JP2009017792A - 灌液制御システムの制御方法および灌液制御システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内部に吸水布14及び植物を栽培する培地13が敷設された栽培容器10と、この培地に灌液する灌液器2と、栽培容器から流出した余剰液に浸かるように吸水布の一部が内在する貯留槽4とを有する栽培装置に備えられて、灌液器による上記培地への灌液を制御する灌液制御システムの制御方法として、非日照時間帯を除いて、貯留槽における上記余剰液量が減少したときに、灌液器を作動させて、灌液を行うとともに、午前の日照時間帯における植物に対する日射量が午前晴天基準値未満であった場合に、午後の日照時間帯における灌液器の作動を停止させる灌液制御システムの制御方法とした。
【選択図】図1
Description
このため、この灌液制御システムを用いても、上述のように日射量のみによって蒸散量が定まるものでないことから、人工培地の含水率を調整することが困難であるだけでなく、蒸散量の推定による灌液量の調整を誤った場合には、灌液量が不足する、或いは過剰の灌液によって灌液量の損失が生じるといった欠点がある。その結果、灌液量の不足或いは過剰の灌液によって植物の根の発達が遅くなり、植物の発育に支障を来す場合もある。
しかしながら、そもそも灌液制御システムは、温度、湿度や日射量などによる影響を考慮した上で、人工培地の含水率を制御しなければ、特に、植物の育成を光合成によって活発にする日射量の増減による影響を考慮した上で、人工培地の含水率を制御しなければ、根の発達を促して、植物を適切に発育させることができないという問題がある。
なお、本発明に関連する先行技術文献としては、特許文献1がある。
加えて、午前の日照時間帯における日射量が午前晴天基準値未満であった場合に、午後の日照時間帯における灌液器の作動を停止させることにより、曇天や雨天の日に午後の日照時間帯に含水率が低下しても灌液器が作動して、培地に灌液が施されることを防止でき、その日の日射量に応じた灌液を可能にすることができる。
これにより、上述の余剰液量の減少による灌液器の作動による灌液と、非日照時間帯における灌液器の作動停止および午前の日照時間帯における積算日射量が午前晴天基準値未満であることによる午後の日照時間帯における灌液器の作動停止との相互作用によって、単に簡易的に植物の含水率を調節して、灌液の損失を著しく減少させることが可能になるだけでなく、日射量による影響を考慮した上で灌液することができ、その結果、適切に植物を生育させることができる。
従って、午後からの天候回復によって著しく日射量が増加した場合にも、培地の含水率の低下を防止できることから、一日のうちの急激な天候の変化にも対応でき、一日の天候の変化が激しい地域であっても、根の発達を促して、植物を適切かつ安定的に生育させることができる。
この栽培装置本体1は、上記培地としてロックウール製マット13が全面的に配設された平面視長方形状の栽培部(栽培容器)10と、この栽培部10の幅方向の一端部に長手方向に沿って一段低く形成され、ロックウール製マット13に灌液した余剰液が貯留される貯留部(貯留槽)4とが一体の容器状に形成されて構成されている。
加えて、下方位置検出電極52の下端部は、植物の蒸散によるロックウール製マット13の乾燥によって不織布14が貯留部4内の余剰液を吸い上げて、明らかに水位が低下した際に、余剰液から離間するように位置している。
また、「晴天基準値」とは、晴天時の全天日射量に基づく基準値を意味するものであり、「午前晴天基準値」とは、午前が晴天であった場合の全天日射量に基づく基準値を意味するものである。
これにより、灌液作動手段は、植物の蒸散に伴って乾燥した不織布14が貯留部4内の余剰液を吸液して、貯留部4における余剰液が減少することにより、下方位置検出電極52の下端部が余剰液から離間したときに、水位伝達ライン91から制御装置6に灌液信号が伝達されて、この制御装置6が制御信号ライン95を介してドリップ灌水管2を作動させることによって、ロックウール製マット13に養液を供給するようになっている。そして、灌液作動手段は、この養液の余剰液が流出溝12を通じて貯留部4に貯留されることにより貯留部4の水位が上方位置検出電極51の下端部より上方に位置するまで、上記供給が継続するようになっている。
そして、制御装置6は、この日射量伝達ライン92によって伝達された午前の日照時間帯における各瞬間の照度を積算した全天日射量が予め設定した午前晴天基準値以上または未満であるか否かを判定し、午前晴天基準値未満であった場合に、灌液作動装置の作動を停止させるようになっている。すなわち、灌液作動装置によるドリップ灌水管2の作動を阻止するようになっている。
