、前記満水側スイッチが高水位を検出したONの場合に前記拍動タンクから栽培ベッドへの水供給を停止することを特徴とする請求項1に記載の自動潅水方法。
- 拍動タンク内に貯留した水を、点滴チューブを介して栽培ベッドに供給する自動潅水装置であって、
前記栽培ベッドからの排液を貯留する排液タンクと、
該排液タンク内に貯留された排液の水位を検出する水位検出手段と、
該水位検出手段での検出結果に基づき、前記拍動タンク内に貯留した水を、点滴チューブを介して栽培ベッドに供給する給液手段と、
前記拍動タンクへ供給すべき水を貯留する原水タンクと、
ソーラパネルから電力の供給を受けて動作し、前記原水タンクから拍動タンクへ水を供給する原水供給ポンプと、
前記拍動タンクと原水タンクとの間に設けられ、該拍動タンクの容量を越えて前記原水供給ポンプから拍動タンクへ送り込まれた水を前記原水タンクへ戻す管と、を有することを特徴とする自動潅水装置。 - 前記水位検出手段は、前記排液タンク内の水量が高水位であることを検出する満水側スイッチと、低水位であることを検出する空側スイッチとを有し、
前記給液手段は、前記水位検出手段からの信号に基づき検出し、前記空側スイッチが水位低下を検出したONの場合に前記拍動タンクから栽培ベッドへの水供給を行い、また、前記満水側スイッチが高水位を検出したONの場合に前記拍動タンクから栽培ベッドへの水供給を停止することを特徴とする請求項3に記載の自動潅水装置。
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