ここで、「日射量ピーク時刻」とは、晴天であった場合に瞬間の日射量が最も大きくなる時間帯における特定の設定時刻を意味するものであって、本実施形態において「日射量ピーク時刻」は、午後3時に設定されている。また、「午後晴天基準値」とは、午後が晴天であった場合の全天日射量に基づく基準値を意味するものであり、「正午から晴天時に日射量が大きくなる日射量ピーク時刻までの上記植物に対する全天日射量が午後晴天基準値未満」とは、正午から瞬間の日射量が最も大きくなる時間帯における特定の設定時刻(本実施形態においては午後3時)までの日射量が晴天であった場合の全天日射量に基づく基準値未満であることを意味するものである。なお、「午後晴天基準値」は、午前晴天基準値よりも低く設定されるとともに、天候回復基準値よりも高く設定されている。
また、天候不順灌液停止手段によって、太陽電池30から日射量伝達ライン92を介して制御装置6が受信した午前の日照時間帯における全天日射量が午前晴天基準値未満であった場合に、午後の日照時間帯における灌液作動装置の作動を停止させ、かつ午後の日照時間帯における日照量ピーク時刻までの全天日射量が午後晴天基準値未満であった場合に、日射量ピーク時刻以降の灌液作動装置の作動を停止させる。
また、第2の安全機構によって、水分センサー66から含水率伝達ライン93を介して制御装置6が受信した含水率が最低含水率基準値以下となったときに、制御装置6が制御信号ライン95を介して強制的にドリップ灌水管2から養液をロックウール製マット13に供給する。
さらに、第3の安全機構によって、午後の日照時間帯に灌液作動装置が作動している場合に、最後の灌液から予め設定した含水率保証時間が経過したときに、制御装置6が制御信号ライン95を介して強制的にドリップ灌水管2から養液をロックウール製マット13に供給する。
なお、図3〜図10は、いずれも天候不順灌液停止手段の太陽電池30によって計測された各瞬間の照度と、これらの各瞬間の照度を制御装置6において積算した全天日射量と、この日射量に基づく天候不順灌液停止手段の制御及び制御装置6に兼ね備えられた夜間灌液停止手段の制御による灌液作動装置の作動状況と、第2の安全機構の水分センサー66によって計測された含水率と、灌液作動手段によって水位伝達ライン91を介して制御装置6に伝達された信号と、ドリップ灌水管2による灌液状況とが時間の経過とともに示されたチャートである。
図3は、灌液制御システム(同システムの制御方法)の基本的な作動パターンである第1の作動パターンを示すチャートであり、図4は、第2の安全機構が作動した灌液制御システム(同システムの制御方法)の第2の作動パターンを示すチャートであり、図5は、第3の安全機構が作動した灌液制御システム(同システムの制御方法)の第3の作動パターンを示すチャートである。
これにより、第2の作動パターンでは、図4に示すように、水位伝達ライン91から制御装置6に伝達された2回の灌液信号に従ってドリップ灌水管2から灌液を施すとともに、1回の強制的な灌液信号に従ってドリップ灌水管2から灌液を施している。
これにより、第3の作動パターンでは、図5に示すように、水位伝達ライン91から制御装置6に伝達された3回の灌液信号に従ってドリップ灌水管2から灌液を施すとともに、一回の強制的な灌液信号に従ってドリップ灌水管2から灌液を施している。
このため、水位伝達ライン91から制御装置6に伝達された4回の灌液信号のうち午前から午後3時までの2回の灌液信号に従ってドリップ灌水管2から灌液を施している。
従って、第8の作動パターンでは、図10に示すように、水位伝達ライン91から制御装置6に正午から午後3時までを除く日照時間帯に伝達された2回の灌液信号に従ってドリップ灌水管2から灌液を施すとともに、一回の強制的な灌液信号に従ってドリップ灌水管2から灌液を施している。
このため、電極51、52による余剰液の水位の計測によって、ロックウール製マット13の含水率を直接的に計測して、この含水率に応じて灌液を施すこととなるため、灌液量の不足を防止するとともに、過剰の灌液による灌液量の損失を著しく減少させることができ、簡易的に含水率を調整することができる。
従って、一日のうちの急激な天候の変化にも対応でき、その結果、一日の天候の変化が激しい地域であっても、根の発達を促して、植物を適切かつ安定的に生育させることができる。
また、この太陽電池30は、日射量計としてだけでなく、制御装置6等の灌液制御システムの駆動力源として用いることができる。
2 ドリップ灌水管(灌液器)
3 灌液制御システム
4 貯留部(貯留槽)
10 栽培部(栽培容器)
13 ロックウール製マット(培地)
14 不織布(吸水布)
Claims (8)
- 内部に吸水布が配設されるとともに、この吸水布の上部に植物を栽培する培地が敷設された栽培容器と、この培地に灌液する灌液器と、上記栽培容器に一体的に形成され、上記栽培容器から流出した余剰液が貯留されるとともに、この貯留された余剰液に浸かるように上記吸水布の一部を内在する貯留槽とを有する栽培装置に備えられて、上記灌液器による上記培地への灌液を制御する灌液制御システムの制御方法であって、
夕方から夜間を経て日の出に至るまでの非日照時間帯を除いて、上記貯留槽における上記余剰液量が減少したときに、上記灌液器を作動させて、上記灌液を行うとともに、
上記日の出後から正午までの午前の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が晴天時の日射量に基づく基準値である午前晴天基準値未満であった場合に、上記正午から上記非日照時間帯前までの午後の日照時間帯における上記灌液器の作動を停止させることを特徴とする灌液制御システムの制御方法。 - 上記正午から日射量が大きくなる日射量ピーク時刻までの上記植物に対する積算日射量が、晴天時の日射量に基づく基準値である午後晴天基準値未満であった場合に、上記日射量ピーク時刻以降の上記灌液器の作動を停止させることを特徴とする請求項1に記載の灌液制御システムの制御方法。
- 上記午前の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が上記午前晴天基準値未満であって、上記午後の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が、晴天に天候回復した場合の日射量に基づく基準値である天候回復基準値を超えたときに、上記灌液器の作動停止を解除するとともに、上記灌液器を作動させることを特徴とする請求項1または2に記載の灌液制御システムの制御方法。
- 上記培地の含水率が上記植物のしおれる恐れのある最低含水率基準値以下となったときに、上記灌液器を作動させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の灌液制御システムの制御方法。
- 内部に吸水布が配設されるとともに、この吸水布の上部に植物を栽培する培地が敷設された栽培容器と、この培地に灌液する灌液器と、上記栽培容器に一体的に形成され、上記栽培容器から流出した余剰液が貯留されるとともに、この貯留された余剰液に浸かるように上記吸水布の一部を内在する貯留槽とを有する栽培装置に備えられて、上記灌液器による上記培地への灌液を制御する灌液制御システムであって、
上記貯留槽における上記余剰液の水位を検出する水位検出器と、この水位検出器から上記余剰液量の減少を検知したときに、上記灌液器を作動させる灌液作動装置とを有する灌液作動手段と、
この灌液作動装置の夕方から夜間を経て日の出前までの非日照時間帯における作動を停止させる夜間灌液停止手段と、
上記植物に対する日照量を計測する日射量計測器と、この日射量計測器によって計測された上記日の出後から正午までの午前の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が晴天時の日射量に基づく基準値である午前晴天基準値未満であった場合に、上記正午から上記非日照時間帯前までの午後の日照時間帯における上記灌液作動装置の作動を停止させ、かつ上記正午から晴天時に日射量が大きくなる日射量ピーク時刻までの上記植物に対する積算日射量が晴天時の日射量に基づく基準値である午後晴天基準値未満であった場合に、上記日射量ピーク時刻以降の上記灌液作動装置の作動を停止させる灌液作動制御装置とを有する天候不順灌液停止手段とが備えられていることを特徴とする灌液制御システム。 - 上記日射量計測器は、太陽電池であることを特徴とする請求項5に記載の灌液制御システム。
- 上記灌液作動装置には、上記午前の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が上記午前晴天基準値未満であって、上記午後の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が、晴天に天候回復した場合の日射量に基づく基準値である天候回復基準値を超えたときに、上記天候不順灌液停止手段による灌液作動装置の作動停止を解除するとともに、上記灌液器を作動させる第1の安全機構が備えられていることを特徴とする請求項5または6に記載の灌液制御システム。
- 上記灌液作動装置には、水分センサーによって計測された上記培地の含水率が植物のしおれる恐れのある最低含水率基準値以下となったときに、上記灌液器を作動させる第2の安全機構が備えられていることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一項に記載の灌液制御システム。
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